(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】携帯用可搬工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240730BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20240730BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240730BHJP
【FI】
B25F5/02
H01M50/296
H01M50/247
H01M50/204 101
(21)【出願番号】P 2022515923
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2019074265
(87)【国際公開番号】W WO2021047774
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】599130287
【氏名又は名称】ルーカス ヒュードラウリク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リットヴィン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ピーパー、ミヒャエル
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-054086(JP,A)
【文献】特開2006-237019(JP,A)
【文献】特開2004-288272(JP,A)
【文献】特開2000-040549(JP,A)
【文献】特開2000-040550(JP,A)
【文献】特開2017-213671(JP,A)
【文献】特開2017-019020(JP,A)
【文献】特開2014-087903(JP,A)
【文献】特開2002-319382(JP,A)
【文献】特開2007-087947(JP,A)
【文献】国際公開第2019/057187(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用可搬工具(1)であって、
ハウジング(12)と、
前記ハウジング(12)内に配置された電動機と、
前記工具(1)にある挿入穴(26)と、
電池(18)又は接続用の端子を備える外部電気エネルギー源である電源と、
前記電池(18)又は前記外部電気エネルギー源に接続するための端子が、前記挿入穴(26)内に配置され、
作業、具体的には、拡張作業、及び/又は、切断作業、及び/又は、持ち上げ及び/又は加圧作業を実施するための機械式又は油圧式に駆動される可動のピストン棒(5)と、
前記電動機(3)を制御及び/又は調整するための電子制御調整装置であって、埋込用樹脂(17)に覆われた、電子部品(9)が配置されたプリント回路基板(8)を含む電子制御調整装置とを備え、
少なくとも1つのコンタクト(27)であって、導電性材料で作成され、前記挿入穴(26)に設けられ、前記コンタクトは、前記電池(18)を前記挿入穴(26)に挿入することにより、前記工具(1)の前記電池(18)と前記電子制御調整装置との解放可能な電気的接触を可能にし、
前記コンタクト(27)は、第1の表面領域(41)と第2の表面領域(42)とに分離され、
前記第1の表面領域(41)は、表面保護層(62)で覆われ、
前記第2の表面領域(42)には、表面保護層が存在しないことを特徴とする、工具(1)。
【請求項2】
前記工具は、拡張工具、切断工具、又は、切断及び拡張機能を有する複合工具である、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記コンタクトは、挿入方向に沿って配置された平型のコンタクトである、請求項1又は2に記載の工具。
【請求項4】
前記第1の表面領域(41)は、前記第2の表面領域(42)より大きい、請求項1に記載の工具(1)。
【請求項5】
前記第2の表面領域(42)はまた、前記コンタクト(27)の前面を含む、請求項1又は4に記載の工具(1)。
【請求項6】
前記コンタクト(27)は、埋込用樹脂(17)によりカプセル化され且つ前記プリント回路基板(8)に接続されている少なくとも1つのコンタクト足部(27a,27b)を有する、請求項1~5のいずれかに記載の工具(1)。
【請求項7】
複数のコンタクト(27)が、前記挿入方向に沿って、互いに平行に配置されるように配置されている、請求項1~6のいずれかに記載の工具(1)。
【請求項8】
前記表面保護層
(62)は、ラッカー層である、請求項1~7のいずれかに記載の工具(1)。
【請求項9】
前記表面保護層
(62)は、アクリル系ラッカー層である、請求項8に記載の工具(1)。
【請求項10】
前記表面保護層
(62)は、埋込用樹脂の層であり、具体的には鋳造用樹脂系埋込用樹脂である、請求項1~9のいずれかに記載の工具(1)。
【請求項11】
前記コンタクト(27)は、ガルバニック保護層で完全に覆われる、請求項1~10のいずれかに記載の工具(1)。
【請求項12】
ブラシレス直流電動機(3)が、前記電動機(3)として設けられ、
浸水を防止するために、前記プリント回路基板(8)の前記電子部品(9)は、埋込用樹脂(17)により包囲され、
制御のための信号を送信する少なくとも1つの制御ケーブル(10a,10b)であって、前記制御ケーブル(10a,10b)は、前記プリント回路基板(8,20,22)に接続するための接続手段(11)を有する制御ケーブルを備え、
