(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】遮光ケース
(51)【国際特許分類】
F21V 15/01 20060101AFI20240730BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240730BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240730BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240730BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20240730BHJP
B41F 23/04 20060101ALI20240730BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240730BHJP
【FI】
F21V15/01 340
F21S2/00 377
F21S2/00 375
F21V29/503
F21V29/76
F21V29/67 200
B41F23/04 B
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022065191
(22)【出願日】2022-04-11
(62)【分割の表示】P 2017182473の分割
【原出願日】2017-09-22
【審査請求日】2022-04-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【氏名又は名称】荒井 寿王
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】村山 恭一
(72)【発明者】
【氏名】梅野 圭太
(72)【発明者】
【氏名】柏原 裕也
(72)【発明者】
【氏名】松井 良太郎
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-215647(JP,A)
【文献】特開2015-195133(JP,A)
【文献】特開平03-278831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0063832(US,A1)
【文献】特開2012-024993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 15/01
F21S 2/00
F21V 29/00
F21Y 115/10
B41F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に長尺状の筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記所定方向に沿って並ぶ複数の発光素子と、
前記筐体内に配置され、前記発光素子と熱的に接続された1又は複数の放熱部材と、を備え、
前記筐体における前記所定方向の一方側の一端部には、外部から前記筐体内にエアを吸い込む第1吸気口が設けられ、
前記筐体における前記所定方向の他方側の他端部には、前記筐体内から外部へエアを排出する排気口が設けられている光源装置において、前記筐体に取り付けられた遮光ケースであって、
前記光源装置の光を前記光源装置外に漏れないように遮光し、
前記遮光ケースの内部には、前記発光素子の光が照射される被照射物が通過する通過領域は形成されず、
前記遮光ケースの内部では、エアが所定方向に流通し、
前記筐体内には、前記所定方向の他方側が前記放熱部材に面する空間が形成され、
前記筐体における前記第1吸気口と前記排気口との間の側面には、外部から前記空間にエアを吸い込む第2吸気口が設けられ、
前記第2吸気口は、前記筐体において、前記発光素子が光を出射する側以外に設けられ、
前記第2吸気口が面する空間は、前記筐体内における前記放熱部材が配置される領域において、前記放熱部材が形成されていない部分であり、
前記筐体は、前記第1吸気口と前記排気口との間の外側壁と、当該外側壁の内側の内側壁と、を有し、
前記筐体における前記外側壁と前記内側壁との間には、前記第1吸気口から吸い込んだエアを前記所定方向に沿って流通させる壁内空間が形成され、
前記第2吸気口は、前記空間に連通しつつ前記壁内空間には非連通となるように設けられている
、遮光ケース。
【請求項2】
