(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】イメージングにおけるノイズを削減するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240730BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61B8/00
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2022140465
(22)【出願日】2022-09-05
(62)【分割の表示】P 2019546178の分割
【原出願日】2018-02-23
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513193738
【氏名又は名称】サニーブルック リサーチ インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コートニー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カーン,ナイムル メフラズ
(72)【発明者】
【氏名】アルベス-コゼブ,ナターシャ
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-278892(JP,A)
【文献】特開2009-261441(JP,A)
【文献】特開昭62-270138(JP,A)
【文献】特開2007-209755(JP,A)
【文献】特開2008-206724(JP,A)
【文献】特開2018-020114(JP,A)
【文献】米国特許第05935074(US,A)
【文献】特開2013-055983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0136104(US,A1)
【文献】特開平02-261436(JP,A)
【文献】特開2002-186615(JP,A)
【文献】特表2016-518221(JP,A)
【文献】特表2016-533779(JP,A)
【文献】特開平08-173399(JP,A)
【文献】特開2003-323194(JP,A)
【文献】国際公開第2001/024167(WO,A1)
【文献】特開平03-266899(JP,A)
【文献】特開平02-134145(JP,A)
【文献】特開2010-240131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055、 8/00 - 8/15 、
G01V 1/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法であって、
撮像トランスデューサ受信回路でエネルギー波を検出することによって撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外のノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形とを生成するステップ、
前記バンド内撮像波形のバンド内撮像包絡線を検出するステップ、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形のバンド外包絡線を検出するステップ、
前記バンド外包絡線に対して振幅調整係数を適用することにより、前記イメージングバンド内部のノイズパワーと前記ノイズ検出バンド
内部のノイズパワーとの間の差分を補償する修正後バンド外包絡線を得るステップ、
前記修正後バンド外包絡線を前記バンド内撮像包絡線から減算して、ノイズ訂正後バンド内包絡線を得るステップ、
を有し、
前記振幅調整係数は、前記ノイズ訂正後バンド内包絡線におけるバンド内ノイズの寄与分を減少させるように選択されており、前記振幅調整係数は撮像エネルギーを受信していないとき決定されたものである、
方法。
【請求項2】
前記方法はさらに、前記修正後バンド外包絡線と前記バンド内撮像包絡線とを組み合わせる前に、前記修正後バンド外包絡線と前記バンド内撮像包絡線との間の相対遅延を調整するステップを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記相対遅延は、前記バンド内撮像包絡線と前記修正後バンド外包絡線との間の相互相関を計算することによって決定される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記撮像トランスデューサ受信回路は、超音波トランスデューサを備える、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記撮像トランスデューサ受信回路は、磁場を検出するためのコイルを備える、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
広帯域ノイズが存在するとき検出された撮像信号からノイズを除去する方法であって、 撮像トランスデューサ受信回路でエネルギー波を検出することにより撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形とを生成するステップ、
前記バンド内撮像波形のバンド内撮像包絡線を検出するステップ、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形のバンド外撮像包絡線を検出するステップ、
1つ以上の適応フィルタパラメータにしたがって前記バンド外撮像包絡線を適応フィルタリングするステップ、
前記フィルタリングされたバンド外撮像包絡線と前記バンド内撮像包絡線とを組み合わせて、ノイズ訂正後バンド内撮像包絡線を得るステップ、
を有し、
前記適応フィルタパラメータは、前記ノイズ訂正後バンド内撮像包絡線を処理して前記ノイズ訂正後バンド内撮像包絡線のパワーを最小化することにより動的に決定される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本願は、2017年2月24日出願の米国仮出願62/463,431号、発明の名称“SYSTEMS AND METHODS FOR NOISE REDUCTION IN IMAGING”の優先権を主張する。同文献の全内容は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、画像処理技術およびノイズを除去する画像データ処理に関するものである。
【背景技術】
【0003】
超音波とMRIイメージングによる医療イメージングは、無線周波数スペクトルにおける低振幅信号を検出することに依拠している。これは通常、2MHzから200MHzの範囲にわたる。画像品質は信号対ノイズ比によって多大な影響を受ける。
【0004】
血管内超音波(IVUS)、心腔内エコー法(ICE)、その他の形態の最小侵襲において、超音波トランスデューサは周辺構造から超音波信号を検出し、その音響エネルギーを電気信号へ変換する。この信号は、1以上の導電チャネル(例えば同軸導体、ツイストペア導体、フレックス回路など)に沿って伝搬する。多くの理由により(コスト、製造性、安全性、生体適合性、熱問題、電力供給要件を含む)、体内挿入可能な最小侵襲撮像プローブは、信号強度を高める増幅器を備えていない場合がある。最小侵襲超音波トランスデューサが検出する電気信号は非常に小さい場合があり(<10mV、一般には<1mV)、超音波によって撮像可能な組織構造についての情報の大部分は、検出される電気信号のダイナミックレンジの小さい側にあることが多い。受信超音波信号の信号振幅は、トランスデューサの機械的効率、検出音響信号の小さい振幅、トランスデューサの小さいサイズ、またはトランスデューサから身体へ電気信号を搬送する導体に沿った減衰、のうちいずれかまたは全てによって制限される。この観点から、最小侵襲超音波撮像システムの信号は非常に弱い傾向にある。
【0005】
多くのソースからシステムに対してノイズがもたらされる可能性がある。これは、無線送信器、電力電子部品、送信ライン、スイッチングトランジスタ、その他当該分野において知られているものを含む。誘導や直接伝導、または電磁干渉に敏感な部品間の準最適絶縁によってノイズがもたらされる可能性がある。ノイズのなかには撮像システム自身のなかの部品によって生成されるものもあり、これは例えば、撮像システムの任意の電子部品におけるスキャンアクチュエータ、モータ制御器のパルス幅変調器、スイッチングモード電力部品、クロック回路、トランジスタなどである。さらに、被検者に接続されまたは治療環境におけるその他システム(例えばインピーダンスモニタ、トラッキングシステム(例えばCarto(登録商標)3、Carto(登録商標)XP、NavX(商標)システム)、温度センサ、輸液ポンプ、アブレーションシステム、ECG、血行動態モニタ)は、ノイズをもたらす可能性がある。医療分野において用いられるRFIDインベントリ制御システムも、ノイズをもたらす可能性がある。
【0006】
超音波撮像システムの超音波受信回路に入り込むノイズ量を減少させるアプローチがある。これは例えば、最小RFノイズを生成するシステム内の部品選択、電気的絶縁、シールド、適切な接地、ノイズ生成部品を電磁ノイズに影響される部品から物理的に分離する、などである。これらアプローチは実装が難しい場合がある。ノイズ源はその他理由により望ましい特性を有している場合があり(例えばパルス幅変調モータ制御器はエネルギー効率がよく応答時間がよい)、あるいは互いに物理的に隔離するのが難しい(例えば撮像プローブまたはその関連回路の近傍に電力電子部品を配置することが望ましい)からである。
【0007】
超音波信号品質(超音波画像品質)に対するノイズの影響を減少させるその他アプローチとしては、フィルタリングと画像処理が挙げられる。超音波信号は既知の帯域幅を有し、検出超音波信号はアナログまたはデジタルフィルタリング技術を用いてフィルタリングされる(2つを組み合わせる場合もある)。アナログまたはデジタルフィルタリングを適用して、超音波受信回路からの電気信号出力の一部を、超音波トランスデューサの動作帯域幅内の周波数成分(またはその高調波成分)に制限することができる。狭帯域かつ鋭いカットオフを有するフィルタを選択することにより、画像生成または超音波信号利用のために用いる信号に対して許容されるノイズ量を減少させることができる(例えば超音波信号のドップラー測定スペクトル分析、または超音波処理場における散乱フローの評価)。ノッチフィルタまたはコムフィルタは、撮像範囲周波数内の狭帯域ノイズを除去するのに有用である。過剰なフィルタリングは、画像生成または超音波信号のその他利用において許容される信号パワー量を減少させるという、不要な効果を生じさせる場合がある。また解像度などのように超音波撮像システムのその他の性能面に対して悪影響を及ぼす可能性がある。ただし、フィルタの通過帯域が大き過ぎると、システムが受け取るノイズが大きくなる。
【0008】
画像処理は、生成した画像データをフィルタリングすることにより、ノイズをさらに減少させることができる。例えば平均化や外れ値除去による。例えばガウシアンフィルタをピクセルおよびその隣接ピクセルに対して適用して画像内のぼけやランダムノイズを平滑化することにより、空間ドメインにおいて画像内でフィルタリングを適用することができる。しかしこれは画像の空間解像度を損ねる傾向がある。同様に、撮像機器のフレーム繰り返し周波数に対して高速移動しない撮像構造に対して、空間ドメインフィルタリングを適用することができる。例えば画像フレーム内のピクセルは、平均化またはガウシアンフィルタの結果として得られる、先行および/または後続フレームの同様の位置におけるピクセルである。
【0009】
同様の問題はMRI撮像システムにも存在し、無線周波数エネルギーソースの不要なソースからのノイズが存在するとき、弱信号が検出される。
【0010】
有用なのは、ノイズを識別してそのノイズを1以上のイメージング信号から動的除去する方法、システム、およびデバイスである。
【0011】
多くのノイズは超音波受信信号に入り込み、システムにいったん入り込むと除去困難となる可能性がある。これは特に、ノイズが性質上広帯域の場合であり、このときノイズの一部は超音波システムの通過帯域内にある。例えば中心周波数10MHz、通過帯域7.5~12.5MHzのトランスデューサを有する撮像システムにおいて、システムは7.5MHz未満と12.5MHz超のノイズ部分をフィルタリングするように設計されている。しかし7.5~12.5MHz帯域内のノイズは、検出する超音波信号の振幅に対して相当程度の量であることが多い。
【0012】
多くのノイズ源は高速遷移の結果として生じ、これは例えば電界効果トランジスタやスイッチがON/OFFするときである。高速遷移する電気信号は、非常に広い周波数ドメインを有し、これは超音波受信信号チェーンの通過帯域の全部または一部を容易にカバーすることができる。これは特に、ノイズが検出信号に対して十分強い振幅を有する電力回路やパルス幅変調回路において当てはまる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
広帯域ノイズを減少させる1アプローチは、イメージングエネルギーが主に選択可能イメージングバンド内にあり、広帯域ノイズはそのイメージングバンド内とイメージングバンド外の双方において検出できることを利用する。原理的に、任意時点においてイメージングバンド外のノイズを検出または特性識別することにより、イメージングバンド内に存在する可能性がある広帯域ノイズを推定し、検出信号を変更して、推定したバンド内ノイズを減少させることができる。バンド外ノイズに基づきバンド内ノイズを効果的に推定することにより、推定したバンド内ノイズが存在しない所望のイメージングエネルギーを推定する信号を生成できる。
【0014】
イメージングバンド内のノイズを減少させる別アプローチは、イメージングバンド内のノイズを検出できるがイメージングエネルギーから隔離された基準受信回路(抵抗器、キャパシタ、インダクタ、送信ライン、増幅器、変換器、不活性トランスデューサまたはトランスデューサ受信回路をエミュレートできる部品を備える)を用いることである。基準受信回路が受信したバンド内ノイズに基づきバンド内イメージングノイズを推定することにより、推定したバンド内ノイズが存在しない所望イメージングエネルギーを推定する信号を生成できる。
【0015】
1側面において、広帯域ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像エネルギーを受信していないとき、撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、ノイズ特性識別波形を取得し、前記ノイズ特性識別波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内ノイズ特性識別波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外のノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ特性識別波形とを生成するステップ、
1以上の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記バンド外ノイズ特性識別波形をセグメント化するステップ、
少なくとも1つの時間ウインドウについて、前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記バンド外ノイズ特性識別波形を処理して、前記イメージングバンド内のノイズと前記ノイズ検出バンド内のノイズとの間の関係を判定するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出することにより、1以上の撮像波形を取得するステップ、
少なくとも1つの撮像波形について、
a)前記撮像波形をフィルタリングして、前記イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と前記ノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
b)1状の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内撮像波形と前記バンド外ノイズ検出撮像波形をセグメント化するステップ、
c)前記関係と前記バンド外ノイズ検出撮像波形を用いて、少なくとも1つの時間ウインドウ内において、前記バンド内撮像波形のノイズ量に関する測定結果を推定するステップ、
d)前記ステップc)における少なくとも1つの時間ウインドウについて、前記時間ウインドウ内の前記バンド内撮像波形の一部に対してノイズ抑制訂正を適用するステップ、
を有する。
【0016】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号のノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像エネルギーを受信していないとき、
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、ノイズ特性識別波形を取得し、前記ノイズ特性識別波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内ノイズ特性識別波形を生成するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路がノイズ検出している間は撮像エネルギーを送信しないように構成された基準受信回路によってノイズを検出することにより、基準ノイズ特性識別波形を取得するステップ、
前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記基準ノイズ特性識別波形を処理して、前記イメージングバンド内のノイズと前記基準受信回路が検出したノイズとの間の関係を決定するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出することにより、1以上の撮像波形を取得するステップ、
少なくとも1つの撮像波形について、
a)前記撮像波形をフィルタリングして、前記イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形を生成するステップ、
b)前記基準受信回路によって基準ノイズ検出波形を検出するステップ、
c)1以上の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内撮像波形と前記基準ノイズ検出波形をセグメント化するステップ、
d)前記関係と前記基準ノイズ検出波形を用いて、少なくとも1つの時間ウインドウ内において、前記バンド内撮像波形のノイズ量に関する測定結果を推定するステップ、
e)前記ステップc)における少なくとも1つの時間ウインドウについて、前記時間ウインドウ内の前記バンド内撮像波形の一部に対してノイズ抑制訂正を適用するステップ、
を有する。
【0017】
1側面において、広帯域ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
前記バンド内撮像波形のバンド内撮像包絡線を検出するステップ、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形のバンド外包絡線を検出するステップ、
前記バンド外包絡線に対してスケーリング係数を適用することにより、修正後バンド外包絡線を取得するステップ、
前記修正後バンド外包絡線と前記バンド内撮像包絡線を組み合わせて、ノイズ訂正後バンド内包絡線を取得するステップ、
を有し、
前記スケーリング係数は、前記ノイズ訂正後バンド内包絡線のバンド内ノイズの寄与分を減少させるように選択されている。
【0018】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形に対して振幅スケーリング係数と周波数シフトを適用することにより、修正後波形を取得し、これにより前記修正後波形が前記イメージングバンド内に存在する周波数成分を含むようにするステップ、
前記修正後波形と前記バンド内撮像波形を組み合わせて、ノイズ訂正後バンド内撮像波形を取得するステップ、
を有し、
前記振幅スケーリング係数は、前記ノイズ訂正後バンド内撮像波形のバンド内ノイズの寄与分を減少させるように選択されている。
【0019】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形を生成するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路が受信したノイズを検出している間は撮像エネルギーを送信しないように構成された基準受信回路によってノイズを検出することにより、基準ノイズ検出波形を取得するステップ、
前記バンド内撮像波形のバンド内撮像包絡線を検出するステップ、
前記基準ノイズ検出波形の基準包絡線を検出するステップ、
前記基準包絡線に対してスケーリング係数を適用することにより、修正後基準包絡線を取得するステップ、
前記修正後基準包絡線と前記バンド内撮像包絡線を組み合わせて、ノイズ訂正後バンド内包絡線を取得するステップ、
を有し、
前記スケーリング係数は、前記ノイズ訂正後バンド内包絡線のバンド内ノイズの寄与分を減少させるように選択されている。
【0020】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形を生成するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路が受信したノイズを検出している間は撮像エネルギーを送信しないように構成された基準受信回路によってノイズを検出することにより、基準ノイズ検出波形を取得するステップ、
1以上の適応フィルタパラメータにしたがって前記基準ノイズ検出波形を適応フィルタリングするステップ、
前記フィルタリングした基準ノイズ検出波形と前記バンド内撮像波形を組み合わせて、ノイズ訂正後バンド内撮像波形を取得するステップ、
を有し、
前記適応フィルタパラメータは、前記ノイズ訂正後バンド内撮像波形を処理して前記ノイズ訂正後バンド内撮像波形のパワーを最小化することにより動的に決定される。
【0021】
1側面において、広帯域ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
前記バンド内撮像波形のバンド内撮像包絡線を検出するステップ、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形のバンド外撮像包絡線を検出するステップ、
1以上の適応フィルタパラメータにしたがって前記バンド外撮像包絡線を適応フィルタリングするステップ、
前記フィルタリングしたバンド外撮像包絡線と前記バンド内撮像包絡線を組み合わせて、ノイズ訂正後バンド内撮像包絡線を取得するステップ、
を有し、
