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特許7529798ガスケット配列、ガスケット配列の製造方法およびそのアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ガスケット配列、ガスケット配列の製造方法およびそのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/10 20060101AFI20240730BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F28F3/10
F28F9/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022564627
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021057681
(87)【国際公開番号】W WO2021213772
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】20170989.6
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ・ニーアンデル
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン・グスタフソン
(72)【発明者】
【氏名】クラス・ベルティルソン
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/224537(WO,A1)
【文献】特許第4990224(JP,B2)
【文献】特表2017-500531(JP,A)
【文献】特表昭60-501568(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0268832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/10
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート熱交換器用のガスケット配列(2)であって、
ガスケット(6)であって、当該ガスケット(6)の下側(28)が第1の伝熱プレート(4)に当接し、当該ガスケット(6)の反対側の上側(30)が第2の伝熱プレート(8)に当接する状態のプレート熱交換器における整列した第1および第2の伝熱プレート(4、8)の間に位置するように配置された、ガスケット(6)と、
前記ガスケット(6)の外側(40)から突出する突出部(34、36a)であって、長さ延長部を有し、前記第1および第2の伝熱プレート(4、8)の外側に延在するように配置された外側部分(44、46)と、前記ガスケット(6)と前記突出部(34、36a)の外側部分(44、46)とを接続する第1の接続部分(48、50)とを備えた、突出部(34、36a)と、
を含んでなる、ガスケット配列(2)において、
前記突出部(34、36a)の少なくとも外側部分(44、46)に少なくとも部分的に埋め込まれているRFIDタグ(60)をさらに備えていることを特徴とする、ガスケット配列(2)。
【請求項2】
前記突出部(34、36a)の外側部分(44、46)の長さ延長部が、前記RFIDタグ(60)の長さ延長部と略平行である、請求項1に記載のガスケット配列(2)。
【請求項3】
前記突出部(34、36a)の外側部分(44、46)の長さ延長部が、前記第1の接続部分(48、50)におけるガスケット(6)の長さ延長部と略平行である、請求項1または2に記載のガスケット配列(2)。
【請求項4】
前記突出部(34、36a)の第1の接続部分(48、50)の長さ延長部が、前記突出部(34、36a)の外側部分(44、46)の長さ延長部に対して略垂直である、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスケット配列(2)。
【請求項5】
前記第1の接続部分(48)が、前記ガスケット(6)と前記突出部(34)の外側部分(44)の中間部分(C)との間に延在している、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスケット配列(2)。
【請求項6】
前記突出部(36a)が、前記突出部(36a)の外側部分(46)から前記ガスケット(6)に向かって延在する第1のフィンガ(54)をさらに含み、前記第1の接続部分(50)と前記突出部(36a)の第1のフィンガ(54)とが、前記ガスケット(6)を前記第1の伝熱プレート(4)に固定するために、前記第1の伝熱プレート(4)の対向する両側(12、14)に係合するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスケット配列(2)。
【請求項7】
前記ガスケット(6)が、前記第1の伝熱プレート(4)の第1のポートホール(16a)の周りに延在するように配置された第1のポートホールガスケット部分(6a)と、前記第1の伝熱プレート(4)の第2のポートホール(16b)の周りに延在するように配置された第2のポートホールガスケット部分(6b)と、環状ガスケット部分(6e)であって、その内側(32)が前記第1および第2の伝熱プレート(4、8)の間の流体流れチャネルを画定するように構成されている環状ガスケット部分(6e)と、前記第1のポートホールガスケット部分(6a)と前記環状ガスケット部分(6e)とを接続する少なくとも1つの第1のリンクガスケット部分(6f)と、前記第2のポートホールガスケット部分(6b)と前記環状ガスケット部分(6e)とを接続する少なくとも1つの第2のリンクガスケット部分(6g)とを備え、
