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特許7529762磁気共鳴撮像システム用の品質管理装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】磁気共鳴撮像システム用の品質管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240730BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20240730BHJP
   G01R 33/58 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61B5/055 390
G01N24/00 100A
G01R33/58
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022506897
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2020072156
(87)【国際公開番号】W WO2021023825
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】19306008.4
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591100596
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
(73)【特許権者】
【識別番号】512215048
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・トゥール
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE TOURS
(73)【特許権者】
【識別番号】504154665
【氏名又は名称】サントル・オスピタリエ・レジオナル・エ・ユニヴェルシタイル・ドゥ・トゥール
【氏名又は名称原語表記】CENTRE HOSPITALIER REGIONAL ET UNIVERSITAIRE DE TOURS
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】デストリュー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】バランタン,ローラン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-512899(JP,A)
【文献】米国特許第05312755(US,A)
【文献】特表2015-511524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0309149(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0211889(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0200244(US,A1)
【文献】特開昭60-207655(JP,A)
【文献】米国特許第04777442(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0005401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に円筒形状を有する密閉可能な中空体(20)、
前記中空体に取り外し可能に挿入されるように構成され、且つ実質的に円筒形状を有する標的領域(V22)を規定する支持フレーム(22)、及び
X線画像及びMRI画像上で可視の材料から作られた複数の標的物体(24)であって、前記標的物体が前記標的領域に配置され、前記支持フレームに取り付けられた標的物体(24)、を備えた装置(1)であって、
前記装置(1)は、定位フレーム(70)に堅固に取り付けられ且つ受け取られるように構成され
前記標的物体(24)は、前記支持フレーム(22)に接続された前記支持構造(66)に摺動可能に取り付けられ、前記装置は、前記支持構造に沿った前記標的物体の位置を選択的に調整するための保持要素を含み、
及び/又は
前記支持フレーム(22)は、
‐前記ベースの中心から放射状に広がる複数のアーム(58)を有する下部ベース(50)、
‐主軸から放射状に広がる複数のアーム(62)を有する上部ベース(52)及び
‐前記下部ベースを前記上部ベースに接続する少なくとも1つの接続部分(54)、
を備えている、装置(1)。
【請求項2】
前記標的物体(24)は、球形形状を有している、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記標的物体(24)は、プラスチック材料で作られている、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記支持構造(66)は、放射線透過性材料、例えばナイロン、で作られたワイヤである、請求項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記中空体(20)は、
‐前記支持フレーム(22)を端部開口部(35)を通して受け入れるように構成された円筒状本体(30)、及び
‐前記開口部を密閉するように構成された蓋(32)、
を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記中空体(20)は、多角形の断面を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記中空体(20)及び前記支持フレーム(22)は、非強磁性材料、優先的にはプラスチック又は木又はガラス、で作られている、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記中空体(20)は、放射線透過充填材料、例えば流体又はゲル、で満たされている、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記標的物体(24)は、放射線不透過性材料で作られている、請求項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記充填材料は、水又は水溶液、例えば水と抗菌溶液との混合物、を含んでいる、請求項に記載の装置(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(1)と前記定位フレーム(70)とを備えたシステムであって、
