(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】基板を加熱する装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/02 Z
(21)【出願番号】P 2022531497
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019083342
(87)【国際公開番号】W WO2021110238
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ブルクグラーフ
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/001626(WO,A1)
【文献】特開2006-222124(JP,A)
【文献】特開2006-344678(JP,A)
【文献】特開2009-218536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(6)を加熱する装置(1,1’,1’’,1’’’)であって、
前記装置(1,1’,1’’,1’’’)は、
平面状の基板ホルダ表面(5o)を備える
平板状の基板ホルダ(5)
であって、加熱されるべき前記基板(6)は前記基板ホルダ表面(5o)上に載置可能であ
る、基板ホルダ(5)と、
台座(2)と、
前記基板ホルダ(5)を加熱するための加熱装置(3)と、
前記加熱装置(3)に力を加える手段(7,8,9,11)と、
前記手段(7,8,9,11)を制御する制御ユニットと、
を有し、
前記加熱装置(3)は前記手段(7,8,9)によって変形可能であ
り、
前記基板ホルダ(5)は、前記台座(2)の台座表面(2o)に配置されており、前記加熱装置(3)は、前記台座(2)内に配置されている、
ことを特徴とする装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項2】
前記手段(7,8,9,11)による前記加熱装置(3)
の変形によって、前記基板(6)の実際温度分布が目標温度分布に適合され得る、請求項1記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項3】
前記手段(7,8,9,11)による前記加熱装置(3)
の変形によって、外部からの力によって引き起こされる前記加熱装置(3)の変形が相殺され得る、請求項1から2までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項4】
前記装置(1,1’,1’’,1’’’)は、前記加熱装置(3)と結合されている少なくとも1つの変形要素(8)を有しており、前記少なくとも1つの変形要素(8)は、少なくとも1つのアクチュエータと結合されており、これによって前記加熱装置(3)が所期のように変形可能である、請求項1から3までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項5】
前記加熱装置(3)は、
前記基板ホルダ(5)の、前記基板ホルダ表面(5o)の
反対側に配置されている、請求項1から4までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項6】
前記加熱装置(3)は、前記基板ホルダ表面(5o)とは無関係に変形可能である、請求項1から5までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項7】
前記加熱装置(3)は、面状に形成された加熱要素(4)、または面状に配置された複数の加熱要素(4)を有している、請求項1から
6までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項8】
前記装置(1,1’,1’’,1’’’)は少なくとも1つの固定要素(7)を有しており、
前記少なくとも1つの固定要素(7)は前記加熱装置(3)と結合されており、前記加熱装置(3)の少なくとも1つの点を固定する、請求項1から
7までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項9】
前記装置(1,1’,1’’,1’’’)は、前記加熱装置(3)と結合されていない少なくとも1つの支持要素(9)を有しており、
前記少なくとも1つの支持要素(9)は前記加熱装置(3)へ圧力のみを印加することができる、かつ/または前記加熱装置(3)の変形のみを制限することができる、請求項1から
8までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項10】
前記装置(1,1’,1’’,1’’’)は、前記加熱装置(3)と結合されていない少なくとも1つの制限要素(11)を有しており、
前記少なくとも1つの制限要素(11)は前記加熱装置(3)の変形を制限することができる、かつ/または前記制限要素(11)の形状によって前記変形を設定することができる、請求項1から
9までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項11】
前記加熱装置(3)と、他のコンポーネントとの間
、かつ/または前記加熱装置(3)と前記基板ホルダ(5)との間で、流体フロー(10)が流れることが可能であ
る、請求項1から
10までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項12】
前記装置(1,1’,1’’,1’’’)はさらに:
プレートを有しており、
前記プレートは前記加熱装置(3)と前記基板ホルダ(5)との間に配置されている、請求項1から
11までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)。
【請求項13】
請求項1から
12までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)によって、基板(6)を加熱する方
法であって、
前記基板ホルダ(5)
が前記基板ホルダ表面(5o)上に前記基板(6)を保持し、
前記加熱装置(3)が前記基板ホルダ(5)を加熱することにより前記基板(6)を加熱し、
手段(7,8,9,11)が前記加熱装置(3)に力を加え
て変形させるように、制御ユニットが前記手段(7,8,9,11)を制御する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
基板ホルダ(5)の基板ホルダ表面(5o)上に前記基板(6)を位置決めするおよび/または固定するステップ
と、
前記基
