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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】物品向き変更装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/244 20060101AFI20240730BHJP
   G01N 3/00 20060101ALI20240730BHJP
   G01N 3/08 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65G47/244
G01N3/00 L
G01N3/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022015027
(22)【出願日】2022-02-02
(65)【公開番号】P2023112975
(43)【公開日】2023-08-15
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴志
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538575(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02214500(GB,A)
【文献】特許第6089038(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
G01N 3/00 - 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長軸(wa)と前記長軸と直交する短軸(wb)とを有する非円形の物品(W)の向きを変更可能な物品向き変更装置(30)であって、
前記物品が載置される載置面(11a)と、前記載置面から上方に突出する突出部(11A)とを有し、揺動軸(13)を支点に上下方向に揺動自在に設けられた載置部材(11)と、
前記突出部のなす壁面(11b)に対向して前記突出部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記突出部に近づく方向に移動して前記物品を前記載置面上の所定位置に押し出す第1の移動部材(5、25)と、
前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記載置部材に隣接して設けられた壁部(1A)と、
前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記壁部に対向して前記壁部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記壁部に近づく方向に移動して前記物品を前記壁部に押し付ける第2の移動部材(12)とを備え、
前記第1の移動部材の移動方向で前記突出部の前記壁面に対向する前記第1の移動部材の対向面に、前記物品の長軸が前記第1の移動部材の移動方向に対して傾斜する第1の向きとなるように前記物品に接触する接触部(5A、25A)が設けられており、
前記第1の移動部材は、前記物品が前記第1の向きを維持した状態で前記物品を前記載置面上の前記所定位置に押し出し、
前記第2の移動部材は、前記壁部に近づく方向に移動して前記載置面上の前記所定位置に押し出された前記物品の向きを前記第1の向きから所定の向きに変更する物品向き変更装置。
【請求項2】
前記所定の向きは、前記物品の長軸が前記第1の移動部材の移動方向と平行になる第2の向きであり、
前記第1の移動部材が前記載置面から離れた状態において、前記第2の移動部材は、前記載置面上の前記所定位置で前記第1の向きにある前記物品を前記壁部に向かって移動させることにより、前記物品の向きを前記第1の向きから前記第2の向きに変更し、
次いで、前記第2の移動部材が前記載置面から離れた状態において、前記載置部材が水平姿勢から上方に揺動することにより、前記物品を前記突出部の前記壁面に当接させ、前記物品の向きを前記第2の向きから長軸が前記第2の移動部材の移動方向と同方向となる第3の向きに変更する請求項1に記載の物品向き変更装置。
【請求項3】
前記第1の移動部材の平面視において、前記接触部は、前記第1の移動部材の移動方向に対して傾斜するテーパ面(25A)である請求項1または請求項2に記載の物品向き変更装置。
【請求項4】
前記第1の移動部材の平面視において、前記接触部は、前記第1の移動部材の対向面(5a)に対して前記突出部から離れる方向に窪むV字形状の溝部(5A)から構成されている請求項1または請求項2に記載の物品向き変更装置。
【請求項5】
前記揺動軸を第1の揺動軸(13)とした場合に、前記載置部材の平面視において、前記載置部材は、前記第1の揺動軸と直交する第2の揺動軸(27)を支点にして揺動自在に設けられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品向き変更装置。
【請求項6】
長軸(wa)と前記長軸と直交する短軸(wb)とを有する非円形の物品(W)の向きを変更可能な物品向き変更装置(30)であって、
前記物品が載置される載置面(11a)と、前記載置面から上方に突出する突出部(11A)とを有し、第1の揺動軸(13)を支点に上下方向に揺動自在に設けられるとともに、前記第1の揺動軸と直交する第2の揺動軸(27)を支点に前記第2の揺動軸回りに揺動自在に設けられた載置部材と、
前記突出部のなす壁面(11b)に対向して前記突出部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記突出部に近づく方向に移動して前記物品を前記載置面上の所定位置に押し出す第1の移動部材(5、25)と、
前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記載置部材に隣接して設けられた壁部(1A)と、
前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記壁部に対向して前記壁部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記壁部に近づく方向に移動して前記物品を前記壁部に押し付ける第2の移動部材(12)とを備え、
前記第1の移動部材は、前記物品の向きが不定となる第1´の向きで前記物品を前記載置面上の前記所定位置に押し出し、
前記第1の移動部材によって前記載置面上に前記物品が搬送されたときに、前記載置部材は、前記第2の揺動軸を支点に前記壁部の方向に揺動して前記物品を前記壁部に当接させることにより、前記物品の向きを前記第1´の向きから所定の向きに変更する物品向き変更装置。
【請求項7】
前記所定の向きは、前記物品の長軸が前記第1の移動部材の移動方向と平行になる第2の向きであり、
前記載置部材は、前記第1の揺動軸によって水平姿勢から上方に揺動することにより、前記物品を前記突出部の前記壁面に当接させ、前記物品の向きを前記第2の向きから長軸が前記第2の移動部材の移動方向と同方向となる第3の向きに変更する請求項6に記載の物品向き変更装置。
【請求項8】
前記物品の短軸方向の長さ、長軸方向の長さおよび硬度を測定する測定部(16、20)を有し、
前記載置面上で前記第2の向きにある前記物品が前記第2の移動部材によって前記壁部に押し付けられたときに、前記測定部は、前記物品の短軸方向の長さを測定し、
前記載置面上で前記第3の向きにある前記物品が前記第2の移動部材によって前記壁部に押し付けられたときに、前記測定部は、前記物品の長軸方向の長さと硬度とを測定する請求項2または請求項7に記載の物品向き変更装置。
