(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】転舵機構、車両、転舵機構の製造設備及び方法
(51)【国際特許分類】
B62D 5/12 20060101AFI20240730BHJP
B62D 5/06 20060101ALI20240730BHJP
B62D 5/08 20060101ALI20240730BHJP
B62D 7/09 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B62D5/12
B62D5/06 B
B62D5/08
B62D7/09
(21)【出願番号】P 2022554366
(86)(22)【出願日】2020-11-07
(86)【国際出願番号】 CN2020127375
(87)【国際公開番号】W WO2022094994
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】姜 利文
(72)【発明者】
【氏名】王 志超
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-327571(JP,A)
【文献】特開昭61-268571(JP,A)
【文献】特表2002-532323(JP,A)
【文献】特開2006-240413(JP,A)
【文献】特開昭60-085063(JP,A)
【文献】米国特許第05435407(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/06, 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転舵機構であって
第1転舵輪と、
第2転舵輪と、
前記第1転舵輪に接続される第1駆動装置と、
前記第2転舵輪に接続される第2駆動装置とを含み、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置はそれぞれ、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を単独で駆動して、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現し、
前記転舵機構は、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置に給液するための油圧制御システムをさらに含み、これにより、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置は前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪をそれぞれ単独で駆動して、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を同じ方向に偏向させることに用いられ
、
前記油圧制御システムは、
第1作動状態及び第2作動状態を有する転舵制御装置と、
前記転舵制御装置に伝動接続され、前記転舵制御装置を前記第1作動状態と前記第2作動状態との間で切り替えるように制御するための転舵部材と、
前記転舵制御装置が第1作動状態にある場合に前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置に給液することで、第1駆動装置及び前記第2駆動装置が前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪をそれぞれ駆動して同じ方向に左に偏向させることに用いられ、さらに、前記転舵制御装置が第2作動状態にある場合に前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置に給液することで、第1駆動装置及び前記第2駆動装置が前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪をそれぞれ駆動して同じ方向に右に偏向させることに用いられる給液装置と、
分流弁であって、前記給液装置から供給される液体は順に前記分流弁、前記転舵制御装置を通って前記第1駆動装置及び第2駆動装置に流入し、前記分流弁は、前記転舵制御装置から第1駆動装置に流入する液体の流量と前記転舵制御装置から前記第2駆動装置に流入する液体の流量との比を調節することで、前記第1転舵輪の偏向角度と前記第2転舵輪の偏向角度を同じ又は異なるものにすることに用いられる、分流弁とを含むことを特徴とする転舵機構。
【請求項2】
前記第1駆動装置は、
前記第1転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第1油圧シリンダーを含み、一方の第1油圧シリンダーは前記第1転舵輪を押すことに用いられ、他方の第1油圧シリンダーは前記第1転舵輪を引くことで、前記第1転舵輪を駆動して偏向させることに用いられることを特徴とする請求項1に記載の転舵機構。
【請求項3】
前記第2駆動装置は、
前記第2転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第2油圧シリンダーを含み、一方の第2油圧シリンダーは前記第2転舵輪を押すことに用いられ、他方の第2油圧シリンダーは前記第2転舵輪を引くことで、前記第2転舵輪を駆動して偏向させることに用いられることを特徴とする請求項2に記載の転舵機構。
【請求項4】
前記2つの第1油圧シリンダーは第1前部油圧シリンダー及び第1後部油圧シリンダーを含み、前記2つの第2油圧シリンダーは第2前部油圧シリンダー及び第2後部油圧シリンダーを含み、前記第1前部油圧シリンダー、前記第1後部油圧シリンダー、前記第2前部油圧シリンダー及び前記第2後部油圧シリンダーはいずれも前記第1転舵輪と第2転舵輪との間に位置し、
前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪が同じ方向に左に偏向する場合、前記第1前部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を押すことに用いられ、前記第1後部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を引くことに用いられ、前記第2前部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を引くことに用いられ、前記第2後部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を押すことに用いられ、
前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪が同じ方向に右に偏向する場合、前記第1前部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を引くことに用いられ、前記第1後部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を押すことに用いられ、前記第2前部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を押すことに用いられ、前記第2後部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を引くことに用いられることを特徴とする請求項3に記載の転舵機構。
【請求項5】
前記油圧制御システムは、
流量調節弁であって、前記給液装置から供給される液体は順に前記流量調節弁、前記分流弁、前記転舵制御装置を通って前記第1駆動装置及び第2駆動装置に流入する流量調節弁と、
車両の車速信号を取得するための車速センサと、
前記車速信号に基づいて前記流量調節弁を制御して前記分流弁に流入する液体の流量を調節するための制御ユニットとをさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の転舵機構。
【請求項6】
前記油圧制御システムは、
前記転舵部材のトルク信号を取得するためのトルクセンサをさらに含み、
前記制御ユニットはさらに、前記トルク信号に基づいて前記流量調節弁を制御して前記分流弁に流入する液体の流量を調節することに用いられることを特徴とする請求項
5に記載の転舵機構。
【請求項7】
前記転舵制御装置は、
第1管路及び第2管路を介して前記第1駆動装置に接続される第1切換弁と、
第3管路及び第4管路を介して前記第2駆動装置に連通する第2切換弁とを含み、
前記転舵部材は前記第1切換弁の弁体及び第2切換弁の弁体の位置を切り替えることで、前記転舵制御装置を第1作動状態又は第2作動状態にすることに用いられ、
前記転舵制御装置が第1作動状態にある場合、前記第1管路及び前記第3管路は液体供給管路であり、前記第2管路及び第4管路は液体戻り管路であり、
前記転舵制御装置が第2作動位置にある場合、前記第1管路及び第3管路は液体戻り管路であり、前記第2管路及び前記第4管路は液体供給管路であることを特徴とする請求項
1、5および6のいずれか1項に記載の転舵機構。
【請求項8】
前記第1駆動装置は、