板上の実際温度分布を求めるステップ
と、
目標温度分布と比較した前記実際温度分布の分析に基づいて、
前記基板(6)の前記実際温度分布を所期のように所定の前記目標温度分布に適合させるように、前記手段(7,8,9,11)を前記制御ユニットによって制御して、前記手段(7,8,9,11)によって前記加熱装置(3)を変形させるステップ
と、
を有している、請求項
13記載の方法。
【請求項15】
基板ホルダ(5)の基板ホルダ表面(5o)上に前記基板(6)を位置決めするおよび/または固定するステップ
と、
前記加熱装置(3
)の、外部からの力によって引き起こされた変形を求めるステップ
と、
前記加熱装置(3)の、前記外部からの力によって引き起こされた変形の分析に基づいて、
当該変形を相殺するように、前記手段(7,8,9,11)を前記制御ユニットによって制御して、前記手段(7,8,9,11)によって前記加熱装置(3)を変形させるステップ
と、
を有している、請求項
13または
14記載の方法。
【請求項16】
基板(6)を加工および/または接合する装置であって、
前記装置は、請求項1から
12までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)を含んでいる、
装置。
【請求項17】
請求項1から
12までの
いずれか1項記載の装置(1,1’,1’’,1’’’)によって、基板(6)を加工および/または接合する方法であって、
前記基板を、請求項
13から15の
いずれか1項記載の方法によって加熱する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を加熱および加工する装置および方法に関する。
【0002】
半導体産業では、基板および基板積層体を比較的高速かつ効率的に加熱することを可能にすることが可能な加熱装置が必要とされる。このような加熱装置は、種々の技術分野において必要とされる。たとえば、その上にエンボス材料が被着されている基板を加熱するため、特にエンボス材料を硬化させるための、インプリントリソグラフィでの使用が考えられるだろう。考えられる別の用途は、ボンディング装置における加熱装置の使用である。2つの基板を互いに一時的にまたは持続的に結合するためにボンディング装置が使用される。加熱装置を介してもたらされた熱は、金属拡散接合のために必要なエネルギを発生させるために使用され得る。接着剤の粘度を低下させるために熱を使用することも考えられる。加熱装置のさらなる使用可能性は、一時的に接合された基板を再び互いに分離する目的でのデボンディング装置での使用であろう。
【0003】
本明細書の以後の箇所では、単語「基板」を、基板積層体もしくは少なくとも2つの上下に重なり合う基板に対する同義語としても使用する。本発明に係る装置は、好適には接合機、特に熱圧縮接合機である。このような装置では、基板積層体もしくは必ずしも予め固定されているわけではない少なくとも2つの上下に重なり合う基板が、互いに接合される。しかし、明細書および図面は、簡易化のために、このような装置の下方の部分しか示していないので、このような簡略化された説明が選択される。
【0004】
従来技術では、種々のタイプの基板ホルダが存在し、それらのタスクは、異なるサイズおよび形状の基板を固定することである。これらの基板ホルダは、組み込まれた加熱装置を有していてよい。加熱装置は、基板ホルダ、ひいては、基板ホルダ上に固定されている基板も加熱するというタスクを有している。多くの場合、加熱装置は、直接に、交換可能な基板ホルダ内に存在しているのではなく、基板ホルダ用の収容部内に存在している。この場合、加熱装置は、対応する装置の一部であるのに対し、基板ホルダは交換可能である。
【0005】
従来技術に記載された基板ホルダの問題は、加熱装置が、固定された基板もしくは基板積層体内に、最適な均一な温度分布を生じさせることができない、ということである。加熱装置によって生じる熱は、基板を加熱するまで、常に加熱装置の一部および基板ホルダを通って流れなければならない。この区間に沿って、種々の方向において、異なる熱流が異なる速度で主要熱流を放出し得る。最終的には、結果として、一般に、基板もしくは基板積層体における、不均一または少なくとも極めて不良な準均一な温度分布が生じる。むしろ、基板もしくは基板積層体自体が熱異方性を有し、到来する熱を異なる方向において、異なる強さおよび速さで導出することが起こり得る。これも、不所望な作用を生じさせ得る。
【0006】
別の問題は、大抵の場合、多くの装置における加熱装置が曝される圧力印加が極めて大きいということである。特にボンディング装置においては、極めて大きな力もしくは圧力が基板に作用し、ひいては基板ホルダにも、その上に基板ホルダが固定される台座にも作用する。この機械的な負荷は、この場合、台座内の加熱装置にも作用する。これらの外部からの力もしくは圧力は、加熱装置の不所望な変形をもたらし、加熱特性に悪影響を及ぼし得る。
【0007】
極めて稀に、プロセスチャンバ全体が加熱される。大抵の場合、基板ホルダは、加熱装置、特に面状加熱装置を用いて直接加熱される。これらの加熱装置は、極めてコンパクトであるが、比較的重いコンポーネントである。加熱のためには比較的多い電流量が必要なので、加熱装置は大抵、厚いコイルから成っている。当然、特に対称的に分配されている複数の加熱要素から成る加熱装置も可能であり、これらの加熱要素は、特に個別に駆動制御可能である。このような装置を示す刊行物は、WO2012083978Aである。欠点は、このような駆動制御が、相応に複雑な制御システムも必要とすることである。
【0008】
したがって本発明の課題は、従来技術において挙げられた欠点を少なくとも部分的に取り除く、特に完全に取り除く装置および方法を提供することである。特に、表面、特に基板表面で所望の温度分布を生じさせることができる装置および方法を示す。温度分布は、好適には均一であるが、基本的に任意の種類のものであってよい。さらに、加熱装置の不所望な変形を補償もしくは相殺することができる装置および方法を示す。
【0009】
上述の課題は、請求項1記載および請求項14記載の特徴部分に記載されている構成によって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。明細書、特許請求の範囲および/または図面に挙げられた特徴のうちの少なくとも2つの特徴のすべての組み合わせも、本発明の範囲内にある。値の範囲が示されている場合には、挙げられた境界値内の値も境界値として開示されているとみなされ、任意の組み合わせで請求可能であるべきである。
【0010】
本明細書の以後の箇所では、基板および基板積層体は同義に使用される。基板は特に、基板ホルダ上での加工のために好適には相並んで配置されている複数の基板から成っていてもよい。
