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特許7529776寿命予測装置、産業用機械、プログラム作成システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】寿命予測装置、産業用機械、プログラム作成システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B25J19/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022531899
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2021022999
(87)【国際公開番号】W WO2021261368
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020107137
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】榑林 秀倫
(72)【発明者】
【氏名】志村 孔史
【審査官】尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-81206(JP,A)
【文献】特開2017-138136(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102126(WO,A1)
【文献】特開2014-233763(JP,A)
【文献】特開2017-4413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用機械で用いられるケーブルの寿命予測装置であって、
前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、実際に前記産業用機械を動作させる前に、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析部と、
前記動作量に、アイリングモデルに基づいた動作量とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出部と、
を備える、寿命予測装置。
【請求項2】
産業用機械で用いられるケーブルの寿命予測装置であって、
前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析部と、
前記動作量に、動作量と前記ケーブルに生じる応力との関係を適用することにより、前記応力を算出する応力算出部と、
前記応力に、アイリングモデルに基づいた応力とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出部と、
を備える、寿命予測装置。
【請求項3】
前記産業用機械の過去の運動記録に基づいて、前記動作軸の積算動作量を解析する積算動作量解析部と、
前記積算動作量に、前記アイリングモデルに基づいた、積算動作量と前記ケーブルの損傷度との関係を適用することにより、前記ケーブルの損傷度を算出する損傷度算出部と、
前記ケーブルの寿命の予測値と前記損傷度とから、前記ケーブルの余寿命の予測値を算出する余寿命算出部と、
を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の寿命予測装置。
【請求項4】
前記余寿命が閾値未満になった際に警告を表示する警告表示部を更に備える、請求項3に記載の寿命予測装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の寿命予測装置と、
前記寿命を表示する寿命表示装置とを備える、産業用機械。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の寿命予測装置と、
前記寿命を表示する寿命表示装置とを備える、プログラム作成システム。
【請求項7】
コンピュータを、産業用機械で用いられるケーブルの寿命予測装置として機能させるためのプログラムであって、前記プログラムを前記コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータに、
前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、実際に前記産業用機械を動作させる前に、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析処理と、
前記動作量に、アイリングモデルに基づいた動作量とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出処理と、
を行わせるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、産業用機械で用いられるケーブルの寿命予測装置として機能させるためのプログラムであって、前記プログラムを前記コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータに、
前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析処理と、
前記動作量に、動作量と前記ケーブルに生じる応力との関係を適用することにより、前記応力を算出する応力算出処理と、
