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特許7529786第1のセルと第2のセルとの間でハンドオーバーを実行する方法、ユーザー機器、及び非一時的コンピューター可読媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】第1のセルと第2のセルとの間でハンドオーバーを実行する方法、ユーザー機器、及び非一時的コンピューター可読媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20240730BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20240730BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20240730BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04W36/08
H04W84/06
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022553437
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 JP2021002117
(87)【国際公開番号】W WO2021166545
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-05-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】20305148.7
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】チョチーナ、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ボノビル、エルベ
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【合議体】
【審判長】中木 努
【審判官】本郷 彰
【審判官】河合 弘明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/193891(WO,A1)
【文献】特表2012-531141(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130852(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
3GPP TSG SA WG1-4
3GPP TSG CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間でハンドオーバーを実行するためにユーザー機器により実行される方法であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記方法は、
前記ユーザー機器がRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する第1の信号を前記第2の基地局に送信する前に、前記第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することであって、前記第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、
前記第1の基地局に接続される前に前記ユーザー機器が接続した基地局から受信された前記第2のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータに基づいて、又は、
前記第1の基地局から、又は前記第1の基地局に接続される前に前記ユーザー機器が接続した基地局から受信された前記第2のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータがない場合、前記第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値に基づいて、前記第1の信号を前記第2の基地局に送信する前に、前記ユーザー機器が決定することと、
前記第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値として、前記第1の信号を前記第2の基地局に送信する前に前記ユーザー機器において決定した前記値を使用して、前記第2の基地局とのアップリンク送信を実行することとを含む、方法。
【請求項2】
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータは、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータと、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値が前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される前記値と異なることを前記ユーザー機器に通知するデータと、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値が前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と同じことを前記ユーザー機器に通知するデータとのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関連するデータは、
値に対応するデータ、
前記第1のセルの前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値からのずれに対応するデータ、
汎用値からのずれに対応するデータのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の基地局と実行する前記アップリンク送信は、前記第2の基地局と実行する第1のアップリンク送信である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間でハンドオーバーを実行するように構成されたユーザー機器であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記ユーザー機器は、
プロセッサと、
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、前記命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザー機器を、
前記ユーザー機器がRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する第1の信号を前記第2の基地局に送信する前に、前記第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することであって、前記第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、
前記第1の基地局に接続される前に前記ユーザー機器が接続した基地局から受信された前記第2のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータに基づいて、又は、
前記第1の基地局から、又は前記第1の基地局に接続される前に前記ユーザー機器が接続した基地局から受信された前記第2のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータがない場合、前記第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値に基づいて、前記第1の信号を前記第2の基地局に送信する前に、前記ユーザー機器が決定することと、
前記第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値として、前記第1の信号を前記第2の基地局に送信する前に前記ユーザー機器において決定した前記値を使用して、前記第2の基地局とのアップリンク送信を実行することとを実行するよう構成する非一時的コンピューター可読媒体とを含む、ユーザー機器。
【請求項6】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するために第2の基地局により実行される方法であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは前記第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記方法は、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、決定した前記値に関するデータを他の基地局を介して前記ユーザー機器に送信することと、
前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に前記第2の基地局が前記データを前記ユーザー機器に送信しておくことで、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を使用して、前記ユーザー機器に前記第2の基地局との間のアップリンク送信を実行させることとを含み、
前記第1のセル及び前記第2のセルが同じ衛星によってサポートされている場合、且つ、前記第1の基地局及び前記第2の基地局が同位置特定されている場合、前記決定された値は、前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と同じである、方法。
【請求項7】
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、前記第2のセル内の別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は、以前に使用された少なくとも1つの値に基づいて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のセルにおける前記別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は以前に使用された前記少なくとも1つの値は、
前記第2のセルに接続した後の前記別のユーザー機器の第1のアップリンク送信、又は、
前記第2のセルに接続する前の前記別のユーザー機器と前記第2の基地局との間のアップリンク送信用に、前記第2のセルの前記別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用、又は以前に使用されている、請求項に記載の方法。
【請求項9】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するために第2の基地局により実行される方法であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは前記第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記方法は、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、決定した前記値に関するデータを他の基地局を介して前記ユーザー機器に送信することと、
前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に前記第2の基地局が前記データを前記ユーザー機器に送信しておくことで、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を使用して、前記ユーザー機器に前記第2の基地局との間のアップリンク送信を実行させることとを含み、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、前記第2のセル内の別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は、以前に使用された少なくとも1つの値に基づいて決定され、
前記少なくとも1つの値は、タイムスタンプに関連付けられ、前記タイムスタンプは、前記少なくとも1つの値の決定の瞬間に対応し、前記少なくとも1つの値の前記決定の前記瞬間と、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値の前記決定との間の持続時間は、所定閾値未満である、方法。
【請求項10】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するために第2の基地局により実行される方法であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは前記第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記方法は、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、決定した前記値に関するデータを他の基地局を介して前記ユーザー機器に送信することと、
前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に前記第2の基地局が前記データを前記ユーザー機器に送信しておくことで、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を使用して、前記ユーザー機器に前記第2の基地局との間のアップリンク送信を実行させることとを含み、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、前記第2のセル内の別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は、以前に使用された少なくとも1つの値に基づいて決定され、
前記少なくとも1つの値は地理的領域に関連付けられており、前記少なくとも1つの値の決定の瞬間において、前記地理的領域は、前記第2のセルの地理的通信範囲と交差し、前記第2の基地局と前記ユーザー機器との間でアップリンク送信を実行する際、前記地理的領域は、前記第2のセルの前記地理的通信範囲と交差する、方法。
【請求項11】
前記第2のセルにおける前記別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は以前に使用された前記少なくとも1つの値は、
前記第2のセルに接続した後の前記別のユーザー機器の第1のアップリンク送信、又は、
前記第2のセルに接続する前の前記別のユーザー機器と前記第2の基地局との間のアップリンク送信用に、前記第2のセルの前記別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用、又は以前に使用されている、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のセル及び前記第2のセルが同じ衛星によってサポートされている場合、且つ、前記第1の基地局及び前記第2の基地局が同位置特定されている場合、前記決定された値は、前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と同じである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、前記第2の基地局により決定される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の基地局によって、前記第1の基地局に、又は前記第1の基地局に接続する前に、前記ユーザー機器が接続しているか、若しくは今後接続する基地局に、前記第2のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを送信することを更に含み、前記第2のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関連する前記データは、前記第2の基地局で決定された前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値に対応する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するために第2の基地局により実行される方法であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは前記第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記方法は、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、決定した前記値に関するデータを他の基地局を介して前記ユーザー機器に送信することと、
前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に前記第2の基地局が前記データを前記ユーザー機器に送信しておくことで、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を使用して、前記ユーザー機器に前記第2の基地局との間のアップリンク送信を実行させることとを含み、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される少なくとも1つの値に基づいて決定される、方法。
【請求項16】
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される少なくとも1つの値に基づいて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、少なくとも、
前記第1のセルの前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される最小値、及び/又は、
第1のビームのフットプリントの中心の位置に対する第2のビームのフットプリントの中心の位置であって、前記第1のビームは、前記第1の基地局によって前記ユーザー機器と通信するために使用され、前記第2のビームは、前記第2の基地局と前記ユーザー機器との間の前記アップリンク送信を実行するために前記第2の基地局によって使用される位置、及び/又は、
前記第1のセルの地理的通信範囲の位置、及び/又は、
前記第2のセルの地理的通信範囲の位置、及び/又は、
前記第1のセルの前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される前記値の変化、及び/又は、
