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特許7529683インライン・フィルタを有するニードルレス・コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】インライン・フィルタを有するニードルレス・コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20240730BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20240730BHJP
   A61M 5/165 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61M39/10
A61M5/31 540
A61M5/165 500
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021556216
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 US2020023306
(87)【国際公開番号】W WO2020191019
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】62/820,514
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】パロヤン、ジェームズ
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-084072(JP,A)
【文献】特開2009-273515(JP,A)
【文献】特開昭54-066589(JP,A)
【文献】特開2007-195933(JP,A)
【文献】特表2008-537684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 5/31
A61M 5/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞、及び前記空洞と流体連通する近位流体ポートを有するハウジングと、
前記空洞内に少なくとも部分的に配置されたフィルタ支持体であって、前記近位流体ポートと流体連通する遠位流体ポートを有するフィルタ支持体と、
前記フィルタ支持体の周囲に、且つ前記近位流体ポートと前記遠位流体ポートとの間に配置されたフィルタであって、前記フィルタの近位端が、前記遠位流体ポートから前記近位流体ポートへの流体流れに応じて、前記フィルタ支持体から離れるように半径方向に拡張する、フィルタ
を有する、ニードルレス・コネクタ。
【請求項2】
前記フィルタが円錐形状を有する、請求項1に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項3】
前記フィルタの遠位端が第1の半径を有し、前記フィルタの近位端が第2の半径を有し、前記第1の半径が前記第2の半径より大きい、請求項2に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項4】
前記フィルタが、0.2マイクロメートルの平均フィルタ目開きを有する、請求項1に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項5】
前記フィルタの前記近位端が、前記フィルタ支持体の周方向リブと接触している、請求項に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項6】
前記フィルタ支持体が剛性材料を有する、請求項1に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項7】
前記フィルタ支持体が、前記フィルタを支持するための複数の軸方向リブを有する、請求項1に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項8】
前記近位流体ポートと前記遠位流体ポートの間の流れを選択的に可能にするために前記空洞内に配置された可撓性弁体をさらに有する、請求項1に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項9】
空洞、及び前記空洞と流体連通する近位流体ポートを有するハウジングと、
前記空洞内に少なくとも部分的に配置されたフィルタ支持体であって、前記近位流体ポートと流体連通する遠位流体ポートを有し、前記ハウジング及び前記フィルタ支持体が前記近位流体ポートと前記遠位流体ポートとの間の流路を画定する、フィルタ支持体と、
前記フィルタ支持体の周囲に配置されたフィルタであって、前記フィルタの近位端が、前記遠位流体ポートから前記近位流体ポートへの流体流れに応じて、前記フィルタ支持体から離れるように半径方向に拡張し、それにより前記流路から選択的に取り除かれるフィルタと
を有するニードルレス・コネクタ。
【請求項10】
前記フィルタの遠位端が第1の半径を有し、前記フィルタの近位端が第2の半径を有し、前記第1の半径が前記第2の半径より大きい、請求項に記載のニードルレス・コネクタ。