前記応力に、アイリングモデルに基づいた応力とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出処理と、
を行わせるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用機械で用いられるケーブルの寿命予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用機械の可動部のケーブルは、当該産業用機械の動作に伴って劣化するため、定期的な交換が必要である。従来、その交換周期は、産業用機械の動作軸が最大の動作をするという想定のもとに決められていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-233763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、産業用機械の動作は作業内容によって異なり、産業機械の動作軸は必ずしも最大の動作をするわけではない。
【0005】
しかし、現状、産業用機械やその制御装置はケーブルの寿命を算出する手段を持たないため、産業用機械の動作軸が最大の動作をすると想定した周期で定期交換を行っている。その結果、ケーブルの本来の寿命である実力寿命より短い周期でケーブルの交換を行っている。
【0006】
ユーザの保守の負担を軽減するために、ケーブルの本来の寿命である実力寿命を算出し、ケーブルの交換の周期を長くすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、産業用機械で用いられるケーブルの寿命予測装置であって、前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析部と、前記動作量に、アイリングモデルに基づいた動作量とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出部と、を備える、寿命予測装置である。
【0008】
本開示の別の態様は、産業用機械で用いられるケーブルの寿命予測装置であって、前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析部と、前記動作量に、動作量と前記ケーブルに生じる応力との関係を適用することにより、前記応力を算出する応力算出部と、前記応力に、アイリングモデルに基づいた応力とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出部と、を備える、寿命予測装置である。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、ユーザの保守の負担を軽減するために、ケーブルの本来の寿命である実力寿命を算出し、ケーブルの交換の周期を長くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る寿命予測システムの全体構成図である。
図2】一実施形態に係る産業用機械の外観図である。
図3】一実施形態に係る寿命予測装置の機能ブロック図である。
図4】一実施形態に係る動作プログラムの例を示す図である。
図5】一実施形態に係る動作プログラム1サイクルでの軸の動作の例を示すグラフである。
図6A】一実施形態に係る寿命試験の方法の一例を示す図である。
図6B】一実施形態に係る寿命試験の方法の一例を示す図である。
図7】一実施形態に係る捻回角度とケーブル寿命との関係を示すグラフである。
図8】一実施形態に係る軸の動作例を示すグラフである。
図9】一実施形態に係る軸の動作例を示すグラフである。
図10】一実施形態に係る軸の動作例を示すグラフである。
図11】一実施形態に係る寿命予測装置の機能ブロック図である。
図12】一実施形態における軸角度と応力との関係を示すグラフである。
図13】一実施形態に係る寿命試験の方法を示す図である。
図14】一実施形態に係る応力とケーブル寿命との関係を示すグラフである。
図15】一実施形態における応力の変動例を示すグラフである。
図16】一実施形態に係る寿命予測装置の機能ブロック図である。
図17】一実施形態に係る寿命予測装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔1 第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について図1図10を参照して説明する。
【0012】
〔1.1 全体構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る寿命予測システム1の全体構成を示す図である。図1に示すように、寿命予測システム1は、寿命予測装置10を含む制御装置20と、産業用機械30とを備える。ここで、制御装置20と、産業用機械30とは、互いに通信可能に接続される。
【0013】
寿命予測装置10は、産業用機械30で用いられるケーブルの寿命を予測する装置である。とりわけ、寿命予測装置10は、産業用機械30を制御する制御装置20から取得したデータを用いることにより、産業用機械30で用いられるケーブルの寿命を予測する。
【0014】
制御装置20は、産業用機械30を制御する装置である。この制御装置20は、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェイス等を有するコンピュータ装置に適切な制御プログラムを実行させることによって実現することができる。