前記突出部(34、36a)が、前記少なくとも1つの第1のリンクガスケット部分(6f)の外側の一つ(6f’)から突出している、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスケット配列(2)。
【請求項8】
前記ガスケット(6)が、前記第1の伝熱プレート(4)の第1のポートホール(16a)の周りに延在するように配置された第1のポートホールガスケット部分(6a)を含み、前記突出部(34、36a)が、前記第1のポートホールガスケット部分(6a)の外側(40)から突出している、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスケット配列(2)。
【請求項9】
前記ガスケット(6)が、環状ガスケット部分(6e)であって、その内側(32)が前記第1および第2の伝熱プレート(4、8)の間の流体流れチャネルを画定するように構成されている環状ガスケット部分(6e)を含み、前記突出部(34、36a)が、前記環状ガスケット部分(6e)の外側(40)から突出している、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスケット配列(2)。
【請求項10】
プレート式熱交換器用のガスケット配列(2)の製造方法であって、ガスケット配列(2)が、ガスケット(6)であって、当該ガスケット(6)の下側(28)が第1の伝熱プレート(4)に当接し、当該ガスケット(6)の反対側の上側(30)が第2の伝熱プレート(8)に当接する状態のプレート熱交換器における整列した第1および第2の伝熱プレート(4、8)の間に位置するように配置された、ガスケット(6)と、前記ガスケット(6)の外側(40)から突出する突出部(34、36a)とを含む、ガスケット配列(2)の製造方法において、
第1のエラストマー材料のガスケット(6)を設けるステップと、
第2の材料の突出部(34、36a)を設けるステップと、
前記ガスケット(6)および前記突出部(34、36a)を恒久的に接合するステップと、
を含んでなり、
前記突出部(34、36a)内に少なくとも部分的に成形されたRFIDタグ(60)を設けるステップをさらに含む、ガスケット配列(2)の製造方法。
【請求項11】
前記ガスケット(6)を設けるステップが、
ガスケット配列(2)のガスケット(6)を成形するためのガスケット部分を備えた金型を設けるステップと、
前記金型のガスケット部分に第1のエラストマー材料の少なくとも1つのブランクを配置するステップと、
前記金型に熱を加え、前記ガスケット(6)および前記突出部(34、36a)を接合してガスケット(6)を形成するステップと、
を含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ガスケット(6)と前記突出部(34、36a)とを設けるステップが、
ガスケット配列(2)のガスケット(6)を成形するためのガスケット部分と、ガスケット配列(2)の突出部(34、36a)を成形するための、ガスケット部分の外側から突出する突出部分とを備えた金型を設けるステップと、
前記金型の突出部分にRFIDタグ(60)を配置するステップと、
前記金型のガスケット部分に前記第1のエラストマー材料の少なくとも1つのブランクを配置し、前記金型の突出部分に前記第2の材料の少なくとも1つのブランクを配置するステップと、
前記金型に熱を加え、前記ガスケット(6)、前記突出部(34、36a)、前記突出部(34、36a)内に少なくとも部分的に成形された前記RFIDタグ(60)、並びに、前記ガスケット(6)および前記突出部(34、36a)の接合を完成するステップと、
を含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第1のエラストマー材料と前記第2の材料とが同じ材料である、請求項10~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
第1の伝熱プレート(4)と、請求項1~9のいずれか一項に記載のガスケット配列(2)とを備えたアセンブリ(5)であって、前記第1の伝熱プレート(4)が、ガスケット(6)を収容する溝(18)を備え、突出部(34、36a)の外側部分(44、46)が、前記第1の伝熱プレート(4)の外側に延在している、アセンブリ(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート熱交換器用のガスケット配列、その製造方法、並びに、それを含むアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
プレート式熱交換器は通常、2枚のエンドプレートで構成されており、その間に多数の伝熱プレートが整列して、つまりスタックまたはパックされて配置されている。PHE(プレート式熱交換器)の伝熱プレートは、同じタイプでも異なるタイプでもよく、異なる方法で積み重ねることができる。一部のPHE(プレート式熱交換器)では、伝熱プレートは、1つの伝熱プレートの前面と背面とがそれぞれ他の伝熱プレートの背面と前面とに面するように積み重ねられ、他のすべての伝熱プレートは、残りの伝熱プレートに対して上下逆さまになっている。通常、これは、伝熱プレートが互いに「回転」していると見なされる。他のPHE(プレート式熱交換器)では、伝熱プレートは、1つの伝熱プレートの前面と背面とがそれぞれ他の伝熱プレートの前面と背面とに面するように積み重ねられ、他のすべての伝熱プレートは、残りの伝熱プレートに対して上下逆さまになっている。通常、これは、伝熱プレートが互いに「反転」しているとみなされる。
【0003】
