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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】無線周波数穿孔装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240730BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240730BHJP
   A61M 25/098 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61M25/00 650
A61B18/14
A61M25/098
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023036106
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2021126775の分割
【原出願日】2012-11-09
(65)【公開番号】P2023063381
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】61/653,967
(32)【優先日】2012-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,ガレス
(72)【発明者】
【氏名】アーバンスキー,ジョン・ポール
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0161794(US,A1)
【文献】米国特許第05919188(US,A)
【文献】特開2008-245765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61B 18/14
A61M 25/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の中隔の組織に穿孔を形成するための医療装置であって、
金属性の管状部材からなり、近位端および遠位端を有するとともに、実質的に前記近位端と前記遠位端との間に延在するルーメンを規定する細長い部材と、前記金属性の管状部材を覆う電気絶縁層と、
前記細長い部材の前記遠位端に配置され、無外傷性遠位先端部を有する機能的先端部であって、白金イリジウム合金からなるX線不透過性造影用マーカーを含むとともに、組織にエネルギーを伝達するための電極として動作可能である機能的先端部と、
前記機能的先端部の前記無外傷性遠位先端部の近位に位置する側面ポートであって、前記細長い部材の前記ルーメンと流体連通している側面ポートとを備え
前記機能的先端部の遠位端は閉じられ、前記側面ポートは前記閉じられた遠位端の近位に配置される、医療装置。
【請求項2】
前記無外傷性遠位先端部はドーム形状または半球形状を有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
2の側面ポートをさらに備える、請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記側面ポートは長手方向に細長い、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記X線不透過性造影用マーカーの全体が電気的に露出されている、請求項3に記載の医療装置。
【請求項6】
前記機能的先端部の近位で、かつ前記機能的先端部に隣接する前記細長い部材の遠位部分は、一定の外径を有する、請求項3に記載の医療装置。
【請求項7】
前記機能的先端部の第1の直径は、前記細長い部材の第2の直径と等しいか、またはそれよりも短い、請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記側面ポートに少なくとも部分的に重なる絶縁層をさらに備える、請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
心臓の中隔の組織に穿孔を形成するための医療装置であって、
近位端および遠位端を有するとともに、実質的に前記近位端と前記遠位端との間に延在するルーメンを規定する金属性の細長い部材と、前記金属性の細長い部材の外面に沿った電気絶縁層と、
前記ルーメンの内面に結合されるとともに、前記金属性の細長い部材から遠位に延在する無外傷性機能的先端部であって、先端ルーメンを規定するとともに閉じられた遠位表面を有し、白金イリジウム合金からなるX線不透過性造影用マーカーを含み、かつ組織にエネルギーを伝達するための電極として動作可能である無外傷性機能的先端部と、
前記閉じられた遠位表面の近位に位置する複数の側面ポートであって、前記金属性の細長い部材の前記ルーメンと流体連通している複数の側面ポートとを備える医療装置。
【請求項10】
前記無外傷性機能的先端部はドーム形状または半球形状を有する、請求項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記複数の側面ポートは、第1の側面ポートおよび第2の側面ポートを含む、請求項または10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記複数の側面ポートのうちの少なくとも1つは長手方向に細長い、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記X線不透過性造影用マーカーの全体が電気的に露出されている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項14】
前記無外傷性機能的先端部の近位で、かつ前記無外傷性機能的先端部に隣接する前記金属性の細長い部材の遠位部分は、一定の外径を有する、請求項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記無外傷性機能的先端部の遠位端は閉じられ、前記複数の側面ポートは前記閉じられた遠位端の近位に配置される、請求項または14に記載の医療装置。
【請求項16】
前記無外傷性機能的先端部の第1の直径は、前記金属性の細長い部材の第2の直径と等しいか、またはそれよりも短い、請求項に記載の医療装置。
【請求項17】
前記複数の側面ポートに少なくとも部分的に重なる絶縁層をさらに備える、請求項または16に記載の医療装置。
【請求項18】
前記無外傷性機能的先端部は、溶接または接着によって前記金属性の細長い部材に結合されている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項19】
心臓の中隔の組織に穿孔を形成するためのシステムであって、
請求項または11に記載の医療装置と、
前記機能的先端部にエネルギーを供給するように動作可能な電気外科的発電機とを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器、特に、流体の流れのためのルーメンを備える機器の可視化の改善に関する。
【0002】
本発明を容易に理解し得るようにするために、本発明の実施形態を、添付の図面に例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】ハンドルとシャフトとを含む機器の実施形態の図である。
図2a】ルーメンを備えるシャフトまたは細長い部材と、1つまたは複数の開口部の遠位にマーカーとを有する、ある実施形態を示す概略的な側面図である。
図2b】ルーメンを備えるシャフトまたは細長い部材と、1つまたは複数の開口部の遠位にマーカーとを有する、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図2c】ルーメンを備えるシャフトまたは細長い部材と、1つまたは複数の開口部の遠位にマーカーとを有する、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図2d】ルーメンを備えるシャフトまたは細長い部材と、1つまたは複数の開口部の遠位にマーカーとを有する、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3a】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、ある実施形態を示す概略的な側面図である。