前記適応フィルタパラメータは、前記ノイズ訂正後バンド内撮像包絡線を処理して前記ノイズ訂正後バンド内撮像包絡線のパワーを最小化することにより動的に決定される。
【0022】
1側面において、広帯域ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形に対して周波数シフトを適用することにより、修正後波形を取得し、これにより前記修正後波形が前記イメージングバンド内に存在する周波数成分を含むようにするステップ、
1以上の適応フィルタパラメータにしたがって前記バンド外ノイズ検出撮像波形を適応フィルタリングするステップ、
前記フィルタリングした修正後波形と前記バンド内撮像波形を組み合わせて、ノイズ訂正後バンド内撮像波形を取得するステップ、
を有し、
前記適応フィルタパラメータは、前記ノイズ訂正後バンド内撮像波形を処理して前記ノイズ訂正後バンド内撮像波形のパワーを最小化することにより動的に決定される。
【0023】
1側面において、広帯域ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形を処理することにより、前記バンド内撮像波形をフィルタリングしてバンド内ノイズを除去する動的デジタルフィルタの適切なフィルタパラメータを選択するステップ、
前記フィルタパラメータにしたがって前記動的デジタルフィルタによって前記バンド内撮像波形をフィルタリングするステップ、
を有する。
【0024】
1側面において、1以上のノイズ源によって特徴付けられる検出システムによって取得した信号に対してノイズ抑制を実施する方法を提供する。前記方法は:
撮像エネルギーを受信していないとき、撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、ノイズ特性識別波形を取得し、前記ノイズ特性識別波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内ノイズ特性識別波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ特性識別波形を生成するステップ、
1以上の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記バンド外ノイズ特性識別波形をセグメント化するステップ、
少なくとも1つの時間ウインドウについて、パターン認識アルゴリズムにしたがって前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記バンド外ノイズ特性識別波形を処理して、前記ノイズ検出バンド内における前記イメージングバンド内のノイズと相関するノイズパターンを識別するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、前記イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と前記ノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を取得するステップ、
1以上の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内撮像波形と前記バンド外撮像波形をセグメント化するステップ、
前記パターン認識アルゴリズムにしたがって、少なくとも1つの時間ウインドウについて、前記バンド外ノイズ検出撮像波形を処理して、前記ノイズパターンを検出するステップ、
前記ノイズパターンを検出した場合、前記バンド外ノイズ検出撮像波形において検出した前記ノイズパターン固有の前記バンド内撮像波形の前記時間ウインドウに対してノイズ抑制訂正を適用するステップ、
を有する。
【0025】
1側面において、1以上の既知のノイズ源によって特徴付けられる検出システムが検出した信号に対してノイズ抑制を実施する方法を提供する。前記方法は:
撮像エネルギーを受信していないとき、
撮像トランスデューサによってエネルギー波を検出することにより、ノイズ特性識別波形を取得し、前記ノイズ特性識別波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内ノイズ特性識別波形を生成するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路が受信したノイズを検出している間は撮像エネルギーを送信しないように構成された基準受信回路によってノイズを検出することにより、基準ノイズ特性識別波形を取得するステップ、
1以上の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記基準ノイズ特性識別波形をセグメント化するステップ、
少なくとも1つの時間ウインドウについて、前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記基準ノイズ特性識別波形を処理して、前記イメージングバンド内のノイズと前記基準受信回路が検出したノイズとの間の関係を決定するステップ、
パターン認識アルゴリズムにしたがって前記バンド内ノイズ特性識別波形と前記基準ノイズ特性識別波形を処理して、前記バンド内ノイズ特性識別波形内のノイズと相関する前記基準ノイズ特性識別波形内のノイズパターンの存在を識別するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出して、撮像波形を取得するとともに、前記基準受信回路によって基準ノイズ検出波形を検出し、前記撮像波形をフィルタリングして、前記イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形を取得するステップ、
1以上の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内撮像波形と前記基準ノイズ検出波形をセグメント化するステップ、
少なくとも1つの時間ウインドウについて、前記パターン認識アルゴリズムにしたがって前記基準ノイズ検出波形を処理して、前記ノイズパターンの存在を検出するステップ、 前記ノイズパターンを検出したとき、前記基準ノイズ検出波形内で検出した前記ノイズパターン固有の前記バンド内撮像波形の前記時間ウインドウに対してノイズ抑制訂正を適用するステップ、
を有する。
【0026】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像エネルギーを受信していないとき、撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、ノイズ特性識別波形を取得し、前記ノイズ特性識別波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内ノイズ特性識別波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ特性識別波形を生成するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、前記イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と前記ノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
前記バンド外撮像波形と前記バンド外ノイズ特性識別波形との間の相互相関を実施して、最大相互相関に対応する時間遅延を決定するステップ、
前記バンド内ノイズ特性識別波形に対して前記時間遅延と振幅調整を適用することにより、修正後バンド内ノイズ特性識別波形を取得し、前記修正後バンド内ノイズ特性識別波形を前記バンド内撮像波形から減算するステップ、
を有する。
【0027】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像エネルギーを受信していないとき、
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、ノイズ特性識別波形を取得し、前記ノイズ特性識別波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内ノイズ特性識別波形を生成するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路が受信したノイズを検出している間は撮像エネルギーを送信しないように構成された基準受信回路によってノイズを検出することにより、基準ノイズ特性識別波形を取得するステップ、
前記撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出して、撮像波形を取得するとともに、前記基準受信回路によって基準ノイズ検出波形を検出し、前記撮像波形をフィルタリングして前記イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形を取得するステップ、
前記基準ノイズ検出波形と前記基準ノイズ特性識別波形との間の相互相関を実施して、最大相互相関に対応する時間遅延を決定するステップ、
前記バンド内ノイズ特性識別波形に対して前記時間遅延と振幅調整を適用することにより、修正後バンド内ノイズ特性識別波形を取得し、前記修正後バンド内ノイズ特性識別波形を前記バンド内撮像波形から減算するステップ、
を有する。
【0028】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
複数の隣接スキャンラインに沿って撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出することにより、複数の撮像波形を取得するステップ、
少なくとも2つの隣接スキャンラインについて、
前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
一連の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内撮像波形と前記バンド外ノイズ検出撮像波形をセグメント化するステップ、
少なくとも1つのウインドウについて、
前記バンド外ノイズ検出撮像波形を処理して、前記バンド内撮像波形の対応するウインドウ部分をノイズ訂正すべきか否かを決定するステップ、
前記時間ウインドウ内の前記バンド内撮像波形がノイズ訂正に適しているとみなされる場合、前記時間ウインドウ内の前記バンド内撮像波形に対してノイズ抑制訂正を適用するステップであって、前記ウインドウ内の各サンプルに対する前記ノイズ抑制訂正は、2以上の隣接ウインドウの前記バンド内撮像波形内のサンプルに関する1以上の統計的測定結果に基づいており、各隣接ウインドウは隣接するスキャンライン内に存在する、ステップ、
それぞれ複数のスキャンラインに対応するノイズ抑制したバンド内撮像波形に基づき画像を生成するステップ、
を有する。
【0029】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
撮像トランスデューサ受信回路によってエネルギー波を検出することにより、撮像波形を取得し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形と、少なくとも一部が前記イメージングバンド外にあるノイズ検出バンド内に存在するバンド外ノイズ検出撮像波形を生成するステップ、
複数の隣接スキャンラインに沿って前記撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出することにより、複数の撮像波形を取得するステップ、
1以上のバンド外ノイズ検出撮像波形を処理してノイズ源の周期を判定するステップ、 スキャンレートを調整することにより、隣接スキャンラインと対応するバンド内撮像波形において前記ノイズが時間同期しないようにするステップ、
少なくとも2つの隣接スキャンラインについて、
一連の時間ウインドウにしたがって前記バンド内撮像波形をセグメント化するステップ、
少なくとも1つのウインドウについて、
前記時間ウインドウ内の前記バンド内撮像波形に対してノイズ抑制訂正を適用するステップであって、前記ウインドウ内の各サンプルに対する前記ノイズ抑制訂正は、2以上の隣接ウインドウの前記バンド内撮像波形内のサンプルに関する1以上の統計的測定結果に基づいており、各隣接ウインドウは対応する隣接スキャンライン内に存在する、ステップ、
それぞれ複数のスキャンラインに対応するノイズ抑制したバンド内撮像波形に基づき画像を生成するステップ、
を有する。
【0030】
1側面において、ノイズが存在するとき検出した撮像信号からノイズを除去する方法を提供する。前記方法は:
少なくとも2つの隣接スキャンラインについて、
撮像トランスデューサ受信回路によって撮像信号を検出して撮像波形を取得するとともに、基準受信回路によって基準ノイズ検出波形を検出し、前記撮像波形をフィルタリングして、イメージングバンド内に存在するバンド内撮像波形を取得するステップ、
一連の時間ウインドウにしたがって、前記バンド内撮像波形と前記基準ノイズ検出波形をセグメント化するステップ、
少なくとも1つのウインドウについて、
前記基準ノイズ検出波形を処理して、前記バンド内撮像波形の対応するウインドウ部分をノイズ訂正すべきか否かを判定するステップ、
前記時間ウインドウ内の前記バンド内撮像波形がノイズ訂正に適しているとみなされる場合、前記時間ウインドウ内の前記バンド内撮像波形に対してノイズ抑制訂正を適用するステップであって、前記ウインドウ内の各サンプルに対する前記ノイズ抑制訂正は、2以上の隣接ウインドウの前記バンド内撮像波形のサンプルに関する1以上の統計的測定結果に基づいており、各隣接ウインドウは隣接スキャンライン内に存在する、ステップ、 それぞれ複数のスキャンラインに対応するノイズ抑制したバンド内撮像波形に基づき画像を生成するステップ、
を有する。
【0031】
本開示のさらなる理解と機能的および有用な側面は、以下の詳細説明と図面を参照することによってなされる。
【0032】
図面を参照して、例示目的のみで、実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】ノイズ抑制のために構成した超音波撮像システムの例を示す。
【
図1B】超音波画像へ変換する前に超音波信号を処理する従来の超音波受信信号チェーンの例を示す。
【
図1C】体内撮像プローブを有する超音波撮像システムの例を示す。
【
図1D】バンド内ノイズを検出する基準トランスデューサを有する超音波撮像システムの例を示す。
【
図1E】第1撮像トランスデューサのイメージングバンド外のイメージングバンドを有する第2撮像トランスデューサを備える超音波撮像システムの例を示す。第2撮像トランスデューサは例えば、第1撮像トランスデューサから受信する信号に影響するバンド内ノイズを検出するのに適した回路の一部である。
【
図1F】バンド内ノイズを検出する基準受信回路を備える超音波撮像システムの例を示す。基準受信回路は、撮像プローブ内の位置まで延伸している。
【
図1G】バンド内ノイズを検出する基準受信回路を備える超音波撮像システムの例を示す。基準受信回路は、システムの撮像プローブ外における1以上の位置に配置されている。
【
図2A】推定したバンド内ノイズの抑制によって入力波形の包絡線上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内ノイズは、バンド外波形の包絡線検出を実施し、減算前に遅延・スケール・形状調整を実施することによって推定される。
【
図2B】推定したバンド内ノイズの抑制によって入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内ノイズは、バンド外波形を周波数シフトし、周波数シフトしたバンド外ノイズをフィルタリングし、減算前に遅延・スケール・形状調整を実施することによって推定される。
【
図2C】ノイズを減少させるシステム構成例を示す。システムは、撮像トランスデューサ受信回路が検出できるバンド内ノイズのうち一部または全部を検出し、撮像トランスデューサ受信回路が検出するイメージング信号から少なくとも部分的に隔離された、基準受信回路を備える。基準受信回路が検出したノイズ信号を、撮像トランスデューサ受信回路が受信した信号から減算することにより、出力信号内のノイズを減少させることができる。
【
図3A】動的ノイズキャンセルによってノイズを減少させるシステム構成例を示す。動的ノイズキャンセルのキャンセル波形は、基準受信回路から取得される。
【
図3B】動的ノイズキャンセルによって入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。動的ノイズキャンセルのキャンセル波形は、バンド外波形の包絡線検出によって取得される。
【
図3C】動的ノイズキャンセルによって入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。動的ノイズキャンセルのキャンセル波形は、バンド外波形を周波数シフトし、その周波数シフトしたバンド外波形をフィルタリングすることによって取得される。
【
図4】動的ノイズキャンセルによって入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。フィルタリングは、ノイズ検出波形の1以上の特性に基づきフィルタの1以上のパラメータを決定するフィルタ更新アルゴリズムによって取得したフィードバックパラメータに基づき制御される。
【
図5A】イメージング信号が存在しない第1測定ステージにおいて取得したノイズパラメータに基づき、イメージング信号が収集される第2測定ステージにおいてそのノイズパラメータを利用する1以上のノイズ除去アルゴリズムを適用することにより、入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例の概略を示す。
【
図5B】基準受信チャネルを用いてバンド内ノイズを検出する別システム例の概略を示す。
【
図6A】バンド外波形のノイズ検出に基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド外波形の各ウインドウを処理することに基づきバンド内波形の異なる時間ウインドウが抑制され、バンド外波形のウインドウ内のパワー量に依拠する減算値を減算することにより、バンド内波形のノイズウインドウが訂正される。
【
図6B】散乱プロット例を示す。バンド内波形のウインドウの信号パワーと、ノイズ特性識別ステージにおけるバンド外波形の各ウインドウの信号パワーとを示している。
【
図6C】バンド外波形のノイズ検出に基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド外波形の各ウインドウを処理することに基づきバンド内波形の異なる時間ウインドウが抑制され、バンド外波形のウインドウ内のパワー量に依拠する減算値を減算することにより、バンド内波形のノイズウインドウが訂正される。
【
図6D】バンド外波形のノイズ検出に基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド外波形の各ウインドウを処理することに基づきバンド内波形の異なる時間ウインドウが抑制され、バンド外波形のウインドウ内のパワー量に依拠する減衰係数を乗算することにより、バンド内波形のノイズウインドウが訂正される。
【
図6E】バンド内波形の異なる時間ウインドウがまず主要信号またはノイズとして識別され、次に信号ウインドウ周辺のノイズウインドウがエラー可能性ありとして識別および再分類され、ノイズウインドウ周辺の信号ウインドウがエラーとして識別および再分類される、方法に関するチャートを示す。
【
図6F】バンド内波形の異なる時間ウインドウがまず主要信号またはノイズとして識別され、次に信号ウインドウ周辺のノイズウインドウがエラー可能性ありとして識別および再分類され、ノイズウインドウ周辺の信号ウインドウがエラーとして識別および再分類される、方法に関するチャートを示す。
【
図6G】基準受信チャネルによって測定したフィルタ後基準波形内のノイズ検出に基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。基準波形の各ウインドウを処理することに基づきバンド内波形の異なる時間ウインドウが抑制され、フィルタ後基準波形のウインドウ内のパワー量に依拠する減算値を減算することにより、バンド内波形のノイズウインドウが訂正される。
【
図6H】基準受信チャネルによって測定したフィルタ後基準波形内のノイズ検出に基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。基準波形の各ウインドウを処理することに基づきバンド内波形の異なる時間ウインドウが抑制され、フィルタ後基準波形のウインドウ内のパワー量に依拠する減算値を減算することにより、バンド内波形のノイズウインドウが訂正される。
【
図6I】基準受信チャネルによって測定したフィルタ後基準波形内のノイズ検出に基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。フィルタ後基準波形の各ウインドウを処理することに基づきバンド内イメージング波形の異なる時間ウインドウが訂正され、フィルタ後基準波形のウインドウ内のパワー量に依拠する減衰係数により、バンド内イメージング波形のノイズウインドウが訂正される。
【
図7A】1以上のノイズ検出波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。少なくとも1つのノイズ検出波形は、イメージングバンドのバンド外の信号を有する。バンド内波形の異なる時間ウインドウは、1以上のノイズ検出波形を処理することにより識別した1以上のパターンにしたがって、ノイズ除去される。
【
図7B】1以上のノイズ検出波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。少なくとも1つのノイズ検出波形は、イメージングバンドのバンド外の信号を有する。バンド内波形の異なる時間ウインドウは、1以上のノイズ検出波形を処理することにより識別した1以上のパターンにしたがって、ノイズ除去される。
【
図7C】基準波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内イメージング波形の異なる時間ウインドウは、1以上の基準波形を処理することにより識別した1以上のパターンにしたがって、ノイズ除去される。
【
図7D】基準波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内イメージング波形の異なる時間ウインドウは、1以上の基準波形を処理することにより識別した1以上のパターンにしたがって、ノイズ除去される。
【
図8A】バンド外波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内波形の異なる時間ウインドウは、減算前に時間整列した推定バンド内ノイズにしたがって、ノイズ除去される。
