(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置及び同装置を備えた船舶
(51)【国際特許分類】
B01D 53/92 20060101AFI20240730BHJP
B63H 21/32 20060101ALI20240730BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240730BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B01D53/92 310
B63H21/32 Z
B01D53/92 240
B01D53/92 215
B01D53/92 331
B01D53/14 210
B01D53/18 130
B01D53/18 150
B01D53/92 ZAB
(21)【出願番号】P 2022579854
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2020018598
(87)【国際公開番号】W WO2022124464
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0171947
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522213971
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】3370,Geoje-daero,Geoje-si,Gyeongsangnam-do 53302,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ビョン タク
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-172336(JP,A)
【文献】特開2009-115086(JP,A)
【文献】特開2002-332919(JP,A)
【文献】特開2019-118903(JP,A)
【文献】特開平06-263433(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02301865(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00 - 53/96
F01N 3/00 - 3/38
F02B 47/08 - 47/10
F02M 26/00 - 26/74
B63H 1/00 - 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶エンジンの各シリンダから排気される排気ガスを一時貯蔵して脈動を除去する排気ガスレシーバと、
前記排気ガスレシーバから供給される排気ガスによって燃焼空気を圧縮して供給する過給機と、
前記過給機を通過して供給される排気ガスに洗浄水を噴射してSO
Xとスートを除去して洗浄し、冷却水を循環させて排気ガスを冷却する洗浄部と、
前記洗浄部を通過した排気ガスに吸収液を噴射してCO
2を吸収して除去するCO
2吸収部と、
前記過給機によって圧縮された燃焼空気を一時貯蔵して脈動を除去し、前記船舶エンジンの各シリンダに給気する燃焼空気レシーバと、
前記CO
2吸収部を通過した排気ガスを前記過給機に供給して外気と混合させる排気ガス循環部と、を含む
ことを特徴とする船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項2】
前記船舶エンジンは低圧2ストロークデュアルフューエルエンジン又は4ストロークデュアルフューエルエンジンである
請求項1に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項3】
前記過給機は、
前記排気ガスレシーバから供給される高温高圧の排気ガスによって回転するタービンと、前記タービンの回転軸に結合されて回転して燃焼空気を圧縮して前記燃焼空気レシーバに供給する圧縮機と、前記圧縮機の吸入口側に形成され、前記CO
2吸収部を通過してCO
2が除去された排気ガス及び外気から異物をフィルタリングして混合する空気吸入フィルタと、前記圧縮機から前記燃焼空気レシーバに供給される燃焼空気を冷却する燃焼空気冷却モジュールと、前記タービンから前記洗浄部への排気ガス流量を調節する第1調節弁と、前記タービンから排気ガスを利用する関連装置に供給される排気ガス流量を調節する第2調節弁と、で構成される
請求項1に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項4】
前記第2調節弁は、高負荷又は高温の排気ガスによって、前記タービンの排気ガスパイプに連結された前記排気ガスを利用する関連装置の損傷が予想される場合は、開閉を制御して前記洗浄部への排気ガス流量を増加させて排気ガスの温度を下げる
請求項3に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項5】
前記燃焼空気冷却モジュールは、冷却水を循環させて燃焼空気を冷却する1段以上のクーリングジャケットと
、前記クーリングジャケットを通過した燃焼空気の水分を除去するミストキャッチャを含む
請求項3に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項6】
前記洗浄部は、