所定方向に長尺状の筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記所定方向に沿って並ぶ複数の発光素子と、
前記筐体内に配置され、前記発光素子と熱的に接続された1又は複数の放熱部材と、を備え、
前記筐体における前記所定方向の一方側の一端部には、外部から前記筐体内にエアを吸い込む第1吸気口が設けられ、
前記筐体における前記所定方向の他方側の他端部には、前記筐体内から外部へエアを排出する排気口が設けられている光源装置において、前記筐体に取り付けられた遮光ケースであって、
前記光源装置の光を前記光源装置外に漏れないように遮光し、
前記遮光ケースの内部には、前記発光素子の光が照射される被照射物が通過する通過領域は形成されず、
前記遮光ケースの内部では、エアが所定方向に流通し、
前記筐体の内部では、エアが前記所定方向の一方側から他方側へ向かって流れ、
前記遮光ケースの内部では、エアが前記所定方向の他方側から一方側へ向かって流れる
、遮光ケース。
【請求項3】
前記筐体には、前記発光素子からの光を透過させる光照射窓が設けられ、
前記遮光ケースは、前記光照射窓を遮光するように前記筐体に取り付けられ、
前記遮光ケースの前記光照射窓側の面には、前記発光素子の光が照射される被照射物が通過する前記通過領域が形成されている、請求項1又は2に記載の遮光ケース。
【請求項4】
前記筐体に着脱可能に取り付けられている、請求項1又は2に記載の遮光ケース。
【請求項5】
前記遮光ケースの内部が、ファンのエアの出口側と連通し、
前記遮光ケースの内部では、前記ファンにより吸い込まれて圧送されたエアが所定方向に流通し、当該エアにより前記遮光ケースの前記光照射窓側が冷却される、請求項3に記載の遮光ケース。
【請求項6】
前記遮光ケースの内部において前記所定方向に流通したエアは、遮光ケース排気口から前記筐体に流入して、前記筐体の内部で前記第1吸気口から吸い込まれたエアと合流する、請求項5に記載の遮光ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定方向に長尺状の筐体内に、所定方向に沿って並ぶ複数の発光素子を有する光源装置が知られている。上記の光源装置では、筐体における所定方向の一端部側と他端部側に吸気口及び排気口を設け、複数の発光素子を冷却する場合がある。しかしこの場合、一端部側の発光素子が他端部側の発光素子よりも冷却されることから、複数の発光素子の光出力の均一化はできない。また、上記の光源装置では、筐体における一端部側と他端部側の間の側面に吸気口を設けると共に、筐体の他端部側に排気口を設け、複数の発光素子を冷却する場合がある。しかしこの場合、他端部側の発光素子が他端部側より一端部側の発光素子よりも冷却されることから、複数の発光素子の光出力の均一化はできない。
【0003】
上記の光源装置において複数の発光素子を均一に冷却することに関する技術として、例えば特許文献1,2に記載された装置が知られている。特許文献1に記載されたLED照明装置では、複数のLEDを装着したLED装着基板が放熱ブロックに搭載され、LEDの熱が放熱ブロックにより放熱されている。特許文献1に記載されたLED照明装置では、放熱ブロックの一端側から他端側へ冷媒が通過する第1流路と、放熱ブロックの他端側から一端側へ冷媒が通過する第2流路と、が設けられている。これにより、複数の発光素子の冷却が行われる。
【0004】
特許文献2に記載されたLEDユニットでは、長手方向に沿って冷媒を流す流路を内部に有する放熱部材に、複数のLEDが実装されている。特許文献1に記載されたLEDユニットでは、長手方向の中央部から冷媒が流路に導入され、当該流路は、長手方向の中央部から一端部へ冷媒が流れる流路と、長手方向の中央部から他端部へ冷媒が流れる流路と、により構成される。これにより、複数の発光素子の冷却が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-165509号公報