前記ユーザー機器が前記第1の基地局に接続するためのハンドオーバーを実行した後の所与の時間、又は前記ユーザー機器が前記第2の基地局に接続するためのハンドオーバーを実行する前の所与の時間において決定された前記第1のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値、及び/又は、
衛星の移動方向、
に基づいて決定される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の基地局から、又は、前記ユーザー機器が前記第1の基地局に接続される前に接続されていた基地局から、前記決定された値に対応する、前記第2のセルにおける前記ユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータを前記ユーザー機器に送信することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項19】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するよう構成された第2の基地局であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記第2の基地局は、
プロセッサと、
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、前記命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記第2の基地局を、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、決定した前記値に関するデータを他の基地局を介して前記ユーザー機器に送信することと、
前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に前記第2の基地局が前記データを前記ユーザー機器に送信しておくことで、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を使用して、前記ユーザー機器に前記第2の基地局との間のアップリンク送信を実行させることとを実行するよう構成する非一時的コンピューター可読媒体とを含み、
前記第1のセル及び前記第2のセルが同じ衛星によってサポートされている場合、且つ、前記第1の基地局及び前記第2の基地局が同位置特定されている場合、前記決定された値は、前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と同じである、方法。
【請求項20】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するよう構成された第2の基地局であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記第2の基地局は、
プロセッサと、
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、前記命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記第2の基地局を、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、決定した前記値に関するデータを他の基地局を介して前記ユーザー機器に送信することと、
前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に前記第2の基地局が前記データを前記ユーザー機器に送信しておくことで、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を使用して、前記ユーザー機器に前記第2の基地局との間のアップリンク送信を実行させることとを実行するよう構成する非一時的コンピューター可読媒体とを含み、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値は、前記第1のセル内の前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される少なくとも1つの値に基づいて決定される、方法。
【請求項21】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するために第1の基地局により実行される方法であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは前記第1の基地局に対応し、前記第2のセルは第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記方法は、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することと、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を、前記ユーザー機器に送信することとを含み、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に、前記第1の基地局によって、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を、前記第2の基地局に送信することをさらに含む、方法。
【請求項22】
衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するよう構成された第1の基地局であって、前記第1のセル及び前記第2のセルは、前記衛星通信ネットワークの1つ以上の非静止軌道衛星によってサポートされており、前記第1のセルは第1の基地局に対応し、前記第2のセルは第2の基地局に対応し、前記第1の基地局または前記第2の基地局は、前記第1のセルまたは前記第2のセルを通して前記ユーザー機器と送受信を行うものであって、前記1つ以上の非静止軌道衛星を介して無線信号を用いて前記送受信を行い、前記第1の基地局は、
プロセッサと、
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、前記命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記第1の基地局を、
前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することと、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器からRACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信に相当する信号を受信する前に、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき前記値を、前記ユーザー機器に送信することとを実行するよう構成する非一時的コンピューター可読媒体とを含み、
前記第2の基地局が前記ユーザー機器から前記信号を受信する前に、前記第1の基地局によって、前記第2のセルにおいて前記ユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を、前記第2の基地局に送信することをさらに含む、第1の基地局。
【請求項23】
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、前記命令は、プロセッサにより実行されると、請求項に記載の第2の基地局により実行される方法を実施する、非一時的コンピューター可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、通信システムの分野に関し、より具体的には、衛星通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非静止軌道衛星を伴う衛星通信ネットワークでは、衛星は絶えず動いている。このような通信ネットワークにおいて、ユーザー機器(UE)は、それらの地理的領域をカバーする次の衛星ビームを介してネットワークに接続し続けるために、ハンドオーバーを行うことが多い。こうしたハンドオーバーでは、無線リソースの消費を伴う膨大な量のシグナリングが必要となる。
【0003】
衛星ビームが広い地理的範囲をカバーすることが多いこと、及び、これらの衛星の相対的な地上速度が非常に大きいことによって、シグナリング量が増加する。実際、この状況において、1ビームでカバーされるUEの数は極めて多い可能性があり、これらUEがそれぞれ同じ衛星ビームでカバーされる時間は非常に短いので、多くのUEがハンドオーバーを実行する時間は、非常に短時間となり得る。
【0004】
このような衛星通信ネットワークでは、UEと基地局との間に長いラウンドトリップタイム(RTT)が存在するという問題もある。したがって、ハンドオーバー中、UEが初期アクセスに比べてより迅速にターゲットセルにアクセスできるよう、ターゲットセル(ターゲット基地局)がUEに無線リソースを事前に割り当てるので、RTTがこのように長いと、干渉を避けるために、ターゲットセルには、UEにハンドオーバー(HO)するための多くの無線リソースを事前に割り当てることが求められる。また、ラウンドトリップタイム(RTT)が長いと、ハンドオーバー中に必要なシグナリングも増加する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、この状況を改善することを目指す。
【0006】
そのため、本発明は、衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間でハンドオーバーを実行するためにユーザー機器により実行される方法であって、第1のセル及び第2のセルは、衛星通信ネットワークの1つ以上の衛星によってサポートされており、第1のセルは第1の基地局に対応し、第2のセルは第2の基地局に対応し、少なくとも第1のセルは、衛星通信ネットワークの非静止軌道衛星によってサポートされており、方法は、
第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することであって、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、
第1の基地局から、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続した基地局から受信された第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータ、又は、
第1の基地局から、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続した基地局から受信された第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータがない場合、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値に基づいて、決定されることと、
第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用して、第2の基地局とのアップリンク送信を実行することとを含む、方法に関する。
【0007】
それゆえ、ユーザー機器と第2の基地局、すなわち、ハンドオーバー後にユーザー機器が接続する基地局との間でアップリンク通信を実行するために、ユーザー機器が第2の基地局(通常は、タイミングアドバンスを推定し、ハンドオーバー中にこれをUEに送信する)からタイミングアドバンスを受信することは、これ以上必要ない。したがって、ハンドオーバー中に必要とされるシグナリング量及び計算量が、少なくなる。さらに、このような手順では、自身の位置を特定することができるユーザー機器(例えば、全地球的航法衛星システムを使用する)、又は高い計算能力を備えたユーザー機器は必要ない。
【0008】
ユーザー機器は、従来のハンドオーバー手順よりも計算量を抑えて、更に、少なくともシグナリングも抑えて、ハンドオーバーを実行できる。実際、従来のハンドオーバー手順の間、第2の基地局(第2のセル、又はターゲットセル)は、ユーザー機器により第2の基地局へ送信される信号に基づいて、第2のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンス(TA)として使用されるべき値を推定する。例えば、LTE、Advanced LTE、又はNew Radio等の無線通信規格では、基地局がユーザー機器から受信したRACH手順の第1のメッセージ(RACH手順のMsg1)に基づいて、TAを推定する。その後、同じRACH手順で、基地局によって推定されたTAの値(RACH手順のMsg2)がUEに送信され、UEはこれを使用して、第2のセルを通じて信号を放射する際、時間遅延を導入する。
【0009】
それゆえ、本発明によって、ハンドオーバー中の計算量及びシグナリングを削減できる、例えば、大抵の無線規格(例えば、LTE、Advanced LTE、又はNew Radio)の状況において、ハンドオーバー手順中に1つのメッセージ(例えば、RACHプリアンブル、又はRACH手順中に第2の基地局から送られる第2のメッセージ(Msg2)、及び/又は、場合によっては、RACH手順を完全にスキップすること)を削除可能となり得る。これらのメッセージを削除することで、ハンドオーバーのレイテンシーを短縮できる。さらに、ユーザー機器(最終的には、第2の基地局)がタイミングアドバンス値に基づく時間オフセットをまだ実装していない場合(信号が伝搬するのに必要な時間を補償するために)、ハンドオーバー手順中の第2の基地局とユーザー機器との間の交換において、第2の基地局が従来式の交換よりもはるかに多くの無線リソースを確保する必要があるので、これらのメッセージを削除すると(又は、少なくともこれらのメッセージの送信中にタイミングアドバンスオフセットを適用すると)、無線リソースを大量に解放することもできる。実際、第2の基地局は、これらの交換の受信時刻を予測できないため(又は、予測が単に不十分であるため)、他の送信との干渉を避けるために(ひいては、アクセス手順の失敗数を減らすために)、第2の基地局は信号伝搬で起こり得る遅延を考慮に入れて、大量の無線リソースを確保する必要がある。それゆえ、ハンドオーバー手順を実行する前、且つ、ユーザー機器が基地局(すなわち、第1の基地局、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続していた基地局)に接続している間、第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値をユーザー機器で決定すると、無線リソースの消費が抑えられる。
【0010】
第2の基地局が第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用して実施するアップリンク送信は、ハンドオーバー手順中(例えば、4ステップRACH手順のMsg1、若しくはMsg3、又は、改良RACH手順中のアップリンクメッセージ)、又はハンドオーバー手順の後(例えば、ハンドオーバー後に実行される第1のアップリンク送信)で実施されるアップリンク送信、さらには、例えば、ハンドオーバー時にRACH手順が必要ない場合、第2の基地局との間で行われる第1のアップリンク送信のいずれかであり得る。
【0011】
したがって、本方法は、ハンドオーバー手順を実行することも更に含むことができる。第2のセル(ターゲットセル)を通じて、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータを送信することなしに、このようなハンドオーバーを実施できる。実行されるアップリンク送信を、ハンドオーバー手順の一部として実行可能である。しかし、実行されるアップリンク送信を、ハンドオーバー手順の時間枠外、例えば、ハンドオーバー手順の後、又は前に実施してもよい。
【0012】
つまり、第2のセルを通じて、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータを受信することなしに、ユーザー機器は第2のセルに接続可能である。
【0013】
第2の基地局が、第2の基地局へのユーザー機器アクセス手順中、第2のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を測定することは、これ以上必要ない。
【0014】
しかしながら、ユーザー機器は、依然として、第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用してハンドオーバーを実行しながら、第2のセルでユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータを受信することができる。例えば、アップリンク送信を行う際に使用するタイミングアドバンス値を微修正するために、第2の基地局は、第2のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータを送信することができる。しかし、この場合、本発明では、使用されるべき理想値と使用されるべき決定値とのずれが小さいので、ハンドオーバー手順(上述)中に必要な無線リソースを削減することができる。
【0015】
タイミングアドバンス値、若しくはタイミングアドバンスとして使用されるべき、又は使用される値から分かるべきこととして、この値は信号がユーザー機器から基地局に到達するのにかかる時間に対応する値であるということである。
【0016】
値の決定から分かるべきこととして、この決定は、ユーザー機器によって、ユーザー機器が少なくとも第2の基地局とのアップリンク通信を構成するのに使用できる値が決定されるということである。したがって、この決定の出力は、第2のセルのタイミングアドバンスとして使用されるべき値である。
【0017】
この決定は、第1の基地局から、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続した基地局から受信された第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータに基づき得る。
【0018】
第2の基地局に接続する前にユーザー機器が接続していた基地局から、このデータは受信される。したがって、ユーザー機器と第2の基地局との間でアップリンク通信を行う前に、このデータは受信される。
【0019】
また、この決定は、第1の基地局から、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続した基地局から受信された第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータがない場合、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値に基づき得る。それゆえ、第2のセルにユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータがない場合、ユーザー機器は、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値を使用して、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することができる。例えば、ユーザー機器は、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値と同じであることを決定する。