【0011】
したがって、本発明は、加熱装置と、基板ホルダ表面を備える基板ホルダとを有している、基板を加熱するための装置に関する。ここで、加熱されるべき基板は基板ホルダ表面上に載置可能であり、さらに、この装置は、加熱装置に力を加えるための手段を有しており、さらに、この装置は、この手段を制御する制御ユニットを有しており、ここで加熱装置はこの手段によって変形可能である。
【0012】
さらに、本発明は、好適には上述の装置によって、基板を加熱するための方法、特に基板における所定の目標温度分布を生成するための方法および/または、外部からの力によって引き起こされる加熱装置の変形を相殺するための方法に関する。ここで加熱装置は基板を加熱し、基板ホルダは基板ホルダ表面上に基板を保持し、手段は加熱装置に力を加え、この手段は、制御ユニットによって制御され、かつ加熱装置はこの手段によって変形させられる。
【0013】
さらに本発明は、基板を加工および/または接合するための装置に関しており、ここでこの装置は、上述の、加熱するための装置を含んでいる。
【0014】
さらに本発明は、基板を加工および/または接合するための方法に関し、ここで基板は、上述の、加熱するための方法によって加熱される。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態では、手段による加熱装置の変形(加熱装置の個々の面区間の形状の変化ならびに/または加熱装置の個々の面区間の局所的なポジションおよび大域的なポジションの変化)によって、基板の実際温度分布が目標温度分布に適合され得る/適合されることが設定されている。これによって、基板の所望の温度分布の調整が、有利には加熱装置の機械的な変形によって可能になる。特に、加熱装置の個々の加熱要素の煩雑で複雑な駆動制御を省くことができる。
【0016】
本発明の別の好ましい実施の形態では、手段による加熱装置の変形によって、外部からの力によって引き起こされる加熱装置の変形が相殺され得ることが設定されている。これによって、加熱装置の不所望な変形が補償可能である。ここで、手段が加熱装置に及ぼす力は、この外部からの力ではない。特に、加熱装置の不所望な変形とは、接合プロセスの結果として生じる変形を意味する。ここでは、基板への圧力印加の前、間または後に、外部からの力によって引き起こされる、この不所望な変形を相殺することもできる。基板に圧力が加わると、加熱装置の不所望な変形が生じ得る。手段による加熱装置の所期の変形によって、このような不所望な変形を相殺もしくは補償することができ、少なくとも減らすことができる。このようにして、有利には、加熱装置の不所望な変形に対抗することができる。たとえば、加熱装置、特に複数の加熱装置表面のうちの1つの加熱表面の個別の面区間が、台座において所望のポジションを取るように、かつ/または基板の加熱のために所望のポジションを取るように加熱装置が変形され得る。特に有利には、加熱装置の形状の能動的な変更が可能であることによって、加圧機器によって引き起こされる、加熱装置の不所望な変形を補償するもしくは取り消すことができる。圧力印加による加熱装置の不所望な変形の補償は、この場合において特に同様に、より均一な温度分布をもたらす。
【0017】
本発明の別の有利な実施の形態では、加熱装置が、加熱装置と結合されている少なくとも1つの変形要素によって所期のように変形可能である/変形させられることが設定されており、ここで少なくとも1つの変形要素は、少なくとも1つのアクチュエータと結合されている。この場合に変形要素は、加熱装置を変形させるための複数の手段のうちの1つの手段である。変形要素によって、加熱装置、特に加熱装置表面は、局所的に変形可能であり、特に所期の、所望の変形が、特に圧縮力、引張力および/または旋回モーメントによって可能である。変形要素による所期の変形の別の有利な態様は特に、変形要素によって、たとえば基板への圧力印加によって引き起こされる、加熱装置の不所望な変形を相殺することができることにある。ここで、不所望な変形とは、外部からの力によって引き起こされる変形である。さらに、変形要素による所期の変形によって、加熱特性を有利に適合させることができる。
【0018】
本発明の別の有利な実施の形態では、加熱装置が、基板ホルダ表面の、基板とは反対の側に配置されていることが設定されている。このような配置によって、加熱装置は、所期のように、かつ特に基板ホルダとは無関係に変形され得る。
【0019】
本発明の別の有利な実施の形態では、加熱装置が、基板ホルダ表面とは無関係に変形可能である/変形させられることが設定されている。これによって、基板ホルダ表面および/または基板が変形させられることなく、加熱装置の変形によって所望の温度分布を得ることができる。加熱装置の不所望な変形の補償が、有利には、別のコンポーネントとは無関係に行われてもよい。
【0020】
本発明の、特に好ましい別の実施の形態では、装置が台座を有していることが設定されており、ここで基板ホルダは、台座の台座表面に配置されており、加熱装置は、台座内に配置されている。これによって、たとえば基板ホルダに基板を装填し、続いて基板ホルダを台座上に載置および/または固定することができる。別の利点は、このような配置では、加熱装置の変形に必要な変形要素および特にアクチュエータを台座内に配置することが可能であることにあり、この場合、これによって構造的な利点が得られる。
【0021】
本発明の別の実施の形態では、加熱装置が、面状に形成された加熱要素、または特に面状に配置された複数の加熱要素を有していることが設定されている。この場合、加熱装置の面状の形状は、加熱装置の容易な変形を可能にし、ここでは特に、この変形要素によって加熱装置にあまり強い力は加えられない。さらに、加熱装置の面状の形状の場合の弾性変形領域は、たとえば立方体の形状の場合よりも大きい。したがって、手段による加熱装置の所期の変形は、比較的少ないエネルギ消費で実現可能であり、特により正確に調整可能である。
【0022】
本発明の別の実施の形態では、加熱装置の少なくとも1つの点が、少なくとも1つの固定要素によって固定される/固定されており、ここでこの固定要素は加熱装置と結合されている。固定要素も、加熱装置を変形させるための手段である。これによって、加熱装置の少なくとも1つの点が変形されず、基板に対して同じ距離を維持することができる。さらに、固定要素による加熱装置の有利な変形シナリオが得られる。ここでは、たとえば、固定要素は加熱装置の中心に配置されており、特に別の変形要素が、加熱装置のさらに外側に配置されている領域に力を加える。
【0023】