【請求項11】
前記フィルタが円錐形状を有する、請求項に記載のニードルレス・コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年3月19日に出願された米国特許出願第62/820,514号からの、米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は広義にはコネクタに関し、特にニードルレス・コネクタ(無針コネクタ)に関する。
【背景技術】
【0003】
医療的処置は、一般に「静脈内(IV:intravenous)セット」と呼ばれる可撓性のチューブ及び取付具の組み合わせを介して流体の供給源、例えばIVバッグに接続されたIVカテーテルを用いた患者への医療用流体(例えば生理食塩水又は液体薬品)の注入をしばしば伴う。特定のニードルレス・コネクタがIVセットにおいて使用されてもよく、これは、連結する医療用器具をそのようなニードルレス・コネクタから取り外す場合に流体の漏出を防ぐ自己封止式ポートを有していてもよい。さらに、ニードルレス・コネクタは、機械的弁、例えば自己封止式ポートを提供し且つIVセット内の流体流れを制御するための可撓性材料を有する圧潰可能な弁を含み得る。
【0004】
一部のアプリケーションでは、IVカテーテルの使用中に、IVセットに取り込まれ得る細菌及び他の微生物によって血液感染が引き起こされる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
開示される主題は、フィルタを有するコネクタに関する。ある特定の実施例では、空洞及び空洞に流体連通する近位流体ポートを有するハウジングと、空洞内に少なくとも部分的に配置されたフィルタ支持体であって、近位流体ポートと流体連通する遠位流体ポートを有するフィルタ支持体と、フィルタ支持体の外周且つ近位流体ポートと遠位流体ポートとの間に配置されたフィルタとを有する、ニードルレス・コネクタが開示される。
【0006】
ある特定の実施例では、空洞及び空洞に流体連通する近位流体ポートを有するハウジングと、空洞内に少なくとも部分的に配置されたフィルタ支持体であって、近位流体ポートと流体連通する遠位流体ポートを有し、ハウジング及びフィルタ支持体が近位流体ポートと遠位流体ポートとの間の流路を画定する、フィルタ支持体と、フィルタ支持体の周囲に配置されたフィルタであって、流路から選択的に離れるフィルタとを有する、ニードルレス・コネクタが開示される。
【0007】
ある特定の実施例では、第1の流体流れを第1の流体ポートからニードルレス・コネクタに導入することと、第1の流体流れを方向づけてニードルレス・コネクタ内に配置されたフィルタに通すことと、ニードルレス・コネクタの外へと第1の流体流れを第2の流体ポートへ方向づけることとを有する、流体流れを選択的に濾過するための方法が開示される。
【0008】
本技術の様々な構成が、本開示から当業者に容易に明らかとなり、本技術の様々な構成が、例示として示され記載されることが理解される。認識されるように、本技術は他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべてが本技術の範囲から逸脱することなく、様々な他の点で変更が可能である。したがって、概要、図面、及び詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされ、限定的なものとはみなされない。
【0009】
添付の図面は、さらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成するが、開示される実施例を例示し、その説明と共に、開示される実施例の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の様々な態様による、ニードルレス・コネクタの立面図である。
図2】本開示の様々な態様による、図1のニードルレス・コネクタの分解図である。
図3】本開示の様々な態様による、封止形態における図1のニードルレス・コネクタの断面図である。
図4】本開示の様々な態様による、流通形態における図1のニードルレス・コネクタの断面図である。
図5】本開示の様々な態様による、流れが概ね近位から遠位方向に方向づけられた状態の、図4のニードルレス・コネクタの断面図である。
図6】本開示の様々な態様による、図5のフィルタの近位端の詳細図である。
図7】本開示の様々な態様による、流れが概ね遠位から近位方向に方向づけられた状態の、図4のニードルレス・コネクタの断面図である。
図8】本開示の様々な態様による、図7のフィルタの近位端の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の濾過(フィルタ)機能付きのニードルレス・コネクタは、コネクタの本体内に配置されるフィルタを組み込む。インライン・フィルタがニードルレス・コネクタ内に配置されて、コネクタを介して送達される流体の濾過を可能にし得る。コネクタを介して送達される流体及び薬剤を濾過することにより、患者への細菌、微生物、及び他の病原体の移入を低減することができる。さらに、インライン・フィルタを、患者から血液又は他の体液を採取する間迂回して、コネクタを通る粘性流体の流体流れが可能となるように、構成することができる。