【
図8B】バンド外波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内波形の異なる時間ウインドウは、減算前に時間整列した推定バンド内ノイズにしたがって、ノイズ除去される。
【
図8C】フィルタ後基準波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内波形の異なる時間ウインドウは、減算前に時間整列した推定バンド内ノイズにしたがって、ノイズ除去される。
【
図8D】フィルタ後基準波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。バンド内波形の異なる時間ウインドウは、減算前に時間整列した推定バンド内ノイズにしたがって、ノイズ除去される。
【
図8E】バンド外波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。ノイズ訂正を実施する際に、隣接スキャンラインまたは複製スキャンラインからの測定結果を採用する。
【
図8F】フィルタ後基準波形において検出したノイズに基づき入力波形上のノイズを減少させるシステム構成例を示す。ノイズ訂正を実施する際に、隣接スキャンラインまたは複製スキャンラインからの測定結果を採用する。
【
図9】ノイズ抑制のために構成した磁気共鳴撮像システムの例を示す。
【
図10A】心腔内エコーシステムを用いて取得した画像例を示す。
図10Aはノイズ源なしで取得した画像を示す。
【
図10B】心腔内エコーシステムを用いて取得した画像例を示す。
図10Bは電気解剖マッピングシステムが生成したノイズが存在するとき取得した画像を示す。
【
図10C】心腔内エコーシステムを用いて取得した画像例を示す。
図10Cはアブレーション生成器から生成したノイズ源存在するとき取得した画像を示す。
【
図11A】電気解剖マッピングシステムからのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図11Aはノイズ除去していない画像を示す。
【
図11B】電気解剖マッピングシステムからのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図11Bはノイズ除去した画像を示す。
【
図11C】減衰によってノイズ除去した後、電気解剖マッピングシステムからのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図11Cにおける緩和パラメータは0.5である。
【
図11D】減衰によってノイズ除去した後、電気解剖マッピングシステムからのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図11Dにおける緩和パラメータは1である。
【
図11E】減衰によってノイズ除去した後、電気解剖マッピングシステムからのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図11Eにおける緩和パラメータは1.5である。
【
図12A】アブレーション生成器からのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図12Aはノイズ除去していない画像を示す。
【
図12B】アブレーション生成器からのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図12Bはノイズ除去した画像を示す。
【
図13A】磁気トラッキングシステムからのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図13Aはノイズ除去していない画像を示す
【
図13B】磁気トラッキングシステムからのノイズが存在するとき取得した画像を示す。
図13Bはノイズ除去した画像を示す
【
図14】イメージングバンド内、ノイズ検出バンド内、および基準受信回路からの波形内の波形を参照するために用いるフレーズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の様々な実施形態と側面について、以下詳細に説明する。以下の説明と図面は本開示を説明するためのものであり、本開示の限定として解釈すべきではない。具体的な詳細部分によって本開示の実施形態を理解できるようにする。ただし場合によっては、本開示の実施形態を簡易に説明するために、既知のまたは既存の詳細部分については説明しない。
【0035】
本明細書において、用語「備える」「備えている」は包括的オープンエンドのものであり、排他的なものではないと解釈すべきである。具体的には、本明細書と特許請求範囲において、用語「備える」「備えている」とその派生語は、特定の特徴部分、ステップ、または部品が含まれていることを意味する。これら用語は、その他の特徴部分、ステップ、部品を除外するものと解釈すべきではない。
【0036】
本明細書において、用語「例」は「例、実施例、説明例としての役割を有する」ことを意味し、本明細書におけるその他構成よりも望ましいあるいは有利であると解釈すべきではない。
【0037】
本明細書において、用語「約」「略」は、値範囲の上下限内に存在する変形例をカバーすることを意味する。例えば特性、パラメータ、サイズの変形例である。明示しない限り、用語「約」「略」はプラスマイナス25%を意味する。
【0038】
明示しない限り、具体的な範囲やグループは、その範囲やグループの各メンバを個別に指し示す簡易的方法であるとともに、包含されるサブレンジまたはサブグループについても同様であることを理解されたい。明示しない限り、本開示は各メンバおよびサブレンジやサブグループの組み合わせを含むものである。
【0039】
本明細書において、用語「~のオーダ」を量またはパラメータとともに用いる場合、その量またはパラメータの約10分の1から約10倍の範囲を意味する。
【0040】
超音波イメージングは媒体からの受信エコーに依拠しており、オプションとして特定方向において媒体へ狭い音響パルスを送信する。本明細書において、用語「スキャンライン」は、媒体において撮像エネルギーを受信する空間方向を表すラインのことである。媒体内の複数のスキャンラインからエコーを受信することにより、2D画像が取得される。本発明者は、超音波取得および/または処理システムからの広帯域ノイズを効果的に減少させる様々な方法とシステムを考案・開発・テストした。
【0041】
図1Aを参照する。超音波撮像システムの例を示す。1以上の超音波トランスデューサ10を制御して、複数のスキャンライン12にわたって超音波撮像を実施する。トランスデューサ10は、制御処理ハードウェア100とのインターフェースを有し、制御処理ハードウェア100はオプションとして、トランスデューサ10による撮像エネルギーを生成および出射する送信器15を制御する。制御処理ハードウェア100は、トランスデューサ10が検出した超音波エネルギーを受信するように構成されている。超音波エネルギーは、Tx/Rx(送信-受信)スイッチ25を介して、1以上の増幅器20へルーティングされる。
【0042】
超音波トランスデューサ10はオプションとして、複数のスキャンライン12に対応する空間領域を撮像するように構成することができる。これは例えばトランスデューサ10の機械的スキャンによるものであり、あるいは撮像素子アレイを用いた電子的スキャンによるものである。撮像素子アレイは例えば、位相アレイ、リングアレイ、線形アレイ、マトリクスアレイ、曲線アレイ、などだがこれに限らない。後者の場合において、送信ビーム形成器26と受信ビーム形成器27を用いて、複数の送信信号を生成し、複数の受信信号をビーム形成できる。
【0043】
本明細書において、用語「受信回路」は一般に、送信ライン(例:同軸、PCBトレーシング、その他)、コネクタ、MUX/DEMUX、RX/TXスイッチ25、増幅器20、スリップリング、変換器、その他当該分野で知られている部品のことである。
【0044】
本明細書において、用語「トランスデューサ受信回路」は、使用時に超音波信号を受信するように構成された1以上の超音波トランスデューサ素子10と接続された受信回路を含む。
【0045】
本明細書において、用語「超音波受信信号チェーン」は受信回路を含むが、別の部品を含んでもよい。例えばアナログ-デジタルコンバータ(ADC)とデジタル処理部品および/または処理論理回路である。これは例えば、信号が画像へ変換され(例えばスキャン変換を介して)その後の画像処理に供されるプロセスに入る前におけるノイズ除去処理モジュール150を含むが、これに限らない。
【0046】
本明細書において、用語「チャネル」は、導電電気回路、無線チャネル、光チャネル、その他信号経路のことである。例えば
図1Aにおいて、検出撮像信号が交差する経路を示す撮像受信チャネル13を示している。システムは、トランスデューサごとに1つまたは複数の受信チャネルを用いることができる(例えば静電トランスデューサ素子またはそのグループごとにチャネルが存在する、アレイトランスデューサの場合)。信号受信チェーンに沿ってASICその他デバイスを用いて、1以上の静電トランスデューサ素子からのチャネルに沿って信号を多重化することもできる。
【0047】
「撮像モード」においてシステムは、トランスデューサ10を制御して、オプション的に媒体に対してエネルギーを送信し、撮像周波数帯域(「イメージングバンド」と呼ぶ)内の撮像エネルギーを検出するように構成することができる。イメージングバンドは、撮像エネルギーを検出する単一の連続周波数バンドまたは2以上の周波数間隔によって構成することができる。イメージングバンド内の撮像エネルギーまたはノイズは、「バンド内」にあるものとする。
【0048】
図14は、様々な波形を表すために用いるグルーピングと用語を示す。
【0049】
システムは、トランスデューサに接続された1以上のチャネルを介して、少なくとも1つの周波数バンドが少なくとも部分的にイメージングバンドを超えている1以上の別周波数バンド内のエネルギーを検出するように構成することもできる。これら1以上の別周波数バンドを「検出バンド」と呼ぶ。少なくとも部分的にイメージングバンドを超えている波形は、「バンド外」と呼ぶ。検出バンドがイメージングバンド内にある場合もある。完全にイメージングバンド内にあり、イメージングバンド全体のなかまたはイメージングバンドのサブバンド内にある周波数成分を有する波形は、「バンド内部」と呼ぶ。ノイズ検出バンドは、バンド外またはバンド内部である。撮像モードにおいてトランスデューサを用いるとき(すなわちトランスデューサが撮像エネルギーを検出するとき)、少なくとも1つの検出バンドを選択して、検出バンド内の信号対ノイズ比が実質的にイメージングバンドの信号対ノイズ比未満となるようにすることができる。例えば検出バンドは、イメージングバンドの半値全幅帯域の外にあり、あるいは用いる信号の最大強度未満の閾値に対応するその他の帯域の外にある。
【0050】
本明細書において、「撮像波形」は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信しているときまたは受信していると想定されるとき、撮像トランスデューサ受信回路から取得した波形(アナログまたはデジタルサンプリングしたもの)のことである。
【0051】
本明細書において、フレーズ「バンド内撮像波形」は、イメージングバンド内にある撮像波形(アナログまたはデジタルサンプリングしたもの)のことである。バンド内撮像波形は、撮像エネルギーを含み、また不要なノイズエネルギーを含むことが想定される。本開示の実施例において、ノイズなし画像を生成するために、バンド内撮像波形を処理してノイズエネルギーを除去する。
【0052】
本明細書において、フレーズ「検出バンド撮像波形」は、撮像トランスデューサ受信回路から取得し、1以上の検出バンド内に存在する波形のことである。検出バンド撮像波形は、バンド外またはバンド内部である。例えばイメージングバンド内にノイズが存在することを確認するために、バンド内部ノイズ検出撮像波形を用いることができる。より具体的には、「バンド内部ノイズ検出撮像波形」を用いて、イメージングバンド外のノイズ成分を有するノイズ源もイメージングバンド内のノイズ成分を有することを確認できる。少なくとも一部がイメージングバンド外にある検出バンド撮像波形は、「バンド外ノイズ検出波形」と呼ぶ。
【0053】
図1Aを参照する。トランスデューサ10が媒体に対してエネルギーを送信しておらず媒体からの撮像エネルギーを検出していないとき、システムは「ノイズ特性識別モード」に構成することができる。
【0054】
本明細書において、フレーズ「ノイズ特性識別波形」は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないとき取得した波形のことである。
【0055】
本明細書において、フレーズ「バンド内ノイズ特性識別波形」は、イメージングバンド内に存在し、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないとき撮像トランスデューサ受信チャネルから取得した波形のことである。
【0056】
本明細書において、フレーズ「検出バンドノイズ特性識別波形」は、ノイズ検出バンド内に存在し、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないとき撮像トランスデューサ受信チャネルから取得した波形のことである。少なくとも一部がイメージングバンド外にある検出バンドノイズ特性識別波形は、「バンド外ノイズ特性識別波形」と呼ぶ。全体がイメージングバンド内にある検出バンドノイズ特性識別波形は、「バンド内部ノイズ特性識別波形」と呼ぶ。
【0057】
本明細書において、フレーズ「ベースラインノイズ特性識別波形」は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信しておらず、選択したノイズ源がOFF(すなわちノイズを生成していない)であると想定されるとき取得した波形のことであり、これによりベースライン特性識別波形は選択したノイズ源のベースラインを提供する。イメージングバンド内のベースラインノイズ特性識別波形は、「バンド内ベースラインノイズ特性識別波形」と呼ぶ。ノイズ検出バンド内のベースラインノイズ特性識別波形は、「検出バンドベースラインノイズ特性識別波形」と呼ぶ。
【0058】
図1Aを参照する。オプションの基準受信回路11を配置することができる。同回路は、撮像時に反射超音波信号を受信しないように構成され、撮像時に1以上のトランスデューサ受信回路と結合したノイズ類似のノイズエネルギーを検出できる、受信回路を備える。基準受信回路は、1以上のトランスデューサ受信回路の部品を用いることができる(例えば基準受信回路とトランスデューサ受信回路は、増幅器またはADCの異なるチャネルを利用できる)。
【0059】
1実施例においてシステムは、1以上の基準受信チャネルを介して、イメージングバンド内のノイズを検出するように構成することができる。基準受信チャネルはオプションとして、反射超音波を変換せず撮像トランスデューサ受信回路が受信したノイズを検出するように音響絶縁または不活性化された基準超音波トランスデューサ(図示せず)と接続される。1以上の撮像トランスデューサ10と1以上の基準トランスデューサは、共通空間方向を向いている必要はない。
【0060】
1以上の基準トランスデューサ受信回路または基準電気受信回路(基準受信チャネル上)が受信した信号は、基準波形と呼ぶ。基準波形は主にノイズであり、撮像エネルギーではない。
【0061】
本明細書において、フレーズ「基準波形」は、1以上の基準受信チャネルから取得した波形のことである。基準波形をフィルタリングして、イメージングバンド内および/またはイメージングバンド外となるようにしてもよい。
【0062】
本明細書において、フレーズ「基準ノイズ検出波形」は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないかまたは受信していないと想定されるとき、基準受信チャネルから取得した基準波形のことである。
【0063】
本明細書において、フレーズ「基準ノイズ特性識別波形」は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないとき基準受信チャネルから取得した基準波形のことである。
【0064】
システムはオプションとして、検出バンド波形と基準波形の組み合わせを用いてノイズを抑制するように構成することができる。本明細書において、フレーズ「ノイズ検出波形」は、基準波形または検出バンド波形のことである。システムが撮像モードであり撮像トランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信しているかまたは受信していると想定されるとき、ノイズ検出波形は「ノイズ検出撮像波形」と呼ぶ。システムがノイズ特性識別モードであり撮像トランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信していないとき、ノイズ検出波形は「ノイズ検出特性識別波形」と呼ぶ。
【0065】
図1Aは1つのトランスデューサ素子を示しているが、
図1Aに示す実施形態は非限定的構成例を示すに過ぎず、複数静電素子を有するトランスデューサを使用可能であることを理解されたい。例えば1実施例において、複数のトランスデューサ素子を位相アレイまたは線形アレイまたは2Dアレイとして制御してもよい。さらにトランスデューサは、多次元2D断面画像または3D画像(経時的3D画像を有する4Dイメージングデータセットを含む)を生成するために撮像エネルギーを送信するものに限らず、フローのドップラ評価のために用いるトランスデューサ、超音波ビーコンとして用いるトランスデューサ(例:米国特許公開2016/0045184、発明の名称“Active localization and visualization of minimally invasive devices using ultrasound”が記載しているもの、同文献は参照によりその全体が本願に組み込まれる)、あるいは移動要素の位置を検出するために用いる超音波トランスデューサ(例:米国特許公開2012/0197113、発明の名称“Ultrasonic probe with ultrasonic transducers addressable on common electrical channel”が記載しているもの、同文献は参照によりその全体が本願に組み込まれる)を含む。
【0066】
トランスデューサは、
図1Aのように撮像エネルギーを送受信するものに限らず、他の手段によって励起した媒体から超音波エネルギーを受信するトランスデューサを含む。例えば光エネルギー(光音響イメージング)または別の超音波トランスデューサである。さらに、
図1Aは異なる方向における複数のスキャンラインに対応する空間領域を撮像する構成を示しているが、スキャンラインは単方向であってもよい。例えばMモードイメージングやドップラー撮像機器、パルス波や連続波ドップラーでフローを評価する場合である。
【0067】
1実施例において、1つのトランスデューサ受信チャネルは、イメージングバンド内の撮像エネルギーを受信するように構成されるとともに、同時に1以上のノイズ検出バンド内の別エネルギーを受信する構成されている。この別エネルギーは、少なくともバンド外ノイズを含む。別例において、1以上の撮像トランスデューサ受信チャネルを用いて、イメージングバンド内の撮像エネルギーを受信することができ、1以上のトランスデューサ受信チャネルを用いて、少なくとも一部がバンド外ノイズを含む1以上のノイズ検出バンド内の別エネルギーを受信することができる。別例において、1以上の基準受信チャネルを用いて、ノイズエネルギー(すなわち基準ノイズ検出波形)を受信しつつ、イメージングバンド内の撮像エネルギーから隔離することができる。基準受信チャネルは、撮像バンドパスフィルタを用いることにより、撮像トランスデューサ受信チャネルと同様にフィルタリングすることができる。これに代えて実施形態において、基準受信チャネルは全くフィルタリングしなくともよく、あるいは撮像バンドパスフィルタ以外のフィルタを用いてイメージングバンド内のノイズ推定を向上させてもよい。
【0068】
制御処理ハードウェア100は例えば、1以上のプロセッサ110、メモリ115、システムバス105、1以上の入力/出力デバイス120、複数のオプションデバイス(例えば通信インターフェース135、データ取得インターフェース140、ディスプレイ125、外部記憶装置130)、を備える。
【0069】
図1Aに示すシステム例は非限定的実施例であり、図示する部品に限定することを意図したものではないことを理解されたい。例えばシステムは、1以上の別プロセッサとメモリデバイスを備えてもよい。さらに、制御処理ハードウェア100の1以上の部品は、処理デバイスと接続した外部部品として提供してもよい。例えば図示するように、オプションの送信ビーム形成器26とオプションの受信ビーム形成器27は制御処理ハードウェア100の部品としてもよいし(点線で示す)、1以上の外部デバイスとして提供してもよい。
【0070】
本開示の側面のうちいくつかは、少なくとも部分的に、ソフトウェアによって実施することができる。このソフトウェアは、コンピュータシステムが実行したとき、コンピュータシステムが本明細書の信号処理とノイズ抑制方法(またはその変形例)を実施できる特定目的コンピュータとなるように構成する。すなわち本技術は、コンピュータシステムその他データ処理システムにおいてプロセッサに対する応答として実施できる。プロセッサは例えば、メモリ内の命令シーケンスを実行するマイクロプロセッサ、CPU、またはGPUである。メモリは例えば、ROM、揮発性RAM、不揮発性メモリ、キャッシュ、磁気ディスク、光ディスク、クラウドプロセッサ、その他リモート記憶デバイスである。さらにこの命令は、例えばコンパイル済リンクバージョンの形態で、データネットワークを介してコンピュータデバイスへダウンロードすることができる。これに代えて、上記プロセスを実施するロジックは、別コンピュータおよび/または機械読取可能媒体に実装することができる。例えば、大規模集積回路(LSI)、特定用途集積回路(ASIC)などのディスクリートハードウェア部品、あるいは電気的消去可能プログラム可能読取専用メモリ(EEPROM)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)などのファームウェアである。
【0071】
コンピュータ読取可能媒体を用いて、データ処理システムが実行したとき様々な方法を実施させるソフトウェアとデータを格納することができる。実行可能ソフトウェアとデータは、様々な場所に格納することができる。例えばROM、揮発性RAM、不揮発性メモリ、および/またはキャッシュである。このソフトウェアおよびデータの部分は、これら記憶デバイスのいずれにも格納することができる。一般に機械読取可能媒体は、機械(例:コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯情報端末、製造ツール、1以上のプロセッサセットを有する任意デバイス、など)がアクセスすることができる形態の情報を提供するメカニズム(すなわち格納および/または送信)を有する。
