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特許7529774対話インタフェースでの起動を持つ電子棚ラベル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】対話インタフェースでの起動を持つ電子棚ラベル
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20240730BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A47F5/00 E
B65G1/137 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022523888
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2019086875
(87)【国際公開番号】W WO2021121643
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】516239921
【氏名又は名称】ヴジョングループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】オーストフーク・ヤン
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-193218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0220805(US,A1)
【文献】特開2015-059396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示するように適合されている表示ユニット(4)を備える電子棚ラベル(1)において、電子棚ラベル(1)が、
前記映像が顧客指向情報を表す、顧客指向情報提示モードで作動することと、
前記映像が従業員指向情報を表す、従業員指向情報提示モードで作動することと、
外部で移動自在な無線通信装置(300)の接近を検出することと、
前記無線通信装置(300)の接近の検出の際に前記従業員指向情報提示モードを自動的に起動することと
に適合されていて、
前記電子棚ラベル(1)は、
前記無線通信装置(300)の無線信号を感知し、そして個々の感知データ(D1、D2)を伝達するように適合されている、無線信号感知及び前処理ステージ(100)と、
前記無線信号感知及び前処理ステージ(100)に接続されていて、受信した感知データに基づいて前記無線通信装置(300)の接近を検出するように適合されている、制御部ステージ(20)と
をさらに備え、
前記無線信号感知及び前処理ステージ(100)が、感知した無線信号の、到達角度と出発角度との少なくとも一方を決定し、感知した無線信号の前記到達角度又は前記出発角度を表す感知データ(D1、D2)を生成するように適合されていて、
前記制御部ステージ(20)が、前記無線通信装置(300)の接近を検出するため時間にわたって、前記到達角度又は前記出発角度を評価するように適合されている、
電子棚ラベル(1)。
【請求項2】
遠隔接近範囲と近接接近範囲とを区別するように適合されていて、
前記遠隔接近範囲内への接近が検出されると前記従業員指向情報提示モードを準備することと、
前記近接接近範囲内への接近が検出されると前記従業員指向情報提示モードを有効化することと
に適合されている、請求項1に記載の電子棚ラベル(1)。
【請求項3】
前記無線信号感知及び前処理ステージ(100)が、感知した無線信号の信号強度を決定し、感知した無線信号の信号強度を表す感知データ(D1、D2)を生成するように適合されていて、
前記制御部ステージ(20)は、前記無線通信装置(300)の接近を検出するため時間にわたる信号強度を評価するように適合されている、
請求項1又は2に記載の電子棚ラベル(1)。
【請求項4】
前記電子棚ラベル(1)が、Bluetooth(登録商標)認証に従って感知した無線信号を処理するように適合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子棚ラベル(1)。
【請求項5】
前記感知データ(D1、D2)がしきい値を超える水準を表す場合は、前記制御部ステージ(20)は、前記従業員指向情報提示モードを有効にするように適合されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子棚ラベル(1)。
【請求項6】
前記感知データ(D1、D2)がしきい値の範囲以内の水準を表しているかぎり前記制御部ステージ(20)は、前記従業員指向情報提示モードを維持するように適合されている、請求項5に記載の電子棚ラベル(1)。
【請求項7】
従業員指向情報が前記電子棚ラベル(1)内で最新のときに、前記制御部ステージ(20)が、前記従業員指向情報提示モードを有効にするように適合されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電子棚ラベル(1)。
【請求項8】
感知した無線信号が認証データを運び、前記制御部ステージ(20)が、従業員指向情報提示モード内で表示されることになる従業員の中の認証された個人向けの従業員指向情報のセットを用意するため、受信した認証データに基づいて個人を認証するように適合されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子棚ラベル(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の複数の電子棚ラベル(1)と、複数の移動自在な無線通信装置(300)とを備える、電子棚ラベルシステム(32)。
【請求項10】
前記電子棚ラベル(1)及び前記無線通信装置(300)は、Bluetooth(登録商標)認証に従って通信するように適合されている、請求項9に記載の電子棚ラベルシステム(32)。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子棚ラベル(1)を操作する方法において、
前記電子棚ラベル(1)の表示ユニット(4)が映像を表示することにおいて、
顧客指向情報提示モードにおいて、映像は顧客指向情報を表し、
従業員指向情報提示モードにおいて、映像は従業員指向情報を表し、
外部の移動自在な無線通信装置(300)の前記電子棚ラベル(1)に対する接近が、前記無線通信装置(300)によって送信された無線信号の、感知した無線信号に基づいて前記電子棚ラベル(1)によって、検出され、
前記無線通信装置(300)の接近の検出の際に、前記電子棚ラベル(1)が、従業員指向情報提示モードを自動的に有効化する、
電子棚ラベル(1)を操作する方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子棚ラベル(1)への接近検出の利用において、
外部の移動自在な前記無線通信装置(300)の接近が、前記電子棚ラベル(1)によって、前記無線通信装置(300)から送信された無線信号に基づいて検出され、
前記接近の検出が、前記電子棚ラベル(1)の従業員指向情報提示モードの自動起動に利用されることにおいて、
前記従業員指向情報提示モードにおいて、表示ユニット(4)は、前記表示ユニット(4)が顧客指向情報を表す映像を表示する前記電子棚ラベル(1)の顧客指向情報提示モードとは区別される従業員指向情報を表す映像を表示する、
電子棚ラベル(1)への接近検出の利用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対話インタフェースを持つ電子棚ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際出願公開第WO2017/097358号で公開された国際特許出願)には、NFC(Near Field Communication、近接無線通信)技術により他の電子機器と通信可能な対話インタフェースを備えた電子棚ラベルが開示されている。電子機器は、製品を特定の電子棚ラベルにリンクすることを可能にする携帯型バーコードスキャナである。これは、製品を一意に識別する製品上のバーコードを走査し、電子棚ラベルを一意に識別する電子棚ラベルの表示上に表示されたバーコードを走査することによって達成される。取得されたバーコードは、次に、小売店の中央マーチャンダイジングサーバに送信され、そこで、電子棚ラベルと製品との間のリンクがデータベースにデジタル的に格納される。以下において、サーバは、電子棚ラベルにリンクされた製品の製品関連情報を電子棚ラベルに符号化した表示データを供給し、電子棚ラベルの表示は、製品関連情報を人間が判読可能な形式で表示する。
【0003】
今日では、期限切れ製品の除去指示の生成、棚の製品の補充、棚上の製品の手動計数などの棚管理作業は、パーソナルコンピュータの助けで計画され、調整されている。パーソナルコンピュータは通常、店舗のバックオフィスに置かれている。そこで、指示は、口頭で従業員に伝達されるか、実行のための印刷されたタスクリストの形で配布される。