前記制御ケーブル(10a,10b)の前記接続手段(11)は、浸水から保護される、請求項1~11のいずれかに記載の工具(1)。
【請求項13】
前記制御ケーブル(10a,10b)の前記接続手段(11)は、シールによって浸水から保護される、請求項12に記載の工具。
【請求項14】
前記ハウジング(12)を水に沈めるときに前記ハウジング(12)の内部への浸水を防止するための保護及び/又はシール手段が、前記ハウジング(12)に設けられない、請求項1~13のいずれかに記載の工具(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の可搬工具(1)に用いる電池(18)であって、
防水性の電池ハウジング(46)と、
前記電池ハウジング(46)内に配置された電池セル(48)と、
前記工具(1)
の端子穴又は挿入穴(26)と前記電池(18)との電気的接続のための、水から保護されない端子領域(47)とを備え、
前記端子領域(47)は、前記電池ハウジング(46)に収容され、スロット状通路開口部(50)を介して外側からアクセス可能な接触チャンバ(49)を有し、前記接触チャンバ(49)は、浸水から保護され、少なくとも1つのコンタクト要素(55)が前記接触チャンバ内に配置されてい
て、
前記接触チャンバ(49)内にはゲル状化合物(56)が充填され、
前記スロット状通路開口部(50)の領域には、前記スロット状通路開口部(50)を通して前記コンタクト(27)を挿入するときに変形し、前記工具 (1)の前記コンタクト(27)を前記接触チャンバ(49)から引き出して前記電池(18)を受け入れスロットから取り外すときに、前記工具(1)の前記コンタクト(27)から前記ゲル状化合物(56)を剥がす弾性閉鎖装置(51)が設けられていることを特徴とする、電池(18)。
【請求項16】
前記可搬工具は、拡張工具、切断工具、又は、切断及び拡張機能を有する複合工具である、請求項15に記載の電池(18)。
【請求項17】
前記コンタクト要素(55)は、コンタクトクリップの形をしている、請求項15又は16に記載の電池(18)。
【請求項18】
前記端子領域(47)は、前記外側のハウジング(46)において隆起を形成する、請求項15~17のいずれかに記載の電池(18)。
【請求項19】
前記弾性閉鎖装置(51)は、前記スロット状通路開口部に対して横方向に配置された少なくとも2つの柔軟なシール要素を有する、請求項
15に記載の電池(18)。
【請求項20】
前記柔軟なシール要素は、小板(52,53)又はビードの形をしている、請求項
19に記載の電池(18)。
【請求項21】
前記スロット状通路開口部に対して横方向に配置された前記2つの小板(52,53)は、前側で互いに接するか、間に隙間(54)を形成するか、又は重なり合う、請求項
20に記載の電池(18)。
【請求項22】
前記ゲル状化合物(56)は、1×10
10Ω×mm
2/m以上である比抵抗を有する、請求項
15に記載の電池(18)。
【請求項23】
前記ゲル状化合物(56)は、架橋シリコーン系ゲルである、請求項
15又は
22に記載の電池(18)。
【請求項24】
請求項1~14のいずれかに記載の可搬工具(1)と、
請求項15~
23のいずれかに記載の電池(18)とを備える、
デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、例えば、拡張工具、切断工具、若しくは、切断及び拡張機能を有する複合工具、又は、持ち上げシリンダ(救助シリンダ)といった、携帯用の電気機械式又は電気油圧式工具に関する。上記の工具は、好ましくは救助作業に使用されるが、作業に使用することもできる。本願はまた、対応する工具に使用するための電池に関し、工具及びこれを操作するための電池を備える配置に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで述べる種類の、可搬かつモータ駆動型の電気機械式工具や電気油圧式工具又は救助工具は、種々の用途に用いられる。例えば、事故に遭った車両から負傷者を救助したり地震の被災者を救出したりするために救急隊(消防隊)によって使用される、例えば、拡張工具、切断工具、又は、いわゆる複合工具(つまり、切断及び拡張機能を有する工具)、及び、救助シリンダが存在する。この場合、工具又は救助工具には多くの種類がある。好ましくは硬化された、切断、拡張、又は、加圧用工具インサートを備える電気油圧駆動若しくは電気機械駆動の工具又は救助工具が存在する。この種の工具は、使用時に極めて高い機械的要求が課され、使用場所によって多様な環境的影響(熱、寒さ、湿気)に曝される。
【0003】
この場合、特に救助工具は、使用時に極めて高い動作信頼性を確保することが特に重要である。なぜなら、特に救助作業は常に迅速に実行される必要があり、したがって、動作不良が突然生じると、致命的な結果を導き得るからである。
【0004】
電池式の電気機械式又は電気油圧式工具は、取り扱い易いので、多様な目的の対象になる。例えば、特定の作業又は救助状況(例えば、軍隊、石油又はガス用海洋プラットホーム、洋上風力発電所等)では、対応する工具は、取り扱い易いことから、理論上は水中で操作することもできる。しかしながら、以前の電池駆動型工具は、水中での使用には適していなかった。
【0005】