【請求項9】
前記突出部の前記壁面は、前記第2の移動部材の移動方向に沿って直線状に延在している請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の物品向き変更装置。
【請求項10】
前記物品を排出する排出部(10a)を有し、前記載置部材が水平姿勢から下方に揺動したときに、前記載置面から前記排出部に物品が排出される請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の物品向き変更装置。
【請求項11】
前記載置部材の平面視において、前記突出部が前記載置部材の前記載置面に対して回動自在に設けられている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の物品向き変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品向き変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
楕円形などの非円形の物品の長さや硬度(破壊強度)を測定する測定装置として、特許文献1に記載されるタブレット試験デバイスが知られている。
【0003】
このタブレット測定装置は、特許文献1の図8a、図8bに示すように、軸を支点として揺動自在なフラップと、フラップの一端部から上方に突出する表面と、フラップに隣接する固定破壊表面と、固定破壊表面に対して近接、離隔自在に設けられ、長軸および短軸を有する楕円形状のタブレットを固定破壊表面に押し付ける破壊表面とを有する。
【0004】
フラップ上に位置するタブレットは、フラップが軸を支点として下方に揺動したときに、重量によって表面に当接して長軸方向が破壊表面の移動方向と同方向に向く。この状態で破壊表面によってフラップを固定破壊表面に押し付けることにより、タブレットの長軸方向の長さと硬度とが測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6089038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のタブレット測定装置にあっては、フラップを揺動させることによりタブレットを長軸方向に位置決めすることができるが、フラップの短軸方向の位置決めを行う手段を有していない。このため、タブレットの向きを短軸方向と長軸方向の両方向に変更できない。
【0007】
そこで、本発明は、1つの載置部材上において物品の向きを長軸方向と短軸方向に容易に変更できる簡素な構成の物品向き変更装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品向き変更装置は、長軸と前記長軸と直交する短軸とを有する非円形の物品の向きを変更可能な物品向き変更装置であって、前記物品が載置される載置面と、前記載置面から上方に突出する突出部とを有し、揺動軸を支点に上下方向に揺動自在に設けられた載置部材と、前記突出部のなす壁面に対向して前記突出部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記突出部に近づく方向に移動して前記物品を前記載置面上の所定位置に押し出す第1の移動部材と、前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記載置部材に隣接して設けられた壁部と、前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記壁部に対向して前記壁部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記壁部に近づく方向に移動して前記物品を前記壁部に押し付ける第2の移動部材とを備え、前記第1の移動部材の移動方向で前記突出部の前記壁面に対向する前記第1の移動部材の対向面に、前記物品の長軸が前記第1の移動部材の移動方向に対して傾斜する第1の向きとなるように前記物品に接触する接触部が設けられており、前記第1の移動部材は、前記物品が前記第1の向きを維持した状態で前記物品を前記載置面上の前記所定位置に押し出し、前記第2の移動部材は、前記壁部に近づく方向に移動して前記載置面上の前記所定位置に押し出された前記物品の向きを前記第1の向きから所定の向きに変更するものである。
【0009】
この構成により、第1の移動部材により、長軸が第1の移動部材の移動方向に対して傾斜する第1の向きを維持した状態で物品を載置面に搬送した後、第2の移動部材を壁部に近づく方向に移動させて第2の移動部材を物品に接触させることにより、物品の向きを第1の向きから所定の向き、例えば、第1の向きから物品の長軸が第1の移動部材の移動方向と平行になる向きに容易に変更できる。
【0010】
次いで、揺動軸を支点にして載置部材を上方に揺動させ、自重により物品を載置面に沿って突出部に移動させて突出部に接触させることにより、物品の向きを第2の向きから第3の向きに容易に変更できる。
【0011】
このように、壁部、載置部材、第1の移動部材および第2の移動部材からなる簡素な構成の物品向き変更装置により、載置面上で物品の向きを複数の向き(第1の向き、第2の向きおよび第3の向き)に容易に変更できる。
【0012】
また、本発明の物品向き変更装置において、前記所定の向きは、前記物品の長軸が前記第1の移動部材の移動方向と平行になる第2の向きであり、前記第1の移動部材が前記載置面から離れた状態において、前記第2の移動部材は、前記載置面上の所定位置で前記第1の向きにある前記物品を前記壁部に向かって移動させることにより、前記物品の向きを前記第1の向きから前記第2の向きに変更し、次いで、前記第2の移動部材が前記載置面から離れた状態において、前記載置部材が水平姿勢から上方に揺動することにより、前記物品を前記突出部の前記壁面に当接させ、前記物品の向きを前記第2の向きから長軸が前記第2の移動部材の移動方向と同方向となる第3の向きに変更するものである。
【0013】
この構成により、同一の載置面上で物品の向きを短軸方向と長軸方向とに容易に変更でき、物品向き変更装置の設置スペースを低減できる。
【0014】
また、本発明の物品向き変更装置によれば、前記第1の移動部材の平面視において、前記接触部は、前記第1の移動部材の移動方向に対して傾斜するテーパ面である。
【0015】
この構成により、第1の移動部材のテーパ面に物品が接触したときに、物品の向きを、長軸が第1の移動部材の移動方向に対して傾斜する第1の向きに維持できる。
【0016】
また、本発明の物品向き変更装置は、前記第1の移動部材の平面視において、前記接触部は、前記第1の移動部材の対向面に対して前記突出部から離れる方向に窪むV字形状の溝部から構成されているものである。
【0017】
この構成により、第1の移動部材の接触部が物品に接触したときに、物品の向きを、長軸が第1の移動部材の移動方向に対して傾斜する第1の向きに維持できる。
【0018】
また、本発明の物品向き変更装置は、前記揺動軸を第1の揺動軸とした場合に、前記載置部材の平面視において、前記載置部材は、前記第1の揺動軸と直交する第2の揺動軸を支点にして揺動自在に設けられている。
【0019】
この構成により、第2の揺動軸を支点にして載置部材の壁部側が下方となるように載置部材を揺動させたときに、物品を壁部に接触させることにより、物品の向きを第1の向きから第2の向きに容易に変更できる。
【0020】
このため、第2の移動部材を壁部に近づく方向に移動させて第2の移動部材を物品に接触させたときに、物品の向きを第2の向きに確実に維持できる。