【文献】特開2012-074422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術では、光源装置において出射される光を遮光することが望まれる場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、光源装置において出射される光を遮光できる遮光ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る遮光ケースは、所定方向に長尺状の筐体と、筐体内に配置され、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の発光素子と、筐体内に配置され、発光素子と熱的に接続された1又は複数の放熱部材と、を備え、筐体における所定方向の一方側の一端部には、外部から筐体内にエアを吸い込む第1吸気口が設けられ、筐体における所定方向の他方側の他端部には、筐体内から外部へエアを排出する排気口が設けられている光源装置において、筐体に取り付けられた遮光ケースであって、光源装置の光を光源装置外に漏れないように遮光する。本発明に係る遮光ケースによれば、光源装置において出射される光を遮光することが可能となる。
【0009】
本発明の一態様では、筐体には、発光素子からの光を透過させる光照射窓が設けられ、遮光ケースは、光照射窓を遮光するように筐体に取り付けられ、遮光ケースの光照射窓側の面には、発光素子の光が照射される被照射物が通過する通過領域が形成されていてもよい。
【0010】
本発明の一態様では、遮光ケースは、筐体に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0011】
本発明の一態様では、遮光ケースの内部が、ファンのエアの出口側と連通し、遮光ケースの内部では、ファンにより吸い込まれて圧送されたエアが所定方向に流通し、当該エアにより遮光ケースの光照射窓側が冷却されてもよい。
【0012】
本発明の一態様では、遮光ケースの内部において所定方向に流通したエアは、遮光ケース排気口から筐体に流入して、筐体の内部で第1吸気口から吸い込まれたエアと合流してもよい。
【0013】
本発明の一態様では、筐体内には、所定方向の他方側が放熱部材に面する空間が形成され、筐体における第1吸気口と排気口との間の側面には、外部から空間にエアを吸い込む第2吸気口が設けられていてもよい。
【0014】
本発明の一態様では、第2吸気口は、筐体において、発光素子が光を出射する側以外に設けられ、第2吸気口が面する空間は、筐体内における放熱部材が配置される領域において、放熱部材が形成されていない部分であってもよい。
【0015】
本発明の一態様では、筐体は、第1吸気口と排気口との間の外側壁と、当該外側壁の内側の内側壁と、を有し、筐体における外側壁と内側壁との間には、第1吸気口から吸い込んだエアを所定方向に沿って流通させる壁内空間が形成され、第2吸気口は、空間に連通しつつ壁内空間には非連通となるように設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光源装置において出射される光を遮光できる遮光ケースを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る光源装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1の光源装置におけるエアの流れを示す斜視図である。
【
図4】
図1の光源装置におけるエアの流れを示す縦断面図である。
【
図5】
図1の光源装置におけるエアの流れを示す横断面図である。
【
図6】
図1の光源装置のヒートシンクを示す斜視図である。
【
図7】第2吸気口の周辺におけるエアの流れのシミュレーション結果を示す斜視図である。
【
図8】筐体の温度分布のシミュレーション結果を示す断面図である。
【
図9】(a)は第1変形例に係る光源装置を示す拡大断面図である。(b)は第2変形例に係る光源装置を示す拡大断面図である。
【
図10】第3変形例に係る光源装置を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1及び
図2に示されるように、光源装置100は、例えば印刷用途向けの高出力の空冷LED光源である。光源装置100は、例えばUV印刷装置(UVプリンタ)に搭載される長尺状の光源ユニットとして用いることができる。光源装置100は、紫外光等の光を照射し、例えばインク乾燥等を行う。光源装置100は、筐体10、複数のLED基板30、支持ブロック40、複数のヒートシンク50、一対の駆動回路60、輻流ファン70及び遮光ケース80を備える。
【0020】
なお、説明の便宜上、筐体10の長手方向(所定方向)を「X方向」とし、LED基板30のLED素子31の光出射方向であってX方向と垂直な方向を「Y方向」とし、光源装置100の幅方向であってX方向及びY方向に直交する方向を「Z方向」として説明する。また、LED素子31が光を出射する側を「下側」とし、その反対側を「上側」として説明する。
【0021】