G 93 10 597.5は、例えばポンプの形をした、電池駆動型水中用電気工具を開示している。この水中用電気工具は、O型シールリングが円周溝に挿入されたハウジング端部が圧入された防水性の管状ハウジングを備えている。この構造は、極めて複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、一方で、水中での使用が可能であり、他方で、単純な構造手段により実現可能な工具を提供することにある。更に、本発明の課題は、対応する工具に使用することができる電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題は、請求項1の特徴により解決される。有利な実施形態が、従属請求項に記載される。
【0009】
工具のコンタクトが、第1の表面領域と第2の表面領域とに分離され、前記第1の表面領域は、非導電性表面保護層で覆われ、前記第2の表面領域には、表面保護層が存在しないことにより、対応して装備された工具を、工具を水中で操作するときに工具に悪影響を及ぼす電気化学的プロセス無しで、水中で使用し、具体的には海水中でも操作することが可能になる。前記表面保護層は、水と、具体的には高導電性の海水と、前記コンタクトの前記第1の表面領域とを絶縁する。この発展的な手段は、海水の非常に高い導電性にもかかわらず、表面保護層で覆われた前記第1の表面領域は、水と一緒に、如何なる、少なくとも実質的には電流流動を発生させず、その結果、著しい腐食現象が発生しない。表面保護層を有さない前記第2の表面領域のみが、電池と組み合わせると、前記電池のコンタクトと直接接触することが意図される。しかしながら、同時に、十分な電流流動が、前記電池と組み合わせた状態で、前記電池から前記工具に、前記コンタクトの断面にわたって可能になる。これは、重要である。なぜなら、数ミリ秒間、前記工具をオンにすると、例えば60アンペアまでの電流を前記電池から流すことができるからである。動作中、およそ40アンペアまでに到達することができる。同様に、前記コンタクトは、プリント回路基板において必要な機械的安定性を確保するために、十分な長さを有するように、好ましくは挿入向けの(insert-oriented)平型のコンタクトとして、設計することができる。前記コンタクト又は平型のコンタクトは、前記第1の領域に前記表面保護層が配置されたガルバニック保護層が設けられた従来のコンタクトシート又は金属コンタクトであり得る。加えて、本発明により、現存する工具を簡単に向上させることが可能になる。
【0010】
前記第2の表面領域は、前記コンタクトに、好ましくは前記コンタクトの、挿入方向に位置する側に設けられる。
【0011】
前記第2の表面領域は、好適には、前記第1の表面領域より大きい。これにより、機械的安定性が向上し、特に高電流を流す可能性が高められる。前記第2の表面領域、即ち、前記表面保護層で覆われた前記表面領域はまた、前記コンタクトの前面を含むことが好ましい。したがって、前記コンタクトは、前記表面保護層が存在しない前記第2の表面領域を除いて、前記表面保護層で完全に覆われる。この領域の前面はまた、前記表面保護層により覆うことができることが好ましい。
【0012】
前記関連するコンタクトは、好適には、プリント回路基板に接続されており、好ましくははんだ付けされている少なくとも1つのコンタクト足部を有する。前記コンタクトと前記プリント回路基板との接続領域は、好適には、埋込用樹脂により埋められているか又はカプセル化されている。
【0013】
前記コンタクトは、ハウジングの内壁にある前記プリント回路基板から、前記ハウジングを貫通して外側に突出するように、電池受けのハウジングに配置することができる。
【0014】
複数のコンタクトが、前記挿入方向に沿って、互いに平行に配置されるように配置されていることが好適である。
【0015】
本発明の好適な実施形態によれば、前記表面保護層は、ラッカー層であり、具体的には、好ましくはアクリル系の被覆ラッカー層である。前記ラッカー層により、電流が周囲の水に流れることが防止される。
【0016】
また、或いは、ラッカー層の代わりに、好ましくは鋳造用樹脂系又はPU系、エポキシ系、若しくはシリコーン系埋込用樹脂である埋込用樹脂の層を、表面保護層として設けることができる。また、これにより、前記コンタクトの効果的な表面保護が実現可能になる。
【0017】
ブラシレス直流電動機(BLDC電動機)が電動機として設けられ、浸水から保護するために、前記プリント回路基板の電子部品が埋込用樹脂により包囲され、制御ケーブルの端子要素が浸水から保護されるので、前記工具はまた、たとえ、前記ハウジングの内部に水が流れ込んでも、操作することができる。ロータと永久磁石との水の接触(water contact)は、無害であることが分かった。シールにより、前記制御ケーブルの接続手段を浸水から保護すればよい。
【0018】
ひいては、好適には、前記ハウジング又は前記工具を水に沈めるときに前記ハウジングの内部への浸水を防ぐ保護及び/又はシール手段を、前記工具の前記ハウジングに設ける必要がない。
【0019】
上記課題は、請求項11の特徴による種類の電池で達成される。
【0020】
本発明によれば、前記電池は、浸水に対して密封された電池ハウジングと、前記電池ハウジング内に配置された電池セルと、工具の端子穴又は挿入穴と前記電池との電気的接続のための、水から保護されない端子領域とを備え、前記端子領域は、少なくとも1つの接触チャンバであって、前記電池ハウジングに収容され、スロット状通路開口部を介して外側からアクセス可能であり、好ましくはコンタクトクリップの形をした少なくとも1つのコンタクト要素が前記接触チャンバ内に配置された接触チャンバを有する。水中で、特に海水中で、上記種類の工具を使用する際、電流が流れるときに、腐食を、ひいては前記コンタクトの破壊を、水により発生させることができず、対応する電池は、前記第2の表面領域上で、前記工具の前記コンタクトと接触することができる。
【0021】