図3b】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3c】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3d】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3e】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3f】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3g】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3h】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3i】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図3j】金属チューブの壁にマーカーが埋め込まれている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図4a】金属チューブの壁の内面にマーカーが結合されている、ある実施形態を示す概略的な側面図である。
図4b】金属チューブの壁の内面にマーカーが結合されている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図4c】金属チューブの壁の内面にマーカーが結合されている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図4d】金属チューブの壁の内面にマーカーが結合されている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図4e】金属チューブの壁の内面にマーカーが結合されている、別の実施形態を示す概略的な側面図である。
図4f】金属チューブの壁の内面に結合された内部リテーナによって係留(captive)要素マーカーが保持されている機器を示す概略的な側面図である。
図5】機器の実施形態の遠位部分の側面断面図である。
図6a】ルーメンと、ルーメンの両端部間に内部マーカーとを備える機器の概略的な側面図である。
図6b図6aの機器の概略的な端面図である。
図7a】融接前に、ルーメンと、中空の内部マーカーとを備える機器の概略的な側面図である。
図7b図7aの機器の概略的な端面図である。
図7c】融接前に、ルーメンと、中実の内部マーカーとを含む機器の概略的な側面図である。
図7d図7cの機器の概略的な端面図である。
図8a】融接後の図7aの機器の概略的な側面図である。
図8b図8aの機器の概略的な端面図である。
図8c】融接後の図7cの機器の概略的な側面図である。
図8d図8cの機器の概略的な端面図である。
図9a】本発明の方法の実施形態の図である。
図9b】本発明の方法の実施形態の図である。
図10a】本発明の機器の代替的な実施形態のある図を示す。
図10b】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図10c】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図10d】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図11a】本発明の機器の代替的な実施形態のある図を示す。
図11b】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図11c】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図11d】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図11e】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図11f】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
図11g】本発明の機器の代替的な実施形態の別の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
ある種の医療処置は:材料にまたは材料を通して穿孔またはチャネルを形成し得る;患者の体へ/から流体を伝達するおよび/または引き出すことができる;および医療処置の1つ以上のステップを可視化するための造影用マーカーを提供し得る医療機器の使用を必要とする。医療機器のシャフトの外側に配置されたX線不透過性バンドは、画像化用によく使用される。そのような外部マーカーバンドは機器の外径を大きくするため、場合によっては、外形寸法の制約により、外径を小さくする必要があることがあり、それにより、そのような外部マーカーを備える機器の使用を回避することとなる。また、そのような外部マーカーバンドは、一般的に、機器の最も遠い先端部の近位にあるため、バンドは、機器の先端部の正確な位置決めを提供しない。機器の外径を大きくしないために、造影用マーカーを機器のルーメンの内側に配置してもよいが:a)これは、機器のサイズおよび構成(材料など)、機器によって規定されたルーメンの直径に依存して、達成するのが簡単ではないことが多く;かつb)これは、一般的に、機器のルーメンを通る流体の流れを妨害する。
【0005】
本発明者らは、患者内に挿入する医療機器の部分の可視化を改善できる一方、ルーメンを流れる流体への妨害を最小限にし、さらに、機器の外径を大きくしないようにする、本明細書で開示するいくつかの実施形態を発見し、実行に移した。これは、例えば、マーカーの直径を、マーカーに隣接する機器の部分の直径以下としたり、または、造影用マーカーを実質的にチューブの壁に/その内部に埋め込み、その機器が金属性チューブまたは同様の構造を有したりすることで、ルーメン開口部(出口ポート/アパーチャ)の遠位にX線不透過性マーカーを設けることにより、達成し得る。
【0006】
具体的な一実施形態は、機器の遠位先端部にX線不透過性の電極先端部を形成するために、金属チューブの端部と融接されたX線不透過性物質を有する、半球形状の無外傷性遠位先端部を含む。X線不透過性の電極先端部は、機器の遠位端部の位置決め、およびエネルギーの伝達の双方に供するとともに、無外傷性の形状は、組織への偶発的な損傷を大きく制限または防止する。この実施形態はまた、流体の流れのために、長手方向に伸びたラテラル側面ポート(ラテラルアパーチャ)を含み得る。本明細書に説明する実施形態の態様はまた、他のタイプの機器、例えば、流体の流れのためのルーメンのない機器、およびエネルギー伝達を提供しない機器に含まれ得る。
【0007】
第1の広範な態様では、本発明の実施形態は、近位端部および遠位端部を有する細長い部材であって、その細長い部材が、実質的に近位端部と遠位端部との間に伸びたルーメンを規定し、かつルーメンから周囲環境への少なくとも1つの開口部を有する、細長い部材を備えた医療機器を含む。その医療機器は、細長い部材の近位端部から、その少なくとも1つの開口部よりもさらに遠位にある、細長い部材に関連付けられた造影用マーカーを有する。
【0008】
第1の広範な態様の一部の実施形態では、造影用マーカーは、細長い部材に沿って配置され、かつ造影用マーカーの外径は、細長い部材の外径以下である。第1の広範な態様の一部の実施形態は、造影用マーカーがX線不透過性マーカーであり、一部の実施形態では、さらに、ルーメンの遠位端部が閉鎖されている。そして、一部の実施形態は、さらに、ルーメンの遠位端部が、X線不透過性マーカーを含む遠位にある機能的先端部によって閉鎖されており、その機能的先端部が、細長い部材の遠位端部に配置されている。一部の実施形態は、さらに、機能的先端部が導電性材料で構成され、エネルギーを伝達できる。そのエネルギーは電気エネルギーでよい。より具体的には、場合によっては、その電気エネルギーは、無線周波数の範囲の周波数を有する。
【0009】
第1の広範な態様の一部の実施形態では、細長い部材はプラスチックチューブを有し、および他の実施形態では、細長い部材は金属チューブを有する。あるいは、細長い部材は、丸いチューブ、コイル、組紐、または丸くない導管のいずれかとし得る。金属チューブを有する実施形態は、さらに、溶接によって金属チューブに取り付けられた造影用マーカーを有することができる。さらに、機能的先端部は、金属チューブの遠位端部と、X線不透過性充填剤または他のX線不透過性物質との融接によって形成され、その機能的先端部は少なくともドームまたは半球形部分を有していてもよい。その機能的先端部はルーメンの遠位端部を遮断する。
【0010】