筐体10は、X方向に長尺状の矩形箱体である。筐体10は、金属で形成されている。筐体10は、LED基板30、支持ブロック40、ヒートシンク50、駆動回路60、を収容する。
【0022】
筐体10におけるX方向の一方側の一端面(一端部)10aには、外部から筐体10内にエアを吸い込む第1吸気口11が設けられている。第1吸気口11は、X方向外側に開口するように形成されている。第1吸気口11には、例えばウレタン等で形成されたフィルタ11aが取り付けられている。一端面10aには、筐体10を掴むための把持部12が設けられている。
【0023】
筐体10におけるX方向の他方側の他端面(他端部)10bには、筐体10内から外部へエアを排出する排気口13が設けられている。排気口13には、エアを吸引する送風機91が、蛇腹を有するパイプ92を介して接続されている。これにより、筐体10内では、X方向における一方側が他方側よりもエアの圧力が高くなっており、X方向における一方側から他方側に向かってエアが流通する。以下では、X方向の一方側を「上流側」ともいい、X方向の他方側を「下流側」ともいう。
【0024】
図2~
図6に示されるように、筐体10は、本体部15と、本体部15の下流側の下流部25と、を有する。本体部15は、X方向に長尺状の直方体外形を呈する。本体部15の上流側の端面は、上述の一端面10aである。本体部15内には、LED基板30、支持ブロック40及びヒートシンク50が配置されている。本体部15の下面(下側の側面)における上流部には、遮光ケース80の後述する遮光ケース排気口82と連通する連通口16が形成されている。連通口16には、複数のスリットが形成された蓋部17が取り付けられている。本体部15内における下流部には、エアの流れを緩衝するための緩衝空間であるバッファ部19が設けられている。
【0025】
本体部15は、下側の側壁部20と、上側の側壁部21と、これらの側壁部20,21に連続し且つZ方向に対向する一対の側壁部22,23と、を含む。下側の側壁部20には、LED基板30からの光を透過させる光照射窓18が設けられている。上側の側壁部21と、Z方向に互いに対向する一対の側壁部22,23とは、二重壁構造とされている。側壁部21は、外側壁21oと内側壁21iとを有する。側壁部22は、外側壁22oと内側壁22iとを有する。側壁部23は、外側壁23oと内側壁23iとを有する。
【0026】
外側壁21o,22o,23oは、本体部15(第1吸気口11と排気口13との間)の外囲を構成する平板状の壁体である。外側壁21oは、外側壁22o,23oに直交して連なるように設けられている。内側壁21i,22i,23iのそれぞれは、外側壁21o,22o,23oそれぞれの内側に配置された平板板の壁体である。内側壁21iは、内側壁22i,23iに直交して連なるように設けられている。内側壁21i,22i,23iは、X方向において、第1吸気口11に対して所定長下流側に離れた位置からバッファ部19まで延在している。内側壁22i,23iの下端は、外側壁22o,23oのY方向における中央付近に位置している。
【0027】
外側壁21o,22o,23oと内側壁21i,22i,23iとの間には、第1吸気口11及び連通口16から吸い込んだエアをX方向に沿って流通させる壁内空間24が形成されている。壁内空間24は、
図5に示される状態で逆U字状の縦断面を有する。外側壁22o,23oと内側壁22i,23iとの間は、内側壁22i,23iの下端で閉じられている。このような壁内空間24は、その上流側及び下流側で筐体10内と連通し、下側は閉塞されている。
【0028】
下流部25は、本体部15よりも上側が突出する直方体外形を呈する。下流部25は、本体部15に連なるように設けられている。下流部25の下流側の端面は、上述の他端面10bである。下流部25内は、XZ平面に沿う平板状の仕切り板26により配線収容空間27と通気空間28とに仕切られている。配線収容空間27は、下流部25内における仕切り板26よりも上側の空間であって、下流部25内の上部に区画(画成)されている。
配線収容空間27には、配線C1がまとめられて収容されている。通気空間28は、エアが流通する空間であって、本体部15内に連通すると共に排気口13に連通する。通気空間28は、下流部25内における仕切り板26よりも下側の空間である。通気空間28内には、一対の駆動回路60が配置されている。
【0029】