【0004】
この処理工程は、小売業者の従業員の反応を遅らせる可能性があり、命令の実行はエラーを起こしやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際出願公開第2017/097358号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Sauli Lehtimaki、SILICON LABS、“Bluetooth Angle Estimation for Real Time Location”、[2022年4月7日検索]、インターネット<URL:https://onl.la/ktSTURu>又は<URL:https://www.silabs.com/whitepapers/bluetooth-angle-estimation-for-real-time-locationing>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、それぞれ(電子棚ラベル及び棚ラベルシステム)が、保守作業におけるエラーの可能性を低減しつつサービス従業員の反応性を高めるのに役立つ、改良された電子棚ラベル又は棚ラベルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、映像を表示する表示部を備えた電子棚ラベルであって、前記映像が顧客指向情報を表す顧客指向情報提示モードで作動し、前記映像が従業員指向情報を表す従業員指向情報提示モードで作動し、前記無線通信装置が送信した受信無線信号に基づいて、前記電子棚ラベルに対する外部自由移動無線通信装置の接近を検出し、前記無線通信装置の接近を検出すると、前記従業員指向情報提示モードを自動的に起動するように構成された電子棚ラベルによって、達成される。
【0009】
この目的は、本発明による複数の電子棚ラベルと複数の自由に移動可能な無線通信装置とを備える電子棚ラベルシステムによっても達成される。
【0010】
また、この目的は、電子棚ラベルの表示部に映像を表示し、顧客指向情報提示モードでは映像は顧客指向情報を表し、従業員指向情報提示モードでは映像は従業員指向情報を表し、無線通信装置から送信された受信無線信号に基づいて電子棚ラベルにより電子棚ラベルに対する外部自由移動無線通信装置の接近を検出し、電子棚ラベルが無線通信装置の接近を検出すると、電子棚ラベルが自動的に従業員指向情報提示モードを起動する電子棚ラベルの操作方法により達成される。
【0011】
また、電子棚ラベルにおいて、外部自由移動無線通信装置から送信された無線信号に基づいて、電子棚ラベルにより外部自由移動無線通信装置の接近を検出し、電子棚ラベルの従業員指向情報提示モードを自動的に起動する接近検出を用いて、従業員指向情報提示モードでは、表示部に、従業員指向情報を表す映像を表示する電子棚ラベルの顧客指向情報提示モードとは別に、従業員指向情報を表す映像を表示する表示部と、顧客指向情報を表す映像を表示する電子棚ラベルの顧客指向情報提示モードとを用いて、電子棚ラベルにおける接近検出を行うことにより、上記課題を解決する。
【0012】
本発明による手段は、小売業者の従業員に関連する全ての指示を棚で直接提供できる、又はより正確には表示上に指示を表示する電子棚ラベルで直接提供できるという利点を提供する。従業員は、特定の棚に対する指示がそこで保留されていることを知る必要さえない。そのような指示は、従業員が電子棚ラベルが取り付けられている棚又はレールに近づく(近づく)と、電子棚ラベルの表示によって自動的に提示される。この接近が検出されるとすぐに(すなわち、従業員が所定の信号検出範囲に入るとすぐに)、電子棚ラベルは、そのモード又は作動を顧客指向情報提示モードから従業員指向情報提示モードに自動的に変化させる。
【0013】
従業員は、外部自由移動式無線通信装置を携帯するだけでよい。無線通信装置は、無線信号のみをブロードキャスト又は送信する任意のバッテリ駆動式装置とすることができ、例えば、従業員の身分証明書に埋め込んだり、従業員のブレスレット又は襟に組み込んだり、従業員の腕時計に組み込んだり、従業員の移動電話又は店内で従業員が使用する携帯通信装置に組み込んだり、キーチェーンとして実現できる。好ましい実施形態では、無線通信装置は、自由移動式無線通信装置との通信のために互換性のある内部無線送信器を備える電子棚ラベルとの(双方向)通信リンクを確立することを可能にする無線送信器である。外部自由移動式無線通信装置は、個々の従業員又は従業員のグループに割り当てられ得る。したがって、自由移動式無線通信装置は、特定の従業員又は従業員のグループが一意に識別可能であるように個別化されることがある。電子棚ラベルと無線通信装置との間の通信リンクは、検出された接近を検証し、かつ、従業員指向情報提示モードを自動的に起動する許可を与えるために必要なデータを保護するために、安全なリンクとしてさらに設定されることがある。
【0014】
無線通信装置は、識別カード又は特定の従業員又は従業員グループに割り当てられる任意の他の携帯可能な装置に組み込んでよい。無線通信装置を物理的に見ると、無線通信装置を携帯する従業員が、電子棚ラベルが設置されている棚に近づいたときに、従業員指向情報提示モードを解除するために必要なハードウェアキーを実現する。自動起動、すなわち上述の従業員指向情報提示モードの解除は、例えば従業員がまだ0.5から1.5m以上、例えば2から4m、又は電子棚ラベルからさらに離れているときなど、ある距離にわたって行われる。もちろん、自由に移動可能な無線通信装置に設置された送信機と電子棚ラベルとが、そのような距離にわたって通信できるように適切に適合されていることが必要である。
【0015】
これはまた、本発明による測定を、通信相手との間で数近接を必要とするRFID(Radio Frequency Identification Device、無線周波数識別装置)又はNFC(Near Filed Communication、近距離(無線)通信)に基づく他の測定と区別するものである。このようなRFID又はNFCベースの解決手段はまた、通信相手の一方に対する電力が他の通信相手の無線信号によって供給されなければならず、このような解決手段の信頼性を低下させるという欠点を示す。
【0016】
これに関連して、前述の距離内での従業員指向情報提示モードの起動は、従業員がまだ棚から離れた距離にあり、棚がまだ手の届かない場所にいる間に、近づいてくる従業員のための指示を既に表示できるという利点を提供することも強調される。典型的には、従業員指向情報提示モードが起動され、従業員指向情報が表示されるので、従業員の視覚認識は棚からのより大きな距離で依然として広く、従業員は棚に確認すべきものがあることを容易に認識できる。典型的には、そのような従業員指向情報は、顧客指向情報と容易に視覚的に区別できる。その結果、従業員の注意が喚起され、棚に近づくと指示の詳細が明らかになる。
【0017】
顧客指向情報提示モードの目に見える特徴は、製品の販売促進に関連する価格と、製品名と、さらなる製品特性との少なくともいずれかが、顧客の関心を引くか、又は製品の購入を誘発するような方法で提示されることである。
【0018】
従業員指向の情報提示モードの目に見える特徴は、従業員には意味を与えるが、顧客にはほとんど又は全く意味を持たない指示又は他の情報が表示されることである。このような従業員指向の指示は、例えば、商品を棚に補充する指示、店のコンピュータシステムに格納された商品の数を検証するために棚上の残りの商品を数える指示、棚に格納された商品の有効期限を確認する指示、商品又は複数のそのような商品を棚から選ぶ指示など、従業員がそれぞれの棚で直接実行すべき行動を提示できる。
【0019】
したがって、2つの情報提示モードは、意図されたユーザに関して互いに区別され、最終的には、それぞれの視聴者において操作されることが意図された作動に関して区別される。意図された作動は、顧客が製品を購入した場合であり、意図された作動は、従業員が棚のメンテナンスを行う場合である。
【0020】
しかし、これは、電子棚ラベルが、ある期間中に2つの情報提示モードのうちの1つしか実行できないことを意味するものではない。実際、特定の状況において、両方の情報操作モードが同時に有効な状態であることは理にかなっている。これは、コンピュータシステムが従業員に特定の棚で腐敗しやすい製品の有効期限を直接確認するように指示する場合である。この指示が従業員指向情報提示モード中に表示される間、電子棚ラベルは、顧客指向情報提示モードにおいて関連する製品の仮想(電子)価格ラベルを同時に表示できる。
【0021】
しかし、2つの情報提示モードの同時出現は、一方の情報提示モードから他方の情報提示モードへ、又はその逆への移行中にも存在することがある。このような移行の局面は、従業員が携帯する無線通信装置の接近中に実行できる。移行の局面では、例えば、電子棚ラベルと自由に移動可能な無線通信装置との間の(近似又は計算された)距離の関数として、又は例えば、継続的な接近が検出される時間の持続時間の関数として、顧客指向情報は徐々に消えていき(フェードアウト)し、従業員指向情報は(同時に)徐々に入ってくる(フェードイン)ようにする場合がある。