【0012】
以下に記載される詳細な説明は、本技術の様々な構成の説明として意図され、本技術が実施され得る限られた構成を提示することを意図されない。詳細な説明は、本技術の徹底した理解を提供することを目的として、具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくとも本技術を実施できることは、当業者に明らかであろう。一部の例では、周知の構造及び構成要素が、本技術の概念を曖昧にすることを避けるためブロック図の形で示される。同様の構成要素は、理解を容易にするために同一の要素番号で表示される。参照符号は、添え字のない同じ数字によって総称的に参照されるが、共通の要素の別個の例を表すために添え字が付される場合がある。
【0013】
以下の説明は、開示されるニードルレス・コネクタを使用した、医療従事者による患者への医療用流体の投与を対象とするが、この説明は用法の実例にすぎず、請求項の範囲を限定しないことが理解されるべきである。開示されるニードルレス・コネクタの様々な態様は、患者からの血液及び他の体液の採取を可能としながら、細菌、微生物、及び他の病原体の移入を防ぐことが望ましい、いずれの用途においても使用され得る。
【0014】
開示されるニードルレス・コネクタは、ある特定の従来のコネクタに関して発見された、いくつかの困難を克服する。ある特定の従来のニードルレス自己封止式コネクタの困難の1つは、細菌、微生物、及び他の病原体が、IVセットの使用中に患者へ移入し得ることである。そのような病原体の移入は感染症につながり得るので、そのような移入は望ましくない。ある特定のニードルレス自己封止式コネクタの別の困難は、患者から採取装置又は調整装置への血液又は他の体液の流れが、制限されるか又は可能でない場合があることである。
【0015】
そのため、本開示により、患者から血液又は他の体液を採取することを可能としながら、病原体が患者に移入する可能性を排除するか又は実質的に低減する、本明細書に記載のニードルレス・コネクタを提供することは有利である。開示されるニードルレス・コネクタは、患者への病原体の移入を防ぐ、及び患者の体液を採取することができるように迂回され得る、インライン・フィルタを提供する。
【0016】
患者の体液の流れを可能としながら、病原体の移入を排除するか又は実質的に低減するニードルレス・コネクタの実例が、ここで記載される。
【0017】
図1は、本開示の様々な態様による、ニードルレス・コネクタ100の立面図である。図示される実例において、ニードルレス・コネクタ100は、患者へのIVアクセスを提供し、さらに連結する医療用器具をニードルレス・コネクタ100から取り外す場合に流体の漏出を防ぐ、自己封止式ポートである。例示されるように、IVセットからの流体流れは、近位流体ポート104を介して、ハウジング102を通り、遠位流体ポート110を通り、そして患者のチューブ101を介して患者へと、患者に導入され得る。さらに、一部の実施例において、患者からの血液又は他の体液は、遠位流体ポート110から、ハウジング102を通り、近位流体ポート104へと、採取され得る。示されるように、近位流体ポート104及び遠位流体ポート110は、ルアー・フィッティングを含むがそれに限定されない、任意の適切な取付具を含み得る。図示される実例では、近位流体ポート104は、雌型ルアー・フィッティングとして示され、遠位流体ポート110は雄型ルアー・フィッティングとして示される。
【0018】
さらに、本明細書に記載されるように、患者からの血液又は他の体液の採取を可能にしながら、ニードルレス・コネクタ100を通る流体流れを濾過して、患者への細菌、微生物、及び他の病原体の移入を防ぐことができる。
【0019】
図2は、本開示の様々な態様による、図1のニードルレス・コネクタ100の分解図である。例示されるように、ニードルレス・コネクタ100のハウジング102は、ハウジング102の空洞103内に、可撓性弁体130、フィルタ120、及びフィルタ支持体111を含む。図示される実例では、近位流体ポート104は、ハウジング102の空洞103と流体連通する。連結する医療用器具との接続を容易にするために、近位流体ポート104にネジ山を設けることができる。
【0020】
例示されるように、可撓性弁体130は、ハウジング102の内部空洞103を選択的に封止することによって、近位流体ポート104を通る流れを可能にするか又は制限することができる。可撓性弁体130は、可撓性弁体130の近位端136に向かって配置された封止部132を有する、本体131を有し得る。封止部132は、連結する医療用器具の挿入時に容易に変形することによって、可撓性弁体130を通過してゆく流れを促進するために、切欠部134をさらに含み得る。可撓性弁体130の本体131は、近位流体ポート104の選択的な封止を可能にするために、弾性変形し復元するシリコーン又は他のエラストマー材料から形成され得る。可撓性弁体130は、遠位フランジ138を介してフィルタ支持体111と結合され得る。
【0021】