前記装置(1)は、例えば少なくとも1つの締結装置によって前記定位フレーム(70)の内側に保持されることによって、前記定位フレーム(70)に堅固に取り付けられ且つ前記定位フレーム(70)内に受け取られる、
上記システム。
【請求項12】
a)
‐実質的に円筒状の密閉可能な中空体(20)と、
‐前記中空体に取り外し可能に挿入されように構成され、且つ実質的に円筒状を有する標的領域(V22)を規定する支持フレーム(22)と、
‐X線画像及びMRI画像上で見える材料から作られた複数の標的物体(24)であって、前記標的物体が前記標的領域に配置され且つ前記支持フレームに取り付けられた標的物体(24)と、
を備えた装置(1)を取得すること、
記装置(1)は、定位フレーム(70)に堅固に取り付けられ且つ受け取られ
前記標的物体(24)は、前記支持フレーム(22)に接続された前記支持構造(66)に摺動可能に取り付けられ、前記装置は、前記支持構造に沿った前記標的物体の位置を選択的に調整するための保持要素を含み、
及び/又は
前記支持フレーム(22)は、
‐前記ベースの中心から放射状に広がる複数のアーム(58)を有する下部ベース(50)、
‐主軸から放射状に広がる複数のアーム(62)を有する上部ベース(52)及び
‐前記下部ベースを前記上部ベースに接続する少なくとも1つの接続部分(54)、
を備え、
b)磁気共鳴撮像装置(4)及びX線撮像装置(6)をそれぞれ用いて、前記装置の第1の画像及び第2の画像を取得すること(S100)、
c)前記第1の画像及び前記第2の画像上の前記標的物体の位置を識別すること(S102)、
d)前記第1の画像及び前記第2の画像上の対応する標的物体の対を識別すること(S104)、
e)標的物体の前記対の前記識別された位置を比較すること(S106)、
f)前記識別された標的物体の少なくとも1つに対して、1対の標的物体間の位置の差が事前に定義された閾値を超える場合に、前記磁気共鳴撮像装置の故障状態を決定すること(S110)、
を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、磁気共鳴撮像システム用の品質管理装置及び方法に関する。本発明は、より一般的には、磁気共鳴撮像及びその応用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴撮像(MRI)技術は、様々な物質(例えば、生物の生体組織)の画像を取得するために広く用いられている。
【0003】
医用撮像におけるMRI技術の多くの可能な応用の1つは、定位手術であり、そこでは、MRIは、例えば患者の脳外科手術を行うために、被験者内の標的の詳細な画像を正確に位置特定し取得するために従来の撮像技術(例えば、X線撮像)と一緒に用いられる。
【0004】
画像の2つのセットの間で共通の幾何学的参照座標系を取得するには、画像取得シーケンス全体で定位フレームを患者に取り付ける必要がある。
【0005】
適切に較正されなかった、又は誤動作しているMRI装置は、異方性アーチファクト(例えば、局所的な幾何学的変形)を含む画像を生成することがある。そのような誤動作が検出されないままであると、定位撮像法から得られる結合された位置情報は誤っているであろう。これは、手術全体の壊滅的な失敗につながる可能性がある。
【0006】
従って、MRI装置の信頼性を評価するために、装置及び方法を試験する必要性がある。
【0007】
これは通常、MRI装置から取得された画像の品質を、X線画像を用いて制御することによって行われる。しかし、この過程は長く、実装するのは複雑である。
【0008】
従って、MRI装置の信頼性を評価するためのより簡単でより速い試験装置及び方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、本発明は、装置であって、
実質的に円筒形状を有する密閉可能な中空体と、
上記中空体に取り外し可能に挿入されるように構成され且つ実質的に円筒形状を有する標的領域を規定する支持フレームと、
X線画像及びMRI画像上に可視の材料から作られた複数の標的物体であって、上記標的物体は、上記標的領域に配置され、上記支持フレームに取り付けられているものと
を備え、
上記装置は、定位フレームに堅固に取り付けられ且つ受け取られるように構成されている、
上記装置に関する。
【0010】
本発明の利点は、本装置がは、製造及び使用が容易であり、且つ撮像システムにおける品質管理試験のために、特に誤動作しているMRI装置を検出するために、容易に使用されうることである。
【0011】
1又は複数の実施形態において、本発明は、単独で又は全ての可能な技術的組み合わせに従って考慮された、以下の特徴のうちの1又は複数を含みうる:
‐上記標的物体は、球形である;
‐上記標的物体は、プラスチック素材でできている;
‐上記標的物体は、上記支持フレームに接続された支持構造に取り付けられている;
‐上記標的物体は、前記支持構造に摺動可能に取り付けられ、上記装置は、上記支持構造に沿った上記標的物体の位置を選択的に調整するための保持要素を含む;
‐上記支持構造は、放射線透過性材料、例えばナイロン、で作られたワイヤである;
‐上記中空体は、
‐上記支持フレームを端部開口部かを通して受け入れるように構成された円筒状本体と、
‐前記開口部を密閉するように構成された蓋と、
を含む:
‐上記中空体は、多角形の断面を有する;
‐上記支持フレームは、
‐下部ベースであって、上記ベースの中心から放射状に広がる複数のアームを有するものと、
‐上記主軸から放射状に広がる複数のアームを有する上部ベースと、
‐上記下部ベースを上記上部ベースに接続する少なくとも1つの接続部分と、
を備えている;