【0021】
また、本発明の物品向き変更装置は、長軸と前記長軸と直交する短軸とを有する非円形の物品の向きを変更可能な物品向き変更装置であって、前記物品が載置される載置面と、前記載置面から上方に突出する突出部とを有し、第1の揺動軸を支点に上下方向に揺動自在に設けられるとともに、前記第1の揺動軸と直交する第2の揺動軸を支点に前記第2の揺動軸回りに揺動自在に設けられた載置部材と、前記突出部のなす壁面に対向して前記突出部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記突出部に近づく方向に移動して前記物品を前記載置面上の所定位置に押し出す第1の移動部材と、前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記載置部材に隣接して設けられた壁部と、前記第1の移動部材の移動方向と直交する方向で前記壁部に対向して前記壁部に近づく方向と離れる方向に移動自在に設けられ、前記壁部に近づく方向に移動して前記物品を前記壁部に押し付ける第2の移動部材とを備え、前記第1の移動部材は、前記物品の向きが不定となる第1´の向きで前記物品を前記載置面上の前記所定位置に押し出し、前記第1の移動部材によって前記載置面上に前記物品が搬送されたときに、前記載置部材は、前記第2の揺動軸を支点に前記壁部の方向に揺動して前記物品を前記壁部に当接させることにより、前記物品の向きを前記第1´の向きから所定の向きに変更する。
【0022】
このように、第1の移動部材によって載置面上に物品が搬送されたときに、載置部材は、第2の揺動軸を支点に壁部の方向に揺動して物品を壁部に当接させることにより、物品の向きを所定の向き、例えば、第1´の向きから物品の長軸が第1の移動部材の移動方向と平行になる向きに容易に変更できる。
【0023】
次いで、第1の揺動軸を支点にして載置部材を上方に揺動させ、自重により物品を載置面に沿って突出部に移動させて突出部に接触させることにより、物品の向きを第2の向きから第3の向きに容易に変更できる。
【0024】
このように、壁部、載置部材、第1の移動部材および第2の移動部材からなる簡素な構成の物品向き変更装置により、載置面上で物品の向きを複数の向き(第1´の向き、第2の向きおよび第3の向き)に容易に変更できる。
【0025】
また、本発明の物品向き変更装置において、前記所定の向きは、前記物品の長軸が前記第1の移動部材の移動方向と平行になる第2の向きであり、前記載置部材は、前記第1の揺動軸によって水平姿勢から上方に揺動することにより、前記物品を前記突出部の前記壁面に当接させ、前記物品の向きを前記第2の向きから長軸が前記第2の移動部材の移動方向と同方向となる第3の向きに変更する。
【0026】
これにより、同一の載置面上で物品の向きを短軸方向と長軸方向とに容易に変更でき、物品向き変更装置の設置スペースを低減できる。
【0027】
また、本発明の物品向き変更装置は、前記物品の短軸方向の長さ、長軸方向の長さおよび硬度を測定する測定部を有し、前記載置面上で前記第2の向きにある前記物品が前記第2の移動部材によって前記壁部に押し付けられたときに、前記測定部は、前記物品の短軸方向の長さを測定し、前記載置面上で前記第3の向きにある前記物品が前記第2の移動部材によって前記壁部に押し付けられたときに、前記測定部は、前記物品の長軸方向の長さと硬度とを測定するものである。
【0028】
この構成により、同一の載置面上で物品の短軸方向の長さと長軸方向の長さとを測定でき、物品の形状の測定時間を短縮できる。
【0029】
また、物品の長軸方向の長さを測定した後に、同一の載置面上で継続して物品の硬度を測定できるので、物品の形状と硬度とを同一の載置面で容易に測定でき、物品の形状と硬度の測定時間を短縮できる上に、物品向き変更装置の設置スペースを低減できる。
【0030】
また、本発明の物品向き変更装置において、前記突出部の前記壁面は、前記第2の移動部材の移動方向に沿って直線状に延在しているものである。
【0031】
この構成により、物品が第3の向きにある場合に、物品の長軸を突出部に沿って延在させることができる。このため、第2の移動部材により、物品を突出部に沿って平行に壁部まで移動させることができる。このため、物品が傾くことを防止して物品の向きを第3の向きに維持することができる。
【0032】
また、本発明の物品向き変更装置は、前記物品を排出する排出部を有し、前記載置部材が水平姿勢から下方に揺動したときに、前記載置面から前記排出部に物品が排出されるものである。
【0033】
この構成により、載置部材を水平姿勢から下方に揺動させるだけで載置面から排出部に物品を排出できる。これにより、物品の硬度測定時に破壊された物品を載置面から容易に、かつ、短時間で排除でき、載置面に新たな物品を搬送でき、物品の検査時間を大幅に短縮できる。これに加えて、排出部と載置部材とを同一平面上に設置でき、物品向き変更装置の設置面積を低減できる。
【0034】
また、本発明の物品向き変更装置は、前記突出部は、前記載置部材の平面視において回動自在に設けられている。
【0035】
これにより、載置部材が水平姿勢から上方に揺動した状態で突出部を回動させることにより、突出部によって物品の向きを第2の向きから第3の向きに確実に変更できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、1つの載置部材上において物品の向きを長軸方向と短軸方向に容易に変更できる簡素な構成の物品向き変更装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置を備えた物品検査装置の概略平面図である。
図2図2(a)は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置の概略平面図であり、図2(b)は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置の概略側面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置を備えた物品検査装置のシステム構成図である。
図4図4(a)から図4(e)は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置を備えた物品検査装置による錠剤の検査手順を示す図である。
図5図5(a)から図5(e)は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置による錠剤の検査手順を示す図であり、図5(a)から5(e)の左側は概略平面図を示し、右側は概略側面図を示す。
図6図6(a)は、本発明の一実施形態に係る他の形状の搬送部材を有する物品向き変更装置の概略平面図であり、図6(b)は、本発明の一実施形態に係る他の形状の搬送部材を有する物品向き変更装置の概略側面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置を備えた物品検査装置において、載置部材を第2の揺動軸回りに揺動させた状態を示す図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る物品向き変更装置の他の構成の載置部材を示す図であり、水平姿勢から上方に揺動した状態の載置部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る物品向き変更装置の構成について、図1から図8に基づいて説明する。
【0039】