LED基板30は、所定回路を構成する矩形板状の基板と、この基板上においてX方向及びY方向に所定ピッチで並設された発光素子であるLED素子31と、を含む。LED素子31は、紫外光等の光を下方へ向けて出射する。LED基板30は、支持ブロック40の下面にX方向に沿って並設されている。これにより、筐体10内には、数個~数百個のLED素子31が少なくともX方向に並べられている。複数のLED基板30の各LED素子31から出射された光は、筐体10の光照射窓18を介して、後述の通過領域Rを通過する被照射物に照射される。被照射物としては、例えば光(UV光)硬化型インクが付着している印刷物が挙げられる。
【0030】
支持ブロック40は、金属で形成され、筐体10の本体部15内の下側に配置されている。支持ブロック40の下面には、複数のLED基板30がX方向に沿って並設されている。支持ブロック40の上面には、複数のヒートシンク50がX方向に沿って並設されている。支持ブロック40のZ方向における両端部の下側には、縦断面で矩形状に切り欠かれたような切欠き41が、X方向に沿って形成されている(
図5参照)。切欠き41は、筐体10の側壁部20と協働して下部空間42を形成する。つまり、下部空間42は、切欠き41及び側壁部20により区画される。
【0031】
下部空間42は、X方向において、本体部15の上流部からバッファ部19の手前(バッファ部19よりも上流側位置)まで延在する。下部空間42内は、仕切り板43により上下に仕切られている。これにより、下部空間42内には、第1下部空間44と、第1下部空間44の上側の第2下部空間45とが形成されている。第1下部空間44は、主として、第1吸気口11及び連通口16から吸い込んだエアをX方向に沿って流通させる空間である。第1下部空間44は、筐体10の側壁部20の内側に沿うようにエアを流通させ、当該側壁部20の温度上昇を抑制する。第2下部空間45は、主として、配線C2がまとめられて収容される空間である。
【0032】
ヒートシンク50は、LED基板30のLED素子31と熱的に接続された放熱部材である。ヒートシンク50は、支持ブロック40の上面に、X方向に沿って所定の隙間をあけて並ぶように複数(ここでは、3つ)配置されている。ヒートシンク50は、ベース51及び複数の放熱フィン52を有する。
【0033】
ベース51は、矩形板状を呈する。ベース51は、支持ブロック40の上面に接続されている。これにより、ベース51は、支持ブロック40を介してLED基板30のLED素子31に熱的に結合されている。放熱フィン52は、Z方向を厚さ方向とし且つX方向に長尺状の平板状を呈する。放熱フィン52は、Z方向において隙間をあけて積層するように並べられている。放熱フィン52は、ベース51上に立設されている。
【0034】
放熱フィン52には、切欠き53が形成されている。切欠き53は、複数の放熱フィン52の一部が切り欠かれたような部分である。具体的には、切欠き53は、Z方向から見て、矩形状の複数の放熱フィン52の上側角部を、矩形状に切り欠いたような部分である。すなわち、Z方向から見て、放熱フィン52は、上側に向かって矩形パルス状に突出する形状であって、切欠き53は、当該放熱フィン52のX方向の両端部に存在する段差によって形成される。ここでの切欠き53は、Y方向においては放熱フィン52の中央付近まで存在する(
図6参照)。
【0035】
放熱フィン52は、ベース51上におけるZ方向の両端部以外の領域に立設されている。換言すると、ベース51上におけるZ方向の両端部には、放熱フィン52が設けられていない領域がそれぞれ形成されている。ベース51上におけるZ方向の当該両端部には、二重壁構造の側壁部22,23がそれぞれ配置されている。
【0036】
駆動回路60は、光源装置100を駆動するための駆動用の電気回路基板である。駆動回路60は、下流部25の通気空間28内に一対配置されている。これにより、駆動回路60は、X方向においてLED基板30から下流側に一定距離以上離れて配置される。ここでは、駆動回路60は、LED基板30に対してバッファ部19を介して下流側に離間している。
【0037】
一対の駆動回路60は、それぞれの部品実装面60aがX方向と交差する方向(ここではY方向)に対向するように配置されている。具体的には、一方の駆動回路60は、通気空間28の下側に部品実装面60aを上側に向けて配置されている。他方の駆動回路60は、通気空間28の上側に部品実装面60aを下側に向けて配置されている。
【0038】