‐上記中空体及び上記支持フレームは、非強磁性材料、優先的にはプラスチック又は木材又はガラス、で作られている;
‐上記中空体は、放射線透過性充填材料、例えば流体又はゲル、で満たされている;
‐上記標的物体は、放射線不透過材料で作られている;
‐上記充填材料は、水又は水溶液、例えば水と抗菌溶液との混合物、を含んでいる;
‐上記装置は、2~50個の標的物体で構成されている。
【0012】
別の態様によれば、システムは、前述のような装置及び定位フレームを備え、上記装置は、例えば少なくとも1つの締結装置によって上記定位フレーム内に保持されることによって、上記定位フレームに堅固に取り付けられ且つ上記定位フレーム内に受け取られる。
【0013】
別の態様によれば、本発明はまた、磁気共鳴撮像装置を較正するための方法であって、少なくとも以下の工程を包含するものに関連する:
a)装置(1)であって、
‐実質的に円筒状の密閉可能な中空体(20)と、
‐上記中空体に取り外し可能に挿入されように構成され、且つ実質的に円筒状を有する標的領域(V22)を規定する支持フレーム(22)と、
‐X線画像及びMRI画像上で見える材料から作られた複数の標的物体(24)であって、上記標的物体は、上記標的領域に配置され且つ上記支持フレームに取り付けられているものと、
を備えているものを取得すること;
ここで、上記装置(1)は、定位フレーム(70)に堅固に取り付けられ且つ受け取られる、
b)磁気共鳴撮像装置(4)及びX線撮像装置(6)をそれぞれ用いて、上記装置の第1の画像及び第2の画像を取得すること;
c)上記第1の画像及び上記第2の画像上の上記標的物体の位置を識別すること;
d)上記第1の画像及び上記第2の画像上の対応する標的物体の対を識別すること;
e)標的物体の上記対の上記識別された位置を比較すること;
f)上記識別された標的物体の少なくとも1つに対して、1対の標的物体間の位置の差が事前に定義された閾値を超える場合に、上記磁気共鳴撮像装置の故障状態を決定すること。
【0014】
磁気共鳴撮像システムの例示的な品質管理装置及び方法(これらは例示としてのみ提供され且つ添付の図面を参照して作成された)の以下の説明を読むと、本発明はよりよく理解され、且つ本発明の他の利点はより明確になろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】磁気共鳴撮像装置及びX線装置を含む、本発明のいくつかの実施形態による撮像システムの簡略図である。
図2図1のシステムの磁気共鳴撮像装置を試験するための試験装置の簡略化された分解図である。
図3図2の装置の一部の簡略化された斜視図である。
図4】定位レクセルフレームに取り付けられた図2及び図3の試験装置の斜視図である。
図5】定位フレーム内の標的要素の位置決めに関する磁気共鳴撮像装置の信頼性を評価するための、本発明のいくつかの実施形態による品質管理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、磁気共鳴撮像(MRI)装置4、X線撮像装置6、並びにこれらの装置4及び6から画像を取得するための電子制御システム8を含む例示的な撮像システム2が示されている。
【0017】
いくつかの例によると、本撮像システム2は、対象(例えば、患者又は動物)における少なくとも1つの標的を撮像するための医療撮像システムである。
【0018】
標的は、対象の解剖学的領域に対応し、且つ生物学的組織及び/又は少なくとも1つの生物学的器官を含みうる。
【0019】
図示された例において、撮像システム2は、定位手術のために用いられるように、例えば、手術前の段階で対象の標的(例えば臓器)を位置特定するために上記対象の画像を取得するように、構成されている。
【0020】
しかし、本発明はこの例示的な用途に限定されないことが理解されるべきである。
【0021】
例えば、1又は複数の代替の実施形態において、上記システム2は、異なるタイプの手術を実行するための画像を取得するために、又は他の医療撮像用途のためにも用いられうる。上記システム2はまた、医療分野以外の撮像用途(例えば、材料の非破壊検査を実行するため)に用いられうる。
【0022】
いくつかの実施形態によると、MRI装置4及びX線装置6は、従来の撮像装置であり、従って、それらの構造及び動作は、本明細書でさらに詳細には説明されない。
【0023】
図1には、撮像システム1、より具体的にはMRI装置4での品質管理操作を実行するための試験装置1も示されている。
【0024】
上記試験装置1の実施形態については、後程詳細に説明される。
【0025】
電子制御システム8は、上記MRI装置4及び上記X線装置6に動作可能に結合され、且つ、上記MRI装置4及び上記X線装置6から対象の標的領域の画像を取得するようにプログラムされた電子回路を含む。
【0026】
実際には、電子制御システム8は、上記装置4及び6を駆動するためにこれら装置へ直接接続されうるか、又は上記MRI装置4及びX線装置6の各々の制御ユニットへ接続されうる。
【0027】
例えば、取得された画像は、デジタル画像(例えば、DICOM画像)である。
【0028】
いくつかの実施形態によると、電子制御システム8は、データ取得インタフェース10、プロセッサ(CPU)12、メモリ14、及びユーザインタフェース16を含む。
【0029】
プロセッサ12は、プログラム可能なマイクロコントローラ、又はマイクロプロセッサ、又は何らかの類似の装置でありうる。
【0030】
メモリ14は、読み取り専用メモリ(ROM)、及び/又は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び/又は、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又は磁気メモリ)、又は相変化メモリ、又は同様のメモリ技術を含みうる。
【0031】
1又は複数の実施形態において、メモリ14は、制御システム8の動作中、例えば、図5を参照して説明された実施形態による方法の少なくともいくつかの工程を自動的に実装するために、プロセッサ12によって実行されうるコンピュータプログラム及び/又は実行可能な機械命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。
【0032】