ハウジング102を通る流れが、可撓性弁体130によって可能になる場合に、フィルタ120は、ニードルレス・コネクタ100を通る流れを選択的に濾過することができる。一部の実施例では、フィルタ120は、細菌、微生物、及び/又は他の病原体の移入を防ぐように構成された、濾材を有し得る。フィルタ120は、およそ0.2マイクロメートルの平均フィルタ目開き(average filter opening)を有してよい。場合により、フィルタ120の平均フィルタ目開き(オープニング)は、0.1マイクロメートルから10マイクロメートルの間の範囲であってよい。フィルタ120は、弾性材料又は伸縮性材料から形成され得る。
【0022】
例示されるように、フィルタ120は、略円筒形状又は円錐台形状であり得る。例えば、フィルタ120の近位端122は、次第に細くなり、フィルタ120の遠位端124より概ね小さい半径となる。一部の実施例では、近位端122及び遠位端124は、同じ又は近似の半径を有し得る。
【0023】
示されるように、フィルタ120は、フィルタ120を通る流路が可能となるように、フィルタ支持体111によって支持され得る。図示される実例では、フィルタ支持体111は、剛性(rigid)構造を有することができ、フィルタを通る流れを促進しながらフィルタ120を支持するための、軸方向リブ112及び周方向リブ113を含み得る。そのため、フィルタ120は、フィルタ支持体111の本体から半径方向に離隔され得る。
【0024】
場合により、フィルタ支持体111の近位端116を、可撓性弁体130の遠位フランジ138と嵌め合わせることができる。したがって、フィルタ120は、支持フレーム111の支持フランジ114と可撓性弁体130の遠位フランジ138の間で、軸方向に保持され得る。
【0025】
例示されるように、フィルタ支持体111は、フィルタ支持体111の遠位端118を通る流体流れを、さらに促進することができる。図示される実例では、フィルタ支持体111は、フィルタ支持体111の遠位端118に配置された遠位流体ポート110を含む。遠位流体ポート110は、フィルタ120の内側表面及び空洞103と概ね流体連通し得る。遠位流体ポート110は、患者のチューブ101と結合され得る。本明細書に記載されるように、近位流体ポート104から遠位流体ポート110への流れは、フィルタ120を通り流れることができるが、遠位流体ポート110から近位流体ポート104への流れは、フィルタ120を迂回することができる。
【0026】
図3は、本開示の様々な態様による、封止形態における図1のニードルレス・コネクタの断面図である。図示される実例では、可撓性弁体130は、連結する医療用器具が近位流体ポート104と接続していない場合に、近位流体ポート104及びニードルレス・コネクタ100を通る流体流れを概ね防ぐ、シールを形成し、それによって漏出を防ぐ。したがって、ニードルレス・コネクタ100がアクセスされている状態でない場合に、可撓性弁体130の封止部132及び可撓性本体131は、内側空洞103を概ね封止して、そこを通る流体流れを防ぐ。
【0027】
図4は、本開示の様々な態様による、流通形態における図1のニードルレス・コネクタの断面図である。例示されるように、連結する医療用器具150は、ニードルレス・コネクタ100に取り付けられ得る。医療用器具150は、患者へ流体若しくは薬剤を導入するために、又はニードルレス・コネクタ100を介して患者から血液若しくは他の体液を採取するために使用され得る。医療用器具150は、ねじ付き接続部152を介して近位流通ポート104へ接続され得る。
【0028】
使用されている間、医療用器具150の雄型取付具154は、ハウジング102の空洞103に導入され得る。雄型取付具154を空洞103へ導入すると、可撓性弁体130は、十分な弾性を有するので、変形するか又は屈曲して空洞103との封止係合から外れ、ニードルレス・コネクタ100と医療用器具150の間の流体流れを可能にすることができる。可撓性弁体130は、雄型取付具154を取り外すと、その元の形状に戻ることができる。可撓性弁体130は、圧潰状態で示されており、遠位流体ポート110と近位流通ポート104の間の流体流れが可能になっている。
【0029】
図示される実例では、ニードルレス・コネクタ100は、容積式装置(positive displacement device)であり得る。例えば、近位流体ポート104で新たな接続を行う場合に、内部空洞103の容積は減少し、ニードルレス・コネクタ100は、近位流体ポート104又は遠位流体ポート110から流体を吸引する。したがって、近位流体ポート104で取外しを行う場合に、ニードルレス・コネクタ100は、空洞103から流体を排出し、ニードルレス・コネクタ100を効果的にフラッシュする。有利には、フィルタ120は、空洞103からの流体の排出を弱めることができるか、さもなければ制御することができる。
【0030】
図5は、本開示の様々な態様による、流れ160が概ね近位から遠位方向に方向づけられた状態の、図4のニードルレス・コネクタの断面図である。例示されるように、流れ160は、患者に生理食塩水又は薬剤を導入する場合など、流体が医療用器具150から患者に導入される場合の、近位流体ポート104から遠位流体ポート110へ、そして患者のチューブ101への、流体の進路を図で示す。図示される実例では、流れ160は、医療用器具150から空洞103に向かって方向づけられる。屈曲又は変形した可撓性弁体130は、流れが近位流体ポート104を越えて通過し、フィルタ120に向かって進むのを可能にする。