【0020】
また、この決定は、第2のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスの変動の関数にも基づき得る。したがって、ユーザー機器は、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータとして、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスの変動を表すデータ、例えば、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスの変動に関する様々な関数を表す一連のインデックス中のインデックス、又は第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスの変動の汎用関数に設定されるべきパラメーターを表す値を受信する。このインデックス、又は数値に基づいて、ユーザー機器は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスの変動の関数を取得し、この関数に基づいて、ユーザー機器は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンス値として使用されるべき値を決定できる。例えば、本開示で述べるように、t=0における関数の出力は、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値でよい。ユーザー機器は、t>0における関数の出力に基づいて、第2のセルにおけるユーザー機器用に使用されるべき以下の値を決定可能であり、tは、ユーザー機器の第2の基地局への接続以降の経過時間を表す。したがって、第2のセルにおけるタイミングアドバンス値の更新には、シグナリングを必要としないか、少なくとも少ないシグナリングで済ませられる(タイミングアドバンス値を補正するためにシグナリングが必要な場合もあるが、関数を介して、しかし第2の基地局からのフィードバックを介してタイミングアドバンス値を絶えず更新しない場合、関数で決定された更新値と補正値とのずれが、ユーザー機器で使用されるタイミングアドバンス値と第2の基地局によりシグナリングされた更新値とのずれよりも小さいので、このような補正は、より少ない頻度で、及び/又は、シグナリングをより抑えて行うことができる)。
【0021】
また、この決定は、第1のセル、及び/又は第2のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスの変動の関数にも基づき得る。適宜、補足的な時差もこの決定に使用することができる。例えば、本開示で述べるように、ユーザー機器が、時刻t’における第1のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスの変動の関数に基づくタイミングアドバンス値を使用する場合、t=t’+Δtにおける第1のセル、及び/又は第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスの変動の関数の出力は、時刻t’+Δtにおける第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値でよい。
【0022】
第1のセルのタイミングアドバンスとして使用される値から分かるべきこととして、この値はユーザー機器によって第1のセルのタイミングアドバンスとして使用される値のいずれか1つということである。実際、基地局に接続されると、地表に対して相対的に移動する非静止軌道衛星の場合は特に、ユーザー機器のタイミングアドバンスが継続的に更新される。ユーザー機器が第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する際のベースとなる第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値は、例えば、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される最初、又は最後の値であり得る。別の例では、ユーザー機器が第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する際のベースとなる第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値は、例えば、第1のセルにおけるタイミングアドバンスの変動の関数の値、又はインデックスであり得る。
【0023】
特定セルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される(又は、使用されるべき)値から分かるべきこととして、ユーザー機器が、この値に基づく時間オフセットを適用して、信号がユーザー機器から基地局まで伝播する、つまり、移動するのに必要な時間を補償するということである。また、この特定セルに対応する基地局は、この値を使用して、ユーザー機器に合わせてスケジューリングされたリソースを決定することもできる。したがって、基地局及びユーザー機器はこの値を使用できる。
【0024】
タイミングアドバンスに関連するデータから分かるべきこととして、このデータは、ユーザー機器がタイミングアドバンス値を決定可能にするデータであるということである。
【0025】
第1のセルと第2のセルとの間でのハンドオーバーの実行から分かるべきこととして、このハンドオーバーとは、第1の基地局に接続されたユーザー機器が第2の基地局に接続するということである。第1の基地局との接続を解除してもよい。それゆえ、第1のセルで確立されたユーザー機器との通信、又は、第1のセルを介したユーザー機器へのデータ送信は、これらが完了しない場合、第2のセルを通じて継続されることとなる。
【0026】
衛星通信ネットワークから分かるべきこととして、このネットワークは、衛星を利用して、ユーザー機器からの無線信号を受信して、及び/又はユーザー機器に無線信号を放射して、通信ネットワークのユーザー機器と通信を行う通信ネットワークであるということである。衛星通信ネットワークは、通信ネットワークのユーザー機器との物理的リンクを確立するために衛星のみを使用することもできるし、非衛星機器、例えば、地上のアンテナ若しくはゲートウェイを使用することもできる。衛星通信ネットワークは、ハイブリッドネットワーク、つまり、衛星-地上ネットワークに組み込まれる場合もある。
【0027】
基地局に対応するセルから分かるべきこととして、このセルは、基地局との接続時に、ユーザー機器が無線信号を送受信可能とするセルということである。
【0028】
衛星によりサポートされているセルから分かるべきこととして、このサポートでは、セルを通してユーザー機器に送信すること、又は、セルを通してユーザー機器から受信することは、ユーザー機器と衛星との間で無線信号を送信することを伴うということである。セルは、1つ以上のビームを含み得る。
【0029】
非静止軌道衛星とは、地球に対して相対的に移動する衛星のことである。
【0030】
非静止軌道衛星とは、固定ビームを備えた衛星、例えば、操作不可能なアンテナパネルを備え、衛星に対して一定の方向を指すことで、地球に対する衛星の動きによって地球表面に対して移動するフットプリントを地球の表面に配置するビームを有する非静止衛星であり得る。
【0031】
本発明の一態様によると、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータは、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータ、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が第1のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と異なることをユーザー機器に通知するデータ、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が第1のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と同じことをユーザー機器に通知するデータの少なくとも1つを含む。
【0032】
第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値と異なることを通知するデータをユーザー機器に送ることで、第2の基地局に接続する際にタイミングアドバンスを更新する必要がないことをユーザー機器に通知するのに必要なシグナリングを容易に削除できる(つまり、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値と同じであることをユーザー機器に通知するシグナリングを除去できる)。このデータに基づいて、ユーザー機器は、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルでユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値とは異なること、又は、同義的に、第1のセルから第2のセルへのハンドオーバーを実行する際、タイミングアドバンスとして使用されるべき値を更新する必要があることを決定する。それゆえ、第1の基地局に接続した後、第2の基地局に接続する際、ユーザー機器がタイミングアドバンスの値を更新する必要がある場合にのみ、データを送信できる。かくして、タイムアドバンスの更新が必要とされないハンドオーバー中は、シグナリングがないか、少なくともシグナリングを抑えられる。それゆえ、この場合、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値と同じである場合、タイミングアドバンスに関連するデータを送信できない。したがって、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータがユーザー機器によって受信されない場合、ユーザー機器は、第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルで使用される値(例えば、第1のセルで使用される最終タイミングアドバンス値)であることを決定できる。タイミングアドバンス値の更新が必要な場合、従来の手順を使用して更新を実行できる。例えば、第1のセル及び第2のセルが、同じ衛星によってサポートされていないか、又は第1の基地局及び第2の基地局が同位置特定(co-localized)されていない場合、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と異なることをユーザー機器に通知するこのようなデータをユーザー機器に送信できる。
【0033】
タイミングアドバンス値、又はタイミングアドバンス値として使用されるべき値を更新することから分かるべきこととして、ユーザー機器のタイミングアドバンス値は、ユーザー機器が第1のセルにおいてタイミングアドバンスとして以前使用した値(第1の基地局と接続している間に最後に使用した値)と第2のセルで使用されるべき新値との間で変化するということである。
【0034】
第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値と同じであることを通知するデータをユーザー機器に送信すると、第2の基地局がタイミングアドバンスの値を計算し、この値をハンドオーバー手順中に送信することを回避することができる。この場合、第1のセルから第2のセルへのハンドオーバーを実行する際、ユーザー機器のタイミングアドバンス値の更新は行われない。例えば、第1のセル及び第2のセルが同じ衛星によってサポートされ、第1の基地局及び第2の基地局が同位置特定されている場合、ユーザー機器に通知するこのようなデータを送信できる。
【0035】
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータをユーザー機器に送信すると、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルで使用される値と異なる場合でも、ユーザー機器は、第2のセルにおいて使用されるべきタイミングアドバンス値を決定できる。第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値と異なる場合、例えば、第1のセル及び第2のセルが、同じ衛星によってサポートされていないか、又は第1の基地局及び第2の基地局が同位置特定されていない場合、この情報は有益である。
【0036】
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するこのようなデータは、以下の少なくとも1つを含み得る:
値に対応するデータ、例えば、この値を含むデータ、又は、この値を符号化するデータ、若しくは、値の計算を可能にするインデックス、及び/又は関数に相当するデータ。それゆえ、ユーザー機器は、データから直接、第2のセルで使用されるべきタイミングアドバンス値を決定することができる。
第1のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値からのずれに対応するデータ。それゆえ、ユーザー機器は、簡単な操作で、第2のセルにおいて使用されるべきタイミングアドバンス値を決定することができる。
汎用値からのずれに対応するデータ。それゆえ、ユーザー機器は、簡単な操作で、第2のセルにおいて使用されるべきタイミングアドバンス値を決定することができる。このような汎用値は、衛星ネットワークへの最初の接続を実行する際に、ユーザー機器により知られ得る、例えば、ユーザー機器によって記憶され得る。汎用値は、例えば、ネットワーク汎用値、又は衛星汎用値(各衛星用に指定される)、又は、基地局汎用値(すなわち、各基地局用に指定される)であるか、若しくは、例えば、ビーム、ビーム群、又は基地局群、若しくはユーザー群に共通の値であり得る。また、汎用値は、関数又は変動関数のインデックスであってもよい。
基準信号受信電力RSRPの値に関連するデータ。それゆえ、ユーザー機器は、シグナリングされたRSRP閾値(例えば、条件付きハンドオーバー手順のRSRP閾値)、及びこの値とターゲットセルのタイミングアドバンス値との一致に基づいて、第2のセルにおいて使用されるべきタイミングアドバンス値を決定できる。
【0037】
本発明の一態様によると、第2の基地局と実行するアップリンク送信は、第2の基地局と実行する第1のアップリンク送信である。
【0038】
それゆえ、ユーザー機器と第2の基地局との間で行われる第1のアップリンク送信では、ユーザー機器で決定された値が使用される。これにより、第2の基地局が第1のアップリンク送信を受信するために確保する無線リソースを削減することができる。実際、精確なタイミングアドバンス値を導入せずに(又は、タイミングアドバンスを一切実施せずに)第1のアップリンク送信を行うと、第2の基地局側で第1のアップリンク送信が揃わない。それゆえ、第1のアップリンク送信(第2の基地局用のユーザー機器から放射される第1の信号)が別のユーザー機器からの他のアップリンク無線信号と絶対に干渉しないように、第2の基地局はより多くの無線リソースを確保しなければならなくなる。さらに、衛星通信の状況では、同一セル内のユーザー機器がタイミングアドバンスとして使用する値は、地上通信と比較して非常に大きい場合があり、その上、地上波通信の状況と比較して、互いに著しく異なる場合がある。したがって、第1のアップリンク送信で必要とされる確保済み無線リソースの量が大きくなる場合がある。NRの状況では、これらの確保された無線リソースは、例えば、ハンドオーバー手順の間に実施される4ステップRACH手順の状況で構成されるプリアンブル受信ウィンドウに対応する。
【0039】
本発明の第2の態様は、衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間でハンドオーバーを実行するように構成されたユーザー機器であって、第1のセル及び第2のセルは、衛星通信ネットワークの1つ以上の衛星によってサポートされており、第1のセルは第1の基地局に対応し、第2のセルは第2の基地局に対応し、少なくとも第1のセルは、衛星通信ネットワークの非静止軌道衛星によってサポートされており、ユーザー機器は、
プロセッサと、
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、命令は、プロセッサにより実行されると、ユーザー機器を、
第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することであって、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、
第1の基地局から、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続した基地局から受信された第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータ、又は、
第1の基地局から、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続した基地局から受信された第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータがない場合、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値に基づいて、決定することと、
第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用して、第2の基地局とのアップリンク送信を実行することとを実行するよう構成する非一時的コンピューター可読媒体とを含む、ユーザー機器に関する。
本発明の第3の態様は、衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理する方法であって、第1のセル及び第2のセルは、衛星通信ネットワークの1つ以上の衛星によってサポートされており、第1のセルは第1の基地局に対応し、第2のセルは第2の基地局に対応し、少なくとも第1のセルは、衛星通信ネットワークの非静止軌道衛星によってサポートされており、方法は、