【0072】
コンピュータ読取可能媒体の例としては、例えば読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリデバイス、フロッピーその他リムーバブルディスク、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体(例:コンパクトディスク(CD)、デジタル汎用ディスク(DVD)、など)、ネットワークストレージ、クラウドストレージ、その他の記録可能メディアと記録不能メディアが挙げられるが、これに限らない。命令は、電気、光、音響その他形態の伝搬信号、搬送波、赤外線信号、デジタル信号、などのデジタルおよびアナログ通信リンクにおいて実施することができる。本明細書において、フレーズ「コンピュータ読取可能材料」と「コンピュータ読取可能記憶媒体」は、一時的伝搬信号を除くすべてのコンピュータ読取可能媒体のことである。
【0073】
本明細書の実施形態の多くは、環境測定したノイズに基づくノイズ除去フィルタの調整を用いる。実施例において、以下の実施例で説明する波形、データ、フィルタパラメータ、その他の関連情報のうち1以上をネットワークに送信し、リモート評価してノイズ除去フィルタの分析および/または最適化を実施することができる。最適化後、ノイズ除去フィルタアルゴリズムおよび/またはパラメータをシステムに送信して、ノイズ除去効果を向上できる。
【0074】
図1Aに示すように、制御処理ハードウェア100は、撮像処理モジュール145とノイズ抑制モジュール150を備える。画像処理モジュール145は、既知の画像処理方法(例えばスキャン変換)を実行するように構成しまたはプログラムすることができる。
【0075】
本実施形態のうちいくつかはリアルタイムノイズ除去できるような態様で記載しているが、ノイズ除去は後処理としてもよいことを理解されたい。例えばトランスデューサ受信チャネルまたは基準受信チャネル上のデータは、フィルタリング、包絡線検出、シフト、形状/位相または遅延調整、信号特性識別、減衰、減算、その他本発明の実施形態が説明するステップの前後において、デジタル化して格納することができる。
【0076】
図1Bは、制御処理ハードウェア100と受信チャネルが、画像生成前に撮像トランスデューサ受信チャネルから検出したバンド内撮像波形を処理するステップ例を示す。撮像トランスデューサ受信回路からの検出波形は、アナログ-デジタル変換(203)の前に増幅(201)およびフィルタリング(202)される。デジタル化後、バンドパスフィルタ200(複数のパスバンドとストップバンドを用いてもよい)を用いて検出波形をフィルタリングし、イメージングバンド内の信号を保持する。フィルタリングした波形の包絡線を包絡線検出器(210)によって生成する。得られた包絡線検出波形は、オプションとして間引くかまたは拡張し(220)、画像処理モジュールに対して提供して画像生成する(230)。
【0077】
図1Aを参照する。制御処理ハードウェア100は、1以上のノイズ除去モジュール150を備える。ノイズ除去モジュール150は、以下に説明するノイズ除去アルゴリズムにしたがって、検出したデータ(例:生RFデータ、包絡線データ、画像データ)を処理してノイズの影響を除去する命令を有する。以下に説明するように、本明細書のノイズ抑制アルゴリズムを用いて(ノイズ抑制モジュール150として
図1Aに示す)、1以上のノイズ検出波形を処理することに基づき、
図1Bに示す処理フローのステップにおいて、ノイズを除去または抑制する。アレイトランスデューサを用いるシステムの場合において、ノイズ抑制はビーム形成の前後いずれでもよい(または双方でもよい)。以下に説明する実施例において、画像データ(生波形、サンプリング波形、包絡線波形、フーリエ変換後信号、処理後画像データを含むが、これに限らない)のノイズ除去は、信号エネルギー測定(パワー、振幅、強度、その他信号強度の測定結果)またはノイズ検出波形の波形パターン測定(例えば基準受信チャネル上で検出したバンド外ノイズ検出撮像波形)に基づき実施される。ノイズ検出波形は多くの実施形態において撮像エネルギーを実質的に有しておらず、イメージングバンド内のノイズと相関または同時存在するノイズを含む。イメージングバンドノイズとノイズ検出波形によって検出したノイズとの間の1以上の関係を用いて、イメージングバンド信号を訂正してイメージングバンドノイズを除去または減少させる(例:抑制する)ことができる。
【0078】
<体内撮像のための基準受信回路の実装>
図1Cを参照する。超音波撮像システムの例を示す。被検者インターフェースモジュール(PMI)300を介して制御処理ハードウェア100に対して接続された体内撮像プローブ350を備える。体内超音波撮像デバイスは、1次元、2次元、または3次元領域から音響撮像エネルギーを受信するように構成することができる。これはオプションとして、機械的または電子的スキャンによる。
【0079】
撮像プローブ350は、近位端から離れた撮像部品353、少なくとも長さ方向の一部に沿って光導管354を通過する電気および/または光チャネル354、および近位端におけるコネクタ351を備える。本開示のため、撮像部品353は一般に、撮像エネルギー(例:音響信号または光信号)を検出して撮像部品に隣接する領域を撮像するための撮像プローブ350の部品または部品セットのことであるものとする。撮像部品はオプションとして、撮像エネルギーの1以上のエミッタを備え、撮像エネルギーの少なくとも1つの受信器を備える。例えば撮像部品は、音響エネルギーのエミッタかつ受信器である超音波撮像トランスデューサ10を備える。超音波撮像トランスデューサは、撮像部品上に取り付けることができる。撮像部品はオプションとして、体内超音波撮像プローブの中空シース内に収容された回転可能導管またはシャフト(例:トルクケーブル)352に取付または接続して、機械的スキャンを実施することができる。
【0080】
オプションのPIM300は、任意のワイヤまたは導管内で適当な撮像処理ユニット100に対してPIMケーブル320経由で信号伝送を可能とする。例えば撮像プローブ350が制御処理ハードウェア100に対して直接接続されていないときである。PIMは1以上の増幅器20を備え、これにより1以上のトランスデューサ受信チャネルからの信号を増幅する。PIMはオプションとして、回転可能導管354に対して回転動作を与えるモータ駆動ユニット301を備える。モータ駆動ユニット301は、プローブ350の信号を制御処理ハードウェア100に対して接続するスリップリング、回転変換器、その他の部品を備え、これにより撮像導管は回転でき、PIMケーブル320は回転しない。PIM300はオプションとして、撮像部品353が長手方向に移動できるようにするプルバック機構302または相互押し引き機構を備える。撮像部品の長手方向移動は、撮像導管を囲む外部シャフトの長手方向移動とともに生じ、または比較的安定した外部シャフト内部で生じる。
【0081】
撮像システム内の多くの電気部品は、環境ノイズ源からの不要なエネルギーを拾う可能性がある。そのような部品の例としては、撮像部品353、撮像導管352、モータ駆動ユニット301、PIMケーブル320が挙げられる。撮像受信回路が検出するノイズと相関するノイズを検出する1以上の基準受信回路は、バンド内ノイズを抑制するために有用である。以下は超音波撮像システムの撮像信号のノイズ除去のための基準受信回路の実施例である。
【0082】
図1Dは、撮像トランスデューサが撮像プローブ350内で1以上の非撮像基準トランスデューサ361へ複製されている実施例を示す。基準トランスデューサは、光導管352とコネクタ351を通過する、自身の電気チャネル360を有する。基準トランスデューサ361は、エポキシその他の音響減衰材料362によってコートし、これにより受信撮像エネルギーから音響的に隔離することができる。これに代えて、ピエゾ素子を非極化して不活性化し、あるいは音響的に反応する基板と置き換えることができる。この実装は、音響撮像エネルギーを受信するように構成された超音波トランスデューサ素子が複数存在するアレイトランスデューサへ拡張することができる。アレイの1以上の素子を音響的に反応しないようにし、これにより音響撮像エネルギーを反射せず基準とタンスデューサ受信回路として機能するようにできる。
【0083】
図1Eは、それぞれ別の電気チャネル370と354を有する2以上の撮像トランスデューサを撮像プローブが備える実施例を示す。2以上の撮像トランスデューサは、実質的に重ならないスペクトル帯域幅において音響撮像エネルギーを受信する感度を有する。例えば第1トランスデューサは周波数10MHz周辺の音響エネルギーを受信するように構成され、第2トランスデューサは周波数40MHz周辺の音響エネルギーを受信するように構成される。10MHzトランスデューサの40MHzバンドは40MHzトランスデューサの基準ノイズチャネルとして作用し、同様に、40MHzトランスデューサの10MHzバンドは10MHzトランスデューサの基準ノイズチャネルとして作用する。
【0084】
図1Fは、撮像トランスデューサ受信チャネルが撮像プローブ内で基準受信回路によって複製されている実施例を示す。基準受信回路はオプションとして、抵抗器、インダクタ、キャパシタ、および/またはその他部品の組み合わせを備えてもよい。これらは、基準電気回路381の電気インピーダンスが撮像トランスデューサ受信回路のインピーダンスと合致するように構成され、あるいは、基準電気回路のノイズ感度がトランスデューサ受信チャネルのノイズ感度と同様になるように構成されている。この実施形態の利点は、実際の超音波トランスデューサを必要としないことにより、低コストであり、製造し易く、基準電気回路381の部品を小型化しやすいことである。さらに、基準受信回路の一部は別の目的のために作用することができる。例えばエネルギーを送信してアクチュエータを駆動する(例えば磁気アクチュエータなどだが、これに限らない)、信号を搬送する(位置検出のための磁場から生じた温度、圧力、電流などを含むが、これに限らない)、などである。このように、基準ノイズ検出波形を収集して撮像信号のノイズ減少させる以外の目的で基準受信回路を用いることにより、小型化が容易となり、コストが低くなり、および/または機能性が改善する。
【0085】
図1Gは、基準受信回路391がPIM内で終端している実施例を示す。PIM内は撮像受信チャネルと同様に、モータ駆動ユニットとPIMケーブルが受信したノイズを受ける。トランスデューサ受信回路の一部のみが複製されている。基準ノイズ検出をオプションとして検出バンド(バンド外またはバンド内部)ノイズ検出とともに用いて、撮像トランスデューサ受信チャネルからのバンド内撮像波形のノイズをさらに減少させてもよい。
【0086】
検出バンド波形がノイズ検出波形として用いられる実施形態は、基準回路または基準トランスデューサを用いて基準波形を生成する実施形態よりも製造コストが小さい。前者は基準チャネルの物理的実装が必要ないからである。例えば撮像プローブまたはその一部が被検者間で繰り返し用いられない場合である。基準チャネルからのノイズ検出波形は、ノイズ除去の撮像システムにおいてより効果的である場合がある。この波形は撮像バンド内のノイズについての情報を提供でき、他方でバンド外ノイズ検出波形はバンド内ノイズの直接推定結果を提供しない代わりに、少なくとも部分的にバンド外特性に基づきバンド内特性を推定することができるノイズに依拠するからである。
【0087】
検出バンド波形または基準ノイズ検出波形を用いて取得したノイズ推定結果を用いて、1以上の撮像チャネル内のノイズを減少させることができる。例えば複数の静電素子がある位相アレイトランスデューサにおいて、1つの基準受信チャネルまたは1つのバンド外ノイズ検出波形を用いて、静電素子の全てまたはサブセットが収集可能なノイズを推定することができる。したがって同じノイズ推定方式が、静電素子の全てまたはサブセットから収集した信号に対して適用される。
【0088】
<ノイズ測定>
本開示の以下のセクションは、バンド外ノイズ検出、基準チャネルノイズ検出、またはバンド外ノイズ検出(バンド内ノイズ検出によって補足することもできる)と基準チャネルノイズ検出の両方に基づくバンド内画像データのノイズ除去を実施する複数の実施形態について説明する。
【0089】
以下の実施例とともに説明するように、ノイズ検出波形の測定結果からノイズ測定結果および/またはノイズ特性を決定して、イメージングバンド内の信号対ノイズ比を増やすことができる。ノイズ想定の非限定的例は以下の通りである:
・ノイズ検出撮像波形とバンド内撮像波形のエネルギー測定(振幅、振幅の2乗平均平方根、平均パワー);
・2以上のノイズ検出バンドにおけるエネルギー測定;
・ノイズ検出波形の時間特性、スペクトル特性、および/または時間-周波数特性;ノイズ検出波形を用いて生成した画像の空間または空間-時間パターン、パターンを表しまたは特性識別する特徴量またはパラメータを含む;
・ノイズ検出撮像波形の時間特性、スペクトル特性、および/または時間-周波数特性、および、バンド内撮像波形内に同時に存在するパターン、これらパターンを表す特徴量を含む;ノイズ検出波形を用いて生成した画像内の空間または空間-時間パターン、および、撮像トランスデューサチャネルからのバンド内撮像波形から生成した画像内に同時に存在する空間パターン、パターンを表しまたは特性識別する特徴量またはパラメータを含む;
・波形特性(例えばエネルギー)に基づき取得したパラメータを用いて決定または制御するフィルタパラメータ、およびノイズ検出波形において検出した高調波ピークのスペクトル間隔。
【0090】
実施例において、ノイズ特性の推定は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないとき実施できる(例:超音波パルスの直近出射からの超音波エネルギーが観葉から消滅したと想定される後)。これに代えてノイズ特性の推定は、撮像エネルギーが検出されていると想定される撮像中において実施できる(例:トランスデューサが画像取得モードのとき)。ノイズ特性が撮像エネルギーのないとき測定される実施例において、そのノイズ特性を間欠的に更新して、ノイズ特性の時間依存変化に適応し補償することができる。
【0091】
<撮像エネルギーが存在しない測定を用いたノイズ除去>
ノイズ除去実施形態は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信しているときにおけるノイズ検出波形からのエネルギーの測定と使用をともなうが、別実施形態は、撮像エネルギーが存在しない期間において取得したノイズ検出波形からの測定結果を用いるか、またはこれらの組み合わせを用いる。
【0092】
図5Aは、その実施形態を示す。トランスデューサ受信チャネルが撮像エネルギーを受信していない間においてノイズ特性識別を実施し、その結果得られるノイズ特性を用いて、トランスデューサ受信チャネルが撮像エネルギーを受信していない間において取得したバンド内撮像波形のノイズ除去を可能とする。ノイズ特性識別ステップは通常、ノイズ除去した画像データの取得および処理の前に実施するが、画像データを適当に記録することにより、ノイズ特性識別において収集した情報を、その記録した画像データに対して事後的に用いることができる。
【0093】
本実施例の方法にしたがって、少なくとも1つのトランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信していないことが想定されまたは既知である第1時間ウインドウにおいて、トランスデューサ受信回路におけるエネルギーを検出し、これにより撮像トランスデューサ受信チャネル13が検出した波形はノイズ405とみなされる。検出した波形は200と410においてフィルタリングされ、これによりバンド内ノイズ特性識別波形407と検出バンドノイズ特性識別波形408を生成する。
【0094】
バンド内ノイズ特性識別波形と検出バンドノイズ特性識別波形を処理して、そのノイズ特性を識別する(420に示す)。例えばノイズ特性識別420を用いて、ノイズを特性識別する特性パラメータ430を生成することができる。ノイズ特性識別パラメータとして適している例は、以下の実施形態で説明する。
【0095】
オプションとして、少なくとも1つのトランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信していないことが予測されまたは既知であり、特定のノイズ源が選択的にOFFであることが既知であって撮像トランスデューサ受信チャネル13が検出した波形が選択ノイズ源のベースラインとみなされるとき、別のベースラインノイズ特性識別ステージにおいて、トランスデューサ受信回路でエネルギーを検出することができる。検出したベースラインノイズ特性識別波形をフィルタリング(200と410)することにより、バンド内ベースラインノイズ特性識別波形407と検出バンドベースラインノイズ特性識別波形を生成する。ノイズパラメータ430は、ベースラインノイズ特性識別ステージにおいて取得したパラメータを含む場合もあることを理解されたい。
【0096】
特性識別ノイズパラメータは、撮像セッション前または撮像セッション中に計算することができ、あるいはローカル・リモート記憶デバイス(ネットワークドライブ、クラウドなど)上に配置した事前格納データベースから取得できる。
【0097】
撮像エネルギーがないときノイズを特性識別した後、特性パラメータ430を用いて、トランスデューサが撮像エネルギー受信中に検出したバンド内撮像波形437のノイズ除去を実施することができる。撮像(435)中に撮像トランスデューサ受信チャネルから検出した波形は、撮像エネルギーとノイズを含んでおり、これをフィルタリング(200と410)することにより、バンド内撮像波形437と検出バンド撮像波形438を生成する。したがってバンド内撮像波形437は、検出した撮像エネルギーとノイズを含み、検出バンド撮像波形438はバンド内撮像波形437内に存在する可能性があるノイズに関する情報を含む。ノイズ特性識別ステージにおいて取得した特性パラメータ430を用いて、バンド内撮像波形内のノイズを検出および/または推定し(440)、バンド内撮像波形のノイズ抑制(500)を実施する。ノイズ特性識別パラメータを用いてノイズ抑制する適当な例は、以下の実施形態で説明する。
【0098】
図5Bは、基準受信チャネル(例えば
図1Aが記載している基準受信チャネル)を用いてノイズを検出して基準ノイズ特性識別波形406を生成する、別実施形態を示す。基準ノイズ特性識別波形をフィルタリング(202)して、フィルタ済基準ノイズ特性識別波形409を生成する。1実施例において、基準チャネルフィルタは撮像バンドパスフィルタである。これに代えて、ノイズ推定がバンド外ノイズの入力によるものである場合、基準チャネルフィルタは撮像バンドパスフィルタ以外であってもよい。基準ノイズ特性識別波形409、およびオプションとしてバンド内ノイズ特性識別波形407をステップ420において処理して、ノイズ特性識別パラメータ430を提供する。
【0099】
撮像中において、基準波形436を検出し、オプションとしてフィルタリングして、フィルタ済基準ノイズ検出波形439を生成する。ノイズ特性識別ステージにおいて取得した特性パラメータ430を用いて、バンド内撮像波形437内のノイズを検出および/または推定(440)し、バンド内撮像波形437のノイズ抑制(500)を実施する。別実施例において、検出バンド撮像波形438(
図5Aに示す)とフィルタ済基準ノイズ検出波形439を両方処理して、バンド内撮像波形437内に存在する可能性があるノイズについての情報を提供する。
【0100】
実施例において、ノイズ抑制は以下の方法のうち1以上を用いてバンド内撮像波形を処理することにより実現できる:イメージングバンド内の信号から推定ノイズを差し引く;イメージングバンド内の信号に減衰係数を乗算することにより、推定ノイズエネルギーを減衰させる;イメージングバンド内の信号をフィルタリングする。例えば減算量は、バンド外ノイズ検出撮像波形内で検出したパワー量に比例する。別例として減衰係数は、バンド内撮像波形内のノイズ量に対応する測定結果に逆比例し、これによりバンド内撮像波形のノイズ関連部分を減衰させる。
【0101】
ノイズ特性識別(例えば
図5A~5Bの420に示すもの)は、1回実施してもよいし、これに代えて連続的に複数回実施してもよい。例えばノイズ特性識別を間欠的に実施して(例:周期的または不規則実施)、ノイズ特性の時間依存変化に適応および補償してもよい。
【0102】
ノイズ特性識別を実施しているとき、ノイズ特性識別のために収集したノイズ特性識別波形を複数の個別アレイ(例えばそれぞれ十分長く、超音波撮像の1つのスキャンラインに沿った画像データを格納できるアレイ)においてデジタル化および収集してもよいし、大規模アレイ、循環バッファ、その他データ構造に格納する1以上のデータストリームとしてより連続的な態様で収集してもよい。
【0103】
実施例において、ノイズ特性識別は例えば、撮像セッション開始時またはユーザが画像品質の劣化を発見もしくは疑っているとき、ユーザが開始してもよい(例:ボタン押下により)。
【0104】
別実施例において、ノイズ特性識別は、撮像エネルギーの不存在を検出したとき、自動的にトリガしてもよいしユーザが促してもよい。例えばバンド内撮像波形とノイズ検出撮像波形との間の相対エネルギーがある期間にわたって変化せず規定範囲内にあるとき、撮像エネルギー不存在の周期を検出することができる。撮像エネルギー不存在の周期は例えば、ノイズ訂正(501)後におけるバンド内撮像波形のエネルギーが規定閾値未満であるとき(これは撮像エネルギー不存在を示唆している)、検出できる。
【0105】
ノイズ特性識別ステップ420は、ノイズ除去アルゴリズムがシステムに対して悪影響する可能性があるような態様でノイズプロファイルが変化したことを、ユーザやシステムに対してアラートするために用いることもできる(新たなノイズ源が検出された場合、ノイズ抑制モジュール500はバンド内信号の抑制を誤って実施するかまたはバンド内ノイズ抑制の効果が減少する)。例えばノイズ検出波形(例:
図5Aのバンド外ノイズ検出波形438または
図5Bの基準ノイズ検出波形439)を処理して、ノイズ特性が変化したことを判定できる。例えばノイズ抑制を実施しているとき、オプションとして、ノイズ検出波形の特性(例えばピークエネルギー、パワー、周波数コンテンツ巣ループ、スキュー、尖度、ヒストグラム、その他の指標)を監視するノイズ監視モジュールを用いることができる。ノイズ検出波形の特性が変化した場合(例:ピークエネルギーが閾値を超えた場合)、ノイズ監視モジュールはシステムのその他部分と通信して(例えばメッセージ、割り込み、アラーム、その他によって)、ノイズコンテンツが変化した旨をアラートできる。
【0106】