第2の広範な態様では、本発明の実施形態は、近位端、遠位端部を有し、かつ近位端部と遠位端部との間に延びたルーメンを規定する細長い部材、例えば金属チューブであって、ルーメンからの少なくとも1つの開口部を有する細長い部材を有する医療機器を含む。その医療機器は、マーカー位置において細長い部材の壁に埋め込まれているX線不透過性マーカー(「側壁X線不透過性マーカー」)などの造影用マーカーを含む。細長い部材は、例えば、丸いチューブ、コイル、組紐または丸形状以外の形状を有する導管であってもよい。
【0011】
第2の広範な態様の一部の実施形態では、側壁X線不透過性マーカーは、金属チューブの内壁に埋め込まれて、ルーメンの直径がマーカーによって小さくならず(マーカー位置におけるルーメンの直径は、マーカーに隣接するルーメンの直径以上である)、それにより、ルーメンを通る流体の流れはマーカーによって妨害されない。他の実施形態では、側壁X線不透過性マーカーは金属チューブの外壁に埋め込まれ、機器の外径は、マーカーによって大きくならない、すなわちマーカー位置における機器の直径は、マーカー位置に隣接する機器の外径以下である。
【0012】
第2の広範な態様の一部の実施形態では、医療機器は、細長い部材に関連付けられた機能的先端部を有し、その機能的先端部は、細長い部材の遠位端部に配置されており、かつ少なくともエネルギーを伝達するように動作可能な電極を有する。いくつかのそのような実施形態は、さらに、電極の外径が細長い部材の外径以下であることを含む。
【0013】
第2の広範な態様の一部の実施形態では、ルーメンの遠位端部は、細長い部材の遠位端部で機能的先端部によって閉鎖されている。いくつかのそのような実施形態では、さらに、機能的先端部がエネルギー伝達用の電極を含む。エネルギーは、無線周波数のエネルギーでよい。一部の実施形態では、機器は、ルーメンから細長い部材の外部の環境までの少なくとも1つの側面ポート(ラテラルアパーチャ)を有する。
【0014】
第2の広範な態様の一部の実施形態では、機能的先端部は、機能的先端部のX線不透過性マーカーを規定するX線不透過性物質を有する。機能的先端部のX線不透過性マーカーは、溶接によって金属チューブに取り付けられ得る。任意選択的に、一部の実施形態では、機能的先端部は、金属チューブの遠位端部とX線不透過性充填剤との融接によって形成される。一部の実施形態では、機能的先端部は、少なくともドーム形の部分を有する。
【0015】
第3の広範な態様では、本発明の実施形態は、近位端部、遠位端部を有し、かつ実質的に近位端部と遠位端部との間にルーメンを規定する金属チューブなどの細長い部材であって、ルーメンからの少なくとも1つの開口部/アパーチャを有する細長い部材を有する医療機器を含む。その医療機器は、ルーメンの内側で、金属チューブの内壁の表面に取り付けられている(結合されている)X線不透過性マーカーなどの造影用マーカーを有する。細長い部材は、例えば、チューブ、コイル、組紐または丸くない導管とし得る。
【0016】
第3の広範な態様の一部の実施形態では、医療機器は、さらに、細長い部材の遠位端部に関連付けられかつそこに配置された機能的先端部を有する。機能的先端部は、エネルギーを伝達するように動作可能な電極を有し、エネルギーは、無線周波数の電気エネルギーでよい。そのような一部の実施形態では、電極の外径は、細長い部材の外径以下であり、ルーメンの遠位端部は、細長い部材の遠位端部に配置された機能的先端部によって閉鎖されていてもよい。
【0017】
第3の広範な態様の一部の実施形態はまた、ルーメンからの少なくとも1つのラテラルアパーチャ(または側面ポート)を含む。一部の実施形態では、遠位端部にある機能的先端部は、溶接によって取り付けられている。
【0018】
第4の広範な態様では、本発明の実施形態は、細長い部材と、細長い部材に関連付けられかつ細長い部材の遠位端部の周りに配置された機能的先端部であって、機能的先端部の少なくとも一部分は、医療画像法を使用して見ることができる機能的先端部と、を含む医療機器を使用して、患者の体内の標的位置にチャネルまたは穿孔を形成する方法であって、a)機能的先端部を標的位置に案内するために医療機器が患者の体を通って前進するとき、機能的先端部を可視化するステップと;c)標的位置に機能的先端部を位置決めするステップと;d)機能的先端部の電極によって電気エネルギーを伝達して、チャネルまたは穿孔を形成するステップとを有する方法を含む。
【0019】
患者の体内の標的位置にチャネルまたは穿孔を形成する方法の一部の実施形態は、a)細長い部材と、細長い部材の遠位端部に/その周りに関連付けられかつ配置された機能的先端部と、を含む医療機器を、患者の脈管構造中に導入するステップと、b)遠位端部の画像化用のX線不透過性マーカーとして、機能的先端部を使用して脈管構造内を通して医療機器を前進させ、それにより、遠位端部を操縦可能にするステップと、c)標的位置に機能的先端部を位置決めするステップと、d)機能的先端部電極の電極によって電気エネルギーを伝達し、チャネルを形成するステップとを有する。
【0020】
第4の広範な態様の一部の実施形態では、細長い部材はルーメンを規定し、医療機器は、ルーメンから細長い部材の外側の環境への少なくとも1つの開口部を有し、その方法は、さらに、流体を、開口部を通して流すステップを有する。一部の実施形態では、ルーメンの遠位端部は閉鎖され、かつ細長い部材は、ルーメンから細長い部材の外側の環境への少なくとも1つのラテラルアパーチャ(側面ポート)を有していて、その方法は、さらに、側面ポートを通って流体を流すステップを有する。流体、例えば画像で見ることができるような流体を、送達するまたは引き出すことができる。
【0021】
第4の広範な態様の一部の実施形態では、ステップb)は、さらに、組織のコアリング(coring)を実質的に行わずに、細長い部材を、脈管構造内を通して前進させることを含む。一部の実施形態では、ステップd)は、さらに、組織のコアリングを実質的に行わずに、チャネルを形成することを含む。
【0022】
第4の広範な態様の一部の実施形態では、機能的先端部の直径は、細長い部材(機器のシャフト)の外径以下であり、それにより、細長い部材を、脈管構造内を通して前進させるのを容易にするまたは促進する、すなわち、機器の外径が大きくなると、前進させるのがより困難になるが、機能的先端部は、機器の外径を大きくしない。
【0023】
任意選択的に、一部の実施形態では、ステップd)で伝達されるエネルギーは無線周波数の電気エネルギーである。
【0024】
本発明の第2および第3の広範な態様の一部の実施形態は、さらに、金属チューブのアパーチャに、および/または流体の流れを増やす長手方向に細長いアパーチャに、少なくともわずかに重なっている外側絶縁層を有する。一部の実施形態では、アパーチャは、ラテラルアパーチャまたは側面ポートである。
【0025】
医療機器の一部の実施形態では、細長い部材は、実質的に丸い断面を有する。
【0026】
第1の広範な態様の一部の実施形態では、医療機器の細長い部材はコイルを含む。代替的な実施形態では、細長い部材は、編み組された材料を含む。
【0027】
本発明の第1、第2、および第3の広範な態様の一部の実施形態では、機能的先端部は、半球形部分を含む。代替的な実施形態では、機能的先端部は尖った部分を有する。他の代替的な実施形態では、機能的先端部は、ナイフのような形状の部分を有する。
【0028】
第1の広範な態様の一部の実施形態に関し、造影用マーカーは反響性(echogenic)マーカーである。一部の実施形態では、造影用マーカーは磁気マーカー(すなわち、磁気共鳴画像法を使用して見えるマーカー)である。
【0029】
本発明の第4の態様の一部の実施形態では、細長い部材はルーメンを規定し、医療機器は、ルーメンから細長い部材の外部の環境への少なくとも1つの開口部を有し、その方法は、さらに、圧力を感知するために流体を使用するステップを含む。いくつかのそのような実施形態では、流体が液体を含む。代替的な実施形態では、流体が気体を含む。他の代替例では、流体は、流れることができる固体粒子を含み、反響性マーカービード(echogenic marker beads)でよい。
【0030】
本発明の第1および第2の広範な態様の一部の実施形態では、機能的先端部のX線不透過性物質は、白金、イリジウム、金、パラジウム、タングステン、またはそれらの合金からなる群から選択される。一部の実施形態では、X線不透過性物質は、約90%の白金および約10%のイリジウムで構成される。代替的な実施形態では、X線不透過性物質は、約92%の白金および約8%のタングステンで構成される。