とりわけ、産業用機械30が工作機械である場合には、制御装置20は、数値制御装置として、加工プログラムに従って、工作機械としての産業用機械の主軸及び駆動軸を制御する。
また、産業用機械30がロボットである場合には、制御装置20は、与えられる作業プログラムに従ってロボットとしての産業用機械30を動作させる。具体的には、制御装置20は、作業プログラムに従う動作を行うために必要な産業用機械30の各駆動軸の時間毎の位置又は速度を算出し、産業用機械30の各駆動軸に必要な電流を印加する。
なお、産業用機械は、工作機械及びロボットに制限されず、例えば、射出成形機であってもよい。
【0015】
産業用機械30は、制御装置20によって、その駆動が自動制御される駆動部を有する機械である。
とりわけ、産業用機械30が工作機械である場合には、産業用機械30は、工具を回転させる主軸と、工具又はワーク(図示省略)を移動させる送り軸とを有し、工具とワークとを相対的に移動させてワークの加工(例えば、切削加工)を行う。
また、産業用機械30がロボットである場合には、産業用機械30は、6軸垂直多関節型又は4軸水平多関節型等の多関節型ロボットであってもよい。
【0016】
図2は、産業用機械30がロボットである場合の産業用機械30の構成例を示す。産業用機械30は、第1関節31A、第2関節31B、第3関節31Cと、固定ベース32Aと、回転ベース32B、第1アーム33A、第2アーム33B、手首34、及びケーブル35を備える。
【0017】
第1関節31Aは、回転ベース32Bを下から支えながら回転駆動することにより、回転ベース32Bを、垂直軸まわりに回転させる。
第2関節31Bは、回転ベース32Bと第1アーム33Aとを接続する関節であり、回転駆動することにより、第1アーム33Aを、水平軸まわりに回転させる。
第3関節31Cは、第1アーム33Aと第2アーム33Bとを接続する関節であり、回転駆動することにより、第2アーム33Bを、水平軸まわりに回転させる。
手首34は、第2アーム33Bの先端に取り付けられるものであり、ロボットの先端に取り付けられたツールの向きを変える働きを有し、3軸の動作軸を通常有する。
図示されていないツールが、手首34の先端に取り付けられ、各種の作業を実行するために用いられる。
図2に示す例において、ケーブル35については、第1関節31Aに可動部35Aが配置され、第2関節31Bに可動部35Bが配置され、第3関節31Cに可動部35Cが配置される。可動部35Aは、ロボット内部に配線され、下側において固定ベース32Aに取り付けられ、上側において回転ベース32Bに取り付けられている。可動部35Bは、第2関節31Bを回り込むように配線され、下側において回転ベース32Bに固定され、上側において第1アーム33Aに固定されている。可動部35Cは、第3関節31Cを回り込むように配線され、下側において第1アーム33Aに固定され、上側において第2アーム33Bに固定されている。
【0018】
通常、ロボットのアームの関節部では、ケーブルは、関節を跨いで前後のアームに固定されるように配線される。従って、可動部のケーブルの曲がり具合は、一つの関節の角度のみに依存する。なぜなら、可動部のケーブルが複数の関節を跨ぐと、ケーブルの挙動が複数の関節の動きに影響され、ケーブルの動きを安定させることができなくなってしまうためであり、ケーブルの挙動が複雑化することを避けるために複数の関節を跨がないように配線される。
【0019】
寿命予測装置10は、とりわけケーブル35のうち、可動部35Aがロボット内部に配線され、可動部35Bが第2関節31Bを回り込むように配線され、可動部35Cが第3関節31Cを回り込むように配線されることにより、ロボット30の動作によって、とりわけ可動部35A,可動部35B及び可動部35Cが劣化する度合いに基づいて、ケーブル35の寿命を予測する。
【0020】
〔1.2 寿命予測装置及び制御装置の構成〕
図3は、寿命予測装置10を備える制御装置20の機能ブロック図である。
【0021】
寿命予測装置10は、動作量解析部101と寿命算出部102とを備える。
【0022】
動作量解析部101は、制御装置20から取得した、産業用機械30を動作させるための動作プログラムに基づいて、産業用機械30の動作軸の動作量を解析する。
【0023】
図4は、上記の動作プログラムの例を示す。図4に示す例においては、「イドウ」と書かれた行が、産業用機械30の動作に関する命令文である。また、図4に示す動作プログラムにおいては、「イチ[1]」~「イチ[5]」の5つの教示点が示されている。
【0024】
制御装置20は、動作プログラムの指示に基づいて、これらの教示点を通過する動作を生成する。更に、制御装置20は、生成した動作を実現するために、各々の軸が、ある時点ごとに、どの角度に移動するべきかを計算する。図5は、動作プログラム1サイクルでの軸の動作の例を示すグラフである。
【0025】
動作量解析部101は、実際に産業用機械30を動作させる前に、制御装置20から上記の計算結果を取得することにより、産業用機械30の動作軸の動作量を解析する。
【0026】
寿命算出部102は、動作量解析部101によって解析された動作量に、アイリングモデルに基づいた動作量とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、ケーブル35の寿命の予測値を算出する。
【0027】
ここで、本実施形態に適用するアイリングモデルは、以下の式(1)によって表すことが可能である。
【数1】
【0028】