別実施例において、ノイズ特性識別ステージにおけるエラー値を評価することができる。この場合、撮像エネルギーが存在しないときバンド内撮像波形に対してノイズ抑制を実施し、エラー値はノイズ訂正後におけるバンド内撮像波形のエネルギーである。エラー値が規定閾値を超えている場合、アラートを生成する。アラートはノイズを改めて特性識別することを促し、あるいはシステムは、ノイズ除去アルゴリズムにおいて、1以上のバンド外ノイズ検出バンドまたは1以上の基準受信チャネルを無視してもよい。
【0107】
ノイズ特性識別420は、環境内のノイズ源を判定するために用いることもできる。ノイズ源は例えば、
図7Aのステップ570に示すパターン認識器によって判定することができる(実施形態4において詳述する)。ノイズ源についての情報は例えば、データベース(ローカルまたはネットワーク上)にアクセスしてノイズ抑制のためのパラメータを選択し、あるいは使用するノイズ抑制方法のシーケンスを決定するために用いることができる。例えばまず周期的ノイズを除去し(実施形態6、
図8A~
図8Dで詳述する)。次に周期性が低いノイズを除去することが望ましい。
【0108】
別例として、ノイズ特性識別は、アブレーションプロセスにおいて用いている電気解剖マッピングシステムのタイプを検出するために用いることができ、あるいは無線周波数エネルギーを用いてアブレーションを実施して不整脈を治療するアブレーションカテーテルの起動と停止を検出するために用いることもできる。これは例えば、
図7Aのステップ570が示すパターン認識器によって実現できる。1以上のノイズ検出波形はさらに、使用しているアブレーションエネルギーの時間長や相対強度や周波数を検出することができる。この情報は体内撮像システムにとって有用である。ノイズ源(例えばアブレーションカテーテル)がいつ起動されたのかについての情報によって撮像データセットにタグ付けできるようにするからである。
【0109】
ノイズ抑制(例えば
図5A~
図5Bの500)は、1回実施してもよいし、複数回実施してもよいし、間欠的または連続的に実施してもよい。例えばノイズ抑制はユーザが起動してもよい。これに代えてノイズ抑制を間欠的に実施することにより(例:周期的または非周期的)、時間依存ノイズ源を補償してもよい。別例としてノイズ抑制は、ノイズを出力する外部デバイスが制御してもよい。例えばノイズ抑制は、RFアブレーション生成器の制御によって起動または停止し、これによりRFエネルギーが伝搬するときノイズ抑制を実施するようにしてもよい。
【0110】
以下の実施形態は、1つの撮像波形と1つのノイズ検出波形について説明する。これら実施形態は複数の撮像波形および/または複数のノイズ検出波形へ拡張できることを理解されたい。
【0111】
<実施形態1:包絡線検出バンド外ノイズ抑制に基づくノイズ抑制(オプション:振幅、形状、および遅延訂正)>
図2Aを参照する。バンド外ノイズ検出波形438を用いて、抑制演算子525を介したバンド内撮像波形437のノイズ抑制を実施する方法例を示す。1実施例において抑制演算子は、バンド内撮像波形437から推定ノイズを減算する減算器である。別例において前記抑制演算子は、推定ノイズから導出した減衰係数によってバンド内撮像波形を減衰させる減衰器である。1以上のトランスデューサ受信チャネルを用いて撮像エネルギーを検出し、検出したエネルギーはイメージングバンドとノイズ検出バンドをともに含む。波形をデジタルサンプリング、分離(またはコピー)、およびフィルタリングすることにより、サンプリングしたバンド内撮像波形437とサンプリングしたバンド外ノイズ検出撮像波形438を取得することができる。サンプリング波形は、時間ウインドウ内で受信したサンプルセットとして検出することができる。例えば超音波撮像の場合、リスニングウインドウは超音波トランスデューサがパルス出力した直後またはわずかに後であり、これにより隣接環境に対してエネルギー照射できるようにする。パルス出力は1以上のパルス送信に対応する。
【0112】
図2Aに示す実施例において、撮像バンドパスフィルタ200と、イメージングバンド外に広がる周波数を有するノイズ検出バンドフィルタ410を用いて、撮像波形435を(デジタルまたはアナログ)フィルタリングする。次にバンド内撮像波形437とバンド外ノイズ検出撮像波形438に対して包絡線検出を実施する。これは210と411に示すものである。
【0113】
図2Aに示す実施例において、バンド外ノイズ検出撮像波形438を用いて、バンド内撮像波形437のノイズを抑制する。抑制処理の前に、包絡線検出したバンド外ノイズ検出撮像波形438の振幅を、オプションとしてスケーリングし(510に示す)、これによりイメージングバンド内部のノイズパワーとノイズ検出バンドとの間の差分を補償する。1実施例において、撮像エネルギーが存在しないとき(すなわちノイズ特性識別ステージ)決定したノイズのパワースペクトルに基づき振幅調整係数を決定する。別実施例において、演算子により振幅調整係数を選択または変更して所望レベルのノイズ抑制を実施し、あるいは相互相関580の後に決定してもよい(後述)。
【0114】
抑制処理の前において、その他の線形または非線形時間スケーリング関数を用いて(510に示す)、包絡線検出したバンド外撮像波形を時間的に膨張、圧縮、または形状調整し、これにより、イメージングバンドとノイズ検出バンドとの間のノイズ波形形状の差分を補償してもよい。
【0115】
510に示すように、ノイズ抑制前において包絡線検出したバンド外ノイズ検出撮像波形に対して遅延訂正を適用するのも有用である。例えば2つのバンドパスフィルタ200と410は、入力波形を同様に変換しない。バンドパスフィルタまたはノイズそのものの特性は、ノイズのオフセットをもたらす場合がある。これらはバンドパスフィルタを通じて伝搬するからである。遅延訂正がない場合、ノイズは抑制前にエラーをもたらすようにシフトし、これはノイズ抑制信号に対して悪影響を及ぼす。
【0116】
1実施例において、バンド内撮像波形とバンド外撮像波形との間で相互相関を計算し、相互相関が最大の点における波形を揃えることにより、遅延調整を実施することができる。換言すると、相互相関を用いて、バンド内撮像波形とバンド外撮像波形の包絡線の相対的時間ずれを訂正するための時間遅延訂正値を判定することができる。
【0117】
時間遅延訂正値と振幅訂正値は、複数のサンプリング後バンド内撮像波形と(同時に存在する)サンプリング後バンド外ノイズ検出撮像波形(「アレイ」と呼ぶ)を用いて、あるいはサンプリング後バンド内撮像波形と(同時に存在する)サンプリング後バンド外ノイズ検出撮像波形の1以上の時間ウインドウにおいて、計算することができる。
【0118】
1実施例において、バンド外ノイズは複数のノイズ検出バンドとして照会することができ、複数のノイズ検出バンド間における周波数に対するパワーの依存性を用いて、ステップ525におけるノイズ抑制のために、イメージングバンド内に存在するノイズパワーを推定するための適切な振幅調整を選択することができる。例えば複数のノイズ検出バンド内の平均ノイズパワーを、周波数に対する関数依存性にフィッティング(例えば線形フィッティング)して、イメージングバンド内のノイズパワーを推定することができる。この周波数に対する関数依存性は、撮像エネルギーが存在しないとき(すなわちノイズ特性識別ステージ420)判定できる。
【0119】
<別実施形態:周波数シフトしたバンド外ノイズ検出波形を用いることに基づくノイズ抑制(オプション:振幅、形状、および遅延訂正)>
図2Bは、遅延および振幅調整の前にバンド外ノイズ検出撮像波形を周波数シフトする、減算または減衰ノイズ訂正方法の別実施例を示す。530に示すように、バンド外ノイズ検出撮像波形に対して周波数シフト演算(例えば複素指数を乗算することによる)を実施して、バンド外ノイズ検出撮像波形のスペクトルをシフトさせ、これによりイメージングバンド内となるようにするかまたはイメージングバンドと重なるようにする。
【0120】
周波数シフト演算530は、周波数シフトしたノイズ検出波形の中心周波数がイメージングバンドの中心周波数と合致または略等しくなるように、実施することができる。例えばイメージングバンドが7~13MHzである場合、中心周波数fc1は10MHzである。ノイズ検出バンドが15~25MHzである場合、ノイズ検出バンドの中心周波数fc2は20MHzである。したがって周波数シフト演算は、バンド外ノイズ検出撮像波形がfc2-fc1=10MHzシフトするように実施することができる。これに代えて周波数シフトは、周波数シフトバンド外ノイズ検出撮像波形の中心周波数が、イメージングバンド内(バンド内ノイズの一部が存在することが想定されまたは既知である)の周波数と合致するかまたは略等しくなるように実施することができる。
【0121】
周波数シフト後、別ステージのバンドパスフィルタ203を実施して、和周波数の影響をフィルタリングする(上記例において、和周波数はfc2+10MHz=30MHzである)。周波数シフトは
図2Aに示す包絡線検出の実施形態において有用である。周波数シフトは、イメージングバンドとノイズ検出バンドの間でノイズのよりよい相関をもたらし、ノイズ抑制が向上するからである。
図2Bに示す実施例において、ノイズ抑制後に包絡線検出210を出力信号501に対して適用して、ノイズ抑制した信号包絡線520を取得できる。
【0122】
<基準ノイズ信号を用いることに基づく別実施形態>
図2Cを参照する。基準受信チャネル(基準受信回路を用いる)を介して検出したバンド内ノイズを用いて、抑制演算子(すなわち減算器または減衰器)を介してバンド内撮像波形のノイズを抑制する方法例を示す。1以上の撮像トランスデューサ受信チャネルを用いて撮像エネルギーを受信し、1以上の基準受信チャネルを用いてノイズエネルギー(すなわち基準波形)を受信する。このノイズエネルギーは、撮像トランスデューサ受信チャネルが受信するノイズエネルギーと相関することが想定される。
【0123】
波形をデジタルサンプリングし、これによりサンプリングしたバンド内撮像波形とサンプリングしたフィルタリング後基準ノイズ検出波形を取得する。これに代えてノイズ抑制は、アナログ電子部品で実施してもよい。例えばアナログ信号加算器に対する基準受信回路からの入力を、遅延・スケール・および形状調整器ブロック510で反転させ、これにより推定ノイズを減算する。アナログ信号抑制の別実施形態として、抑制処理は時間変動ゲインを有する増幅器として実装できる。このゲインは基準受信チャネルが受信したノイズによって変調される。
【0124】
図2Cに示す実施例において、撮像トランスデューサ受信チャネルと基準受信チャネルからの入力波形は、撮像バンドパスフィルタ200とオプションの基準チャネルフィルタ202を用いてフィルタリング(デジタルまたはアナログ)され、これによりバンド内撮像波形とともにフィルタリング後基準ノイズ検出波形をそれぞれ提供する。上述のように、基準チャネルフィルタ202は撮像バンドパスフィルタ200と同様のものである。210と411に示すように、フィルタリング後信号に対して包絡線検出をオプションとして実施する。
図2Cの実施例において、基準ノイズ検出波形(基準受信チャネルが測定したもの)を用いて、バンド内撮像波形のノイズを抑制する。バンド内撮像波形(またはその包絡線)からの減算またはバンド内撮像波形(またはその包絡線)を減衰させる前において、フィルタリング後基準ノイズ検出波形(またはその包絡線)の振幅をオプションとして振幅調整係数によってスケーリングし(510に示す)、これによりフィルタリング後基準ノイズ検出波形とバンド内撮像波形内のノイズパワーの差分を補償する。1実施例において振幅調整係数は、撮像エネルギーが存在しないとき(すなわちノイズ特性識別ステージ)決定したノイズのパワースペクトルに基づき決定できる。別実施例において、振幅調整係数を演算子によって選択して所望レベルのノイズ抑制を提供し、または相互相関580の後に決定できる。
【0125】
510に示すように、減算前において、包絡線検出後・フィルタリング後基準ノイズ検出波形に対して遅延訂正を適用するのが有用である。1実施例において遅延調整は、バンド内撮像波形とフィルタリング後基準ノイズ検出波形との間の相互相関を計算し、相互相関が最大の点において波形を揃えることにより、実現できる。先の実施形態と同様に、時間遅延訂正値と振幅訂正値は、複数のバンド内撮像波形と(同時存在する)基準ノイズ検出波形を用いて、またはバンド内撮像波形と(同時存在する)基準ノイズ検出波形の1以上のウインドウにおいて、計算することができる。
【0126】
<実施形態2:基準受信チャネルからの基準ノイズ検出波形を適応フィルタに対する入力として用いたノイズ抑制>
図3Aは、基準ノイズ検出波形に基づきバンド内撮像波形に対してノイズ抑制訂正を適用することにより、動的ノイズ制御(ANC)方式において適応フィルタを用いるノイズ訂正方法の実施例を示す。基準ノイズ検出波形は、撮像トランスデューサ受信回路が検出したノイズと相関している。基準ノイズ検出波形はフィルタリング(202)され、撮像トランスデューサ受信チャネルからの波形はフィルタリング(200)される。望ましい実施形態において、バンド内撮像波形と基準ノイズ検出波形は、同じバンド内でフィルタリングされる(例:体内心エコー撮像システムの例において7~13MHz)。
【0127】
適応フィルタは、変数パラメータが制御する伝達関数を有する線形フィルタであり、最適化アルゴリズムにしたがってそのパラメータを調整する手段である。適応フィルタは通常、デジタル有限インパルス応答(FIR)フィルタまたは無間インパルス応答(IIR)フィルタである。動的ノイズ制御(ANC)方式を主入力に対して適用する。主入力は、信号と相関しないノイズ(N)の存在によって破損する信号源からの信号(S)を受信する。基準入力は、信号と相関しないが主入力ノイズ(N)と何らかの形で相関するノイズ(Nr)を受信する。基準ノイズは適応フィルタを通過して、主入力ノイズ(N)の推定結果である出力ノイズ(Nestimate)を生成する。ノイズ推定結果を破損信号から減算して、ノイズ抑制信号(Sestimate)の推定結果を生成する。適応フィルタは、その係数を動的調整して、出力パワーE[Sestimate
2]を最小化する。信号SはNおよびNrと相関せず、ノイズNはノイズNrと相関するので、総出力パワーを最小化することによって信号対ノイズ比を最大化できる。最小化アルゴリズム(例えば確率的最小2乗法(LMS)や決定的反復最小2乗法(RLS)アルゴリズム)を用いて、出力ノイズパワーを最小化するフィルタ係数を発見できる。
【0128】
図3Aに示すANC方式の例において、撮像エネルギーから隔離されている基準受信回路を用いて、基準受信チャネルを介して基準ノイズを測定する。主入力は、撮像トランスデューサ受信チャネル13からの入力波形に対して撮像バンドパスフィルタ200を適用することによって取得される。基準入力Nrは、基準受信チャネルを介して取得した基準ノイズ検出波形に対して基準チャネルフィルタ202を適用することによって取得される。
【0129】
<別実施形態:バンド外ノイズを用いた動的ノイズキャンセル>
重なる周波数バンド(および共通周波数バンド)内で基準ノイズ検出波形とバンド内撮像波形を検出および処理する、上記動的ノイズ制御の形態とは異なり、
図3Bと
図3Cは、適応フィルタ540によってバンド内撮像波形に対してバンド外ノイズ検出撮像波形を用いてノイズ抑制訂正を適用する、ノイズ訂正方法の実施例を示す。
【0130】
主入力は、撮像トランスデューサ受信チャネルからの入力波形に対して撮像バンドパスフィルタ200を適用し、包絡線210を取得することによって取得される。
図3Bと
図3Cに示す実施例において、バンド外ノイズ検出撮像波形は、撮像トランスデューサ受信チャネルからの入力波形に対して検出バンドフィルタ410を適用することによって取得される。
【0131】
図3Bにおいて、バンド外ノイズ検出撮像波形は、包絡線検出411を介して復調され(
図2Aの実施形態と同様の手法により)、これによりANCの基準入力を取得する。
【0132】
図3Cにおいて、バンド外撮像波形は
図2Bの実施形態と同様の手法によりイメージングバンド(例:7~13MHz)へ周波数シフト(530)され、撮像バンドパスフィルタ203を用いてフィルタリングされ、これによりANCの基準入力を取得する。
【0133】
<実施形態3:バンド内波形の可変フィルタに対する入力として検出バンド波形を用いた、周波数シフトに基づくノイズ抑制>
図4は、動的フィルタ550を用いてバンド内撮像波形をフィルタリングするノイズ訂正方法の実施例を示す。動的フィルタは、バンド外ノイズ(オプションとして、イメージングバンドの全部または一部の内部のノイズを含むバンド内部ノイズ検出撮像波形)を含むバンド外ノイズ検出撮像波形の処理後にフィルタ係数を更新するフィルタ更新アルゴリズム560によって制御される。上記実施形態(
図2Bと
図3B)と同様に、
図4に示すように、入力波形は撮像バンドパスフィルタ200とノイズ検出バンドパスフィルタ410によって個別にフィルタリングされ、これによりバンド内撮像波形437および少なくとも1つのバンド外ノイズ検出撮像波形(バンド外ノイズ438を含む)を生成する。1以上のバンド外ノイズ検出撮像波形は、フィルタ更新アルゴリズム560によって処理される。
【0134】
フィルタ更新アルゴリズムは、バンド外ノイズを分析し、信号特性を評価する。これは例えば、波形アレイに対してフーリエ変換を実施し、最大スペクトルとこれが生じる周波数を識別することによる。フィルタ更新アルゴリズムは、この情報を用いて、撮像波形をフィルタリングする動的デジタルフィルタ(550)の係数を制御できる。
【0135】
1実施例において、本方法を用いて、高周波ノイズを含む信号をノイズ抑制できる。例えば高周波ノイズは、周波数ドメインにおいてスペクトルラインの間隔がパルス繰り返し周波数に依拠するスイッチング矩形パルス源から生じる。パルス幅変調源は、3~40MHzバンドのノイズを生成し、イメージングバンドは7~13MHzであり、動的フィルタ550はコムフィルタまたは複数ノッチフィルタである。フィルタ更新アルゴリズム560は、ノイズ検出バンドからの信号を処理し(例:15~25MHzにおいて見られるスペクトルライン間隔と位置を評価する)、この情報を用いて動的バンド内フィルタ550のストップバンドを制御して、高調波ノイズを除去または抑制できる。
【0136】
バンド外ノイズを用いて動的フィルタを更新することに加えて、フィルタ更新アルゴリズム560および/または動的フィルタ550はオプションとして、バンド内部ノイズ検出撮像波形をプローブして、イメージングバンド内の1以上の選択したサブバンド内におけるバンド内ノイズの存在を、ノイズ除去または抑制の前において確認できる。例えばイメージングバンドが7~13MHzであり、15MHz、18MHz、21MHz、および24MHz(15~25MHzの整数倍)において高調波ノイズが存在することをフィルタ更新アルゴリズムが認識した場合、フィルタ更新アルゴリズムは、9MHzと12MHz(イメージングバンド内の3MHzの整数倍)の信号をフィルタリングするように動的フィルタをセットする。1実施例において、このようなフィルタはオプションとして、9MHzと12MHzの信号がイメージングバンド内の信号に対して想定よりも強い場合のみ適用してもよい。別実施例において、撮像エネルギーが存在しないときノイズ特性識別ステップを実施して、イメージングバンド内に高調波ノイズが存在するか否かを決定してもよい。
【0137】
<実施形態4:パターン認識に基づくノイズ抑制>
図7Aと
図7Bは、パターン認識を用いてノイズを検出しバンド内撮像波形に対してノイズ抑制を実施するノイズ訂正方法の実施例を示す。この実施例において、
図7Aに示すように、検出バンドノイズ特性識別波形(そのうち少なくとも1つは少なくとも一部がイメージングバンド外にある)の合致したパターンセットおよび関連するバンド内ノイズ特性識別波形は、まず受信撮像エネルギーが存在しないノイズ特性識別期間において識別される。ノイズ特性識別ステージを介してノイズ検出パターンをバンド内ノイズパターンと相関付けると、イメージング時にこれら相関関係を用いて、1以上の検出バンド撮像波形のパターン識別に基づき、バンド内撮像波形のノイズ抑制を実施する。
【0138】
本方法の第1ステージにしたがって、ノイズ特性識別ステージにおいて、撮像エネルギーが存在しないとき(例えば非撮像ノイズ特性識別ステージにおいて)、イメージングバンド(バンド内)とノイズ検出バンドの両方の内部におけるエネルギーを検出し、これにより、バンド内および検出バンドノイズ特性識別波形の相関する測定結果を取得する。バンド内ノイズ特性識別波形と検出バンドノイズ特性識別波形からのサンプルは、アレイペアとして記録される。アレイペアは、同時記録した、サンプリング後バンド内波形および対応するサンプリング後検出バンドノイズ検出波形のことである。
【0139】
検出バンドノイズ特性識別アレイとバンド内ノイズ特性識別アレイは、ウインドウ化してもよい(566と565)。ウインドウは例えばスライドウインドウであり、オプションとして重なってもよい。オプションとして、ウインドウはピークノイズ振幅周辺に中心を置いてもよいし、あるいはノイズ振幅閾値に対して時間固定してもよい。ウインドウを条件調整して、ウインドウ化によって生じた悪影響を抑制してもよい。これは例えば、ハミングウインドウ、ブラックマンウインドウ、その他信号処理分野においてよく知られているウインドウ関数を適用することによる。アレイデータ(またはそのウインドウ)を処理して、1以上のノイズパターンの存在を識別できる(570)。
【0140】
図7Aを参照する。1以上の検出バンドノイズ特性識別アレイを処理して、バンド内ノイズ特性識別波形のパターンに対応する波形パターンを識別する。パターン認識器570は、検出バンド特性識別アレイから特徴を抽出し、予測モデルを用いてその特徴をノイズ「分類」へ分類する。抽出した特徴は例えば、時間ドメイン、周波数ドメイン(例:ピーク周波数)、時間-周波数ドメイン(例:ウェーブレット係数)の統計的特徴(分散、標準偏差、パワー、歪度、尖度、を含むが、これに限らない)である。抽出する特徴の選択は、変数増加法や後退選択法などの特徴選択アルゴリズムを用いて、事前にすることができる。
【0141】
抽出した特徴はステップ570の予測モデルに供給される。予測モデルをトレーニングして、検出バンド波形のパターンを識別し、ノイズ分類にパターンを割り当てることができる。例えば機械学習法を用いて予測モデルをトレーニングし、抽出した特徴を用いて検出バンドノイズ特性識別アレイのパターンを認識できる。予測モデルは、教師なし学習モデル(例えばk-meansクラスタリング)や教師あり学習モデル(例えば線形分類器、人工ニューラルネットワーク、最近傍分類器)を含むことができる。ノイズ源についての事前情報が既知である場合は、学習モデルを用いることができる。例えば、ノイズ源とノイズパターンのシーケンスは事前に分かる場合があり、ノイズ分類ラベルを検出バンドノイズ特性識別波形の波形パターンに割り当てることができる。ステップ570の予測モデルは、入力分類重みや事前確率を受け入れることができる。事前確率または分類重みが高いほど、認識可能性が高くなる。