【0031】
第1の広範な態様の一部の実施形態は、中空のリング形状のバンドである造影用マーカーを含む。代替的な実施形態は、他の幾何学的形状を規定する、または他のシンボルを規定する、コイルの、ディスク形の、矩形の、細長い造影用マーカーを含む。
【0032】
本発明の第1および第2の広範な態様の一部の実施形態は、リング形状の中空バンドであるX線不透過性マーカーを含む。代替的な実施形態は、コイルであるX線不透過性マーカーを含む。
【0033】
本発明の第2の広範な態様の一部の実施形態は、細長い部材の外壁にチャネルを含み、チャネルは、X線不透過性マーカーおよび充填剤を含む。充填剤及び細長い部材の外壁が、一定の外径を規定し得る。充填剤は、空間や間隙を埋めるのに好適なポリマーでよい。
【0034】
第2の広範な態様の一部の実施形態では、X線不透過性マーカーは、金属チューブの遠位端部に配置され得る。
【0035】
第2の広範な態様の一部の実施形態に関し、X線不透過性マーカーは、溝(またはチャネル)によって拘束される係留要素であり、それにより、溝(またはチャネル)は、流れる流体によってX線不透過性マーカーが運び去られないようにする一方、X線不透過性マーカーが溝内で制限された距離動くことができるようにする。代替的な実施形態では、末端部は、X線不透過性マーカーを適所に保持する。他の代替的な実施形態では、細長い部材は、第1の細長い部材の構成要素および第2の細長い部材の構成要素で構成され、第1の細長い部材の構成要素および第2の細長い部材の構成要素が一組となり、X線不透過性マーカーを適所に保持する。
【0036】
第3の広範な態様の一部の実施形態では、チューブの壁に取り付けられた(結合された)X線不透過性マーカーは、丸みを帯びた端部を有し、丸みを帯びていない端部を備えるマーカーと比べて乱流を低減し、それにより、流体の流れの妨害を最小限にする。代替的な実施形態では、X線不透過性マーカーは、堆積材料(すなわち、細長い部材の内表面に堆積された材料)で構成される。いくつかのそのような実施形態では、X線不透過性マーカーは、堆積層マーカーを形成するように噴霧堆積された材料で構成される。
【0037】
本発明の第3の広範な態様の一部の実施形態は、複数の横断要素で構成されているX線不透過性マーカーを含む。複数の横断要素は、格子、スクリーン、十字形のマーカー、またはアスタリスク形のマーカーを規定する。
【0038】
第3の広範な態様の一部の実施形態では、X線不透過性マーカーは、金属チューブの壁の内表面に取り付けられた一対の内部リテーナで構成され、流れる流体によってX線不透過性の係留要素が運び去られないようにするチャネルを規定する一方、X線不透過性の係留要素がチャネル内で制限された距離動くことができるようにする。
【0039】
本発明の第1の広範な態様の一部の実施形態において、造影用マーカーは、造影用マーカー位置において細長い部材の内壁に埋め込まれ、造影用マーカー位置におけるルーメンの直径は、造影用マーカーに隣接するルーメンの直径以上である。代替的な実施形態は、細長い部材の外壁に埋め込まれている造影用マーカーを含み、医療機器の外径が、造影用マーカーによって大きくされない。
【0040】
第1の広範な態様の一部の実施形態は、ルーメンから細長い部材の外部環境への少なくとも1つのラテラルアパーチャ(側面ポート)を含む。いくつかのそのような実施形態は、細長い部材のラテラルアパーチャ(側面ポート)にわずかに重なり合う外側絶縁層を有する。
【0041】
第1の広範な態様の一部の実施形態では、機能的先端部は、細長い部材の外径以下の直径を有する電極を有する。
【0042】
第2の広範な態様の一部の実施形態では、機能的先端部は、電気エネルギーを伝達するように動作可能である。
【0043】
第3の広範な態様の一部の実施形態では、X線不透過性マーカーは、溶接によって金属チューブに取り付けられる。一部の実施形態では、機能的先端部は、金属チューブの遠位端部に融接されたX線不透過性物質を有する。一部の実施形態では、機能的先端部は、X線不透過性物質を有し、かつ機能的先端部のX線不透過性マーカーを規定する。一部の実施形態では、機能的先端部は、少なくともドーム形の部分を有する。
【0044】
第5の広範な態様では、本発明の実施形態は、近位端部および遠位端部を有する金属性の細長い部材であって、実質的に近位端部と遠位端部との間に延在するルーメンを規定し、かつルーメンからの少なくとも1つの開口部を規定する細長い部材と;マーカー位置において細長い部材に関連付けられた造影用マーカーであって、使用時、ルーメンを通る流体の流れが造影用マーカーによって実質的に遮られないように構成された造影用マーカーと、を含む医療機器であって、マーカー位置における機器の外径が、マーカー位置に隣接する機器の外径に実質的に等しい、医療機器を含む。
【0045】
第6の広範な態様では、本発明の実施形態は、近位端部と、遠位端部と、実質的に近位端部と遠位端部との間に延在するルーメンを規定しかつルーメンからの少なくとも1つの開口部/アパーチャを規定する金属チューブとを有する細長い部材;および細長い部材の壁の内表面に結合されて、X線不透過性の係留要素を収容するチャネルを規定する一対の内部リテーナであって、そのリテーナは、ルーメン内を流れる流体によってX線不透過性の係留要素が運び去られないようにする一方、X線不透過性の係留要素がチャネル内で制限された距離動くことができるようにする、内部リテーナを含む医療機器を有する。
【0046】
医療機器の代替的な実施形態では、造影用マーカーは、反響性マーカー、磁気マーカー(すなわち、磁気共鳴画像法を使用して見ることができるマーカー)またはいくつかの他のタイプの造影用マーカーとし得る。従って、本開示の実施形態のいくつかは、X線不透過性マーカーを有するとして説明するが、前記X線不透過性マーカーは、前記反響性マーカー、磁気マーカー(すなわち磁気共鳴画像法を使用して見ることができるマーカー)または他のタイプのマーカーで置き換えるか、またはそれらを追加することができ、それにより代替的な実施形態を生じる。さらに、図面のいくつかでは機能的先端部の端部をドーム形状として示すが、尖ったまたはナイフのような他の形状、これらに限定されるものではないが、としてもよい。
【0047】
ここで図面を具体的に参照すると、図示の事項は例示であり、かつ本発明のいくつかの実施形態を説明するためのものにすぎないことが強調される。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されるまたは図面に示す構成要素の詳細な構成および配置への適用に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態をなすことができる、または様々な方法で実行または実施できる。また、本明細書で用いられる表現および用語は、説明のためであり、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0048】
この説明のために、近位は、使用者の隣または使用者に近いことを示し、遠位は、使用者から遠いことを示す。さらに、本明細書を通して代替的な用語が使用されていて、一般的に、それは通常の括弧、例えば()の使用によって示される。さらに、いくつかの実施形態を、金属、金属性チューブなどと併せて説明したが、同様の材料特性、例えば導電率を示す他の材料も含まれることを留意されたい。
【0049】
図1に、機器20の考えられる1つの一般的な実施形態を示す。機器は、ハンドル1と、シャフトまたは細長い部材2と、細長い部材2の遠位部分4とを含む。電極3を有する機能的先端部が遠位部分4の遠位先端部に関連付けられている。電極3は、エネルギーを伝達するように動作可能である。図1の実施形態は、ドーム形電極3を有するが、代替的な実施形態では、例えば(限定されるものではないが)、尖ったまたはナイフのような、異なる形状の電極3を有してもよい。図1の細長い部材2の内部の詳細は異なり得る。図1の細長い部材2の一例は、遠位電極3に接続されたワイヤを収容したプラスチックシャフトを含み得る。さらに、図1の細長い部材2の代替的な例は、電気絶縁材で被覆された導電性金属チューブを含み得る。さらに他の代替的な実施形態では、細長い部材2は、コイル、組紐、または丸くない導管を含み得る。通常患者に挿入される機器の一部(機器の使用可能な部分)は、一般的に、(限定されるものではないが)細長い部材2および機能的先端部を含む。本開示の実施形態は、細長い部材2の内部に流体を流すためのルーメンを含み、ルーメン(または導管)を通して流体を送達または除去できるか、または圧力感知に使用できるようにする。流体は、気体、液体、または流れることができる固体粒子でよい。反響性マーカービードは、流れ得る固体粒子の例である。遠位先端部の電極は、本発明の任意選択的な特徴であり、一部の代替的な実施形態では見られない。