前記第1転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第1油圧シリンダーを含み、各第1油圧シリンダーのピストンロッドは前記第1転舵輪に接続され、各第1油圧シリンダーは、液体が供給されるとそのピストンロッドを伸長させる第1キャビティと、液体が供給されるとそのピストンロッドを収縮させる第2キャビティとを含み、
一方の第1油圧シリンダーの第1キャビティ及び他方の第1油圧シリンダーの第2キャビティは前記第1管路に連通し、前記一方の第1油圧シリンダーの第2キャビティ及び前記他方の第1油圧シリンダーの第1キャビティは前記第2管路に連通することを特徴とする請求項
7に記載の転舵機構。
【請求項9】
前記第2駆動装置は、
前記第2転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第2油圧シリンダーを含み、各第2油圧シリンダーのピストンロッドは前記第2転舵輪に接続され、各第2油圧シリンダーは、液体が供給されるとそのピストンロッドを伸長させる第3キャビティと、液体が供給されるとそのピストンロッドを収縮させる第4キャビティとを含み、
一方の第2油圧シリンダーの第3キャビティ及び他方の第2油圧シリンダーの第4キャビティは前記第3管路に連通し、前記一方の第2油圧シリンダーの第4キャビティ及び前記他方の第2油圧シリンダーの第3キャビティは前記第4管路に連通することを特徴とする請求項
8に記載の転舵機構。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の転舵機構を含むことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は車両の技術分野に関し、具体的には、転舵機構、車両、転舵機構の製造設備及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両の転舵機構は主に2種類に分けられ、1つは機械式油圧転舵機構であり、エンジンベルトで油圧ポンプを駆動し、次に弁本体によって動力シリンダーの両端に流入する作動油の圧力差を制御し、ピストンを引いて移動させ、ピストンが動力連接ロッドに接続されて車輪に伝達し、左右の転舵を実現し、この構造は主に伝統的な燃料車に適用され、もう1つは電力補助によって転舵を制御し、電気モーターがクラッチ及び減速歯車とともに車体フレームに取り付けられ、モーターによって機械的動力伝動ロッドを補助して転舵を実現する。
【0003】
一般的には、転舵機構の2つの転舵輪は複雑な連動機構によって連動を実現し、転舵機構全体の構造は複雑である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は、転舵機構、車両、転舵機構の製造設備及び方法を提供することで、転舵機構の構造が複雑であるという問題を改善する。
【0005】
第1態様では、本願の実施例は転舵機構を提供し、
第1転舵輪と、
第2転舵輪と、
前記第1転舵輪に接続される第1駆動装置と、
前記第2転舵輪に接続される第2駆動装置とを含み、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置はそれぞれ、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を単独で駆動して、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現することに用いられる。
【0006】
上記の技術的手段では、第1駆動装置及び第2駆動装置によって第1転舵輪及び第2転舵輪をそれぞれ単独で駆動して同じ方向に偏向させ、2つの転舵輪の間に連動関係がなく、複雑な機械的伝動機構を介して2つの転舵輪を接続する必要がなく、転舵機構の構造を簡素化する。
【0007】
また、本願の実施例の転舵機構は以下の付加的な技術的特徴をさらに有する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1駆動装置は、
前記第1転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第1油圧シリンダーを含み、一方の第1油圧シリンダーは前記第1転舵輪を押すことに用いられ、他方の第1油圧シリンダーは前記第1転舵輪を引くことで、前記第1転舵輪を駆動して偏向させることに用いられる。
【0009】
上記の技術的手段では、2つの第1油圧シリンダーは一方が押し他方が引くという方式で第1転舵輪を駆動して偏向させることによって、2つの第1油圧シリンダーは第1転舵輪により大きな転舵力を提供できるとともに、第1転舵輪の偏向転舵過程をよりスムーズにする。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第2駆動装置は、
前記第2転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第2油圧シリンダーを含み、一方の第2油圧シリンダーは前記第2転舵輪を押すことに用いられ、他方の第2油圧シリンダーは前記第2転舵輪を引くことで、前記第2転舵輪を駆動して偏向させることに用いられる。
【0011】
上記の技術的手段では、2つの第2油圧シリンダーは一方が押し他方が引くという方式で第2転舵輪を駆動して偏向させることによって、2つの第2油圧シリンダーは第2転舵輪により大きな転舵力を提供できるとともに、第2転舵輪の偏向転舵過程をよりスムーズにする。
【0012】
いくつかの実施例では、前記2つの第1油圧シリンダーは第1前部油圧シリンダー及び第1後部油圧シリンダーを含み、前記2つの第2油圧シリンダーは第2前部油圧シリンダー及び第2後部油圧シリンダーを含み、前記第1前部油圧シリンダー、前記第1後部油圧シリンダー、前記第2前部油圧シリンダー及び前記第2後部油圧シリンダーはいずれも前記第1転舵輪と第2転舵輪との間に位置し、
前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪が同じ方向に左に偏向する場合、前記第1前部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を押すことに用いられ、前記第1後部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を引くことに用いられ、前記第2前部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を引くことに用いられ、前記第2後部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を押すことに用いられ、
前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪が同じ方向に右に偏向する場合、前記第1前部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を引くことに用いられ、前記第1後部油圧シリンダーは前記第1転舵輪を押すことに用いられ、前記第2前部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を押すことに用いられ、前記第2後部油圧シリンダーは前記第2転舵輪を引くことに用いられる。
【0013】
上記の技術的手段では、第1前部油圧シリンダー、第1後部油圧シリンダー、第2前部油圧シリンダー及び第2後部油圧シリンダーがいずれも第1転舵輪と第2転舵輪との間に位置するため、転舵機構の構造をコンパクトにし、占有空間を減らす。
【0014】
いくつかの実施例では、前記転舵機構は、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置に給液するための油圧制御システムをさらに含み、これにより、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置は前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪をそれぞれ単独で駆動して、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を同じ方向に偏向させる。
【0015】
上記の技術的手段では、油圧制御システムが第1駆動装置及び第2駆動装置に給液することによって、第1駆動装置及び第2駆動装置に対する正確な制御を実現することができ、第1転舵輪及び第2転舵輪の同じ方向の偏向を実現する。理解できるように、第1駆動装置及び第2駆動装置は油圧アクチュエータであり、油圧制御システムの作用下で第1駆動装置及び第2駆動装置は第1転舵輪及び第2転舵輪により大きな駆動力を提供することができる。
【0016】
いくつかの実施例では、前記油圧制御システムは、
第1作動状態及び第2作動状態を有する転舵制御装置と、
前記転舵制御装置に伝動接続され、前記転舵制御装置を前記第1作動状態と前記第2作動状態との間で切り替えるように制御するための転舵部材と、