図1において、一実施形態に係る物品検査装置1は、上流側物品搬送部2と下流側物品搬送部3とを備えており、下流側物品搬送部3には物品向き変更装置30が設置されている。すなわち、本実施形態の物品向き変更装置30は、物品検査装置1に備えられている。
【0040】
検査対象(向きの変更対象)である物品は、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。
【0041】
該当する物品としては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品として、長軸waと長軸waと直交する短軸wbとを有する非円形、例えば、楕円形の錠剤Wを例にとって説明する。本実施形態の錠剤Wは、物品を構成する。
【0042】
上流側物品搬送部2は、1錠ずつ切り出された錠剤Wを整列して直線状に搬送する。上流および下流とは、錠剤Wが搬送される方向に対して上流、下流を意味する。すなわち、上流側物品搬送部2に対して下流側物品搬送部3が下流側に位置し、下流側物品搬送部3に対して上流側物品搬送部2が上流側に位置する。
【0043】
上流側物品搬送部2は、複数の開口2aを有する載置部2Aと、載置部2Aに載置された錠剤Wを載置部2Aに沿って下流側物品搬送部3まで搬送する図示しない搬送部材とを備えている。
【0044】
上流側物品搬送部2において、載置部2A上を下流側物品搬送部3に向かって搬送される錠剤Wの切り屑は、載置部2Aの開口2aから落下される。
【0045】
下流側物品搬送部3には上流側物品搬送部2から搬送される錠剤Wが載置される載置部4が設けられており、載置部4は、直線状に延在している。
【0046】
載置部4の上方には複数(本実施形態では4個)の搬送部材5、25が設置されており、搬送部材5は、壁部1Aに取付けられている。
【0047】
物品検査装置1は、図示しない本体ケースを備えており、本体ケースは、上流側物品搬送部2と下流側物品搬送部3を搭載している。載置部4は、本体ケースの一部から構成されており、壁部1Aは、本体ケースに対して移動自在に設けられている。
【0048】
壁部1Aは、搬送部材5の移動方向Aと直交する方向Bで載置部4に隣接して設けられている。なお、搬送部材5の移動方向Aは、水平方向であり、搬送部材5の移動方向Aと直交する方向Bとは、移動方向Aに対して水平面内で直交する方向Bである。
【0049】
壁部1Aは、搬送部材5の移動方向Aに沿って直線状に延在するとともに、上下方向に延在している。搬送部材5は、載置部4の延在方向、すなわち、錠剤Wの搬送方向に対して等間隔となるように壁部1Aに取付けられており、本体ケースに対して壁部1Aと一体で移動する。
【0050】
また、載置部4に載置された錠剤Wが壁部1A側に移動した場合に、錠剤Wが壁部1Aに当接することにより、載置部4から落下することを防止できる。
【0051】
搬送部材5は、アクチュエータ21(図3参照)によって壁部1Aと一体で載置部4の延在方向に移動自在となっており、搬送部材5は、搬送方向Aの一方側(図示左側)と他方側(図示右側)とに一体で移動する。
【0052】
搬送部材5は、アクチュエータ21によって壁部1Aと一体で載置部4に近づく方向と載置部4から離れる方向に移動自在となっている。すなわち、搬送部材5は、載置部4に対して上下方向に移動自在となっている。本実施形態の搬送部材5は、第1の移動部材を構成する。
【0053】
下流側物品搬送部3は、搬送部材5の移動方向Aの上流から下流に向かって物品投入部6、秤量部7、物品排出部8、厚さ測定部9および直径・硬度測定部10が設置されている。なお、搬送部材5の移動方向Aと載置部4の延在方向と錠剤Wの搬送方向とは同方向である。
【0054】
物品投入部6は、載置部2Aの下流側に設置されており、物品投入部6には載置部2Aから錠剤Wが投入される。物品投入部6において載置部4には複数の開口4aが形成されており、錠剤Wの切り屑は、物品投入部6において開口2aから落下される。
【0055】
秤量部7は、物品投入部6の下流側に設置されている。秤量部7には秤量計7Aが設けられており、秤量計7Aは、図1の平面視(水平面内)で錠剤Wの大きさよりも大きい面積を有する。秤量計7Aは、秤量部7において錠剤Wの重量を測定し、測定結果を制御部20(図3参照)に送信する。
【0056】
物品排出部8は、秤量部7の下流側に設置されている。物品排出部8には排出台8Aが設けられている。排出台8Aは、図1の平面視で載置部4に載置される錠剤Wの大きさよりも大きい面積を有し、アクチュエータ22によって図示しない揺動軸を支点に揺動される。
【0057】
制御部20は、例えば、秤量計7Aによって測定された錠剤Wの重量が、錠剤Wの単体の重量よりも大きい場合に、秤量部7に錠剤Wが2個以上搬送されたものと判断し、秤量部7から物品排出部8に錠剤Wが搬送されたときにアクチュエータ22を作動する。これにより、排出台8Aが揺動軸を支点に揺動し、物品排出部8から錠剤Wが下方に排出される。
【0058】
制御部20は、例えば、秤量計7Aによって測定された錠剤Wの重量が、錠剤Wの単体の重量の平均値よりも大きい規定値以上である場合に秤量部7に錠剤Wが2個以上搬送されたものと判断する。
【0059】
制御部20は、錠剤Wの重量が錠剤Wの単体の重量の平均値よりも2倍程度の場合に秤量部7に錠剤Wが2個搬送されたものと判断し、錠剤Wの重量が錠剤Wの単体の重量の平均値よりも3倍程度の場合に秤量部7に錠剤Wが3個搬送されたものと判断する。
【0060】
厚さ測定部9は、物品排出部8の下流側に設置されている。厚さ測定部9は、錠剤Wの厚さを測定する測定器9Aを備えている。
【0061】
測定器9Aは、例えば、上方から錠剤Wに接触する接触面を有し、載置部4に対して上下方向に移動自在に設けられている。制御部20は、測定器9Aの接触面が基準位置から錠剤Wに接触するまでの測定器9Aのストローク量を測定し、そのストローク量から錠剤Wの厚さ(上下方向長さ)を測定する。
【0062】
制御部20は、いずれも図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0063】
直径・硬度測定部10は、厚さ測定部9の下流側に設置されている。図1図2に示すように、直径・硬度測定部10は、壁部1A、搬送部材5、フラップ11および押し付け部材12を備えている。
【0064】
本実施形態のフラップ11は、載置部材を構成し、押し付け部材12は、第2の移動部材を構成する。
【0065】
図2に示すように、フラップ11には錠剤Wが載置される載置面11aが設けられており、載置面11aは、平面に形成されている。フラップ11の一端部、すなわち、搬送部材5の移動方向Aにおけるフラップ11の一端部には突出部11Aが設けられており、突出部11Aは、載置面11aから上方に突出している。突出部11Aは、フラップ11が載置面11aに対して直角に突出している。
【0066】
フラップ11の一端部には揺動軸13が設けられており、揺動軸13は、フラップ11に固定されている。
【0067】
揺動軸13は、アクチュエータ23に支持されており、アクチュエータ23によって揺動軸13が軸線回りに回動されると、フラップ11が揺動軸13を支点に上下方向に揺動する。揺動軸13は、押し付け部材12の移動方向Bと同方向に延在している。
【0068】
アクチュエータ23としては、例えば、揺動軸13に接続されるタイミングベルトと、タイミングベルトを駆動するモータとから構成されてもよく、揺動軸13に設けられた歯車と、この歯車に接続された減速歯車と、減速歯車を介して揺動軸13の歯車を駆動するモータとから構成されてもよい。アクチュエータ23の構成はこれらに限定されるものでもない。
【0069】