【0050】
図5を参照して説明すると、本発明の考えられる実施形態は、金属チューブ8で構成されている細長い部材2を含み、この金属チューブは金属端部部材10と電気的に接続されている。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で構成し得る絶縁層5が金属チューブ8と、端部部材10の一部とを被覆し、金属端部部材10の遠位部分は、電極3を規定するために露出したままである。金属チューブ8および金属端部部材10は、限定されるものではないが、ステンレス鋼で構成し得る。端部部材10の遠位端部は、上述の電極3とX線不透過性マーカー6とを含む機能的先端部15を含む。機能的先端部15を生成するのに考えられる方法は、端部部材10の遠位端部内にX線不透過性充填剤(または他のX線不透過性物質)を挿入し、その後、前記遠位端部を融接して、端部部材10の端部においてルーメン9を閉鎖することを含む。X線不透過性充填剤は、白金、イリジウム、金パラジウム、タングステン、または他のX線不透過性金属、またはそれらの合金であってもよく、例えば約90%の白金と約10%のイリジウムの合金、または約92%の白金と約8%のタングステンの合金などを含み得る。絶縁層5を越えて延在する機能的先端部15の部分は、電極3の役目を果たす。融接された材料のX線不透過性部分は、X線不透過性マーカー6を形成する。絶縁層5が遠位部分4に沿ってどれだけ遠位に延在するかによって、絶縁層がX線不透過性マーカー6の一部を被覆できるか、全てを被覆できるか、または全く被覆できないかが決まる。従って、電極3は、X線不透過性マーカー6の一部、または全てを包含できるか、または全く包含できない、のいずれかがあり得る。融接物の内部の金属の構成は、溶接法に関するいくつもの要因に依存して変化し得る。要因のいくつか(全てではないが)は以下を含む:溶接を行うために使用されるX線不透過性充填剤の量およびタイプ、端部部材10の金属の厚さおよびタイプ、エネルギーが材料に加えられる期間、およびエネルギーレベル。
【0051】
この実施形態はまた、ルーメン9、およびルーメンと機器の外側の環境との間で流体が動くためのラテラルアパーチャ(側面ポート開口部)7を含む。ルーメン9は、端部部材10の遠位端部において、機能的先端部15によって遮断(または閉鎖)されている。開口部7は、機能的先端部15よりも細長い部材2の近位端部に近く、それにより、機能的先端部15は、開口部7を通って流れる流体を妨害しない。金属チューブ8および端部部材10を通って電気が電極3に供給され得る。
【0052】
図5の実施形態は、流体が機器のルーメンに出入りし得る開口部(出口ポート)よりも遠位に造影用マーカーを有する本発明の実施形態の例である。この特徴を有する実施形態の他の例は、図2a~2dに示されている。図2aでは、ルーメン9内で考えられる流体の流れの方向は、流れ矢印fで示す。造影用マーカー6は、開口部(側面ポート)7の遠位において細長い部材2の内部に取り付けられる(結合される)。ルーメン9の遠位端部(図示せず)は、様々な考えられる手段のいずれかによって閉鎖されている。造影用マーカー6は、限定されるものではないが、リング形状の中空バンドまたはコイルを含む、様々な形状とし得る。細長い部材2は、プラスチック、他のポリマー、金属、または他の材料で構成し得る。
【0053】
図2bは、細長い部材2の遠位部分4の端部に取り付けられ(結合され)、それによりルーメン9を遮断または閉鎖する造影用マーカー6を含む、機能的先端部15を示す概略的な側面図である。図2bに示す実施形態は、プラスチック、他のポリマー、金属、または他の材料の1つ以上の層/構成要素で構成された遠位部分4のシャフトを有し得る。造影用マーカー6は、X線不透過性、反響性、磁気マーカー(すなわち、磁気共鳴画像法を使用すると見えるマーカー)としてもよいし、または別のタイプのマーカーとしてもよい。マーカー6は開口部7よりも遠位にあり、それにより、流体は、マーカー6によって妨害されることなく開口部7から出ることができる。金属シャフトを有する図2aおよび図2bの実施形態は、一般に、医療機器20においては、このシャフトの上側に絶縁層5(図示せず)を有する。
【0054】
図2cは、遠位部分4がプラスチックチューブで構成されている実施形態を示す。機能的先端部15は、遠位部分4の端部でルーメン9を閉鎖する。絶縁された導線11が機能的先端部15に接続され、それにより、エネルギーを電極3に伝達できる。機能的先端部15(マーカー6を含む)は、例えば、限定されるものではないが、接着、またはかみ合いねじ山(mating threads)の係合を含むいくつもの方法を使用して、遠位部分4のシャフトに取り付けることができる。ルーメン9はまた、異なる目的のためのワイヤ、例えば、光ファイバーワイヤまたは圧力感知に使用するためのワイヤを含み得る。
【0055】
図2dは、金属チューブおよび絶縁層5を含む遠位部分4を有する実施形態を示す。ルーメン9は、端部マーカー6を有する融接された機能的先端部15によって閉鎖されている。マーカー6は、ラテラルアパーチャ(側面ポート開口部)7よりも遠位にある。この実施形態の融接物は、図5の実施形態の代替的な溶接形状を有する。
【0056】
図10a~10dに、図2dの実施形態と同様の追加的な実施形態のいくつかの図を示す。図は、機能的先端部15の電極3およびマーカー6、アパーチャ7、ルーメン9、および絶縁層5を含む。
【0057】
図11a~11gに、図2dの実施形態と同様の別の実施形態を示し、この実施形態は、細長い部材2、電極3、絶縁層5、アパーチャ7、金属チューブ12、および機能的先端部15を含む。これらの図に含まれる破断線および破線は、機器の長さが不確定であることを示す。図11aおよび図11bは、この実施形態では、絶縁層5がラテラルアパーチャ7(側面ポート7)の周りで金属チューブ12にわずかに重なり合うことを示す。絶縁層5を金属チューブ12に重ね合わせることによって、アパーチャ7にある金属を露出させないようにし、それにより導電性金属が周囲組織と接触しないようにする。重ね合わせはまた、アパーチャ7を通る漏電電流を減少させる。図7は、長手方向に細長いラテラルアパーチャ7を示し、これは、細長いラテラルアパーチャ7の高さと同様の直径を有する丸形のアパーチャと比べて(すなわち直径が短い)、流体の流れを高めている。
【0058】
図3a~3iに見られる実施形態は、造影用マーキングが細長い部材の壁に埋め込まれている本発明の実施形態の例である。図3aは、マーカー6が細長い部材2の壁の内面に埋め込まれ、それにより、流体が、妨害されることなくルーメン9を通って流れることができ、かつ細長い部材2の外径が大きくならない実施形態の例である。マーカー6は、オーバーモールディングなどの異なる技術を使用して内壁に埋め込まれ得る。図3bは、マーカー6が細長い部材2の外壁に埋め込まれ、それにより、流体が、妨害されることなくルーメン9を通って流れることができ、かつ細長い部材2の外径は大きくならない実施形態の例である。造影用マーカー6は、限定されるものではないが、リング形状の中空バンドまたはコイルを含む異なる形状とし得る。代替的な実施形態は、他の幾何学的形状を規定するかまたはシンボルを規定する、ディスク形状、矩形、および細長い造影用マーカーを含む。
【0059】
図3aおよび図3bの実施形態において、細長い部材2は、プラスチック、他のポリマー、金属、または他の材料の1つ以上の層/構成要素で構成され得る。マーカーは、全て金属または実質的に(ほとんどが)金属とし得る壁に埋め込まれる。例えば、マーカーを収容している壁は、図3bの収容壁が電気絶縁材の層で被覆されているように、ポリマーの比較的薄い層で被覆され得る。全ての金属は、ある程度X線不透過性があるため、X線不透過性マーカーが適切に機能するためには、金属チューブよりも大きなX線不透過性を有する必要がある。概して、X線不透過性マーカーを有する機器の任意の実施形態において、X線不透過性マーカーは、細長い部材2を構成するどんな材料よりもX線不透過性が大きい材料で構成し得る。図3aおよび図3bでは、ルーメン9の遠位端部は開放している。金属シャフトを有する図3aおよび図3bの実施形態は、任意選択的に絶縁層5(図示せず)を有し得る。
【0060】