【0142】
ステップ575のデータベースは、検出バンドノイズ特性識別波形パターンと同時存在することが分かっているバンド内ノイズ特性識別波形パターンを格納することができる。例えばデータベースは、バンド内ノイズ特性識別波形パターンのサンプルまたは平均を、同時存在する検出バンドノイズ特性識別パターンおよびノイズ分類ラベルとペアにして格納することができる。検出バンドノイズ特性識別波形パターンとその同時存在するバンド内ノイズ特性識別波形パターンは、例えばウインドウごとに決定できる。時間ドメインにおいてさらにノイズ特性識別を実施してもよいし、あるいはステップ230と231で画像生成した後に空間ドメインにおいて実施してもよい。この場合、空間特徴もステップ570で抽出する。データベースはコンピュータが用いる任意の適当なフォーマットでよい。例えばルックアップテーブルでもよい。
【0143】
上記ノイズ特性識別ステージを介して検出バンドノイズパターンをバンド内波形ノイズパターンと相関付けると、イメージング時にこれら相関関係を用いて、1以上の検出バンド撮像波形のパターン識別に基づき、バンド内撮像波形のノイズ抑制を実施できる。
【0144】
図7Bを参照する。トランスデューサが撮像エネルギーを受信している間に撮像トランスデューサ受信チャネルが検出した波形に対して撮像バンドパスフィルタ200を適用することにより、バンド内撮像波形を取得する。オプションとして包絡線検出210を実施する。撮像トランスデューサ受信チャネルが検出した波形に対してノイズ検出バンドパスフィルタ410を適用することにより、検出バンド撮像波形を取得する。オプションとして包絡線検出411を実施する。検出バンド撮像波形とバンド内撮像波形は、ノイズ特性識別ステージのウインドウ化ステップと同様に、ウインドウ化(566と565)することができる。波形をサンプリングしてアレイとして提示できる。
【0145】
ノイズ特性識別ステージの特徴抽出ステップと同様に、検出バンド撮像アレイ(またはそのウインドウ)から特徴を抽出できる。ノイズ特性識別ステージでトレーニングした(上述)パターン認識器570は、抽出した特徴およびオプションとして分類重みを用いて、検出バンド撮像波形内の1以上のパターンの存在を識別する。
【0146】
パターン分類アルゴリズム570を適用するとともに、ノイズパターンの周期(すなわち繰り返し周波数)を用いて、そのパターン分類(例:ベイズ分類器)の事前確率を調整し、またはその分類の重み(例:サポートベクタマシンのもの)を調整できる。事前確率または分類の重みが高くなれば、認識される可能性が高くなる。パターンの繰り返し間隔が既知であれば、パターンは高い確率をもって所与の時刻において存在することが期待される。事前確率またはその分類の重みをその時刻において高く調整し、パターン分類器がそのノイズパターンを認識する可能性を高めてもよい。この繰り返し間隔をノイズ特性識別ステージにおいて決定してデータベース578に格納し、または事前格納データベース(ローカル、ネットワーク、クラウドストレージ)に読み出してもよい。
【0147】
1以上のノイズ分類と対応しているものとしてステップ570において識別した検出バンド撮像波形のパターンを用いて、バンド内撮像波形(例:バンド内撮像アレイ)に対するノイズ訂正を生成する。これら訂正はステップ575における相関するバンド内パターンを発見することに基づき生成することができ、検出バンドノイズ特性識別波形パターン、バンド内ノイズ特性識別波形パターンとノイズ分類ラベルの特徴の合致セット、およびノイズ分類ラベルは、検索可能データベースまたはその他分類機構に格納される。
【0148】
図7Bの方法例において、バンド内ノイズ訂正をウインドウごとに生成し、ウインドウごとにバンド内撮像波形525から減算する。オプションとしてこれは、データベース575その他分類機構からバンド内波形とともに取得したバンド内ノイズパターンを時間的に揃える、遅延および/または振幅調整および/または形状調整510の後である。
【0149】
1実施例において、ノイズ特性識別ステージにおいて(受信撮像エネルギーが存在しない)、検出バンドノイズ特性識別アレイをまず処理して、1以上の特徴を抽出し格納する。所与のノイズパターンを検出する時間間隔も、このステージにおいて決定して格納することができる(578)。バンド内ノイズ特性識別アレイの対応する相関時間パターンも格納する(575)(例えばルックアップテーブルに格納する)。
【0150】
本例によれば、ノイズ除去を実施する撮像ステージにおいて、1以上の検出バンド撮像波形の検出バンド撮像アレイは大部分がノイズを含み、同じ特徴抽出プロセスを介して処理される。重みベクトル(各ノイズ分類パターンに対して重みまたは事前確率を割り当てる)をオプションとして取得してもよい。各パターンの繰り返し周波数は、ノイズ特性識別ステージにおいて生成したデータベース578から、または事前格納データベースから読み出すことができる。各分類の重みは、そのパターンの繰り返し周波数、そのパターンを以前検出した時刻、およびそのパターンを以前検出した確度に依拠するように、動的調整できる。検出バンド撮像波形から抽出した特徴(およびオプションとして分類重み)をトレーニング済み予測モデル(ノイズ特性識別ステージにおいてトレーニングしたもの)に対して供給する。予測モデルは、検出バンド撮像波形内のノイズパターンを識別し、これに分類を割り当てる。ノイズ分類の対応する相関バンド内ノイズパターンをデータベース575から取得する。データベース575は例えば、ノイズ特性識別ステージにおいて、各ノイズ分類についてバンド内ノイズ波形パターンおよび検出バンド波形パターンの特徴を格納する(例:ルックアップテーブルに格納されたバンド内時間波形)。分類比較から抽出したバンド内ノイズ波形パターンは例えば、現在のノイズ分類の全ての同時存在バンド内ノイズパターンの平均であり、または、同時存在する検出バンドパターン特徴が現在の検出バンド撮像アレイの特徴と最も近いバンド内ノイズパターン(例えば最近傍計算によって決定したもの)である。この同時存在パターンは、振幅と遅延の調整後において入力から減算され、これによりノイズ抑制したバンド内撮像波形を取得する。
【0151】
図7Aと
図7Bは、パターン認識器570に対する入力を導く単一の検出バンドパスフィルタ410によって、単一の検出バンド波形(少なくとも一部のエネルギーがイメージングバンドを超えている)を生成する実施例を示す。これに代えて、複数の検出バンドパスフィルタ(少なくとも1つの検出バンド波形がバンド外であるもの)によって、複数の検出バンド波形を生成してもよい。
【0152】
バンド外ノイズを搬送する少なくとも1つの検出バンド波形に加えて、1以上の検出バンド波形もイメージングバンドの全部または一部においてノイズを搬送する場合がある(すなわちバンド内部ノイズ検出波形)。このようなバンド内部データは、バンド外ノイズ検出波形が予測したノイズがイメージングバンド内に実際に存在する(ノイズ特性識別ステージまたはイメージング時)ことをパターン認識器570が確認するに際して有用である。
【0153】
例えばパターン認識器は、バンド内部ノイズ検出撮像波形を用いて、ノイズ源を識別できる。例えばイメージングバンドのサブバンドがイメージングバンドの1以上のその他サブバンドと実質的に異なる場合、またはイメージングバンド内のネットエネルギーと実質的に異なる場合、イメージングサブバンドと対応するノイズ源を識別できる。例えば中心8MHzのピークフィルタを用いて、7~13MHzのイメージングバンド内のバンド内部ノイズ検出波形を取得でき、通過バンド15~25MHzの検出バンドパスフィルタを用いて、バンド外ノイズ検出波形を取得できる。8MHzバンド内部ノイズ検出波形が、15~25MHzのバンド外ノイズ検出波形のエネルギーに対して増加するエネルギーを検出した場合、パターン認識器はその重みを調整して特定のノイズ源(すなわちノイズ分類)を検出できる。イメージングバンドのバンド外の情報にのみ依拠している場合、システムは、データベース573から相関バンド内ノイズパターンを選択して、その8MHzピークを除去できる。
【0154】
上記実施例は、生信号または包絡線処理した信号の時間パターンを検出する文脈で説明したが、上記アルゴリズムは画像データを用いる実施例にも適用できることを理解されたい。例えば画像データ(例:Bモード画像データ)を処理して、時間ドメイン(例:RFまたは包絡線検出)信号を処理することに代えて、空間ノイズパターンを判定できる。これら代替実施形態を
図7Bの点線で示しており、デシメーション(220と221)およびBモード画像ライン生成(230と231)を570と575の前に実施する。
【0155】
これに代えて、空間ドメインにおいて画像を処理するとき、2D画像ウインドウを用いて空間パターンを検出できる。例えばBモード画像データである。Bモードデータにおいて、空間ドメイン(例:グレイレベル同時生起行列)、周波数ドメイン(例:フーリエスペクトル測定)、または空間周波数ドメイン(例:2Dウェーブレット係数のエネルギー)でテクスチャ特徴を抽出する。
【0156】
図7Dを参照する。イメージング時にパターン認識を実施するとき
図7Bの検出バンド撮像波形に代えて基準ノイズ検出波形を用いる別実施例を示す。同様に
図7Cにおいて、撮像信号が存在しないとき実施する初期パターン認識ステージにおいて、基準ノイズ特性識別波形を用いる。したがって
図7Aと
図7Bに示す上記アルゴリズムまたは方式は、検出バンドノイズ特性識別波形(および対応するアレイ測定)を基準ノイズ特性識別波形(
図7Cに示すもの)と置き換え、検出バンド撮像波形(および対応するアレイ測定)を基準ノイズ検出波形(
図7Dに示すもの)と置き換えることにより、本実施例のように調整される。
【0157】
<実施形態5:相対エネルギー測定に基づくノイズ抑制>
本実施例において、1以上の検出バンド撮像波形(そのうち少なくとも1つはバンド外撮像波形)からの測定結果にしたがって評価した条件に基づき、バンド内撮像波形のウインドウ部分を選択的に減衰させることにより、ノイズ抑制を実施する。減衰は例えば、導出した減算値をウインドウ化バンド内撮像波形の包絡線から減算すること、および/または、ウインドウ化バンド内撮像波形またはその包絡線を減衰係数と乗算することである。減算値および/または減衰係数は、ノイズ検出撮像波形または基準ノイズ検出波形の測定結果から決定される。
【0158】
本例の第1ステージにしたがって、ノイズ特性識別ステージにおいて、撮像エネルギーが存在しないとき(例えば非撮像ノイズ特性識別ステージにおいて)、イメージングバンド(バンド内)とノイズ検出バンドの両方におけるエネルギーを検出し、これによりバンド内ノイズと検出バンドノイズの相関測定結果を取得する。少なくとも1つのノイズ検出バンドはバンド外である。バンド内ノイズ特性識別波形と検出バンドノイズ特性識別波形のサンプルは、アレイペアとして記録される。アレイペアは、同時記録した、サンプリング後バンド内波形とこれに対応するサンプリング後検出バンド波形のことである。
【0159】
オプションとして、ノイズ特性識別ステージは別ステージを含むこともできる。これをベースラインノイズ特性識別ステージと呼び、撮像トランスデューサ受信チャネルが撮像エネルギーとノイズエネルギーを受信していないことが既知または予測できる場合に実施する。
図6Aに示すように、撮像エネルギーとノイズエネルギーを受信していないとき撮像トランスデューサ受信チャネル13から検出した入力波形に対して撮像バンドパスフィルタ200を適用することにより(オプションとしてフィルタリング後波形の包絡線を検出(210)することにより)、バンド内ベースラインノイズ特性識別アレイを取得できる。検出バンドベースラインノイズ特性識別アレイは、撮像トランスデューサ受信チャネル13からの入力波形に対して検出バンドフィルタ410を適用することにより(オプションとしてフィルタリング後波形の包絡線を検出(411)することにより)、取得できる。バンド内ベースラインノイズ特性識別アレイと検出バンドベースラインノイズ特性識別アレイは、撮像エネルギーとノイズエネルギーが存在しないとき測定され、それぞれGiとGnとして表す。所与のアレイペアはオプションとして、
図6Aの565と566に示すように、複数の時間ウインドウにしたがってセグメント化して、ウインドウアレイペア(Gi
wとGn
w)を取得できる。ウインドウは例えばスライドウインドウであり、オプションとして隣接ウインドウと重なる。ベースラインノイズ特性識別ステージにおいて、ウインドウごとのエネルギー測定結果から1以上のノイズ測定結果を計算することができる。例えばウインドウ化バンド内ベースラインノイズ特性識別アレイ内の最大パワーをTiとして示す。同様にウインドウ化バンド外ベースラインノイズ特性識別アレイ内の最大パワーをTnとして示す。
【0160】
ノイズ特性識別ステージは、撮像トランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信していないがノイズエネルギーを受信していると想定されるステージを含む。
図6Aを参照する。撮像エネルギーを受信していないとき、撮像トランスデューサ受信チャネル13からの入力波形に対して撮像バンドパスフィルタ200を適用することにより(オプションとしてフィルタリング後波形の包絡線を検出(210)することにより)、バンド内ノイズ特性識別アレイ407を取得できる。撮像トランスデューサ受信チャネル13からの入力波形に対してノイズ検出バンドフィルタ410を適用することにより(オプションとしてフィルタリング後波形の包絡線を検出(411)することにより)、検出バンドノイズ特性識別アレイを取得できる。バンド内ノイズ特性識別アレイ407と検出バンドノイズ特性識別アレイ408は、撮像エネルギーが存在しないとき測定され、それぞれCiとCnとして示す(
図6Aに示すように)。
【0161】
複数の時間ウインドウにしたがって、
図6Aの565と566に示すように、所与のアレイペアをオプションとしてセグメント化して、ウインドウ化アレイペア(Ci
wとCn
wとして示す)を取得できる。ウインドウは例えばスライドウインドウであり、オプションとして隣接ウインドウと重なる。別例においてウインドウは、1以上の検出バンドおよび/またはイメージングバンドのノイズ波形のピーク振幅周辺に中心周波数がある。別例において時間ウインドウは、1以上の検出バンドおよび/またはイメージングバンドのノイズ振幅が規定閾値を超えているとき判定したノイズ出現に時間固定されている。例えば閾値は、ベースラインノイズ特性識別ステージにおいて取得したパラメータTnおよび/またはTiに比例する。
【0162】
バンド内および検出バンドノイズ特性識別アレイペアCi
wとCn
wを処理して、各時間ウインドウのイメージングバンドとノイズ検出バンドのエネルギーに対応する1以上の測定結果を取得し、これにより2つのバンド内のノイズの相対強度を特性識別する。例えば
図6Aに示すように、ウインドウCi
wとCn
wの各ペアについて、イメージングバンドのパワーとノイズ検出バンドのパワーを計算する(570と572)。
【0163】
ノイズ特性識別測定結果はオプションとして、選択したウインドウからのみ計算してもよい。選択条件は、バンド内エネルギー測定結果およびオプションとして検出バンドエネルギー測定結果にしたがって評価することができる。例えばバンド内パワーが規定閾値を超えるウインドウのみが、ノイズ特性識別測定結果を取得するために選択される(
図6Bに示す)。閾値は、ベースラインノイズ特性識別ステージにおいて取得したTiに比例する。別例において、バンド外パワーが規定閾値を超えるウインドウのみが、ノイズ特性識別測定結果を取得するために選択される。閾値は、ベースラインノイズ特性識別ステージにおいて取得したTnから導出してもよい。
【0164】
上記例において、最大値と最小値は上限および下限パーセンタイル、あるいは真の最大値と最小値のことであることを理解されたい。例えば98パーセンタイルと2パーセンタイルは、最大値と最小値の代わりに使用できる。その他の統計的閾値(例えば95と5パーセンタイル、90と10パーセンタイル、80と20パーセンタイル、その他)を用いて、特性識別のために最大値と最小値を表すこともできる。
【0165】
ノイズ特性識別ステージにおけるウインドウごとのエネルギー測定結果から、1以上のノイズ測定結果を計算し、これを用いて、ノイズ源が存在するときにおけるイメージングバンドのパワーと検出バンドのパワーとの間の関係を定義することができる。例えばバンド内および検出バンドパワー値の1以上のペアを、区分線形関数を生成するための変曲点として選択して、ノイズ源が存在するときにおけるイメージングバンドのパワーと検出バンドのパワーとの間の関係を定義することができる(
図6Bに示す)。
【0166】
1例において、ノイズ源が存在するときにおけるバンド内パワーと検出バンドパワーとの間の関係を定義する区分線形関数は、ノイズ特性識別ステージにおける最大パワーと最小パワーに基づき生成することができる(
図6Bに示す)。ノイズ特性識別ステージからの最大および最小バンド内パワー値を評価し(例:絶対最大/最小値または統計的測定結果を用いて)、それぞれPi
minとPi
maxとして示す。1実施例において、バンド内パワーがPi
minに対して事前選択範囲内(例:パーセンタイル範囲)であるウインドウセットを識別し、識別したウインドウセットのなかから、最小検出バンドパワーをPn
minとして選択する。同様に、バンド内パワーがPi
maxに対して事前選択範囲内であるウインドウセットを識別し、識別したウインドウセットのなかから、最小検出バンドパワーをPn
maxとして選択する。パワーペア(Pn
min,Pi
min)と(Pn
max,Pi
max)を用いて、バンド内パワーと検出バンドパワーとの間の推定関係を定義する関数をフィッティングできる。実施例は、バンド内パワーと検出バンドパワーを選択して適切なフィッティング点を提供し、および/または、バンド内パワーと検出バンドパワーとの間の関数関係を提供するための非限定的1例に過ぎず、その他方法を使用できることを理解されたい。
【0167】
オプションとして、バンド内ノイズ特性識別波形のパワーの、検出バンドノイズ特性識別波形のパワーに対する比は、ウインドウごとに計算することができ、複数ウインドウ間の最大比Roff(この量の使用例は、イメージング時にノイズ訂正を適用するか否かを決定するときのものであり、以下で説明する)を取得できる。
【0168】
バンド内ノイズ特性識別波形(Pi)のパワーと、検出バンドノイズ特性識別波形(Pn)のパワーとの間の1以上の関係f(pn)を取得できる。例えば
図6Bに示すように、f(Pn)は、勾配、切片、および/または変曲点が、ノイズ特性識別ステージにおいて計算した(Pn
min,Pi
min)と(Pn
max,Pi
max)によって定義される、区分線形関数である。別例においてf(Pn)は、非線形多項式または線形多項式と非線形多項式の1以上の組み合わせである。別例においてf()は、1以上のPn値の範囲について定義した値セットである。例えばf(Pn)は、a1≦Pn<a2においてはPiaであり、b1≦Pn<b2においてはPibであり、以下同様である。[a1,a2]と[b1,b2]はPnの重ならない区間である。パワーがa1とa2の間にある検出バンドノイズ特性識別アレイのウインドウセットを識別し、対応するバンド内ノイズ特性識別アレイのウインドウを用いて、区間[a1、a2]のPiaを決定できる。例えばPiaは、検出バンドパワーPnが区間[a1,a2]内にある全ウインドウのバンド内パワー測定結果から計算した代表パワー値(例えば最大、最小、平均、中央、その他の統計値)である。
【0169】
ノイズ特性識別ステージにおいて取得したノイズ測定結果を用いて、イメージング時に取得したバンド内撮像波形のノイズ抑制を実施できる(
図6Cと
図6Dに示す)。入力波形はフィルタリングされ(200と410)、オプションとして包絡線検出した後(210と411)、バンド内撮像波形407と検出バンド撮像波形408を提供する。波形をサンプリングして、バンド内撮像アレイと検出バンド撮像アレイを取得する。
【0170】
本実施例において、用語「バンド内撮像アレイ」は、サンプリングしたバンド内撮像波形のことである。用語「検出バンド撮像アレイ」は、サンプリングした検出バンド撮像波形のことである。アレイセットを記録し、各アレイはそれぞれ所与のスキャンラインに対応する。例えば第1バンド内撮像アレイは第1スキャンラインに対応し、第2バンド内撮像アレイは第2スキャンラインに対応し、などである。バンド内および検出バンド撮像アレイは、それぞれQiθとQnθとして示す。θは、所与の取得期間(例えば1つのスキャンラインに対応する)を識別するインデックスである。
【0171】
図6Cの565と566に示すように、特性識別ステージにおいてノイズ特性識別アレイをウインドウ化する際に用いたものと同じウインドウ特性を用いて、アレイをウインドウ化することができる。バンド内撮像アレイと検出バンド撮像アレイは、ウインドウにしたがって時間的にセグメント化され、それぞれQi
θ,wとQn
θ,wとして示す。符号wはウインドウ番号を示す整数である。例えばQi
1,10は、1番目のスキャンラインに対応するバンド内撮像アレイの10番目のウインドウ部分のことである。バンド内撮像アレイと検出バンド撮像アレイの各ウインドウ部分について、パワーあるいはその他適当なエネルギー測定結果を計算する(570と572)。バンド内および検出バンドパワー値をウインドウごとに計算し、それぞれP(Qi
θ,w)とP(Qn
θ,w)として示す。これらエネルギー測定結果を用いて、ノイズ特性識別ステージで取得した測定結果に基づきノイズ抑制する。
【0172】
1実施例において、
図6Cに示すように、バンド内撮像アレイQi
θ,wの包絡線からパワー値を減算(525)することにより、ノイズ抑制する。ノイズ検出バンドパワーP(Qn
θ,w)を用いて、ノイズ特性識別ステージにおいて取得した関数f()に基づき、バンド内撮像アレイウインドウQi
θ,wのノイズエネルギーP^i
Nθ,wを推定できる。例えばQi
θ,w内のノイズエネルギーP^i
Nθ,wは、P^i
Nθ,w=f(P(Qn
θ,w))として推定(575)できる。推定したバンド内ノイズP^i
Nθ,wはオプションとして、スケーリング係数β(0≦β≦1)を乗算することによりスケーリングできる。スケーリングした推定ノイズβP^i
Nθ,wをオプションとして、上限値以下にクランプして(例えば0.8×P(Qi
θ,w)、0.9×P(Qi
θ,w)、1.0×P(Qi
θ,w)など、ただしこれに限らない)、減算値を取得できる。Qi
θ,wの包絡線から減算値を減算(525)して、ノイズ抑制波形包絡線を取得する。
【0173】
図6Dに示す別例において、バンド内撮像アレイQi