搬送部材5は、突出部11Aのなす壁面11bに対向しており、突出部11Aに近づく方向と突出部11Aから離れる方向に移動自在に設けられている。搬送部材5は、突出部11Aに近づく方向(すなわち、移動方向A)に移動して錠剤Wをフラップ11の載置面11a上の所定位置に押し出す。
【0070】
突出部11Aのなす壁面11bとは、搬送部材5の移動方向Aで搬送部材5に対向する面であり、壁面11bは、押し付け部材12の移動方向Bに沿って直線状に延在している。
【0071】
押し付け部材12は、搬送部材5の移動方向Aと直交する方向B(以下、押し付け部材12の移動方向Bともいう)で壁部1Aに対向して設けられており、壁部1Aに近づく方向と壁部1Aから離れる方向に移動自在に設けられている。
【0072】
具体的には、押し付け部材12にはボールねじ14が螺合される図示しないねじ溝が形成されており、ボールねじ14は、ステッピングモータ15の出力軸に連結されている。
【0073】
ステッピングモータ15は、制御部20の指令に基づいてボールねじ14を回転させることにより、押し付け部材12を移動方向Bに移動させる。なお、タイミングベルトを介してステッピングモータ15をボールねじ14に接続し、ステッピングモータ15の動力がタイミングベルトを介してポールねじ14に伝達されるように構成してもよい。
【0074】
搬送部材5には溝部5Aが設けられている。溝部5Aは、搬送部材5の移動方向Aで突出部11Aの壁面11bに対向する搬送部材5の対向面5aに設けられており、錠剤Wの長軸waが搬送部材5の移動方向Aに対して傾斜する第1の向きを維持するように錠剤Wに接触する。
【0075】
具体的には、溝部5Aは、搬送部材5の平面視において、搬送部材5の対向面5aに対して突出部11Aから離れる方向に窪むV字形状に形成されており、搬送部材5の移動方向Aに対して45°の角度で傾斜するテーパ面5b、5cを有する。搬送部材5の移動方向Aに対するテーパ面5b、5cの傾斜角度は、45°に限定されるものではない。
【0076】
上流側物品搬送部2から物品投入部6に錠剤Wが投入された状態において、物品投入部6の載置部4上に搬送部材5が移動したときに、錠剤Wは、テーパ面5bまたはテーパ面5cに沿って溝部5Aに挿入される。
【0077】
図1図2に示すように、錠剤Wの搬送方向で3つの搬送部材5よりも下流側の搬送部材25にはテーパ面25Aが設けられている。
【0078】
テーパ面25Aは、搬送部材25の移動方向Aで突出部11Aの壁面11bに対向する搬送部材25の対向面に設けられており、錠剤Wの長軸waが搬送部材25の移動方向Aに対して傾斜する第1の向きとなるように錠剤Wに接触する。本実施形態のテーパ面25Aは、接触部を構成する。
【0079】
具体的には、テーパ面25Aは、搬送部材25の平面視において、搬送部材25の移動方向Aに対して40°の角度で傾斜している。搬送部材5の移動方向Aに対するテーパ面25Aの傾斜角度は、40°に限定されるものではない。
【0080】
錠剤Wの搬送方向で最下流の搬送部材25のテーパ面25Aに錠剤Wが接触すると、錠剤Wの向きは、搬送部材25の移動方向Aに対して約40°傾斜する第1の向きに変更され、搬送部材25が載置部4上で直径・硬度測定部10に搬送されるまで第1の向きが維持される。
【0081】
なお、搬送部材5の溝部5Aの傾斜角度とテーパ面25Aの傾斜角度は同一角度であってもよい。また、搬送部材5の溝部5Aの傾斜角度をテーパ面25Aの傾斜角度よりも大きくしたのは、搬送部材5の溝部5Aの傾斜角度を大きくすると、溝部5Aが深くなり、錠剤Wを容易に傾けて確実に保持できるからである。
【0082】
搬送部材25が直径・硬度測定部10に移動して錠剤Wがフラップ11の載置面11a上の所定位置に押し出されると、搬送部材25は、突出部11Aから離れる方向に移動する。
【0083】
押し付け部材12の接触面12aは、搬送部材25の移動方向Aと平行な平面に形成されており、接触面12aが錠剤Wに接触する。
【0084】
押し付け部材12は、壁部1Aに向かってフラップ11の載置面11a上を移動することにより、載置面11a上の所定位置で第1の向きにある錠剤Wの向きを、第1の向きから長軸waが搬送部材25の移動方向Aと平行になる第2の向きに変更し、第2の向きにある錠剤Wを壁部1Aに押し付ける。本実施形態の第2の向きは、所定の向きを構成する。
【0085】
搬送部材25と押し付け部材12がフラップ11の載置面11a上を移動する場合に、フラップ11は水平姿勢に位置決めされている。
【0086】
フラップ11が水平姿勢から揺動軸13を支点に上方に揺動すると、突出部11Aの壁面11bが上を向く。
【0087】
このとき、錠剤Wは自重によって載置面11aに沿って突出部11A側に移動し、突出部11Aに当接したときに、錠剤Wの向きが第2の向きから長軸waが押し付け部材12の移動方向Bの移動方向と同方向となる第3の向きに変更される。
【0088】
ここで、載置面11a上の所定位置とは、押し付け部材12がフラップ11の載置面11a上を移動したときに、接触面12aが錠剤Wに接触して錠剤Wを壁部1Aに向かって確実に移動させることができる位置であり、かつ、搬送部材25の移動方向Aにおいて突出部11Aの壁面11bから離れた位置である。
【0089】
すなわち、搬送部材25によって錠剤Wが突出部11Aの壁面11bに限りなく近づく位置、または壁面11bに当接する位置に押し出されると、フラップ11が水平姿勢から揺動軸13を支点に上方に揺動したときに、錠剤Wの向きが第2の向きから第3の向きに変更されないおそれがある。
【0090】
搬送部材25の移動方向Aにおいて、搬送部材25によって錠剤Wが突出部11Aの壁面11bから離れた位置に押し出されると、フラップ11が水平姿勢から揺動軸13を支点に上方に揺動したときに、錠剤Wが所定位置から突出部11Aの壁面11bに当接するまでの距離を長くでき、錠剤Wの向きを第2の向きから第3の向きに確実に変更できる。
【0091】
なお、載置面11a上の所定位置としては、押し付け部材12がフラップ11の載置面11a上を移動したときに、接触面12aが錠剤Wに接触して錠剤Wを壁部1Aに向かって確実に移動させることができる位置であってもよい。
【0092】
フラップ11が揺動軸13を支点に上方に揺動した状態から揺動軸13を支点に水平姿勢に揺動した状態において、押し付け部材12は、壁部1Aに向かってフラップ11の載置面11a上を移動することにより、載置面11a上で第3の向きにある錠剤Wを壁部1Aに押し付ける。
【0093】
押し付け部材12にはロードセル16が設けられている。押し付け部材12は、前側押し付け部材12Aと後側押し付け部材12Bとに分割されており、ロードセル16は、前側押し付け部材12Aと後側押し付け部材12Bの間に位置し、前側押し付け部材12Aと後側押し付け部材12Bに接続されている。
【0094】
後側押し付け部材12Bにはねじ溝が形成されており、ボールねじ14は、後側押し付け部材12Bのねじ溝に螺合されている。
【0095】
ステッピングモータ15がボールねじ14を回転させて後側押し付け部材12Bを壁部1A側に移動させ、前側押し付け部材12Aが錠剤Wを壁部1Aに押し付けると、前側押し付け部材12Aからロードセル16に押し付け力が伝達されることにより、ロードセル16が変位する。
【0096】
ロードセル16は、ロードセル16の変位量を押し付け力として電気信号に変換し、制御部20に信号を送信する。制御部20は、ロードセル16から送信された信号に基づいて錠剤Wの硬度(破壊強度)を測定する。
【0097】