前記転舵制御装置が第1作動状態にある場合に前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置に給液することで、第1駆動装置及び前記第2駆動装置が前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪をそれぞれ駆動して同じ方向に左に偏向させることに用いられ、さらに、前記転舵制御装置が第2作動状態にある場合に前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置に給液することで、第1駆動装置及び前記第2駆動装置が前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪をそれぞれ駆動して同じ方向に右に偏向させることに用いられる給液装置とを含む。
【0017】
上記の技術的手段では、転舵部材によって転舵制御装置を制御して、転舵制御装置を第1作動状態又は第2作動状態にすることができ、これにより、給液装置は第1駆動装置及び第2駆動装置に給液し、第1転舵輪及び第2転舵輪が同じ方向に左又は右に偏向することを実現する。このような構造の油圧制御システムは転舵部材を操作することによって転舵を実現でき、全体的な構造が簡単で、転舵操作が容易である。
【0018】
いくつかの実施例では、前記油圧制御システムは、
分流弁をさらに含み、前記給液装置から供給される液体は順に前記分流弁、前記転舵制御装置を通って前記第1駆動装置及び第2駆動装置に流入し、前記分流弁は、前記転舵制御装置から第1駆動装置に流入する液体の流量と前記転舵制御装置から前記第2駆動装置に流入する液体の流量との比を調節することで、前記第1転舵輪の偏向角度と前記第2転舵輪の偏向角度を同じ又は異なるものにすることに用いられる。
【0019】
上記の技術的手段では、分流弁によって、転舵制御装置から第1駆動装置に流入する液体の流量と転舵制御装置から第2駆動装置に流入する液体の流量との比を調節することができる。実際の走行過程で、具体的な運転状況に応じて分流弁によって第1駆動装置に流入する液体の流量と第2駆動装置に流入する液体の流量との比を制御することができ、第1転舵輪と第2転舵輪の転舵過程での偏向角度を同じ又は異なるものにし、操作性能及び運転体験を向上させる。
【0020】
いくつかの実施例では、前記油圧制御システムは、
流量調節弁であって、前記給液装置から供給される液体は順に前記流量調節弁、前記分流弁、前記転舵制御装置を通って前記第1駆動装置及び第2駆動装置に流入する流量調節弁と、
車両の車速信号を取得するための車速センサと、
前記車速信号に基づいて前記流量調節弁を制御して前記分流弁に流入する液体の流量を調節するための制御ユニットとをさらに含む。
【0021】
上記の技術的手段では、車速センサによって車両の車速信号を取得することができ、制御ユニットは車速信号に基づいて流量調節弁を制御することで、分流弁に流入する液体の流量を調節することができる。分流弁に流入する液体の流量が変化すると、順に分流弁、転舵制御装置を通って第1駆動装置及び第2駆動装置に流入する流量も変化し、それによって、第1駆動装置及び第2駆動装置が第1転舵輪及び第2転舵輪にそれぞれ提供する駆動力を変更する。
【0022】
いくつかの実施例では、前記油圧制御システムは、
前記転舵部材のトルク信号を取得するためのトルクセンサをさらに含み、
前記制御ユニットはさらに、前記トルク信号に基づいて前記流量調節弁を制御して前記分流弁に流入する液体の流量を調節することに用いられる。
【0023】
上記の技術的手段では、トルクセンサによって転舵部材のトルク信号を取得することができ、制御ユニットはトルク信号に基づいて流量調節弁を制御することで、分流弁に流入する液体の流量を調節することができる。分流弁に流入する液体の流量が変化すると、順に分流弁、転舵制御装置を通って第1駆動装置及び第2駆動装置に流入する流量も変化し、それによって、第1駆動装置及び第2駆動装置が第1転舵輪及び第2転舵輪にそれぞれ提供する駆動力を変更する。運転者が転舵部材によって転舵する過程で転舵部材に加えるトルクがデフォルト値よりも大きい場合、トルクセンサは転舵部材が受けるトルクの大きさを表すトルク信号を取得することができ、制御ユニットは流量調節弁を制御することで、分流弁に流入する液体の流量を増加し、最終的に、第1駆動装置及び第2駆動装置はそれぞれ第1転舵輪及び第2転舵輪に大きな駆動力を提供し、第1転舵輪及び第2転舵輪を比較的速い速度で偏向させ、運転者が転舵部材によって転舵する過程で転舵部材に加えるトルクがデフォルト値よりも小さい場合、トルクセンサは転舵部材が受けるトルクの大きさを表すトルク信号を取得することができ、制御ユニットは流量調節弁を制御することで、分流弁に流入する液体の流量を減少し、最終的に、第1駆動装置及び第2駆動装置はそれぞれ第1転舵輪及び第2転舵輪に小さな駆動力を提供し、第1転舵輪及び第2転舵輪を比較的遅い速度で偏向させる。
【0024】
いくつかの実施例では、前記転舵制御装置は、
第1管路及び第2管路を介して前記第1駆動装置に接続される第1切換弁と、
第3管路及び第4管路を介して前記第2駆動装置に連通する第2切換弁とを含み、
前記転舵部材は前記第1切換弁の弁体及び第2切換弁の弁体の位置を切り替えることで、前記転舵制御装置を第1作動状態又は第2作動状態にすることに用いられ、
前記転舵制御装置が第1作動状態にある場合、前記第1管路及び前記第3管路は液体供給管路であり、前記第2管路及び第4管路は液体戻り管路であり、
前記転舵制御装置が第2作動位置にある場合、前記第1管路及び第3管路は液体戻り管路であり、前記第2管路及び前記第4管路は液体供給管路である。
【0025】
上記の技術的手段では、第1切換弁及び第2切換弁によって第1駆動装置及び第2駆動装置の液体供給と液体戻りの状況をそれぞれ変更し、第1転舵輪及び第2転舵輪の偏向を実現し、このような転舵制御装置は構造が簡単である。
【0026】
いくつかの実施例では、前記第1駆動装置は、
前記第1転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第1油圧シリンダーを含み、各第1油圧シリンダーのピストンロッドは前記第1転舵輪に接続され、各第1油圧シリンダーは、液体が供給されるとそのピストンロッドを伸長させる第1キャビティと、液体が供給されるとそのピストンロッドを収縮させる第2キャビティとを含み、
一方の第1油圧シリンダーの第1キャビティ及び他方の第1油圧シリンダーの第2キャビティは前記第1管路に連通し、前記一方の第1油圧シリンダーの第2キャビティ及び前記他方の第1油圧シリンダーの第1キャビティは前記第2管路に連通する。
【0027】
上記の技術的手段では、第1管路に液体が供給されると、一方の第1油圧シリンダーの第1キャビティ及び他方の第1油圧シリンダーの第2キャビティに液体が供給され、一方の第1油圧シリンダーのピストンロッドは伸長することで、第1転舵輪に推力を加え、他方の第1油圧シリンダーのピストンロッドは収縮することで、第1転舵輪に引っ張り力を加え、第2管路に液体が供給されると、一方の第1油圧シリンダーの第2キャビティ及び他方の第1油圧シリンダーの第1キャビティに液体が供給され、一方の第1油圧シリンダーのピストンロッドは収縮することで、第1転舵輪に引っ張り力を加え、他方の第1油圧シリンダーのピストンロッドは伸長することで、第1転舵輪に推力を加える。つまり、第1管路に液体が供給されるか、それとも第2管路に液体が供給されるかにかかわらず、2つの第1油圧シリンダーはいずれも一方が押し他方が引くという方式で第1転舵輪を駆動して偏向させ、第1転舵輪により大きな転舵力を提供できるとともに、第1転舵輪の偏向転舵過程をよりスムーズにする。
【0028】
いくつかの実施例では、前記第2駆動装置は、
前記第2転舵輪の同じ側に間隔をおいて配置される2つの第2油圧シリンダーを含み、各第2油圧シリンダーのピストンロッドは前記第2転舵輪に接続され、各第2油圧シリンダーは、液体が供給されるとそのピストンロッドを伸長させる第3キャビティと、液体が供給されるとそのピストンロッドを収縮させる第4キャビティとを含み、
一方の第2油圧シリンダーの第3キャビティ及び他方の第2油圧シリンダーの第4キャビティは前記第3管路に連通し、前記一方の第2油圧シリンダーの第4キャビティ及び前記他方の第2油圧シリンダーの第3キャビティは前記第4管路に連通する。
【0029】
上記の技術的手段では、第3管路に液体が供給されると、一方の第2油圧シリンダーの第3キャビティ及び他方の第2油圧シリンダーの第4キャビティに液体が供給され、一方の第2油圧シリンダーのピストンロッドは伸長することで、第2転舵輪に推力を加え、他方の第2油圧シリンダーのピストンロッドは収縮することで、第2転舵輪に引っ張り力を加え、第4管路に液体が供給されると、一方の第2油圧シリンダーの第4キャビティ及び他方の第2油圧シリンダーの第3キャビティに液体が供給され、一方の第2油圧シリンダーのピストンロッドは収縮することで、第2転舵輪に引っ張り力を加え、他方の第2油圧シリンダーのピストンロッドは伸長することで、第2転舵輪に推力を加える。つまり、第3管路に液体が供給されるか、それとも第4管路に液体が供給されるかにかかわらず、2つの第2油圧シリンダーはいずれも一方が押し他方が引くという方式で第2転舵輪を駆動して偏向させ、第2転舵輪により大きな転舵力を提供できるとともに、第2転舵輪の偏向転舵過程をよりスムーズにする。