前記端子領域は、前記電池ハウジングにおいて隆起として設計されているので、前記端子領域は、前記工具の前記コンタクト又は前記複数のコンタクトに対する直線的な移動により、簡単に前記工具に接続することができる。
【0022】
前記接触チャンバへの浸水から保護するために、弾性閉鎖装置であって、前記通路開口部に前記コンタクトを挿し通すときに変形し、アクセスを可能にするが、前記コンタクトの両側に接して密封静止する弾性閉鎖装置を、前記スロット状通路開口部の領域に設けることが、特に効果的であることが示された。
【0023】
具体的には柔軟な小板又はシールビードの形をし、前記スロット状通路開口部に対して横方向に配置された少なくとも2つのシール要素の配置を、前記弾性閉鎖装置として設けることができることが好ましい。例えば、これらは、ゴム又は弾性の可塑性物質から成り得る。
【0024】
前記スロット状通路開口部に対して横方向に配置された前記2つの小板は、前側で互いに接するか、互いに対してわずかな隙間を形成するか、又は重なり合うことができる。
【0025】
前記接触チャンバにゲル状化合物がさらに充填されれば、より一層良好に浸水から保護することが実現する。
【0026】
前記ゲル状化合物は、非導電性であるべきである。前記ゲル状化合物は、好適には、1×1010Ω×mm2/m以上であり、好ましくは1×1013Ω×mm2/m以上であり、特に好ましくは1×1015Ω×mm2/m以上である比抵抗を有する。
【0027】
前記ゲル状化合物は、架橋シリコーン系ゲルであり得る。
【0028】
前記弾性閉鎖装置はまた、前記ゲル状化合物と連携して、前記接触チャンバから前記工具の前記コンタクトを引き抜くことにより受け入れスロットから前記電池を取り外すときに、前記弾性閉鎖装置に、前記ゲル状化合物を前記工具の前記コンタクトから剥離させる。
【0029】
本発明は、更に、請求項1~10のいずれかに記載の可搬工具と、請求項11~18のいずれかに記載の電池とを備える配置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明に係る、電気油圧式の電池駆動型切断工具の形をした工具の一例を示す全体図である。
【
図2】
図2は、
図1に記載の切断工具の流体回路図の一例である。
【
図3】
図3は、
図1に記載の本発明に係る工具のハウジング領域を示す部分断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の範囲において使用するためのプリント回路基板アセンブリの一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る、ディスプレイ配置を有する制御パネルの一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、電池ホルダの領域にあるハウジング領域の一例を示す外観斜視図(
図9(a))、埋込用樹脂を有さない内観斜視図(
図9(b))、及び埋込用樹脂を有する内観斜視図(
図9(c))である。
【
図10】
図10は、本発明に係る電池の一例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10に記載の電池が工具の電池ホルダに押し込まれているときの、部品の互いに対する向きを示す斜視図であり、電池ホルダを担持するハウジング部のみを示す。
【
図13】
図13は、端子領域が切り開かれた電池の部分断面図である。
【
図14】
図14は、端子領域の一部としての接触チャンバの拡大断面図である。
【
図15】
図15は、本発明に係る工具のコンタクトの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(実施の形態)
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。明瞭にするために、重複する特徴は、1つの符号を付して一回のみ説明する。
【0032】
図1の符号1は、本発明に係る工具全体の一例を示す。
図1に記載の実施形態では、工具1は、電気油圧式の電池駆動型切断工具(カッター)である。工具1は、ハウジング12を備え、ハウジング12の中には、ブラシレス直流電動機(BLDC電動機)の形の電動機3と、油圧ポンプ2(ピストン圧縮機2a及び2b)と、油圧油30が入った油圧タンク19とが、配置されている(
図2及び
図3も参照)。加えて、工具1の動作中に油圧油の量を補償するための補償装置が設けられている。これは、例えば、柔軟膜又は全体的に柔軟な油圧タンクであり得る。ハウジング12には、ディスプレイ14とオン/オフスイッチ13とを備える制御パネル25が取り付けられている。操作者は、ディスプレイ14上で動作状態を読み取ることが可能である。ハウジングの後部には、電池18用の挿入穴26が設けられている。電池の代わりに、エネルギー供給ユニット(
図1に示さず)を、ここに挿入してもよい。工具を操作するための公称電圧は、例えば24ボルトである。
【0033】
図示する例では、2つの工具半体(
図1に示す実施形態では、切断工具半体)35a及び35bが、工具1の前側に配置されている。2つの切断工具半体は、ピストン棒(
図1に示さず)を介して駆動される。ピストン棒は、油圧シリンダ4内に配置されている。第1のハンドグリップ15が、油圧シリンダ4の領域に配置されている。第2のハンドグリップ16が、ハウジング12に設けられている。したがって、工具1を、操作者が両手で案内又は操作することが可能である。手動で操作される油圧弁(制御弁)6を用いて、操作者は、第2のハンドグリップ16に置いた手で、ピストン棒が後退する(工具半体35a及び35bが閉じられる)若しくは前進する(工具半体35a及び35bが開かれる)ように、又は、油圧油が供給回路、即ち油圧タンクに戻る(バイパス動作)ように、油圧流の方向を手動で制御可能である。