【0031】
図6は、本開示の様々な態様による、図5のフィルタ120の近位端122の詳細図である。図6に示されるように、流体流れ160は、フィルタ120を通過する。その結果もたらされる濾過された流れ162は、フィルタ支持体111を通り、遠位流通ポート110を通り、患者のチューブ101へと進む。
【0032】
図示される実例では、流体流れ160が概ね近位から遠位方向に流れるので、流体流れ160によってフィルタ120の外側表面に加えられる力は、フィルタ支持体111の軸方向リブ112及び周方向リブ113に、フィルタ120を押し付ける。有利には、これにより、確実に流路160の流体がフィルタ120を介して濾過され、生理食塩水及び/又は薬品などの導入される流体が濾過されることを可能にして、患者への細菌の移入を防ぐ。
【0033】
図7は、本開示の様々な態様による、流れ170が概ね遠位から近位方向に方向づけられた状態の、図4のニードルレス・コネクタ100の断面図である。例示されるように、流れ170は、血液が採取される場合など、流体が患者から採取される場合の、遠位流体ポート110から近位流体ポート104へ、そしてさらに医療用器具150への、流体の進路を図で示す。図示される実例では、患者から採取された流体は、遠位流体ポート110からフィルタ120に向かって方向づけられる。採取された流体は、フィルタ120を迂回し、屈曲又は変形した可撓性弁体130を通過して進むことにより、流れが近位流体ポート104へと進むことが可能になる。
【0034】
図8は、本開示の様々な態様による、図7のフィルタ120の近位端122の詳細図である。図示される実例では、流体流れ170は、フィルタ120を迂回する。一部の実施例では、フィルタ120は、ニードルレス・コネクタ100を通る流れ170の方向に応じて、迂回され得る。例えば、フィルタ120は、流体流れ170に示されるように、血液又は他の患者の体液が遠位流体ポート110から近位流体ポート104へ流れる場合に、迂回され得る。場合により、流体の粘性などの流体流れ170の他の特性を利用して、フィルタ120を迂回することができる。
【0035】
有利には、フィルタ120は、フィルタ120を半径方向に広げ、フィルタを通さず近位流通ポート104へ向かう代替の流路を作り出すことにより、迂回され得る。例えば、流体流れ170によってフィルタ120の内側表面に加えられる力は、フィルタ支持体111から離れるようにフィルタ120を半径方向に広げさせることができる。特に、フィルタ120を半径方向に押し出すか、広げるか、又は伸ばして、軸方向リブ112及び/若しくは周方向リブ113から離れさせ、近位流通ポート104へ向かう代替の流路を作り出すことができる。一部の実施例では、フィルタ120の近位端122が、半径方向に広がり、迂回する流れを可能にし得る。場合により、粘性が増加した流体流れ170は、フィルタ120をさらに広げ得る。
【0036】
本開示は、いずれの当業者も、本明細書に記載の様々な態様を実施することができるように提供される。本開示は本技術の様々な実例を提供し、本技術はこれらの実例に限定されない。これらの態様の様々な変更が、当業者に容易に明らかであり、本明細書に定義される包括的な原理は、他の態様に適用することができる。
【0037】
単数の要素への言及は、具体的にそのように述べられていない限り、「ただ1つ」を意味することを意図されず、むしろ「1つ又は複数」を意味することを意図される。具体的にそうでないことが述べられていない限り、用語「いくつか」は、1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び無性(例えば、彼女の及びその)を含み、その逆もまた同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは便宜上使用されているだけであり、本発明を限定しない。
【0038】
「模範的」という言葉は、「実例又は例示としての役割を果たす」を意味するように本明細書で使用される。「模範的」であると本明細書で記載される態様又は設計がいずれも、他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると、必ずしも解釈され得るわけではない。一態様では、本明細書に記載される様々な代替の構成及び動作は、少なくとも等価であるとみなされてよい。
【0039】