本発明の別の実施の形態では、加熱装置の変形が、加熱装置と結合されていない少なくとも1つの支持要素によって制限可能である/制限されることが設定されており、ここでは、少なくとも1つの支持要素は加熱装置へ圧力のみを印加する。支持要素も、加熱装置を変形させるための手段である。この場合、特に撓むように設計された支持要素が、加熱装置の不所望の、特に可塑性の変形を阻止することができる。さらに、加熱装置の別の変形シナリオが、支持要素の配置によって可能になる。
【0024】
本発明の別の実施の形態では、加熱装置の変形が、加熱装置と結合されていない少なくとも1つの制限要素によって制限される/制限可能である、かつ/または加熱装置の変形が、少なくとも1つの制限要素の形状によって設定される/設定可能であることが設定されている。制限要素も、加熱装置を変形させるための手段である。制限要素は、好適には、加熱装置の所期の変形を実現するために、複数の別の要素(手段)のうちの少なくとも1つの別の要素(手段)と組み合わせて使用される。したがって、簡単な構造的な解決手段によって、加熱装置の不所望な可塑性の変形を阻止することができる。付加的に、たとえば球状の制限要素のような、簡単な構造的な解決手段によって、加熱装置の変形のための形状を設定することができ、ここでは特に変形要素は、加熱装置を、たとえば制限要素に向かって押圧するかつ/または制限要素から引っ張る。
【0025】
本発明の別の有利な実施の形態では、加熱装置と、他のコンポーネントとの間、特に加熱装置と台座との間、かつ/または加熱装置と基板ホルダとの間で、流体フローが流れ得るかつ/または流されることが設定されている。これによって特に加熱装置と他のコンポーネントとの間の熱伝達が最適化される。この流体フローによって、コンポーネント、特に基板ホルダのより均一な加熱が可能になる。流体の熱伝導率は、0W/(m*K)を超え、好適には0.01W/(m*K)を超え、さらに好ましくは0.1W/(m*K)を超え、最も好ましくは1W/(m*K)を超える。ヘリウムの熱伝導率は約0.15W/(m*K)~0.16W/(m*K)の間にある。
【0026】
本発明の別の有利な実施の形態では、加熱装置上、特に加熱装置表面上にプレートが配置されていることが設定されている。このプレートは、加熱装置の上方に存在し、特に温度均質化に好ましい影響を及ぼす。プレートは、好適には、次の材料のうちの1つの材料から成る:
・金属、特に
銅
銅-モリブデン合金
・合金、特に
鋼
・炭素、特に
グラファイト
【0027】
本発明の別の有利な実施の形態では、基板の加熱が、次のステップで、特に次の経過で行われることが設定されている:
(i)基板ホルダの基板ホルダ表面上に基板を位置決めするおよび/または固定するステップ
(ii)基板、特に基板表面上の実際温度分布を求めるステップ
(iii)目標温度分布と比較した実際温度分布の分析に基づいて、手段によって加熱装置を変形させるステップであって、ここで、この手段は、制御ユニットによって制御されるので、加熱装置の変形によって、基板の実際温度分布が、所期のように、所定の目標温度分布に適合する、ステップ
【0028】
ここで、基板は、基板ホルダの基板ホルダ表面上に位置決め可能である、かつ/または固定可能である。ここで、さらに、基板の、特に基板表面上の実際温度分布を求めることが可能である。さらに、目標温度分布と比較した温度分布の分析に基づいて、加熱装置が変形可能であるので、加熱装置の形状を変えることによって、基板の実際温度分布を、所期のように、所定の目標温度分布に適合させることができる。これによって、たとえば、基板の加熱を複数の、特により効率的なステップにおいて加熱することができるという利点が生じる。付加的に、より目標に合わせられた、特に有利には均一な、基板の加熱が行われる。
【0029】
本発明の別の有利な実施の形態では、基板の加熱が、次のステップで、特に次の経過で行われることが設定されている:
i)基板ホルダの基板ホルダ表面上に基板を位置決めするおよび/または固定するステップ
ii)加熱装置、特に加熱装置表面の不所望な変形を求めるステップ
iii)加熱装置の、外部からの力によって引き起こされた変形の分析に基づいて、手段によって加熱装置を変形させるステップであって、ここで、この手段は、制御ユニットによって制御されるので、加熱装置の変形によって、加熱装置の、外部からの力によって引き起こされた変形が相殺される、ステップ
【0030】
ここでは特に、特に基板の接合プロセスの結果として生じた、外部からの力によって引き起こされた加熱装置の不所望な変形が、センサまたはその他の手段によって求められる。センサまたはその他の手段は、好適には、要素内にまたは要素に配置されている。不所望な変形を、視覚的な手段によっても求めることができる。好適には、加熱装置の実際に生じた変形が測定される。この場合、不所望な変形は、接合前、接合中または接合後に測定されてよい。接合前に、経験値または計算された値に基づいて、手段によって加熱装置の所期の変形を行うことも可能である。加熱装置の変形は、好適には、不所望な変形を阻止し、その結果、加熱装置もしくは加熱装置表面は、所望のポジションを取る。この場合、加熱装置の局所的な部分のみを変形させることも可能である。不所望な変形のこのような補償によって、基板の温度分布にも有利に影響が与えられる。この場合、加熱装置の、求められた不所望な変形を元来の接合プロセスの際に要素(変形要素、固定要素、支持要素および/または制限要素)によって補償することができるので、加熱装置は、特に加熱装置の所望の形状に対する変形を有してしない、または少なくともわずかな変形を有する。このような場合には、これらの要素は、主に、不所望な変形およびこれに伴うすべての欠点の相殺もしくは補償のために使用される。
【0031】
本発明の有利な態様は特に、特にアクチュエータによって駆動される変形要素によって、加熱装置の表面の形状および/またはポジションに、ひいては放射特性および熱伝導特性に影響を及ぼすことができることにある。したがって、放射特性の所期の調整によって、温度分布を調整することができる。特に、この場合、加熱装置内の、所期のように駆動制御される複数の個別化された加熱要素の使用を省くことができる。加熱装置は、好ましくは、特に全面を覆う、または加熱装置を貫通する加熱要素、特に通常の加熱コイルを1つのみ必要とする。しかし、加熱装置が、面状に配置されている複数の加熱要素から成っていることも可能である。
【0032】
さらに、本発明の有利な態様は、加熱装置の不所望な変形が手段によって相殺され得る、もしくは補償され得ることである。
【0033】
装置