【0030】
第2態様では、本願の実施例は、上記の転舵機構を含む車両を提供する。
【0031】
上記の技術的手段では、車両の転舵機構は第1駆動装置及び第2駆動装置によって第1転舵輪及び第2転舵輪をそれぞれ単独で駆動して同じ方向に偏向させ、2つの転舵輪の間に連動関係がなく、複雑な機械的伝動機構を介して2つの転舵輪を接続する必要がなく、転舵機構の構造を簡素化し、車両全体の重量及び占有空間を減らす。
【0032】
第3態様では、本願の実施例は転舵機構の製造設備を提供し、前記転舵機構の製造設備は、
第1転舵輪、第2転舵輪、第1駆動装置及び第2駆動装置を提供するための提供装置と、
前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置にそれぞれ取り付けるための取付装置とを含み、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置はそれぞれ、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を単独で駆動して、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現することに用いられる。
【0033】
第4態様では、本願の実施例は転舵機構の製造方法を提供し、前記転舵機構の製造方法は、
第1転舵輪、第2転舵輪、第1駆動装置及び第2駆動装置を提供するステップと、
前記第1転舵輪を前記第1駆動装置に取り付けるステップと、
前記第2転舵輪を前記第2駆動装置に取り付けるステップとを含み、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置はそれぞれ、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を単独で駆動して、前記第1転舵輪及び前記第2転舵輪を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現することに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【0035】
【
図1】本願のいくつかの実施例が提供する車両の構造模式図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が偏向していない)の構造模式図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が左に偏向する)の構造模式図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が右に偏向する)の構造模式図である。
【
図5】本願の別の実施例が提供する転舵機構の構造模式図である。
【
図6】本願のさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構の構造模式図である。
【
図7】本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が偏向していない)の構造模式図である。
【
図8】本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が左に偏向する)の構造模式図である。
【
図9】本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が右に偏向する)の構造模式図である。
【
図10】本願の別のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が偏向していない)の構造模式図である。
【
図11】本願の別のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が左に偏向する)の構造模式図である。
【
図12】本願の別のいくつかの実施例が提供する転舵機構(第1転舵輪及び第2転舵輪が右に偏向する)の構造模式図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構の構造模式図である。
【
図14】本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構の構造模式図である。
【
図15】本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構の製造設備の模式的なブロック図である。
【
図16】本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために使用されるが、本願の範囲を制限するためのものではなく、すなわち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0037】
本願の説明において、説明する必要がある点として、特に断らない限り、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が示す方位又は位置関係は、本願を説明しやすくし、説明を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を制限するものであると理解してはならない。また、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものであると理解してはならない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内にある。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内にある。
【0038】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付ける」、「連結」、「接続」という用語は、広い意味を持つべきである。例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記の用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0039】
現在、車両の転舵機構の2つの転舵輪は一般的に複雑な連動機構によって連動を実現し、転舵機構全体の構造は複雑である。
【0040】
これに鑑みて、本願は1つの技術的解決手段を提供し、2つの駆動装置が2つの転舵輪をそれぞれ単独で駆動して同じ方向に偏向させることによって、転舵を実現する。
【0041】
説明する必要がある点として、本願の実施例に説明される技術的解決手段はいずれも車両に適用でき、車両は、燃料自動車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型電気自動車等であってもよい。本願の実施例は上記の車両を特別に限定しない。
【0042】
以下の実施例では、説明の便宜上、車両が新エネルギー自動車であることを例として説明する。
【0043】
図1を参照し、
図1は本願のいくつかの実施例が提供する車両1000の構造模式図であり、車両1000は転舵機構100を含み、車両1000は転舵機構100によって転舵を実現する。
【0044】
いくつかの実施例では、車両1000は電池200をさらに含み、電池200は車両1000の底部又は前部又は尾部に設置されてもよい。電池200は車両1000の給電に使用でき、例えば、電池200は車両1000の操作電源として使用できる。
【0045】
車両1000はコントローラ300及びモーター400をさらに含んでもよく、コントローラ300は電池200をモーター4に給電させるように制御することに用いられ、例えば、車両1000の始動、ナビゲーション及び運転時の作動電力需要に用いられる。
【0046】
いくつかの実施例では、電池200は車両1000の操作電源として使用できるだけでなく、車両1000の駆動電源として使用され、燃料又は天然ガスを代替し又は部分的に代替して車両1000に駆動動力を提供することができる。
【0047】
本願の実施例が提供する電池200とは、1つ又は複数の電池セルを含むことで、より高い電圧及び容量を提供する単一の物理モジュールを指す。例えば、本願に言及される電池200は電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池200は、一般的に、1つ又は複数の電池セルを包装するための筐体を含み、筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を与えることを回避することができる。
【0048】
本願では、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、円筒体、扁平体、直方体又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれについても限定しない。電池セルは、一般的に、包装方式に応じて、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれについても限定しない。
【0049】