なお、式(1)において、Lは、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)、Lは寿命試験でのケーブル寿命(サイクル数)、θは、実動作での動作角度、θは、寿命試験での動作角度、αは定数である。
【0029】
更に、L及びαを求めるために、事前に、以下のような寿命試験を実行しておく。
図6A及び図6Bは、寿命試験の方法を模式的に示す図である。図6Aに示すように、ケーブル35に抵抗測定器50を接続し、ケーブルを複数の負荷条件に従って、所定の捻回角度で捻りながら、抵抗が20%上昇したサイクル数をカウントする。以下の表1は、試験結果の例を示す。
【0030】
なお、ここで「サイクル数」とは、動作サイクル1サイクル分の動作のことである。図4に記載のプログラムを参照すると、図4に記載のプログラムを19行目まで実行し、5行目に戻るまでが1サイクルである。ケーブル35の寿命試験においては、ケーブル35を1往復捻る、又は1往復曲げる動作が1サイクルである。
【0031】
また、ケーブル35の抵抗を測定する際には、図6Bに示すように、ケーブル35に含まれる複数本の心線35Lをはんだ付けして全て直列にした上で、銅線の抵抗を測定する。
【表1】
【0032】
次に、表1に示す寿命試験の結果を、横軸を捻回角度の対数表示とし、縦軸をケーブル寿命の対数表示とするグラフにプロットする。図7は、プロットしたグラフの例を示す。図7に例示するグラフ中のプロットを近似した直線の傾きが-αとなる。
【0033】
以下、軸の動きに応じたケーブル寿命の算出例について説明する。
【0034】
〔1.2.1 寿命算出例1〕
図8は、軸の第1の動作例を示すグラフである。図8に示す例においては、プログラム1サイクル中において、動作角の極大値(=最大値)と極小値(=最小値)が1つずつ存在する。
【0035】
このとき、動作角の最大値と最小値との差を動作角θとし、アイリングモデルを適用することで、以下の式(2)によりケーブルの寿命(サイクル)が計算できる。
【数2】
【0036】
なお、式(2)において、Lは、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)、Lは寿命試験でのケーブル寿命(サイクル数)、θは、寿命試験での動作角度である。
【0037】
式(2)で算出される、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)LにサイクルタイムCTを乗じることで、実動作でのケーブル寿命(時間)が計算される。
【0038】
〔1.2.2 寿命算出例2〕
図9は、軸の第2の動作例を示すグラフである。図9に示す例においては、プログラム1サイクル中において、2種類の動作角θa1,θa2が存在する。
【0039】
動作角が図9に示す例のように変化する場合、最初に、動作角θa1,θa2を計算する。次に、動作角θa1で軸が動く回数Nと、動作角θa2で軸が動く回数Nとをカウントする。図9に示す例の場合、N=1,N=3となる。
【0040】
このとき、以下のアイリングモデルに基づく式(3)、及びマイナー則に基づく式(4)によりケーブルの寿命(サイクル)が計算できる。
【数3】
【0041】
式(4)で算出される、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)LにサイクルタイムCTを乗じることで、実動作でのケーブル寿命(時間)が計算される。
【0042】
なお、式(3)及び式(4)を一般化すると、以下の式(5)及び式(6)となる。
【数4】
【0043】
〔1.2.3 寿命算出例3〕
図10は、軸の第3の動作例を示すグラフである。図10に示す例においては、プログラム1サイクル中において、軸が不規則な動きをする。
【0044】
このとき、最初に、極大値と次の極小値までの動作角、あるいは極小値から次の極大値までの動作角θa1,θa2,・・・,θaiを算出する。なお、これらの動作角は、極大値から極小値に至る動作、あるいは、極小値から極大値に至る動作に対応するため、動作角θa1,θa2,・・・,θaiで軸が動く回数を、それぞれ0.5回とカウントする。
【0045】
このとき、以下のアイリングモデルに基づく式(7)及びマイナー則に基づく式(8)によりケーブルの寿命(サイクル)が計算できる。
【数5】
【0046】
式(5)で算出される、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)LにサイクルタイムCTを乗じることで、実動作でのケーブル寿命(時間)が計算される。
【0047】
寿命算出部102は、例えば、上記の〔1.2.1 寿命算出例1〕~〔1.2.3 寿命算出例3〕の方法により、ケーブル35の寿命の予測値を算出する。
【0048】
図3に戻ると、制御装置20は、上記の寿命予測装置10に加え、記憶部201と、動作演算部202と、機械駆動部203とを備える。
【0049】
記憶部201は、主として、産業用機械30を制御するための制御プログラムを記憶する。とりわけ、産業用機械30が工作機械である場合には、加工プログラムを、産業用機械30がロボットである場合には、作業プログラムを記憶する。
【0050】
動作演算部202は、記憶部201に記憶された制御プログラムを解析することにより、産業用機械30を動作させるための指令値を演算する。
【0051】
機械駆動部203は、動作演算部202によって演算された指令値を用いて、産業用機械30が備える各軸を駆動する。
【0052】