本発明では特に、特にアクチュエータによって動かされる変形要素を加熱装置の少なくとも1つの側に位置決めし、これによって加熱装置、ひいては加熱表面も変形させることが設定されている。この場合、加熱装置は、特に基板ホルダの一部であってよい。好適には、加熱装置は、その上に基板ホルダが固定されて支持され得る台座内に組み込まれる。加熱装置表面の変更によって、加熱装置の放射特性および熱伝導特性、ひいては温度分布の適合化が行われる。
【0034】
ここでは、加熱装置または付加的な加熱装置が基板の上方に配置されていることが設定されていてもよい。基板の上方に配置されている加熱装置の加熱表面は、特に、加熱装置表面を変えることによって、加熱装置の放射特性および熱伝導特性、ひいては温度分布も適合させることができる。択一的な配置では、基板ホルダは基板を、下向きの基板ホルダ表面に、特に吸着または磁力によって固定する。このような択一的な配置では、加熱装置は、相応に基板ホルダの上方に配置されていてよい。
【0035】
加熱装置表面の放射特性に関する重要な物理的な側面は、その粗さである。用語「粗さ」を、まずは全般的に定義し、その後に、加熱装置表面の粗さに関する値の範囲を示す。
【0036】
以降では、平坦性が、平坦な面、特に表面の完全性の尺度として使用される。平坦な表面からの偏差は、うねりおよび粗さによって生じる。表面のうねりは、表面の、ある程度の周期的な、特にミリメートル領域、稀にマイクロメートル領域の隆起および陥入によって表される。これに対して粗さは、マイクロメートル領域もしくはナノメートル領域の非周期的な現象である。こうした表面特性の厳密な定義は、表面物理学、トライボロジ、機械構造学または材料学のあらゆる技術者にとって公知である。理想的な表面からの種々の偏差を処理するために、本特許文献の以降の箇所では、用語「粗さ」を、こうした作用のすべてを重畳させたものと同義に用いる。粗さは、平均粗さ、二乗平均平方根粗さまたは平均粗さ深さとして表される。平均粗さ、二乗平均平方根粗さ、および平均粗さ深さの求められた値は、一般に、同一の測定区間もしくは測定面に対して異なっているが、同じ桁数範囲にある。したがって、粗さに対する以降の数値範囲は、平均粗さ、二乗平均平方根粗さまたは平均粗さ深さのいずれの値とも理解される。
【0037】
加熱装置表面の粗さは、特に100μm未満、好適には10μm未満、より好ましくは1μm未満、最も好ましくは100nm未満、特に最も好ましくは10nm未満である。
【0038】
加熱装置は、特に25℃よりも高く、好適には50℃よりも高く、さらに好ましくは200℃よりも高く、最も好ましくは400℃よりも高く、特に最も好ましくは600℃よりも高い温度に加熱され得る。
【0039】
弾性は弾性率によって表される。ここで加熱装置の弾性率は、1GPa~1000GPa、好ましくは10GPa~1000GPa、より好ましくは25GPa~1000GPa、極めて好ましくは50GPa~1000GPa、最も好ましくは100GPa~1000GPaの間にある。いくつかの種類の鋼の弾性率は、たとえば200GPa付近にある。加熱装置の弾性率が低いほど、所定の負荷がかかったときに、その(弾性的な)変形が大きくなる。したがって、好ましくは、比較的容易に弾性的に変形可能であり、それゆえむしろ低い弾性率を有している加熱装置が使用される。
【0040】
硬さに対しては、種々の技術的な特性量が存在している。正しい硬さ測定方法は、多くの影響因子に関連している。極めて重要な因子は、検査されるべき材料ならびに試験体である。金属およびセラミック、すなわち相応に高い剛性および/または相応する可塑性を有する固体物が、主に試験されるが、ロックウェル、ブリネルおよびビッカースによる硬さ測定方法によってのみ試験されるわけではない。個々の硬さ測定値の換算が、条件付きで可能である。相応する表および式が存在しており、当業者に公知である。しかし、常に正確な換算が可能なのではない、もしくは換算が不正確であるということに留意されるべきである。以降の硬さ測定値は、ビッカースによる硬さに関連する。
【0041】
加熱装置表面のビッカース硬さは、100より大きく、好適には500より大きく、さらに好ましくは1000より大きく、最も好ましくは5000より大きく、特に最も好ましくは10000より大きい。非合金鋼は、約150HVのビッカース硬さを有する。マルテンサイトは、約1000HVのビッカース硬さを有する。好適には、加熱装置表面の硬さは、特に加熱装置表面での可塑性の変形を阻止するために、できる限り大きい。
【0042】
加熱装置は、好ましくは、次の材料のうちの少なくとも1つの材料から成る:
・金属、特に
Cu、Ag、Au、Al、Fe、Ni、Co、Pt、W、Cr、Pb、Ti、Ta、Zn、Sn
・セラミック、特に
高性能セラミック
・合金、特に
鋼
【0043】
好ましい実施の形態では、加熱装置は、基板ホルダ用の収容部、特に好ましくは台座内に存在する。したがって、加熱装置は、特に基板ホルダから分離されている。
【0044】
別の実施の形態では、加熱装置は、基板ホルダ内に存在しており、すなわち台座内に存在していない。
【0045】
本明細書の以後の箇所では、加熱装置を変形させるための種々の実施の形態を説明する。加熱装置は、特にミリメートル領域もしくはセンチメートル領域における厚さを有するコンポーネントである。
【0046】
すべての装置は、一般的に4種類の要素を有することができ、(i)固定要素、(ii)変形要素、(iii)支持要素および(iv)制限要素を有することができる。ここで、固定要素、変形要素および支持要素は、加熱装置を変形させるために設けられている。これらは、この点において、加熱装置を変形させるための上述した手段である。
【0047】
これらの要素は、好適にはセンサを有しており、これらのセンサによって、力もしくは圧力を測定することができる。ここでセンサは、要素内にまたは要素に配置されていてよい。センサは、加熱装置もしくは加熱面の変形、特に不所望な変形を測定することができる。これは特に、所望の補償作用が得られるか、もしくは得られたかを確認するために、圧力印加による加熱装置の不所望な変形を補償するための要素の使用にとって重要である。またこのようにして、センサによる加熱装置の所望の形状変化を検証すること、もしくは確認することができる。
【0048】
固定要素は、加熱装置を係止する、すなわち、少なくとも1つの点を固定する主要タスクを有している。固定要素は好適には中央に位置決めされており、加熱装置と結合されている。特に、好ましくは、固定要素は1つしか存在していない。固定要素は、好適にはアクチュエータと結合されていないが、加熱装置の固定されるべき1つまたは複数の部分を相応に位置決めし、所望の様式で固定するために、アクチュエータと結合されていてもよい。
【0049】