駆動回路60は、駆動回路60の熱を放熱する回路用ヒートシンク61を有する。回路用ヒートシンク61は、部品実装面60aに設けられている。一対の駆動回路60は、それぞれの回路用ヒートシンク61がX方向において重ならないように配置されている。図示する例では、一対の駆動回路60は、Z方向から見て、それらの間の点に関して点対称となる配置関係を有する。
【0039】
輻流ファン70は、筐体10の下流部25の下面に固定されている。輻流ファン70は、下側からY方向に沿って吸い込んだエアを、X方向の一方側(筐体10におけるエアの上流側)へ圧送する。
【0040】
遮光ケース80は、X方向に長尺状でY方向に扁平な矩形箱体である。遮光ケース80は、金属で形成されている。遮光ケース80は、筐体10の本体部15の下側に着脱可能に取り付けられ、本体部15の光照射窓18を遮光する。遮光ケース80は、輻流ファン70のエアの出口側に差し込まれており、遮光ケース80内が輻流ファン70のエアの出口側と連通する。遮光ケース80の上面には、通過領域Rを区画する溝81が形成されている。通過領域Rは、被照射物がZ方向に沿って通過する領域である。溝81の底面は、光照射窓18と対向する。遮光ケース80におけるX方向の一方側の上面には、遮光ケース80からエアを排出する遮光ケース排気口82が形成されている。遮光ケース排気口82は、遮光ケース80が筐体10に取り付けられた状態で、筐体10の連通口16に連通する。
【0041】
このような遮光ケース80の内部では、輻流ファン70により吸い込まれて圧送されたエアは、遮光ケース80内においてX方向の他方側から一方側(エアが筐体10における流れとは逆)に流通する。これにより、光照射窓18からの光が当たって温度上昇した溝81の底面が冷却される。当該エアは、遮光ケース排気口82から連通口16を介して筐体10の上流部に流入し、第1吸気口11から吸い込まれたエアと合流する。その結果、第1吸気口11から吸い込まれたエアは、遮光ケース80からのエアとともにX方向における一方側から他方側に向かって流通する。
【0042】
ここで、筐体10内には、下流側(X方向の他方側)がヒートシンク50に面する空間1が形成されている。換言すると、ヒートシンク50の放熱フィン52の上流側は、空間1に面している。空間1の下流側には、放熱フィン52が配置されている。
【0043】
空間1は、筐体10内における放熱フィン52が存在しない部分である。空間1は、一定以上の容積を有する。空間1は、筐体10内において空いている部分である。空間1は、隣接する一対のヒートシンク50の間に形成されている。空間1は、隣接する一対のヒートシンク50それぞれの放熱フィン52に形成された切欠き53により区画されている。具体的には、空間1は、隣接する一対のヒートシンク50の各切欠き53と内側壁21i,22i,23iとにより区画され、直方体状を呈する。
【0044】
本体部15における一対の側壁部22,23の各側面22a,23aには、外部から空間1にエアを吸い込む第2吸気口2が、複数(ここでは2つ)設けられている。つまり、空間1を外部に直接的に繋ぐ第2吸気口2が、筐体10における第1吸気口11と排気口13との間の側面22a,23aに、複数ずつ形成されている。
【0045】
第2吸気口2は、Z方向に開口する。第2吸気口2は、複数のスリットが形成された外蓋を含む。第2吸気口2には、例えばウレタン等で形成されたフィルタ3が取り付けられている。第2吸気口2は、Z方向から見て、空間1と重なる位置に設けられている。第2吸気口2の近傍(周辺)には、空間1が位置する。側面22aに形成された第2吸気口2と側面23aに形成された第2吸気口2とは、Z方向に対向する。第2吸気口2は、各側面22a,23aにおいて、上側(つまり、被照射物から離間する側)の端部に設けられている。
【0046】
第2吸気口2は、空間1に連通しつつ壁内空間24には非連通となるように設けられている。例えば、第2吸気口2は、外側壁22o及び内側壁22iを貫通する貫通孔を有し、その貫通孔内が外側壁22o及び内側壁22iの間に対して閉ざされている。第2吸気口2は、壁内空間24に通じないようにして当該壁内空間24を空間1に至るまで貫通する。
【0047】
ちなみに、筐体10の各側面22a,23aの下端部には、通過領域Rを覆うカバー93が取り付けられている。カバー93は、Z方向を厚さ方向とし且つX方向に長尺状の板部材である。カバー93は、通過領域Rを遮光する。
【0048】