伝熱プレートは、通常、波状であり、上面に延在する隆起部と下面に延在する谷部とを含む。周知のPHE(プレート式熱交換器)の1つのタイプ、いわゆるガスケット式プレート熱交換器では、ガスケットは伝熱プレート間に配置され、より具体的には、伝熱プレートの外側エッジ(外縁)に沿って、および伝熱プレートのポートホールの周りに延在するガスケット溝に配置される。ガスケット溝は、下面および/または上面と下面との間に配置された中間平面に延在し得る。中間平面は、上面と下面との間の中間に延在する、すなわち、いわゆる半平面であり得る。エンドプレートにより、伝熱プレートは互いに押し付けられ、それによってガスケットが伝熱プレート間をシールする。ガスケットは、伝熱プレート間に平行な流れチャネルを規定し、伝熱プレートのそれぞれの対の間に1つのチャネルが存在する。最初は異なる温度の2つの流体は、一方の流体から他方の流体に熱を伝達するために、1つおきのチャネルを流れることができる。
【0004】
流体は、それぞれ入口ポートと出口ポートとを通ってチャネルに出入りする。これらのポートは、PHE(プレート式熱交換器)を貫通し、伝熱プレートのそれぞれの位置合わせされたポートホールと、ポートホールの周りを完全にまたは部分的にシールするガスケットによって形成される。入口ポートおよび出口ポートは、PHE(プレート式熱交換器)へおよびPHE(プレート式熱交換器)から流体を供給するために、PHE(プレート式熱交換器)の入口および出口とそれぞれ連通している。
【0005】
ガスケットには、多くの場合、ガスケットに関する情報、より具体的には、ガスケットの商品番号や材料など、特定のタイプのガスケットに共通の情報が記載されている。しかしながら、ガスケットには、バッチ番号、製造日などの「動的な」情報は提供されない。代わりに、ガスケットメーカーは通常、この「動的な」情報を、ガスケットまたはガスケットのパッケージに貼り付けられた簡単に剥がせるラベルで提供する。プレート式熱交換器のガスケットの組み立てに関連して、ラベルは通常、ガスケットから分離されて失われる。これにより、後でガスケットを追跡することができなくなり、例えば、問題の原因を見つけることができるという要求に関連する多くの状況において望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第4,635,715号明細書
【文献】米国特許第10,451,361号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の問題を少なくとも部分的に解決する、プレート熱交換器用のガスケット配列、そのようなガスケット配列を製造する方法、並びに、そのようなガスケット配列を含むアセンブリを提供することである。本発明の基本概念は、ガスケットのシール機能を損なわず、外部リーダーによって読み取ることができる場所に情報を格納するためのRFIDタグを有するガスケットを提供することである。上記の目的を達成するためのガスケット配列、その方法、およびそのアセンブリは、添付の特許請求の範囲で規定され、以下で説明される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるガスケット配列は、プレート熱交換器での使用に適合している。それは、ガスケットの下側が第1の伝熱プレートに当接し、ガスケットの反対の上側が第2の伝熱プレートに当接する状態のプレート式熱交換器における整列した第1および第2の伝熱プレートの間に位置するように配置されたガスケットを備えている。それは、ガスケットの外側から突出する突出部をさらに備える。突出部は、長さまたは長手方向の延長部を有し、第1および第2の伝熱プレートの外側またはそれを越えて延在するように配置された外側部分と、ガスケットと突出部の外側部分とを接続する第1の接続部分とを備えている。ガスケット配列は、突出部の少なくとも前記外側部分に少なくとも部分的に埋め込まれたRFIDタグをさらに備えていることを特徴とする。
【0009】
ガスケットの外側と内側とは向かい合っており、ガスケットの上側と下側との間に延在している。
【0010】
RFIDタグは、突出部の外側部分を越えて延在してもしなくてもよく、例えば、部分的に第1の接続部分に延在し得る。
【0011】
RFIDタグは、ガスケット配列の突出部に完全に埋め込まれていてもいなくてもよい。
【0012】
ガスケット配列がRFIDタグを備えるという点で、バッチ番号などのあらゆる種類の情報、また「動的な」情報で容易にプログラムすることができ、固定された、または手持ちの適切な外部リーダーによって後で読み取ることができる。一例として、RFIDタグには、データベースに格納された異なる種類の情報に関連付けることができる番号などの特異なコードが設けられ得る。RFIDタグは、完全なトレーサビリティ、純正部品の識別、在庫管理などを容易にし得る。
【0013】
RFIDタグがガスケット配列の突出部に少なくとも部分的に埋め込まれているという点で、RFIDタグは、ガスケットアセンブリに関連してガスケットから切り離されるのではなく、ガスケットに追従し、その寿命を通じてそのもののトレーサビリティを可能にする。
【0014】
RFIDタグは、0.5~1メートルの読み取り距離を有するNFC標準、またはUHF標準など、任意の適切な種類のものであり得る。これにより、ガスケット配列を含むパッケージを通して、リーダーによるRFIDタグの容易な読み取りが可能になる。さらに、ガスケットアセンブリがプレート熱交換器に取り付けられると、RFIDタグは少なくとも部分的にガスケット配列の外側部分に配置されるため、第1および第2の伝熱プレートの外側に延在し、したがって、プレート熱交換器の完全なプレートパックであり、プレートパックによって「遮蔽」されることはない。これにより、ガスケット配列がプレート式熱交換器に組み込まれている場合でも、リーダーによるRFIDタグの容易な読み取りが可能になる。
【0015】
ガスケット配列は、突出部の外側部分の長さ延長部がRFIDタグの長さ延長部とほぼ平行になるように設計され得る。これにより、RFIDタグを突出部の外側部分に埋め込むことが容易になり、ガスケット配列の比較的コンパクトで洗練された設計が可能になる。さらに、これは、RFIDタグの読み取り距離を延ばし得る。