【0034】
図1に示す制御弁6の実施形態は、ハンドグリップ16の軸の延長線で回転可能であり、且つ、操作者が切替位置を制御するために回転させる、いわゆる星形ハンドルを有する制御弁である。ハウジング12は、接続要素7、例えばネジを介して互いに接続された2つのハウジングシェルを含む(
図3を参照)。ハウジング12を水に沈めるときにハウジング12の内部への浸水から保護するためのシールが設けられていない。ブラシレス直流電動機のロータが水から保護されない。
【0035】
ここで、関連する工具は、あらゆる空間的配置でも又はあらゆる方向に沿った配置でも操作可能である。
【0036】
上述の切断工具の代わりに、本発明はまた、拡張工具、切断及び拡張機能を有する複合工具、又は、持ち上げシリンダ若しくは救助シリンダとして設計することができる。シリンダ、例えば油圧シリンダ内を案内されるピストン棒は、これらの全ての工具において使用される。
【0037】
図2は、
図1に記載の工具の流体回路図の一例を示す。電動機は、偏心軸36を介して2つのピストン圧縮機2a及び2bの形をした油圧ポンプ2を駆動するブラシレス直流電動機である。ピストン圧縮機2bは、ピストン圧縮機2aよりも大きい流量を有することが可能である。ピストン圧縮機2bの送出流は、例えば、圧力切替弁32に通じる。ピストン圧縮機2aの送出流も、制御信号として、圧力切替弁32に通じる。圧力切替弁32は、バネ力により特定の圧力切替値に設定可能である。ピストン圧縮機2aの制御線における圧力がこの圧力切替値を超えると、圧力切替弁32が開いて、ピストン圧縮機2bの送出流がタンク19の中に流入する。こうして、このシステムが必要とする駆動力は、利用可能な駆動力の範囲内で維持されることが確保される。
【0038】
送出流はさらに、切替弁6の方向と圧力停止弁31の方向とに分岐する。圧力停止弁31は、バネ力により許容システム圧力に設定される。圧力が設定された許容システム圧力を超えると、圧力停止弁31が開いて、圧力が再び許容圧力以下に低下するまで、送出流がタンクに戻るように流れることが可能になる。
【0039】
制御弁6は、ユーザが星形ハンドル(
図1参照)を用いることにより手動で動作される。この弁は、中立位置において、バネ補助によるリセット機能を有している。(図示するような)中立位置では、この弁は中央位置に配置される。この位置において、全ての接続線が、圧力が形成できずシステムが動かないようにタンクに接続されている。制御弁6を、例えば右側に偏向させると、左側の接続線において、加圧された送出流が、放出可能なダブル逆止弁28の方向に運ばれる。右側の接続線では、放出可能なダブル逆止弁28の方向から来る油圧油が、タンク19に戻る。制御弁6を左側に偏向させると、上述とは逆のプロセスが行われ、最終的に工具の運動方向が逆になる。放出可能なダブル逆止弁28の左側の接続線に運ばれた送出流は、左側の接続線におけるバネ仕掛けのチェック弁を開くと共に、右側の接続線に導かれる制御線を介して、そこに設けられたチェック弁も開く。これにより、一方では、左側の接続線における送出流が、確実に工具の油圧シリンダ4に供給可能となる。他方では、確実に、油圧シリンダ4によりシリンダから右側に押しやられた油圧油が、右側の接続線の放出可能なダブル逆止弁28を通って、当該システムのタンク19に戻ることが可能になる。
【0040】
油圧シリンダ4は、両末端において、安全弁29及び30への分岐路を有している。これらの安全弁29及び30は、シリンダチャンバ内の圧力が、許容される以上に高くなり得ないことを確保する。一方又は両方のシリンダチャンバ内の圧力が安全性に関連した許容圧力よりも高くなると、これらの弁は、圧力が再び低下できるようにタンク19への接続を開放する。例えば、油圧シリンダ4のピストンに外部から作用する力が油圧油も圧縮するため、油圧シリンダ4の内部の圧力の上昇が発生し得る。油圧シリンダ4のピストン棒5には、例えば剪断刃やスプレッダー等を動かす装置が取り付けられる。タンク19は、例えば軟質ゴムベローズとして設計することが可能であり、同時に、補償装置としても機能する。
【0041】
図3は、
図1の工具1のハウジング12の領域の内部を示す部分断面図である。制御及び/又は調整するための電子制御調整装置が、具体的にはブラシレス直流電動機への電源供給に関連する電子部品9を有するプリント回路基板8を含む。更に、オン/オフスイッチ13の領域に、独自のプリント回路基板20を備えるディスプレイ14を有する制御パネルが設けられている。ディスプレイ14の制御パネルは、防水性メンブレンキーボードであることが好ましい。メンブレンキーボードを用いて、必要な操作を行うことが可能である。更に、さらなるプリント回路基板22が、制御弁6の領域に設けられており、このプリント回路基板22には、センサ21、具体的には磁気センサが、制御弁6の星形ハンドルの偏向を検出するための電子部品として配置されている。星形ハンドルを回転させると、制御弁6の油圧位置が変わるだけでなく、星形ハンドルの角度位置を介して、電動機がオン又はオフに切り替えられる、及び/又は、ターボ機能がオン及び/又はオフ切り替えられる。センサ21は、プリント回路基板20に制御線10aを介して接続されている。プリント回路基板20は、メインプリント回路基板であるプリント回路基板8に、さらなる制御線10bを介して接続されている。制御線10bは、プリント回路基板20及び/又はプリント回路基板8に、防水性接続手段11を介して接続されている。対応する接続手段11の一部が、プリント回路基板側に配置されることが可能であり、好ましくはまた、部分的にその中に埋め込まれることが可能である。その反対側にある接続手段11の部分は、制御線10a又は10b上に位置している。接続手段11は、例えばOリングといった(図示せず)シール手段によって密封された、プラグイン接続部及び/又は回転接続部であり得る。