【0022】
電子棚ラベルは、制御部ステージと、電子棚ラベルを小売業者のサーバに接続するアクセスポイントと通信する通信モジュールとを備えてよい。
【0023】
サーバでは、在庫目録が管理される。サーバは、棚割りシステム(プラノグラム)及び電子棚ラベルと電子棚ラベルに割り当てられた製品との間のリンクも格納する。また、サーバは、表示データを個別の電子棚ラベルに送信する。表示データは、顧客指向情報又は従業員指向情報のいずれかを表す。これらのデータは、制御部ステージによってアクセス可能な電子棚ラベルのメモリステージ内に格納され、操作モードに応じて、制御部ステージは、それぞれのメモリ区域にアクセスし、格納されたデータを読み出し、内部データバスを介してこれらのデータを表示ユニットに送信する。表示ユニットは、映像を表示するスクリーンと、制御部ステージからデータを受信し、それに応じてスクリーンを駆動する表示制御部とから構成されてもよい。スクリーンは、反射型を意味するパッシブ型、又はバックライト付き液晶ディスプレイ(LCD)のようなアクティブ型としてよい。適用される技術に応じて、映像は、静止画像、動画の映像、又は動画の映像の組み合わせ(例えば、背景で再生された動画と、ウィンドウ内の動画に埋め込まれた静止画像との組み合わせ、例えば、仮想価格ラベル又は他の製品もしくは宣伝情報又は従業員指向情報を示す)としてよい。好ましい実施形態では、スクリーンは、1メートル又は2メートルまでの長さを有するLCDスクリーンとして実現され、スクリーンは、棚床の端の前面を形成する。ここで、スクリーンは、従来の棚レールに取り付けられてもよく、あるいは棚レール自体でスクリーンを実現する場合があってもよい。スクリーンの高さは数センチメートルでもよい。実際のところ、そこに提示される情報の最良の判読性を提供するために、一般的な棚レール又は棚レールに取り付けられた従来の紙ベースの価格ラベルの高さと同程度であるべきである。また、電子棚ラベルは、テーブル上に配置できるように設計してもよい。この構成では、電子棚ラベルは、テーブル上に直立した位置決めができるように、折り畳み脚を備えてよい。
【0024】
本発明のさらなる特に有利な実施形態及び拡張は、従属請求項及び以下の説明から生じる。請求項の1つのカテゴリーでのある特徴は、他のカテゴリーに適切に適合させて移行可能であり、そこで同じ効果を達成し得ることに留意されたい。
【0025】
本発明のさらなる観点によれば、電子棚ラベルは、遠隔接近区域と近接接近区域とを区別するように構成する場合があり、遠隔接近区域内への接近が検出された場合に従業員指向情報提示モードを準備し、近接接近区域内への接近が検出された場合に従業員指向情報提示モードを起動するように構成する場合がある。
【0026】
この特徴は、電子棚ラベルの周囲の異なる距離の区域の区別を可能にし、ここで、電子棚ラベルは、無線通信装置が異なる距離の複数の区域に存在する場合、異なる機能を実行する。例えば、遠隔接近区域への接近中、電子棚ラベルは、例えば、表示の隅の一つに赤い点滅記号(点や星など)を表示することによって、接近検出範囲に入ったことを従業員に示すだけでよい。これは、電子棚ラベルが、電子棚ラベルの接近検出範囲への従業員の接近を検出したことを従業員に確認するためでもある。また、これは、従業員に対して、電子棚ラベルが、電子棚ラベルの接近検出範囲への従業員の接近を検出したことを確認するためでもある。さらに、電子棚ラベルが移動自在な無線通信装置を受け入れたことを従業員用に確認するものであり、そして、従業員が接近してきた場合には、従業員指向情報提示モードを完全に起動できる状態であることを確認するためでもある。
【0027】
これらの特徴の全てを実現するために、電子棚ラベルは、無線通信装置の無線信号を検知してそれぞれの検知データを配信するように構成された無線信号検知前処理ステージと、無線信号検知前処理ステージに接続され、受信した検知データに基づいて無線通信装置の接近を検知するように構成された制御部ステージ(主制御部)とを備える。制御部ステージと無線信号検知前処理ステージとの間の接続は、既に述べたデータバスによって実現される。無線信号検知前処理ステージは、自由に移動可能な無線通信装置からの無線信号を受信するためだけでなく、無線信号の双方向交換を介してこの装置との通信を行うためのアンテナ構成を備える。アンテナ構成は、単一のアンテナを備える場合があるが、好ましい実施形態では、複数のアンテナが存在する。アンテナ構成は、受動電子構成要素の組み合わせであってもよい送信電子機器に接続されている。これについてさらに、無線信号検知前処理ステージは、受信した無線信号が接近検知範囲内で送信されたか、又は接近検知範囲外で送信されたかの評価を可能にする変数を表す検知データを配信する信号処理ステージを備えてよい。信号処理ステージは、別個の集積回路(例えば、説明された機能を実行するように設計された特注のチップ)によって、又は市場で入手可能なアナログ及びデジタル構成要素の組み合わせによって実現できる。また、信号処理ステージは、制御部ステージからデータを受信し、これらのデータを外部無線通信装置に送信するために使用されてもよく、例えば、前述した安全なリンクを確立するために、又は外部無線通信装置からさらなる情報の要求用に使用され、外部無線通信装置は、ユーザを認証するためにユーザ固有のデータを配信し、主制御部による従業員指向情報の各セットを認可するために使用されてもよい。
【0028】
一実施形態では、無線信号検出及び前処理ステージは、受信された無線信号の信号強度を決定し、それらが受信された無線信号の信号強度を表すように検出データを生成するように構成され、制御部ステージ(主制御部として言及される)は、無線通信装置の接近を検出するために、時間の経過とともに信号強度を評価するように構成される。この解決手段は、より単純ではあるが精度が低いものとなる可能性があり、従業員によって運ばれる無線通信装置のパスを計算するために、受信された無線信号に高いサンプリングレートを必要とする。一般に、時間の経過とともに増加する信号強度値は、無線通信装置のアプローチとして解釈可能であり、時間の経過とともに減少する信号値は、電子棚ラベルから発信源の取り外しとして解釈もできる。しかし、時間の経過とともに信号強度の単純な時系列解析で確認された困難の1つは、結果における曖昧さの識別又は回避が困難であるという事実である。ここで、無線通信装置によって送信される無線信号の放射は、全ての方向に等しい強度であり得ることを理解する必要がある。したがって、受信された信号が電子棚ラベルの後ろの位置から来たものか、電子棚ラベルの前の位置から来たものかを区別できない場合がある。認識された接近は、2番目のケースにおいて正しく認識できるだけかもしれない。
【0029】
このような曖昧さを回避するために、無線信号検出及び前処理ステージが、受信された無線信号の到達角度と出発角度との少なくとも一方を決定し、受信された無線信号の到達角度又は出発角度をそれぞれ表す感知データを生成するように構成され、(主制御部として言及した)制御ステージが、無線通信装置の接近を検出するために、到達角度又は出発角度を経時的に評価するように構成されることは、特に有利である。この解決策は、無線通信装置の無線信号を受信するためのアンテナ配列の適用を必要とし、信号処理ステージは、到達角度又は出発角度をそれぞれ決定するために、アンテナ配列で利用可能な複数の信号を評価するように構成される。ここで、感知データは、電子棚ラベルの後ろの位置から送信された信号と、電子棚ラベルの前の位置から送信された信号とを容易に区別するために必要な情報を提供する。これにより、ESLの表示が向けられている通路からの無線信号に焦点を当てられる。表示面の後ろの通路からの他の信号は確実に除外できる。
【0030】
加えて、受信した無線信号の信号強度を検知することにより、当該無線通信装置が電子棚ラベルの廊下に位置しているか、離れた廊下に位置しているかを容易にわかるので、直ちに信頼性の高い近接検出を実施できる。したがって、好ましい実施形態では、両方の特徴、すなわち信号強度の決定及び到達角度又は出発角度の決定が実施される。制御部ステージは、両方の変数を使用して、無線通信装置の接近を検出する。
【0031】
さらに、電子棚ラベルは、Bluetooth(登録商標)仕様に従って、特にBluetooth5.1又はそれ以上の仕様に従って、受信された無線信号を処理するように適合される。これにより、低電力を必要とするが、無線信号の十分な到達範囲を提供する実装が可能になる。
【0032】
到達角度(AoA)と出発角度(AoD)の決定の理論的基礎は、非特許文献1(著者Sauli Lehtimaki、「Bluetooth Angle Estimation for Real Time Location」というタイトルの「SILICON LABS」社の出版物)に要約されている。同様に、他の方法、すなわち受信信号強度指標(RSSI)及び到達時間/飛行時間(TaO/ToF)がそこで引用されていて、これらは現在の文脈で使用できる。コンピュータプログラム又はハードウェア構造(例えば、集積回路)におけるこれらの理論的基礎の実装は、Bluetooth送信機技術の分野における当業者の通常の活動の中にある。