【0016】
突出部の外側部分の長さ延長部は、第1の接続部分、すなわち、第1の接続部分がガスケットに接合する場所で、ガスケットの長さ延長部にほぼ平行であり得る。これにより、ガスケット配列の比較的コンパクトで洗練された設計が可能になり得る。
【0017】
さらに、突出部の第1の接続部分の長さ延長部は、突出部の外側部分の長さ延長部に対してほぼ垂直であり得る。これにより、ガスケット配列の比較的材料効率の高い設計が可能になる。さらに、プレート熱交換器内のガスケット配列と係合するように配置された第1および第2の伝熱プレートの比較的簡単な従来の設計を可能にし得る。
【0018】
ガスケット配列は、第1の接続部分がガスケットと突出部の外側部分の中間部分との間に延在するように設計され得る。これにより、絡まりにくい比較的機械的に頑丈なガスケット配列が可能になる。
【0019】
ガスケット配列の突出部は、任意の適切な設計および/または機能を有し得る。一例として、ガスケットに関する情報を印刷またはエンボス加工して提供することもできる専用のマーキングタブとして設計され得る。あるいは、ガスケットを第1の伝熱プレートに取り付けるための手段として設計することもできる。それに応じて、ガスケット配列は、突出部が、突出部の外側部分からガスケットに向かって延在する第1のフィンガをさらに備え、フィンガの自由端がガスケットに面するように設計され得る。さらに、第1の接続部分および突出部の第1のフィンガは、ガスケットを第1の伝熱プレートに固定するために第1の伝熱プレートの両側に係合するように配置され得る。このような設計により、RFIDタグを収容する機能に加えて、ガスケット配列の突出部に1つ以上の機能を与えることが可能になる。
【0020】
ガスケットは、第1の伝熱プレートの第1のポートホールの周りに延在するように配置された第1のポートホールガスケット部分と、第1の伝熱プレートの第2のポートホールの周りに延在するように配置された第2のポートホールガスケット部分と、第1および第2の伝熱プレート間に流体流れチャネルを画定するように配置された内側を有する環状ガスケット部分とを備えている。ガスケットは、第1のポートホールガスケット部分と環状ガスケット部分とを接続する少なくとも1つの第1のリンクガスケット部分と、第2のポートホールガスケット部分と環状ガスケット部分とを接続する少なくとも1つの第2のリンクガスケット部分とをさらに備え得る。突出部は、前記少なくとも1つの第1のリンクガスケット部分の外側の一つから突出し得る。これにより、ガスケットのシール機能への影響を最小限に抑えながら、ガスケット上に突出部を位置決めすることが可能になり得る。
【0021】
上記の代替として、ガスケットは、第1の伝熱プレートの第1のポートホールの周りに延在するように配置された第1のポートホールガスケット部分を備えることができ、突出部が第1のポートホールガスケット部分の外側から突出する。この構成は、ガスケットが第1のポートホールガスケット部分からなる場合に適している。半溶接プレート熱交換器での使用に適合したガスケットの場合であるように、ガスケットがポートホールガスケット部分と環状ガスケット部分とを分離するように接続するリンクガスケット部分を欠いている場合にも適している。
【0022】
さらに代替として、ガスケットは、その内部が第1および第2の伝熱プレート間の流体流れチャネルを規定するように配置された環状ガスケット部分を備えてもよく、突出部は、環状ガスケット部分の外側から突出する。この構成は、ガスケットが環状ガスケット部分からなる場合に適している。また、ガスケットがポートホールガスケット部分と環状ガスケット部分とを分離するように接続するリンクガスケット部分を欠いている場合にも適している。
【0023】
第1および第2のポートホールガスケット部分ならびに環状ガスケット部分は、それらが分離されているか接続されているかに関係なく、同じまたは異なる材料で作られ得る。
【0024】
本発明による方法は、プレート式熱交換器用のガスケット配列を製造するためのものであり、このガスケット配列は、ガスケットと、ガスケットの外側から突出する突出部とを備えている。この方法は、第1のエラストマー材料のガスケットを設けるステップと、第2の材料の突出部を設けるステップと、ガスケットおよび突出部を恒久的に接合するステップとを含む。この方法は、突出部に少なくとも部分的に成形されたRFIDタグを設けるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0025】
第1のエラストマー材料は、ゴム、例えば、EPDM、FKM、またはNBRなどの任意の適切な材料であり得る。
【0026】
第2の材料は、プラスチック、例えば、熱可塑性または熱硬化性プラスチック、若しくは、ゴム、例えば、EPDM、FKMまたはNBRなどの任意の適切な材料であり得る。第2の材料がゴムである場合、RFIDタグを埋め込むために、加硫または可塑化され得る。第2の材料が熱可塑性樹脂である場合、RFIDタグの周りに射出成形して埋め込むか、RFIDタグの周りにスナップ留めされる「クリップ」に予備成形され得る。第2の材料が熱硬化性プラスチックである場合、RFIDタグを埋め込むためのRFIDタグの周囲に、熱またはUV光によって硬化する1液型または化学反応によって硬化する2液型であり得る。
【0027】
ガスケットおよび突出部は、恒久的に接合される前に別々に製造され得る。しかしながら、本発明による方法の一実施形態によれば、ガスケットを設けるステップは、ガスケット配列のガスケットを成形するためのガスケット部分を備えた金型を設けるサブステップと、金型のガスケット部分に第1のエラストマー材料の少なくとも1つのブランクを配置するサブステップと、金型に熱を加えて、ガスケットとガスケットおよび突出部の永久接合とを達成するサブステップを含む。この実施形態によれば、突出部は、ガスケットの成形に関連してガスケットと永久的に接合される前に、別々に製造され得る。