清水を供給されて循環する洗浄水を中和させて供給する洗浄水供給モジュールと、前記洗浄水供給モジュールからの洗浄水を前記過給機からの排気ガスに噴射して冷却し洗浄する洗浄モジュールと、冷却水を循環させて排気ガスを冷却する冷却モジュールと、洗浄水が前記洗浄モジュールを循環するようにする洗浄水循環モジュールと、洗浄水を水処理する水処理モジュールと、を含む
請求項1に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項7】
前記洗浄水供給モジュールは、清水を供給されて洗浄水を補充して前記洗浄モジュールに供給する洗浄水補充ポンプと、前記洗浄水補充ポンプから前記洗浄モジュールに供給されて循環する洗浄水にpHを調節するための中和剤を投入する中和剤供給弁を含み、
前記洗浄モジュールは、洗浄水を噴射してSO
Xとスートを除去して洗浄する1つ以上の洗浄ユニットを含み、
前記冷却モジュールは、前記1つ以上の洗浄ユニットの下段に形成されて循環する冷却水によって前記吸収液の種類に応じて所定の温度に排気ガスを冷却する1つ以上の冷却ユニットを含み、
前記洗浄水循環モジュールは、前記洗浄モジュールを通過した洗浄水を集水する洗浄水循環タンクと、前記洗浄水循環タンクからの洗浄水のpHを測定して前記中和剤供給弁を調節して中和剤投入量を設定するようにするpHメートルと、洗浄水初期水量を貯蔵し洗浄水を補充するバッファタンクと、前記洗浄モジュールを通過した一部の洗浄水は前記バッファタンクに供給し、残りの洗浄水は前記洗浄モジュールに循環させる洗浄水循環ポンプ及び洗浄水調節弁と、前記洗浄水循環ポンプの後段に設置されて循環する洗浄水を冷却する洗浄水冷却ユニットと、を含み、
前記水処理モジュールは、前記バッファタンクから排水される洗浄水を水処理して水処理された洗浄水を前記バッファタンクに回帰させる水処理ユニットと、前記水処理ユニットによるスラッジを貯蔵するスラッジタンクと、前記水処理ユニットによって所定の排出条件を満足する洗浄水を船外排出する船外排出弁と、前記バッファタンクからの洗浄水を一時貯蔵する洗浄水ドレインタンクと、を含む
請求項6に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項8】
前記CO
2吸収部は、
前記吸収液を貯蔵する吸収液貯蔵タンクと、前記吸収液を噴射する1つ以上の噴射ノズルと、CO
2と前記吸収液を接触させて化学反応によってCO
2を所定の物質に転換させる1つ以上の流路と、前記1つ以上の噴射ノズルに前記吸収液をポンピングする吸収液噴射ポンプと、前記1つ以上の流路に冷却水を循環させてCO
2吸収反応による発熱を冷却する冷却モジュールと
、前記流路の終端に形成されて前記流路を通過した排気ガスの水分を除去するミストキャッチャと、前記流路を通過した前記吸収液を分離貯蔵する吸収液タンクと、を含む
請求項1に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項9】
前記1つ以上の噴射ノズルは、前記吸収液を下向きに噴射する上段噴射ノズル及び下段噴射ノズルを含み、
前記1つ以上の流路は、CO
2と前記吸収液を接触させて化学反応によってCO
2を前記所定の物質に転換させる上段流路及び下段流路を含み、
前記吸収液噴射ポンプは前記上段噴射ノズル及び前記下段噴射ノズルに前記吸収液をポンピングし、
前記冷却モジュールは前記上段流路及び前記下段流路区間に冷却水を循環させてCO
2吸収反応による発熱を冷却する
請求項8に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項10】
前記上段流路又は前記下段流路は、前記吸収液と排気ガスの接触時間が増えるように複数の段と隔壁で構成さ
れる
請求項9に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項11】
前記上段流路又は前記下段流路には、前記吸収液と排気ガスの接触時間が増えるよう
に蒸留カラムパッキングが多段で構成された充填材と、多段で構成された前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器が形成される
請求項9に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項12】
前記吸収液貯蔵タンクは前記吸収液としてNH
4OH(aq)を貯蔵し、
前記上段流路及び前記下段流路
を通過するNH
4OH(aq)によってCO
2を吸収してNH
4HCO
3(aq)に転換させ、
前記冷却モジュールは前記上段流路及び前記下段流路にクーリングジャケット又はクーリングコイルの形態で配置されてCO
2吸収反応による発熱を20℃乃至50℃に冷却する
請求項9に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項13】
前記吸収液貯蔵タンクは前記吸収液としてNaOH(aq)を貯蔵し、
前記上段流路及び前記下段流路
を通過するNaOH(aq)によってCO
2を吸収してNaHCO
3又はNa
2CO
3に転換させ、
前記冷却モジュールはCO
2吸収反応による発熱を80℃乃至100℃に冷却する
請求項9に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項14】
前記流路を通過して排出される前記所定の物質はスラッジタンクに貯蔵又は船外排出される
請求項8に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項15】
前記排気ガス循環部は、
前記空気吸入フィルタに供給される排気ガス流量を調節する第1弁と、