〔1.3 第1実施形態の動作〕
寿命予測装置10においては、最初に動作量解析部101が、制御装置20から取得した産業用機械30の動作プログラムを解析することにより、当該動作プログラム1サイクルにおける各軸の動作量を算出する。
【0053】
次に、寿命算出部102が、動作量解析部101によって解析された各軸の動作量に対し、アイリングモデルに基づいた、動作量とケーブルの寿命との関係式等を適用することにより、ケーブル35の寿命の予測値を算出する。
【0054】
〔2 第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について図11図15を参照して説明する。
【0055】
〔2.1 全体構成〕
本発明の第2実施形態に係る寿命予測システム1Aは、第1実施形態に係る寿命予測システム1と異なり、寿命予測装置10の代わりに寿命予測装置10Aを備える。なお、基本的な全体構成は、図1に示す構成と同様であるため、その図示は省略する。また、以下の説明において、寿命予測装置10Aが備える構成要素のうち、寿命予測装置10が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示すと共に、その機能の説明を省略する。
【0056】
〔2.2 寿命予測装置の構成〕
図11は、寿命予測装置10Aの機能ブロック図である。寿命予測装置10Aは、寿命予測装置10と異なり、寿命算出部102の代わりに寿命算出部102Aを備えると共に、更に、応力算出部103を備える。
【0057】
応力算出部103は、動作量解析部101によって解析された動作量に対して、動作量とケーブル35に生じる応力との関係を適用することにより、当該応力を算出する。
【0058】
第1実施形態においては、産業用機械30における各軸の軸角度と、ケーブル35の曲げや捻りによる応力が比例関係にあることを前提としていた。しかし、実際には必ずしも、各軸の軸角度とケーブル35の曲げや捻りによる応力とは比例関係とはならない。
【0059】
そこで、ケーブル35の挙動や応力を計算するシミュレーションソフトにより、動作量と応力との関係を計算し、後述のように、この関係から算出される応力をケーブル寿命の計算に使用する。
【0060】
図12は、シミュレーション結果としての、動作量(軸角度)と応力との関係を示すグラフである。第2実施形態においては、応力算出部103が、図12に例示される動作量と応力との関係を、図5に例示される動作量に適用することにより、各動作量に対応する、ケーブル35に生じる応力を算出する。
【0061】
寿命算出部102Aは、応力算出部103によって算出された応力に、アイリングモデルに基づいた応力とケーブル35の寿命との関係式を適用することにより、ケーブル35の寿命の予測値を算出する。
【0062】
ここで、本実施形態に適用するアイリングモデルは、以下の式(9)によって表すことが可能である。
【数6】
なお、式(9)において、Lは、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)、Lは寿命試験でのケーブル寿命(サイクル数)、Sは、実動作での応力、Sは、寿命試験での応力、αは定数である。
【0063】
更に、L及びαを求めるために、事前に、以下のような寿命試験を実行しておく。
図13は、寿命試験の方法を模式的に示す図である。図13に示すように、ケーブル35に抵抗測定器50を接続し、ケーブルを複数の負荷条件に従って、所定の捻回角度で捻りながら、当該捻回角度に対応する応力を算出しつつ、抵抗が20%上昇したサイクル数をカウントする。以下の表2は、試験結果の例を示す。
【表2】
【0064】
次に、表2に示す寿命試験の結果を、横軸を応力の対数表示とし、縦軸をケーブル寿命の対数表示とするグラフにプロットする。図14は、プロットしたグラフの例を示す。図14に例示するグラフ中のプロットを近似した直線の傾きが-αとなる。
【0065】
以下、軸の動きに応じたケーブル寿命の算出例について説明する。
【0066】
〔2.2.1 寿命算出例4〕
図15は、応力の変動例を示すグラフである。図15に示す例においては、プログラム1サイクル中において、応力の極大値(=最大値)と極小値(=最小値)が1つずつ存在する。
【0067】
このとき、応力の最大値と最小値との差を、応力振幅Sとし、アイリングモデルを適用することで、以下の式(10)によりケーブルの寿命(サイクル)が計算できる。
【数7】
【0068】
なお、式(10)において、Lは、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)、Lは寿命試験でのケーブル寿命(サイクル数)、Sは、寿命試験での応力である。
【0069】
式(10)で算出される、実動作でのケーブル寿命(サイクル数)LにサイクルタイムCTを乗じることで、実動作でのケーブル寿命(時間)が計算される。
【0070】
〔2.3 第2実施形態の動作〕
寿命予測装置10Aにおいては、最初に動作量解析部101が、制御装置20から取得した産業用機械30の動作プログラムを解析することにより、当該動作プログラム1サイクルにおける各軸の動作量を算出する。
【0071】
次に、応力算出部103が、動作量解析部101によって解析された動作量に、動作量とケーブル35に生じる応力との関係を適用することにより、応力を算出する。
【0072】
最後に、寿命算出部102Aが、応力算出部103によって算出された応力に対し、アイリングモデルに基づいた、応力とケーブルの寿命との関係式等を適用することにより、ケーブル35の寿命の予測値を算出する。