【0028】
本発明による方法の別の実施形態によれば、ガスケットおよび突出部を設けるステップは、ガスケット配列のガスケットを成形するためのガスケット部分と、ガスケット配列の突出部を成形するためのガスケット部分の外側から突出する突出部分とを備えた、金型を設けるサブステップと、金型の突出部分にRFIDタグを配置するサブステップと、金型のガスケット部分に第1のエラストマー材料の少なくとも1つのブランクを配置し、金型の突出部分にある少なくとも1つの第2の材料のブランクを配置するサブステップと、金型に熱を加えて、ガスケット、突出部、突出部に少なくとも部分的に成形されたRFIDタグ、並びに、ガスケットと突出部との永久接合を達成するサブステップを含む。この実施形態によれば、ガスケットおよび突出部は、同時に製造され、一体的に形成される。
【0029】
第1のエラストマー材料と第2の材料は異なる材料であり得る。しかしながら、本発明の方法の一実施形態によれば、第1の材料と第2の材料とは同じ材料であり、これはエラストマー材料である。これにより、突出部とガスケットとの恒久的な接合が容易になる。
【0030】
上記の方法のステップおよびサブステップは、上述した特定の順序で実行する必要はなく、他の順序でも実行され得る。
【0031】
本発明によるアセンブリは、上述したように、第1の伝熱プレートおよびガスケット配列を備えている。第1の伝熱プレートは、ガスケットを収容する溝を含み、突出部の外側部分が、第1の伝熱プレートの外側に延在する。
【0032】
本発明によるガスケット配列の異なる実施形態における上述した利点は、当然、本発明による方法およびアセンブリの異なる実施形態にも転用可能である。
【0033】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
ここで、添付の概略図を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0035】
図1】アセンブリを示し、すなわち伝熱プレートと、伝熱プレートの上に配置されたガスケット配列を概略的に示す。
図2】プレートパックの長辺の外側から見た、プレートパック内の当接する伝熱プレートの当接する外側エッジを概略的に示す。
図3図1のガスケットのシール部分の断面を模式的に示す。
図4図1のガスケット配列の第1の部分の拡大図を含み、本発明の第1の実施形態を示す。
図5図1のガスケット配列の第2の部分の拡大図を含み、本発明の第2の実施形態を示す。
図6図1の伝熱プレートとガスケット配列との間の適切な係合を概略的に示す。
図7】RFIDタグを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1には、プレート熱交換器(図示せず)用のガスケット配列2および第1の伝熱プレート4が示されている。ガスケット配列2および第1の伝熱プレート4は、アセンブリ5を構成する。ガスケット配列2は、ゴム製ガスケット6を備えている。第1の伝熱プレートは実質的に長方形であり、ステンレス鋼で作られている。プレート式熱交換器では、第1の伝熱プレート4は、第2の伝熱プレート8(図2に示す)と第3の伝熱プレート10(図2に示す)との間に配置され、ガスケット6は、第1の伝熱プレート4と第2の伝熱プレート8との間をシールする。プレート式熱交換器では、第1、第2および第3の伝熱プレートがプレートパックの一部を形成する。プレートパック内のプレートはすべて同じタイプであるが、別の実施形態では異なるタイプであり得る。さらに、本発明の背景を説明する本文のセクションを参照すると、プレートパック内の伝熱プレートは互いに対して「回転」しているが、代替の実施形態では、それぞれ互いに対して「反転」し得る。
【0037】
第1の伝熱プレート4は、第1の側12、対向する第2の側14、並びに、第1の伝熱プレート4のそれぞれのコーナーに配置された第1、第2、第3、第4のポートホール16a~dを備えている(図1および図2)。第1の伝熱プレート4は、ガスケット6を受容するための溝18を第1の面12上にさらに備えている。溝18の第1および第2のポートホール溝部分18a、18bは、それぞれ、第1および第2のポートホール16a、16bの対応する1つの周りに完全に延在する。溝18の環状溝部分18eは、第1の伝熱プレート4の外側エッジ(外縁)20に沿って、溝18の第1および第2のポートホール溝部分18a、18bのそれぞれの内側に延在する。溝18の複数の第1のリンク溝部分18f、ここでは7つが、第1のポートホール溝部分18aと環状溝部分18eとの間に延在し、溝18の複数の第2のリンク溝部分18g、ここでは7つが、第2のポートホール溝部分18bと環状溝部分18eとの間に延在する。
【0038】
第1の伝熱プレート4の異なる領域には異なる波状パターン(図1には示されず)が設けられ、特定のプレート領域内の波状パターンは、このプレート領域の主な機能に適合している。例えば、図1図2、および図6を参照すると、第1の伝熱プレート4の外側エッジ部分22には、第1の伝熱プレート4の外側エッジ20の大部分に沿って延在する強化波状部が設けられており、それは波形を与えている。伝熱プレート4の第1の側12から見た場合に交互に配置された隆起部(ridges)24と谷部(valleys)26とを含むこの波状部、並びに、伝熱プレート4の他の領域内の波状部もまた、仮想の第1の平面p1と仮想の第2の平面p2との間およびそれらの平面に延在する。ガスケット溝18の底は、第1平面p1に延在する。仮想の第1の平面p1および第2の平面p2の間の中間に配置され、仮想の第1の平面p1および第2の平面p2と平行に配置された仮想の中間平面piは、第1の伝熱プレート4の外側エッジ部分22内の隆起部24と谷部26との間の境界を規定する。