第2の基地局がユーザー機器から信号を受信する前に、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することと、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用して、第2の基地局とユーザー機器との間のアップリンク送信を実行することとを含む、方法に関する。
【0040】
それゆえ、ユーザー機器と第2の基地局、つまり、ユーザー機器が接続する基地局との間でアップリンク通信を行うために、第2の基地局が、ユーザー機器から受信したアップリンク信号に基づいて、ターゲット基地局がユーザー機器へのアップリンクリソースをスケジューリングできるようにするために知る必要があるタイミングアドバンス値を推定することは、これ以上必要無くなる。したがって、スケジューリングは、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用され、事前に決定された値に基づいて実行できる。さらに、ユーザー機器が、前述のように、又は位置情報を使用して(例えば、GNSSを使用して)本発明に従ってハンドオーバーを実行する前に使用されるべきタイミングアドバンス値を決定できる場合、第2の基地局がシグナリングを通じてタイミングアドバンスデータを送信することは、これ以上必要ない。また、ユーザー機器が第2の基地局にタイミングアドバンスデータを送信する必要もない。したがって、ユーザー機器が第2の基地局に接続できるようになるために必要なシグナリングが少なくなる(例えば、ハンドオーバーの実行中)。
【0041】
さらに、第2の基地局がユーザー機器から何らかの信号を受信する前に、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が決定されるので、ユーザー機器と第2の基地局との接続中に、ユーザー機器のタイミングアドバンスを推定するために必要な計算量が抑えられる。それゆえ、ユーザー機器を第1のセルから第2のセルにハンドオーバーするハンドオーバー手順中、必要な計算量が抑えられる。第2の基地局が、ハンドオーバー手順中に第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を測定することは、これ以上必要ない。
【0042】
それゆえ、これまで述べたように、本発明によって、ハンドオーバー中の計算量及びシグナリングを削減できる、例えば、大抵の無線規格(例えば、LTE、Advanced LTE、又はNew Radio)の状況において、ハンドオーバー手順中に1つのメッセージ(例えば、RACHプリアンブル、又はRACH手順中に第2の基地局から送られる第2のメッセージ(Msg2)、及び/又は、場合によっては、RACH手順を完全にスキップすること)を削除可能となり得る。これらのメッセージを削除することで、ハンドオーバーのレイテンシーを短縮できる。さらに、ユーザー機器(最終的には、第2の基地局)がタイミングアドバンス値に基づく時間オフセットをまだ実装していない場合(信号が伝搬するのに必要な時間を補償するために)、ハンドオーバー手順中の第2の基地局とユーザー機器との間の交換において、第2の基地局が従来式の交換よりもはるかに多くの無線リソースを確保する必要があるので、これらのメッセージを削除すると(又は、少なくともこれらのメッセージの送信中にタイミングアドバンスオフセットを適用する)、無線リソースを大量に解放することもできる。実際、第2の基地局は、これらの交換の受信時刻を予測できないため(又は、予測が単に不十分であるため)、他の送信との干渉を避けるために(ひいては、アクセス手順の失敗数を減らすために)、第2の基地局は信号伝搬で起こり得る遅延を考慮に入れて、大量の無線リソースを確保する必要がある。それゆえ、ハンドオーバー手順を実行する前、且つ、ユーザー機器が基地局(すなわち、第1の基地局、又は第1の基地局に接続される前にユーザー機器が接続していた基地局)に接続している間、第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値をネットワークで決定すると、無線リソースの消費が抑えられる。
【0043】
第2の基地局が第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用して実施するアップリンク送信は、ハンドオーバー手順中(例えば、4ステップRACH手順のMsg1、若しくはMsg3、又は、改良RACH手順中のアップリンクメッセージ)、又はハンドオーバー手順の後(例えば、ハンドオーバー後に実行される第1のアップリンク送信)で実施されるアップリンク送信、さらには、第2の基地局との間で行われる第1のアップリンク送信(例えば、RACH手順が必要ない(required or needed)場合)のいずれかであり得る。
【0044】
方法は更に、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバー手順を実行することも含み得る。第2のセル(ターゲットセル)を通じて、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に関するデータをユーザー機器に送信することなしに、このようなハンドオーバーを実施できる。実行されるアップリンク送信を、ハンドオーバー手順の一部として実行可能である。しかし、実行されるアップリンク送信を、ハンドオーバー手順の時間枠外、例えば、ハンドオーバー手順の後、又は前に実施してもよい。方法は更に、確保された無線リソースを減らしてハンドオーバー手順を実行することも含み得る。
【0045】
タイミングアドバンス値を使用して、第2の基地局とユーザー機器との間でアップリンク送信を実行することから分かるべきこととして、このアップリンク送信では、第2の基地局が、決定されたタイミングアドバンス値に基づいてアップリンク送信を構成するということである。例えば、第2の基地局は、決定されたタイミングアドバンス値に基づいて、ユーザー機器に割り当てられたアップリンクリソースをスケジューリングすることができる。
【0046】
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することから分かるべきこととして、この決定では、第1の基地局、第2の基地局、又はユーザー機器を除く他のネットワークエンティティ(又は、これらのネットワークエンティティの2つ以上の任意の組み合わせ)のいずれかが、第2のセルで使用されるべきタイミングアドバンス値を決定するということである。この決定は、第2の基地局がユーザー機器から信号を受信する前に行われる、つまり、ユーザー機器と第2の基地局との間で直接データ交換を一切行うことなく、この決定が行われる。したがって、この決定は、第1の基地局と第2の基地局との間のユーザー機器のハンドオーバー手順の前に行われ得る。
【0047】
タイミングアドバンス値の決定は、衛星ネットワークトポロジー(ビーム及び衛星トポロジー)、及び/又は、各セルをサポートするネットワークの衛星、及び/又は、各セルに対応する基地局が地上にあるか(透過ペイロード搭載衛星とも称する)、又は、全体又は一部が衛星に搭載されているか(再生式ペイロード搭載衛星とも称する)、及び/又は、基地局同士の相対的な物理的位置関係(同位置特定されているか否か)に基づいて、実施される。このような要素は、タイミングアドバンス値を決定するネットワークエンティティ(第1の基地局、若しくは第2の基地局、若しくは別のエンティティ(ユーザー機器を除く)、又はこれらのエンティティの幾つか)によって知られ得る。つまり、第1のセル及び第2のセルが同一の衛星によってサポートされているかどうか、並びに、第1の基地局及び第2の基地局が同位置特定されているかどうかを決定することは、とりわけ、ネットワーク及び/又は基地局を構成又は再構成する際、衛星が決定論的な軌道をとるので実施可能であり、又は、構成(例えば、運用保守構成(O&M))により取得可能な他の衛星、及び/又はビームの位置、及び/又は、基地局間交換(例えば、Xnリンクを通じた基地局間構成交換)の情報に基づいて、より動的な方法で実施できる。
【0048】
この値を決定するために、ネットワークエンティティ(ユーザー機器を除く)は、第2のセルにおいてユーザー機器によって使用されるべきタイミングアドバンス値が、第1のセルにおいてユーザー機器が使用するタイミングアドバンス値と同じであるか、又は異なるかを決定する。第2のセルにおいてユーザー機器によって使用されるべきタイミングアドバンス値が、第1のセルのユーザー機器が使用するタイミングアドバンス値と異なる場合、上記値を決定することは、第2のセルにおいてユーザー機器によって使用されるべきタイミングアドバンス値を算出することも含み得る。以下に、幾つかの計算方法を示す。
【0049】
ネットワークエンティティとは、第1の基地局、第2の基地局、衛星ネットワークの別の基地局、又はユーザー機器以外の衛星ネットワークの他のエンティティの1つを称する。ネットワークエンティティは、少なくとも、第2のセルにおいてユーザー機器によって使用されるべき値を決定する。さらに、説明をしやすくするために、以下では、ネットワークエンティティという語句は、ネットワークエンティティが、ユーザー機器以外の幾つかのネットワークエンティティ(例えば、第1の基地局及び第2の基地局)を含む事例も称する。
【0050】
本発明の一態様によると、第1のセル及び第2のセルが同じ衛星によってサポートされている場合、且つ、第1の基地局及び第2の基地局が同位置特定されている場合、決定された値は、第1のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と同じである。変形形態として、決定された値、及び第1のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値は、時間に対するタイミングアドバンスの変動の同じ関数の値である。
【0051】
それゆえ、ビームトポロジー及び第1の基地局に対する第2の基地局の位置に関するこれらの特定条件において、ネットワークエンティティは、第1のセルで使用されたものと同じタイミングアドバンス値(及び/又は、同じ変動関数)を、第2のセルで使用してもよいことを決定する。実際、基地局が同じ衛星で同位置特定されて搭載されているか(ひいては、これらの基地局に対応するセルが、同じ衛星によってサポートされる)、又は地上で同位置特定されている場合、及び、これらの基地局に対応するセルが、同じ衛星によってサポートされている場合、ユーザー機器から放射された信号は、第1の基地局に到達するまでの時間が第2の基地局と同じであり、かくして、第1のセルで使用したタイミングアドバンス値を第2のセルで使用することができる。さらに、ユーザー機器が第1のセル及び第2のセルを通過する際の時間に対するユーザー機器のタイミングアドバンスの変動を記述する関数が、ハンドオーバー時間に依存しない。
【0052】
ネットワークのトポロジーに基づいて、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、複雑な計算を一切必要とせずに決定される。タイミングアドバンス値を決定するネットワークエンティティは、第1のセルで使用されたタイミングアドバンス値を第2のセルのタイミングアドバンス値として使用することができる。
【0053】
同位置特定された基地局とは、物理的に同じ地理的位置にある基地局、例えば、同じ衛星上、又は同じ場所/ゲートウェイにある地上の基地局を称する。同義的に、これらの基地局から放射された信号が、これらの2つの基地局に対応するセルをサポートする衛星に到達するのに要する時間が常に同じである場合、2つの基地局は同位置特定されていることになる。
【0054】
本発明の一態様によると、第1のセル及び第2のセルが異なる衛星によってサポートされている場合、又は、第1の基地局及び第2の基地局が同位置特定されていない場合、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、第1のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値とは異なる。
【0055】
本発明の一態様によると、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値の決定(例えば、計算)は、第2のセル内の別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は、以前に使用された少なくとも1つの値に基づく。
【0056】
タイミングアドバンスとして使用される、又は以前に使用された少なくとも1つの値は、既に本開示の方法に従って計算され、又は、任意の既存の方法に従って測定されており、それゆえ、これを第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用すると、複雑な計算を一切必要とせずに、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用する値を正確に決定することが可能である。例えば、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、第2のセルにおける別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は以前に使用された値である。
【0057】
第2のセルにおいて別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は以前に使用された少なくとも1つの値の決定は、ネットワークエンティティ、例えば、第2の基地局によって実行可能である。
【0058】
本発明の一態様によると、第2のセルにおける別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される、又は以前に使用された少なくとも1つの値は、
第2のセルに接続する前(例えば、ハンドオーバー手順中)の別のユーザー機器と第2の基地局との間のアップリンク送信、又は、
第2のセルに接続した後の別のユーザー機器の第1のアップリンク送信用に、第2のセルの別のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用、又は以前に使用されている。
【0059】
それゆえ、第2のセルにおけるアップリンク送信用に使用される少なくとも1つの値は、別のユーザー機器がユーザー機器と同様の状況にある間、つまり、両ユーザー機器が第2のセルの周辺にある間に使用される。かくして、この少なくとも1つの値に基づいて、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定すると、より正確である。例えば、ネットワークエンティティは、ユーザー機器のタイミングアドバンス値を、上記少なくとも1つの値と同じであると決定することができる。
【0060】
また、別のユーザー機器は、第1のセルから第2のセルへのハンドオーバーを実行することもできるので、ユーザー機器と別のユーザー機器との状況は、他のセルから第2のセルへのハンドオーバーを行ったユーザー機器と別のユーザー機器との状況よりも類似度が高い。実際、第1のセルと第2のセルとの重なりは、第2のセルと他のセルとの重なりと異なることがある。重なりがより大きくなる場合、ユーザー機器は、重なりの大きさが低い場合よりも、接続先のセルの中心の近くでハンドオーバーを実行できる。それゆえ、2つのセル同士の重なりに応じて、ユーザー機器がこれら2つのセル間でハンドオーバーを実行した際に使用されるタイミングアドバンス値は異なる場合がある。隣接する第1のビーム及び第2のビームを含む第1のセル及び第2のセルについて考える場合、第1のセル及び第2のセルは、LEO軌道に平行に展開され、LEO衛星の動きとは逆方向に番号が付けられていると理解され、衛星の移動度がユーザー機器の移動度よりもはるかに高いことにより、第1のセルのユーザー機器の大部分は、第2のセルに向かって(別の第3セルにはではない)ハンドオーバーを実行する。
【0061】
本発明の一態様によると、少なくとも1つの値は、タイムスタンプに関連付けられ、上記タイムスタンプは、少なくとも1つの値の決定の瞬間に対応し、少なくとも1つの値の決定の瞬間と、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値の決定との間の持続時間は、所定閾値未満である。
【0062】
それゆえ、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する前に、少なくとも1つの値の決定に非常に時間がかかった場合、第2のセルにおいてユーザー機器用のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、少なくとも1つの値に基づいて決定することができない。これにより、少なくとも1つの値の決定が、少し前に行われたので、ユーザー機器及び別のユーザー機器が限られた地理的領域(例えば、第1のセル及び第2のセルの重なり合う領域内、又はその付近)にあることを保証できる。したがって、別のユーザー機器はユーザー機器と同様の状況にある、つまり、両ユーザー機器は、限られた地理的領域内にあり、同じ高度にある可能性がある。かくして、この少なくとも1つの値に基づいて、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定すると、より正確である。
【0063】
本発明の一態様によると、少なくとも1つの値は地理的領域に関連付けられており、少なくとも1つの値の決定の瞬間において、上記地理的領域は、第2のセルの地理的通信範囲と交差し、第2の基地局とユーザー機器との間でアップリンク送信を実行する際、上記地理的領域は、第2のセルの地理的通信範囲と交差する。
【0064】
それゆえ、別のユーザー機器がユーザー機器の実際の位置から離れすぎている間、偶然少なくとも1つの値が決まった場合(タイミングアドバンス値が決定された場合)、第2のセルにおいてユーザー機器用のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、少なくとも1つの値に基づいて決定することができない。これにより、アップリンク送信を実行する際のユーザー機器の位置、及び少なくとも1つの値が決定された際の別のユーザー機器の位置を確実に近づけることができる。したがって、別のユーザー機器はユーザー機器と同様の状況にある、つまり、両ユーザー機器は、地理的に接近しており、同じ高度にある可能性がある。かくして、この少なくとも1つの値に基づいて、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定すると、より正確である。
【0065】
第2のセルの地理的通信範囲と交差する地理的領域から分かるべきこととして、第2の基地局がユーザー機器との通信に用いるビームの少なくとも1つのビームフットプリントが、地理的領域と交差しているということである。さらに、ユーザー機器と通信するために第2の基地局によって使用されるビームは、以下が実現されるビームでもあり得る:
第2の基地局とユーザー機器との間のアップリンク送信を実行する、及び/又は、
第2の基地局が、少なくとも1つの値を使用して、別のユーザー機器と通信するか、又は既に通信済みである。
【0066】
地理的領域は、地球表面上の所定ゾーンとして画定できる。地理的領域は、地球表面の少なくとも一部をカバーする他の地理的領域の1つでもよい。地理的領域のサイズは、異なる場合がある。ネットワークは、ユーザー機器がビームフットプリント内にあるかどうかを、ユーザー機器との交換から推測し、その結果として、或る地理的領域への近接度を推測することができる。また、ネットワークは、例えば、測位技術で取得されたユーザーの何かしらの位置情報を得ている場合もある。
【0067】
本発明の一態様によると、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、第2の基地局により決定される。
【0068】
この場合、方法は、第2の基地局によって、第1の基地局に、又は第1の基地局に接続する前に、ユーザー機器が接続しているか、又は今後接続する基地局に、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを送信することも更に含む場合があり、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連する上記データは、第2の基地局で決定された第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値に対応する。第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関する値に基づいて、第1の基地局(又は、第1の基地局に接続される前に、ユーザー機器が接続しているか、若しくは、今後接続する基地局)は、
ユーザー機器に対して、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータ(ユーザー機器が第2のセルでタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することを可能にする上記データ)であって、第2の基地局により第1の基地局に送られたデータと同じであるか、若しくは、ユーザー機器に適合されるデータ(例えば、このデータは第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値と、第1のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値とのずれに対応し得る)を、又は、
ユーザー機器が第1の基地局に接続する前に、ユーザー機器が接続している基地局(直接、又は、他の基地局を介して)に対して、第2のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを、送信することを決定できる(送信できる)。
【0069】
第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータに基づいて、ユーザー機器が接続する基地局(第1の基地局でよい)はまた、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき、又は使用される値と同じである場合は特に、タイミングアドバンスに関するデータをユーザー機器に送信しないことも決定し得る。
【0070】
本発明の一態様によると、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、第1のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される少なくとも1つの値に基づいて決定される。
【0071】
つまり、ネットワークエンティティは、少なくとも、第1のセル内のユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値に基づいて、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する。それゆえ、決定された値は、ユーザー機器の状況をより正確に考慮するので、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を正確に決定することにつながる。
【0072】
例えば、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、少なくとも
第1のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される最小値、及び/又は、
第1のビームフットプリントの中心の位置に対する第2のビームフットプリントの中心の位置であって、第1のビームは、第1の基地局によってユーザー機器と通信するために使用され、第2のビームは、第2の基地局とユーザー機器との間のアップリンク送信を実行するために第2の基地局によって使用される位置、及び/又は、
第1のセルの地理的通信範囲の位置、及び/又は、
第2のセルの地理的通信範囲の位置、及び/又は、
第1のセルのユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値の変化(すなわち、変動)、及び/又は、
ユーザー機器が第1の基地局に接続するためのハンドオーバーを実行した後の所与の時間、又はユーザー機器が第2の基地局に接続するためのハンドオーバーを実行する前の所与の時間において決定された第1のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値、及び/又は、
衛星の移動方向に基づいて決定され得る。
【0073】
第1のビームフットプリントの中心の位置に対する第2のビームフットプリントの中心の位置に基づいて、値が決定される場合、ユーザー機器は、第1の基地局と接続された状態で、第1のビームを通じて第1の基地局と通信する。この第1の基地局との接続は、第2の基地局との接続より先に行われる。
【0074】
セルの地理的通信範囲から分かるべきこととして、この地理的通信範囲では、ビームのビームフットプリントの集合が、セルをサポートするということである。セルをサポートするビームとは、ユーザー機器がセルを通じて通信(送受信)するために、つまり、セルに対応する基地局を介して通信するために使用できる全てのビームのことである。
【0075】
衛星の移動方向から分かるべきこととして、これは、例えば、衛星の軌道上の移動の方向、若しくは、この移動の地表への投影、又は、上記の方向に相当する任意の等価形態であるということである。
【0076】
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定可能とするベースとなるこうした要素は、ネットワークエンティティが、これらを基地局から受信することから、及び/又は、衛星ネットワークの構成(例えば、衛星の移動方向)から、及び/又は、計算(例えば、セルの地理的範囲の位置、ユーザー機器の推定位置、又は系内の基準点に対する位置に関連する大まかな推定値等)から、分かる。例えば、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定するネットワークエンティティが第1の基地局である場合、第2の基地局は、以下に関連する情報を第1の基地局に送信可能である:
第2のセルの地理的通信範囲の位置、又は、
第2のビームフットプリントの中心の位置、この位置に基づいて、第1の基地局は、第1のビームフットプリントの中心の位置に対する第2のビームフットプリントの中心の位置を計算することができる。
【0077】
それゆえ、本発明の一態様によると、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、第1の基地局により決定される。この場合、値は、第2の基地局により提供される情報に基づいて決定可能である。
【0078】
本発明の一態様によると、方法は更に、第1の基地局から、又は、ユーザー機器が第1の基地局に接続される前に接続されていた基地局から、決定された値に対応する、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータを送信することを含む。このデータにより、ユーザー機器は、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を取り出すことができる。
【0079】
本発明の一態様によると、この方法は更に、ハンドオーバーモードをアクティブ、又は非アクティブに設定することと、設定されたハンドオーバーモードに従って、ハンドオーバーを実行するよう指示するメッセージをユーザー機器に送信することとを含み、アクティブハンドオーバーモードは、ハンドオーバーが本発明に従って実行されるハンドオーバーモードであり、非アクティブハンドオーバーモードは、ハンドオーバーが別のハンドオーバー手順(例えば、標準ハンドオーバー手順)に従って実行されるモードである。アクティブハンドオーバーモードは、以下の2モードに分けられる:
第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルのタイミングアドバンスとして使用する値と異なる際、別のハンドオーバー手順を実施し、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値と同じである場合、本発明に係わるハンドオーバーを実施する第1のモード、
本発明に係わるハンドオーバーを実施する第2のモード。
【0080】
本発明の第4の態様は、衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するよう構成された第2の基地局であって、第1のセル及び第2のセルは、衛星通信ネットワークの1つ以上の衛星によってサポートされており、第1のセルは第1の基地局に対応し、第2のセルは第2の基地局に対応し、少なくとも第1のセルは、衛星通信ネットワークの非静止軌道衛星によってサポートされており、第2の基地局は、
プロセッサと、
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、命令は、プロセッサにより実行されると、第2の基地局を、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値の値を決定することと、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用して、第2の基地局とユーザー機器との間のアップリンク送信を実行することとを実行するよう構成する非一時的コンピューター可読媒体とを含む、第2の基地局に関する。
【0081】
この場合、ネットワークエンティティは、第2の基地局である。それゆえ、ネットワークエンティティは、値の決定に加えて、ユーザー機器によるアップリンク送信を実行する(つまり、ユーザー機器によって送信されたアップリンク信号を受信して、処理する)。
【0082】
本発明の第5の態様は、衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理する方法であって、第1のセル及び第2のセルは、衛星通信ネットワークの1つ以上の衛星によってサポートされており、第1のセルは第1の基地局に対応し、第2のセルは第2の基地局に対応し、少なくとも第1のセルは、衛星通信ネットワークの非静止軌道衛星によってサポートされており、方法は、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することと、
第2の基地局がユーザー機器から信号を受信する前に、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を、第2の基地局、及び/又はユーザー機器に送信することとを含む、方法に関する。
【0083】
ネットワークエンティティが第2の基地局でない場合、すなわち、値の決定が第2の基地局とは別のエンティティによって行われる場合、このネットワークエンティティは、決定された値を、以下に送信することができる:
とりわけ、ユーザー機器が自身を局在化できず、最終的に、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を計算できない場合には、ユーザー機器に、
第2の基地局がハンドオーバー中のタイミングアドバンスの推定及び送信を一切できないようにするためには、第2の基地局に送信することができる。
【0084】
この場合、ネットワークエンティティは、第1の基地局、又はユーザー機器と第2の基地局とを除く、他の任意のネットワークエンティティであり得る。
【0085】
本発明の第6の態様は、衛星通信ネットワークを含むネットワークにおける第1のセルと第2のセルとの間のユーザー機器のハンドオーバーを管理するよう構成された第1の基地局であって、第1のセル及び第2のセルは、衛星通信ネットワークの1つ以上の衛星によってサポートされており、第1のセルは第1の基地局に対応し、第2のセルは第2の基地局に対応し、少なくとも第1のセルは、衛星通信ネットワークの非静止軌道衛星によってサポートされており、第1の基地局は、
プロセッサと、
命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、命令は、プロセッサにより実行されると、第1の基地局を、
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することと、
第2の基地局がユーザー機器から信号を受信する前に、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を、第2の基地局、及び/又はユーザー機器に送信することとを実行するよう構成する非一時的コンピューター可読媒体とを含む、第1の基地局に関する。
【0086】
本発明の第7の態様は、命令を記憶した非一時的コンピューター可読媒体であって、命令は、プロセッサにより実行されると、上記の方法を実施する、非一時的コンピューター可読媒体に関する。
【0087】
コンピューター可読媒体は、限定はしないが、1つの場所から別の場所へのコンピュータープログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、コンピューター記憶媒体及び通信媒体の両方を含む。本明細書において使用されるときに、「コンピューター記憶媒体」は、コンピューターによってアクセスすることができる任意の物理媒体とすることができる。コンピューター記憶媒体の例は、限定はしないが、フラッシュドライブ若しくは他のフラッシュメモリデバイス(例えば、メモリキー、メモリスティック、キードライブ)、CD-ROM又は他の光学記憶装置、DVD、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、メモリチップ、RAM、ROM、EEPROM、スマートカード、固体ドライブ(SSD)デバイス若しくはハードディスクドライブ(HDD)デバイス、又はコンピュータープロセッサによって読み出すことができる命令又はデータ構造の形をとるプログラムコードを搬送又は記憶するために使用することができる任意の他の適切な媒体を含む。また、ルーター、ゲートウェイ、サーバー又は他の伝送デバイス、有線(同軸ケーブル、ファイバ、ツイストペア、DSLケーブル)又はワイヤレス(赤外線、無線、セルラー、マイクロ波)を含む、種々の形のコンピューター可読媒体が、命令をコンピューターに送信又は搬送することができる。命令は、限定はしないが、アセンブリ、C、C++、Visual Basic、HTML、PHP、Java、Javascript、Python及びbashスクリプトを含む、任意のコンピュータープログラミング言語からのコードを含むことができる。
【0088】
具体的に他に明示されない限り、以下の説明を通して、処理、コンピューティング、計算、決定等の用語を利用する検討は、コンピューティングシステムのレジスタ又はメモリ内の電子的な量等の物理的な量として表されるデータを操作するか、又は、このデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ若しくは他のそのような情報記憶装置、伝送デバイス若しくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータに変換する、コンピューター、又はコンピューティングシステム、又は類似の電子コンピューティングデバイスの動作又はプロセスを指していることは理解されよう。
【0089】
本発明は、添付図面の図に、限定としてではなく例として示される。添付図面において、同様の参照符号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】衛星通信ネットワークの幾つかの衛星を示す図である。
図2】本発明に係わる第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する方法を示す図である。
図3】本発明に係わる第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する方法を示す図である。
図4】本発明に係わる第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する方法を示す図である。
図5】本発明に係わる第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する方法を示す図である。
図6】本発明に係わるユーザー機器がハンドオーバーを実行するために実施されるステップを表す流れ図である。
図7】本発明に係わる衛星ネットワークがハンドオーバーを管理するために実施されるステップを表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
図1を参照すると、衛星通信ネットワークの一部が、図示されている。本発明は、特定の規格に限定されないが、説明をしやすくするため、New Radio(NR)規格の状況で、本発明を説明する。NR規格では、エンドユーザーが通信に使用するデバイスを称するために、ユーザー機器という用語を使用しているが、本明細書において、少なくとも衛星ネットワークを介して通信するために使用される任意の無線デバイスを指すために使用する他の任意の用語(例えば、モバイル端末、移動局、パーソナルデジタルアシスタント、無線モデム、携帯端末等)も、ユーザー機器という語句に含まれる。
【0092】
後述の本発明は、様々なタイプ又はアーキテクチャの衛星通信ネットワーク、例えば、衛星ネットワーク構成要素を含む、ハイブリッドネットワークに使用することができる。
【0093】