【0042】
制御線10a及び/又は10bは、それぞれ、制御信号が送信される線である。
図3に記載の実施形態では、プリント回路基板20の電子部品とセンサ21のプリント回路基板22とへの制御線10aの接続手段11として、例えばはんだ接続を介したプリント回路基板への直接接続が設けられている。
図3では、プリント回路基板8とプリント回路基板20との間の制御線10bの接続手段11として、プラグイン接続部及び/又は回転接続部が設けられている。
【0043】
更に、プリント回路基板8の領域では、電動機3の電源供給用の電力ケーブルが配置されており、この電力ケーブルは、電池又はエネルギー供給ユニット用のコンタクト27に電気的に接続されている。図示する例では、3つの電力ケーブル23a、23b、及び、23cによる3相接続が存在する。具体的には、電動機3の電源供給用の電力ケーブル23a、23b、及び、23cの電気端子24a~24cが、(例えば、公称電圧が24ボルトの)工具が電気的動作状態にある間に端子24a~24cが水に包囲された場合でも、電気導通媒体としての水を介した短絡が起こらないことを確保する十分な間隔を置いて配置されていることが可能である。電動機3には対応する端子も設けられているが、
図3では視認できない。
【0044】
挿入穴26の領域には、水から保護されていないオープンコンタクト27が、電池(
図4に示さず)又はエネルギー供給ユニットとの電気的接触のために設けられている。コンタクト27についても、コンタクト27が水に包囲された場合でも、工具の電気的動作状態中に電気導通媒体としての水を介した短絡が起こらないことを確保する十分な間隔をおいて配置されている。コンタクト27及びプリント回路基板8は、ハウジング部12a(電池ホルダ)に固定されている。制御線10bは、水から保護された接続手段11を備える。
【0045】
図5の部分拡大図からは、埋込用樹脂17によって包囲された、プリント回路基板20の電子部品9が視認できる。
図5では、プリント回路基板20用の接続手段11のプリント回路基板側の部分も視認できる。制御パネル25は、メンブレンキーボードとして設計されている。これは、サンドイッチ型のメンブレン層構造体である。制御パネル25、つまりこの構造体の前端も、埋込用樹脂17によって覆われている。このために、制御パネル25の前端の領域には、好ましくは制御パネル25の全周にわたって延びる、ハウジング12に対する隙間37が設けられているのが分かる。隙間37は、外側において、制御パネル25又はメンブレンキーボードの突出部38(例えば、先端が突出したメンブレン層であって、メンブレン層が、ハウジング12の段部39に接着されたメンブレン層の形をした)によって覆われており、円周方向に延びる環状の止まり孔が形成されている。この止まり孔は、埋込用樹脂17で充填可能である。このようにして、全領域を埋込用樹脂17で「オーバーヘッド」式に埋め込み可能である。
【0046】
図6の部分拡大図は、星形ハンドルの偏向を判定するための磁気センサ21を示している。磁気センサ21は、ポケット状の凹部の形をしたセンサホルダ33の中に収容された、当該センサ専用のプリント回路基板22上に配置されている。磁気センサ21及びプリント回路基板22は、センサホルダ33の外側から、埋込用樹脂17で封止されている。したがって、埋込用樹脂17は、センサホルダ33のポケット状の凹部を外部に対して閉鎖している。プリント回路基板22から制御パネル又はディスプレイ14のプリント回路基板20まで延びる制御線10aも、プリント回路基板22に接続されていると共に埋込用樹脂17によって包囲されている。そこでは、制御線10aの端部領域も、埋込用樹脂17によって包囲されている。
【0047】
図7は、電子部品9を有する2つのプリント回路基板20及び22(プリント回路基板22は、例えば磁気センサ21の形の電子部品を有する)の、組み立て前の初期状態を示している。これらは、同一のプリント回路基板基材から成る。プリント回路基板22は、他方のプリント回路基板20から切り離された領域として規定されている。2つのプリント回路基板20及び22は、制御ケーブル10aを介して接続されている。両プリント回路基板20及び22上のそれぞれの接続手段11として、はんだ接続部が設けられている。更に、2つの所定分離点40(
図7では、一方のみが視認できる)が設けられており、所定分離点は、プリント回路基板22を切り離すために破壊する必要があり、これにより、配線を有するプリント回路基板22を切り離すことが可能となっている。接続手段11は、後にプリント回路基板20及び22を鋳造する際に、埋込用樹脂17で包囲される。
【0048】
図8は、オン/オフスイッチ13と、様々なディスプレイ及び制御パネルを有するディスプレイ14とを備える制御パネル25を単独で示す拡大図である。制御パネル25は、防水性メンブレンキーボードとして設計されていることが好ましい。
【0049】
本発明は、ハウジング12を密封することなく、水中でも工具1の操作を可能にする。したがって、この新規の重要な機能は、複雑な改造を行うことなく、又は、製造費を大幅に増加させることなく実現可能である。
【0050】