電池セルは電極組立体及び電解液を含み、電極組立体は正極板、負極板及びセパレーターからなる。電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することによって作動する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布されている集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとして使用される。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布されている集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとして使用される。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコン等であってもよい。大電流が流れても溶断が発生しないことを確保するために、正極タブは複数あり且つ一体に積層され、負極タブは複数あり且つ一体に積層される。セパレーターの材質はPP又はPE等であってもよい。また、電極組立体は、巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。
【0050】
図2~
図4を参照し、
図2は本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が偏向していない)の構造模式図であり、
図3は本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が左に偏向する)の構造模式図であり、
図4は本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が右に偏向する)の構造模式図である。本願の実施例が提供する転舵機構100は第1転舵輪10と、第2転舵輪20と、第1駆動装置30と、第2駆動装置40とを含む。第1駆動装置30は第1転舵輪10に接続され、第2駆動装置40は第2転舵輪20に接続される。第1駆動装置30及び第2駆動装置40はそれぞれ、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を単独で駆動して、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現する。
【0051】
上記の転舵機構100において、第1駆動装置30及び第2駆動装置40によって第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ単独で駆動して同じ方向に偏向させ、2つの転舵輪の間に連動関係がなく、複雑な機械的伝動機構を介して2つの転舵輪を接続する必要がなく、転舵機構100の構造を簡素化する。
【0052】
また、第1駆動装置30及び第2駆動装置40が第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ単独で制御できるため、第1転舵輪10と第2転舵輪20は転舵過程で互いに独立し、互いに干渉せず、転舵過程で、第1駆動装置30が第1転舵輪10を駆動して偏向させる角度と第2駆動装置40が第2転舵輪20を駆動して偏向させる角度とは同じであってもよく、異なってもよく、転舵機構100の転舵操作性を向上させる。
【0053】
転舵機構100は車体フレーム60をさらに含んでもよく、第1駆動装置30及び第2駆動装置40はいずれも車体フレーム60に取り付けられてもよく、それによって、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を車体フレーム60に安定化させる。車両1000の転舵過程で、第1転舵輪10及び第2転舵輪20が車体フレーム60に対して偏向すると見なすことができる。
図2、
図3及び
図4において、第1転舵輪10は第2転舵輪20の左側にある。
【0054】
第1転舵輪10は第1車輪11及び第1接続フレーム12を含んでもよく、第1車輪11は第1接続フレーム12に回転可能に設置され、第1車輪11は第1接続フレーム12に対して自体の軸線を中心に回転することができ、第1駆動装置30は第1接続フレーム12に接続され、第1駆動装置30は第1接続フレーム12を駆動して偏向させるときに、第1車輪11は第1接続フレーム12に伴って偏向し、それにより、第1転舵輪10の偏向を実現する。
【0055】
第2転舵輪20は第2車輪21及び第2接続フレーム22を含んでもよく、第2車輪21は第2接続フレーム22に回転可能に設置され、第2車輪21は第2接続フレーム22に対して自体の軸線を中心に回転することができ、第2駆動装置40は第2接続フレーム22に接続され、第2駆動装置40は第2接続フレーム22を駆動して偏向させるときに、第2車輪21は第2接続フレーム22に伴って偏向し、それにより、第2転舵輪20の偏向を実現する。
【0056】
いくつかの実施例では、引き続き
図2~
図4を参照し、第1駆動装置30は2つの第1油圧シリンダー31を含んでもよく、2つの第1油圧シリンダー31は第1転舵輪10の同じ側に間隔をおいて配置され、一方の第1油圧シリンダー31は第1転舵輪10を押すことに用いられ、他方の第1油圧シリンダー31は第1転舵輪10を引くことで、第1転舵輪10を駆動して偏向させることに用いられる。
【0057】
2つの第1油圧シリンダー31は一方が押し他方が引くという方式で第1転舵輪10を駆動して偏向させることによって、2つの第1油圧シリンダー31は第1転舵輪10により大きな転舵力を提供できるとともに、第1転舵輪10の偏向転舵過程をよりスムーズにする。
【0058】
説明の便宜上、2つの第1油圧シリンダー31を第1前部油圧シリンダー32及び第1後部油圧シリンダー33としてそれぞれ定義し、理解できるように、2つの第1油圧シリンダー31は前後に配置され、第1前部油圧シリンダー32は第1後部油圧シリンダー33の前方側にある。2つの第1油圧シリンダー31は一方が押し他方が引くという方式で第1転舵輪10を駆動して偏向させることは、第1前部油圧シリンダー32が第1転舵輪10を押して偏向させるときに、第1後部油圧シリンダー33が第1転舵輪10を引き、第1前部油圧シリンダー32が第1転舵輪10を引いて偏向させるときに、第1後部油圧シリンダー33が第1転舵輪10を押すと理解することができる。
【0059】
各第1油圧シリンダー31のピストンロッドは第1転舵輪10に接続され、具体的には、各第1油圧シリンダー31のピストンロッドは第1転舵輪10の第1接続フレーム12にヒンジ接続される。各第1油圧シリンダー31は、液体が供給されるとピストンロッドを伸長させる第1キャビティ311と、液体が供給されるとピストンロッドを収縮させる第2キャビティ312とを含む。第1前部油圧シリンダー32の第1キャビティ311に液体が供給されると、第1前部油圧シリンダー32のピストンロッドが伸長し、第1前部油圧シリンダー32は第1転舵輪10を押して偏向させ、第1前部油圧シリンダー32の第2キャビティ312に液体が供給されると、第1前部油圧シリンダー32のピストンロッドが収縮し、第1前部油圧シリンダー32は第1転舵輪10を引いて偏向させる。同様に、第1後部油圧シリンダー33の第1キャビティ311に液体が供給されると、第1後部油圧シリンダー33のピストンロッドが伸長し、第1後部油圧シリンダー33は第1転舵輪10を押して偏向させ、第1後部油圧シリンダー33の第2キャビティ312に液体が供給されると、第1後部油圧シリンダー33のピストンロッドが収縮し、第1後部油圧シリンダー33は第1転舵輪10を引いて偏向させる。
【0060】
本実施例では、2つの第1油圧シリンダー31のシリンダーブロックは車体フレーム60に直接固定されてもよく、第1転舵輪10は2つの第1油圧シリンダー31によって一方が押し他方が引くという方式で偏向を実現するため、第1転舵輪10と車体フレーム60との間に回転接続関係を確立する必要がない。勿論、他の実施例では、
図5を参照し、
図5は本願の別の実施例が提供する転舵機構100の構造模式図であり、第1回転軸13を介して第1転舵輪10の第1接続フレーム12と車体フレーム60を回転可能に接続してもよく、転舵過程で、第1転舵輪10は第1回転軸13を中心に回転する。この場合、2つの第1油圧シリンダー31のシリンダーブロックは車体フレーム60にヒンジ接続されてもよい。
【0061】
説明する必要がある点として、他の実施例では、第1駆動装置30の第1油圧シリンダー31の数は他の数であってもよく、例えば、第1回転軸13を介して第1転舵輪10の第1接続フレーム12と車体フレーム60を回転可能に接続する場合、第1油圧シリンダー31を1つ設置してもよい。勿論、第1駆動装置30は他の構造であってもよく、例えば、第1駆動装置30は第1転舵輪10を駆動して偏向させるモーターである。
【0062】
いくつかの実施例では、引き続き
図2~
図4を参照し、第2駆動装置40は2つの第2油圧シリンダー41を含んでもよく、2つの第2油圧シリンダー41は第2転舵輪20の同じ側に間隔をおいて配置され、一方の第2油圧シリンダー41は第2転舵輪20を押すことに用いられ、他方の第2油圧シリンダー41は第2転舵輪20を引くことで、第2転舵輪20を駆動して偏向させることに用いられる。
【0063】