以上、光源装置100では、筐体10においてX方向の一方側の第1吸気口11から吸い込まれたエアが他方側の排気口13へ向かってX方向に沿って流れる中、外部からの新鮮なエアが、側面22a,23aの第2吸気口2を介して筐体10内の空間1に吸い込まれる。空間1の下流側はヒートシンク50の放熱フィン52に面していることから、空間1内に吸い込まれた新鮮なエアは、下流側のヒートシンク50内(放熱フィン52間)に容易に流入されることとなる。
【0049】
これにより、温度上昇しやすい排気口13側のLED素子31の温度上昇を効果的に抑えることができる。複数のLED素子31の間における温度勾配を抑制し、第1吸気口11付近のLED素子31と排気口13付近のLED素子31との間の温度差を抑制し、複数のLED素子31の温度を均一化することが可能となる。光源装置100全体として冷却を効率化でき、装置の小型化が可能となる。複数のLED素子31の間における照度勾配を抑制し、第1吸気口11付近のLED素子31と排気口13付近のLED素子31との間の照度差を抑制することができる。
【0050】
光源装置100では、空間1は、放熱フィン52に形成された切欠き53により区画されている。このような空間1によれば、外部から新鮮なエアを第2吸気口を介して吸い込んで放熱フィン52間に流入させることを、効果的に実現できる。
【0051】
光源装置100では、空間1は、隣接する一対のヒートシンク50の間に形成されている。この場合、ヒートシンク50を複数配置する場合において、空間1を効率よく形成できる。
【0052】
光源装置100では、空間1は、隣接する一対のヒートシンク50それぞれの放熱フィン53に形成された切欠き53により区画されている。このような空間1によれば、ヒートシンク50を複数配置する場合において、外部から新鮮なエアを第2吸気口2を介して吸い込んで放熱フィン52間に流入させることを、効果的に実現できる。
【0053】
光源装置100では、第2吸気口2は、側面22a,23aにおいて、被照射物から離間する側である上側の端部に設けられている。この場合、被照射物から生じ得るミスト等が第2吸気口2を介して筐体10内に吸い込まれるのを抑制することが可能となる。
【0054】
光源装置100では、筐体10の側壁部21、22,23が二重壁構造とされ、第1吸気口11から吸い込んだエアをX方向に沿って流通させる壁内空間24が形成されている。第2吸気口2は、空間1に連通しつつ壁内空間24には非連通となるように設けられている。これにより、第1吸気口11から吸い込んだエアを壁内空間24にて流通させ、筐体10の側壁部21、22,23の温度上昇を抑制しながら、第2吸気口2から吸い込んだ外部の新鮮なエアを、壁内空間24ではなく空間1ひいては放熱フィン52間へ確実に流入させることができる。
【0055】
図7は、第2吸気口2の周辺におけるエアの流れのシミュレーション結果を示す斜視図である。
図7中では、エアの流れを流線で示している。
図7のシミュレーション結果によれば、第2吸気口2を介して筐体10内の空間1に吸い込まれた新鮮なエアを、下流側の放熱フィン52間に確実に流入させ得ることがわかる。
【0056】
図8は、筐体10の温度分布のシミュレーション結果を示す断面図である。
図8中では、温度の高低を色の濃淡で示しており、色が濃いほど温度が低いことを意味している。
図8の断面は、
図4の断面においてバッファ部19及び輻流ファン70を省略している。
図8のシミュレーション結果によれば、温度上昇しやすい排気口13側のLED素子31の温度上昇を抑制し、複数のLED素子31の間における温度勾配を抑制し、複数のLED素子31の温度を均一化できることがわかる。
【0057】
光源装置100では、光照射窓18を介して出射された光が遮光ケース80に当たり、遮光ケース80が例えば200℃程度まで温度上昇する可能性がある。この場合、遮光ケース80の熱に煽られて、筐体10の下側の側壁部20が温度上昇する可能性がある。この点、光源装置100では、筐体10の側壁部20の内側に沿うようにエアを流通させる下部空間42(第1下部空間44)が設けられている。これにより、側壁部20の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0058】
光源装置100では、第2吸気口2にフィルタ3が取り付けられている。これにより、第2吸気口2を介して筐体10内に粉じんが流入してしまうことを防止できる。
【0059】