【0033】
(主制御部として言及した)制御部ステージは、感知データがしきい値を通過する基準を表す場合、従業員指向情報提示モードを起動するように構成される。そのようなしきい値は、電子棚ラベルから測定された特定の距離に関連付けられた受信無線信号の特定の信号強度とできる。この関連付けは、現実的な環境条件を考慮に入れるために、工場前又は小売業者の店舗内のいずれかの初期較正によって確立できる。そのような基準は、例えば、表示が配向されている廊下又は電子棚ラベルの周囲の幾何学的条件に依存する、より大きな角度又は狭い角度であり得る到達角度としてもよい。角度の測定は、表示の正面に対する法線方向から行ってよい。測定は、スクリーンの平面に関連付けてよい。それぞれの基準方向は、事前に定義されていればよい。
【0034】
しかしながら、好ましい実施形態では、信号強度と到達角度との組み合わせは、しきい値を定義するのに有利である。この組み合わせにより、曲線に沿ったしきい値の任意の境界線をモデル化も可能であり、ここで、電子棚ラベルからの距離は、無線信号の実際の到達角度(又は出発角度)に依存することがある。例えば、しきい値距離は、角度の関数として設定され、電子棚ラベルの左側及び右側にさらに延在する一方、電子棚ラベルのすぐ前の角度区間では、はるかに近い距離にある。また、しきい値距離の電子棚ラベルの左側及び右側への非対称な進行が想定される場合がある。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、(主制御部として言及された)制御部ステージが、感知データがしきい値範囲内の基準を表す限り、従業員指向情報提示モードを有効状態に維持するように適合される場合、有利である場合がある。これは、しきい値範囲を画定する上記境界線によって画定される範囲からの出発が、従業員指向情報提示モードの終了につながることを意味する。この自動転スイッチオフ機能により、顧客は、従業員のみを対象とする表示コンテンツに煩わされることがなく、従業員は、棚のメンテナンス作業を完了した後、従業員指向情報提示モードをオフにすることを覚えておく必要がないことを保証する。しかし、従業員指向情報提示モードの終了は、例えば、電子棚ラベルのユーザインタフェースとの対話によって、従業員が依然としてしきい値範囲内にある間に、従業員によって強制実施されてもよい。
【0036】
従業員指向情報提示モードの自動起動は無条件であってもよく、これは、表示が、それに対して事前に従業員指向情報が受信されなかった場合に、従業員に対する情報が利用可能でないことを単に表示する状況をもたらすであろう。また、これは、従業員が実際に何もすることがない棚に不必要に注意を向ける結果にもなりかねない。この状況は、従業員の効率に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、特に最新の従業員指向情報が利用可能であり、特に電子棚ラベルに格納されている場合にのみ、(主制御部として言及される)制御部ステージが従業員指向情報提示モードを起動するように適合されていることが有利である場合がある。このような従業員指向情報擬人化モードの条件付き自動起動は、従業員が、特定の棚に何かすることがある場合にのみ、そこで有効状態になるように引き起こ(トリガー)されることを確実にする。好ましくは、関連性に関して、区別を依然行える。例えば、ある時点で行動(アクティビティ)が重要であり、その行動を特定の期間内に完了できない場合、その行動を至急性ありとし続ける意味はない。その後、行動は削除されるか、保留され続け、至急性のない後日(例えば、次のシフト中)に実行される。
【0037】
これに加えて、受信された無線信号が認証データを伝達し、(主制御部として言及される)制御部ステージが、受信された認証データに基づいて人を認証し(個々の従業員を区別するために)、従業員指向情報提示モードで提示される一連の従業員指向情報に対してこの人(従業員)を認可するように適合される場合、有利である場合がある。従業員を明確に識別することに加えて、この機能により、従業員の異なるグループと関連する権限とを区別も可能である。一部の従業員は棚の補充を許可される場合がある。したがって、従業員指向情報提示モードでは補充情報のみが従業員に提示される。他の従業員はピック及び収集行動で忙しい場合がある。したがって、従業員指向情報提示モードではピック及び収集情報のみが従業員に提示される。店舗の管理者は価格情報の設定や仮想電子値札と製品との間のリンクの確立で忙しい場合がある。したがって、従業員指向情報提示モードでは管理指向情報又はシステム情報のみが従業員に提示される。
【0038】
特定のタスクを実行し、開始し、さらには編成するために、電子棚ラベルで確認を入力したり、特定の変数を直接設定したりする必要がある場合がある。したがって、電子棚ラベルは、ユーザ入力を受け取る入力ユニットを備える場合がある。
【0039】
本発明によれば、異なる情報提示モードに依存して、入力ユニットが、利用可能であるか、一時的に利用可能であるか、又は利用不可であることは特に有利である。例えば、従業員のみが入力の実行を許される場合、入力ユニットは従業員指向情報提示モードの間のみ有効な状態である。何らかの誤った入力を回避するために、入力ユニットの利用可能性を従業員指向情報提示モードの間の特定の期間のみに制限することも可能である。そのような実装は、電子棚ラベルと従業員との間の対話が行われる対話システムの適用において有用だろう。この適用において、電子棚ラベルは従業員のための情報を視覚化して、従業員は入力ユニット上に特定の入力を提供しなければならない。
【0040】
このような入力部は、RFID又はNFCインタフェースで実現できる。このタイプのインタフェースは、確認エントリのみを受信する場合に使用できる。従業員指向情報提示モードで伝達されたタスクが従業員によって達成されると、従業員がRFIC又はNFC装置で電子棚ラベルに接触することになれば、RFID又はNFCインタフェースは、この行動をデータバス経由で制御部ステージに伝達し、制御部ステージで保留中のタスクが終了する。タスクの終了は、従業員指向情報提示モードで可視化され、従業員は、従業員指向情報提示モードが終了する前に、確認入力に対する正のフィードバックを認識できる。タスクの終了に関する情報は、制御部ステージによってサーバに経路を導かれるようにすることがある。
【0041】
入力ユニットは、タッチスクリーンとして実現される場合がある表示ユニット自体によって提供されてもよい。表示制御部は、次に、データバスを介して、スクリーン上のユーザ入力を表すデータを制御部ステージに送信してもよく、制御部ステージでは、そのようなデータはさらに処理されるか、又はさらに店舗のサーバにルーティングされる。入力が処理されたことの確認は、終了する前に、従業員指向の情報提示モードで視覚化できる。
【0042】
最も好ましい実施形態によれば、入力ユニットは、接触トリガー信号を提供する抵抗のある帯形状の接触感知ユニットによって表示ユニットから分離して配置される。接触トリガー信号の大きさ又は値は、接触が行われる帯形状に沿った位置に比例する。接触感知ユニットはまた、接触トリガー信号を表すデータを送達するための接触信号処理制御部を備えてよい。さらなる実施形態によれば、接触トリガー信号を入力するために制御部段のアナログデジタル変換器入力が使用される場合、接触トリガー信号は制御部段によって直接処理されてもよい。
【0043】
このような帯形状の接触感知装置は、例えば、「SoftPot」という製品名で「spectra symbol」(spectrasymbol.comを参照)という名前の企業から入手可能である。この帯形状の接触感知装置は、2つのピンを介して電子棚ラベルによって電力供給され、接触力が1Newtonの最小力レベルを超えた場合に、第3のピンを介して接触トリガー信号を送出する受動線形位置センサである。前述のように、接触トリガー信号は、接触感知範囲に沿った接触位置に線形依存性を有する。帯形状の接触感知ユニットは、高さ約0.5mmの直線帯として入手可能であり、電子棚ラベルの筐体の底壁に沿った取り付けに最適である。接触感知表面は、壁の表面とは反対方向を向いている。それは、表示ユニットのスクリーンの幅に沿って延在するが、より長く又は短くしてよい。
【0044】
既に述べたように、帯状の接触感知ユニットは、ユーザの指又は手の接触を検出するのに一定の最小の力を必要とする。そのような最小の力は、0.5から2ニュートンの範囲であることがある。これにより、接触感知スクリーンで時々観察されるような、時には接触として意図されない作動のユーザによる誤認識を防止する。接触トリガー信号をトリガーするために必要な最小の力を克服することは、処理作動のための肯定応答又はトリガーとして制御部ステージによって解釈可能である。
【0045】