変形要素は特に、力を加えるために用いられる。変形要素は、特に、極めて高い能力を有するアクチュエータと結合されており、好適には、加熱装置の周辺に固定されている。変形要素は加熱装置と結合されているので、加熱装置に、引張力および圧力を加えることができる。変形要素が、旋回モーメント、特にねじりモーメントを加熱装置内に導入して、加熱装置を変形させることも可能である。このような変形要素、特に相応のアクチュエータと結合されているトーションロッドは、好ましくは同様に加熱装置の周辺に配置されている。
【0050】
支持要素は、好適には、中心にある固定要素と、加熱装置の周辺にある変形要素との間に位置している。支持要素は、好ましくは加熱装置の支持に用いられ、特に撓むことができるように設計されている。しかし、支持要素が、力を局所的に導入するために、アクチュエータと結合されていることも可能である。支持要素は、特に、加熱装置の許容される最大の変形を定めることができる。支持要素は、加熱装置と結合されておらず、したがって、加熱装置に圧力を加えることができるにすぎない。
【0051】
制限要素は、好適には中央に位置合わせられたリング、特に複数のトーラス(注:ToriはTorusの複数形)および/または球である。特に制限要素は、加熱装置の、達成可能な最大の、特に技術的に有意な曲率半径を定めることができる。制限要素は、特に加熱装置と結合されておらず、好適には、アクチュエータとも結合されていない。この点では、制限要素も、変形のための手段とみなされ得る。これは、特に、上で挙げられた他の要素との組み合わせで作用する。
【0052】
固定要素、変形要素および支持要素は、好適には棒状に形成されている。極めて多くのアクチュエータ、特にリニアアクチュエータは、既に棒状のピストンを有している。これらのピストンは、この実施の形態の意味では既に、固定要素として、変形要素として、または支持要素として解釈され得る。しかし、アクチュエータのピストンが複数の要素と結合されることも可能である。固定要素および変形要素は、特に付加的に加熱装置と結合されている。
【0053】
アクチュエータは、機械式かつ/または電気式かつ/または空気圧式かつ/または液圧式のアクチュエータであってよい。特に、アクチュエータおよび/または要素(手段)に、加熱装置の不所望な変形を特定することができるセンサが設けられていてよい。さらに、アクチュエータおよび/または要素(手段)が、加熱装置に作用する外部からの力を決定することができることが考えられる。この場合、この力に基づいて、特に、好適には制御ユニットによって不所望な変形が求められ、加熱装置を変形させるアクチュエータが、この手段によって駆動制御され得る。
【0054】
好ましい実施の形態では、複数の変形要素が、加熱面とは反対を向く加熱装置の側に存在する。これらの変形要素は、加熱装置の下面と、特に対称的に、好適には格子パターンで結合されている。これらの変形要素は特に、基板固定表面に対して垂直な運動もしくは特にまだ歪められていない基板固定表面に対して垂直な運動を実行することができる。変形要素は特に加熱装置下面と、特に支持されて結合されているので、位置に関連する力が、加熱装置に及ぼされ得る。局所的に加えられるこの力は、加熱装置の局所的な変形を可能にする。相応するすべての変形要素を個別に駆動制御することによって、技術的に実現可能かつ所望のすべての加熱装置表面を調整することができ、ひいては温度分布を生じさせることができる。特にこのようにして、装置、特に加熱装置内のボンディング装置によって生ぜしめられた加熱装置の不所望な変形も補償するもしくは取り消すことができる。この場合には、圧力印加による加熱装置の不所望な変形の補償は、特に同様に、より均一な温度分布をもたらす。
【0055】
別の好ましい実施の形態では、変形要素は、好適には加熱装置背面の縁部でのみ係合し、これに対して別の支持要素は、加熱装置の下方に、結合されずに存在している。結合されていない支持要素は、加熱装置の支持に用いられる。支持要素が加熱装置と結合されていないのにもかかわらず、支持要素は加熱装置に圧力を加え、および加熱装置を局所的に変形させることができる。
【0056】
別の実施の形態では、好適には、相応に強力なアクチュエータを介して、縁部での加熱装置の撓みを可能にする変形要素のみが加熱装置の周辺に配置されている。同時に、加熱装置の中心は、少なくとも1つの固定要素によって支持される。
【0057】
別の実施の形態では、加熱装置の、達成可能な最大の曲率半径に対する制限要素が、加熱装置の下方に配置されている。制限要素は、たとえば中心に位置合わせされたリング、特に複数のトーラス(注:ToriはTorusの複数形)および/またはさらに好ましくは球である。たとえば変形要素は、加熱装置に引張力を加えることができ、ここでは制限要素は加熱装置の湾曲を制限する。
【0058】
この装置のすべての実施の形態では、湾曲した加熱装置と他のコンポーネントとの間の熱伝達を最適化するため、特に最大にするために、特に流体、好適にはガス、最も好ましくは、高い熱伝導性のガスが流され得る。流体混合物、特にガス混合物を使用することも可能である。特に、好適には、次の流体が好適に使用され得る:
・ガス、特に
希ガス、好適には
ヘリウム、
アルゴンおよび/または
クリプトン;
分子ガス、好適には
二酸化炭素および/または
酸素;
・液体、特に
水および/または
油
【0059】
上述の流体は組み合わされて、流体混合物を形成することができる。流体フローは、加熱装置と、特に台座との間の熱対流を最適化するために、特に加熱装置表面の周囲を流れる。
【0060】
別の実施の形態では、加熱装置周囲の空間、すなわち台座の真空化も可能である。ここでは真空は100mbar未満、好適には10-2mbar未満、さらに好ましくは10-3mbar未満、最も好ましくは10-5mbar未満、特に最も好ましくは10-7mbar未満である。
【0061】
加熱装置は、特に局所的に変形され得る。特に、全域的な変形、凸変形および凹変形も可能である。加熱装置表面の中心を一度、加熱装置の変形されていない状態で観察し、さらに一度加熱装置の変形された状態で観察するときに、中心間の距離の絶対値が湾曲として定義される。湾曲は、1μmより多く、より好ましくは10μmより多く、さらに好ましくは1mmより多く、最も好ましくは5mmより多く、特に最も好ましくは10mmより大きく変更され得る。
【0062】
方法