2つの第2油圧シリンダー41は一方が押し他方が引くという方式で第2転舵輪20を駆動して偏向させることによって、2つの第2油圧シリンダー41は第2転舵輪20により大きな転舵力を提供できるとともに、第2転舵輪20の偏向転舵過程をよりスムーズにする。
【0064】
説明の便宜上、2つの第2油圧シリンダー41を第2前部油圧シリンダー42及び第2後部油圧シリンダー43としてそれぞれ定義し、理解できるように、2つの第2油圧シリンダー42は前後に配置され、第2油圧シリンダー41は第2後部油圧シリンダー43の前方側にある。2つの第2油圧シリンダー41は一方が押し他方が引くという方式で第2転舵輪20を駆動して偏向させることは、第2前部油圧シリンダー42が第2転舵輪20を押して偏向させるときに、第2後部油圧シリンダー43が第2転舵輪20を引き、第2前部油圧シリンダー42が第2転舵輪20を引いて偏向させるときに、第2後部油圧シリンダー43が第2転舵輪20を押すと理解することができる。
【0065】
各第2油圧シリンダー41のピストンロッドは第2転舵輪20に接続され、具体的には、各第2油圧シリンダー41のピストンロッドは第2転舵輪20の第2接続フレーム22にヒンジ接続される。各第2油圧シリンダー41は、液体が供給されるとピストンロッドを伸長させる第3キャビティ411と、液体が供給されるとピストンロッドを収縮させる第4キャビティ412とを含む。第2前部油圧シリンダー42の第3キャビティ411に液体が供給されると、第2前部油圧シリンダー42のピストンロッドが伸長し、第2前部油圧シリンダー42は第2転舵輪20を押して偏向させ、第2前部油圧シリンダー42の第4キャビティ412に液体が供給されると、第2前部油圧シリンダー42のピストンロッドが収縮し、第2前部油圧シリンダー42は第2転舵輪20を引いて偏向させる。同様に、第2後部油圧シリンダー43の第3キャビティ411に液体が供給されると、第2後部油圧シリンダー43のピストンロッドが伸長し、第2後部油圧シリンダー43は第2転舵輪20を押して偏向させ、第2後部油圧シリンダー43の第4キャビティ412に液体が供給されると、第2後部油圧シリンダー43のピストンロッドが収縮し、第2前部油圧シリンダー42は第2転舵輪20を引いて偏向させる。
【0066】
選択的に、第1前部油圧シリンダー32、第1後部油圧シリンダー33、第2前部油圧シリンダー42及び第2後部油圧シリンダー43はいずれも第1転舵輪10と第2転舵輪20との間に位置し、すなわち第1前部油圧シリンダー32及び第1後部油圧シリンダー33はいずれも第1転舵輪10の内側に配置され、第2前部油圧シリンダー42及び第2後部油圧シリンダー43はいずれも第2転舵輪20の内側に配置される。このような構造により、転舵機構100の構造をコンパクトにし、占有空間を減らす。
【0067】
図3に示すように、第1転舵輪10及び第2転舵輪20が同じ方向に左に偏向する場合、第1前部油圧シリンダー32は第1転舵輪10を押すことに用いられ、第1後部油圧シリンダー33は第1転舵輪10を引くことに用いられ、第2前部油圧シリンダー42は第2転舵輪20を引くことに用いられ、第2後部油圧シリンダー43は第2転舵輪20を押すことに用いられる。
【0068】
図4に示すように、第1転舵輪10及び第2転舵輪20が同じ方向に右に偏向する場合、第1前部油圧シリンダー32は第1転舵輪10を引くことに用いられ、第1後部油圧シリンダー33は第1転舵輪10を押すことに用いられ、第2前部油圧シリンダー42は第2転舵輪20を押すことに用いられ、第2後部油圧シリンダー43は第2転舵輪20を引くことに用いられる。
【0069】
本実施例では、2つの第2油圧シリンダー41のシリンダーブロックは車体フレーム60に直接固定されてもよく、第2転舵輪20は2つの第2油圧シリンダー41によって一方が押し他方が引くという方式で偏向するため、第2転舵輪20と車体フレーム60との間に回転接続関係を確立する必要がない。勿論、他の実施例では、引き続き
図5を参照し、第2回転軸23を介して第2転舵輪20の第2接続フレーム22と車体フレーム60を回転可能に接続してもよく、転舵過程で、第2転舵輪20は第2回転軸23を中心に回転する。この場合、2つの第2油圧シリンダー41のシリンダーブロックは車体フレーム60にヒンジ接続されてもよい。
【0070】
説明する必要がある点として、さらに別の実施例では、第2駆動装置40の第2油圧シリンダー41の数は他の数であってもよく、例えば、第2回転軸23を介して第2転舵輪20の第2接続フレーム22と車体フレーム60を回転可能に接続する場合、第2油圧シリンダー41を1つ設置してもよい。勿論、第2駆動装置40は他の構造であってもよく、例えば、第2駆動装置40は第2転舵輪20を駆動して偏向させるモーターである。
【0071】
いくつかの実施例では、
図6を参照し、
図6は本願のさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100の構造模式図であり、転舵機構100は油圧制御システム50をさらに含んでもよく、油圧制御システム50は第1駆動装置30及び第2駆動装置40に給液することに用いられ、これにより、第1駆動装置30及び第2駆動装置40は第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ単独で駆動して、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現する。
【0072】
理解できるように、第1駆動装置30及び第2駆動装置40は油圧アクチュエータであり、油圧制御システム50の作用下で第1駆動装置30及び第2駆動装置40は第1転舵輪10及び第2転舵輪20に大きな駆動力を提供することができる。上記の各実施例では、第1前部油圧シリンダー32、第1後部油圧シリンダー33、第2前部油圧シリンダー42及び第2後部油圧シリンダー43はいずれも油圧アクチュエータである。以下では、油圧制御システム50が第1前部油圧シリンダー32、第1後部油圧シリンダー33、第2前部油圧シリンダー42及び第2後部油圧シリンダー43に給液することを例として、油圧制御システム50の具体的な構造を詳細に説明する。
【0073】
いくつかの実施例では、
図7~
図9を参照し、
図7は本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が偏向していない)の構造模式図であり、
図8は本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が左に偏向する)の構造模式図であり、
図9は本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が右に偏向する)の構造模式図である。油圧制御システム50は転舵制御装置51と、転舵部材52と、給液装置53とを含んでもよい。
【0074】
転舵制御装置51は第1作動状態及び第2作動状態を有する。転舵部材52は転舵制御装置51に伝動接続され、転舵部材52は転舵制御装置51を第1作動状態と第2作動状態との間で切り替えるように制御することに用いられる。
【0075】
図8に示すように、給液装置53は、転舵制御装置51が第1作動状態にある場合に第1駆動装置30及び第2駆動装置40に給液することで、第1駆動装置30及び第2駆動装置40が第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ駆動して同じ方向に左に偏向させることに用いられる。
【0076】
図9に示すように、給液装置53はさらに、転舵制御装置51が第2作動状態にある場合に第1駆動装置30及び第2駆動装置40に給液することで、第1駆動装置30及び第2駆動装置40が第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ駆動して同じ方向に右に偏向させることに用いられる。
【0077】
転舵部材52によって転舵制御装置51を制御して、転舵制御装置51を第1作動状態又は第2作動状態にすることができ、これにより、給液装置53は第1駆動装置30及び第2駆動装置40に給液し、第1転舵輪10及び第2転舵輪20が同じ方向に左又は右に偏向することを実現する。このような構造の油圧制御システム50は転舵部材52を操作することによって転舵を実現でき、全体的な構造が簡単で、転舵操作が容易である。
【0078】
給液装置53は油圧ポンプ531及び貯液タンク532を含んでもよく、油圧ポンプ531は貯液タンク532内の液体を転舵制御装置51にポンピングすることに用いられる。油圧ポンプ531は駆動モーター533によって駆動されてもよい。貯液タンク532内の液体はオイルであってもよい。
【0079】
転舵部材52はステアリングホイールであってもよく、ステアリングホイールの回転によって転舵制御装置51は第1作動状態と第2作動状態との間で切り替えることができる。
【0080】
転舵制御装置51は様々な構造であってもよく、液路を切り替えて第1転舵輪10と第2転舵輪20の転舵を実現すればよい。
【0081】
いくつかの実施例では、
図10~
図12を参照し、
図10は本願の別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が偏向していない)の構造模式図であり、