帯状の接触感知ユニットは、表示ユニットを備える、又は表示ユニットを持っている電子棚ラベルの壁上に配置されてもよい。これは、すぐに見られるという利点がある。一方、この配置は、表示ユニットによる映像表示に使用可能な前壁の表面積を減らすことになる。したがって、帯状の接触感知ユニットが、表示ユニットを持つ筐体の壁とは異なる筐体の壁上に配置されるという利点がある。この構成では、表示ユニットを持つ筐体の壁とは異なる(おそらく枠によって縮小される)前壁の全範囲が映像表示に使用可能であるという利点がある。前壁の外側に配置することもまた、接触感知ユニットを隠すことになる。このことは、従業員のみが接触感知ユニットと相互作用して、通常の顧客がそれに知覚しないようにしたい場合、特に重要である。電子棚ラベルが意図された通りに棚(これは通常、棚床の前縁にある)に設置される場合、表示ユニットを持つ壁は前壁であり、接触感知ユニットを持つ壁は底壁である。特に、電子棚ラベルが、意図された通りに棚(これは通常、棚床の前縁にある)に設置されている場合、表示ユニットを持つ壁は前壁であり、接触感知ユニットを持つ壁は底壁である。
一般的な小売店では、棚は棚床を持ち、電子棚ラベルは、棚に沿って通過する顧客が表示ユニットを搭載した電子棚の前壁を主に知覚するように、棚床に取り付けられる。電子棚ラベルの底壁は、一般的に、棚に沿って通過する顧客にとっては不可視である。
そのような顧客は典型的には棚上にある製品に、そして前縁に位置する表示ユニットによって提供される情報に欲しい製品があったとき、その製品に集中する。そのように、底壁は、通常の顧客の眼からの自然な目隠しを形成している。この知識は、さらに、電子棚ラベルの大きさとは独立している。
【0046】
しかし、電子棚ラベルが、表示ユニットによって動画の映像を表示するように配置された、いわゆる動画レールとして実現される場合には、底壁における位置決めが一層重要となる。このような動画レールは、例えば1mまで、あるいはそれ以上の長さであってもよく、棚床に直接取り付けたり、棚レールの代用とできる。通常、複数の動画レールが棚床に沿って直接並んで設置されるため、互いに対向する側壁は使用できない。
【0047】
これに加えて、表示ユニットから分離された帯形状の接触感知ユニットの局所化は、ユーザとの対話が表示ユニット自体のスクリーン上で行われないという利点も有する。有利なことに、対話はスクリーン上の視線内で行われない。対話は視線の外で行われる。これにより、対話中はいつでも映像コンテンツは可視であり、スクリーンが接触によって汚染されることがない。
【0048】
これについてはさらに、接触感知ユニット帯状の実施態様は、一点一点の接触を検出するだけでなく、帯状の接触感知部に沿った面接触やスライド接触を検出できる。
【0049】
表示部の表示スクリーンは、ある情報を表示するために使用されてもよく、帯状の接触有感部は、ユーザが効率的に対話することを可能にし、特に、映像再生範囲の幅に沿った特定の位置で対話を可能にする。
【0050】
操作において、表示スクリーンは、例えば、従業員指向情報プリステーションモードで、その下端に沿ってメニューバーを表示し、ユーザ(従業員)は、メニュー項目のうちの1つに対応する特定の位置で帯状接触有感部の接触有感範囲に接触できる。ユーザのメニュー項目選択接触を検出するために、処理ユニットは、接触位置とメニュー項目の表示範囲との正確な一致のみを受け入れるように構成されてもよく、そうでなければ、処理ユニットは、接触位置とメニュー項目の表示範囲との特定のずれを受け入れるように構成されてもよい。また、処理ユニットは、メニュー項目の表示範囲の周囲の特定の範囲内での接触を受け入れるように構成されてもよい。この接触の結果として、電子棚ラベルの機能が主制御部によって実行される。このような機能は、メニュー項目に関連付けられる。
【0051】
電子棚ラベルがその表示スクリーンによって仮想ラベルを表示することを意図しているという事実を考えると、そのような仮想ラベルの正確な位置決めは典型的な障壁である。この障壁に対処するために、制御部ステージは、映像が表示される映像再生範囲の幅に沿った位置である映像位置を制御するように構成され、映像位置は、接触位置を表す受信された接触トリガー信号によって定義される。1適用例では、表示スクリーンは、仮想ラベルを示してよく、例えば、既に配置された他の仮想ラベルと区別するために点滅し、従業員は、接触有感範囲に沿った特定の位置をタップできる。それから、処理ユニットは、スクリーン上の対応する位置に正確にラベルを配置し、点滅を停止する。これで、仮想ラベルが配置される。
【0052】
しかしながら、好ましい実施形態では、主処理部は、検出された接触位置の連続的な変化に応じて、映像再生範囲の第1幅に沿って映像位置を変化させるように構成される。これにより、従業員は、仮想ラベルなどの映像を映像再生範囲の幅に沿って自由に動かせるとともに、接触感知範囲に指を押したまま接触感知範囲に沿って移動できる。接触が終了すると、映像の最後に選択された位置が固定される。接触感知範囲に沿った従業員の指のスライド移動は、処理ユニットによって、映像再生範囲内で映像が表示される位置に対する絶対位置又は相対位置として解釈できる。相対位置として解釈することは、イメージが映像再生範囲内で映像再生範囲内に相対的に移動される間、従業員が接触感知範囲に沿った任意の場所でスライド移動を行えるため、使用性の点で有利である。また、処理ユニットによって、従業員の指の接触感知範囲に沿った移動の規模の変更を支援もできる。この特徴により、指の移動のある長さを仮想ラベルの移動の別の長さに変換できる。この文脈において、大まかな位置決めと正確な位置決めへの区別が可能である。例えば、第1規模変更操作において、指の移動を仮想ラベルの移動に変換する係数は1より大きく、その後の第2規模変更操作において、指の移動を仮想ラベルの移動に変換する係数は1より小さい。2つの規模変更操作は、接触の中断によって分離されてもよい。
【0053】
本発明のさらなる態様によれば、従業員指向情報提示モード内の作動モードの制御も、帯状の接触感知ユニットを使用して実施できる。これを達成するために、制御部ステージが、第1接触トリガー信号と第2接触トリガー信号とを検出して区別し、それに応じてその作動モードに影響を与えるように構成されることが有利である。第1接触トリガー信号は、特定の第1持続時間の期間内の単一接触イベントであってもよく、第2接触トリガー信号は、特定の第2持続時間の期間内のマルチ接触イベントであってもよい。
【0054】
このような複数の接触イベントは、個々の接触が行われる位置によって、又は個々の接触の間の継続時間によって区別もできる。この特徴は、対応する位置での接触によって作動モードを起動する前にメニュー項目を表示する必要がないので、特に有利である。このような作動モードは、適切な複数の接触を実行することによって簡単に開始できる。このような接触シーケンスの知識は、小売店のユーザや操作者のグループ内の専用の個人に限定される場合がある。
【0055】
前述の第1接触トリガー信号が検出された場合、制御部ステージは、製品と予め定義された仮想ラベルとの間の論理リンクを作成するように構成された論理リンク作成モードを実行するように構成される。このモードでは、電子棚ラベルは仮想ラベルを特定の位置に表示する。小売店の従業員は、仮想ラベルが表示された位置の棚に特定の製品を置く。最後に、従業員は、製品のバーコード又は製品ラベルの映像の捕捉を開始する。この映像は、例えば、棚に設置され、映像データを小売店サーバに配信する小型カメラによって捕捉されてもよい。次に、従業員は、第1接触トリガー信号を作成するように、仮想ラベルの位置にある接触感知ユニットに触れる。第1接触トリガー信号の作成につながる接触シーケンスは、3秒以内に3回の接触であってもよい。第1接触トリガー信号が制御部ステージによって検出され、サーバとの通信が制御部ステージによって開始され、関連する仮想ラベルは、仮想ラベルの位置に配置された製品にリンクされる。ここで、関連する仮想ラベルと関連する製品との間のデジタルリンクは、店のプラングラムに格納される。
【0056】
前述の第2接触トリガー信号が検出された場合、処理ユニットは、映像再生範囲内の仮想ラベルの位置を定義するように構成されている位置定義モードを実行するように構成されている。上述したものと同様に、例えば、接触感知ユニットに沿ったある位置又は一定の範囲内の位置における2秒以内の2つの接触検出の一連の接触を使用して、一連の接触が検出された位置又は前記範囲内の位置に従って仮想ラベルの位置を定義できる。
【0057】
また、この情報をサーバに通信し、小売店のプラングラムに格納してもよい。
【0058】
これに加えて、様々な他の作動モードは、従業員指向情報提示モード内の所定の接触トリガー信号シーケンスの検出によって開始できる。
【0059】
一般に、制御部ステージは、コンピュータマウスの信号と同様に、センサによってピックアップできる信号を再処理するように構成してもよいことに言及すべきである。ここで、短時間内の1回の接触は1回のマウスクリックと解釈され、短時間内の2回の接触は2回のマウスクリックと解釈され、位置の変化を伴う持続的な接触はマウスポインタの動きと解釈される。この単純な機能セットを使用すると、例えば、仮想ラベルの位置決め(1回のマウスクリック)、スクリーンの最初の幅に沿った仮想ラベルの位置の変更(マウスポインタの動き)、最後に仮想ラベルの最終位置の固定(2回のマウスクリック)などの機能を有効な状態にできる。