前記排気ガスパイプを介して前記排気ガスを利用する関連装置に供給される排気ガス流量を調節する第2弁を含む
請求項4に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項16】
前記過給機に供給されて外気と混合される排気ガス及び前記排気ガスパイプに供給される排気ガスの流量をそれぞれ調節する
請求項4に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項17】
前記洗浄部と前記CO
2吸収部と前記排気ガス循環部は前記船舶エンジン内部に装着される形態で構成される
請求項1に記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかに記載の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置を備えた
ことを特徴とする船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGRとiCERを結合させてEGRによってNOX生成を減らしながらもCO2とSOXを吸収して環境に影響を与えない物質に転換することで、エンジンの腐食を防止し燃焼品質を向上させ、iCERによってエンジン効率を高めてメタンスリップを減らすことができる、船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置及び同装置を備えた船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無分別な化石燃料使用による温室効果ガス排出の影響で地球温暖化現象とそれに関連する環境災害が発生している。
【0003】
これにより、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素を放出せず捕集して貯蔵することに関連する一連の技術がCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術と呼ばれ最近非常に大きな注目を浴びているが、CCS技術のうち化学吸収法(chemical absorption)は大規模処理が可能という面からその中でも最も多く商用化された技術である。
【0004】
また、二酸化炭素排出規制はIMOのEEDIによって規制するが、2050年には2008年の排出量の50%以上の低減を目標とし、2030年にも2008年の排出量の40%を低減しなければならず、CO2を排出しない、又は排出されたCO2を捕集する技術が注目を浴びている。
【0005】
前述した二酸化炭素の排出を低減、又は生成された二酸化炭素を捕集する技術は、船舶では商用化された事例がないというのが現状であり、水素やアンモニアを燃料として使用する方法も現在開発中で商業化の段階には至っていないのが現状である。
【0006】
一方、船舶エンジンから排気される排気ガス内のNOXを低減する方法として、排気ガスを洗浄して冷却した後、一部を外気と混合して混合ガスを船舶エンジンの吸入系統に再循環させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)が適用されている。
【0007】
しかし、EGR単独ではNOXの生成を低減しエンジン効率を高めるには限界があり、従来の化石燃料を使用して運航している、又は建造予定の船舶に対してEGRを維持しながらEGRの本来の目的であるNOX生成を減らしながらも代表的な温室効果ガスであるCO2は無論、SOXを吸収して環境に影響を与えない物質に転換して排出したり、有用な物質に貯蔵することができ、船舶用デュアルフューエル(DF;Dual Fuel)エンジンで発生するメタンガススリップ排出量を画期的に減らして燃焼効率を向上させることができる技術を適用する必要性が提起される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の思想が成し遂げようとする技術的課題は、EGRとiCERを結合させてEGRによってNOX生成を減らしながらもCO2とSOXを吸収して環境に影響を与えない物質に転換することで、エンジンの腐食を防止し燃焼品質を向上させ、iCERによってエンジン効率を高めてメタンスリップを減らすことができる、船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置及び同装置を備えた船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明は、船舶エンジンの各シリンダから排気される排気ガスを一時貯蔵して脈動を除去する排気ガスレシーバと、前記排気ガスレシーバから供給される排気ガスによって燃焼空気を圧縮して供給する過給機と、前記過給機を通過して供給される排気ガスに洗浄水を噴射してSOXとスートを除去して洗浄し、冷却水を循環させて排気ガスを冷却する洗浄部と、前記洗浄部を通過した排気ガスに吸収液を噴射してCO2を吸収して除去するCO2吸収部と、前記過給機によって圧縮された燃焼空気を一時貯蔵して脈動を除去し、前記船舶エンジンの各シリンダに給気する燃焼空気レシーバと、前記CO2吸収部を通過した排気ガスを前記過給機に供給して外気と混合させる排気ガス循環部と、を含む、船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置を提供する。
【0010】
ここで、前記船舶エンジンは低圧2ストロークデュアルフューエルエンジン又は4ストロークデュアルフューエルエンジンであり得る。