いくつかの別の実施形態において、電子制御システム8は、必ずしもプロセッサベースの装置である必要はなく、代わりに、用途に固有の集積回路、及び/又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ回路のようなプログラム可能論理回路、又は何等かの適切な制御回路を含みうる。
【0033】
次に、試験装置1の実施形態が、図2、3、及び4を参照してより詳細に説明される。
【0034】
図2に見られるように、試験装置1は、実質的に円筒形の形状を有する密閉可能な中空体20と、上記中空体に取り外し可能に挿入されるように構成された支持フレーム22とを含む。
【0035】
上記支持フレーム22は、実質的に円筒状の標的領域V22と、放射線不透過性及びMRI可視材料でできている複数の標的物体24とを規定し、上記標的物体24は、上記標的領域V22に配置され、上記支持フレーム22に取り付けられている。
【0036】
以下の説明から理解されるように、前記材料は、X線画像とMRI画像との両方で可視であるように選択される。より具体的には、磁気共鳴撮像の目的のためには、上記材料の選択はまた、例えば、上記材料は周囲の媒体と対照的にMRI画像上に現れうるように、周囲の媒体の特性に依存しうる。
【0037】
例えば、試験装置1は、MRI装置4の誤動作を検出するために、上記システム2によって撮像標的として用いられるように構成されている。
【0038】
中空体20は好ましくは、円筒状本体30又はタンクと、上記本体30を閉じるように構成された蓋32とを含む。
【0039】
図2の例において、本体30、支持フレーム22、及び蓋32は、本発明の理解を容易にするために分解図で描かれている。
【0040】
図示の例において、X20は中空体20の縦軸を示し、X22は支持フレーム22の縦軸を示す。装置1が組み立て構成であるとき、軸X20及びX22は互いに一直線をなしている。
【0041】
上記体20及びその後言及された上記フレーム22の断面は、それぞれ軸X20及びX22に垂直である。
【0042】
説明の目的で、軸X20及びX22は、本明細書で説明され図示された例においては垂直に向けられている。以下の説明において、いくつかの要素の向きは、便宜上且つ単純化のために垂直又は水平として記載されうるが、これらの向きは限定的ではなく、装置1は異なる方向に向けられうる、即ち非垂直方向に向けられた軸X20及びX22を有する。
【0043】
中空体20及び支持フレーム22は、MRI装置4との干渉を回避するために非強磁性材料で作られている。例えば、上記体20及び支持フレーム22は、プラスチック、又は木、又はガラス、又は何等かの適切な材料で作られている。
【0044】
中空体20と支持フレーム22とは、異なる材料から作られてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、中空体20及び/又は支持フレーム22は、成形によって、又は積層造形(例えば、3D印刷)によって製造される。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態によると、本体30は、多角形の断面(例えば、六角形の断面)を有する実質的に円筒形の形状を有する。
【0047】
例えば、円筒状本体30は、垂直に配向された側壁33を含み、この側壁33は、閉じた下端34によって閉じられ且つ上端35によって開かれた内部容積部V30を規定し、それを通して支持構造22は挿入され且つ除去されうる。
【0048】
好ましくは、上記本体30は、支持フレーム22の断面と同様の断面を有するように形成されている。図示された例において、本体30は、正多角形(例えば八角形)のような多角形の断面を有する。この場合、側壁33は平坦な形状をしている。
【0049】
例えば、円筒状本体30は、任意の流体(例えば、水又は水溶液)の1リットルの容積を有する。実際には、円筒状本体30は、平均的な人間の頭の体積を含みうる。
【0050】
オプションとして、上記本体30は、支持フレーム22の挿入を容易にするために、内部容積部V30の内側に配置された垂直案内レールを含みうる。案内レールは、図2に見えるが、参照番号は付けられていない。例えば、案内レールは、2つの隣接する壁33の間の縁に配置される。
【0051】
いくつかの好ましい実施形態において、上記本体30は、周辺フランジ部分36を含み、上記周辺フランジ部分36は、上部開口部35の周りに延在し、且つ壁33の上端から上記本体30の外部に向かって半径方向に突出している。
【0052】
上記フランジ部分36は、円筒状本体30の上部の蓋32を閉じるための、締結要素(例えば、ねじ又はボルト又はリベット)を受け入れるように適合された貫通穴38を含む。
【0053】
1つ又は複数の代替の実施形態において、締結要素はクリップでありうる。このような場合、上記フランジ部分36は必ずしも穴38を含まない。
【0054】
別の実施形態において、蓋32は、円筒状本体30にねじ込まれるように構成されている。
【0055】
オプションとして、上記本体30は、壁33の1つ又はいくつかから上記本体30の外部に向かって放射状に延びる支持脚40を含むことができ、このようにして、例えば装填中又は類似の取り扱い中又は保守作業中、上記本体30を水平位置にある平坦面上に横たえることを可能にする。例えば、支持脚40は、壁33の1つに沿った2つ以上の中間位置に置かれる。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、蓋32は、平坦な形状を有し、上記フランジ部分36と接触するように構成された上面42及び下面を含む。
【0057】
蓋32は、好ましくは、上記本体30の残りの部分に用いられる材料と同様の材料でできている。
【0058】
いくつかの実施形態において、蓋32は、締結要素(例えば、ねじ又はボルト又はリベット)を受け入れるように構成された複数の穴44を含む。上記穴44は、好ましくは、上記フランジ部分36の穴38と整列するように、所定のパターンに従って蓋32の周囲に配置されている。
【0059】
蓋32はまた、その下面に配置されたシーリング装置、例えばエラストマー材料から作製されたシーリングガスケット、を含みうる。