図1では、Sat1、Sat2、Sat3という3つの衛星が図示されている。各衛星は、1つ以上のゲートウェイノードGw1~Gw4とリンクしている。2つの衛星を同じゲートウェイノードにリンクさせることもできるが、ここでは図示していない。したがって、こうしたゲートウェイノードGw1~Gw4は、1つ又は複数の衛星ノードSat1、Sat2、Sat3と通信するように構成されている。さらに、これらのゲートウェイノードGw1~Gw4は、本明細書では図示していないコアネットワークと通信するように構成されている。
【0094】
各衛星Sat1、Sat2、Sat3は、1つ以上の衛星ビームを生成するように構成されており、衛星ごとに、3つの衛星ビームが図1で図示されている。第1の衛星Sat1は、衛星ビームSB11.1、SB12.1、SB13.2を生成する。第2の衛星Sat2は、衛星ビームSB21.3、SB22.3、SB23.4を生成する。第3衛星Sat3は、衛星ビームSB31.5、SB32.5、SB33.5を生成する。
【0095】
各衛星ビームSB11.1~SB33.4は、特定周波数帯に構成されている。各衛星ビームSB11.1~SB33.4を通じて、対応する衛星(すなわち、ビームを生成する衛星)は、ビーム用に構成された周波数帯に割り当てられた無線リソースに従って、データを送受信することができる。こうした無線リソースは、周波数分割方式(例えば、周波数分割多重(FDM)、又は直交周波数分割多重(OFDM))に従って、又は時間分割方式(例えば、時分割多重化(TDM))、又は符号分割方式(符号分割多重(CDM))により、若しくは偏波に従って、又はこれらの組み合わせにより共有可能である。
【0096】
各ビームの無線リソースの割り当ては、基地局BS1~BS5で実現される。各基地局は、1つ以上の衛星ビームの無線リソースを管理する。例えば、図1に示すように:
BS1は衛星ビームSB11.1及びSB12.1の無線リソースを管理する。
BS2は衛星ビームSB13.2の無線リソースを管理する。
BS3は衛星ビームSB21.3及びSB22.3の無線リソースを管理する。
BS4は衛星ビームSB23.4の無線リソースを管理する。
BS5は衛星ビームSB31.5及びSB33.5の無線リソースを管理する。
【0097】
各基地局は、基地局が管理するビームに従って、無線リソースがユーザー機器に割り当てられるセルを定める。つまり、ユーザー機器には、この衛星ビームを管理する基地局によって、衛星ビームの無線リソースを割り当てる場合がある(ユーザー機器がこの衛星ビームから十分な無線電力を受信する場合)。それゆえ、ユーザー機器は、基地局に対応するセルの通信範囲下にあると見なされる。したがって、図1によれば、BS1は、ユーザー機器が衛星ビームSB11.1及びSB12.1から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、第1のセルC1を形成する。BS2は、ユーザー機器が衛星ビームSB13.2から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、第2のセルC2を形成する。BS3は、ユーザー機器が衛星ビームSB21.3及びSB22.3から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、第3セルC3を形成する。BS5は、ユーザー機器が衛星ビームSB31.5及びSB33.5から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、第5セルC5を形成する。それゆえ、セルがビーム(例えば、C2及びC4)、又はビームのセット(例えばC1、C3、及びC5)に対応し得る。
【0098】
基地局は、衛星(BS5)に搭載するか、又は地上に(BS1~BS4)に配置できる。2つの基地局が物理的に同じ地理的位置にある場合、これらは同位置特定される、これは、BS1及びBS2の場合であるが、例えば、BS2及びBS3、又はBS3及びBS4では違う。
【0099】
基地局から無線リソースが割り当てられるようにするには、ユーザー機器は、その基地局で管理される少なくとも1つのビームから十分な無線電力を受信し(つまり、ユーザー機器は、基地局で形成されるセル通信範囲内にある必要がある)、その基地局に接続されていなければならない。接続手順は、基地局への初期アクセスの際、又は、ユーザー機器が既に別の基地局に接続されており、ハンドオーバー手順を通じて現基地局にアクセスする際に、実行可能である。
【0100】
図1では、複数のユーザー機器UE1~UE5が示されている。UE1は、第1のセルC1のBS1に接続し、衛星Sat1が生成する衛星ビームSB11.1の無線リソースが割り当てられる。UE2は、第2のセルC2のBS2に接続し、衛星Sat1が生成する衛星ビームSB13.2の無線リソースが割り当てられる。UE3は、第3セルC3のBS3に接続し、衛星Sat2が生成する衛星ビームSB21.3の無線リソースが割り当てられる。UE4は、第4セルC4のBS4に接続し、衛星Sat2が生成する衛星ビームSB23.4の無線リソースが割り当てられる。UE5は、第5セルC5のBS5に接続し、衛星Sat3が生成する衛星ビームSB31.5の無線リソースが割り当てられる。
【0101】
非静止軌道衛星、しかも、ビームが固定された衛星を使った衛星ネットワークの状況において、衛星、ひいては、そのビームのフットプリントは、地表に対して予測可能に移動する(衛星コンスタレーションの動態を予測できるので)。図1では、地表に対する衛星の相対的な動きを矢印Sat Mouvで表わしている。
【0102】
この予測可能な衛星コンスタレーションの動態を基に、UEの移動度が衛星の移動度に対して無視できるということを踏まえると、衛星通信ネットワークを通じて通信を行うために、ユーザー機器が接続しなければならない基地局を(例えば、ハンドオーバーを行うことによって)予測することが可能である。図1によると、UE1はBS1に接続し、大抵の場合、BS1からBS2へのハンドオーバー、次にBS2からBS3へのハンドオーバー、更に、BS3からBS5へのハンドオーバー等を実行する可能性が高い。UE2はBS2に接続し、大抵の場合、BS2からBS3へのハンドオーバー、そして、BS3からBS5へのハンドオーバー等を実行する可能性が高い。UE3はBS3に接続し、大抵の場合、BS3からBS4へのハンドオーバー、そして、BS4からBS5へのハンドオーバー等を実行する可能性が高い。UE4はBS4に接続し、大抵の場合、BS4からBS5へのハンドオーバー等を実行する可能性が高い。
【0103】
しかし、ユーザー機器と、このユーザー機器が接続する基地局(ターゲット基地局又は第2の基地局)との間で正しく通信できるようにするには、基地局及びユーザー機器は、(この基地局によって管理されるセル内にある)上記基地局で使用されるべきタイミングアドバンスの値を取得しなければならない。NR規格において、上記値を取得することは、(ユーザー機器が接続する)基地局がタイミングアドバンスの値を測定、送信して使用するRACH手順を実行することを伴う。
【0104】
しかし、現在ユーザー機器にサービングしているセル(第1のセル)及びターゲットセル(第2のセル)が同じ衛星でサポートされている場合、且つ、現在ユーザー機器に接続している基地局(第1の基地局)及びターゲット基地局(第2の基地局)が同位置特定している場合、第2の基地局で使用される値は、第1の基地局で使用される値と同じである。それゆえ、図1によれば、BS1及びBS2が同位置特定され、C1及びC2が共にSat1によってサポートされているので、C2においてUE1のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、C1のUE1のタイミングアドバンスとして使用される値と同じである(例えば、C1で最後に使用した値)。同等の説明として、UE1がC1、C2等を通過する間、UE1のタイミングアドバンス値が時間に対して変動することを考慮に入れて、現在ユーザー機器にサービングしているセル(第1のセル)及びターゲットセル(第2のセル)が同じ衛星でサポートされている場合、且つ現在ユーザー機器に接続している基地局(第1の基地局)及びターゲット基地局(第2の基地局)が同位置特定している場合、ユーザー機器がC1及びC2を通過する際、ユーザー機器の時間に対するタイミングアドバンスの変動の関数は連続的である、すなわち、この関数はハンドオーバーの瞬間に依存しない。つまり、C1においてUE1のタイミングアドバンスとして使用されるべき値、及びC2においてUE1のタイミングアドバンスとして使用される値は、時間に対するタイミングアドバンスの変動の同じ関数の値である。すなわち、C1のUE1の時間に対するタイミングアドバンスの変動の関数は、C2のUE1の時間に対するタイミングアドバンスの変動の関数と同じである。
【0105】
一方、現在ユーザー機器にサービングしているセル(第1のセル)及びターゲットセル(第2のセル)が異なる衛星でサポートされている場合、且つ、現在ユーザー機器に接続している基地局(第1の基地局)及びターゲット基地局(第2の基地局)が同位置特定していない場合、第2の基地局で使用されるべき値は、第1の基地局で使用される値とは異なる。それゆえ、図1によれば、BS2及びBS3が同位置特定されないか、又はC2及びC3が同じ衛星Sat1及びSat2によってサポートされていないので、C3においてUE2のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、C2においてUE2のタイミングアドバンスとして使用される値とは異なる。BS3及びBS4が同位置特定されないので、C4においてUE3のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、C3においてUE3のタイミングアドバンスとして使用される値とは異なる。BS4及びBS5が同位置特定されないか、又はC4及びC5が同じ衛星Sat2及びSat3によってサポートされていないので、C5においてUE4のタイミングアドバンスとして使用されるべき値は、C4においてUE4のタイミングアドバンスとして使用される値とは異なる。これらの場合、第2のセル(それぞれC3、C4、及びC5)でタイミングアドバンスとして使用されるべき値を推定する必要がある。同等の説明として、UE1がC2、C3等を通過する間、UE1のタイミングアドバンス値が時間に対して変動することを考慮に入れて、現在ユーザー機器にサービングしているセル(第1のセル)及びターゲットセル(第2のセル)が同じ衛星でサポートされていない場合、及び/又は、現在ユーザー機器に接続している基地局(第1の基地局)及びターゲット基地局(第2の基地局)が同位置特定していない場合、ユーザー機器がC2及びC3を通過する際、ユーザー機器の時間に対するタイミングアドバンスの変動の関数は非連続的である、すなわち、この関数はハンドオーバーの瞬間に依存する。つまり、C2においてUE1のタイミングアドバンスとして使用されるべき値、及びC3においてUE1のタイミングアドバンスとして使用される値は異なる。これは、これらを時間に対するタイミングアドバンスの変動の異なる関数の値として解釈できるからである。すなわち、C1のUE1の時間に対するタイミングアドバンスの変動の関数は、C2のUE1の時間に対するタイミングアドバンスの変動の関数と同じである。
【0106】
本発明によるタイミングアドバンスの値を推定(すなわち、決定)する幾つかの方法について、以下に説明する。
【0107】
各基地局BS1~BS5は、処理モジュールPROC-BS、及びメモリユニットMEM-BSを備える。メモリユニットMEM-BSは、コンピュータープログラムを読み出す不揮発性ユニットと、別のユーザー機器の第2のセルにおけるタイミングアドバンスとして使用される値、この値に関連付けられたタイムスタンプ、或る地理的領域に関する情報、第1のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンス値の変化の関数、ユーザー機器の位置、第1のセルにおけるユーザー機器の最小タイミングアドバンス値、所与の瞬間に第1のセルで受けるタイミングアドバンス値、衛星コンスタレーションの天体暦、衛星ネットワークのビームフットプリントに関する情報等を読み出す揮発性ユニットとを含む。処理モジュールPROC-BSは、ユーザー機器の位置を計算し、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータを送信し、ハンドオーバーを行い、アップリンク送信を行い、リソーススケジューリングを実行するように構成される。
【0108】
各ユーザー機器は、1つの通信モジュール(COM_UE)1.4、1つの処理モジュールPROC-UE、及びメモリユニットMEM-UEを含む。メモリユニットMEM-UEは、コンピュータープログラムを読み出す不揮発性ユニットと、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値、第1のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用される値、汎用値、ハンドオーバーモード、衛星汎用値、ネットワーク汎用値、基地局汎用値、第1のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用される値からのずれ、汎用値からのずれを読み出す揮発性ユニットとを含む。処理モジュールPROC-UEは、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを受信、復号し、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定し、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を使用して、第2の基地局とのアップリンク送信を実行するように構成される。
【0109】
ユーザー機器は、モバイルユーザー機器でも、固定ユーザー機器でもよい。
【0110】
図2は、図1に示される衛星通信ネットワークと同じ衛星通信ネットワークを示す。ユーザー機器UE6(本願では、別のユーザー機器とも称する)が、追加されている。UE6は、例えば、BS2からBS3へのハンドオーバー(つまり、C2からC3へのハンドオーバー)を実行した後、BS3に接続される。前述のように、UE6がBS3に接続しているので、BS3は、C3におけるUE6のタイミングアドバンスの値、並びに、UE6がBS3にアクセスした瞬間から始まるその中間値、及び/又は変動を把握している。C3におけるUE6のタイミングアドバンスの値は、任意の方法(既存の方法、又は本発明に係わる方法)によって決定可能である。
【0111】
UE2はBS2に接続し、BS2(第1の基地局)からBS3(第2の基地局)へのハンドオーバーを実行する必要がある。BS3は、C3のUE6に使用される値の1つ、又は幾つかに基づいて、C3においてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定できる。
【0112】
例えば、BS3は、C3においてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、C3のUE6に使用される値(例えば、UE6のC2からC3へのハンドオーバー中、C3においてUE6に使用される値)に等しいと決定することができる。
【0113】
また、BS3は、BS3に接続する幾つかのユーザー機器で使用される値に基づいて、C3においてユーザー機器(UE2)のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定できる。
【0114】
例えば、BS3は、C3においてユーザー機器(UE2)のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、C3で使用される幾つかのユーザー機器の値の平均(例えば、C2からC3へのハンドオーバー中、C3において幾つかのユーザー機器で使用される値)に等しいと決定することができる。例えば、BS3は、C3においてユーザー機器(UE2)のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、別のユーザー機器(例えば、UE6)のC3におけるタイミングアドバンスの変動の関数の値、又は幾つかのユーザー機器の関数の値の平均であると決定可能である。
【0115】
また、C3においてユーザー機器(UE2)のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定するベースとなる値を用いて、或る特定の時間にわたるUE2の値を決定することができる。このため、各値にはタイムスタンプが関連付けられ、このタイムスタンプは、これらの値がそれぞれ決定された瞬間に対応する。この値の決定の瞬間が時間閾値よりも古いことをタイムスタンプが示す値を使用して、C3においてユーザー機器(UE2)のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することはできない。つまり、十分に新しい値しか推定に使用できない。
【0116】
図3は、図1に示す衛星通信ネットワークと同じ衛星通信ネットワークを示す。ユーザー機器UE6(本願では、別のユーザー機器とも称する)が、追加されている。UE6は、例えば、BS2からBS3へのハンドオーバーを実行した後、過去にSat1及びSat2が通過した間(例えば、衛星が固定軌道を辿る場合)にBS3に接続した。UE6がBS3に接続していたので、BS3は、UE6がBS3に接続していた際に使用していたUE6のタイミングアドバンスの値を把握している。UE6がBS3に接続していた際に使用されたUE6のタイミングアドバンスの値は、任意の方法(既存の方法、又は本発明に係わる方法)によってBS3により決定され得る。UE6がBS3に接続したとき、C3の地理的範囲は地理的領域GeoAと交差した。UE6のタイミングアドバンスの値(例えば、C2からC3へのUE6のハンドオーバー中にC3においてUE6に使用される値)は、地理的領域GeoAと関連付けられている。UE2はBS2に接続し、BS2(第1の基地局)からBS3(第2の基地局)へのハンドオーバーを実行する必要がある。BS3は、UE2がBS2からBS3へのハンドオーバーを行う際、C3の地理的通信範囲が地理的領域囲GeoAと交差する場合、C3のUE6に使用する値に基づいて、C3においてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定できる。また、この実施態様は、タイムスタンプと組み合わせて実装することもできる。
【0117】