また、制御部20は、ステッピングモータ15のパルス信号に基づいて、押し付け部材12が錠剤Wを壁部1Aに押し付けたときの錠剤Wの長軸waの方向(以下、長軸方向という)の長さと短軸wbの方向(以下、短軸方向という)の長さを測定する。本実施形態のロードセル16および制御部20は、測定部を構成する。
【0098】
図1図2に示すように、直径・硬度測定部10において、載置部4には排出孔10aが形成されており、排出孔10aは、平面視でフラップ11よりも大きい開口面積を有する。
【0099】
排出孔10aは、フラップ11が上下方向に揺動するときに載置部4に干渉することを防止するための孔と、錠剤Wの硬度測定時に破壊された錠剤Wを排出するための孔とを兼ねている。
【0100】
すなわち、フラップ11が水平姿勢から下方に揺動したときに、フラップ11の載置面11aから排出孔10aに錠剤Wが排出される。排出孔10aの下方には破壊された錠剤Wが収容される図示しない収容容器が設置されている。
【0101】
本実施形態の排出孔10aは、排出部を構成し、壁部1A、搬送部材25、フラップ11、押し付け部材12は、物品向き変更装置30を構成する。なお、搬送部材5に溝部5Aが形成されているが、最終的に錠剤Wの向きが搬送部材25によって変更されればよいので、搬送部材5に溝部5Aが形成されてなくてもよい。
【0102】
次に、図4図5を用いて錠剤Wの検査方法を説明する。なお、図4において、図4(a)のみに載置部4を示す。
まず、図4(a)に示すように、上流側物品搬送部2の載置部2Aから下流側物品搬送部3の物品投入部6に錠剤W1が投入されると、物品投入部6に投入された錠剤W1は、物品投入部6の載置部4上において直径・硬度測定部10に近づく方向に移動する搬送部材5の溝部5Aに挿入された後、秤量部7に搬送される(図4(b)参照)。
【0103】
このとき、錠剤W1は、テーパ面5cに沿って溝部5Aに挿入され、錠剤Wの向きが、搬送部材5の移動方向Aに対して約45°傾斜する第1の向きに変更され、第1の向きを維持した状態で秤量部7に搬送される。なお、錠剤W1は、第1の向きを維持した状態で直径・硬度測定部10まで搬送される。
【0104】
次いで、図4(b)に示すように、搬送部材5によって錠剤W1が秤量部7に搬送されると、秤量計7Aによって錠剤W1の重量が測定される。また、搬送部材5によって錠剤W1が秤量部7に搬送される間に上流側物品搬送部2から物品投入部6に次の検査対象の錠剤W2が投入される。
【0105】
次いで、搬送部材5、25が壁部1Aと一体でアクチュエータ21によって上方に移動された後、図4(c)に示すように、搬送部材5の移動方向Aで直径・硬度測定部10から離れる方向に移動される。これにより、載置部4に載置された錠剤W1、W2に搬送部材5が干渉しない。このため、錠剤W1の向きを第1の向きに確実に維持できる。
【0106】
次いで、アクチュエータによって搬送部材5、25が壁部1Aと一体で下方に移動された後、図4(d)に示すように、搬送部材5、25が直径・硬度測定部10に近づく方向に移動され、物品投入部6に投入された錠剤W2が搬送部材5の溝部5Aに挿入され、第1の向きに変更される。
【0107】
また、搬送部材5によって錠剤W2が秤量部7に搬送される間に上流側物品搬送部2から物品投入部6に次の検査対象の錠剤W3が投入されるとともに、錠剤W1が搬送部材5によって物品排出部8に搬送される。
【0108】
錠剤Wが物品排出部8に2個以上搬送された場合には、アクチュエータ22によって排出台8Aが揺動軸を支点に揺動されるので、物品排出部8から2個以上の錠剤Wが排出される。
【0109】
次いで、図4(c)、(d)の手順を行い、次の検査対象となる錠剤W4を上流側物品搬送部2から下流側物品搬送部3の物品投入部6に投入し、先に投入された錠剤W1を搬送部材5によって厚さ測定部9に搬送し、測定器9Aによって錠剤W1の厚さを測定する(図4(e)参照)。
【0110】
以後、図4(c)、(d)の手順を繰り返して物品Wを搬送部材5によって厚さ測定部9に搬送する。
【0111】
図4(e)において、厚さ測定部9によって錠剤W1の厚さが測定されると、図5(a)に示すように、錠剤W1は、搬送部材25のテーパ面25Aに接触し、第1の向きを維持した状態で搬送部材25によって直径・硬度測定部10に搬送される。
【0112】
直径・硬度測定部10において、錠剤W1は、搬送部材25によってフラップ11の載置面11aに搬送され、第1の向きを維持した状態で載置面11a上の所定位置に押し出される。
【0113】
次いで、図5(b)に示すように、搬送部材25が突出部11Aから離れる方向に移動され、搬送部材25がフラップ11の載置面11aから離れると、ステッピングモータ15によって押し付け部材12が壁部1Aに近づく方向に移動される。
【0114】
押し付け部材12が壁部1Aに近づく方向に移動されると、載置面11a上の所定位置で第1の向きにある錠剤W1が押し付け部材12の接触面12aに押され、壁部1Aに向かって移動される。接触面12aは、図5(a)のみに示す。
【0115】
錠剤W1は、押し付け部材12によって壁部1Aに向かって移動される間に第1の向きから第2の向きに変更され、長軸waが搬送部材25の移動方向Aと同方向に向く。この状態で錠剤W1は、押し付け部材12によって壁部1Aに押し付けられる。
【0116】
錠剤Wが壁部1Aに押し付けられると、ロードセル16から制御部20に押し付け力に応じた信号が送信される。制御部20は、この信号が入力されるタイミングで基準位置から押し付け部材12の接触面12aが錠剤W1に接触するまでのステッピングモータ15のパルス数P1(押し付け部材12の移動量)を算出する。
【0117】
押し付け部材12の接触面12aが基準位置から壁部1Aに接触するまでのステッピングモータ15のパルス数P2は予め決まっている。このため、制御部20は、P2-P1を算出することにより、錠剤W1の短軸方向の長さを測定する。
【0118】
錠剤W1の短軸方向の長さの測定が終了すると、ステッピングモータ15によって押し付け部材12が壁部1Aから離れる方向に移動される。押し付け部材12がフラップ11の載置面11aから離れると、アクチュエータ23によって揺動軸13が回動され、揺動軸13を支点にしてフラップ11が水平姿勢から上方に揺動される(図5(c)参照)。
【0119】
これにより、錠剤W1が自重によって突出部11Aに向かって移動し、突出部11Aの壁面11bに当接する。このとき、錠剤W1の向きが第2の向きから第3の向きに変更され、長軸方向が押し付け部材12の移動方向Bと同方向となる。
【0120】
次いで、アクチュエータ23によって揺動軸13が回動され、揺動軸13を支点にしてフラップ11が水平姿勢に揺動される。
【0121】
次いで、ステッピングモータ15によって押し付け部材12が壁部1Aに近づく方向に移動される。このとき、押し付け部材12の接触面12aが載置面11a上で第3の向きにある錠剤W1に接触することにより、錠剤W1が突出部11Aの壁面11bに沿って壁部1Aに向かって移動され、第3の向きを維持した状態の錠剤W1が壁部1Aに押し付けられる(図5(d)参照)。
【0122】
錠剤W1が壁部1Aに押し付けられると、制御部20にロードセル16から押し付け力に応じた信号が送信される。制御部20は、この信号が入力されるタイミングで基準位置から押し付け部材12の接触面12aが錠剤W1に接触するまでのステッピングモータ15のパルス数P3(押し付け部材12の移動量)を算出する。
【0123】
制御部20は、P2-P3を算出することにより、錠剤W1の長軸方向の長さを測定する。次いで、制御部20は、ステッピングモータ15を駆動することにより、押し付け部材12を壁部1A側にさらに移動させ、錠剤W1を壁部1Aに強く押し付ける。