光源装置100では、駆動回路60は、X方向においてLED基板30から下流側に一定距離以上離れて配置されている。具体的には、駆動回路60は、LED基板30に対してバッファ部19を介して下流側に離間しており、ここでは、筐体10内における下流側の端部に設けられている。これにより、駆動回路60の熱がLED素子31の冷却に悪影響を及ぼすことを抑制できる。LED素子31を冷却した後のエアによって駆動回路60が冷却されるため、光源装置100全体として冷却を効率化できる。バッファ部19により流れを緩衝したエアで駆動回路60を冷却できる。
【0060】
光源装置100は、駆動回路60を一対備えている。一対の駆動回路60は、それぞれの回路用ヒートシンク61がX方向において重ならないように配置されている。この構成によれば、X方向に流れるエアによる各回路用ヒートシンク61の放熱を、効果的に行うことができる。
【0061】
光源装置100では、筐体10の下流部25内は、仕切り板26により配線収容空間27と通気空間28とに仕切られている。これにより、配線C1が収容される空間とエアが流通する空間とが仕切られるため、配線C1の存在によりエアの流れが乱れることを抑制できる。
【0062】
光源装置100は、遮光ケース80を備えている。遮光ケース80によれば、被照射物を通過ないし配置させる通過領域Rを形成しつつ、光照射窓18を介して出射される光を遮光できる。
【0063】
光源装置100において、遮光ケース80の内部の空間では、エアが筐体10におけるエアの流れとは逆(X方向の他方側から一方側)に流通される。この構成によれば、遮光ケース80の内部にエアを流通させることで、光照射窓18からの光が当たることによる遮光ケース80の温度上昇を抑制しながら、筐体10の温度上昇しやすい下流側も効果的に冷却できる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0065】
上記実施形態は、複数のヒートシンク50を備えたが、例えば
図9(a)に示されるように、X方向に長尺状のヒートシンク50を1つ備えていてもよい。空間1は、1つのヒートシンク50の放熱フィン52に形成された溝又は凹部としての切欠き53により区画されていてもよい。
【0066】
上記実施形態では、第2吸気口2が側面22a,23aの上側の端部に設けられているが、側面22a,23aにおける第2吸気口2の位置は、特に限定されない。例えば
図9(b)に示されるように、Y方向においてベース51に近接する位置まで存在する切欠き53が放熱フィン52に形成され、側面23aにおける上下方向の中央部に第2吸気口2が設けられていてもよい。
【0067】
上記実施形態では、ヒートシンク50の放熱フィン52に設けられた切欠き53により空間1が区画されているが、空間1の下流側が放熱フィン52に面していれば、切欠き53は無くてもよい。例えば
図10に示されるように、放熱フィン52は、切欠き53(
図4参照)が設けられていない矩形板状とされ、複数のヒートシンク50の間に空間1が形成されていてもよい。
【0068】
上記実施形態では、第2吸気口2が側面22a,23aに設けられているが、これに限定されない。第2吸気口2は、側面22a,23aの少なくとも一方に設けられていてもよいし、これに代えてもしくは加えて、上側の側面(側壁部21の側面)に設けられていてもよい。第2吸気口2が設けられる数は、各側面に1つであってもよいし、各側面に複数であってもよい。第2吸気口2が設けられる数は、複数のLED素子31の間における温度勾配に応じて定めた数であってもよい。
【0069】
上記実施形態では、ヒートシンク50は、ヒートパイプを備えていてもよい。上記実施形態では、筐体10の第1吸気口11と排気口13との間の側面においてバッファ部19に対応する位置に、外部からエアをバッファ部19に吸い込む第3吸気口を更に設けてもよい。
【0070】
上記実施形態では、複数のLED素子31が設けられたLED基板30がX方向に沿って並設されているが、LED基板30及びLED素子31の配列は特に限定されず、少なくともX方向に沿って複数のLED素子31が並んでいればよい。また、発光素子としては、LED素子31に限定されず、その他の公知の発光素子を用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…空間、2…第2吸気口、10…筐体、10a…一端面(一端部)、10b…他端面(他端部)、11…第1吸気口、13…排気口、21o,22o,23o…外側壁、21i,22i,23i…内側壁、22a,23a…側面、24…壁内空間、31…LED素子(発光素子)、50…ヒートシンク(放熱部材)、52…放熱フィン、53…切欠き、70…輻流ファン、80…遮光ケース、82…遮光ケース排気口、100…光源装置。