プリント回路基板8、20、及び/又は、22の電子部品とは、具体的には、マイクロコントローラ、周波数変換器、メモリモジュール、電子スイッチ、測定装置であり、測定装置とは、例えば、集積半導体温度センサ及び/又はLEDである。
【0051】
ディスプレイ14は、ディスプレイ装置を含み、ディスプレイ装置には、例えば、負荷ディスプレイ及び/又は動作状態ディスプレイ及び/又は温度ディスプレイが含まれ得る。
【0052】
電池18は、1つの防水性ハウジング、又は、少なくとも1つの独立した防水カプセルを有する。
【0053】
オン/オフスイッチ13は、防水性オン/オフスイッチであり、例えば、メンブレンスイッチ又はプッシュボタンスイッチである。
【0054】
埋込用樹脂として、好ましくは、PU系、エポキシ系、又は、シリコーン系埋込用樹脂を用いることができる。工具1の動作中に温度上昇が発生する場合には、シリコーン系埋込用樹脂が特に適している。
【0055】
電池18の代わりに、通常動作において、即ち、水中ではないところで、挿入穴26に電源ユニット(図示せず)を挿入することも可能であり、電源ユニットは、ケーブルを介してネットワークに接続される。
【0056】
図9aの斜視図において、符号12aは、電池ホルダの領域にあるハウジングを示す。これは、工具1のハウジングの他の部分に付けて完成する独立したハウジング部であり得る。電池受けのハウジング12aは、電池18用挿入穴26(図面に示す)を一緒に形成する2つの対向するL字型ガイトウェブ43を有する。細長の平型のコンタクトの形をした複数のコンタクト27が設けられている。コンタクト27は、挿入方向に沿って、2つのガイトウェブ43の間で互いに平行に配置されるように配置されている。これらは、電池にある対応するコンタクトに接触するために使用される。更に、ハウジング部12aは、対応するガイトラグ58(
図10参照)を受ける2つのさらなるガイトウェブ44を備える。凹部48が、ハウジング部12aの上端に配置され、電池18の対応する保持突起部59(
図12参照)が凹部に係合する。
【0057】
図9bから分かるように、それぞれのコンタクト27は、プリント回路基板を貫通したコンタクト足部27a及び27bを介して、プリント回路基板に固定されているか又はプリント回路基板にはんだ付けにされている。
図9cから分かるように、プリント回路基板8は、回路基板8及びそこに配置された電子部品を埋込用樹脂17によりカプセル化することが意図される円周方向のフレーム45に囲まれている。接続手段11及び複数の固定接続部65のみが、埋込用樹脂に囲まれない。
【0058】
したがって、プリント回路基板8へのコンタクト27の末端を含む電子部品の全領域は、埋込用樹脂17によるカプセル化により、浸水から保護される。コンタクト27は、2つのガイトウェブ43の間で、ハウジング12aから外側に突出する。
【0059】
図10は、本発明に係る工具1と共に使用するための、本発明に係る電池18の一例を示す。電池18は、防水するように互いに接続される2つのハウジングシェルから成る電池ハウジング46を有する。電池18は、電池ハウジング46の他の部分に比べて多少高くなっている端子領域47を備え、端子領域は、2つの横方向に配置されたガイト部63を有する。工具のコンタクト27を受けるためのスロット状通路開口部50をそれぞれが備える複数の接触チャンバ49が、端子領域47の内部に配置されている。スロット状通路開口部50は、端子領域47の上側及び前面の両方に形成されている。ガイトラグ58は、側部の領域に配置され、ガイトラグは、ハウジング壁12aのガイトウェブ44の凹部に係合する。更に、ハウジング部12aにある対応する凹部48に係合する保持突起部59は、端側に設けられている。端子領域47は、複数の部品で形成され、適切な固定手段67を介してハウジング46に接続されることが好ましい。
【0060】
図11は、工具のハウジング部12aの挿入穴26に押し込まれている電池18の端子領域47を示す。端子領域47を有する電池18は、ガイトウェブ43の前に配置し、そして、ハウジング部12aのコンタクト27の方向に移動させることにより(矢印を参照)、コンタクト27は、スロット状通路開口部50を通って、それぞれの接触チャンバ49に係合する。
【0061】
図12は、電池18と組み合わせた工具のハウジング部12aを示す。明瞭にするために、工具の他の部品は、図示していない。この図は、2つの部品からできた電池ハウジング46に囲まれた個々の電池セル57を示す。電池ハウジング46は、2つのハウジングシェルの端の接触領域の対応する凹部に配置された円周方向のシール64により、浸水から保護される。電池18は、ハウジング部12aの凹部48に係合する保持突起部59を介して、ハウジング部12aに保持される。この係合は、必要に応じて手動で操作する解放機構60により解放することができ、電池は、挿入穴26から押し出すことができる。コンタクトクリップ55は、第2の領域42においてコンタクト27と接触するが、第1の領域41は接触しないことが、
図12から分かる。したがって、電流が、コンタクト27の第2の領域42においてのみタップされる(tapped)。したがって、電流は、第2の領域42を介して流れ、プリント回路基板8又はそこに配置された電子部品に供給される。第2の表面領域42は、コンタクト27に、コンタクト27の、挿入方向の側に配置される。
【0062】
より良い理解のために、
図13の部分断面図において、端子領域47の内部がより明確に視認できるように、接続領域47を示す。
図13に示す実施形態では、端子領域47の内部には、合計4つの接触チャンバ49が設けられており、各接触チャンバ49は、コンタクト27と接触するために設けられている。これについてのコンタクト27のみを