【0060】
一般に、入力ユニットを備えた電子棚ラベルの実現は、電子棚ラベルの操作を豊かにする複数の機能の提供を可能にする。ここで、制御部ステージが、接触トリガー信号に依存して表示ユニットを制御するように配置されることが特に有利である。実際、これらの特徴の全ては、電子棚ラベル自体以外に他の追加入力装置を必要としない、取り扱いが簡単なユーザインタフェースを可能にする。従って、店舗の棚に関連する全てのタスクを棚で直接実行することができ、タスクと従業員の面倒でエラーが発生しやすいバックオフィスでの調整はもはや必要とされない。
【0061】
様々な装置、制御部又はステージは、アナログエレクトロニクスによって実現可能であり、また、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロ制御部、又は対応する周辺部品と組み合わせたマイクロ処理部などのデジタル電子部品又は組立体を用いて実現すること場合もある。これらのデジタル電子部品又は組立体を用いて、上述した様々な機能を提供するソフトウェアを実行できる。
【0062】
本発明のこれら及び他の観点は、以下に説明する図面から得られる。
【0063】
以下、添付図面を参照し、例示的な実施形態に基づいて本発明を再度説明するが、本発明は本発明の範囲を限定するものではない。異なる図において、同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。これらの構成要素は、次のように概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1Aから図1Cは異なる視点で視覚化された電子棚を表す。
図2図2は、帯状の接触感知ユニットの構造を表す。
図3図3は、帯状の接触感知ユニットの電子スキームを表す。
図4図4は、電子棚ラベルの電子回路のブロック図である。
図5図5は、接触感知ユニットが作動している電子棚ラベルを表す。
図6図6は、接触感知ユニットが作動している電子棚ラベルを表す。
図7図7は、電子棚ラベルシステムを表す。
図8図8は、従業員指向の情報提示モードの自動起動及び停止を表す。
図9図9は、従業員指向の情報提示モードの自動起動及び停止を表す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1Aから図1Cは、以下ESL1と略して称する、電子棚ラベル1を3つの異なる図で視覚化したものである。図1Aから図1Cのそれぞれは、ESL1の異なる側面、特にその筐体36を示している。その筐体壁はデカルト座標系2の平面と位置合わせされている。図1Aは、表示ユニット4を備えた正面壁3を示していて、その表示ユニット4からは、次の省略しているスクリーン5における縁なし映像再生範囲5のみが見える。スクリーン5は、第1幅B1と高さHを示している。座標系2のy軸は描画面を指している。
【0066】
表示ユニット4は、スクリーン5の横に、静止画像又は動画の映像を表示するのに必要な全ての電子機器を備えている。
【0067】
図1Bは、ESL1の左側壁6と、インタフェース8の接続構成7とを示し、接続構成7は、左側壁6の外側から可視である。座標系2のx軸は、図面の表面を指している。
【0068】
接続構成7は、ESL1に電力を供給し、他の装置とデータ又は信号を交換するために、ワイヤベースの複合電源及び信号/データバス9(図7参照)に接続されるように構成されている。特定の小売業者の要件に応じて、接続構成7はESL1の後壁10上に配置してもよい。
【0069】
これにより、ESL1が取り付けられる棚又は棚レールの対応する接続構成との直接接続が容易になる。接続構成7は、2つの部分に構成してもよく、その一部はESL1の左側壁6上に配置され、他の一部はESL1の右側壁11上に配置される。これにより、複数のESL1をデイジーチェーン構成で接続できる一方、後壁10は、棚床34又は棚レールへの機械的取り付けのために自由にアクセス可能である。インタフェース8は、説明した接続構成7の他に、電力を受け取り、データ又は信号を交換するために必要な電子回路全体を備える。ここで、インタフェース8は、ワイヤやケーブルによってESL1の電子回路に電力を供給し、データや信号を無線方式で交換するように構成してもよいことに言及しておく。
【0070】
図1CはESL1の底壁12を示し、その上に帯状の接触感知ユニット13(以下ユニット13と略す)が接着剤によって取り付けられている。正確には、ユニット13の外形を示し、その接触感知範囲14は長さLと第2幅B2を有する。長さLは第1幅B1と等しい。さらに、底壁12には、隙間のような(スリット状又はスロット状)の開口15が設けられていて、ユニット13の接続部16は、開口15を通って(trough,through)ESL1の電子機器と接続されるESL1の筐体内部に供給される。しかしながら、隙間の形の開口は、ESL1の側壁又は後壁10のいずれかに配置されていてもよい。
【0071】
全体の長さLは1メートルの範囲である場合がある。これは、スクリーン5の第1幅B1が類似又は同一の幅である場合がある。第2幅B2は7mm程度である場合がある。ユニット13の全体の幅は約20mmである場合がある。これは、底壁12が約30mmのわずかに大きめの幅を有する場合がある。ユニット13は、例えばわずか0.5mmのように非常に薄い場合がある。
【0072】
図1Cでは)座標系2のz軸は、図面表面の向こうを指す。
【0073】
図2は、図3と関連して、ユニット13の構造及び電子回路のさらなる詳細を示す。具体的には、接続部16は、第1接続ピン17、第2接続ピン18、及び第3接続ピン19を備える。ユニット13は、抵抗ベースのリニアセンサであり、特定の接触位置P(図3参照)の接触感知範囲14内で1ニュートンの最小力で接触された場合に、そのピン18に接触トリガー信号TTSを送出する。接触トリガー信号TTS又はより正確にはその値は、接触位置Pに線形依存性を示し、接触が発生又は発生する接触感知範囲14の長さLに沿った接触位置Pを表す。
【0074】
これは、図3に示した電子スキームに従ったエレクトロニクスによって達成される。ユニット13は、その接触感知範囲14に沿って、ピン17とピン19との間に接続された抵抗Rを備える。ピン17は作動電圧VCCに接続され、ピン19はこの作動電圧VCCの基準電位GNDに接続される。接触感知範囲14の内部は、接触感知範囲14に力が加えられていない場合に抵抗Rから離れた位置に静止するように配置された導電体である。これはピン18に接続されている。接触感知範囲14の一部がある接触位置Pにおいて抵抗Rに押し付けられると、その接触位置Pにおいて基準電位GNDに対して測定された電圧がそこから取り出され、ピン18で利用可能となる。ここで、疑義を避けるために、基準電位GNDはESL1の電子部品の基準電位でもあることを明確にしておく。
【0075】
例えば、作動電圧VCCの値は3ボルトであり、抵抗Rの値は20k(2万)オームである場合がある。これにより、抵抗Rの長さに沿って基準電位GNDに対して測定された電圧の特定の値に至る抵抗を通る電流が決まる。すなわち、基準電位GNDに対する電圧降下は、抵抗Rに沿った接触位置Pに(線形に)比例する。
【0076】
最小力を維持したまま接触位置Pを変化させると、接触位置Pの変化に応じてスタイラス18で測定できる電圧値が変化する。
【0077】
図4は、ユニット13のESL1への統合を、ESL1の電子回路のブロック図の形で示している。
【0078】
ESL1は、上述した構成要素の他に、バスシステム21を介して表示ユニット4及びインタフェース8に接続された制御部ステージ20を備える。ESL1の電気回路基板(図4には示されていない)は、ピン17から19に接続するコネクタ22も備える。作動電圧供給ユニット23は、作動電圧VCCを供給し、ピン17及び19に接続される。作動電圧ユニット23は、ESL1の電子回路全体に電力を供給するために使用されてもよい。外部電源から電力を受け取るようになっていてよい(図7の参照符号38を参照のこと)。
【0079】
図2に示された)ピン18は、制御部ステージ20のアナログデジタル変換入力39に接続されていて、制御部ステージ20は、アナログデジタル変換器を備える。制御部ステージ20は、接触トリガー信号TTSをサンプリングし、感知された電圧の値を計算し、接触トリガー信号TTSの絶対値又は時間変化、あるいは接触トリガー信号TTS内で検出可能な時間シーケンスに依存する特定の機能を提供するように構成されている。この例を次の図5及び図6に示す。
【0080】
これに加えて、ESL1は、Bluetooth5.1仕様に従って通信するために実現されるBluetooth(登録商標)通信ステージを備える。Bluetooth通信ステージはアンテナ配列101内に構成され、アンテナ配列はアナログ電子ブロック102に接続され、アナログ電子ブロックは通信制御部103に接続されている。
【0081】