特に上述の装置のうちの1つの装置を用いて基板を加熱する第1の方法では、調整ループを介して加熱装置の制御と接続されている基板表面の局所的に分解された温度測定が行われる。その目的は、所望の、特に均一な温度分布の調整である。しかし多くの用途にとって、まさに、不均一であるが対称的な温度分布が望ましい場合がある。たとえば、温度が中心と縁部とにおいて極値を取り、中心と縁部との間で線形に低減する、半径方向に対称の不均一な温度分布の調整が考えられるだろう。したがって基板は、能動的に、温度補償によって、次のように引き伸ばされ得る。すなわち、incoming run-out errorとも称される歪み誤差が、第2の基板との接触の前に能動的に補償される得るまたは少なくとも低減され得るように、引き伸ばされ得る。
【0063】
加熱のための方法では、次のプロセスステップのすべてが実施されてよいが、特に個々のプロセスステップが省かれてもよく、さらに、特にプロセスステップの順序が変更されてよい。
【0064】
第1の方法の第1のプロセスステップでは、基板が基板ホルダ上に装填され、固定される。ここでは基板ホルダは既に台座上に位置している。基板ホルダがまだ台座上にない場合には、固定後に基板ホルダが台座に被着され、固定される。多くの場合、基板が装填され、固定される際に、基板ホルダは既に台座上に固定されている。
【0065】
第1の方法の第2のプロセスステップでは、基板表面における温度分布を測定するための測定システムが位置決めされ、かつ/または作動され、かつ/または較正される。温度分布を測定するための測定システムが、基板および/または基板ホルダの固定の前に既に位置決めされている、かつ/または較正されている、かつ/または作動されていることがある。このような場合には、このプロセスステップは省かれる。
【0066】
第1の方法の第3のプロセスステップでは、現下の温度分布を求めるために、基板表面が測定システムによって記録される。基板は、多くの場合には室温で装填され、固定され、かつこの時点で装置は周辺と熱力学的平衡状態にあるので、温度分布は多かれ少なかれ均一であることが想定される。
【0067】
第1の方法の第4のプロセスステップでは、加熱装置が作動され、所望の温度に調整される。ここで熱搬送は、加熱装置、基板ホルダ表面、台座、基板ホルダおよび基板を通じて行われる。
【0068】
第1の方法の第5のプロセスステップでは、現下の温度分布を求めるために、測定システムによって、基板表面の測定が再度行われる。第3のプロセスステップとは異なり、温度分布はここでは一般に不均一であろう。したがって、温度分布は、第5のプロセスステップでは、記録されるだけでなく、コンピュータシステムにおいて分析もされる。特に、温度場の作成が行われ、ここから温度勾配場が作成される。
【0069】
第1の方法の第6のプロセスステップでは、基板表面での温度場ができるだけ均一になるように、変形によって熱放射および/または熱伝導を適合させることができるように、加熱装置が変形要素によって変形される。ここで第4のプロセスステップと第5のプロセスステップとの間での調整は、所望の、特にできる限り均一な温度分布が達成されるまで行われる。
【0070】
第1の方法のさらなる第7のプロセスステップでは、基板のさらなる処理が行われる。特に、基板を接合し、フォトリソグラフィによって露光し、エンボス材料でコーティングし、エンボス材料にエンボス加工を施すことができる。基板の、さらに技術的に有意な、さらなる処理が可能である。
【0071】
特に上述の装置のうちの1つの装置を用いて基板を加熱する第2の方法では、加熱装置の不所望な変形が加熱装置の変形によって補償される。次のプロセスステップのすべてが実施されてよいが、特に個々のプロセスステップが省かれてもよく、さらに、特にプロセスステップの順序が変更されてよい。
【0072】
第2の方法の第1のプロセスステップでは、基板が基板ホルダ上に装填され、固定される。ここでは基板ホルダは既に台座上に位置している。基板ホルダがまだ台座上にない場合には、固定後に基板ホルダが台座に被着され、固定される。多くの場合、基板が装填され、固定される際に、基板ホルダは既に台座上に固定されている。
【0073】
第2の方法の第2のプロセスステップでは、特にボンディング装置内で圧力印加が行われ、これが加熱装置まで広がり、加熱装置を変形させる。加熱装置のこのような間接的かつ不所望な変形は、特に基板もしくは基板積層体上へ力を加えることによって行われる。
【0074】
第2の方法の第3のプロセスステップでは、加熱装置の不所望な変形が検出される。ここでは不所望な変形は、特にセンサまたはその他の手段によって求められ得る。加熱装置の実際に発生し、検出された変形は、特に、データの形態で検出および分析される。このためには特に、電子的なデータ処理装置が使用され得る。
【0075】
第2の方法の第4のプロセスステップでは、加熱装置が、特に装置の要素によって変形させられる。ここでは加熱装置の不所望な変形が、好適には完全に補償される、または少なくとも低減させられる。補償は、好適には、要素の駆動制御可能なアクチュエータによって行われる。また、変形が完全に補償されるのではなく、加熱装置の不所望な変形が、所望の温度プロファイルおよび/または圧力プロファイルが生じる場合にのみ補償されることも可能である。特に、先行する測定が行われているので、選択された接合パラメータに関連して、加熱装置の変形が既知であってもよい。このような場合には、必ずしも、接合中のセンサデータが使用されなくてよい。加熱装置の補償が、既に圧力印加の前かつ/または圧力印加の間に行われてもよい。
【0076】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、好ましい実施例の以降の説明から得られ、また図面に基づいて得られる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1a】受動的なポジションにある、基板を加熱するための装置の第1の本発明に係る実施の形態を示す図である。
【
図1b】能動的なポジションにある、装置の第1の本発明に係る実施の形態を示す図である。
【
図1c】負荷が加えられたポジションにある、装置の第1の本発明に係る実施の形態を示す図である。
【
図2】装置の第2の本発明に係る実施の形態を示す図である。
【
図3】装置の第3の本発明に係る実施の形態を示す図である。
【
図4】装置の第4の本発明に係る実施の形態を示す図である。
【0078】
図面において、同じコンポーネントまたは同じ機能を有するコンポーネントには、同じ参照符号が付されている。
【0079】
図1aは、台座表面2oを備える台座2を有している、受動的な状態にある装置1の第1の実施の形態を示している。ここでは、台座2内に加熱装置3が配置されており、台座2上に基板ホルダ5が載置および/または固定され得る。元来の基板6は、基板ホルダ5上に固定される。加熱装置3は、加熱要素4を有しており、加熱要素4によって熱を生じさせることができる。この実施の形態の場合、加熱要素4の技術的な実現は重要ではない。加熱装置3は、特に固定要素7によって、自身の高さに固定される。固定要素7は、中央に存在しているが、当然、加熱装置3を偏心的にかつ/または周辺部分で固定してもよい。