【0060】
上記体20を密閉するために、蓋32は、穴44が穴38と整列するように上記フランジ部分36に対して配置され、次いで、蓋32は、締結要素によって上記フランジ部分36に対して押されて保持される。
【0061】
多くの実施形態において、容積部V30は、放射線透過性媒体(例えば、液体又はゲル)で満たされている。
【0062】
例えば、媒体又は材料は、それがX線画像上で見えない場合、本明細書では放射線透過性であると言われる。例えば、放射線透過材料は、X線の透過係数が75%以上又は80%以上である。
【0063】
好ましくは、充填材料は、MRI画像上で見られうる。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、充填剤の放射線透過媒体は、ファントムゲル(phantom gel)、又は水、又は水溶液(例えば、水と抗菌製品との混合物)である。
【0065】
水や水溶液を用いることは、生体器官や組織(例えば脳組織)の特性と同様のMRI関連の特性(例えば、原子核の緩和時間)を持つという利点を有する。その結果、充填媒体は、生体組織の様相(aspect)と同様の様相(例えば、類似の強度レベル)でMRI画像上に表示される。
【0066】
上記フレーム22は、上記本体30に取り外し可能に挿入されるように構成されている。
【0067】
例えば、支持フレーム22の挿入及び取り外しは、X20軸によって規定された方向に沿って上記フレーム22を移動させることによって行われる。
【0068】
多くの実施形態において、特に図2及び3に見られるように、上記フレーム22は、下部ベース50、上部ベース52、及び上記下部ベース50を上記上部ベース52に接続するための複数の接続部分54(例えば、梁又は壁)を備えている。
【0069】
例えば、接続部分54は、軸X22に平行に長手方向に延在している。
【0070】
図示された例において、上記支持フレームは、6つの接続部分54を含み、これら接続部分54は、平らで長方形の形状を有し、各々は長方形の中央開口部56を含む。
【0071】
この例は限定的なものではなく、代わりに別の構成がを用いることもできる。
【0072】
例えば、上記開口部56は、多角形(例えば三角形)を有し、又は円形を有することができる。
【0073】
いくつかの他の実施形態において、接続部分54の数は異なっていてもよい。例えば、上記支持フレーム54は、上記支持フレーム22の実際の断面形状に応じて、8つの接続部分54、又はそれ以上、又はそれ以下を含みうる。
【0074】
上記装置1が組み立て構成にあるとき、支持フレーム22は、壁33の1つに平行である各接続部分54を有し、容積部V30の内側に置かれる。下部ベース50は壁34と接触し、上部ベース52はフランジ部分36の下にあり、その結果、支持フレーム22は円筒状本体30の容積部V30の内側に完全に含まれる。
【0075】
接続部分54、下部ベース50、及び上部ベース52は一緒に、実質的に円筒状の標的領域V22を規定する。
【0076】
例えば、上記領域V22は、容積部V30の断面と同様の比率と寸法を持つ、多角形の断面(例えば六角形の断面)を持っている。
【0077】
いくつかの他の実施形態において、標的領域V22の断面は、にもかかわらず、例えば容積部V30の断面と同じ数の側面を有さないことによって、容積部V30の断面形状とは異なる場合がある。
【0078】
例えば、容積部V30の断面が6つの側面を有する場合、標的領域V22の断面は8つの側面を有し得るが、それでも標的領域V22の断面は依然として容積部V30の断面に挿入されうる。
【0079】
いくつかの他の実施形態において、上記フレーム22は、円形の断面を有しうる。
【0080】
好ましくは、上記容積部V22の容積及び/又は形状は、患者の関心のある解剖学的領域の容積と類似又は同一であるように選択される。例えば、装置1は、患者の手術に先立つ事前の手術前操作を始める前に、撮像システム2を試験するために用さいられる。
【0081】
ほとんどの実施形態において、下部ベース50は、軸X22から接続部分54の下端に向かって放射状に広がるいくつかのアーム58(例えば、6つのアーム)を含む。
【0082】
図示された例において、各アーム58の遠位端は、接続部分54の下端の中央に接続されている。
【0083】
好ましくは、各アーム58は、1つの接続部分54のみと接続される。
【0084】
一般に、アーム58の数は、接続部分54の数と同じである。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、各アーム58は、軸X22に対して長手方向に平行に配置された複数の穴60を含む。
【0086】
同様に、上部ベース52は、複数のアーム62(例えば、6つのアーム)を含む。
【0087】
例えば、アーム62は、軸X22から放射状に広がり、各アーム62は、1つの接続部分54に接続され、各接続部分54は、1つのアーム62のみに接続されている。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、各アーム62は、複数の穴64を含む。穴64は、穴60と同様であり、穴60と位置合わせされている。
【0089】
標的物体24は、標的領域V22の内側に置かれ、且つ放射線不透過性材料で作られ、X線装置4を用いて取得されたX線画像上で見えるようになっている。
【0090】
例えば、X線の透過係数が25%未満又は20%以下の場合、その材料は放射線不透過であると言われる。
【0091】
好ましくは、標的物体24はまた、高密度材料から作られ、本体30を充填するために用いられる充填媒体とは対照的に、MRI装置4から取得されたMRI画像上で見えるようになっている。
【0092】
実際には、MRI画像上の与えられた材料の可視性は、その材料内の原子核の緩和時間によって決定される。標的物体24に用いられる材料は、取得された画像上で標的物体24と周囲の媒体との間に強いコントラストを得るために、好ましくは、周囲の材料(例えば、本体30内の充填媒体)の緩和時間とは著しく異なる緩和時間を示すように選択される。
【0093】