これらの実施態様(図2及び図3で図示)は、UE2用の第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定可能とする第2の基地局(BS3)を伴う。しかし、こうした実施態様では、BS2は、UE2用の第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定することもできる。この場合、BS3は、必要な情報、例えば、BS3に接続されたユーザー機器によってC3においてタイミングアドバンスとして使用される値をBS2に送信して、例えば、BS2がC3においてタイミングアドバンスとして使用される値の平均を計算できるようになり、この平均は、UE2用のC2においてタイミングアドバンスとして使用されるべき値と見なすことができる。
【0118】
図4は、図1に示す衛星通信ネットワークと同じ衛星通信ネットワークを示す。
【0119】
UE2はBS2に接続する。BS2との接続中、BS2はUE2のタイミングアドバンスを追跡し、UE2用のC2においてのタイミングアドバンスとして使用されるべき値を継続的に更新する。図4において、TA1~TA9は、BS2がUE2について測定したタイミングアドバンス値を示す。図4では、これらの値を衛星のフレームで表わしている。測定の瞬間にそれぞれ関連付けられたC2で測定されたUE2のタイミングアドバンスのこれらの値(TA1~A9)(つまり、第1のセルにおけるタイミングアドバンス値の変化の関数)によって、BS2(又は、この情報がBS3に送信される場合、BS3)は、UE2の位置に関する何かしらの情報を取得し、及び/又は、将来の瞬間(ulterior moments)におけるUE2のタイミングアドバンス値の変化を予測することができる。
【0120】
この位置は、同等の技術で算出可能である。例えば、C2で受ける平均タイミングアドバンス値から、Sat1の移動方向に平行な軸を決定できる。UE2が存在する軸を、BS1で測定されたUE2に関する2つの異なるタイミングアドバンス値で描いた2つの円と交差させることにより、UE2の位置が得られる。
【0121】
もう1つの例として、所与の瞬間、例えば、ハンドオーバー後tミリ秒においてC2(TA-C2)で受けたタイミングアドバンス値に基づいて、UE2の位置をより正確に推定することが可能である。C2で受けたタイミングアドバンス値の変動は、場合によっては、他の測定値と組み合わされることで、UE2の位置に関連する情報が得られる、及び/又は、同じセル、又は次セルの将来の瞬間におけるUE2のタイミングアドバンス値の変化を予測することが可能となる。
【0122】
例えば、UE2との通信に使用されるビームフットプリントの中心がSat1の天底点に対応する特定の場合(つまり、中心が衛星の真下の地表上の点に対応する)において、abs(タイミングアドバンス、TA_ref)の最小値は、UE2がその軌道上でビーム中心(SB13.2)への最接近点に到達したことを示しており、ここで、abs(.)は絶対値を示し、TA_refは基準タイミングアドバンス値であり、この値は、ビーム固有(ビーム内の全てのユーザーから共通して知られている)でよく、ビームの中心にいるユーザーのタイミングアドバンスに対応する。この場合、可能なUE2の位置は2つである(図5で示すように、両ポイントH’で同じ最小値に到達し、軸Sat1 Mouvに対して対称になる)。この場合、UE2が実際にこれら2つの位置のどちらにあるかを区別するために、例えば、コンスタレーションの別の衛星によって測定されたUE2の基準信号受信電力(RSRP)を使用するか、又は、他の基地局から受信したUE2の軌道に関する過去の統計情報を使用して、更なる情報が必要とされ得る。
【0123】
幾つかの実施態様において、TA_refを、例えば、ビーム内の全ユーザーに配信できる(例えば、SIBを通じて、又はビーム内の全ユーザーに共通の値を有するRRCパラメーターを通じて)。この場合、所与のビームを通じた基地局との通信中、UE固有のタイミングアドバンスの差分値のみが各UEに転送され、UEは、基準ビーム固有の値TA_refと、サービング基地局によって別々に転送されたUE固有の値とを組み合わせることによって、タイミングアドバンス値を計算することができる。
【0124】
C3においてUE2のタイミングアドバンスとして使用されるべき値の決定を完結させるには、衛星コンスタレーションのトポロジーに関連する追加情報が必要になる場合がある。このような情報は、例えば、Sat1の天底点に対するSat2の天底点の位置、及びSat1及びSat2の高度である。これらの追加情報は、衛星コンスタレーションの天体暦(又は、少なくともSat1及びSat2の天体暦)により、又は、衛星ネットワークのビームフットプリントのマップ、又はユーザー機器の位置が分かっている場合に第2のセルで使用されるべき値を決定するために使用されるその他の従来方法によって(例えば、ユーザー機器が全地球的航法衛星システムを通じてその位置を把握している場合、タイミングアドバンス値を決定するのに使用される同じ方法を使用)、得られ得る。
【0125】
さらに、この追加情報は、基地局(BS2、及び/又はBS3)の物理的位置に関連する情報、及び/又は、基地局がこの衛星に搭載されていない場合、基地局(BS2、及び/又はBS2)と衛星(Sat1、及び/又はSat2)との間の送信によって生じるタイミングアドバンスのずれを含み得る。それゆえ、最終的に、第1の基地局(BS2)は、C3においてタイミングアドバンスとして使用されるべき値の決定を調整することができる。
【0126】
この位置に関する情報をBS3に送信して、BS3はUE2用のC3においてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定できるか、又は、BS2がタイミングアドバンスの値の決定を完了できるようにするために、必要であれば、BS3はBS2に追加情報を送信することができる。以下に、送信可能な情報の種類及び形式を示す。
【0127】
図5を参照すると、図4で述べた方法に従って、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値の決定が、詳細に示されている。図5は、図4に示す衛星通信ネットワークと同じ衛星通信ネットワークを上から見た図を示す。説明をしやすくするため、図5の例では、ビームの中心(C-SB13.2及びC-SB22.3)は、それぞれSat1及びSat2の天底点と一致している。
【0128】
ベクトル
【数1】
及び角度φで表されるC-SB13.2に対するC-SB22.3の位置は、コンスタレーショントポロジーから分かる。
【0129】
BS2は、C2で使用されるUE2のタイミングアドバンスを測定する。UE2は、中心がビーム中心(C-SB13.2)にあり、半径
【数2】
(UE2のTA-C2値に対応)の円の任意の点に配置できる。点HでBS3に接続する場合、UE2は
【数3】
に対応するTA-C3値を使用する必要がある。
【0130】
【数4】
を計算するには、角度θが分かっている必要がある。衛星が方向
【数5】
に移動する際、SB2は、TA-C2値を推定する。TA-C2値の最小絶対値は、UE2がC-SB13.2から最も近い時、つまり、UE2が位置H’にある時に観測され、TA-C2値はdに対応する。d及び
【数6】
に基づいて、θを以下の式のように計算できる。
【数7】
それゆえ、
【数8】
を以下の式のように算出できる。
【数9】
【0131】
全地球的航法衛星システムを通じて自身の位置を得るUEは、計算能力に制限があることにより、又は、ネットワークトポロジーに関する知識が不足していることにより、それ自身のタイミングアドバンスを計算できない場合があるので、ターゲットセルのタイミングアドバンス値を正しく知るには、依然として、ネットワークからの補助情報が必要である。この場合、本発明で得られる方法は、UEがその位置情報をネットワークに(例えば、ハンドオーバー前、及び/又はハンドオーバー中にソース基地局に、ハンドオーバー中、及び/又は後にターゲット基地局に)報告する補足ステップと共に、依然として適用される。この場合、ネットワークは、UEから位置情報を受信し、上記のような計算を全て実行する必要なしに、それをタイミングアドバンス値と照合する。こうして、ネットワークエンティティによるタイミングアドバンスの決定が、簡素化される。
【0132】
図6を参照すると、本発明に係わるユーザー機器がハンドオーバーを実行するために実施されるステップを表す流れ図が示されている。
【0133】
ステップS11で、ユーザー機器(例えば、UE2)を構成する。
【0134】
ユーザー機器によって実施される方法の手順は、一般的な状況で述べられ、UE2の状況で例示されているが、当業者であれば、上記説明に基づいて、上記の別のユーザー機器(UE1~UE5)の状況に特定の例示を置き換えることに問題はないはずであろう。
【0135】
衛星ネットワークの基地局に接続する時(ユーザー機器がネットワークの基地局に初めて接続する時、若しくは、ユーザー機器がネットワークへの初期接続を実行するたび、又は、ユーザー機器のネットワークへの接続中)、又は、基地局に接続している間(例えば、構成、及び/又は再構成メッセージを通じて)、ユーザー機器UE2の構成を実施可能であるか、又は、工場出荷時の設定として行うこともできる。
【0136】
UE2の構成は、UE2が衛星ネットワークに接続されている間、又は現構成がネットワークによって変更されるまで実施されるハンドオーバーモードを設定することを含み得る。例えば、モードは標準モード(StaM)でよく、NR規格で述べられるようにハンドオーバーを実施する。モードは簡易モード(SimM)である場合もあり、第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用されるべき値が第1のセルでタイミングアドバンスとして使用される値と異なる場合にのみ、NR規格で述べられているようにハンドオーバーを実施する。モードはフルモード(FulM)であってもよく、本発明に係わるハンドオーバーのみを実施する。
【0137】
また、構成は、ユーザー機器UE2が第2のセルC3においてタイミングアドバンスとして使用されるべき値を取得するために必要となる幾つかのパラメーターを設定することができる。例えば、以下が挙げられる:
ネットワーク汎用値、つまり、ネットワークのタイミングアドバンスは、ネットワーク汎用値とオフセット値との合計として表される。
衛星汎用値、つまり、衛星によりサポートされる基地局に関連するタイミングアドバンスは、その衛星固有の衛星汎用値とオフセット値との合計として表される。
基地局汎用値、つまり、基地局に関連するタイミングアドバンスは、その基地局に固有の基地局汎用値とオフセット値との合計として表される。
ビーム汎用値、つまり、ビームを通じて送信する基地局に関連するタイミングアドバンスは、そのビームに固有のビーム汎用値とオフセット値との合計として表される。
【0138】
ステップS12で、ユーザー機器UE2は、第2のセルでユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを受信する。このデータは、第1の基地局BS2によって、又は、BS2に接続する前にユーザー機器が接続していた基地局、例えば、BS1によって、UE2に送信可能である。このようなデータを受信するために、ハンドオーバーモードはSimMモード又はFulMモードのいずれかに設定される。
【0139】
SimMモードでは、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータは、次のいずれかである:
C3においてUE2のタイミングアドバンスとして使用されるべき値(使用されるべきTA-C3と称する)が、TA-C2とは異なることをユーザー機器に通知するデータ(例えば、2進値を1に設定する)、又は
使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであることをユーザー機器に通知するデータ(例えば、2進値を0に設定する)。
UE2及びネットワークを構成することで、これらのデータの1つをUE2に送信できないようにすることが可能である。例えば、ネットワーク及びUE2は、次のように構成される:
使用されるべきTA-C3がTA-C2とは異なることをユーザー機器UE2に通知するデータをUE2に依然として送信する、次のハンドオーバーは、この情報に従って実行される。
C2からC3へのハンドオーバーを実行する際、使用されるべきTA-C3が、TA-C2と同じであることをユーザー機器に通知するデータをUE2に送信せず、UE2(SimMモードに設定)は、使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであるとみなし、それゆえ、この情報を受信した場合と同様に、ハンドオーバーを実行する。
【0140】
その逆も可能である、つまり、使用されるべきTA-C3がTA-C2と異なることをユーザー機器に通知するデータをUE2に送信せず、使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであることをユーザー機器に通知するデータをUE2に送信する。
【0141】
衛星ごとにサポートされるセルの比率に応じ、シグナリングに関して、いずれかの選択肢がより有利となる。
【0142】
FulMモードでは、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータは、次のいずれかである:
使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであることをユーザー機器に通知するデータ、
使用されるべきTA-C3に関するデータ。
【0143】
SimMモードのように、UE2及びネットワークがそのように構成されている場合、使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであることをユーザー機器に通知するデータは、UE2に送信することができない。この場合、次のハンドオーバーを実行する際、使用されるべきTA-C3に関連するデータがUE2によって受信されない場合、UE2(FulMモードに設定)は、使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであると見なし、この情報を受信した場合と同様に、ハンドオーバーを実行する。
【0144】
使用されるべきTA-C3に関するデータは、以下を含み得る:
使用されるべきTA-C3に対応するデータ、例えば、UE2は、TA-C3、又はTA-C3に相当する任意の符号化済みのバージョンを受信できる;
TA-C2からのずれに対応するデータ;
汎用値からのずれに対応するデータ(ネットワーク汎用値、衛星汎用値、基地局汎用値、ビーム汎用値)。
ステップS13で、ユーザー機器UE2は、使用されるべきTA-C3を決定する。
【0145】
UE2がTA-C3に関連するデータを受信した場合、このデータ及び構成中に保存されたデータ、又はTA-C2に基づいて、UE2はTA-C3を決定する。例えば、UE2はずれを汎用値と合計して、TA-C3を取得する。例えば、UE2はTA-C3に対応するデータを復号化する。
【0146】
使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであることを通知するデータをUE2が受信した場合、UE2は、TA-C3をTA-C2と等しいものとして設定することができる。例えば、最後のTA-C2は、C2のUE2によって使用される。TA-C2、及び/又はTA-C3がユーザー固有値及び汎用値で構成されている場合、TA-C3がTA-C2と同じであっても、ユーザー固有値と汎用値との配分は、ハンドオーバー中に変更され得る。
【0147】
使用されるべきTA-C3がTA-C2と異なることを通知するデータをUE2が受信した場合、UE2は、TA-C3の値を設定せず、標準ハンドオーバーを実行するよう準備することができる。
【0148】
前述のように、UE2は、TA-C3に関連するデータを一切受信しない場合、TA-C3をTA-C2と等しいものとして設定することも可能であり、TA-C3に関連するデータがUE2に送信されない場合等のように、ネットワーク及びUE2が構成されている場合、UE2は、使用されるべきTA-C3がTA-C2と同じであるものと見なす。
【0149】
ステップS14で、UE2はC2からC3へのハンドオーバーを実行する。
【0150】
ステップS13でTA-C3が決定されない場合、UE2は標準ハンドオーバーを実行する。
【0151】
UE2がステップS13でTA-C3を決定する場合、UE2は、TA-C3を使用してBS3とのアップリンク送信を実行することができる。つまり、UE2は、信号の伝搬に必要な時間を補正するために、TA-C3に基づく時間オフセットを適用する。
【0152】
このアップリンク送信は、RACH手順の一部としてのアップリンク送信でよい。
【0153】
例えば、このアップリンク送信は、ランダムアクセス(RACH)手順中にBS3で実行される第1のアップリンク送信であり得る。例えば、RACH手順の第1のメッセージは、TA-C3オフセットを使用してBS3に接続するために、UE2によって送信される。
【0154】
例えば、このアップリンク送信は、RACH中にBS3で実行される第2のアップリンク送信であり得る。例えば、NRの状況において、RACH手順の第3メッセージは、TA-C3オフセットを使用してBS3に接続するために、UE2によって送信される。それゆえ、RACH手順の第1のメッセージは、標準手順に従って送信され、BS3がそれに対応するシグナリングデータを受信せずにTA-C3を推定できる。
【0155】
このアップリンク送信は、RACH-lessハンドオーバー手順後のアップリンク送信である可能性があるので、BS3がタイミングアドバンスの値を更新する前の、BS3への第1の標準アップリンク送信、第2の標準アップリンク送信、又は将来の標準アップリンク送信に相当し得る(例えば、現NR手順でBS3がUE3にMAC CEタイミングアドバンスコマンドを送信するように、接続モードでのタイミングアドバンス調整を通じて)。
【0156】
これらの場合において、UE2は接続が行われるまで、BS3からTA-C3を受信しない。BS3への接続が確立されると、UE2がC3を離れるまで、BS3はTA-C3を継続的に更新することができる。
【0157】
図7を参照すると、本発明に係わる衛星ネットワークがハンドオーバーを管理するために実施されるステップを表す流れ図が示されている。
【0158】
ステップS21で、衛星ネットワークを構成する。
【0159】
衛星通信ネットワークの構成は、ネットワークが実施可能なハンドオーバーモードを設定することと、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値の決定方法を構成することとを含む。この方法に基づいて、このような値を決定するために必要なデータは、様々なネットワークエンティティに保存される。
【0160】