アナログ電子回路ブロック102は、電力ステージを備える送信器機能、変調/復調及びアンテナ適応などを備える受信器及び送信器電子回路のためのアナログ部分を実現する。また、アンテナ配列101のアンテナを個別に利用して、受信した無線信号の到達角度の検出も可能にする。通信制御部103は、Bluetooth5.1仕様に従って、外部の自由に移動可能なBluetooth(BT)通信装置300と通信するために必要なデジタル処理を提供する(図8及び図9参照)。さらに、移動可能なBT通信装置300によって送信された受信した無線信号の到達角度を決定するために、アンテナから受信した個々の信号を処理するようにプログラムされている。決定された到達角度は、第1データD1によってバスシステム21を介して制御部ステージ20に提供される。さらに、受信した無線信号の信号強度が決定され、第2データD2によってバスシステム21を介して制御部ステージ20に提供される。
【0082】
したがって、通信ステージは、アンテナ配列101によって受信された無線信号を感知し、受信された無線信号を前処理し、この場合、第1データD1及び第2データD2を含む感知データを制御部ステージ20に送達するように適合された無線信号感知前処理ステージ100を実現する。
【0083】
制御部ステージ20は、受信した検知データD1及びD2を解析し、それに基づいて外部無線通信装置300の接近を検出するようにプログラムされている。例えば、制御部ステージ20は、受信したBT無線信号の信号処理が、受信した無線信号が表示ユニット4の表示スクリーンの前の30°から150°(表示ユニット4のスクリーンの左端から右端までを測定)の到達角度範囲によって定義される方向から発信され、無線信号が送出される距離が表示ユニット4のスクリーンの中心から測定して1m未満であることを示す場合に、外部自由移動BT無線通信装置300の接近を検出するようにプログラムされている。接近が制御部ステージ20によって検出される場合、制御部ステージ20は、従業員指向情報提示モードを自動的に起動するようにプログラムされている。この従業員指向情報提示モードでは、店舗の従業員に関連する情報が表示される。このような従業員に関連する情報は、棚の維持に関する指示であってもよい。従業員指向情報提示モードでユーザ入力も必要とされる場合には、制御部ステージ20による接触トリガー信号TTSの処理も含まれる。これは、従業員指向情報提示モードが、ESL1上に直接、視覚出力及び触覚入力を有する完全に機能的なユーザインタフェースを提示できることを意味する。これは、従業員指向情報提示モードの間に実行される仮想ラベル位置付けモードの助けによって説明される。
【0084】
例えば、上述したように移動自在なBT通信装置300を携帯して各ESL1に接近し、接近が自動検出された従業員に対して、スクリーン上の仮想ラベルの位置を確認するように指示すると、ESL1は、各仮想ラベルを強調表示し始め、「位置を確認してください。トマトの値段を表示します!」と書かれた従業員向けの指示を仮想ラベルの近くに提供する。次に、従業員は、仮想ラベルの位置を目視検査できる。仮想ラベルの位置が対応する製品の位置と一致しない場合、従業員は、以下に説明するように、接触有感ユニット13によって仮想ラベルの位置を変更できる。
【0085】
図5は、仮想ラベル位置決めモードの従業員指向情報提示モード時に操作されるESL1とユーザ(ここでは従業員又は被雇用者)(図示せず)との相互作用(インタラクション)を示す。特には、ユーザの手25とユニット13との相互作用を示す。簡単のため、図5及び図6では上記の指示は示されていない。ここで、手25の親指24は、スクリーン5に表示された仮想ラベル26の位置に対応する必要最小限の力でユニット13の接触感知範囲14に接触する。次に、親指24が接触感知範囲14に対して最小力を超える力で連続的に押圧されている間、ユーザの手25は(第1矢印27によって可視化されているように)ESL1に沿って移動する。このインタラクションの間、接触トリガー信号TTSの値の時間的変化が生じ、この変化が制御部ステージ20によって検出され、処理されて、仮想ラベル26の位置が、接触感知範囲14の長さLに沿った親指24の動きに対応してスクリーン5上を移動する(第2矢印28参照)。有利なことに、インタラクションの間に親指24を利用することにより、ユーザの他の指29は、ESL1の上部筐体壁30上で手25を支持できる。
【0086】
図6は、接触感知範囲14との相互作用のさらなる方法を示す。ここでは、ユーザの手25の伸ばした指31のみを使用して、接触感知範囲14に接触し、必要最小限の力で接触トリガー信号TTSを生成する。ここでも、仮想ラベル26の位置は、接触感知範囲14の長さLに沿った指31の移動に応じて変化する。
【0087】
仮想ラベルの位置が対応する製品の位置に適合するとすぐに、従業員はファインダで2回タップを実行する場合があり、この2回タップは最後に設定された位置の確認と解釈される。次に、制御部ステージ20は、接触トリガー信号TTSの処理を終了して、それ以上の入力が不可能となるようにする。制御部ステージ20は、さらなる従業員の行動が必要である場合にその内部メモリを検証し、上述の手順と同様にこれらの従業員の行動を処理する。
【0088】
全ての従業員の行動が完了すると、制御部ステージ20は、例えば、「援助ありがとう。棚xyzへ進んでください」との、従業員指向のメッセージ(massage,message)によってこれを伝達する。その後、従業員が、その接近の検出が行われた範囲を離れるとすぐに、制御部ステージ20は、自動的に従業員指向情報提示モードを終了し、ESL1は、顧客指向情報提示モードにおいて顧客指向情報のみを表示し続ける。
【0089】
何らかの理由で、全ての従業員行動が達成されないか又は達成できず、かつ、従業員がその接近又は存在を検出できる区域を離れたことが検出された場合には、制御部ステージ20は、いずれにしても従業員指向情報提示モードを自動的に終了させ、店舗内の顧客が従業員指向情報によって混乱することがなく、権限のない者のいかなる相互作用も回避できる。
【0090】
この文脈において、接近の検出は、自由に移動可能なBT無線通信装置300に記憶され、ESL1との安全な通信で提供される識別データの助けにより、BT無線通信装置300を携帯している人の識別を伴ってよいことに言及する。制御部ステージ20は、様々な従業員の行動を実行するいくつかの水準や段階(レベル)の許可を区別可能であり、識別された従業員が許可される従業員指向情報提示モードにおいて、それらの従業員の行動のみを利用可能にする。
【0091】
例えば、顧客の商品をピッキングして回収するピッキング回収担当者に対して、指示された数の商品を棚から取り出し、接触有感ユニット13に2回接触方式で触れることによって、作動を止めるだけでよいようにできる。
【0092】
接触感知ユニット13を使用して、製品の位置を変更し、新しい棚位置に仮想ラベルを割り当てるように、管理従業員が要求されるようにしていることがある。また、(サーバの推奨に基づく)価格の修正は、直接ESL1上で可能である。
【0093】
これに加えて、従業員指向情報提示モードにおいても、ポイントツーポイントナビゲーションをESL1によって提供できる。ビッグデータ処理は、典型的には、店舗のサーバ37上で実行されるソフトウェア、又はクラウドベースの店舗管理アプリケーションとして提供されるソフトウェアによって実行されるので、ソフトウェアは、店舗内で保留中の全ての従業員タスクについて知っている。したがって、ESL1は、店舗管理アプリケーションによって割り当てられた従業員タスクを受信可能であり、1つのタスクの完了の確認時に、ESL1は、店舗内の次の保留中の従業員タスクを見つけるためのナビゲーション情報を従業員にさらに提供できる。例えば、従業員指向情報提示モードを終了する前に、表示ユニット4に「生乳が保存されている棚に行ってください。そこでさらに指示を受けます」という情報を表示してもよい。しかし、このような「絶対」情報以外に「相対」情報も可能であり、例えば、「ここに示す矢印の方向に歩いて、右側に点滅が見えるところでさらに指示を受けます」のようにもしてよい。
【0094】
図7は、棚33上に設置された複数のESL1を備えるESLシステム32を示す。ここで、ESL1は、各棚床34の全幅に沿って延在する動画レールを実現する。ESL1は、各異なる棚床34の背景色又は背景静止画像を表示するために使用されるか、又は各棚床34について個別に背景動画を表示するか、又は各帯が異なるESL1上に表示される帯に分割された単一の背景動画を表示するために使用される。背景映像表示の詳細は、図7には示されていない。さらに、各ESL1は、各棚床34上に置かれた製品35の位置に対応して各ESL1の長さに沿って配置された仮想ラベル26を表示する。
【0095】
個々のESL1の位置決めは、一般的記載において説明された詳細に従って、特に図5及び図6に関連して説明された仮想ラベル位置決めモード中に実行された。
【0096】
仮想ラベル26は、ESLシステム32が作動している小売店のプログラムを格納しているサーバ37によって生成される。複数のESL1は、サーバ37への複合電源及び信号/データバス9と、複数のESL1の作動のための電力を供給する電源供給所38とに接続されている。