【0011】
また、前記過給機は、前記排気ガスレシーバから供給される高温高圧の排気ガスによって回転するタービンと、前記タービンの回転軸に結合されて回転して燃焼空気を圧縮して前記燃焼空気レシーバに供給する圧縮機と、前記圧縮機の吸入口側に形成され、前記CO2吸収部を通過してCO2が除去された排気ガス及び外気から異物をフィルタリングして混合する空気吸入フィルタと、前記圧縮機から前記燃焼空気レシーバに供給される燃焼空気を冷却する燃焼空気冷却モジュールと、前記タービンから前記洗浄部への排気ガス流量を調節する第1調節弁と、前記タービンから排気ガスを利用する関連装置に供給される排気ガス流量を調節する第2調節弁と、で構成されることができる。
【0012】
また、前記第2調節弁は、高負荷又は高温の排気ガスによって、前記タービンの排気ガスパイプに連結された前記排気ガスを利用する関連装置の損傷が予想される場合は、開閉を制御して前記洗浄部への排気ガス流量を増加させて排気ガスの温度を下げることができる。
【0013】
また、前記燃焼空気冷却モジュールは、冷却水を循環させて燃焼空気を冷却する1段以上のクーリングジャケットと、屈曲する多板形で形成され前記クーリングジャケットを通過した燃焼空気の水分を除去するミストキャッチャを含むことができる。
【0014】
また、前記洗浄部は、清水を供給されて循環する洗浄水を中和させて供給する洗浄水供給モジュールと、前記洗浄水供給モジュールからの洗浄水を前記過給機からの排気ガスに噴射して冷却し洗浄する洗浄モジュールと、冷却水を循環させて排気ガスを冷却する冷却モジュールと、洗浄水が前記洗浄モジュールを循環するようにする洗浄水循環モジュールと、洗浄水を水処理する水処理モジュールと、を含むことができる。
【0015】
また、前記洗浄水供給モジュールは、清水を供給されて洗浄水を補充して前記洗浄モジュールに供給する洗浄水補充ポンプと、前記洗浄水補充ポンプから前記洗浄モジュールに供給されて循環する洗浄水にpHを調節するための中和剤を投入する中和剤供給弁を含み、前記洗浄モジュールは、洗浄水を噴射してSOXとスートを除去して洗浄する1つ以上の洗浄ユニットを含み、前記冷却モジュールは、前記1つ以上の洗浄ユニットの下段に形成されて循環する冷却水によって前記吸収液の種類に応じて所定の温度に排気ガスを冷却する1つ以上の冷却ユニットを含み、前記洗浄水循環モジュールは、前記洗浄モジュールを通過した洗浄水を集水する洗浄水循環タンクと、前記洗浄水循環タンクからの洗浄水のpHを測定して前記中和剤供給弁を調節して中和剤投入量を設定するようにするpHメートルと、洗浄水初期水量を貯蔵し洗浄水を補充するバッファタンクと、前記洗浄モジュールを通過した一部の洗浄水は前記バッファタンクに供給し、残りの洗浄水は前記洗浄モジュールに循環させる洗浄水循環ポンプ及び洗浄水調節弁と、前記洗浄水循環ポンプの後段に設置されて循環する洗浄水を冷却する洗浄水冷却ユニットと、を含み、前記水処理モジュールは、前記バッファタンクから排水される洗浄水を水処理して水処理された洗浄水を前記バッファタンクに回帰させる水処理ユニットと、前記水処理ユニットによるスラッジを貯蔵するスラッジタンクと、前記水処理ユニットによって所定の排出条件を満足する洗浄水を船外排出する船外排出弁と、前記バッファタンクからの洗浄水を一時貯蔵する洗浄水ドレインタンクと、を含むことができる。
【0016】
また、前記CO2吸収部は、前記吸収液を貯蔵する吸収液貯蔵タンクと、前記吸収液を噴射する1つ以上の噴射ノズルと、CO2と前記吸収液を接触させて化学反応によってCO2を所定の物質に転換させる1つ以上の流路と、前記1つ以上の噴射ノズルに前記吸収液をポンピングする吸収液噴射ポンプと、前記1つ以上の流路に冷却水を循環させてCO2吸収反応による発熱を冷却する冷却モジュールと、屈曲する多板形で前記流路の終端に形成されて前記流路を通過した排気ガスの水分を除去するミストキャッチャと、前記流路を通過した前記吸収液を分離貯蔵する吸収液タンクと、を含むことができる。
【0017】
また、前記1つ以上の噴射ノズルは、前記吸収液を下向きに噴射する上段噴射ノズル及び下段噴射ノズルを含み、前記1つ以上の流路は、CO2と前記吸収液を接触させて化学反応によってCO2を前記所定の物質に転換させる上段流路及び下段流路を含み、前記吸収液噴射ポンプは前記上段噴射ノズル及び前記下段噴射ノズルに前記吸収液をポンピングし、前記冷却モジュールは前記上段流路及び前記下段流路区間に冷却水を循環させてCO2吸収反応による発熱を冷却できる。
【0018】
また、前記上段流路又は前記下段流路は、前記吸収液と排気ガスの接触時間が増えるように複数の段と隔壁で構成されて流路を長く形成できる。
【0019】
また、前記上段流路又は前記下段流路には、前記吸収液と排気ガスの接触時間が増えるように単位体積あたり接触面的が大きく設計された蒸留カラムパッキングが多段で構成された充填材と、多段で構成された前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器が形成され得る。
【0020】
また、前記吸収液貯蔵タンクは前記吸収液としてNH4OH(aq)を貯蔵し、前記上段流路及び前記下段流路によってNH4OH(aq)によってCO2を吸収してNH4HCO3(aq)に転換させ、前記冷却モジュールは前記上段流路及び前記下段流路にクーリングジャケット又はクーリングコイルの形態で配置されてCO2吸収反応による発熱を20℃乃至50℃に冷却できる。
【0021】