θ,wの要素に減衰係数を乗算(526)することにより、ノイズ抑制できる。イメージング時において、撮像ウインドウQi
θ,wのバンド内パワーをP(Qi
θ,w)として計算できる。ノイズ検出バンドパワーP(Qn
θ,w)を用いて、ノイズ特性識別ステージにおいて取得した関数f()に基づき、バンド内撮像ウインドウQi
θ,w内のノイズエネルギーP^i
Nθ,wを推定できる。例えばQi
θ,w内のノイズエネルギーP^i
Nθ,wは、P^i
Nθ,w=f(P(Qn
θ,w))として推定(575)できる。推定したバンド内ノイズP^i
Nθ,wはオプションとして、スケーリング係数β(0≦β≦1)を乗算することによりスケーリングできる。減衰係数は、[P(Qi
θ,w)-βP^i
Nθ,w]/P(Qi
θ,w)に対して比例するように選択できる。
【0174】
実施例において、スケーリング係数βは0から1までの範囲で選択できる。超音波エネルギーの減衰は撮像エネルギーを経時減少させ、βの決定は波形内のウインドウ深さに依拠する(したがって撮像した組織内の深さに対応する)。パラメータβはオプションとしてユーザ制御してもよい。減衰係数はオプションとして、上限値以下にクランプできる(例えば0.95、0.9、0.8など、ただしこれに限らない)。これに加えてまたはこれに代えて、減衰係数を下限値以上にクランプできる(例えば0、0.01、0.05、0.1など、ただしこれに限らない)。減衰係数をアレイQiθ,wまたはその包絡線と乗算して、ノイズ抑制アレイを取得できる。
【0175】
<分類固有ノイズ抑制のためのパターン認識>
ノイズ特性識別ステージにおいて(例えば
図6A)、システムはオプションとして、アレイペアCnwとCiwを1以上のカテゴリ(分類と呼ぶ)へグルーピングするように構成できる。
図7Aのステップ570のパターン認識器を再度参照する。1以上の検出バンドノイズ特性識別波形をパターン認識器によって処理して、1以上のノイズパターン分類を識別し、識別したノイズパターンに対応する時間ウインドウに対して分類を割り当てることができる。分類kに属する検出バンドノイズ特性識別波形のウインドウセットを選択し、{w_k}として示す。セット{w_k}内のウインドウのバンド内およびバンド外パワー測定結果を用いて、上記と同様の方法により、分類k固有の関数関係f
k()を導出できる。
【0176】
システムは、撮像トランスデューサ回路が撮像エネルギーを受信しているときパターン認識器を用いてノイズパターンを識別するように、構成できる。
図7Bのステップ570で説明したものと同様の方法を用いて、1以上の検出バンド撮像波形をパターン認識器によって処理して、1以上のノイズパターン分類を識別し、識別したノイズパターンに対応する時間ウインドウに対して分類を割り当てることができる。推定バンド内ノイズパワーは、識別した分類固有の関数関係f()から導出できる。例えば分類1に属するウインドウについて、関数f1()を用いて、推定バンド内ノイズ(すなわちP^i
Nθ,w=f1(P(Qn
θ,w)))を導出できる。同様に分類2に属するウインドウについて、関数f2()を用いて推定バンド内ノイズを導出できる。f1()、f2()、f3()、などはノイズ特性識別ステージにおいて取得したものである。先述のように、バンド内撮像波形のウインドウQi
θ,w内のノイズは、Qi
θ,wの包絡線から減算値を減算することにより、または減衰係数とQi
θ,wを乗算することにより、抑制できる。減算値または減衰係数は、P^i
Nθ,wから導出される。具体例として、パターン認識器が分類1として分類したノイズは電気解剖マッピングシステムからのものであり、分類2として分類したノイズはアブレーションエネルギー生成器からのものである。したがって、ノイズがマッピングシステムから到着したことをシステムが認識したとき、ノイズ検出バンドのパワーに基づき、f1()を用いて、電気解剖マッピングシステムが生成したバンド内ノイズを推定できる。またノイズがアブレーション生成器から到着したことをシステムが認識したとき、ノイズ検出バンドのパワーに基づき、f2()を用いて、アブレーション生成器が生成したバンド内ノイズを推定できる。
【0177】
別例において、ノイズ出力するシステムを監視して、ノイズ推定および抑制のために用いる関数関係を決定してもよい。例えばアブレーション生成器の制御を監視して、アブレーション生成器がエネルギー(およびノイズ)を生成しているときバイナリゲート信号を有効化するようにしてもよい。このゲート信号を用いて、バンド内ノイズ推定のために関数f2()を用いるべき時間期間を決定できる。
【0178】
<ノイズ抑制の選択的実施>
エネルギー測定結果をオプションとして用いて、バンド内撮像アレイが低信号対ノイズ比となっているか否かを推定できる。換言するとエネルギー測定結果を用いて、ウインドウをノイズ抑制訂正するか否かに分類できる(減衰係数の減算または乗算を介して)。
【0179】
1実施例において、ウインドウwに対してノイズ抑制訂正を適用するか否かについての決定は、ノイズ検出バンドにおいて検出したパワーに基づき実施できる。P(Qnθ,w)が規定閾値を超えた場合、ノイズ訂正はQiθ,wに対して適用される。閾値はノイズ特性識別ステージにおいて取得できる。
【0180】
別例において、所与のウインドウに対してノイズ抑制訂正を適用するか否かについての決定は、イメージングバンドパワーのノイズ検出バンドパワーに対する比率に基づき実施できる。例えばノイズ特性識別ステージにおいて、バンド内ノイズ特性識別アレイと検出バンドノイズ特性識別アレイのペアの各ウインドウについて、イメージングバンドパワーの検出バンドパワーに対する比を取得する。全ウインドウ間の代表最大比(ROff)は、上述のように撮像トランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信しているときノイズ抑制訂正を適用するか否かを決定する閾値として用いることができる。
【0181】
バンド内撮像波形のウインドウwに対してノイズ抑制訂正を適用するか否かについての決定は、イメージングバンドパワーのノイズ検出バンドパワーに対する比率(ROn
w)に基づき実施できる。1実施例においてROn
wをγROffと比較する。γは緩和パラメータであり、ROffはノイズ特性識別ステージにおいて計算した代表最大比である。ROn
wがγROffよりも大きい場合、バンド内信号の信号対ノイズ比は十分大きいと推定され、ノイズ抑制訂正は適用されない。反対にROn
wがγROff以下である場合、信号対ノイズ比は十分小さいと推定され、ノイズ抑制訂正を適用する。
【0182】
γの値を用いて、信号対ノイズ比の感度を調整し、場合によってはγの値を、信号の弱い部分が抑制される場合における調整係数として用いることができる。γの値を低くするとノイズ抑制を適用するための閾値を低くすることになり、これによりノイズ抑制するウインドウ数を抑制し、最終出力においてより多くの撮像エネルギー(およびノイズ)を残すことができる。
【0183】
実施例において、γはゼロと単位値との間で選択できる。超音波においては超音波エネルギーの減衰により撮像エネルギーが経時減少し、γの決定は波形内のウインドウ深さ(すなわち撮像する組織内の深さ)に依拠する。パラメータγはオプションとしてユーザ制御してもよい。例えば画像の組織その他の構造物が不要または過剰に減衰する場合において、ユーザはこのパラメータ値を減少させて、ノイズ抑制の効果を弱めることができる。
【0184】
ノイズ抑制のために特定されたウインドウにおいて、任意の適当なノイズ除去方法またはノイズ抑制方法を用いて、ウインドウ内のバンド内撮像アレイのノイズを抑制できる。様々なノイズ抑制訂正を適用できることを理解されたい。例えば
図6Cに示す減算訂正、および/または
図6Dに示す減衰係数の乗算が挙げられるが、これに限らない。
【0185】
ノイズ抑制は、ウインドウごとに誤ったノイズ除去をもたらす可能性がある。例えば撮像エネルギー量が小さいウインドウは、ウインドウ内の信号対ノイズ比を誤って低く判定する(すなわちウインドウ分類を誤る)ことに基づくノイズ抑制によって、悪影響を受ける可能性がある。これにより、画像の周辺均一領域において小さい画像「穴」が生じ、あるいは画像の周辺低ノイズ領域において残ノイズピクセルが生じる可能性がある。1実施例において、ノイズ抑制に適していると判定されたウインドウが実際にそのプロセスを適用すべきか否かを、隣接ウインドウ(すなわち空間的隣接)の状態を用いて判定できる。所与のウインドウがノイズ抑制に適しているとして上記方法によって判定された場合、1以上の隣接アレイ(すなわち隣接スキャンラインに対応するアレイ)における隣接ウインドウを用いて、その所与ウインドウの減衰係数によってノイズ抑制を実施すべきか否かを評価できる。
【0186】
例えば所与のスキャンラインについて、所与のウインドウがノイズ抑制に適していないと判定され、さらに1以上の隣接ウインドウがノイズ抑制に適していると判定された場合、ウインドウは分類ミス可能性ありとしてフラグ付与できる。所与ウインドウの状態は上書可能であり、所与ウインドウはノイズ抑制に適しているものとして特定され、その所与ウインドウに対してノイズ抑制を適用する。反対に、所与ウインドウがノイズ抑制に適していると判定され、隣接アレイ内の隣接ウインドウがノイズ抑制に適していないと判定された場合、所与ウインドウの状態についての初期判定を上書して、所与ウインドウはノイズ抑制に適しておらず分類ミス可能性ありとしてフラグ付与される。分類ミスウインドウのサンプルは、1以上のノイズなし隣接ウインドウのサンプルによって置き換えることができる(すなわち、上記方法にしたがってノイズ抑制に適していないと判定された隣接ウインドウのサンプルによって置き換えるかまたは補間される)。これはオプションとして、遅延および振幅調整を実施した後になされる。
【0187】
図6Eはこの方法の実装例を示す。隣接アレイ内の隣接ウインドウを調べて、現ウインドウの分類が隣接アレイ内の周辺ウインドウと整合するか否かを判定する。主にノイズを含むものとして分類された(マーク「N」)2つのウインドウ(アレイ2、ウインドウ4と5)は、十分高い信号対ノイズ比を有するものとして分類されたウインドウ(マーク「S」)によって囲まれているので、
図6Fに示すように、2つの「N」ウインドウは隣接する「S」ウインドウのサンプルで置き換えられ(例えばコピーまたは振幅調整および/または形状調整による補間によって)、ノイズ推定によるノイズ抑制はこれらウインドウに対して実施されない。この実施例は、所与ウインドウの状態を確認するとき、アレイの両側の2つの隣接ウインドウを用いているが、その他実施形態において任意個数のウインドウを用いてもよい。
【0188】
所与ウインドウの分類を変更すべきか否か評価するとき、所与ウインドウ前後の1以上の時間的隣接ウインドウを用いることもできる。例えば
図6Eにおいて、アレイ5のウインドウ4は最初に「S」マークされており、
図6Fにおいては「N」に再分類されている。アレイの先行および後続ウインドウが「N」マークされているからである。
【0189】
この実施例は画像処理前に信号処理しているが、この実施例は、時間ドメイン信号の処理ではなく画像データ処理に適用できる。例えば、複数の隣接スキャンラインを表す複数のバンド内画像アレイと検出バンド画像アレイを取得し、事後処理によってバンド内画像と検出バンド画像のフレームを取得できる。バンド内および検出バンド画像ピクセルを、それぞれBiθ,dとBnθ,dとして表す。θはスキャンラインを表し、dは深さを表す。検出バンド画像を用いて、バンド内画像の各ピクセルの減衰(すなわち減算または乗算するもの)値を評価できる。これら減衰値は、検出バンド画像内の対応するピクセルからピクセルごとに取得でき(すなわちBnθ,dにおける値を用いてBiθ,dにおけるピクセル強度を減衰できる)、あるいはバンド内画像ピクセルの局所空間隣接位置に対応する検出バンド画像内の関心領域を処理することにより取得できる(例:Bnθ,d周辺の3×3隣接位置の値(例:極座標またはカルテシアン座標)を用いて、Biθ,dにおけるピクセル強度を減衰できる)。
【0190】
図6G、6H、6Jを参照する。ノイズ特性識別実施時に基準受信チャネルを用いる別実施例(
図6G)、イメージング時にノイズ抑制するための適当な減算値を決定する別実施例(
図6H)と減衰係数を決定する別実施例(
図6J)を示す。
図6Gにおいて、ノイズ特性識別実施時に、
図6Aの検出バンドノイズ特性識別波形に代えて基準ノイズ特性識別波形409を用いる。基準チャネルフィルタは例えばイメージングバンドパスフィルタである。これに代えて、バンド外ノイズの入力からノイズ推定を実施する場合、基準チャネルフィルタはイメージングバンドパスフィルタではない。
図6Hにおいて、
図6Bの検出バンド撮像波形に代えて基準ノイズ検出波形439を用いて、減算値を決定し、減算によってノイズ抑制を適用する。同様に
図6Iにおいて、
図6Bの検出バンド撮像波形に代えて基準ノイズ検出波形439を用いて、ノイズ抑制のための減衰係数を決定し適用する。したがって
図6Aから
図6Fの方法は、検出バンドノイズ特性識別波形408(および対応するパワー測定結果)を
図6Gの基準ノイズ特性識別波形409と置き換えることにより、および検出バンド撮像波形438(および対応するアレイとパワー測定結果)を
図6Hと
図6Iに示す基準ノイズ検出波形439と置き換えることにより、この実施例に対して適用できる。
【0191】
<実施形態6:疑似周期ノイズ源のノイズ抑制>
本実施例において、バンド内ノイズを推定し減算することにより、ノイズ抑制を実施する。ノイズは、疑似周期ノイズ源またはノイズ源の疑似周期シーケンスから生じるものと想定する。バンド内ノイズは、撮像トランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信していないとき、ノイズ特性識別ステージにおける測定結果に基づき推定される。
【0192】
本実施例の第1ステージにしたがって、撮像エネルギーが存在しないとき(例:超音波トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないとき)におけるイメージングバンド内およびノイズ検出バンド内の波形を検出およびサンプリングし、これにより同時存在するバンド内および検出バンド(バンド外)ノイズ特性識別アレイのペアを取得する。
【0193】
図8Aに示すように、撮像トランスデューサ受信チャネル13から検出した入力波形に対して撮像バンドパスフィルタ200を適用することにより、さらにオプションとしてフィルタリング後データの包絡線を検出(210)することにより、バンド内ノイズ特性識別波形590を取得できる。撮像トランスデューサ受信チャネル13から検出した入力波形(少なくとも1つのノイズ検出バンドは、イメージングバンド外からの信号を含む)に対してノイズ検出バンドパスフィルタ410を適用することにより、さらにオプションとしてフィルタリング後データの包絡線を検出(411)することにより、検出バンドノイズ特性識別波形595を取得できる。バンド内ノイズ特性識別波形と検出バンドノイズ特性識別波形は、撮像エネルギーが存在しないとき測定され、これをサンプリングして、バンド内ノイズ特性識別アレイと検出バンドノイズ特性識別アレイを取得できる。それぞれCiとCnとして表す。Ci(およびCn)は、周期ノイズ源の1以上の周期をキャプチャしているものとする。
【0194】
ノイズ特性識別ステージにおいてバンド内および検出バンドノイズ特性識別アレイを取得すると、検出バンド特性識別アレイと検出バンド撮像アレイとの間の相関を用いて、バンド内撮像アレイからバンド内特性識別アレイを減算するための調整パラメータを推定できる。
【0195】
図8Bに示すように、イメージング時において、撮像トランスデューサ受信回路13からの入力波形はフィルタリング(200と410)され、バンド内撮像波形と検出バンド撮像波形を提供する。これら波形をサンプリング(包絡線検出の前または後)して、バンド内撮像アレイ537と検出バンド撮像アレイ538を取得する。バンド内および検出バンド撮像アレイは、それぞれQiとQnとして表す。
【0196】
本方法にしたがって、バンド内ノイズ特性識別アレイCiを用いてバンド内撮像アレイQiからノイズを減算して、各バンド内撮像アレイをノイズ抑制のために処理する。ただし減算によってノイズ抑制を実施するために、バンド内ノイズ特性識別アレイCiをバンド内撮像アレイQiと時間整列して、ノイズが同時存在するようにする必要がある。この整列は、ノイズ検出バンド内のノイズと相関するイメージングバンドにおいてノイズを生成する周期的ノイズ源の場合において可能である。
【0197】
時間整列は例えば、バンド内および検出バンド撮像アレイQiとQnを複数の時間ウインドウ565と566へセグメント化することによって実現できる(上記実施例で説明したように)。ウインドウは、周期的ノイズ源の1以上の期間をキャプチャできるように、十分長いことが望ましい。ウインドウにしたがって時間セグメント化された撮像アレイは、QiwおよびQnwとして表す。符号wはウインドウ番号を示す整数である。
【0198】
1実施例において、時間整列はウインドウごとに実現できる。本実施例において時間整列は、各ウインドウ内において検出バンドノイズ特性識別アレイCnと検出バンド撮像アレイQnwとの間の相互相関を計算することにより、および最大相互相関に対応する相対時間遅延τを選択することにより(580)、実現できる。イメージングバンド内のノイズとノイズ検出バンド内のノイズとの間の同時存在関係に起因して、この時間遅延τを適用して、バンド内ノイズ特性識別アレイCnをバンド内撮像アレイQiwに対してウインドウごとに整列できる(510)。整列したバンド内ノイズ特性識別アレイに対してスケーリング係数を適用することもできる。
【0199】
整列後バンド内ノイズ特性識別アレイのウインドウ部(Ci
wとして示す)を、バンド内撮像アレイQiwから減算することにより、ノイズ抑制バンド内撮像アレイQi
wが得られる。これはオプションとして、減算後の絶対値をとるかまたは床関数を適用して負値を除去した後に実施する。このプロセスを、ノイズ抑制しようとしている各ウインドウに対して繰り返す。
【0200】
1実施例において、隣接ウインドウが重なる場合、バンド内撮像アレイQiwからバンド内ノイズ特性識別アレイCi
wの整列後ウインドウセグメントを減算するとき、スケーリング係数を適用してもよい。例えば減算(およびオプションとしてモジュロ)は、Qi
w=Qiw-αCi
wによって計算できる。αはウインドウ化のスケーリング係数であり、α=1-βであり、βは重なり係数である。例えばβ=0.75のとき、スケーリング係数はα=0.25である。この実施例は、減算成分をスケーリングする方法例を説明するために提供するものであり、その他関数形式を採用してもよいことを理解されたい。
【0201】
図8Cと
図8Dを参照する。ノイズ特性識別を実施するとき、およびイメージング時にノイズ抑制する際の適切な振幅調整を決定するために、基準受信チャネルを用いる別実施例を示す。
図8Cにおいて、ノイズ特性識別を実施するとき、
図8Aの検出バンドノイズ特性識別波形595に代えて基準ノイズ特性識別波形596を用いる。同様に
図8Dにおいて、
図8Bの検出バンド撮像波形595に代えてフィルタリング後基準ノイズ検出波形439を用いて、振幅調整を決定および適用する。したがって、検出バンドノイズ特性識別波形408を
図8Cの基準ノイズ特性識別波形409と置き換えることにより、および検出バンド撮像波形438(および対応するアレイ)を
図8Dの基準ノイズ検出波形439と置き換えることにより、
図8Aと8Bで説明した方法を本実施例に対して適用できる。
【0202】
<実施形態7:スキャンレートを変更することによる複数のスキャンを用いたノイズ抑制>
システムは、同じスキャンラインからの撮像エネルギーに対応する、または実質的に空間上で重なるスキャンラインと対応する、2以上のバンド内撮像アレイのセットを取得するように構成できる。バンド内撮像アレイセット内の撮像エネルギーは、冗長な時間/深さ依存性を有する。冗長なバンド内撮像アレイを平均する(または最小値を評価するなどのようなその他統計的処理を実施する)ことにより、撮像トランスデューサ受信回路に撮像エネルギーを各スキャンライン上で受信開始させるトリガに対してノイズ自身が時間固定されていなければ、ノイズ抑制できる。例えば撮像超音波トランスデューサを励起する電圧パルスのパルス繰り返し周波数が200μsである場合、2μsごとに繰り返す周期的ノイズは常に、各バンド内撮像アレイにおいて、0μs、2μs、4μs、などの成分を有する。ただしパルス繰り返し周波数が199μsに調整された場合、第1撮像アレイは0μs、2μs、4μs、などのノイズ成分を有し、第2撮像アレイは1μs、3μs、5μs、などのノイズ成分を有する。ノイズは、2つの連続する冗長な残バンド内撮像アレイを平均することにより、さらにオプションとして包絡線検出を実施した後に、抑制できる。
【0203】
この実施例において、検出バンド波形(バンド外)のノイズを用いて、1以上のバンド内ノイズ源の周期を判定できる。システムは、スキャンレートを調整することにより、撮像スキャン周期がノイズ源の周期の整数倍とならないようにすることを促される。例えば自動相関関数を用いて、撮像トランスデューサ受信回路が撮像エネルギーを受信している間において、検出バンド撮像波形の周期性を検出できる。これに代えて、1以上のノイズ源の周期は、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信していないノイズ特性識別ステージにおいて、検出バンドノイズ特性識別波形からまたは基準ノイズ特性識別波形から判定することができ、あるいは事前格納データベースから読み出すことができる。システムは、スキャンレートを調整することにより、撮像スキャン周期がノイズ源の周期の整数倍とならないようにすることを促される。
【0204】
最適スキャンレートを決定してスキャンレートを調整すると、複数のスキャンラインから取得したバンド内撮像波形を包絡線検出後にサンプリングして、バンド内撮像アレイのセットを取得する。バンド内撮像アレイをQiθとして表す。θはスキャンラインである。バンド内撮像アレイからのサンプルをQiθ[k]として表す。k=1・・Kはサンプルインデックスであり、Kはアレイ内のサンプル個数である。システムは、隣接スキャンラインに対応する複数のアレイまたは空間的重なりが強いスキャンラインを平均する(または最小値をとるなどその他統計的測定を実施する)ことによりノイズ抑制するように、構成できる。例えばシステムが3つのバンド内撮像アレイをグルーピングするように構成されている場合、サンプルQiθ[k]は[Qiθ-1[k],Qiθ[k],Qiθ+1[k]]の平均と置き換えられる。オプションとして、サンプルQiθ[k]は、[Qiθ-1[k],Qiθ[k],Qiθ+1[k]]に対してその他数値解析を実施した後、およびサンプルをノイズ抑制するか否かを判定した後、選択的に維持される。例えば[Qiθ-1[k],Qiθ[k],Qiθ+1[k]]において、最小値が最大値の半分よりも大きければ、サンプル値は平均化によってノイズ抑制するほど十分に大きくない可能性があり、したがって変更せず維持される。