【0073】
〔3 第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について図16を参照して説明する。
【0074】
ソフトウェアが計算し指令した動作に対するモータの動作の遅れ、信号待ちによる停止時間、休日・夜間における稼働の停止、及び、視覚センサ等のセンサからの情報に基づいて軸の動作が補正されること等により、産業用機械30の実際の動作は、動作プログラムを連続で繰り返し実行した場合の動作とは、完全には一致しない。
【0075】
ここで、図4に記載のプログラムを参照すると、5行目から8行目までは信号待ちの指令となっている。プログラムだけで寿命計算をする場合には、常に製品がラインを流れてくることを前提とする。しかし、実際には、図4に記載のプログラムに示すように、信号待ちが発生することがある。従って、実際の動作データから寿命の計算をすることが望まれる。
【0076】
そこで、本実施形態においては、稼働中の産業用機械については、稼働開始から現在までのケーブル寿命の低下を、実際の動作のデータから求める。
【0077】
〔3.1 全体構成〕
本発明の第3実施形態に係る寿命予測システム1Bは、第1実施形態に係る寿命予測システム1と異なり、寿命予測装置10の代わりに寿命予測装置10Bを備える。なお、基本的な全体構成は、図1に示す構成と同様であるため、その図示は省略する。また、以下の説明において、寿命予測装置10Bが備える構成要素のうち、寿命予測装置10が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示すと共に、その機能の説明を省略する。
【0078】
〔3.2 寿命予測装置の構成〕
図16は、寿命予測装置10Bの機能ブロック図である。寿命予測装置10Bは、寿命予測装置10と異なり、動作量解析部101、寿命算出部102に加えて、積算動作量解析部104、損傷度算出部105、余寿命算出部106、警告表示部107を備える。
【0079】
積算動作量解析部104は、産業用機械30の過去の運動記録に基づいて、産業用機械30が備える動作軸の積算動作量を解析する。
【0080】
具体的には、積算動作量解析部104は、〔1.2.3 寿命算出例3〕で、動作プログラムを解析した際の、極大値と次の極小値までの動作角、あるいは極小値から次の極大値までの動作角θa1,θa2,・・・,θaiを算出したのと同様の方法により、ロボットの稼動開始から現在までの動作の記録に基づき、極大値と次の極小値までの動作角、あるいは極小値から次の極大値までの動作角θa1,θa2,・・・,θaiを算出する。
【0081】
なお、これらの動作角は、極大値から極小値に至る動作、あるいは、極小値から極大値に至る動作に対応するため、動作角θa1,θa2,・・・,θaiで軸が動く回数を、それぞれ0.5回とカウントする。なお、iは、1年間で300,000以上になることが見込まれる。
【0082】
また、過去の運動記録は、制御装置20内で計算された動作指令に基づくものでも、産業用機械30に備わった位置センサからのフィードバックに基づくものでもよい。
【0083】
損傷度算出部105は、積算動作量解析部104によって解析された積算動作量に、アイリングモデルに基づいた積算動作量と、ケーブルの損傷度との関係式を適用することにより、損傷度を算出する。
【0084】
具体的には、以下のアイリングモデルに基づく式(11)及びマイナー則に基づく式(12)を用いることにより、ケーブル35の損傷度を算出する。
【数8】
ここで、Dはケーブル35の損傷度であり、ケーブル35が寿命に達していない場合、0≦D<1の値である。また、Lは、寿命試験でのケーブル寿命(サイクル)である。更に、θは、寿命試験での動作角度である。
【0085】
余寿命算出部106は、寿命算出部102によって算出されたケーブル寿命の予測値と、損傷度算出部105によって算出されたケーブル35の損傷度とから、ケーブル35の余寿命の予測値を算出する。
【0086】
具体的には、損傷度Dと、ケーブル寿命の予測値Lを、以下の式(13)に代入することにより、ケーブル35の余寿命の予測値Lrmを算出する。
rm=(1-D)×L (13
【0087】
警告表示部107は、余寿命算出部106によって算出された余寿命が閾値未満になった際に、後述の表示部120に警告を表示する。
【0088】
また、寿命予測装置10Bは、表示部120を備える。表示部120は、例えば上記のように、警告を表示する。表示部120は、例えば液晶モニタによって実現することが可能である。
【0089】
〔3.3 第3実施形態の動作〕
寿命予測装置10Bにおいては、最初に動作量解析部101が、制御装置20から取得した産業用機械30の動作プログラムを解析することにより、当該動作プログラム1サイクルにおける各軸の動作量を算出する。
【0090】
次に、寿命算出部102が、動作量解析部101によって解析された各軸の動作量に対し、アイリングモデルに基づいた、動作量とケーブルの寿命との関係式等を適用することにより、ケーブル35の寿命の予測値を算出する。
【0091】
次に、積算動作量解析部104が、産業用機械30の過去の運動記録に基づいて、産業用機械30が備える動作軸の積算動作量を解析する。
【0092】
次に、損傷度算出部105が、解析された積算動作量に、アイリングモデルに基づいた積算動作量と、ケーブルの損傷度との関係式を適用することにより、損傷度を算出する。