【0039】
第1、第2および第3の伝熱プレートはすべて同じ種類のものであるため、第1の伝熱プレート4に関して上述した説明は、第2および第3の伝熱プレート8、10にも当てはまる。
【0040】
プレート式熱交換器では、第1の伝熱プレート4の第1の側12は、第2の伝熱プレート8に面し、第1の伝熱プレート4の第2の反対側14は、第3の伝熱プレート10に面する。そのように配置すると、第1の伝熱プレート4の波状部が、第2および第3の伝熱プレート8、10の波状部に当接する。同時に、ガスケット6は、ガスケット6の下側28が第1の伝熱プレート4に面し(図3)、ガスケット6の上側30が第2の伝熱プレート8に面する(図3)状態で、第1および第2の伝熱プレート4、8のガスケット溝に収容されて、その間で圧縮される。同様のガスケットが対応して配置され、第1および第3の伝熱プレート4、10の間で圧縮される。
【0041】
溝18にフィットするために、ガスケット6は、図1を参照すると、それぞれ第1および第2のポートホール溝部分18a、18bに受容されるように配置された第1および第2のポートホールガスケット部分6a、6bと、環状溝部分18eに受容されるように配置された環状ガスケット部分6eと、第1のリンク溝部分18fの対応する1つに受容されるように配置された、ここでは7つである複数の第1のリンクガスケット部分6fと、第2のリンク溝部分18gの対応する1つに受容されるように配置された、ここでは7つである複数の第2のリンクガスケット部分6gとを備えている。したがって、プレート式熱交換器では、ガスケット6の第1および第2のポートホールガスケット部分6a、6bは、第1の伝熱プレート4の第1および第2のポートホール16a、16bの対応する1つと、第2の伝熱プレート8の対応するそれぞれ1つのポートホールとを囲むように配置され、ガスケット6の環状ガスケット部分6eの内側32が、第1および第2の伝熱プレート4、8の間の流体流れチャネルを画定するように配置されている。第1および第2のリンクガスケット部分6f、6gは、第1および第2のポートホールガスケット部分6a、6bと環状ガスケット部分6eとを接続する低い高さの非シール部分である。別の実施形態では、これらの非シールガスケット部分は、ガスケットの残りの部分と同じ高さであり得る。
【0042】
ゴム製ガスケット6に加えて、ガスケット配列2は、マーキングタブ34、外側ガスケット取り付け手段36、および内側ガスケット取り付け手段38の形態であるゴム製突出部を備えている。マーキングタブ34および外側ガスケット取り付け手段36は、ガスケット6の外側40から突出し、内側ガスケット取り付け手段38は、ガスケット6の第1および第2のポートホールガスケット部分6a、6bの内側42、および環状ガスケット部分6eの内側32から突出する。
【0043】
マーキングタブ34と外側ガスケット取り付け手段36の第1の一つ36aとは、第1のリンクガスケット部分6fの外側の一つ6f’から突出し、それぞれ図4および5により詳細に示されている。マーキングタブ34および第1の外側ガスケット取り付け手段36aのそれぞれは、対応する外側部分またはブリッジ44、46と、対応する第1の接続部分48、50とを備えている。第1の接続部分48、50は、外側部分44、46をガスケット6に接続するように配置されている。第1の接続部分48、50は、第1の接続部分48、50がガスケット6に接合するガスケット6の長さ延長部に対してほぼ垂直にガスケット6から延在する。さらに、外側部分44、46のそれぞれの長さ延長部は、第1の接続部分48、50がガスケット6に接合するガスケット6の長さ延長部とほぼ平行である。図1および図4~6から明らかなように、第1の接続部分48、50は、外側部分44、46が第1の伝熱プレート4のすぐ外側、つまりプレート熱交換器のプレートパックのすぐ外側に延在するように配置される。
【0044】
マーキングタブ34の第1の接続部分48は、マーキングタブ34の外側部分44の中間または中央部分Cに接続し、外側ガスケット取り付け手段36aの第1の接続部分50は、外側ガスケット取り付け手段36aの外側部分46の第1の端部E1に接続する。外側ガスケット取り付け手段36aは、外側部分46をガスケット6に接続するように配置された第2の接続部分52をさらに備える。第2の接続部分52は、第1の接続部分50とほぼ平行に延在し、同様の長さを有する。外側ガスケット取り付け手段36aの第2の接続部分52は、外側ガスケット取り付け手段36aの外側部分46の第2の端部E2に接続する。最後に、外側ガスケット取り付け手段36aは、外側ガスケット取り付け手段36aの外側部分46からガスケット6に向かって、第1および第2の接続部分50、52にほぼ平行にそれぞれ延在する、第1、第2、および第3のフィンガ54、56、58を備えている。
【0045】
すべての外側ガスケット取り付け手段36は、外側ガスケット取り付け手段36aの上述した説明にしたがって構成される。それらは、ガスケット6を取り付けるために第1の伝熱プレート4と係合するように配置される。図6では、第1の伝熱プレート4と外側ガスケット取り付け手段36の1つとの間の係合が示されているが、外側ガスケット取り付け手段36のすべてが同様の方法で第1の伝熱プレート4と係合する。外側ガスケット取り付け手段36が第1の伝熱プレート4と適切に係合すると、第1および第2の接続部分50、52および第2のフィンガ56は、外側エッジ部分22の谷部26の対応する1つに配置され、第1および第3のフィンガ54、58は、外側エッジ部分22の隆起部24の対応する一つの下に配置され、外側部分46は、第1の伝熱プレート4の外側に延在し、その外側エッジ20にほぼ平行である。したがって、第1および第2の接続部分50、52と外側ガスケット取り付け手段36の第2のフィンガ56とは、第1の伝熱プレート4の第1の側12と係合する一方、外側ガスケット取り付け手段36の第1および第3のフィンガ54、58は、第1の伝熱プレート4の対向する第2の側14(図2)と係合して、ガスケット6を第1の伝熱プレート4に固定する。