【0097】
最後に、複数のESL1を、棚床34に沿ってデイジーチェーン構成で、又は複数の水平方向に隣り合う棚床34(図示せず)に設置してもよいことに言及する。
【0098】
次の図8及び図9では、非有効状態から有効状態への切り替えと、非アクティブに戻った従業員指向情報提示モードが可視化されている。
【0099】
図8は、棚33の一番下の棚床34を示す。ここで、制御部ステージ20は、顧客指向情報提示モードで作動し、従って2つの仮想ラベル26を示す。
【0100】
また、制御部ステージ20に特定のしきい値変数がプログラムされているので、自由に移動可能なBT通信装置300の接近を検出できる区域も可視化されている。この区域は、スクリーン5に対して垂直に配向された平面内に延在し、線401から線405によって区切られる表面内に可視化される。線401及び線402のコースは、スクリーン5の中心で測定された開口角a(α、Alpha)が150°であるという基準によって定義される。これは、スクリーン5の平面に関して測定された到達角度が、検出される接近のために15°から165°でなければならないことを意味する。さらにこれに加えて、接近の検出は、線403から405のコースをモデル化するために、スクリーン5の中心から15°及び165°の間の到達角度に依存するスクリーン5の距離が実際の到達角度の関数であることを必要とし、線404はスクリーン5に平行に1メートルの距離で走り、左右の境界の線403及び線405の計算を可能にする。この場合、スクリーン5の幅の半分は約0.5メートルである。
【0101】
図8は、BT通信装置300が位置200から位置202に向かってどのように移動されるかを示す。位置201で線404を通過するとすぐに、制御部ステージ20は従業員指向情報提示モードを起動する。このモードでは、スクリーン5の内容は図9に見られるように変化する。
【0102】
右側の仮想ラベル26に替えて、従業員指向情報500が提示される。ここでは、行われるべきタスクを記述し、矢印501及び矢印502によって左右に区切られる、読みやすい指示の形をしている。有効になっている従業員指向情報提示モードの間、顧客指向情報提示モードは、左側の仮想ラベルが依然として可視であるので、見られるように有効状態のままである。従業員は、位置200に静止した状態でタスクを実行し、その後、位置203の方向に移動する。
【0103】
位置203に到達するとすぐに、制御部ステージ20は、従業員指向情報提示モードを自動的に終了し、ユーザが位置204に移動する間、図8に示すように、スクリーンは両方の仮想ラベルを再び表示する。
【0104】
タスクの終了時に接触感知帯13との相互作用が必要とされる場合にも、そのような相互作用は、従業員指向情報提示モードを自動的に終了可能である。
【0105】
接近の検出が実行される区域に関して、この区域は、場合に応じて、任意の所望の形状の曲線又は表面を備えてよいことに留意されたい。また、隣り合うESL1は、複数のESL1上の特定の従業員に対して従業員指向情報提示モードを同時に有効にするために、例えば棚の通路に沿って重複するように画定された区域を備える場合がある。しかし、通路内で互いに対向するESL1の区域であっても、互いに重複できる。これにより、従業員指向情報提示モードにおいて、通路の両側に対してESL1を同時に作動可能である。また、接近が識別可能な区域の現在の形態及び範囲は、それぞれの従業員とタスクに依存してよい。
【0106】
最後に、上記で詳細に説明した図は例示的な実施形態のみを含んでいて、当業者は本発明の範囲から逸脱することなく様々な方法で修正してよいことに再度留意されたい。完全性のために、不定冠詞「a」又は「an」の使用は、それぞれの特徴が複数回の存在ができないことを意味するわけではないことを述べておく。
本願は例えば次の観点を提供する。
[観点1]
映像を表示するように適合されている表示ユニット(4)を備える電子棚ラベル(1)において、電子棚ラベル(1)が、
前記映像が顧客指向情報を表す、顧客指向情報提示モードで作動することと、
前記映像が従業員指向情報を表す、従業員指向情報提示モードで作動することと
外部で移動自在な無線通信装置(300)の接近を検出することと、
無線通信装置(300)の接近の検出の際に前記従業員指向情報提示モードを自動的に起動することと
に適合されている、電子棚ラベル(1)。
[観点2]
遠隔接近範囲と近接接近範囲とを区別するように適合されていて、
前記遠隔接近範囲内への接近が検出されると従業員指向情報提示モードを準備することと、
前記近接接近範囲内への接近が検出されると従業員指向情報提示モードを有効化することと
に適合されている、観点1に記載の電子棚ラベル(1)。
[観点3]
無線通信装置(300)の無線信号を感知し、そして個々の感知データ(D1、D2)を伝達するように適合されている、無線信号感知及び前処理ステージ(100)と、
無線信号感知及び前処理ステージ(100)に接続されていて、受信した感知データに基づいて無線通信装置(300)の接近を検出するように適合されている、制御部ステージ(20)と、
を備える、観点1又は2に記載の電子棚ラベル(1)。
[観点4]
無線信号感知及び前処理ステージ(100)が、受信した無線信号n信号強度を決定し、受信した無線信号の信号強度を表す感知データ(D1、D2)を生成するように適合されていて、
制御部ステージ(20)は、無線通信装置(300)の接近を検出するため時間にわたる信号強度を評価するように適合されている、
観点3に記載の電子棚ラベル(1)。
[観点5]
無線信号検出及び前処理ステージ(100)が、受信した無線信号の、到達角度と出発角度との少なくとも一方を決定し、受信した無線信号の到達角度又は出発角度を表す感知データ(D1、D2)を生成するように適合されていて、
制御部ステージ(20)は、無線通信装置(300)の接近を検出するため時間にわたって、到達角度又は出発角度を評価するように適合されている、
観点3又は4に記載の電子棚ラベル(1)。
[観点6]
電子棚ラベル(1)が、Bluetooth(登録商標)認証、特にBluetooth5.1又はそれ以上の仕様に従って無線信号を処理するように適合されている、観点1から5のいずれか一つに記載の電子棚ラベル(1)。
[観点7]
感知データ(D1、D2)がしきい値を超える水準を表す場合は、制御部ステージ(2)は、従業員指向情報提示モードを有効にするように適合されている、観点3から6のいずれか一つに記載の電子棚ラベル(1)。
[観点8]
感知データ(D1、D2)がしきい値の範囲以内の水準を表しているかぎり制御部ステージ(20)は、従業員指向情報提示モードを維持するように適合されている、観点7に記載の電子棚ラベル(1)。
[観点9]
特に、最新の従業員指向情報が電子棚ラベル(1)内で利用可能となっている場合にかぎって、制御部ステージ(20)が、従業員指向情報提示モードを有効にするように適合されている、
観点3から8のいずれか一つに記載の電子棚ラベル(1)。
[観点10]
受信した無線信号が認証データを運び、制御部ステージ(20)が、従業員指向情報提示モード内で表示されることになっている従業員指向情報のセット用に、受信した認証データに基づいて個人を認証するように適合されている、観点3から9のいずれか一つに記載の電子棚ラベル(1)。
[観点11]
観点1から10のいずれか一つに記載の複数の電子棚ラベル(1)と、複数の移動自在な無線通信装置(300)とを備える、電子棚ラベルシステム(32)。
[観点12]
電子棚ラベル(1)及び無線通信装置(300)は、Bluetooth(登録商標)仕様、特にBluetooth5.1又はそれ以上の仕様に従って通信するように適合されている、観点11に記載の電子棚ラベルシステム(32)。
[観点13]
電子棚ラベル(1)を操作する方法において、
電子棚ラベル(1)の表示ユニット(4)が映像を表示することにおいて、
顧客指向情報提示モードにおいて、映像は顧客指向情報を表し、
従業員指向情報提示モードにおいて、映像は従業員指向情報を表し、
外部の移動自在な無線通信装置(300)の電子棚ラベル(1)に対する接近が、無線通信装置(300)によって送信された無線信号の、受信した無線信号に基づいて電子棚ラベル(1)によって、検出され、
無線通信装置(300)の接近の検出の際に、電子棚ラベル(1)が、従業員指向情報提示モードを自動的に有効化する、
電子棚ラベル(1)を操作する方法。
[観点14]
電子棚ラベル(1)への接近検出の利用において、
外部の移動自在な無線通信装置(300)の接近が、電子棚ラベル(1)によって、無線通信装置(300)から送信された無線信号に基づいて検出され、
接近の検出が、電子棚ラベル(1)の従業員指向情報提示モードの自動起動に利用されることにおいて、
従業員指向情報提示モードにおいて、表示ユニット(4)は、表示ユニット(4)が顧客指向情報を表す映像を表示する電子棚ラベル(1)の顧客指向情報提示モードとは区別される従業員指向情報を表す映像を表示する、
電子棚ラベル(1)への接近検出の利用。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9