いくつかの実施形態において、標的物体24は、プラスチック材料(例えば、熱硬化性ポリマー又は何らかの適切な材料)で作られている。例えば、上記標的物体24は、ポリエチレンテレフタレート(PTET)、又はポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)、又はポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリアミド(PA)、又は何らかの適切なプラスチック材料、又はそれらの組み合わせでできている。
【0094】
プラスチック材料は、水又は何らかの水溶液が本体30を充填するための充填媒体として用いられる場合に、適切なコントラストを提供する。何故なら、水はプラスチックとは異なる緩和時間を有するためである。
【0095】
例えば、プラスチック材料は、取得されたMRI画像上の低強度ゾーンに関連付けられ、充填媒体は、前記取得された画像上の高強度ゾーンに関連付けられる。結果として、標的物体24は、それらの周囲とは対照的に、MRI画像上で検出されうる。
【0096】
多くの実施形態において、標的物体24は球形を有するが、他の形状(例えば、ビーズ又は立方体)を代替の実施形態として選択することができる。
【0097】
球形を使用することは有利である。なぜなら、試験物体24は、デジタル画像上で識別しやすく、それらの幾何学的中心は、視角に関係なくそのような画像上に容易に配置されうるからであり、標的物体24が視角に関係なく円盤状要素として現れるためである。
【0098】
例えば、試験物体24の直径は、4mmから15mmの間で構成され、優先的には10mmよりも小さい。説明のために与えられた例において、試験物体24は、8mmに等しい直径を有する。
【0099】
標的物体24は、好ましくは、単一の部品から且つ単一の材料を用いて作られる。
【0100】
多くの実施形態において、各標的物体24は、上記フレーム22に取り付けられた支持構造66を用いて、上記フレーム22に対して固定位置に保持される。
【0101】
図2において、説明の都合上、2つの例示的な標的物体24のみが見えるようにされている。しかし、いくつかの標的物体24を含む実施形態が図3に示され、そこでは、接続部分54は、標的物体24の空間的配置を示すために部分的に隠されている。
【0102】
図示された実施形態において、支持構造66は、下部及び上部部分50、52のそれぞれのアーム58、62に接続されている。多くの実施形態において、各支持構造66は、下部及び上部ベース50及び52との間に垂直に(即ち、軸X22に平行に)延在している。各ワイヤ66は、下部と上部部分50及び52との間に垂直に延在している。各ワイヤ66の端部は、下部及び上部部分50及び52の対応する穴60又は64を通して挿入される。
【0103】
好ましくは、支持構造66は、それらの位置が一度設定されると、オペレータが意図的にそれらを再び動かさない限り、標的物体24がそれ自体で移動できず、且つ上記フレーム22に対して固定位置に留まるように構成されている。
【0104】
図の例において、支持構造66はワイヤであり、好ましくは放射線透過材料(例えば、ナイロン)から作られたワイヤである。好ましくは、支持構造66は、MRI画像でも見えない材料(ナイロンの場合のように)から作られている。別の適切な材料が、代りの実施形態において用いられうる。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、標的物体24は、ワイヤ66にねじ込まれている。例えば、各標的物体24は、上記標的物体24を通してワイヤ66を受け取るための中央チャネルを含む。各標的物体タ24は、上記標的物体タ24の周りで上記ワイヤ66をループすることによって所定の位置に保持される。上記ワイヤ66は、上記ループを締めるためにアーム58と62との間で引っ張られ、上記ワイヤ66に沿って上記標的物体24を堅固に固定する。
【0106】
いくつかの他の実施形態において、各支持構造66は、上記支持構造66に沿って標的物体24の位置を選択的に調整するための保持要素を含みうる。ワイヤの上記端部は、結び目又は停止要素によって保持されうる。いくつかの別の実施形態において、結び目又は停止要素は各標的物体24に関連付けられうる。言い換えると、標的物体24は、少なくとも1つの支持構造66に摺動可能に取り付けられ、上記支持構造66に沿って垂直に移動させられうる。標的物体24は、オペレータによって上記標的物体24に力を加えることにより支持構造66に沿って、意図的に動かされうる。
【0107】
いくつかの代替の実施形態において、各標的物体24は、2以上の支持構造66に取り付けられうる。支持構造66はまた、例えば、ラックピニオンシステム、又は何らかの他の適切な機械的並進システムを用いて、異なるように構築されうる。
【0108】
図3の例において、14個の標的物体24が、領域V22の内側に軸X22の周りに中心対称に配置されている。
【0109】
第1のグループG1において、4つの標的物体24が、軸X22に直交する第1の幾何学的平面内において軸X22の周りに配置されている。
【0110】
第2のグループG2において、4つの標的物体24が、第1の幾何学的平面に平行な第2の幾何学的平面内において長方形を形成する。この例において、第2のグループの各標的物体24は、軸X22に平行な軸に沿って、グループG1の標的物体24と位置合わせされている。第2のグループG2の第5の標的物体24は、第2の平面内の4つの標的物体24の間の中間点に配置される。
【0111】
第3のグループG3において、6つの標的物体24が、第1及び第2の幾何学的平面の両方に平行であり、前記第1及び第2の平面から等距離にある第3の幾何学的平面内に配置される。例えば、第3のグループG3の標的物体24は、軸X22を中心とする正六角形の頂点に対応する。
【0112】
しかし、この例は単に例示の目的で与えられており、標的物体24は他の多くの実施形態においては異なって配置されうることを理解されたい。標的物体24の数は異なっていてもよく、それらは必ずしも上で定義されたように1又は複数のグループに沿って配置される必要はない。
【0113】
例えば、標的物体の数は2~50の間で構成されうる。
【0114】