【0046】
ガスケット配列2が第1の伝熱プレート4に適切に固定されると、ガスケット6は溝18内に配置され、外側ガスケット取り付け手段36はすべて、上述したように第1の伝熱プレート4と係合し、内側ガスケット取り付け手段38はすべて、第1伝熱プレート4のポートホール縁部に係合し、これ以上は説明しないが、マーキングタブ34の第1の接続部分48が、第1の伝熱プレート4の外側エッジ部分22の谷部26の1つに配置され、マーキングタブ34の外側部分44が、第1の伝熱プレート4の外側に延在し、その外側エッジ20とほぼ平行である。
【0047】
ガスケット配列2は、図7に示されるUHF規格のRFIDタグ60をさらに備える。図4および図5は、RFIDタグ60の2つの可能な位置を示し、つまり、本発明によるガスケット配列2の2つの異なる実施形態を示す。図4では、RFIDタグ60は、マーキングタブ34の外側部分44に配置され、図5では、RFIDタグ60は、第1の外側ガスケット取り付け手段36aの外側部分46に配置される。両方の実施形態において、RFIDタグ60はゴムに埋め込まれており、外側からは見えないため、図4および図5に破線で示されている。さらに、両方の実施形態において、RFIDタグ60の長さ延長部、特にそのチップ61から延在する2つのアンテナ62の長手方向の中心軸(図7)は、対応する外側部分44、46の長さ延長部とほぼ平行である。アンテナ62は、図では実線で示されているが、実際にはアンテナの長手方向中心軸の周りに延在する螺旋として形成されている。
【0048】
ガスケット6を成形するためのガスケット部分と、マーキングタブ34、外側ガスケット取り付け手段36、および内側ガスケット取り付け手段38を成形するための突出部分とを備えた金型(図示せず)を使用して、ガスケット配列2が製造される。金型は、互いに押し付けられて金型キャビティを画定する2つの対向する部品を備えた従来の金型であり、本明細書ではこれ以上詳細に説明しない。マーキングタブ34および外側ガスケット取り付け手段36を成形するための突出部分は、ガスケット部分の外側から突出する一方、内側ガスケット取り付け手段38を成形するための突出部分が、ガスケット部分の内側から突出する。第1のステップでは、RFIDタグ60は、図4または図5のどちらのガスケット配列を製造するかによって、マーキングタブ34を成形するための突出部分の外側部分、或いは、第1の外側ガスケット取り付け手段36aを成形するための突出部分の外側部分に配置される。第2のステップでは、金型のガスケット部分および突出部分にゴムのブランクを充填する。第3のステップでは、金型を加熱してゴムのブランクを可塑化または加硫化してガスケット配列を実現する。これに関連して、可塑化または加硫化されたゴムがRFIDタグ60を封入し、これによりマーキングタブ34または第1の外側ガスケット配列36aに埋め込まれる。成形後、ガスケット配列は金型から一体的に取り出される。
【0049】
RFIDタグは、ガスケットの製造元が受け取ったときに乱数で事前にプログラムされているか、ガスケットの製造元がRFIDタグに乱数をプログラムしている。乱数は、繰り返しや他のシステムとの干渉の可能性を最小限に抑える必要がある。例えば、乱数はUUID4テクノロジを使用して生成され得る。乱数は、データベース内の対応する製造バッチ番号とペアになり、そのバッチ番号から、物品番号、材料の品質、製造日、製造パラメータなどに関する情報が提供される。後の段階で、ガスケット配列2のRFIDタグ60は、その製品ライフサイクル全体にわたるガスケット配列の完全なトレーサビリティのために、これらのすべての情報にアクセスするための適切なリーダーによって読み取ることができる。例えば、これによりクレーム処理が容易になる。乱数は、ガスケット配列を購入した顧客に関する情報、ガスケット配列を含むプレート式熱交換器の識別情報、設置日、プレート式熱交換器の動作パラメータなどの追加情報とペアにされ、必要に応じて更新され得る。このような追加情報は、プレート式熱交換器のデジタルツイン(digital twins)を作成し、それらのサービスおよびメンテナンスを促進および予測するために使用され得る。
【0050】
本発明の上述した実施形態は、例としてのみ参照されるべきである。当業者は、議論された実施形態が、本発明の概念から逸脱することなく、多くの方法で変更され得ることを理解する。
【0051】
一例として、第1の外側ガスケット取り付け手段36aおよびマーキングタブ34は、図1に示されるように配置される必要はなく、他の配置を有し得る。例えば、第1の外側ガスケット取り付け手段36aおよびマーキングタブ34は、代わりに、第1のリンクガスケット部分6fのうちの他方の外側の一つから、或いは、第1の伝熱プレート4の中央凹部の下に配置されるように構成されたガスケット6のブリッジ部分から突出し得る。このブリッジ部分は図1に示されている。別の例として、第1の外側ガスケット取り付け手段36aおよびマーキングタブ34は、代わりに、例えば図1の「A」で、第1のポートホールガスケット部分6a、或いは、例えば図1の「B」で、環状ガスケット部分6eなどのガスケットのシール部分から突出し得る。当然、ガスケット配列は、それぞれのRFIDタグを収容する2つのマーキングタブであって、例えば、1つのマーキングタブが第1ポートホールガスケット部分6aから突出し、1つのマーキングタブが環状ガスケット部分6eから突出する、2つのマーキングタブを備えることもできる。そのような実施形態は、第1のポートホールガスケット部分および環状ガスケット部分の別々のトレーサビリティを可能にし得る。
【0052】