図11は本願の別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が左に偏向する)の構造模式図であり、
図12は本願の別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100(第1転舵輪10及び第2転舵輪20が右に偏向する)の構造模式図である。転舵制御装置51は第1切換弁511及び第2切換弁512を含んでもよく、第1切換弁511は第1管路5111及び第2管路5112を介して第1駆動装置30に接続され、第2切換弁512は第3管路5121及び第4管路5122を介して第2駆動装置40に連通する。
【0082】
転舵部材52は第1切換弁511の弁体及び第2切換弁512の弁体の位置を切り替えることで、転舵制御装置51を第1作動状態又は第2作動状態にすることに用いられる。
【0083】
図11に示すように、転舵制御装置51が第1作動状態にある場合、第1管路5111及び第3管路5121は液体供給管路であり、第2管路5112及び第4管路5122は液体戻り管路であり、
図12に示すように、転舵制御装置51が第2作動位置にある場合、第1管路5111及び第3管路5121は液体戻り管路であり、第2管路5112及び第4管路5122は液体供給管路である。
【0084】
転舵部材52は伝動機構を介して第1切換弁511の弁体及び第2切換弁512の弁体に伝動接続でき、それによって、転舵部材52の回転力を第1切換弁511の弁体及び第2切換弁512の弁体に伝達し、第1切換弁511の弁体及び第2切換弁512の弁体を移動させ、それによって、第1切換弁511及び第2切換弁512の作動状態を変更する。伝動機構は様々な構造形態であってもよく、例えば、ラックアンドピニオン機構である。
【0085】
選択的に、第1前部油圧シリンダー32の第1キャビティ311及び第1後部油圧シリンダー33の第2キャビティ312はいずれも第1管路5111に連通し、第1前部油圧シリンダー32の第2キャビティ312及び第1後部油圧シリンダー33の第1キャビティ311はいずれも第2管路5112に連通する。第2前部油圧シリンダー42の第3キャビティ411及び第2後部油圧シリンダー43の第4キャビティ412は第4管路5122に連通し、第2前部油圧シリンダー42の第4キャビティ412及び第2後部油圧シリンダー43の第3キャビティ411は第3管路5121に連通する。
【0086】
図11に示すように、転舵制御装置51が第1作動状態にある場合、第1管路5111及び第3管路5121が液体供給管路であり、第2管路5112及び第4管路5122が液体戻り管路であるため、第1前部油圧シリンダー32の第1キャビティ311、第1後部油圧シリンダー33の第2キャビティ312は第1管路5111によって液体が供給され、第2前部油圧シリンダー42の第4キャビティ412及び第2後部油圧シリンダー43の第3キャビティ411は第3管路5121によって液体が供給され、第1前部油圧シリンダー32の第2キャビティ312及び第1後部油圧シリンダー33の第1キャビティ311内の液体は第2管路5112によって戻され、最終的に貯液タンク532に戻され、第2前部油圧シリンダー42の第3キャビティ411及び第2後部油圧シリンダー43の第4キャビティ412の液体は第2管路5112によって戻され、最終的に貯液タンク532に戻される。この過程で、第1前部油圧シリンダー32のピストンロッドは伸長することで、第1転舵輪10に推力を加え、第1後部油圧シリンダー33のピストンロッドは収縮することで、第1転舵輪10に引っ張り力を加え、第2前部油圧シリンダー42のピストンロッドは収縮することで、第2転舵輪20に引っ張り力を加え、第2後部油圧シリンダー43のピストンロッドは伸長することで、第2転舵輪20に推力を加える。最終的に第1転舵輪10及び第2転舵輪20が同じ方向に左に偏向することを実現する。
【0087】
図12に示すように、転舵制御装置51が第2作動状態にある場合、第1管路5111及び第3管路5121が液体戻り管路であり、第2管路5112及び第4管路5122が液体供給管路であるため、第1前部油圧シリンダー32の第2キャビティ312、第1後部油圧シリンダー33の第1キャビティ311は第2管路5112によって液体が供給され、第2前部油圧シリンダー42の第3キャビティ411及び第2後部油圧シリンダー43の第4キャビティ412は第4管路5122によって液体が供給され、第1前部油圧シリンダー32の第1キャビティ311及び第1後部油圧シリンダー33の第2キャビティ312内の液体は第1管路5111によって戻され、最終的に貯液タンク532に戻され、第2前部油圧シリンダー42の第4キャビティ412及び第2後部油圧シリンダー43の第3キャビティ411の液体は第4管路5122によって戻され、最終的に貯液タンク532に戻される。この過程で、第1後部油圧シリンダー33のピストンロッドは伸長することで、第1転舵輪10に推力を加え、第1前部油圧シリンダー32のピストンロッドは収縮することで、第1転舵輪10に引っ張り力を加え、第2後部油圧シリンダー43のピストンロッドは収縮することで、第2転舵輪20に引っ張り力を加え、第2前部油圧シリンダー42のピストンロッドは伸長することで、第2転舵輪20に推力を加える。最終的に、第1転舵輪10及び第2転舵輪20が同じ方向に右に偏向することを実現する。
【0088】
第1切換弁511及び第2切換弁512は4ポート3ポジション切換弁であってもよく、第1切換弁511の弁体は左位置、中位置及び右位置の3つの位置を有する。第1切換弁511の弁体及び第2切換弁512の弁体がいずれも左位置にある場合、転舵制御装置51は第1作動状態にあり、第1管路5111は第1前部油圧シリンダー32及び第1後部油圧シリンダー33に給液し、第3管路5121は第2前部油圧シリンダー42及び第2後部油圧シリンダー43に給液し、第1転舵輪10及び第2転舵輪20は左に偏向し、第1切換弁511の弁体及び第2切換弁512の弁体がいずれも右位置にある場合、転舵制御装置51は第2作動状態にあり、第2管路5112は第1前部油圧シリンダー32及び第1後部油圧シリンダー33に給液し、第4管路5122は第2前部油圧シリンダー42及び第2後部油圧シリンダー43に給液し、第1転舵輪10及び第2転舵輪20は右に偏向する。第1切換弁511の弁体及び第2切換弁512の弁体がいずれも中位置にある場合、第1管路5111、第2管路5112、第3管路5121及び第4管路5122はいずれも給液せず、第1転舵輪10及び第2転舵輪20はいずれも偏向しない。
【0089】
他の実施例では、転舵制御装置51は他の構造の弁であってもよく、例えば、転舵制御装置51は回転作動式比例弁であり、回転作動式比例弁は転舵部材52の回転によって切り替えを行う比例弁である。
【0090】
いくつかの実施例では、
図13を参照し、
図13は本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構100の構造模式図であり、油圧制御システム50は分流弁54をさらに含み、給液装置53から供給される液体は順に分流弁54、転舵制御装置51を通って第1駆動装置30及び第2駆動装置40に流入し、分流弁54は、転舵制御装置51から第1駆動装置30に流入する液体の流量と転舵制御装置51から第2駆動装置40に流入する液体の流量との比を調節することで、第1転舵輪10の偏向角度と第2転舵輪20の偏向角度を同じ又は異なるものにすることに用いられる。
【0091】
実際の走行過程で、具体的な運転状況に応じて分流弁54によって第1駆動装置30に流入する液体の流量と第2駆動装置40の液体の流量との比を制御することができ、第1転舵輪10と第2転舵輪20の転舵過程での偏向角度を同じ又は異なるものにし、操作性能及び運転体験を向上させる。
【0092】
分流弁54は、異なる車速及び転舵部材52の回転方向に基づいて、転舵時に転舵制御装置51から第1駆動装置30に流入する液体の流量と転舵制御装置51から第2駆動装置40に流入する液体の流量との比を調節することができる。例えば、車速が第1デフォルト値以下である場合、転舵部材52が正方向に回転するか、それとも逆方向に回転するかにかかわらず、分流弁54は、第1駆動装置30に流入する液体の流量と第2駆動装置40の液体の流量を等しくするように制御し、第1転舵輪10と第2転舵輪20の偏向角度を等しくし、車速が第1デフォルト値よりも高く、転舵部材52が正方向に回転する場合、左側の第1転舵輪10及び右側の第2転舵輪20は左に偏向し、分流弁54は、第1駆動装置30に流入する液体の流量を第2駆動装置40の液体の流量よりも小さくするように制御し、第1転舵輪10が左に偏向する角度を第2転舵輪20が左に偏向する角度よりも小さくし、車速が第1デフォルト値よりも高く、転舵部材52が逆方向に回転する場合、左側の第1転舵輪10及び右側の第2転舵輪20は右に偏向し、分流弁54は、第2駆動装置40に流入する液体の流量を第1駆動装置30の液体の流量よりも小さくするように制御し、第2転舵輪20が右に偏向する角度を第1転舵輪10が右に偏向する角度よりも小さくする。
【0093】