図3jは、図3bと同様の実施形態の例であり、同様に、細長い部材2の外壁に埋め込まれているマーカー6を含み、それにより、流体は、妨害されることなくルーメン9を通って流れることができる。図3jの実施形態の場合には、マーカー6は、溝(またはチャネル)25の内部にある。チャネル25の空間が、マーカー6に必要な空間よりも大きい場合、充填剤26を使用して余分な空間を満たし、かつ一定の外径を形成し得る。溝(またはチャネル)25は、細長い部材2に切り込んで作られ、マーカー6がその内部に載置されるとき、充填剤26は、外径の外形を滑らかにし得る。充填剤は、空間または間隙を埋めるのに好適なポリマーでもよい。
【0061】
図3jの実施形態を作製する一方法は、細長い部材2が基材チューブであり、以下の1)~5)を有する。1)心なし研削などのプロセスを使用して基材チューブ(例えばHDPE-高密度ポリエチレン)の壁の外面を選択的に小さくし、それにより溝(またはチャネル)25を規定する;2)ルーメンを保持し、かつ支持するために、基材チューブを金属マンドレル上に載せる;3)薄肉のPt(白金)バンドマーカー6を基材チューブ上及びチャネル25内にかしめ加工する;4)溝(またはチャネル)25の残りの空間にリフローさせることによって充填剤26材料(例えばTecoflex(登録商標))を取り込む(任意選択的にヒートシュリンクを使用して充填剤26を取り込む);および5)マンドレルからアセンブリを除去し、かつヒートシュリンクが使用された場合にはそれを除去する。ヒートシュリンクは、マーカー位置における機器の外のり寸法が、マーカーに隣接する機器の外のり寸法と同じであるようにすることを支援し得る。
【0062】
あるいは、他の材料が図3jの実施形態において使用可能である。例えば、細長い部材2は金属で構成され、かつバンドマーカー6はX線不透過性ポリマー材料で構成され、この材料は、延伸されて溝(またはチャネル)25に組み込まれ得る。
【0063】
図3cおよび図3dは、マーカー6が、閉鎖端部を有する金属チューブ12に埋め込まれる実施形態を示す。細長い部材はまた、絶縁層5を有する。図3cは、チューブの側壁および遠位端部の囲いを含む金属チューブ12を示し、その金属チューブは連続的な(すなわち別個の構成要素ではない)かつ実質的に一定の厚さを有する、例えば、ハイポチューブ(hypotube)である。図3dは、融接によって閉鎖された金属チューブ12を示す。図3cおよび図3dの双方において、埋め込まれた内部マーカー6は、開口部(側面ポート)7を流れる流体を妨害しない。図3dの実施形態は、内部ルーメンマーカー6および端部マーカー6の双方を有する。
【0064】
図3eおよび図3fは、それぞれ対応する図3aおよび図3bの実施形態と同様である実施形態を示し、図3eおよび図3fの実施形態は、シャフトまたは細長い部材2の遠位端部に埋め込まれたマーカー6を有する点で異なる。
【0065】
図3gは、ルーメン9を規定する壁の表面に固定式に取り付けられていないが、その代わりに壁に対して制限されて動くことができる内部マーカー6を有する。マーカー6の少なくとも一部は、細長い部材2の壁の内表面の溝(またはチャネル)25内に含まれている。マーカー6は、ルーメン9を通過する流体によって、溝25内で制限された距離動くことができる。この実施形態において、マーカー6は、溝25によって、流れる流体により運び去られないようにするため、係留要素マーカーと称し得る。先の実施形態と同様に、細長い部材2は、例えば、絶縁材で被覆された金属を有する、異なる層および構成要素を有してもよい。
【0066】
図3hは、末端部21が追加された、図3eの実施形態と同様の実施形態を示す。末端部21は、マーカー6を適所に保持し得るし、および/またはマーカー6は、例えば、溶接または接着などの代替的な手段によって適所に保持され得る。末端部21はさらに、例えば、滑らかな端面を提供するなど、追加的な/代替的な機能を有し得る。
【0067】
図3iは、細長い部材の第2の構成要素22を追加する実施形態を開示する。第2の構成要素22は、細長い部材2の第1の構成要素と連結し、かつマーカー6を適所に保持し得るか、および/またはマーカー6は、例えば、溶接または接着などの代替的な手段によって適所に保持され得る。一部の実施形態では、第2の構成要素22は、細長い部材2の比較的大きい第1の部分への延長部分とし得る。他の実施形態では、第2の構成要素22は細長い部材2の第2の部分であってもよく、そのときの細長い部材2は、第1の構成要素または、第2の構成要素22と同等のサイズ(またはおそらくそれよりも小さい)部分を有する。
【0068】
図3a~3iの代替的な実施形態は、適切なタイプの撮像系および撮像法と共に使用するために、X線不透過性マーカーに加えてまたはその代わりに、他のタイプの造影用マーカー、例えば反響性マーカーまたは磁気マーカー(すなわち磁気共鳴画像法を使用して見えるマーカー)を有していてもよい。
【0069】
図4a~4eに見られる実施形態は、以下に述べる本発明の実施形態の例である。すなわち、これらの実施形態では、造影用マーカーが、細長い部材の壁(金属性チューブとし得る)の内表面に取り付けられ(結合される)、さらに、ルーメン9内の流体の流れに対する影響または妨害は最小限である。遠位部分4を含む細長い部材2は、プラスチック、他のポリマー、金属、または他の材料の1つ以上の層/構成要素で構成され得る。金属シャフトを有する実施形態は、絶縁層5を有し得る。図4aは、リング形状のバンドマーカー6が細長い部材2の内壁に結合され、それにより、流体がルーメン9を通って流れることができ、かつ細長い部材の外径が大きくならない実施形態の例である。ルーメンの直径は、バンドマーカー6が存在する、ルーメンの比較的短い長さ部分に関してのみ、小さくなる。マーカーの丸みを帯びた端部13は、乱流を減らすことができ、それにより流体の流れの妨害を最小限にする。代替的な実施形態では、マーカー6はコイルとし得る。ルーメン9の遠位端部は、図4aおよび図4bの実施形態では開放している。説明のために、マーカーは、実際の実施形態において必要とされるよりも、この図では(細長い部材に対して)厚みがあるものとして示す。
【0070】
図4aの実施形態は、マーカーをシャフトの外面に付加する場合と対比し得る。マーカーがシャフトの外面に取り付けられるときに、マーカーの取り付け位置における外側の機器の直径を同じに維持するために、シャフトの外径サイズを小さくしてマーカーの厚さを補償する必要があり、これにより、ルーメンの直径を小さくして流体の流れを妨げる。仮想的な例は、この点を示し得る。仮想的なシャフトが10単位の外径を有し、かつ1単位の壁厚さを有する場合、ルーメンの直径が8単位となる。1単位の厚さのマーカーバンドが外側に取り付けられる場合(シャフトの曲げまたはクリンピングがなく)、10単位の全外径を同じく維持するには(機器を、身体の脈管などの特定の通路を通って前進させることができるようにするために)、シャフトの全長においてシャフトの外径を8単位に、およびルーメンの直径を6単位に低減させることが必要であり(共通の製造実施を利用して)、それにより、所与の圧力でルーメンを流れ得る流体の量を著しく減少させる。好都合にも、上記で説明した実施形態のように、シャフトのルーメン内に1単位の厚さのマーカーバンドを組み込むことにより、マーカーバンドがある長さの部分(すなわち、比較的短い距離)のみ、ルーメンの直径が6単位に低減するが、シャフトの全長に対するルーメンの直径の減少と比較すると、所与の圧力で流れる流体の体積に対する影響ははるかに少ない。
【0071】
図4bは、マーカーが、堆積層マーカー14を形成する噴霧堆積などの方法によって、細長い部材2の内壁面に堆積された材料で構成される実施形態の例である。図4aの実施形態と同様に、堆積層マーカー14は、著しく妨害することなく、流体がルーメン9を通って流れることができるようにし、さらに細長い部材2の外径を大きくしない。ルーメンの内側に材料を堆積する他の方法は、(ルーメンを規定する)内面へのX線不透過性物質の電気めっきおよびスパッタ堆積(物理蒸着法)を含み、これらの方法により内部バンドマーカーまたは内面が生成される。
【0072】
図4cの実施形態は、閉鎖端部を有する金属チューブ12の内壁に結合されたマーカー6を示す。流体は、マーカーにより著しく妨害されることなく、ルーメン9を通って流れ、開口部(出口ポート)7から出ることができ、細長い部材2の外径は大きくならない。
【0073】