【0093】
次に、余寿命算出部106が、寿命算出部102によって算出されたケーブル寿命の予測値と、損傷度算出部105によって算出されたケーブル35の損傷度とから、ケーブル35の余寿命の予測値を算出する。
【0094】
最後に、余寿命が閾値未満になった際に、警告表示部107が表示部120に警告を表示する。
【0095】
〔4 第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について図17を参照して説明する。
【0096】
本発明の第3実施形態に係る寿命予測装置10Bは、第1実施形態に係る寿命予測装置10に対し、概して、積算動作量解析部104、損傷度算出部105、余寿命算出部106、警告表示部107を付加することにより、産業用機械30の稼動開始から現在までの動作の記録に基づいて、ケーブル35の余寿命の予測値を算出し、余寿命が閾値未満である場合には、警告を発するものであった。
【0097】
一方、第4実施形態に係る寿命予測装置10Cは、第2実施形態に係る寿命予測装置10Aに対し、概して、積算動作量解析部104、損傷度算出部105、余寿命算出部106、警告表示部107を付加することにより、産業用機械30の稼動開始から現在までの動作の記録に基づいて、ケーブル35の余寿命の予測値を算出し、余寿命が閾値未満である場合には、警告を発するものである。
【0098】
〔4.1 全体構成〕
本発明の第4実施形態に係る寿命予測システム1Cは、第1実施形態に係る寿命予測システム1と異なり、寿命予測装置10の代わりに寿命予測装置10Cを備える。なお、基本的な全体構成は、図1に示す構成と同様であるため、その図示は省略する。また、以下の説明において、寿命予測装置10Cが備える構成要素のうち、寿命予測装置10、10A、10Bが備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示すと共に、その機能の説明を省略する。
【0099】
〔4.2 寿命予測装置の構成〕
図17は、寿命予測装置10Cの機能ブロック図である。寿命予測装置10Cは、寿命予測装置10Aと異なり、動作量解析部101、寿命算出部102A、応力算出部103に加えて、積算動作量解析部104、損傷度算出部105、余寿命算出部106、警告表示部107を備える。
【0100】
〔4.3 第4実施形態の動作〕
寿命予測装置10Cにおいては、最初に動作量解析部101が、制御装置20から取得した産業用機械30の動作プログラムを解析することにより、当該動作プログラム1サイクルにおける各軸の動作量を算出する。
【0101】
次に、応力算出部103が、動作量解析部101によって解析された動作量に、動作量とケーブル35に生じる応力との関係を適用することにより、応力を算出する。
【0102】
次に、寿命算出部102Aが、応力算出部103によって算出された応力に対し、アイリングモデルに基づいた、応力とケーブルの寿命との関係式等を適用することにより、ケーブル35の寿命の予測値を算出する。
【0103】
次に、積算動作量解析部104が、産業用機械30の過去の運動記録に基づいて、産業用機械30が備える動作軸の積算動作量を解析する。
【0104】
次に、損傷度算出部105が、解析された積算動作量に、アイリングモデルに基づいた積算動作量と、ケーブルの損傷度との関係式を適用することにより、損傷度を算出する。
【0105】
次に、余寿命算出部106が、寿命算出部102によって算出されたケーブル寿命の予測値と、損傷度算出部105によって算出されたケーブル35の損傷度とから、ケーブル35の余寿命の予測値を算出する。
【0106】
最後に、余寿命が閾値未満になった際に、警告表示部107が表示部120に警告を表示する。
【0107】
〔5 第1実施形態~第4実施形態が奏する効果〕
(1) 上記の実施形態に係る寿命予測装置は、産業用機械(例えば、上記の「産業用機械30」)で用いられるケーブルの寿命予測装置(例えば、上記の「寿命予測装置10」)であって、前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析部(例えば、上記の「動作量解析部101」)と、前記動作量に、アイリングモデルに基づいた動作量とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出部(例えば、上記の「寿命算出部102」)と、を備える。
【0108】
これにより、ユーザの保守の負担を軽減するために、ケーブルの本来の寿命である実力寿命を算出し、ケーブルの交換の周期を長くすることが可能となる。
とりわけ、産業用機械30の動作から算出されるケーブル35の適切な交換時期についての情報をユーザに提供し、ユーザの保守の負担を軽減することができる。
また、特に回転動作をする動作軸においては、動作軸に配線されるケーブル35の寿命は、動作量の影響が大きいため、とりわけ回転動作軸が多い産業用機械30において、ケーブル35の交換周期を長くすることが可能となる。
【0109】
(2) また、上記の実施形態に係る寿命予測装置は、産業用機械(例えば、上記の「産業用機械30」)で用いられるケーブルの寿命予測装置(例えば、上記の「寿命予測装置10A」)であって、前記産業用機械を動作させるための動作プログラムに基づいて、前記産業用機械の動作軸の動作量を解析する動作量解析部(例えば、上記の「動作量解析部101」)と、前記動作量に、動作量と前記ケーブルに生じる応力との関係を適用することにより、前記応力を算出する応力算出部(例えば、上記の「応力算出部103)と、前記応力に、アイリングモデルに基づいた応力とケーブルの寿命との関係式を適用することにより、前記ケーブルの寿命の予測値を算出する寿命算出部(例えば、上記の「寿命算出部102A」)と、を備える。