分流弁54は液体供給口、第1液体排出口及び第2液体排出口を有し、第1液体排出口及び第2液体排出口はそれぞれ管路541を介して第1切換弁511及び第2切換弁512に連通し、液体供給口は接続管542を介して油圧ポンプ531に連通する。分流弁54が第1駆動装置30に流入する液体の流量と転舵制御装置51から第2駆動装置40に流入する液体の流量との比を制御することは、実質的に、第1液体排出口から排出される液体の流量と第2液体排出口から排出される液体の流量との比を制御することである。
【0094】
いくつかの実施例では、
図14を参照し、
図14は本願のまたさらに別のいくつかの実施例が提供する転舵機構100の構造模式図であり、油圧制御システム50は流量調節弁55と、車速センサ56と、制御ユニット57とをさらに含む。
【0095】
給液装置53から供給される液体は順に流量調節弁55、分流弁54、転舵制御装置51を通って第1駆動装置30及び第2駆動装置40に流入する。車速センサ56は車両1000の車速信号を取得することに用いられる。制御ユニット57は車速信号に基づいて流量調節弁55を制御して分流弁54に流入する液体の流量を調節することに用いられる。
【0096】
車速センサ56によって車両1000の車速信号を取得することができ、制御ユニット57は車速信号に基づいて流量調節弁55を制御することで、分流弁54に流入する液体の流量を調節することができる。分流弁54に流入する液体の流量が変化すると、順に分流弁54、転舵制御装置51を通って第1駆動装置30及び第2駆動装置40に流入する流量も変化し、それによって、第1駆動装置30及び第2駆動装置40が第1転舵輪10及び第2転舵輪20にそれぞれ提供する駆動力を変更する。
【0097】
車速が低い(車速が第2デフォルト値以下であり、例えば、車速が30Km/h以下である)場合、車速センサ56は車速が低いことを表す車速信号を取得し、このときに運転者が転舵部材52によって転舵すると、制御ユニット57は流量調節弁55を制御することで、分流弁54に流入する液体の流量を増加し、最終的に、第1駆動装置30及び第2駆動装置40はそれぞれ第1転舵輪10及び第2転舵輪20に大きな駆動力を提供し、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を比較的速い速度で偏向させる。
【0098】
車速が高い(車速が第2デフォルト値よりも高く、例えば、車速が30Km/hよりも高い)場合、車速センサ56は車速が高いことを表す車速信号を取得し、このときに運転者が転舵部材52によって転舵すると、制御ユニット57は流量調節弁55を制御することで、分流弁54に流入する液体の流量を減少し、最終的に、第1駆動装置30及び第2駆動装置40はそれぞれ第1転舵輪10及び第2転舵輪20に小さな駆動力を提供し、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を比較的遅い速度で偏向させ、高速走行過程での安全性を向上させる。
【0099】
流量調節弁55は油圧ポンプ531と分流弁54の液体供給口との間に接続された接続管542に設けられる。流量調節弁55は電磁流量調節弁55であってもよい。
【0100】
車速センサ56及び流量調節弁55はいずれも制御ユニット57に電気的に接続され、制御ユニット57は車両1000のECU(Electronic Control Unit、電子制御ユニット)であってもよい。
【0101】
いくつかの実施例では、引き続き
図14を参照し、油圧制御システム50はトルクセンサ58をさらに含み、トルクセンサ58は転舵部材52のトルク信号を取得することに用いられる。制御ユニット57はさらに、トルク信号に基づいて流量調節弁55を制御して分流弁54に流入する液体の流量を調節することに用いられる。
【0102】
トルクセンサ58は制御ユニット57に電気的に接続される。
【0103】
トルクセンサ58によって転舵部材52のトルク信号を取得することができ、制御ユニット57はトルク信号に基づいて流量調節弁55を制御することで、分流弁54に流入する液体の流量を調節することができる。分流弁54に流入する液体の流量が変化すると、順に分流弁54、転舵制御装置51を通って第1駆動装置30及び第2駆動装置40に流入する流量も変化し、それによって、第1駆動装置30及び第2駆動装置40が第1転舵輪10及び第2転舵輪20にそれぞれ提供する駆動力を変更する。
【0104】
運転者が転舵部材52によって転舵する過程で転舵部材52に加えるトルクがデフォルト値よりも大きい場合、トルクセンサ58は転舵部材52が受けるトルクの大きさを表すトルク信号を取得することができ、制御ユニット57は流量調節弁55を制御することで、分流弁54に流入する液体の流量を増加し、最終的に、第1駆動装置30及び第2駆動装置40はそれぞれ第1転舵輪10及び第2転舵輪20に大きな駆動力を提供し、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を比較的速い速度で偏向させ、運転者が転舵部材52によって転舵する過程で転舵部材52に加えるトルクがデフォルト値よりも小さい場合、トルクセンサ58は転舵部材52が受けるトルクの大きさを表すトルク信号を取得することができ、制御ユニット57は流量調節弁55を制御することで、分流弁54に流入する液体の流量を減少し、最終的に、第1駆動装置30及び第2駆動装置40はそれぞれ第1転舵輪10及び第2転舵輪20に小さな駆動力を提供し、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を比較的遅い速度で偏向させる。
【0105】
図15を参照し、
図15は本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構の製造設備2000の模式的なブロック図であり、転舵機の製造は提供装置1100及び取付装置1200を含む。
【0106】
提供装置1100は、第1転舵輪10、第2転舵輪20、第1駆動装置30及び第2駆動装置40を提供することに用いられる。
【0107】
取付装置1200は第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ第1駆動装置30及び第2駆動装置40に取り付けることに用いられる。
【0108】
第1駆動装置30及び第2駆動装置40は第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ単独で駆動して、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現する。
【0109】
図16を参照し、
図16は本願のいくつかの実施例が提供する転舵機構100の製造方法のフローチャートであり、転舵機構100の製造方法は、
第1転舵輪10、第2転舵輪20、第1駆動装置30及び第2駆動装置40を提供するS100と、
第1転舵輪10を第1駆動装置30に取り付けるS200と、
第2転舵輪20を第2駆動装置40に取り付けるS300とを含む。
【0110】
第1駆動装置30及び第2駆動装置40は第1転舵輪10及び第2転舵輪20をそれぞれ単独で駆動して、第1転舵輪10及び第2転舵輪20を同じ方向に偏向させることで、転舵を実現する。
【0111】
説明する必要がある点として、上記のステップS200はステップS300の前に行われてもよく、ステップS300の後に行われてもよい。
【0112】
説明する必要がある点として、矛盾がない場合、本願の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。
【0113】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、様々な改良を行うことができ、且つその部材を同等物で置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に言及される各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0114】
10-第1転舵輪
11-第1車輪
12-第1接続フレーム
13-第1回転軸
20-第2転舵輪
21-第2車輪
22-第2接続フレーム
23-第2回転軸
30-第1駆動装置
31-第1油圧シリンダー
311-第1キャビティ
312-第2キャビティ
32-第1前部油圧シリンダー
33-第1後部油圧シリンダー
40-第2駆動装置
41-第2油圧シリンダー
411-第3キャビティ
412-第4キャビティ
42-第2前部油圧シリンダー
43-第2後部油圧シリンダー
50-油圧制御システム
51-転舵制御装置
511-第1切換弁
5111-第1管路
5112-第2管路
512-第2切換弁
5121-第3管路
5122-第4管路
52-転舵部材
53-給液装置
531-油圧ポンプ
532-貯液タンク
533-駆動モーター
54-分流弁
541-管路
542-接続管
55-流量調節弁
56-車速センサ
57-制御ユニット
58-トルクセンサ
60-車体フレーム
100-転舵機構
200-電池
300-コントローラ
400-モーター
1000-車両
1100-提供装置
1200-取付装置
2000-転舵機構の製造設備