また、前記吸収液貯蔵タンクは前記吸収液としてNaOH(aq)を貯蔵し、前記上段流路及び前記下段流路によってNaOH(aq)によってCO2を吸収してNaHCO3又はNa2CO3に転換させ、前記冷却モジュールはCO2吸収反応による発熱を80℃乃至100℃に冷却できる。
【0022】
また、前記流路を通 過して排出される前記所定の物質はスラッジタンクに貯蔵又は船外排出され得る。
【0023】
また、前記排気ガス循環部は、前記空気吸入フィルタに供給される排気ガス流量を調節する第1弁と、前記排気ガスパイプを介して前記排気ガスを利用する関連装置に供給される排気ガス流量を調節する第2弁を含むことができる。
【0024】
また、前記排気ガス循環部は、前記過給機に供給されて外気と混合される排気ガス及び前記排気ガスパイプに供給される排気ガスの流量をそれぞれ調節できる。
【0025】
また、前記洗浄部、前記CO2吸収部、及び前記排気ガス循環部は前記船舶エンジン内部に装着される形態で構成されることができる。
【0026】
一方、前述した目的を達成するために、本発明は、前述した船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置を備えた船舶を提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、EGRとiCERを結合させてEGRによってNOX生成を減らしながらもCO2とSOXを吸収して環境に影響を与えない物質に転換することで、エンジンの腐食を防止し燃焼品質を向上させ、iCERによってエンジン効率を高めてメタンスリップ(methane slip)を減らすことができ、再循環する排気ガスからSOXとCO2を除去してエンジンの腐食を防止し環境汚染を減らすことができ、船舶エンジン内部に装着される形態で構成して設置空間を節約できるのでエンジンルームの余裕空間を確保することができ、従来のEGRシステムが既に設置された船舶に追加設置が可能にして変更事項が少ないように構成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例による船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置の概略的な構成を示した図である。
【
図2】
図1の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置を具現したシステム回路図を示した図である。
【
図3】
図2の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置の排気ガスレシーバ及び過給機を分離して示した図である。
【
図4】
図2の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置の洗浄部を分離して示した図である。
【
図5】
図2の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置のCO
2吸収部を分離して示した図である。
【
図6】
図2の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置の排気ガス循環部を分離して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々に異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0030】
本発明の実施例による船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置は、船舶エンジン10の各シリンダから排気される排気ガスを一時貯蔵して脈動を除去する排気ガスレシーバ110と、排気ガスレシーバ110から供給される排気ガスによって燃焼空気を圧縮して供給する過給機120と、過給機120を通過して供給される排気ガスに洗浄水を噴射してSOXとスートを除去して洗浄し、冷却水を循環させて排気ガスを冷却する洗浄部130と、洗浄部130を通過した排気ガスに吸収液を噴射してCO2を吸収して除去するCO2吸収部140と、過給機120によって圧縮された燃焼空気を一時貯蔵して脈動を除去し、船舶エンジン10の各シリンダに給気する燃焼空気レシーバ150と、CO2吸収部140を通過した排気ガスを過給機120に供給して外気と混合させる排気ガス循環部160と、を含み、EGRとiCERを結合させてEGRによってNOX生成を減らしながらもCO2とSOXを吸収して環境に影響を与えない物質に転換することで、エンジンの腐食を防止し燃焼品質を向上させ、iCERによってエンジン効率を高めてメタンスリップを減らすことを要旨とする。
【0031】
以下、
図1乃至
図6を参照して、前述した構成の船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置を詳述すると次のとおりである。
【0032】
まず、排気ガスレシーバ110は、船舶エンジン10の各シリンダから排気される排気ガスを一時貯蔵して脈動を除去する。
【0033】
まず、排気ガスレシーバ(exhaust gas receiver)110は、
図2及び
図3に示すように、船舶エンジン10の多数で構成された各シリンダ(図示せず)の燃焼室から燃焼後の排気行程によって排気ガス排出口から排気される高温高圧の排気ガスを一時貯蔵して排気ガスの脈動を除去し、調節弁の開閉を介して過給機120を経て洗浄部130又は廃熱回収装置などといった排気ガスを利用する関連装置(図示せず)に供給する。