【0205】
この方式は、周期的ノイズ源が存在するMRIイメージングにおいて有用である。これは、ローカル環境のノイズ源のタイミングや周期性と相関しない時刻においてRF励起パルスが確実に出力されることによる。
【0206】
<別の構成要素:複数スキャンを用いるときノイズ抑制するサンプルを選択する>
本実施例において、スキャンレートを上記のように調整し、複数の隣接スキャンラインのアレイからの統計的測定(例えば平均や最小値)に基づきバンド内撮像アレイの部分を選択的に置き換えることにより、ノイズ抑制を実施する。スキャン領域において隣接スキャンラインとの重なりが十分多いものとする。検出バンド測定結果を用いてノイズがあると評価したバンド内撮像アレイのセグメントのみを、置き換える。
【0207】
図8Eに示すように、入力波形をフィルタリング(200と410)してバンド内波形と検出バンド波形を提供し、包絡線検出後にこれらをサンプリングして、バンド内撮像アレイと検出バンド撮像アレイを取得する。
【0208】
複数のスキャンラインに対応するデータを、各スキャンラインのアレイセットとして記録する。アレイセットをスキャンラインごとに取得する。各スキャンラインについてイメージングバンド内で1つのバンド内撮像アレイを取得し、各スキャンラインについて少なくとも1つのバンド外撮像アレイを取得する。バンド内および検出バンド撮像アレイは、それぞれQiθとQnθとして表す。θはスキャンラインである。バンド内撮像アレイと検出バンド撮像アレイからのサンプルは、それぞれQiθ[k]とQnθ[k]として表す。k=1・・Kはサンプルインデックスであり、Kはアレイ内のサンプル個数である。
【0209】
検出バンド撮像アレイは複数のウインドウにセグメント化され、それぞれQnθのJ個のサンプルを含む。ウインドウにしたがってセグメント化したアレイは、Qnθ,wとして表す。符号wはウインドウ番号を表す整数であり、θはスキャンラインを表す整数であり、Qnθ,wはサンプル[Qnθ[kw],Qnθ[kw+1],・・・Qnθ[kw+J-1]]を含む。kwはウインドウ内の第1サンプルのインデックスである。
【0210】
検出バンド内の各ウインドウQnθ,wは、ノイズ有無について評価される(600)。ノイズ(例えばピーク、RMSなどの波形エネルギーの測定結果によって判定する)が閾値を超える場合、ウインドウはノイズ有とみなされる。閾値はノイズ特性識別ステージにおいて選択できる。
【0211】
本実施例にしたがって、ノイズ有と分類された各検出バンドアレイウインドウQnθ,wについて、同時存在するバンド内サンプル(すなわちQnθ[kw],Qnθ[kw+1],・・・Qnθ[kw+J-1])は、ノイズ抑制に適したサンプルとして特定される。
【0212】
ウインドウが重なるとき、所与サンプルQiθ[k]は、2つ以上のウインドウと関連している場合がある。サンプルがノイズ有ウインドウとノイズなしウインドウともに関連する場合が存在する。この場合システムは、サンプルがノイズ抑制に適しているか否かを決定する前に、複数のバンド外ウインドウからのノイズ評価をプーリングするように構成することができる。
【0213】
隣接スキャンラインに対応するアレイのサンプル(610において計算したもの)からの統計値(例えば複製値、平均、最小、など)を用いて、ノイズ抑制に適しているとみなしたサンプルを置き換える(620)。例えばサンプルQiθ[k]がノイズ抑制に適しているとみなされ、システムが3つのスキャンラインからのアレイをグルーピングするように構成されている場合、サンプルQiθ[k]は[Qiθ-1[k],Qiθ[k],Qiθ+1[k]]の最小値と置き換えられる。
【0214】
図8Fを参照する。イメージング時にノイズ抑制を実施するとき、
図8Eの検出バンド撮像波形に代えて基準波形を用いる別実施例を示す。したがって、検出バンド撮像波形(および対応するアレイ)をフィルタリング後基準ノイズ検出波形と置き換えることにより、
図8Dで説明した上記方法を本実施例に対して適用できる。
【0215】
<時間ドメインvs周波数ドメイン処理>
以上の実施例は、時間ドメイン処理の文脈で説明した。ただし本明細書の多くの実施例は、1以上のステップにおいて周波数ドメインまたは時間-周波数ドメイン処理を用いることができる。例えば
図6Aと6Cのステップ570と572において、最大パワーとともに、イメージングバンドとノイズ検出バンドの最小パワー比を用いることに代えて、バンド内波形とバンド外波形に対して短時間フーリエ変換またはウェーブレット変換を運動ごとまたはアレイごとに実施できる。変換係数(例:平均、2乗平均、など)の分析を用いて、ノイズが存在するときまたは存在しないとき、ノイズを特性識別しまたはウインドウ検出できる。ノイズ検出したとき、時間ドメインの信号を減衰させることに代えて(526)、現ウインドウの変換係数を減衰させることができる。次に、減衰した周波数ドメイン信号に対して逆変換を実施して、ノイズ抑制した時間ドメイン信号を取得できる。
【0216】
2つの時間連続波形間で相互相関が必要となる、
図2A(ステップ510)、
図8B、および
図8D、その他実施形態において、相互相関を効率的に起算するためにフーリエ変換アルゴリズムを用いることができる。
【0217】
さらに、
図7A~7Dにおいて説明したように、機械学習アルゴリズムを用いて、ステップ570においてノイズパターンを分類できる。これらパターンは、周波数ドメインおよび/または時間-周波数ドメインの特性によって定義できる。これらは、時間連続波形の周波数ドメインまたは時間-周波数ドメイン処理を必要とする。
【0218】
<超音波以外への一般化>
以上の画像ノイズ抑制のためのシステムおよび方法の例は、超音波撮像の文脈で説明したが、本明細書の実施形態は、様々な撮像デバイス、システム、方法に対して適用できることを理解されたい。
【0219】
上記実施形態にしたがってノイズ抑制を適用できる撮像システムの別例としては、磁気共鳴撮像システムが挙げられる。
図9を参照する。ノイズ抑制する信号を磁気共鳴(MR)システムから取得する別システム例を示す。本システムは、メイン磁石52を用いてメイン磁場B0を生成する磁気共鳴スキャナ50を有する。メイン磁場B0は患者60または被検体において分極を生じさせる。システムは、磁場勾配を生成する勾配コイル54を有する。受信コイル58はMR信号を患者60から検出する。受信コイル58は送信コイルとして用いることもできる。これに代えて身体コイル56を用いて、無線周波数(RF)パルスを出射および/または検出できる。RFパルスはRFユニット65によって生成され、磁場勾配は勾配ユニット70によって生成される。RFパルスと磁場勾配を用いてMR信号が検出される態様、およびMR画像を再構築する方法は、当該分野の当業者にとって既知である。
【0220】
基準受信回路は、スキャナと同室にあるコイルを備えてもよいが、MRI信号を出射している撮像サンプル(例えば患者)の直近には配置しない。MRIマシン近傍を伝搬する電磁ノイズは、撮像受信コイル58と基準受信回路の両方によって検出される。基準受信回路のコイルは、撮像受信コイルと同じノイズを受信するように配置および方向づけされているが、基準受信回路が検出する撮像エネルギーを無視できるように、撮像サンプルから十分離れている。
【0221】
基準受信回路コイルは、撮像受信コイル58と同じ帯域幅を有するように調整され、あるいは、撮像受信コイルが受信するノイズと相関する環境内ノイズ信号を収集可能な別の帯域幅を有する。
【0222】
基準受信回路はさらに、受信コイル群を備える。例えば互いに直交して整列した3つのコイルを備える。これにより、3つのコイルが収集したノイズの重み付け加算が撮像受信コイルにおいて収集したノイズとより厳密に合致するような態様で、電磁ノイズを収集できる。これにより、MRI環境における支配的電磁ノイズ源の方向性を考慮できる。
【0223】
MRシステムは、明確性のため図示していない別のユニットや部品を有してもよいことを、理解されたい。例えば制御デバイスや入力デバイス、検出デバイス(例えば心臓および/または呼吸同期デバイス)などが挙げられるが、これに限らない。さらに、各ユニットは図示しているような個別ユニットではない態様で実現できる。異なる部品をユニットへ組み込み、あるいは異なるユニットを組み合わせることができる。各ユニット(機能ユニットとして示したもの)は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせとして設計できる。
【0224】
図9に示すシステムにおいて、制御処理ハードウェア100は、適当なパルスシーケンスにしたがって患者60の磁気共鳴画像を取得する。制御処理ハードウェア100は、取得した画像を受信し画像取得を制御する磁気共鳴画像スキャナ50とのインターフェースを有する。制御処理ハードウェア100は、RFユニット65から画像データを受信し、上記方法にしたがって画像データを処理する。
【0225】
制御処理ハードウェア100は、プロセッサが実行したときシステムに上記方法のうちいずれか1以上を実施させる命令セットによってプログラムすることができる。これにより、磁気共鳴撮像システムから取得した信号内のノイズを抑制する。例えば
図9に示すように、制御処理ハードウェア100は、実行可能画像処理モジュールセットの形態の命令によってプログラムすることができる。例えば、パルスシーケンス生成モジュール(図示せず)、画像取得モジュール(図示せず)、画像処理モジュール145、ノイズ抑制モジュール150が挙げられるが、これに限らない。パルスシーケンス生成モジュール、画像取得モジュール、および画像処理モジュールは、当業者が知っているパルスシーケンス生成、画像取得、および画像再構築アルゴリズムをそれぞれ用いて、実装できる。RFデータはRFコイル56および/または58から受信され、オプションとして1以上の基準受信コイルから受信される。データをサンプリングおよびフィルタリングして、バンド内波形を取得する。基準受信回路を介した基準波形、または、コイル56および/または58からのRFをフィルタリングしたノイズ検出バンド波形を、収集する。
図2~
図8で説明した1以上のノイズ抑制方法をノイズ抑制のために用いることができる(100)。パルス生成モジュールは、RFパルスのシーケンスと、所望撮像シーケンスに依拠する磁場勾配を生成する。画像取得モジュールは、コイル56および/または58が生データ空間において検出したMR信号を格納する。画像処理モジュール145は、取得したノイズ抑制RFデータを処理して、MRI画像の画像再構築を実施する。
【0226】
撮像信号(基準受信チャネルまたはノイズ検出バンドを介したもの)の帯域幅におけるノイズと相関するノイズを検出できることにより、バンド内ノイズを推定する機能と、撮像信号から推定ノイズを除去することにより撮像信号を改善する機能を提供する。
【0227】
これにより、MRIを環境ノイズからシールドするケージにおけるSNRを改善し、あるいはノイズをより受けやすいオープン/シールドなし環境におけるMRIシステムの動作を改善する。
【0228】
<実施例>
以下の例は、本開示の実施形態を当業者が理解し実施できるように提示する。これらは本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではなく、説明と例示に過ぎない。
【0229】
<実施例1:減衰係数による未知のノイズ源のノイズ抑制(実施形態5の例)>
本例は、2つのノイズ源が存在するとき心臓内エコー(ICE)システムを用いて超音波データを収集することに関する。トランスデューサは、周波数9MHzにおいて超音波エネルギーを検出するように構成した。2つのバンドパスフィルタを並列で用いて、無線周波数(RF)信号をイメージングバンド7~13MHzと、出射超音波の周波数範囲を超える15~25MHzのノイズ検出バンドとへ分離した。
【0230】
第1ノイズ源は、電気解剖マッピングシステムである(Carto(登録商標)3)。システムは電磁トラッキングモジュールとインピーダンスベーストラッキングモジュールを有し、インピーダンスとデバイス位置を推定するためのパッチを患者に取り付ける。これらパッチは、大量のノイズをICE画像のイメージングバンドへ連結することができる。本実験において、心臓動態ファントムを生理食塩水槽内で用いた。インピーダンスパッチからの電極を水槽内に浸した。第2ノイズ源は、Carto3コンソールに接続されたアブレーション生成器をONすることによるものである。この第2ノイズ源から生成されたノイズは、生成器がONのとき、Carto3コンソールとパッチ電極を介して、アブレーション生成器から生理食塩水に対して伝搬するノイズであると想定された。
【0231】
図10Aは、ノイズ源が存在しないとき収集した超音波画像を示す。
図10Bと10Cは、第1および第2ノイズ源の影響をそれぞれ画像品質上で示す。
【0232】
ICEコンソールの超音波トランスデューサが検出した超音波波形のノイズ抑制を、
図6Aと6Dに示す方法にしたがって実施した。
【0233】
本実験の第1ベースラインノイズ特性識別ステージにおいて、受信撮像エネルギーと受信ノイズエネルギーが存在しないとき、イメージングバンド内のエネルギーを検出した。これにより、バンド内ベースラインノイズ特性識別アレイ(Giとして示す)を取得した。200MS/sで125μsのバンド内波形をサンプリングすることによって、バンド内ベースラインノイズ特性識別アレイを取得した。スライドおよび重畳ウインドウ(ウインドウサイズ=64サンプル、20%の重なり)を用い、バンド内パワー測定結果を各ウインドウについて計算した。代表最大パワー(全ウインドウの90パーセンタイル)を計算し、その値を閾値Tiに割り当てた。
【0234】
本実験の第2ノイズ特性識別ステージにおいて、受信撮像エネルギーが存在しないとき(すなわちトランスデューサが電圧パルス供給されておらず超音波エネルギーを受信していないとき)、イメージングバンド内とノイズ検出バンド内の両方でエネルギーを検出した。これにより、バンド内ノイズとノイズ検出バンドノイズ(CiとCn)の相関測定結果を取得した。ノイズ検出バンドは、約15~25MHzの周波数バンドとして構成した。
【0235】
ICEシステムに関する本実施例において、512波形(それぞれ期間125μs、サンプリング200MS/s)を取得した。したがって512個のバンド内および検出バンドノイズ特性識別波形ペアを用いて、ノイズ特性を推定した。イメージングバンドとノイズ検出バンドの両方について、スライドおよび重畳ウインドウ(ウインドウサイズ=64、20%の重なり)を用い、バンド内および検出バンドノイズ特性識別アレイ(CiwとCnw)のウインドウペアを取得した。wはウインドウ番号を示す整数である。CiwとCnwの各ペアについて、イメージングバンドのパワーとノイズ検出バンドのパワーを計算した。バンド内パワーが閾値Tiよりも大きいウインドウのみを、ノイズ特性識別のために選択した。
【0236】
ノイズ特性識別において統計的ノイズパワー測定結果を計算した。パワーがバンド内ノイズ特性識別アレイパワー値の96~99パーセンタイルであるバンド内ノイズ特性識別アレイのウインドウセットを選択した。このセット内において、最小値近傍ノイズ検出バンドパワー(セット内の20パーセンタイル)を有するウインドウをw_maxとして選択し、パワー値P(Cnw_max)とP(Ciw_max)を計算した(それぞれPnmaxとPimaxとして示す)。同様に、バンド内パワーがバンド内ノイズ特性識別アレイパワー値の1~5パーセンタイルであるバンド内ノイズ特性識別アレイのウインドウセットを選択した。このセット内において、最小値近傍ノイズ検出バンドパワー(セット内の20パーセンタイル)を有するウインドウをw_minとして選択し、パワー値P(Cnw_min)とP(Ciw_min)を計算した(それぞれPnminとPiminとして示す)。
【0237】
図6Bに示すように、点(Pn
max,Pi
max)と点(Pn
min,Pi
min)を通る直線は、勾配mとy切片cである。緩和パラメータβを単位値としてセットした。関数fは以下のように示される:
【数1】
Pn
wは検出バンドのパワーである。本実施例は、イメージングバンドと検出バンドとの間の相対パワー関数関係を選択するアルゴリズム例を説明するために提示したものであり、他の件数形式も使用できることを理解されたい。
【0238】
関数f()を用いて、撮像時(すなわち、パルサが周期的に撮像エネルギーを出射しており、トランスデューサ受信回路が超音波エネルギーを受信しているとき)に取得したバンド内撮像波形のノイズ抑制を実施した。
【0239】
イメージングバンドとノイズ検出バンドの波形をサンプリングして、バンド内撮像アレイと検出バンド撮像アレイのペア(QiθとQnθ)を取得した。θは、スキャンラインに対応する取得期間を識別するインデックスである。ウインドウにしたがって撮像アレイを時間的にセグメント化し、それぞれQiθ,wとQnθ,wとして示す。wはウインドウ番号を示す整数である。バンド内撮像アレイとバンド外撮像アレイの各ウインドウ部分について、パワーP(Qiθ,w)とP(Qnθ,w)を計算した(それぞれPiθ,wとPnθ,wとして示す)。
【0240】
各ウインドウについて、バンド外撮像パワーPnθ,wを用いて、バンド内撮像ウインドウQiθ,w内のノイズエネルギーP^iNθ,wを推定した。P^iNθ,wはf(Pnθ,w)として計算した。βを単位値にセットし、ノイズ特性識別ステージにおいてパラメータm、c、Pnmax、Pnminを取得した。P^iNθ,wをPiθ,w以下にクランプした。減衰係数を[Piθ,w-P^iNθ,w]/Piθ,wとして計算した。減衰係数を0.02以上にクランプした。減衰係数をアレイQiθ,wに乗算して、ノイズ減衰アレイQiθ,wを取得した。画像生成器(230)によって全512スキャンラインについてQiθを包含して処理した。
【0241】
第1および第2ノイズ源が存在するとき、上記アルゴリズムを用いてバンド内撮像波形のノイズを抑制した。
図11Aと11Bは、第1ノイズ源が存在するとき取得した画像を示す。
図11Aは本ノイズ抑制アルゴリズムを適用したもの、
図11Bはしなかったものである。
図12Aと12Bは、第2ノイズ源が存在するとき取得した画像を示す。
図12Aは本ノイズ抑制アルゴリズムを適用したもの、
図12Bはしなかったものである。両ケースにおいて、信号対ノイズ比が明らかに改善している(約6dB改善)。別例として、
図11C、11D、11Eは、第1ノイズ源が存在するとき本ノイズ抑制方法を適用して取得した画像を示す。関数f()の緩和パラメータβは、0.5(
図11C)、単位値(
図11D)、1.5(
図11E)である。
【0242】
<実施例2:遅延訂正(実施形態6)を用いた周期的ノイズ源のノイズ抑制)
本例において、
図8Aと8Bが示す方法にしたがって、ICEコンソールの超音波トランスデューサが検出した超音波波形のノイズ抑制を実施した。電磁トラッカが存在するとき本例のデータをICEコンソールで収集した。電磁トラッカの制御ユニットを観察して、超音波画像データ内に疑似周期ノイズパターンを生成した。これを
図13Aに示す。
【0243】
ICEシステムに関する本実施例において、撮像トランスデューサが撮像エネルギーを受信しておらずraw/RFモードでデータ収集するとき、1波形(長さ125μsmサンプリング200MS/s)を取得した。
【0244】
アレイペア(すなわちサンプリングした波形)としてデータを保存した。第1アレイは、包絡線検出後にサンプリングしたバンド内ノイズ特性識別波形(7~13MHz)、および、包絡線検出後にサンプリングした15~25MHzバンドのバンド外ノイズ特性識別波形を含む対応アレイを有する。これらバンド内および検出バンドノイズ特性識別アレイをCiとCnとして示す。
【0245】
バンド内ノイズとバンド外ノイズの相関を用いて、画像データ取得時(すなわち超音波トランスデューサが超音波エネルギーを受信しているとき)にバンド内撮像波形のノイズ抑制を実施した。
【0246】
撮像時において、スキャンラインθに対応する複数の取得期間でアレイペアを取得した。各アレイペアについて、イメージングバンド(7~13MHz)で1つのアレイを取得し、ノイズ検出バンド(15~25MHz)で1つのアレイを取得した。各アレイは長さ125μs、サンプリング200MS/sである。バンド内撮像アレイとバンド外撮像アレイをそれぞれQiθとQnθと表し、イメージング時(すなわちトランスデューサが撮像エネルギーを受信しているとき)に測定した。
【0247】
バンド内ノイズ特性識別アレイを用いて各バンド内撮像アレイをノイズ抑制のために処理し、バンド内撮像アレイからのノイズを抑制した。
【0248】
バンド内およびバンド外撮像アレイQiθとQnθを複数の時間ウインドウにセグメント化した。本実施例において、ウインドウサイズは800サンプルであり(本例においてレート200MS/sで4μs)、隣接ウインドウ間で75%が重なっている。ウインドウにしたがって時間的にセグメント化した撮像アレイを、Qiθ,wとQnθ,wと表す。wはウインドウ番号を示す整数である。
【0249】
Qnθ,wとCnとの間の時間整列をウインドウごとに実施した。時間整列は、バンド外ノイズ特性識別アレイCnとバンド外撮像アレイQnθ,wとの間の相互相関を計算し、最大相互相関に対応する相対時間遅延τを選択することによって実現した。バンド内ノイズとバンド外ノイズとの間の相関に起因して、時間遅延τを適用して、バンド内ノイズ特性識別アレイをウインドウ化したバンド内撮像アレイに対して整列した。整列後バンド内ノイズ特性識別アレイをウインドウ化した(Ci
wと表す)。
【0250】
バンド内撮像アレイQiθ,wから減算する前に、バンド内ノイズ特性識別アレイCi
wに対してスケーリング係数を適用した。Qi
θ,w=Qiθ,w-αCi
wにしたがって、ノイズ抑制バンド内撮像アレイQi
θ,wを計算した。α=0.25は、ウインドウ化に対処するスケーリング係数である。負値は0で置き換えた。
【0251】
上記方法を用いて、Aurora(商標)電磁トラッキングシステム(Northern Digital Inc)(ノイズ源として作用する)が存在するときのイメージング時に取得したデータのノイズを抑制した。
図13Aと13Bは、ノイズ源が存在するとき取得した画像を示す。
図13Aは本ノイズ抑制方法を適用したもの、
図13Bはしなかったものである。ノイズ抑制方法を実施したとき、信号対ノイズ比の明らかな改善(約5dB)が見られた。
【0252】
上記具体的な実施形態は例示であり、これら実施形態は様々な変形および代替形態が可能であることを理解されたい。さらに、特許請求範囲は特定形態に限定することを意図したものではなく、本開示の要旨と範囲に含まれる全ての変形、等価物、代替形態をカバーすることを意図したものであることを理解されたい。