上述したように突出部の外側部分だけに埋め込まれる代わりに、RFIDタグは、RFIDタグの長さ延長部が第1の接続部分の長さ延長部に対してほぼ平行またはそうではない状態で、突出部の第1の接続部分にも埋め込まれ得る。
【0053】
RFIDタグは、上述して図面に示したように設計する必要はなく、任意の適切な設計を有し得る。一例として、アンテナは三次元螺旋として形成される必要はなく、任意の適切な方法で平面に延在し得る。一例として、アンテナは、チップの反対側から波状に延在し得る。別の例として、アンテナは、チップの周りに1つまたは複数のターンを延在させ、ターンは、円形または多角形などの任意の形状を有し得る。さらに、RFIDタグは2つより多いまたは少ないアンテナを含むことができ、チップは任意の適切な設計を有し得る。最後に、RFIDタグはラベルに含まれており、突出部に埋め込まれ得るサポート上に設けられ得る。
【0054】
突出部の外側部分の長さ延長部は、突出部の第1の接続部分の長さ延長部に対してほぼ垂直に延在する必要はなく、その代わりにそれに対してほぼ平行に延びて、第1の接続部分の「延長部」を形成し得る。
【0055】
第1の外側ガスケット取り付け手段36aは、図示されるように設計される必要はなく、他の設計を有し得る。例えば、第1の外側ガスケット取り付け手段は、米国特許第4,635,715号または米国特許第10,451,361号にしたがって設計され得る。
【0056】
すべての外側ガスケット取り付け手段は、同様の設計であってもなくてもよい。
【0057】
図1に示されたガスケットアセンブリは、平行流タイプのプレート熱交換器で使用されるように構成されており、これは、第1および第2のポートホールガスケット部分6a、6bが、ガスケット配列の長手方向中心軸の同じ側に配置されることを意味する。当然のことながら、本発明は、第1および第2のポートホールガスケット部分6a、6bがガスケット配列の長手方向中心軸の両側に配置された対角流タイプのプレート熱交換器に関しても同様に適用可能である。さらに、本発明は、プレート熱交換器の長手方向中心軸に沿って配置されたポートホールを有する清水発生器など、他のタイプのプレート熱交換器に関連しても適用可能である。
【0058】
完全なガスケット配列は、1つのステップで成形される必要はない。例えば、RFIDタグを含むマーキングタブを第1のステップで成形し、残りのガスケット配列を第2のステップで成形してもよい。次に、ガスケット配列を作るために、RFIDタグを含む予備成形されたマーキングタブが金型内に配置され、ガスケット配列の残りの成形に関連してガスケットに「自動的に」接合され得る。あるいは、RFIDタグを含むマーキングタブが分離された金型で成形され、残りのガスケットが分離された金型で成形され、次に、マーキングタブと残りのガスケット配列とが別のステップで接続され得る。当然ながら、代わりにRFIDタグが第1の外側ガスケット取り付け手段に埋め込まれた状態における、対応する代替の製造方法が可能である。
【0059】
RFIDタグは、可塑化または加硫ゴムまたは他の材料でRFIDタグをカプセル化することにより、マーキングタブまたは第1の外側ガスケット取り付け手段に成形する必要はない。別の製造方法によれば、成形後にマーキングタブまたは第1の外側ガスケット取り付け手段に切り込みが入れられ、RFIDタグがこの切り込みを通して挿入される。
【0060】
ガスケット配列の全部または一部は、ゴム以外の材料で作られ得る。同様に、伝熱プレートは、チタンやアルミニウムなど、ステンレス鋼以外の材料で作られ得る。
【0061】
上述した伝熱プレートは、ガスケット溝と外側エッジ部分内の谷部とが同一平面内にあるように設計されている。当然のことながら、本発明は、他の設計の伝熱プレート、例えば、半平面に配置されたガスケット溝を備えた伝熱プレートに関して同様に適用可能である。
【0062】
最後に、本発明は、純粋にガスケットで覆われたプレート熱交換器以外の他のタイプのプレート熱交換器、例えば、溶接熱交換器や半溶接熱交換器など、部分的/永久的のみに接合された伝熱プレートを備えたプレート熱交換器に関して使用され得る。
【0063】
本発明に関係のない詳細な説明は省略されていること、並びに、図は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを強調しておくべきである。また、一部の数値は他の数値よりも単純化されていることにも注意していただきたい。したがって、一部のコンポーネントは、ある図では示されていても、別の図では省略されている場合がある。最後に、本明細書で使用する接頭語「第1」、「第2」、「上部」、「下部」、「上側」、「下側」、「水平」、「垂直」などは、異なるコンポーネントと相対的な位置や向きに関して要件を課すことはない。
【符号の説明】
【0064】
2 ガスケット配列
4 第1の伝熱プレート
5 アセンブリ
6 ガスケット
6a 第1のポートホールガスケット部分
6b 第2のポートホールガスケット部分
6e 環状ガスケット部分
6f 第1のリンクガスケット部分
8 第2の伝熱プレート
10 第3の伝熱プレート
12 第1の側、第1の面
14 第2の側
16 ポートホール
18 溝
18a 第1のポートホール溝部分
18b 第2のポートホール溝部分
18e 環状溝部分
18f 第1のリンク溝部分
18g 第2のリンク溝部分
20 外側エッジ
22 外側エッジ部分
24 隆起部
26 谷部
28 下側
30 上側
34 マーキングタブ
36 外側ガスケット取り付け手段
38 内側ガスケット取り付け手段
40 外側
42 内側
44、46 外側部分またはブリッジ
48、50 第1の接続部分
52 第2の接続部分
54 第1のフィンガ
56 第2のフィンガ
58 第3のフィンガ
60 RFIDタグ
62 アンテナ
p1 仮想の第1の平面
p2 仮想の第2の平面
pi 中間平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7