それゆえ、衛星通信ネットワークの各基地局(より一般的には、ユーザー機器を除く他のネットワークエンティティ)上に、以下の少なくとも一部の情報が記憶される:
衛星コンスタレーションの天体暦、及び/又は、
ビームトポロジー、つまり、地表でのビームのフットプリントの分布、及び/又は、
基地局とそれらが搭載されている衛星とのマッピング、及び/又は、
地上にある基地局とそれらが衛星にリンクするゲートウェイとのマッピング、及び/又は、
基地局が衛星にリンクするゲートウェイの物理的位置、及び/又は、
相互に相対的な基地局の物理的位置(同位置特定されているかどうか)。
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値の決定用に構成された方法に応じて、関与するネットワークエンティティは、このような値を決定するために関連する以下のデータを記憶する。
別のユーザー機器の第2のセルにおいてタイミングアドバンスとして使用される値;
この値に関連するタイムスタンプ;
地理的領域に関する情報;
セルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンス値の変化の関数、
第1のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンス値の変化の関数とユーザー機器の位置とのマッピング;
第1のセル、及び/又は第2のセルにおけるユーザー機器の最小タイミングアドバンス値と、ユーザー機器の位置、及び/又はRSRP、及び/又はドップラー測定値とのマッピング;
所与の瞬時において第1のセルで受けたタイミングアドバンス値と、ユーザー機器の位置、及び/又はRSRP、及び/又はドップラー測定値とのマッピング;
第1のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンス値の変化の関数と、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンス値の変化の関数とのマッピング;
衛星コンスタレーションの天体暦;
衛星ネットワークのビームフットプリントに関する情報(例えば、衛星ネットワークのビームフットプリントのマップ)等。
【0161】
ステップS22で、ネットワークエンティティは、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値(つまり、UE2の状況でUE2用に使用されるべきTA-C3)が、第1のセルにおいてユーザー機器のタイミングとして使用される値(つまり、TA-C2)と同じであるか否かを判断する。
【0162】
ネットワーク側(ユーザー機器を除く全てのネットワークエンティティ)で実施される方法の手順は、一般な状況で述べられ、UE2の状況で例示されているが、当業者であれば、上記説明に基づいて、上記の別のユーザー機器(UE1~UE5)の状況にこの例示を置き換えることに問題はないはずであろう。
【0163】
ネットワークエンティティは、第1のセル及び第2のセルが同じ衛星によってサポートされ、第1の基地局及び第2の基地局が同位置特定されているかどうかを、判定する。ネットワークエンティティは、ステップS21で記憶された構成及び情報に基づいてこれを判定する。この情報は、ネットワークエンティティから直接アクセスできない場合があり、他のネットワークエンティティから、例えば、運用保守構成(O&M)を通じて、及び/又は、基地局間交換(Xnリンク)を通じて情報の一部を受信する必要があり得る。
【0164】
UE2の場合、UE2はBS2に接続し、BS2からBS3へのハンドオーバーを実行する必要がある。ネットワークエンティティは、BS3及びBS2が同位置特定しておらず、C3とC2が異なる衛星(それぞれSat2及びSat1)によってサポートされているため、図1で前述したように、使用されるべきTA-C3がTA-C2とは異なることを判定する。
【0165】
ネットワークエンティティはBS2又はBS3でよい。
【0166】
その他のケースを図1に示す。
【0167】
ステップS22で、ネットワークエンティティによって、第2のセルC3においてユーザー機器UE2のタイミングアドバンスとして使用されるべき値(つまり、UE2用に使用されるべきTA-C3)が、第1のセルC2のユーザー機器UE2のタイミングアドバンスとして使用される値(つまり、TA-C2)とは異なると判定された場合、ステップS23で、ネットワークエンティティは、第2のセルC3においてユーザー機器UE2のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する。
【0168】
第2のセルC3においてユーザー機器UE2のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定するために、ネットワークエンティティは、図2図3及び図4に記載される1つ、又は幾つかの方法を実施することができる。これらの方法を共に組み合わせて、第2のセルC3においてユーザー機器UE2のタイミングアドバンスとして使用されるべき値(使用されるべきTA-C3)をより正確に決定することができる。
【0169】
図2及び図3に記載されている方法は、別のユーザー機器のタイミングアドバンス値の第2の基地局(UE2の状況では、BS3)による学習から、値を決定することを説明している。使用されるべきTA-C3の決定を実装するネットワークエンティティは、BS2、又はBS3(又は、ユーザー機器を除く任意のネットワークエンティティ)でよい。しかし、BS2が、UE2用に使用されるべきTA-C3を決定するネットワークエンティティである場合、BS3は、TA-C3を決定できることに基づいて学習された値(又は、任意の対応する情報)をBS2に送信することができる。この送信は、基地局間交換(Xnリンク)を通じて実行できる。
【0170】
図4で述べる方法では、第1の基地局(UE2の状況では、BS2)によって取得されたユーザー機器の位置に関連するユーザー機器固有のパラメーターに基づく計算から、値を決定することを説明する。使用されるべきTA-C3の決定を実装するネットワークエンティティは、BS2、又はBS3(ユーザー機器を除く任意のネットワークエンティティ)でよい。しかし、BS3が、UE2用に使用されるべきTA-C3を決定するネットワークエンティティである場合、BS2は、BS3によりTA-C3を決定できることに基づいて、ユーザー機器UE2の位置(又は、任意の対応する情報)を送信することができる。一方、BS2が、UE2用に使用されるべきTA-C3を決定するネットワークエンティティである場合、BS3は、BS2によりTA-C3を決定できることに基づいて、ユーザー機器UE2の更なる情報(前述のとおり)(又は、任意の対応する情報)を送信することができる。両ケースにおいて、こうした送信は、基地局間交換(Xnリンク)を通じて実行できる。
【0171】
ステップS24で、ユーザー機器用の第2のセルにおいて使用されるべき値を決定したネットワークエンティティは、必要に応じて、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを、ユーザー機器が接続する第2の基地局へと、最終的には、他の基地局を介して、ユーザー機器(特に、ユーザー機器が第2のセルにおいて使用されるべき値を独自に決定できない場合)へと送信する。
【0172】
それゆえ、値を決定したネットワークエンティティが第2の基地局(UE2の状況では、BS3)であり、使用されるべきTA-C3がTA-C2と異なる場合、且つハンドオーバーモードがFulMである場合、第2の基地局(BS3)は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを第1の基地局(BS2)に送信して、第1の基地局が第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータをユーザー機器(UE2)に送信できるようにする。
【0173】
第1の基地局によって送信される第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータは、以下を含み得る:
使用されるべきTA-C3に対応するデータ、例えば、BS2は、TA-C3、又はTA-C3に相当する任意の符号化済みのバージョンを送信できる;
TA-C2からのずれに対応するデータ;
汎用値からのずれに対応するデータ。
【0174】
ユーザー機器は、第1の基地局から受信したタイミングアドバンスに関するデータに基づいて、第2のセルで使用されるべきタイミングアドバンス値(TA-C3)を決定する。
【0175】
使用されるべきTA-C3がTA-C2と異なる場合、且つハンドオーバーモードがSimMである場合、第2の基地局(BS3)は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを第1の基地局(BS2)に送信して、第1の基地局が第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータをユーザー機器(UE2)に送信できるようにする。この場合、ユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータは、タイミングアドバンス値の更新が必要であることをユーザー機器に通知するデータであり得る。ハンドオーバーモードがSimMであるので、ユーザー機器UE2はBS2とBS3との間で標準ハンドオーバーを実行し、その間、UE2は使用されるべきTA-C3を取得する。
【0176】
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルのユーザー機器(UE1の場合)のタイミングアドバンスとして使用される値と同じである場合、且つ、ハンドオーバーモードがFulM、又はSimMの場合、第2の基地局(UE1の状況では、BS2)は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを第1の基地局(UE1の状況では、BS1)に送信することができる。
【0177】
第1の基地局は、構成に応じて、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータをユーザー機器に送信するか、又は送信しない。しかし、いずれの場合でも、ユーザー機器は、第1の基地局から受信した第2のセルにおけるタイミングアドバンスに関するデータに基づくか、又はユーザー機器が第2のセルにおけるタイミングアドバンスに関連するデータを一切受信しなかったという事実に基づいて、例えば、第1のセルC1で使用される最終タイミングアドバンス値として、第2のセルC2において使用されるべきタイミングアドバンス値を設定する。
【0178】
前述のように、第1の基地局からユーザー機器に送信される第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータ(このデータにより、ユーザー機器は、第2のセルにおいて使用されるべき値を決定することができる)は、第2の基地局から第1の基地局に送信される第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータ(このデータにより、第1の基地局は、ユーザー機器に送信される第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを生成することができる)とは異なるか、又は、異ならない場合がある。
【0179】
値を決定したネットワークエンティティが第1の基地局(UE2の状況では、BS2)である場合、使用されるべきTA-C3がTA-C2と異なる場合、且つハンドオーバーモードがFulMである場合、第1の基地局(BS2)は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータをユーザー機器(UE2)に直接送信できる。さらに、第1の基地局(BS2)は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータをユーザー機器(UE2)に直接送信することができる。
【0180】
第1の基地局によって送信される第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータは、以下を含み得る:
使用されるべきTA-C3に対応するデータ、例えば、BS2は、TA-C3、又はTA-C3に相当する任意の符号化済みのバージョンを送信できる;
TA-C2からのずれに対応するデータ;
汎用値からのずれに対応するデータ。
【0181】
ユーザー機器は、第1の基地局から受信したタイミングアドバンスに関するデータに基づいて、第2のセルで使用されるべきタイミングアドバンス値(TA-C3)を決定する。
【0182】
第2の基地局は、第1の基地局から受信したタイミングアドバンスに関するデータに基づいて、第2のセルで使用されるべきタイミングアドバンス値(TA-C3)を決定する。
【0183】
使用されるべきTA-C3がTA-C2と異なる場合、且つハンドオーバーモードがSimMである場合、第1の基地局(BS2)は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータをユーザー機器(UE2)に直接送信できる。この場合、ユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータは、タイミングアドバンス値の更新が必要であることをユーザー機器に通知するデータであり得る。ハンドオーバーモードがSimMであるので、ユーザー機器UE2はBS2とBS3との間で標準ハンドオーバーを実行し、その間、UE2は使用されるべきTA-C3を取得する。
【0184】
さらに、第1の基地局(BS2)は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを第2の基地局(BS3)に送信することができる。第2の基地局は、第1の基地局から受信したタイミングアドバンスに関するデータに基づいて、UE2が使用されるべきTA-C3を取得する標準ハンドオ―バを実行することで、タイミングアドバンス値を更新することを決定する。
【0185】
第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルのユーザー機器(UE1の場合)のタイミングアドバンスとして使用される値と同じである場合、且つ、ハンドオーバーモードがFulM、又はSimMの場合、第1の基地局(UE1の状況では、BS1)は、構成に応じて、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータをユーザー機器に送信するか、又は送信しない場合がある。しかし、いずれの場合でも、ユーザー機器は、第1の基地局BS1から受信した第2のセルにおけるタイミングアドバンスに関するデータに基づくか、又はユーザー機器UE1が第2のセルにおけるタイミングアドバンスに関連するデータを一切受信しなかったという事実に基づいて、例えば、第1のセルC1で使用される最終タイミングアドバンス値として、第2のセルC2において使用されるべきタイミングアドバンス値を設定する。
【0186】
さらに、第1の基地局BS1は、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータを第2の基地局(UE1の状況においてBS2)に送信することができる。
【0187】
第2の基地局は、第1の基地局から受信したタイミングアドバンスに関するデータに基づいて、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値を決定する。
【0188】
前述のように、第1の基地局からユーザー機器に送信される第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータ(このデータにより、ユーザー機器は、第2のセルにおいて使用されるべき値を決定することができる)は、第1の基地局から第2の基地局に送信される第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関するデータ(このデータにより、第2の基地局は、第2のセルにおける使用されるべき値を決定することができる)とは異なるか、又は、異ならない場合がある。
【0189】
ステップS25で、第1の基地局及び第2の基地局は、第1の基地局から第2の基地局へのユーザー機器のハンドオーバーを実行する。
【0190】
モードがSimMで、且つ、第2のセルにおけるユーザー機器UE2のタイミングアドバンスに関連するデータが、使用されるべき値TA-C3を決定できない場合、第1の基地局から第2の基地局へと実行されるハンドオーバーは、標準ハンドオーバーである。
【0191】
モードが、
FulM、又は、
SimMの場合、且つ、第2のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスに関連するデータがUE1に送信されない場合、又は、送信されたタイミングアドバンスに関連するデータが、第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用されるべき値が、第1のセルにおけるユーザー機器のタイミングアドバンスとして使用される値と同じであるということをユーザー機器に通知するデータである場合、本発明に係わる第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバー、つまり、第2の基地局が第2のセルにおいてユーザー機器のタイミングアドバンス値として使用されるべき値をユーザー機器に送信しないハンドオーバーを実行する。例えば、NRの状況において、第2の基地局に接続するためにこの基地局によって送信されるRACH手順の第2のメッセージは、タイミングアドバンス値を含まない。第2の基地局への接続が確立されると、第2の基地局は、ユーザー機器が第2のセルを離れるまで、タイミングアドバンス値を継続的に更新することができる。
【0192】
さらに、第2の基地局は、決定されたタイミングアドバンス値を使用して、ユーザー機器へのアップリンクリソースをスケジューリングすることができる。例えば、NRの状況において、第2の基地局によって送信されたRACH手順の第2のメッセージは、ユーザー機器がRACH手順の第3メッセージを送信できるように、ユーザー機器へのアップリンクリソースをスケジューリングする。このことは、第2の基地局が、タイミングアドバンス値に基づいて既に補正済みであり得るユーザー機器からRACH手順の第1のメッセージを受信したとしても可能であり(第2の基地局が使用されるべきタイミングアドバンス値を知っているので)、それゆえ、RACH手順のこの第1のメッセージに基づいて、タイミングアドバンスの推定は実行されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7