【0034】
例えば、船舶エンジン10で各シリンダごとの点火順序が異なることから排気ガスの排出時点も異なり脈動が発生するが、排気ガスレシーバ110は排気ガス圧力の脈動除去に適した容量を具備し保温が可能なシリンダの形態で形成され、一側は燃焼室の排気ガス排出口と連結され他側は過給機120のタービン121入口側と連結される。
【0035】
ここで、船舶エンジン10はオットーサイクル(Otto cycle)に従って5barg乃至20barg範囲の燃焼ガス圧力で運転される低圧2ストロークデュアルフューエル(Dual Fuel)エンジンであり得る。低圧2ストロークデュアルフューエルエンジンはNOX排出量が少なく、ディーゼルのような燃料油を使用する場合にも短時間の燃料油運転によってIMO NOX排出規制であるTierIIIを満たすことができ、高圧2ストロークデュアルフューエルエンジンに比べて燃焼ガス圧力が1/10以下で、比較的安価なガス圧縮機を適用でき、ガス圧縮機の消耗電力が低くて運航費を低減できる。
【0036】
一方、低圧2ストロークデュアルフューエルエンジンに限定されず、使用可能なボイルオフガスで補助電力を生産できる4ストロークデュアルフューエルエンジンが船舶エンジン10に適用されることもできる。
【0037】
次に、過給機(turbo charger)120は排気ガスレシーバ110から供給される排気ガスの高温高圧のエネルギーを利用して燃焼空気を圧縮し、燃焼空気レシーバ150に供給してエンジン効率を高める。
【0038】
具体的には、過給機120は、
図3に示すように、排気ガスレシーバ110から供給される高温高圧の排気ガスによって回転するタービン121と、タービン121の回転軸に結合されて回転して再循環された排気ガスと外気を混合した燃焼空気を圧縮して燃焼空気レシーバ150に供給する圧縮機122と、圧縮機122の吸入口側に形成され、CO
2吸収部140を通過してCO
2が除去された排気ガス及び外気から異物をフィルタリングして混合する空気吸入フィルタ123と、圧縮機122から燃焼空気レシーバ150に供給される燃焼空気を冷却する燃焼空気冷却モジュール124と、タービン121から洗浄部130への排気ガス流量を調節する第1調節弁125と、タービン121から排気ガスを利用する関連装置に供給される排気ガス流量を調節する第2調節弁126と、で構成されることができる。
【0039】
また、第2調節弁126は、高負荷又は高温の排気ガスによって、タービン121の排気ガスパイプに連結された排気ガスを利用する関連装置の損傷が予想される場合は、開閉を制御して洗浄部130への排気ガス流量を増加させて排気ガスの温度を下げることができる。
【0040】
また、燃焼空気冷却モジュール124は、冷却水を循環させて燃焼空気を冷却する1段以上のクーリングジャケット(cooling jacket)124aと、屈曲する多板形で形成されクーリングジャケット124aを通過した燃焼空気の水分を除去するミストキャッチャ124bを含み、圧縮機122による燃焼空気圧縮による温度上昇を抑制して過給機の効率を上げて空気密度を上げることで、船舶エンジン10の効率を向上させることができる。
【0041】
次に、洗浄部(EGR)130は排気ガスの洗浄、冷却、及び中和を行う構成要素であって、過給機120を通過して供給される排気ガスに洗浄水を1次、2次と順を追って噴射して排気ガスに含まれたSOXとスート(soot)を除去して洗浄し、冷却水を循環させて排気ガスを冷却してCO2吸収部140に供給する。
【0042】
ちなみに、船舶エンジン10の燃焼室で燃焼空気に含まれた酸素の中の一部は燃料と燃焼してCO2を生成し、残りはNOXとSOXを生成するが、洗浄部130は燃焼後CO2を多量に含む排気ガスを洗浄及び冷却して燃焼に必要な最小限のO2のみを船舶エンジン10の燃焼室に供給して燃焼空気自体のCO2濃度を上げO2の濃度を下げてNOXの生成を抑制する。
【0043】
具体的には、洗浄部130は、
図4に示すように、清水を供給されて循環する洗浄水を中和させて供給する洗浄水供給モジュール131と、洗浄水供給モジュール131からの洗浄水を過給機120からの排気ガスに噴射して冷却し洗浄する洗浄モジュール132と、冷却水を循環させて排気ガスを冷却する冷却モジュール133と、洗浄水が洗浄モジュール132を循環するようにする洗浄水循環モジュール134と、洗浄水を水処理する水処理モジュール(WTS;Water Treatment System)135と、を含むことができる。
【0044】
洗浄水供給モジュール131は、清水供給弁131aの開放を介して清水を供給されて循環する洗浄水を補充して洗浄モジュール132に供給する洗浄水補充ポンプ131bと、洗浄水補充ポンプ131bから洗浄モジュール132に供給されて循環する洗浄水にpHを調節するための中和剤を投入する中和剤供給弁131cを含む。ここで、中和剤は洗浄水と排気ガスのSOXの反応によって生成された硫酸を除去する塩基性中和剤であり得る。
【0045】
洗浄モジュール132は、洗浄水を噴射してSOXとスートを除去して洗浄する1つ以上の洗浄ユニットを含むが、洗浄水供給モジュール131又は洗浄水循環モジュール134から供給される洗浄水を排気ガスに1次噴射して(pre-spray)高温の排気ガスを200℃乃至300℃に冷却してSOXとスートなどのパーティクル成分を除去して洗浄する前段の第1洗浄ユニット132aと、洗浄水を2次噴射して(EGR cooler spray)排気ガスを45℃前後に冷却してSOXとスートなどのパーティクル成分を除去して洗浄する後段の第2洗浄ユニット132bで構成される。