【0080】
図示されていない別の実施の形態では、固定要素7が台座2まで延在し、装置の安定性を高めるために、台座2において固定されることが可能である。しかし、図面を見やすくするために、このような図示は図面では省かれている。
【0081】
固定要素7の特徴的な特徴は、加熱装置3の少なくとも1つの点が、変形して固定されたままであり、特に能動的には変形されないことにある。固定要素7が周辺部分に配置されている場合、特に複数の点が環状に沿って延在するだろう。加熱装置3の変形は、変形要素8を介して行われ、変形要素8は、特に対称的に、加熱装置3の加熱装置下面3uにわたって分配されており、加熱装置3と結合されている。
【0082】
図中、台座内側表面2iと加熱装置表面3oとの間には比較的大きな自由空間12が示されている。この自由空間12は、加熱装置3の変形をより良好に図示できるようにするために、図面において比較的大きく示されている。幾つかの実施の形態では、この自由空間12内にさらに別のコンポーネント、特に温度均質化のためのプレートが存在していてよい。これらのすべてのコンポーネントは、特に互いに機械的に結合されていてよい。基板6に圧力が加えられると、この力もしくは圧力が、基板ホルダ5、台座2を介して、加熱装置3まで導かれ、加熱装置3を変形させる。特に、圧力を加えることによって、台座内側表面2iが加熱装置表面3oに接触し、これによって力もしくは圧力が加熱装置3に伝わり、これによって加熱装置3を変形させる程度に、台座2、ひいては台座内側表面2iを強く変形させることがあり得る。特に、固定要素7が機械的に加熱装置3および台座2と結合されている実施の形態では、このことは、基板への圧力印加時の加熱装置3の強い変形につながる。図中、見やすくするために、台座2と加熱装置3との間の機械的な結合の図示は意図的に省略されている。
【0083】
図1bは、能動的な状態にある、装置1の第1の本発明に係る実施の形態を示している。変形要素8は、ポジションに応じて、加熱装置表面3oが変形するように動かされる。ここでは、加熱装置表面3oの変形は、基板ホルダ表面5o、好適には基板表面6oにおける温度が、所望の分布、特に均一な分配を取るように行われなければならない。任意選択的に、流体、特に流体フロー10の形態の流体が、加熱装置3を取り囲むように流れるために、台座2内に導入されてよい。好適には、特に加熱装置表面3oと台座2との間の熱対流が最適化され、特に高められる。
【0084】
図1cは、負荷が加えられた状態にある、装置1の第1の本発明に係る実施の形態を示している。2つの基板6に、圧力装置13によって力もしくは圧力が加えられる。ここで、圧力装置13は、所望の圧力装置表面13oを有している。圧力装置表面13oは、平らに形成されていても、凸状に形成されていてもよい。別の形状も可能である。圧力装置表面13oの形状については様々な理由がある。圧力装置表面13oが、意図的に湾曲して構成されていることが考えられるだろう。圧力装置13の大きい力によって変形が引き起こされることがある。さらに、圧力装置表面13oが完全には平坦に形成されていないことがある。いずれにせよ、一般に任意に成形された圧力装置表面13oは、基板6、基板6の下に位置する基板ホルダ5および台座2に異なる強さで作用を及ぼす。変形が相応に大きい場合、その下に位置する加熱装置3も一緒に変形される。加熱装置3は、特に、加熱装置3と台座2との間に機械的な結合が存在している場合には、一緒に変形される。このような場合、加熱装置3は、圧力装置13によって不所望に変形させられ、要素(7,8,9および11)は、これに対抗する補償のために、特に、加熱装置3の不所望な変形をできるだけ良好に、特に完全に補償する反力を加えるために用いられる。コンポーネント2,3,5,13の撓みおよび変形は、見やすくするために、縮尺通りに図示されていない。使用時には、撓みおよび変形は、特にナノメートルの範囲からミリメートルの範囲にある。
図1cは特に、変形状態を示している。この分野の当業者には、コンポーネント、特に加熱装置3のこの先行する成形が、要素(7,8,9,11)によって、好適には完全に補償されることを所望の状態が特徴とすることが明らかである。圧力装置13が加えることができる力は、10Nよりも大きく、好適には500Nよりも大きく、さらに好ましくは1000Nよりも大きく、最も好ましくは10000Nよりも大きく、特に最も好ましくは100000Nよりも大きい。
【0085】
他の図では、基板ホルダ5、基板6の図示および流体フロー10は省略されている。なぜなら、これらから、装置1,1’,1’’および1’’’のこれらの別の実施の形態に対する関連する特徴は得られないからである。
【0086】
図2は、装置1’の第2の実施の形態を示しており、第2の実施の形態では、縁部でのみ加熱装置3と結合されている変形要素8が存在している。さらなる支持要素9が、加熱装置3の下方に、特に対称的に分配されて存在しているが、加熱装置3と結合されていない。支持要素9は、同時に、負荷が加えられていない状態において加熱装置3を支持するための支持体として用いられる。さらに、支持要素9は、加熱装置3に局所的に圧力を加えることができるが、引張力を加えることはできない。その他の点に関しては、先行する実施の形態についての説明を参照されたい。
【0087】
図3は、変形要素8が縁部のみに位置している、装置1’’の第3の実施の形態を示している。固定要素7は、加熱装置3を、好適にはここでも中心で固定している。これによって、加熱装置3を、対称的に凹状にかつ/または凸状に湾曲させることができる実施の形態が実現される。その他の点に関しては、上述の実施の形態についての説明を参照されたい。
【0088】
図4は、装置1’’’の第4の実施の形態を示しており、ここでは、下方に向かう、加熱装置3の最大の撓みを制限するために制限要素11が使用される。図示の場合には、制限要素11は球であり、その直径は、半径方向の球のポジションと共に低減する。その他の点に関しては、先行する実施の形態についての説明を参照されたい。
【符号の説明】
【0089】
1,1’,1’’,1’’’ 装置
2 台座
2o 台座表面
2i 台座内側表面
3 加熱装置
3o 加熱装置表面
3u 加熱装置下面
4 加熱要素
5 基板ホルダ
5o 基板ホルダ表面
6 基板
6o 基板表面
7 固定要素
8 変形要素
9 支持要素
10 流体フロー
11 制限要素
12 自由空間
13 圧力装置
13o 圧力装置表面