図13では示し、コンタクトは、対応するスロット状通路開口部50を通って関連する接触チャンバ49に延在する。個々の接触チャンバ49は、チャンバ壁61により、互いに分離されている。各接触チャンバ49は、コンタクト27に係合するコンタクトクリップ55を両側に備える。
図14に記載の部分図において、関連する配置がよりいっそう明確に視認できるが、
図14では、コンタクト27は示さない。
図14から明らかなように、各接触チャンバ49のスロット状通路開口部50は、浸水から保護される。これは、例えば、接触チャンバ49の前側の領域にある弾性閉鎖装置51により実現される。この弾性閉鎖装置51は、例えば、第1の及び第2の弾性の小板52及び53により実現することができ、小板は、スロット状通路開口部50の直後に、挿入方向に対して横方向に、接触チャンバ49の内部に配置されている。2つの小板52及び53は、コンタクト27が通るわずかな隙間54を形成することができる。また、小板の代わりに、2つのビードの形をしたシール要素等を設けることができる。これらは、ゴム、弾性の可塑性物質等の弾性の物質で作成すればよい。
【0063】
また、
図14から分かるように、対応する接触チャンバ49には、接触チャンバ49への浸水からのさらなる保護を確実にするゲル状化合物56が更に充填されている。ゲル状化合物56は、1×10
10Ω×mm
2/m以上であり、好ましくは1×10
13Ω×mm
2/m以上であり、特に好ましくは1×10
15Ω×mm
2/m以上である比抵抗を有する電気絶縁性物質であることが好ましい。
【0064】
例えば、ゲル状化合物は、架橋シリコーン系ゲルであり得る。
【0065】
コンタクトクリップ55は、電池ハウジング46又は電池ハウジングに接続されたホルダに成形又は射出されることが好ましい。コンタクトクリップ55はまた、適切な接触を介して、電池ハウジング46内部に配置された電池18のプリント回路基板に電気的に接続される。前側の領域において、コンタクトクリップ55の脚が、互いに近寄り、コンタクト27の第2の表面領域42に接触する領域を形成する。
【0066】
電池18が挿入穴26から引き抜かれ次第、弾性閉鎖要素51が、接触チャンバ49を閉鎖し、これにより、接触チャンバへの浸水を防止する。弾性閉鎖装置51はまた、ゲル状化合物56と連携して、接触チャンバ49から工具1のコンタクト27を引き抜くことにより挿入穴から電池18を取り外すときに、弾性閉鎖装置51に、工具1のコンタクト27からゲル状化合物56を剥離させる。
【0067】
図15は、コンタクト27を示す。
図15において、符号66は、ハウジング12aの外側の領域に位置するコンタクト27の部分を示す。コンタクトの材料(例えば、金属)は、外側の接触領域66の第1の表面領域41に表面保護層62が配置されたガルバニック保護層で覆われることが好ましい。コンタクト27の第2の表面領域42には、表面保護層が存在しないように設計されている。
図15から分かるように、第1の表面領域41の面積は、表面保護層が存在しない第2の表面領域42より著しく大きい。
【0068】
表面保護層62は、好ましくは、電流流動を防止又は絶縁するラッカー層であり、具体的には、好ましくはアクリル系の被覆ラッカー層である。ラッカー層により、電流が周囲の水に流れることが防止される。また、或いは、ラッカー層の代わりに、好ましくは鋳造用樹脂系又はPU系、エポキシ系、若しくはシリコーン系埋込用樹脂である埋込用樹脂の層を、表面層として設けることができる。コンタクト27の出発材料は、例えば、コンタクト27に孔を開けることができる従来のコンタクトシートであり得る。
【0069】
本発明により、水中で、海水中でさえも、記載の種類の工具を操作することが可能になる。
【0070】
なお、個別の特徴及び下位の特徴の組み合わせも、本発明の本質として見なされ、本願の開示内容に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0071】
1 工具
2 油圧ポンプ
2a ピストン圧縮機
2b ピストン圧縮機
3 電動機
4 油圧シリンダ
5 ピストン棒
6 制御弁
7 接続要素
8 プリント回路基板
9 電子部品
10a 制御線
10b 制御線
11 接続手段
12 ハウジング
12a ハウジング(電池ホルダ)
13 オン/オフスイッチ
14 ディスプレイ
15 第1のハンドグリップ
16 第2のハンドグリップ
17 埋込用樹脂
18 電池
19 油圧タンク
20 プリント回路基板
21 磁気センサ
22 プリント回路基板
23a 電力ケーブル
23b 電力ケーブル
23c 電力ケーブル
24a 電気端子
24b 電気端子
24c 電気端子
25 制御パネル
26 挿入穴
27 コンタクト
27a コンタクト足部
27b コンタクト足部
28 逆止弁
29 安全弁
30 油圧油
31 圧力停止弁
32 圧力切替弁
33 センサホルダ
34 磁気ホルダ
35a 工具半体
35b 工具半体
36 偏心軸
37 隙間
38 突出部
39 段部
40 所定分離点
41 第1の表面領域
42 第2の表面領域
43 ガイトウェブ
44 ガイトウェブ
45 周囲のフレーム
46 電池ハウジング
47 端子領域
48 凹部
49 接触チャンバ
50 スロット状通路開口部
51 弾性閉鎖装置
52 小板
53 小板
54 隙間
55 コンタクトクリップ
56 ゲル状化合物
57 電池セル
58 ガイトラグ
59 保持突起部
60 解放機構
61 チャンバ壁
62 表面保護層
63 ガイト部
64 円周方向のシール
65 固定接続部
66 外側の接触領域
67 固定手段