例えば、標的物体24は、互いに平行であり且つ軸X22に対して90°未満の角度を形成する1又は複数の幾何学的平面に沿って配置されうる。別の例において、標的物体24は、容積部V22の特定のサブ領域、例えば、領域V22の下半分又は領域V22の上半分に配置されうる。標的物体24はまた、優先方向(例えば、垂直方向、水平方向、対角線方向、又はその他の関心のある方向)に沿って配置されうる。
【0115】
これにより、標的領域V22のサブ領域で局所的な欠陥を検出するために、MRI装置4をテストすることが可能になる。
【0116】
図4は、密閉されて定位フレーム70に挿入された装置1を示している。
【0117】
知られているように、定位フレーム70(例えば、レクセルフレーム)は、定位手術(例えば、ヒト対象の脳外科手術)の準備に用いられる医療機器である。
【0118】
別のいくつかの実施形態において、定位フレーム70は、フィッシャーフレームである。
【0119】
例えば、定位フレームは、手術前のX線撮像及びMRI撮像セッション中に患者の頭に固定されたままになるように適合されている。定位フレームは、X線画像とMRI画像の集合間の一般的な幾何学的基準(例えば、座標系)を定義するために用いられる。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの締結装置(図には描かれていない)を含む冠状支持構造72は、患者の頭に取り付けられるように構成されている。そして、定位フレーム70は、上記支持構造72に、例えばクリッピング又はその他の適切な手段によって取り付けられる。例えば、上記フレーム70は、上記支持構造72の反対側に配置された側面及び背面74を含む。上記支持構造72は、いくつかの実施形態では、異なる形状を有しうる。
【0121】
定位フレーム70は、解剖学的関心領域(例えば、人間の患者の頭部)を含む対象の一部分を受け入れるように設計された内部容積部V70を含む。装置1は、定位フレーム70の容積部V70内に受け取られるように適合されている。
【0122】
言い換えれば、装置1は、撮像装置4及び6の両方で撮像テストを実行するために、患者の関心のある解剖学的領域(例えば、患者の頭)の代替として用いられるように適合されている。
【0123】
多くの実施形態において、装置1は、上記構造72に属する少なくとも1つの締結装置によって定位フレーム70の内側に保持され、各締結装置は、通常、フレーム70を患者の頭に保持するように構成されている。言い換えれば、装置1は定位フレーム70に取り付けられている。
【0124】
好ましくは、装置1は、定位フレーム70に堅固に取り付けられている、即ち、装置1は自由度なしに定位フレーム70に取り付けられている。
【0125】
言い換えれば、装置1は、一旦取り付けられると、定位フレーム70に対して移動することができない。これは、標的物体24の定位フレーム70に対する望ましくない動きを防ぐ。別の利点は、装置1を定位フレーム70に同じ位置で繰り返し取り付けられうることである。
【0126】
例えば、各締結装置はネジでありうる。
【0127】
他のいくつかの実施形態において、各締結装置は、リベット又は他の任意の適切な固定手段でありうる。
【0128】
例えば、各締結装置は、上記フレーム70が患者の頭に取り付けられるときに、患者の頭と直接接触するように構成された自由端を有する。
【0129】
いくつかの他の実施形態において、上記構造72は、2以上の締結装置、例えば3つの締結装置又は4つの締結装置、を含んでいる。
【0130】
装置1が容積部V70内に受け入れられると、締結装置は、本体30の壁33の少なくとも1つと直接接触する。言い換えると、定位フレーム70の少なくとも1つの締結装置は、装置1の本体30の壁33の少なくとも1つと一緒に協調するように構成されている。
【0131】
平坦な壁33と多角形の断面を有する本体30とを選択することの利点の1つは、締結装置の端部が、壁33の平坦な表面を容易に把持できることである。従って、装置1は、フレーム70の内側に堅固に固定される。このことは、本体30が円形の断面を有する場合には当てはまらないであろう。
【0132】
更に、フレーム70は、軸X20に沿った装置1の移動を妨げるために、更にロック要素を含みうる。上記要素は、背面74、又は装置1の挿入後にフレーム70に取り付けられた追加のプレートを含みうる。
【0133】
有利には、脚40は、定位フレーム70と協調して装置1を所定の位置に保持し、装置1のフレーム70に対する望ましくない動きを防止するように構成されうる。いくつかの実施形態において、定位フレーム70は、定位フレーム70の各面の後ろに隠された位置マーカーを含みうる。これらの位置マーカーは、図4には見えない。例えば、上記位置マーカーは、X線及びMRI画像の両方で見えるように、放射線造影剤及びMRI造影剤(例えば、ヨウ素とガドリニウムの混合物)を含む。位置マーカーは、X線画像とMRI画像の両方で表示されるので、両方の画像に共通の参照座標系を規定するために用いられうる。
【0134】
次に、図5のフローチャートを参照して、撮像システム2の撮像品質を評価するために、装置1を用いる例示的な方法を説明する。
【0135】
最初に、以前に開示された実施形態の1つによる試験装置1が、取得される。標的物体24は、オペレータによって移動され所望の位置に固定される。次に、上記フレーム22が上記本体30に挿入され、上記内部容積部V30が放射線透過性材料で満たされる。上記装置1は、上記フレーム70の上記容積部V70に挿入され、上記締結装置は、上記装置1を固定するために作動され、それが上記フレーム70から外れるのを防ぐ。言い換えれば、上記装置1は、上記定位フレーム70に取り付けられる。
【0136】
第1工程S100において、上記システム2の撮像装置4及び6を用いて、上記装置1の第1及び第2の画像のセットが取得される。
【0137】
例えば、上記装置1を含む上記フレーム70は、各撮像装置4及び6を用いて上記装置1の画像のセットを取得するために(より具体的には、試験物体24を含む上記容積部V22の画像を取得するために)、MRI装置4及びX線装置6で連続してロードされる。
【0138】
画像の各セットは、1以上の画像(例えば、デジタル画像)を含む。
【0139】