「態様(aspect;観点)」などの語句は、そのような態様が本技術に不可欠であることも、そのような態様が本技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。ある態様に関する開示は、すべての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用され得る。ある態様は、1つ又は複数の実例を提供し得る。ある態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指す場合があり、逆もまた同様である。「実施例」などの語句は、そのような実施例が本技術に不可欠であることも、そのような実施例が本技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。ある実施例に関する開示は、すべての実施例又は1つ若しくは複数の実施例に適用され得る。ある実施例は、1つ又は複数の実例を提供し得る。ある実施例などの語句は、1つ又は複数の実施例を指す場合があり、逆もまた同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が本技術に不可欠であることも、そのような構成が本技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。ある構成に関する開示は、すべての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用され得る。ある構成は、1つ又は複数の実例を提供し得る。ある構成などの語句は、1つ又は複数の構成を指す場合があり、逆もまた同様である。
【0040】
一態様では、そうでないことが述べられていない限り、本明細書に記載されるすべての測定値、値、評点、位置、大きさ、寸法、及び他の仕様は、以下の請求項におけるものを含めて、概略的なものであり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関する機能及びそれらが関わる技術分野の慣例に矛盾しない、合理的な範囲を有することを意図される。
【0041】
一態様では、用語「結合された」などは、直接的に結合されることを指し得る。別の態様では、用語「結合された」などは、間接的に結合されることを指し得る。
【0042】
用語「上」、「下」、「前」、「後」などは、本開示で使用される場合、通常の重力基準系(gravitational frame of reference)ではなく、むしろ任意の基準系を指すと理解されるべきである。したがって、上面、下面、前面、及び後面は、重力基準系において、上に、下に、斜めに、又は水平に延在し得る。
【0043】
様々な事物が、すべて本技術の範囲から逸脱することなく、異なって配置され得る(例えば、異なる順序で配置されるか、又は異なるやり方で分割される)。本開示の全体を通して記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的等価物は、当業者に公知であるか、又は後に公知となるが、参照により本明細書に明確に組み込まれ、請求項に包含されることを意図される。さらに、本明細書に開示されるいかなるものも、そのような開示が請求項に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に供されることを意図するものではない。請求項のいかなる要素も、その要素が語句「ための手段」を使用して明確に列挙されていない限り、又は方法の請求項の場合には、語句「ためのステップ」を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条第6段落の規定に基づいて解釈されるべきではない。さらに、用語「含む」、「有する(have)」などが使用される場合、用語「有する(comprise)」が請求項において移行句として用いられる場合に解釈されるように、そのような用語は、「有する(comprise)」と同様に包含的であることを意図される。
【0044】
本開示の、「発明の名称」、「背景技術」、「発明の概要」、「図面の簡単な説明」、及び「要約書」は、これにより本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。本開示は、それらが請求項の範囲又は意味を限定するように使用されないという理解のもとで、提出される。さらに、「発明を実施するための形態」では、説明が例示的な実例を提供し、様々な特徴が本開示の簡素化を目的として、様々な実施例においてまとめられていることがわかる。このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項において明確に列挙されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、本発明の主題は、単一の開示される構成又は動作のすべての特徴より少ない特徴で成り立つ。以下の請求項は、これにより「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、別個に特許請求された主題として、それ自体で成立する。
【0045】
請求項は、本明細書に記載される態様に限定されることを意図するものではないが、請求項の文言に矛盾しない最大限の範囲が認められ、すべての法的等価物を包含することになる。しかしながら、いずれの請求項も、米国特許法第101条、102条、又は103条の要件を満たさない主題を包含することは意図されておらず、またそのような主題を包含するものとして解釈されるべきではない。
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