【0046】
冷却モジュール133は、1つ以上の洗浄ユニットの下段に形成されて循環する冷却水によって吸収液の種類に応じて所定の温度に排気ガスを冷却する1つ以上の冷却ユニットを含むが、第1洗浄ユニット132aの下段に形成されて循環する冷却水によって、吸収液の種類に応じて、所定の温度に排気ガスを冷却する第1冷却ユニット133aと、第2洗浄ユニット132bの下段に形成されて循環する冷却水によって、吸収液の種類に応じて、所定の温度に排気ガスを冷却する第2冷却ユニット133bで構成される。
【0047】
洗浄水循環モジュール134は、洗浄モジュール132を通過した洗浄水を集水する洗浄水循環タンク134aと、洗浄水循環タンク134aからの洗浄水のpHを測定して中和剤供給弁131cを調節して中和剤投入量を設定するようにするpHメートル134bと、洗浄水初期水量を貯蔵し洗浄水を補充するバッファタンク134cと、洗浄モジュール132を通過した一部の洗浄水はバッファタンク134cに供給し、残りの洗浄水は洗浄モジュール132に循環させる洗浄水循環ポンプ134d及び洗浄水調節弁134eと、洗浄水循環ポンプ134dの後段に設置されて循環する洗浄水を冷却する洗浄水冷却ユニット134fと、を含む。
【0048】
ここで、pHメートル134bは循環する洗浄水に含まれた硫酸によるpHを測定し、測定されたpHに応じて、中和剤供給弁131cによって塩基性中和剤、例えば、NaOHの投入量を調節して洗浄水を中和させて洗浄水が循環するパイプラインと関連する構成要素の腐食を防止させ、バッファタンク134cは排気ガスの燃焼によって付随的に発生した追加の水分を集水して除去し水処理モジュール135によって水処理されて浄化された洗浄水を貯蔵して補充することもできる。
【0049】
一方、NH4OH(aq)をCO2吸収部140の吸収液として使用する場合は、洗浄モジュール132を通過する排気ガスの温度は20℃乃至50℃前後が適切でNaOHをCO2吸収部140の吸収液として使用する場合は、排気ガスの温度は80℃乃至100℃前後が適切で、使用する吸収液によって洗浄水の量と温度が異なり洗浄水による排気ガスの洗浄力を維持しながらCO2吸収部140のCO2吸収温度条件を満たすように洗浄モジュール132及び洗浄水冷却ユニット134fの組み合わせを異なるように構成でき、第1洗浄ユニット132aと第2洗浄ユニット132bの熱交換器の仕様も異なるように構成できる。
【0050】
水処理モジュール135は、バッファタンク134cから排水される洗浄水を水処理して水処理された洗浄水をバッファタンク134cに回帰させる水処理ユニット135aと、水処理ユニット135aによるスラッジを貯蔵するスラッジタンク135bと、水処理ユニット135aによって所定の排出条件を満足する洗浄水を船外排出する船外排出弁135cと、バッファタンク134cからの洗浄水を一時貯蔵する洗浄水ドレインタンク135dと、を含み、洗浄水に含まれたスートなどの残滓を分離して貯蔵し分離された排出水を船外排出させる。
【0051】
次に、CO2吸収部140は洗浄部130を通過した排気ガスに吸収液を噴射してCO2を吸収して除去し、燃焼室に再循環される排気ガスのO2濃度を下げてNOX生成を抑制する。
【0052】
具体的には、
図2及び
図5に示すように、CO
2吸収部140は、化学反応によってCO
2を除去する吸収液を貯蔵する吸収液貯蔵タンク141と、吸収液を下向きに噴射する上段噴射ノズル142と、CO
2と吸収液を物理的に接触させて化学反応によってCO
2をNH
4HCO
3、NaHCO
3又はNa
2CO
3に転換させる上段流路143と、吸収液を下向きに噴射する下段噴射ノズル144と、CO
2と吸収液を物理的に接触させて化学反応によってCO
2をNH
4HCO
3、NaHCO
3又はNa
2CO
3に転換させる下段流路145と、上段噴射ノズル142及び下段噴射ノズル144に吸収液をポンピングする吸収液噴射ポンプ146と、上段流路143及び下段流路145区間に冷却水を循環させてCO
2吸収反応による発熱をそれぞれ冷却する冷却モジュール147と、屈曲する多板形で形成され下段流路145を通過した排気ガスの水分を除去するミストキャッチャ148と、上段流路143及び下段流路145を順に通過した吸収液を分離貯蔵する吸収液タンク149と、を含む。
【0053】
ここで、吸収液は船内の別途設備によって製造されて直ちに供給されることもできるが、吸収液貯蔵タンク141に貯蔵された形態でポンピングされて供給されることもでき、上段噴射ノズル142及び下段噴射ノズル144は主配管に連結された多数の噴射孔が形成された多数の補助配管が設置された形態で構成されることができる。
【0054】
一方、上段流路143又は下段流路145は、吸収液と排気ガスの接触時間が増えるように複数の段と隔壁で構成されて流路を長く形成し、吸収液によってCO2を十分に吸収して溶解させるか、船外排出条件を満たす物質に転換させる。
【0055】
また、上段流路143又は下段流路145には、吸収液と排気ガスの接触時間が増えるように単位体積あたり接触面的が大きく設計された蒸留カラムパッキング(distilling column packing)が多段で構成された充填材143a,145aと、多段で構成された蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器(図示せず)が形成され得る。
【0056】