【0124】
押し付け部材12の押し付け力を強くすると、ロードセル16の出力信号が大きくなる。押し付け部材12の押し付け力がさらに強くなり錠剤W1が破壊されると、破壊された瞬間を境にロードセル16の出力信号が小さくなる。
【0125】
制御部20は、ロードセル16の出力信号のピーク値を錠剤W1の硬度(破壊強度)と判断する。錠剤W1が破壊される瞬間のピーク値は非常に急峻な場合があるので、制御部20は、錠剤Wの硬度に応じた適切なサンプリングレートを設定する。
【0126】
また、錠剤W1の長軸方向の硬度を測定するのは、短軸方向に対して長軸方向の硬度が低いからである。すなわち、錠剤W1が破壊され易いからである。
【0127】
錠剤W1の硬度の測定が終了すると、アクチュエータ23によって揺動軸13が回動され、揺動軸13を支点にしてフラップ11が水平姿勢から下方に揺動される(図5(e)参照)。
【0128】
これにより、破壊された錠剤W1が排出孔10aから落下され、フラップ11の載置面11aから排除される。以後、厚さ測定部9から搬送される錠剤W2、W3、W4に対して、図5(a)から図5(e)の手順を繰り返す。なお、錠剤W4以降の錠剤Wに対しても同様である。
【0129】
ここで、錠剤Wの搬送方向で最下流の搬送部材25にテーパ面25Aを形成したのは、上流側の搬送部材5にテーパ面25Aと同一形状を有するテーパ面を形成すると、テーパ面に錠剤Wを接触させて錠剤Wを搬送したとき、錠剤Wを上流側の搬送部材5から下流側の搬送部材5で順次搬送する度に、錠剤Wがテーパ面に沿って外方(壁部1Aから離れる方向)に移動するおそれがあるためである。
【0130】
本実施形態の物品向き変更装置30は、錠剤Wの搬送方向で搬送部材25よりも上流側において、搬送部材5によって錠剤Wを搬送するときに、錠剤Wの長軸方向の先端を搬送部材5のテーパ面5bに接触させることにより、錠剤Wが外方に移動することを防止できる。
【0131】
以上、本実施形態の物品向き変更装置30は、長軸waおよび短軸wbを有する非円形の錠剤Wが載置される載置面11aと、載置面11aから上方に突出する突出部11Aとを有し、揺動軸13を支点に上下方向に揺動自在に設けられたフラップ11と、突出部11Aのなす壁面11bに対向して突出部11Aに近づく方向と突出部11Aから離れる方向に移動自在に設けられ、突出部11Aに近づく方向に移動して錠剤Wを載置面11a上の所定位置に押し出す搬送部材25とを備えている。
【0132】
また、物品向き変更装置30は、搬送部材25の移動方向Aと直交する方向Bでフラップ11に隣接して設けられた壁部1Aと、搬送部材25の移動方向Aと直交する方向Bで壁部1Aに対向して壁部1Aに近づく方向と壁部1Aから離れる方向に移動自在に設けられ、壁部1Aに近づく方向に移動して錠剤Wを壁部1Aに押し付ける押し付け部材12とを備えている。
【0133】
搬送部材25の移動方向Aで突出部11Aの壁面11bに対向する搬送部材25の対向面に、錠剤Wの長軸waが搬送部材25の移動方向Aに対して傾斜する第1の向きとなるように錠剤Wに接触するテーパ面25Aが設けられており、搬送部材25は、錠剤Wが第1の向きを維持した状態で錠剤Wを載置面11aに搬送して錠剤Wを所定位置に押し出す。
【0134】
これに加えて、押し付け部材12は、壁部1Aに近づく方向に移動して載置面11a上の所定位置に押し出された錠剤Wの向きを第1の向きから第2の向きに変更する。
【0135】
これにより、搬送部材25によって長軸waが搬送部材25の移動方向Aに対して傾斜する第1の向きを維持した状態で錠剤Wを載置面11aに搬送した後、押し付け部材12を壁部1Aに近づく方向に移動させて押し付け部材12を錠剤Wに接触させることにより、錠剤Wの向きを第1の向きから第2の向きに容易に変更できる。
【0136】
次いで、揺動軸13を支点にしてフラップ11を上方に揺動させ、自重により錠剤Wを載置面11aに沿って突出部11Aに移動させて突出部11Aに接触させることにより、錠剤Wの向きを第2の向きから第3の向きに容易に変更できる。
【0137】
このように、壁部1A、フラップ11、搬送部材25および押し付け部材12からなる簡素な構成の物品向き変更装置30により、載置面11a上で錠剤Wの向きを第1の向き、第2の向きおよび第3の向きに容易に変更できる。
【0138】
また、本実施形態の物品向き変更装置30によれば、搬送部材25が載置面11aから離れた状態において、押し付け部材12は、載置面11a上の所定位置で第1の向きにある錠剤Wを壁部1Aに向かって移動させることにより、錠剤Wの向きを第1の向きから第2の向きに変更する。
【0139】
次いで、押し付け部材12が載置面11aから離れた状態において、フラップ11が水平姿勢から上方に揺動することにより、錠剤Wを突出部11Aの壁面11bに当接させ、錠剤Wの向きを第2の向きから長軸waが押し付け部材12の移動方向Bと同方向となる第3の向きに変更する。
【0140】
これにより、同一の載置面11a上で錠剤Wの向きを短軸方向と長軸方向とに容易に変更でき、物品向き変更装置30の設置スペースを低減できる。
【0141】
また、本実施形態の物品向き変更装置30によれば、錠剤Wの短軸方向の長さ、長軸方向の長さおよび硬度を測定するロードセル16および制御部20を有する。
【0142】
載置面11a上で第2の向きにある錠剤Wが押し付け部材12によって壁部1Aに押し付けられたときに、制御部20は、ステッピングモータ15の出力パルス数に基づいて錠剤Wの短軸方向の長さを測定する。
【0143】
また、制御部20は、載置面11a上で第3の向きにある錠剤Wが押し付け部材12によって壁部1Aに押し付けられたときに、ステッピングモータ15の出力パルス数とロードセル16から送信された押し付け力に応じた信号に基づいて錠剤Wの長軸方向の長さと硬度とを測定する。
【0144】
これにより、同一の載置面11a上で錠剤Wの短軸方向の長さと長軸方向の長さとを測定でき、錠剤Wの形状の測定時間を短縮できる。なお、錠剤Wの硬度を測定する測定部としては、ロードセル16に限定されるものではい。
【0145】
また、錠剤Wの長軸方向の長さを測定した後に、同一の載置面11a上で継続して錠剤Wの硬度を測定できるので、錠剤Wの形状と硬度とを同一の載置面11aで容易に測定でき、錠剤Wの形状と硬度の測定時間を短縮できる上に、物品向き変更装置30の設置スペースを低減できる。
【0146】
また、本実施形態の物品向き変更装置30において、突出部11Aは、押し付け部材12の移動方向Bに沿って直線状に延在している。
【0147】
これにより、錠剤Wが第3の向きにある場合に、錠剤Wの長軸waを突出部11Aに沿って延在させることができる。このため、押し付け部材12により、錠剤Wを突出部11Aに沿って平行に壁部1Aまで移動させることができる。このため、錠剤Wが傾くことを防止して錠剤Wの向きを第3の向きに維持することができる。
【0148】
また、本実施形態の物品向き変更装置30によれば、錠剤Wを排出する排出孔10aを有し、フラップ11が水平姿勢から下方に揺動したときに、載置面11aから排出孔10aに錠剤Wが排出される。
【0149】
これにより、フラップ11を水平姿勢から下方に揺動させるだけで載置面11aから錠剤Wを排出できる。このため、錠剤Wの硬度測定時に破壊された錠剤Wを載置面11aから容易に、かつ、短時間で排除でき、載置面11aに新たな錠剤Wを搬送できる。
【0150】
この結果、錠剤Wの物品の検査時間を大幅に短縮できる。これに加えて、排出孔10aとフラップ11とを同一平面上に設置でき、物品向き変更装置30の設置面積をより効果的に低減できる。
【0151】