図4dは、遠位部分4の内壁に取り付けられたマーカー6と、遠位部分4の端部においてルーメン9を閉鎖(または遮断)する機能的先端部15とを示す。流体は、著しく妨害されずに、ルーメン9を通って流れ、開口部7から出ることができ、かつ細長い部材2の外径は大きくならない。図4dの実施形態の機能的先端部15は、マーカーを含んでもまたは含まなくてもよい。図4a~4eの実施形態はいずれも、機器の壁にマーカー6または14が部分的に埋め込まれる一方で、一部のマーカーは埋め込まないように、変形させることが可能である。
【0074】
図4eは、機器のルーメン内に配置された複数の横断要素を含むマーカー6を備える実施形態を開示する。図4eの実施形態は、格子としてマーカー6を示すが、代替的な実施形態では、マーカー6は、スクリーン、十字形のマーカー(すなわち2つの線形の遮断要素)、アスタリスク形のマーカー、または複数の横断要素を有する他の構成を含み得る。横断要素は、流体がルーメンを流れることができるようにする一方、医療機器20の残りの部分と明確に区別して、画像で見ることができる。この実施形態に関し、マーカー6は、細長い部材2の内壁の表面に取り付けられるか、または少なくとも部分的に埋め込まれるかのいずれかとし得る。
【0075】
図4fは、ルーメン9を規定する壁の表面に固定式に取り付けられていないが、その代わりに、壁に対して制限されて動くことができる内部マーカー6を含む機器を示す。マーカー6は、細長い部材2の壁の内表面に取り付けられた一対の内部リテーナ24によって拘束されている。マーカー6は、ルーメン9を通過する流体によって、内部リテーナ24間の制限された距離を動くことができる。図4fでは、壁の表面に取り付けられている別個の部分として内部リテーナ24を示すが、代替的な実施形態では、内部リテーナ24は、壁と一体的に形成でき、かつそこから突出する。
【0076】
図6aおよび図6bは、ルーメン9内へのマーカー6の位置取りと、チューブ状構成要素16のルーメン内の適所にマーカー6を固定する1つまたは複数の接合部19とを示す。以下を含む様々な手段を使用してマーカー6を適所に固定できる: -チューブ状構成要素16の外面を加熱することによる溶接、 -接着剤またはエポキシ、 -チューブ状構成要素16を覆う、またはバンド付近の外面の機械的変形(クリンピング)、 -内部溶接(非常に小さい溶接機、または光ファイバーレーザー溶接システムによる)、 -締り嵌め(サイズが大きすぎるリング形状のバンドマーカー6を適所に押し込む)、 -焼かん合(熱によって外側チューブ(チューブ状構成要素16)を膨張させ、かつ内部バンドマーカー6を、冷却することにより収縮させて、バンドマーカーを適所に摺動させ、かつ内部バンドマーカーが暖まる間に外側チューブを冷却させる)、 -適合性材料による外部/内部磁石、および -チューブの内径および内部構成要素の外径にねじ山をつけ(チューブの軸に平行に)、その後嵌め込むことによる。
【0077】
図7および図8は、一部の実施形態の端部マーカーを作製するための融接法を示す。図7は、溶接前の基本的構成要素を示す。図7aおよび図7bは、チューブ状構成要素16のルーメンの端部に充填剤として中空マーカー17を使用する実施形態の側面図および端面図を示す。図7cおよび図7dは、別のチューブ状構成要素16のルーメンの端部に充填剤として中実マーカー18を使用する別の実施形態の側面図および端面図を示す。充填剤の材料は、それをX線不透過性マーカーとして使用する場合には、結合相手であるチューブ状構成要素16の材料よりも大きなX線不透過性が必要である。図8は、溶接後の機器を示し、図8aおよび図8bは、図7aの中空マーカー17とチューブ状構成要素16の端部とから形成された融接部を有する機能的先端部15の側面図および端面図を示す。図8cおよび図8dは、図7cの中実マーカー18とチューブ状構成要素16の端部とから形成された融接を有する機能的先端部15の側面図および端面図を示す。レーザーを使用してエネルギーを供給し、ドーム形の機能的先端部15を作製してもよい。最終的な融接部の構成は、いくつもの溶接要因に依存して変化してもよく、これら要因のいくつかは以下を含む:X線不透過性充填剤の量およびタイプ、チューブ状構成要素16の金属の厚さおよびタイプ、溶接時間、およびエネルギー強度。
【0078】
図6~8に示すような基本的構成要素による構成は、これとは異なる構成とすることも可能であるため、本発明の実施形態を限定するものととられるべきではない。例えば、以下のような形態が可能である。つまり、実施形態が、尖頭的であるかまたは尖頭的でないかのいずれかの尖った先端部、またはナイフ状の先端部を有していてもよいし、または実施形態が、ルーメンの遠位端部に配置された内部中空マーカーを有していてもよいし、または端部が、溶接された閉鎖部ではない。
【0079】
上述の融接プロセスに考えられるいくつかの選択肢は、充填剤とし得るような、異なる材料(プラスチック、金属など)で作製されているチューブ状構成要素16を含む。溶接前、充填剤は、異なる形状を有することができ、かつチューブ状構成要素16の内径にぴったりと合う必要はない。充填剤は、単一部片または部品、あるいは、複数の部片または部品でよく、複数の部片または部品には、粉体程度の小ささの粒子を含む。
【0080】
本開示の医療機器は、患者の体の標的位置にチャネルを形成する無線周波数(RF)エネルギー源と共に使用し得る。そのような一実施形態は:a)細長い部材2および遠位端部の機能的先端部15を有する医療機器20を、患者の脈管構造に導入するステップ、b)画像化用の機能的先端部15のX線不透過性マーカー6を使用して、脈管構造内を通して細長い部材2を前進させ、それにより、機能的先端部15(電極3を有する)を操縦し得るステップ、c)機能的先端部15の電極3(エネルギーを伝達するように動作可能である)を標的位置に位置決めするステップ、およびd)電極3によって電気エネルギーを伝達して、チャネルを形成するステップを含む。
【0081】
開口部(アパーチャ)7を使用して、流体を細長い部材2のルーメン9から標的位置へ送達できる。一部の実施形態では、機能的先端部15によって閉鎖されたルーメン9の遠位端部を有すること、および側面ポートである開口部7(図5にあるような)を有することは、組織のコアリングを回避するのを助ける。この実施形態は、細長い部材の外径よりも小さい直径を有する機能的先端部15を含み、細長い部材が脈管構造内を通って前進するのを容易にするかまたは促す、すなわち、機器の外径を大きくすることは前進をより困難にするが、機能的先端部は機器の外径を大きくさせない。任意選択的に、標的位置に伝達されるエネルギーは、無線周波数の電気エネルギーとし得る。代替的な実施形態では、機能的先端部15は、代替的な医療画像法、例えば、超音波または磁気共鳴下で見ることができる部分を有し得る。
【0082】
開示の医療機器を使用する方法の具体的な一実施形態では、例えば図9Aおよび図9Bに示すように、標的部位は、患者の心臓内にある組織、例えば心臓の心房中隔を含み得る。そのような実施形態では、標的部位は、下大静脈(IVC)を経由して、例えば大腿静脈を通ってアクセスされ、前記アクセスは、医療機器20(または無線周波数穿孔装置(radiofrequency perforation apparatus)20)を前進させる最中に機能的先端部15のマーカー6を画像化することによって容易にされ得る。この実施形態では、画像で見ることができる機能的先端部15であって、医療機器の他の部分とは視覚的に明確に区別できる機能的先端部15を含む医療機器20を提供することが含まれる。
【0083】
そのような一実施形態では、想定される使用者は、ガイドワイヤを大腿静脈、一般に右大腿静脈に導入し、それを心臓の方へ進める。その後、ガイディングシース30、例えば米国特許出願第10/666,288号明細書(2003年9月10日出願)(その全体を参照することにより本願明細書に援用する)に記載されているようなシースを、ガイドワイヤを覆うようにして大腿静脈に導入し、心臓の方へ進める。その後、ガイドワイヤの遠位端部およびシース30を上大静脈に位置決めする。これらのステップは、マーカー6に適した撮像系の助けによって実施し得る。シース30が適所にあるとき、拡張器28、例えばTorFlex(商標)Transseptal Dilator(Baylis Medical Company Inc.(Montreal、Canada))、または米国特許出願第11/727,382号明細書(2007年3月26日出願)(その全体を参照することにより本願明細書に援用する)に記載されているような拡張器を、シース30で、ガイドワイヤを覆うようにして導入して、シースを通って上大静脈まで前進させる。シース30は、例えば、実質的に硬い拡張器を含む実施形態において、拡張器28が脈管壁(vessel wall)を損傷させないようにまたは穿孔しないような助けとなり得る。あるいは、拡張器28は、体内に入る前にシース30に全体的に挿入されて、それら両方が一緒に心臓まで同時に進められるようにしてもよい。ガイドワイヤ、シース30、および拡張器28を上大静脈に位置決めしたら、ガイドワイヤは体から取り除かれて、シースおよび拡張器はわずかに後退し、それらが心臓の右心房に入るようにする。その後、電気外科的機器、例えば上記で説明した無線周波数穿孔装置20を拡張器のルーメンに導入し、心臓の方へ進める。