例えば、単位面積あたり接触面積と気体の圧力降下と氾濫速度を考慮して工程に適した蒸留カラムパッキングを選定でき、溶液再分配器によって清水のチャネリング(channeling)現象を防止させることができる。
【0057】
一方、CO2を吸収する吸収液の選択によって、生成物と冷却方式が異なる場合があるが、すなわち、吸収液としてNH4OH(aq)を使用する場合は、吸収液貯蔵タンク141が吸収液としてNH4OH(aq)を貯蔵し、上段流路143及び下段流路145を通過するNH4OH(aq)によって下記化学式1又は化学式2によってCO2を吸収してNH4HCO3(aq)に転換させ、冷却モジュール147は上段流路143及び下段流路145にクーリングジャケット又はクーリングコイルの形態で配置されてCO2吸収反応による発熱を20℃乃至50℃に冷却して、化学式1又は化学式2の円滑な正反応を誘導できる。
【0058】
すなわち、20℃に達しない場合はCO2吸収率が減少し、50℃を超過する場合はCO2吸収率が増加する場合があるがNH3が気化して消失される短所があり、20℃乃至50℃に維持することが好ましい。
【0059】
【0060】
【0061】
又は、吸収液としてNaOHを使用する場合は、吸収液貯蔵タンク141が吸収液としてNaOHを貯蔵し、上段流路143及び下段流路145を通過するNaOHによって、例えば、下記化学式3又は化学式4によってCO2を吸収してNa2CO3又はNaHCO3に転換させ、冷却モジュール147はCO2吸収反応による発熱を80℃乃至100℃に冷却して、化学式3又は化学式4の円滑な正反応を誘導できる。
【0062】
【0063】
【0064】
一方、上段流路143及び下段流路145を通過して吸収液タンク149に貯蔵された吸収液は再生処理又は廃棄処理され、CO2吸収部140から排出される排出物は弁調節によってスラッジタンク135bに貯蔵又は船外排出され得る。
【0065】
次に、燃焼空気レシーバ(scavenge air receiver)150は、
図3に示すように、CO
2吸収部140を通過してCO
2が除去されO
2濃度が低くなり、過給機120によって圧縮された燃焼空気を一時貯蔵して脈動を除去し、吸入ストロークで船舶エンジン10の各シリンダに給気する。
【0066】
例えば、各シリンダ別点火順序が異なるので燃焼空気の吸入時点も異なり脈動が発生するが、燃焼空気レシーバ150は燃焼空気圧力の脈動除去に適した容量を具備し保温が可能なシリンダの形態で形成され、一側は燃焼室の燃焼空気吸入口と連結され他側は過給機120の圧縮機122出口側と連結される。
【0067】
次に、排気ガス循環部(iCER;intelligent Control by Exhaust Recycling)160はCO2吸収部140を通過した排気ガスを過給機120に供給して外気と混合させる。
【0068】
すなわち、
図6に示すように、排気ガス循環部160はCO
2吸収部140の下段流路145とミストキャッチャ148を通過した排気ガスを過給機120の空気吸入フィルタ123に供給する燃焼空気ラインであって、過給機120に供給されて外気と混合される排気ガス及び排気ガスパイプに供給される排気ガスの流量をそれぞれ調節できる。
【0069】
例えば、第1弁161の開閉調節によって空気吸入フィルタ123に供給される排気ガス流量を調節し、第2弁162の開閉調節によって排気ガスパイプを介して排気ガスを利用する関連装置に供給される排気ガス流量を調節できる。
【0070】
一方、排気ガス循環部160による排気ガスの再循環比率に比例してNOXの減少量も増加するが、全体排気ガスの30%乃至40%程度が再循環されて船舶エンジン10に供給されることができる。
【0071】
これに、洗浄部130と排気ガス循環部160を結合してデュアルフューエルエンジンのオットーサイクルで発生するメタンスリップを減らし、燃焼空気でO2の代わりにCO2の比率を高めてCO2濃度を調節させることができる。
【0072】
また、以上で述べた洗浄部130とCO2吸収部140と排気ガス循環部160は船舶エンジン10内部に装着される形態で構成され、エンジンルームの設置空間を節約でき、従来のEGRシステムが既に設置された船舶に追加設置が可能にして変更事項が少ないように構成できる。
【0073】
一方、本発明は、前述した船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置を備えた船舶を提供できる。
【0074】
したがって、船舶のEGR及びiCERを結合した温室効果ガス排出低減装置及び同装置を備えた船舶によって、EGRとiCERを結合させてEGRによってNOX生成を減らしながらもCO2とSOXを吸収して環境に影響を与えない物質に転換することで、エンジンの腐食を防止し燃焼品質を向上させ、iCERによってエンジン効率を高めてメタンスリップ(methane slip)を減らすことができ、再循環する排気ガスからSOXとCO2を除去してエンジンの腐食を防止し環境汚染を減らすことができ、船舶エンジン内部に装着される形態で構成して設置空間を節約できるのでエンジンルームの余裕空間を確保することができ、従来のEGRシステムが既に設置された船舶に追加設置が可能にして変更事項が少ないように構成できる。
【0075】
以上、本発明を図面に示す実施例を参照して説明した。しかし、本発明はこれに限定されず本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明と均等な範囲に属する多様な変形例又は他の実施例が可能である。したがって、本発明の真正な保護範囲は下記の特許請求の範囲によって定められる。