撮像手順全体を通して、上記試験物体24は、上記フレーム22に対して同じ位置を維持する。上記フレーム22は、上記本体30に対して固定されたままである。上記装置1は、上記フレーム70の内側に留まる。
【0140】
言い換えれば、上記試験物体24は、両方の画像のセット(MRI及びX線画像)上で理論的に同じ位置にある。少なくとも1つの試験物体24が2つの画像の間で異なる位置を有することが見出された場合、この不一致は、MRI装置4の誤動作の結果である可能性がある。
【0141】
次に、画像は、電子制御システム8によって取得される。前に説明したように、撮像装置4及び6は、電子制御システム8によって直接制御されうるか、又は、別の実施形態において、制御システム8は、自動的に検索するか、又は各撮像装置4及び6によって生成されたデジタル画像のセットを与えられうる。
【0142】
各セットが複数の画像を含む場合、例えば、もし撮像中に上記装置1が回転又は移動され、且つその間に上記装置を異なる角度で撮像するために何枚かの画像が意図的に取得されたならば、いくつかの実施形態において、上記方法は画像の各セットから画像を対にする工程を更に含みうる。
【0143】
例えば、MRI画像のセットからの各画像は、対応するX線画像(そのために上記装置1は対応する位置又は向きにある)と対にされる。このペアリングは、自動化でき、且つ撮像装置によって提供される向きデータ又はメタデータ、及び/又は上記定位フレーム70に対して定義された参照座標系に依存しうる。対応する画像が識別されないMRI又はX線画像は、破棄される。
【0144】
工程S102中に、標的物体24は、制御システム8によって、各画像において自動的に識別され、且つ、それらの位置は、例えば、取得された参照座標系において自動的に識別される。
【0145】
例えば、標的物体24の形状は、パターン認識アルゴリズム(例えば、輪郭検出方法、又は深層学習システム)を用いて自動的に識別される。球形の標的物体24いおいて、上記システムは、画像内の円盤状の物体を識別するようにプログラムされている。
【0146】
上記標的物体24、上記フレーム22及び本体30、上記定位フレーム70及び支持構造66に使用される材料の選択によって、標的物体24は、取得された画像上に表示され、一方、上記装置1の大部分(全てではない)は表示されない。
【0147】
次に、各画像上の標的物体24の位置は、例えば、各球形標的物体24に関連付けられて識別された形状の中心を自動的に決定することによって、識別される。球形標的物体24の場合に、上記システムは、円盤状の識別された形状の中心を識別するようにプログラムされている。
【0148】
例えば、識別された各標的物体24は、一意の識別子で自動的にラベル付けされてもよい。
【0149】
次に、工程S104中に、対応する標的物体24の対が、2つの画像上で識別される。
【0150】
いくつかの実施形態において、第1の画像上の識別された標的物体24の各々は、第2の画像の1つの対応する標的物体24と対にされ、且つ相互に、第2の画像の標的物体24の各々は、第1の画像の1つの標的物体24と対にされる。
【0151】
例えば、標的物体24は、それらが類似の位置を有する場合、一緒に対にされるが、代わりに別の対にする方法又は要件が使われてもよい。
【0152】
続く工程S106中に、対応する標的物体24の複数の対が識別されると、各対の標的物体24の座標は、2つのオブジェクトがそれぞれの画像上で同じ位置を有するか否か、又は2つの画像間の位置の不一致があるか否かを検出するために比較される。
【0153】
例えば、1対の2つの標的物体24の位置間の比較は、2つの標的物体24の座標間のユークリッド距離を計算することによって行われる。
【0154】
そのために、距離の閾値が定義されメモリに保存されうる。
【0155】
例えば、第1の画像において識別された各標的物体24の空間座標は、第2の画像において識別された対応する標的物体24の座標と自動的に比較される。
【0156】
もしその差が閾値を下回ったままであるならは、標的物体24は正しい位置にあると見なされる(工程S108)。標的物体24の次の対が選択され、工程S104及びS106が、標的物体24の残りの全ての対に対して繰り返される。
【0157】
もし、画像の標的物体24の全てのペアが比較され、その距離が閾値を超える少なくとも1つの標的物体24をも識別しない場合、それら画像の対に対して障害は識別されない。処理する取得画像の対がなくなると、上記方法は終了しうる。そうでない場合は、工程S104及びS106が、取得画像の各対ごとに繰り返される。
【0158】
しかし、もし、少なくとも1対(又は事前に定義された数の対)に対して、2つの対応する標的物体24の位置の間の差が事前に定義された閾値を超えるならば、障害状態は、後続の工程S110中に識別される。
【0159】
例えば、メッセージが、インタフェース16を用いてオペレータ又は遠隔コンピュータサーバに送信及び/又は表示される。
【0160】
いくつかの実施形態において、後続の工程中に、グラフィカルな要約がオペレータによる分析のために画面に表示される。
【0161】
例えば、合成画像が表示され、そこでは上記標的物体24は、計算された距離に応じて色付けされる。上記標的物体24は、もし計算された距離が通常の状況を示す事前に定義された閾値よりも低い場合は、第1の色(例えば、緑)で着色され得、もし計算された距離が異常な状況を示す上記閾値よりも高い場合は、第2の色(例えば、赤)で着色されうる。
【0162】
いくつかの実施形態において、結果は、各対の標的物体24の空間座標と、各対の2つの標的物体を分離する対応する計算されたユークリッド距離とを含むリストとして表示されうる。
【0163】
誤動作が識別されると、手術は中止され、MRI装置4の保守が要求されうる。
【0164】
従って、MRI装置4の誤動作又は間違った較正を検出するための方法は、単純な試験装置1を用いて実施されうる。この方法は、複雑な外科計画ソフトウェアに依存することなく容易に実施することができる。
【0165】
上記した実施形態と代替案とは、本発明の新しい実施形態を生成するために互いに組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5