【0084】
この実施形態では、電気外科的機器を拡張器28に挿入後、使用者は、拡張器の遠位端部を心房中隔32に接するように位置決めし得る。その後、機能的先端部15のマーカー6の画像を使用して電気外科的機器を位置決めし、電極3が拡張器28の遠位端部と位置合わせされるかまたはそこからわずかに突出するようにするが、拡張器内には後退しないようにする。拡張器28および医療機器20は、機能的先端部15のマーカー6の画像を使用して、心房中隔32に沿って引きずられて(dragged)、例えば心房中隔の卵円窩に対して位置決めされる。様々な追加的なステップを実施し得る。追加的なステップとは、例えば標的部位の1つ以上の特性を測定するステップまたは標的部位に材料を伝達するステップがあり、前者の例としては、電位図またはECG(心電図)のトレースおよび/または圧力測定があり、後者の例としては、1つまたは複数のアパーチャ7および/または開放している遠位端部を通して造影剤を伝達するステップがある。そのようなステップは、所望の標的部位へ電極3を局部的に集中させることを助けるかもしれない。さらに、医療機器20(無線周波数穿孔装置20)によってもたらされる触覚フィードバックが、所望の標的部位への電極3の位置決めを容易にするために使用可能である。術者は、機能的先端部15を心臓まで上方に前進させるとき、および心房中隔32の表面に沿って引きずられ、かつ卵円窩の溝に位置決めされるとき、機能的先端部15の位置を視覚的に監視できる。
【0085】
電気外科的機器および標的部位に位置決めされた拡張器を用いて、エネルギーがエネルギー源から医療機器20(無線周波数穿孔装置20)を通って標的部位まで送達される。例えば、無線周波数穿孔装置20が使用される場合、エネルギーは、細長い部材2を通って電極3へ、および標的部位の組織に送達される。一部の実施形態では、エネルギーは、少なくとも約75V(ピークとピークの間)の電圧で少なくとも約5Wのパワーで伝達され、かつ電極の近くにある細胞を蒸発させるように機能し、それにより、標的部位の組織を通るボイドまたは穿孔を形成する。上記で説明したように下大静脈を経由して心臓に到達した場合、使用者は、エネルギーが伝達されているとき、実質的に頭側の方向へ、電気外科的機器のハンドル1に対して力を加える。その後、その力は、ハンドルから無線周波数穿孔装置20の遠位部分4に伝達され、遠位部分4が少なくとも部分的に穿孔を通って前進する。これらの実施形態では、遠位部分4が標的組織を通過したら、すなわち、左心房に達したとき、エネルギーの伝達は停止される。一部の実施形態では、エネルギーを伝達するステップは、約1秒~約5秒の期間にわたって発生する。
【0086】
開示の医療機器を使用する方法の一部の実施形態は、実質的にX線不透過性拡張器内で見ることができる機能的先端部15を備える医療機器20を使用することを含む。機能的先端部15は、X線透視法下で見ることができる十分なX線不透過性を備える先端部マーカー6を含む。医療機器20は、X線透視法下で見ることができるX線不透過性拡張器と共に使用し得るが、先端部マーカー6はその内部にあるときにも見ることができるようにする。拡張器の実質的にほとんど、または全て、またはその遠位部分のみをX線不透過性とすることができる。そのような適合性拡張器と一緒に先端部マーカー6を使用することにより、医師は、拡張器の端部に対して機能的先端部15を位置決めできる。例えば、医師は、医療機器20の先端部を所望の時点でのみ拡張器28から確実に突出させ得る。X線透視法を使用して、経中隔(transseptal)処置を実施することによって、X線不透過性拡張器は、横断する前に中隔に対して位置決めでき、かつ医師は、医療機器の先端部を拡張器に維持できる。機能的先端部15は拡張器28内においても見ることができるため、中隔を越えて横断させようとする直前に、拡張器の先端部のちょうど内側に位置決めできる。医師が横断させようと選択するときにのみ、無線周波数穿孔装置20の電極3は、拡張器から延出させる必要がある。医師は、必要となる前に機能的先端部15を不注意に拡張器の端部を越えて延在させないようにし得る。
【0087】
X線不透過性先端部を有する無線周波数穿孔装置20および拡張器28は、その先端部が可視性を高めかつ医師がうまく制御できるようにするため、X線不透過性マーカーを備えるカテーテルと共に使用し得ることも可能である。
【0088】
上記で説明したように、医療機器は、患者の体内に挿入可能な医療機器の一部分の可視化が改善されている一方で、機器のルーメンを流れる流体の妨害を最小限にし、可視化の改善をもたらす特徴に起因する機器の外径の増大を最小限にすることが開示されている。機器は、例えば、ルーメンの開口部(出口ポート)より遠位の造影用マーカーを含み得るか、または、機器がチューブ、例えば金属性チューブを含む場合、造影用マーカーはチューブの壁に埋め込まれる。代替的な実施形態は、実質的にマーカーを埋め込むことなく、医療機器のルーメンの内側の表面にマーカーを取り付けることを含む。そのような機器を使用する様々な代替的な実施形態、方法、および適用も開示される。
【0089】
本明細書では述べない、機器および方法に関する追加的な詳細は、2007年10月1日出願の米国特許出願第11/905,447号明細書、2007年5月23日出願の米国特許出願第13/113,326号明細書、2005年11月3日出願の米国特許出願第11/265,304号明細書(現在は、米国特許第7,947,040号明細書)、2003年9月19日出願の米国特許出願第。10/666,301号明細書(現在は米国特許第7,048,733号明細書として発行)、2004年1月21日出願の米国特許出願第10/760,479号明細書(現在は米国特許第7,270,662号明細書として発行)、2003年9月19日出願の米国特許出願第10/666,288号明細書、2003年1月21日出願の米国特許出願第10/347,366号明細書(現在は米国特許第7,112,197号明細書として発行)、2004年11月3日出願の米国仮特許出願第60/522,753号明細書、および2007年1月10日出願の米国仮特許出願第60/884,285号明細書および2006年9月29日出願の同第60/827,452号明細書に見出され得る。それら上述の出願および特許の全ての内容を、それら全体を参照することにより本願明細書に援用する。
【0090】
上述の本発明の実施形態は、例示にすぎない。それゆえ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
【0091】
当然のことながら、明白にするために、別個の実施形態の文脈で説明した本発明のいくつかの特徴はまた、単一の実施形態に組み合わせて提供され得る。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明された本発明の様々な特徴はまた、別個に提供されても、または任意の好適なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0092】
本発明を、その具体的な実施形態と併せて説明したが、多くの代替例、修正例および変形例が当業者には明白であることが明らかである。従って、添付の特許請求の広範な範囲内にあるそのような代替例、修正例および変形例を全て含むものとする。本明細書で述べた全ての出版物、特許および特許出願は、個々の出版物、特許または特許出願が、具体的におよび個別に、参照することにより本願明細書に援用されると示されたのと同じ程度で、それら全体を本明細書に参照することにより本書に援用する。さらに、本明細書での任意の参照文献の引用または特定は、そのような参照文献が本発明の先行技術として利用可能であることを承認するとみなさるものではない。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図3i
図3j
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図11f
図11g