【0110】
これにより、産業用機械30を構成する構成要素の角度と、当該構成要素に配置されるケーブルの曲げや捻りによる応力が比例関係に無い場合にも、ユーザの保守の負担を軽減するために、ケーブルの本来の寿命である実力寿命を算出し、ケーブルの交換の周期を長くすることが可能となる。
【0111】
(3) (1)又は(2)に記載の寿命予測装置は、産業用機械の過去の運動記録に基づいて、前記動作軸の積算動作量を解析する積算動作量解析部(例えば、上記の「積算動作量解析部104」)と、前記積算動作量に、前記アイリングモデルに基づいた、積算動作量と前記ケーブルの損傷度との関係を適用することにより、前記ケーブルの損傷度を算出する損傷度算出部(例えば、上記の「損傷度算出部105」)と、前記ケーブルの寿命の予測値と前記損傷度とから、前記ケーブルの余寿命の予測値を算出する余寿命算出部(例えば、上記の「余寿命算出部106」)と、を更に備えてもよい。
【0112】
これにより、過去における、産業用機械30の実際の動作から算出されるケーブル35の適切な交換時期についての情報をユーザに提供し、ユーザの保守の負担を軽減することができる。
【0113】
(4) (3)に記載の寿命予測装置は、余寿命が閾値未満になった際に警告を表示する警告表示部(例えば、上記の「警告表示部107」)を備えてもよい。
【0114】
これにより、寿命予測装置10B又は10Cのオペレータは、適切なケーブルの交換時期を認識することが可能となる。
【0115】
〔6 変形例〕
〔6.1 変形例1〕
上記の第2実施形態に係る寿命予測装置10Aは、第1実施形態における寿命予測装置10が実行する〔1.2.1 寿命算出例1〕の動作角を応力に置き換えた、〔2.2.1 寿命算出例4〕を実行することにより、ケーブルの寿命の予測値を算出する例について記載したが、これには限定されない。
【0116】
例えば、第1実施形態における寿命予測装置10が実行する〔1.2.2 寿命算出例2〕及び〔1.2.3 寿命算出例3〕の動作角を応力に置きかえた方法により、ケーブルの寿命の予測値を算出してもよい。
【0117】
〔6.2 変形例2〕
第1実施形態に係る寿命予測装置10及び第2実施形態に係る寿命予測装置10Aは、表示部を備えないとしたが、これには限定されない。例えば、寿命予測装置10又は10Aが表示部を備え、寿命算出部102又は102Aによって算出された寿命の予測値を表示部で表示してもよい。
また、これらの場合、及び、第3実施形態に係る寿命予測装置10B及び第4実施形態に係る寿命予測装置10Cにおいて、表示部が寿命予測装置10~10Cに組み込まれた構成とするのではなく、寿命予測装置10~10Cとは別体としてもよい。あるいは、表示部が制御装置20に組み込まれた構成としてもよい。
【0118】
〔6.3 変形例3〕
また、上記の第1実施形態に係る寿命予測装置10~第4実施形態に係る寿命予測装置10Cは、産業用機械30と別体であるとしたが、これには限定されない。例えば、寿命予測装置10~寿命予測装置10Cが、産業用機械30に組み込まれることにより、両者が一体化していてもよい。
【0119】
〔6.4 変形例4〕
また、上記の第1実施形態に係る寿命予測装置10~第4実施形態に係る寿命予測装置10Cは、制御装置20の一機能として、ケーブルの寿命予測を実行する装置であったが、これには限定されない。例えば、オフラインでロボットシステムの構築検討をするようなPC用ツールの一機能として、ロボットの1サイクルの動作データを元に、シミュレーションを行い、ロボットに使用されているケーブルの寿命を推定する機能を実現してもよい。
【0120】
上記の寿命予測装置10~10C及び寿命予測システム1~1Cに含まれる各構成部は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の寿命予測装置10~10C及び寿命予測システム1~1Cに含まれる各構成部のそれぞれの協働により行なわれるデータ収集方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0121】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一
時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレ
キシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは
、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電
気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0122】
1,1A,1B,1C 寿命予測システム
10,10A,10B,10C 寿命予測装置
101 動作量解析部
102,102A 寿命算出部
103 応力算出部
104 積算動作量解析部
105 損傷度算出部
106 余寿命算出部
107 警告表示部
120 表示部
201 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17