本実施形態の物品検査装置1は、非円形の錠剤Wの直径と硬度を測定しているが、物品検査装置1によって円形の錠剤の直径と硬度を測定してもよい。この場合には、例えば、図5(a)、(b)、(e)の手順を繰り返すことにより、円形の錠剤の直径と硬度を測定した後、錠剤を直径・硬度測定部10から排出すればよい。
【0152】
また、物品検査装置1を、円形の錠剤のように向きの変更が不要な錠剤を検査する装置として用いる場合には、下流側物品搬送部3から直径・硬度測定部10を廃止し、直径・硬度測定部10の位置に錠剤を排出する排出部を設ければよい。
【0153】
また、本実施形態の物品向き変更装置30において、図6に示すように、搬送部材25を搬送部材5に置き換えてもよい。具体的には、搬送部材5の平面視において、搬送部材5の移動方向Aで突出部11Aの壁面11bに対向する搬送部材5の対向面5aに、突出部11Aから離れる方向に窪むV字形状の溝部5Aが形成されている。
【0154】
溝部5Aは、搬送部材5の移動方向Aに対して傾斜するテーパ面5b、5cを有する。本実施形態の溝部5Aは、接触部を構成する。
【0155】
このように構成しても、搬送部材5の溝部5Aに錠剤Wを接触させたときに、錠剤Wの向きを、長軸waが搬送部材5の移動方向Aに対して傾斜する第1の向きに維持できる。
【0156】
すなわち、溝部5Aは、搬送部材5の移動方向Aに対して傾斜するテーパ面5b、5cを有するので、溝部5Aによって錠剤Wを支持したときに、錠剤Wをテーパ面5bまたはテーパ面5cに沿って接触させることにより、錠剤Wの向きを、長軸waが搬送部材5の移動方向Aに対して傾斜する第1の向きに維持できる。
【0157】
また、本実施形態の物品検査装置1において、図7に示すように、フラップ11の平面視において、揺動軸13と直交する揺動軸27を支点にしてフラップ11を揺動軸27回りに揺動自在に設けてもよい。
【0158】
揺動軸27は、搬送部材5の移動方向Aと同方向に延在しており、例えば、図示しないモータのモータ軸から構成されている。本実施形態の揺動軸13は、第1の揺動軸を構成し、揺動軸27は、第2の揺動軸を構成する。
【0159】
このようにすれば、揺動軸27を支点にして、フラップ11を壁部1Aの方向に揺動させたとき、すなわち、フラップ11の壁部1A側が下方となるようにフラップ11を揺動させたときに、錠剤Wを壁部1Aに接触させることにより、錠剤Wの向きを第1の向きから第2の向きに容易に変更できる。
【0160】
このため、図5(b)の工程において、押し付け部材12を壁部1Aに近づく方向に移動させて押し付け部材12を錠剤Wに接触させるときには、錠剤Wの向きを第2の向きに確実に維持できる。
【0161】
すなわち、図5(a)の工程と同じ工程において、錠剤Wが搬送部材5の溝部5Aに保持されて直径・硬度測定部10に搬送されたときに、何らかの原因により、錠剤Wが第1の向きとならずに、錠剤Wの長軸waが押し付け部材12の移動方向Bと同方向となった場合に(図7の錠剤W11参照)、揺動軸27を支点にしてフラップ11の壁部1A側が下方となるようにフラップ11を揺動させる。
【0162】
このとき、錠剤Wを壁部1Aに接触させることにより、錠剤Wの向きを第1の向きから第2の向きに容易に変更できる(図7の錠剤W12参照)。このため、錠剤Wの短軸方向の長さを確実に測定できる。
【0163】
なお、揺動軸27を支点にしてフラップ11の壁部1A側が下方となるようにフラップ11を揺動させたときに、突出部11Aが壁部1Aに引っ掛かることを防止するために、壁部1Aに突出部11Aの逃げ溝1Bが形成されている。
【0164】
また、並行してフラップ11を図示しないアクチュエータによって振動させてもよい。このようにすれば、錠剤Wの向きを第1の向きから第2の向きにより一層容易に変更できる。
【0165】
また、揺動軸27を支点にしてフラップ11を揺動軸27回りに揺動自在に設けた場合には、搬送部材5(または搬送部材25、以下同じ)の 溝部5A(またはテーパ面25A、以下同じ)を廃止してもよい。
【0166】
すなわち、溝部5Aが形成されていない搬送部材5によって錠剤Wが載置面11a上に押し出されたときに、載置面11aに押し出された錠剤Wの向きは、長軸waが搬送部材5の移動方向Aに対して傾斜する向きになるとは限らず、つまりは、不定の向きとなる。
【0167】
本実施形態の揺動軸13と揺動軸27とを有するフラップ11においては、揺動軸27によって揺動されることにより、錠剤Wの向きを不定の向きである第1´の向きから第2の向きに変更できるとともに、揺動軸13によって揺動されることにより、第2の向きから第3の向きに変更できる。
【0168】
なお、溝部5Aが形成されている搬送部材5により、揺動軸13が設置されるフラップ11の載置面11aに錠剤Wが押し出される場合には、第1の向きとなり、この第1の向きは、錠剤Wの長軸waが搬送部材5の移動方向Aに対して傾斜する向きである。
【0169】
また、溝部5Aが形成されていない搬送部材5によって揺動軸13と揺動軸27が設置されるフラップ11の載置面11aに錠剤Wが押し出される場合には、第1´の向きとなり、この第1´の向きは、不定の向きである複数の異なる向きとなる。
【0170】
このように本実施形態の物品向き変更装置30は、揺動軸13を支点に上下方向に揺動自在に設けられるとともに、揺動軸13と直交する揺動軸27を支点に揺動軸27回りに揺動自在に設けられたフラップ11を備えており、第1の搬送部材5は、錠剤Wの向きが不定となる第1´の向きで錠剤を載置面11a上の所定位置に押し出し、第1の搬送部材5によって載置面11a上に錠剤Wが搬送されたときに、フラップ11は、揺動軸27を支点に壁部1Aの方向に揺動して錠剤Wを壁部1Aに当接させることにより、錠剤Wの向きを第1´の向きから第2の向きに変更する。
【0171】
このようにしても、壁部1A、フラップ11、搬送部材25および押し付け部材12からなる簡素な構成の物品向き変更装置30により、載置面11a上で錠剤Wの向きを第1´の向き、第2の向きおよび第3の向きに容易に変更できる。
【0172】
また、フラップ11の平面視において、突出部11Aをフラップ11の載置面11aに対して回動自在に設けてもよい。すなわち、図8に示すように、突出部11Aをフラップ11と別体に設け、フラップ11の平面視において突出部11Aをフラップ11に対して回動軸13aを支点に回動自在としてもよい。
【0173】
このようにすれば、図5(c)において、フラップ11が水平姿勢から上方に揺動した状態で回動軸13aを支点にして突出部11Aを回動させることにより、突出部11Aによって錠剤Wの向きを第2の向きから第3の向きに確実に変更できる。
【0174】
また、並行してフラップ11を図示しないアクチュエータによって振動させてもよい。このようにすれば、錠剤Wの向きを第2の向きから第3の向きにより一層容易に変更できる。
【0175】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0176】
1A 壁部
5 搬送部材(第1の移動部材)
5A 溝部(接触部)
5a 対向面
10a 排出孔(排出部)
11 フラップ(載置部材)
11A 突出部
11a 載置面
11b 壁面
12 押し付け部材(第2の移動部材)
13 揺動軸(第1の揺動軸)
16 ロードセル(測定部)
20 制御部(測定部)
25 搬送部材(第1の移動部材)
25A テーパ面(接触部)
27 揺動軸(第2の揺動軸)
30 物品向き変更装置
W 錠剤(物品)
wa 長軸
wb 短軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8