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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】アンテナ、および無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/25 20150101AFI20240730BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01Q5/25
H01Q9/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023061856
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2018177615の分割
【原出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2023082198
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 博之
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/015684(WO,A1)
【文献】特開平09-223921(JP,A)
【文献】特開昭57-142003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0194160(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0036572(US,A1)
【文献】国際公開第2009/025040(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/25
H01Q 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状導体の長手方向の途中に複数の等しい形状の球状導体を有する第1のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子の前記線状導体の一端の外側近傍で前記線状導体の前記長手方向の中心線の延長上の点を通る仮想的な平面を対称面として前記第1のアンテナ素子と面対称である第2のアンテナ素子とを備えたアンテナであって、
前記第1、第2のアンテナ素子を構成するそれぞれの複数の前記球状導体のうち、前記対称面から最も遠い前記球状導体の前記対称面とは反対側に、前記線状導体が突出しており、前記突出した前記線状導体の長さが調整されることで前記アンテナの共振周波数が調整されることを特徴とし、
前記第1のアンテナ素子を構成する複数の前記球状導体のうち、少なくとも1つ以外の前記球状導体の前記長手方向と垂直で前記球状導体の中心を通る断面の円周どうしを導体面で覆い、
前記第2のアンテナ素子は、前記対称面で前記第1のアンテナ素子と面対称である
アンテナ。
【請求項2】
線状導体の長手方向の途中に複数の等しい形状の球状導体を有する第1のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子の前記線状導体の一端の外側近傍で前記線状導体の前記長手方向の中心線の延長上の点を対称の中心として前記第1のアンテナ素子と点対称である第2のアンテナ素子とを備えたアンテナであって、
前記第1、第2のアンテナ素子を構成するそれぞれの複数の前記球状導体のうち、前記対称の中心から最も遠い前記球状導体の前記対称の中心とは反対側に、前記線状導体が突出しており、前記突出した前記線状導体の長さが調整されることで前記アンテナの共振周波数が調整されることを特徴とし、
前記第1のアンテナ素子を構成する複数の前記球状導体のうち、2つ以上の前記球状導体の前記長手方向と垂直で前記球状導体の中心を通る断面の円周どうしを導体面で覆い、
前記第2のアンテナ素子は、前記対称の中心で前記第1のアンテナ素子と点対称である
アンテナ。
【請求項3】
前記球状導体は、中空であることを特徴とする請求項1又は請求項に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記球状導体は、球体の樹脂の表面に導体のめっきを施したことを特徴とする請求項1又は請求項に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1のアンテナ素子の前記点の近傍側の一端と、前記第2のアンテナ素子の前記点の近傍側の一端との間に高周波電力を印加することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項6】
前記第1のアンテナ素子の前記点の近傍側の一端と、前記第2のアンテナ素子の前記点の近傍側の一端とは電気的に導通し、他のアンテナと電磁気的に結合する請求項1乃至請求項のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のアンテナと、
前記アンテナに接続される無線通信機とを備えることを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ、および無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、実用化が進んでいるソフトウェア(software)無線技術を用いた無線通信システムは、様々な周波数や広い帯域幅に対応する必要がある。そのために、無線通信システムが使用する周波数帯を、アンテナが共振可能な複数の周波数帯に分割し、それぞれの周波数帯ごとにアンテナを用意して、アンテナを切替えることが行われている。このようにすると、分割した周波数帯の数だけアンテナが必要となる。更に、アンテナを切替えるために、アンテナ切替え制御機器が必要となり、無線通信システム全体の規模が大きくなる問題があった。
【0003】
そこで、無線通信システムの周波数帯の分割数を少なくするために、アンテナの共振周波数の広帯域化が望まれている。
【0004】
特許文献1には、アンテナの広帯域化技術の一例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-325147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1は、線状の導体と磁性体チップアンテナ(chip antenna)の組み合わせによって、広帯域化を図っている。この構成の場合、アンテナの共振周波数を決定するのは、磁性体チップの形状と磁性体チップを連結する線状の導体の長さであるため、共振周波数の微調整が行いづらくなっている。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、共振周波数の微調整が容易で、広い周波数帯域で使用可能なアンテナ、およびこの様なアンテナを備える無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のアンテナは、線状導体の長手方向の途中に複数の等しい形状の球状導体を有する第1のアンテナ素子と、前記第1のアンテナ素子の前記線状導体の一端の外側近傍で前記線状導体の前記長手方向の中心線の延長上の点を通る仮想的な平面を対称面として前記第1のアンテナ素子と面対称である第2のアンテナ素子とを備える。
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、線状導体の長手方向の途中に複数の等しい形状の球状導体を有する第1のアンテナ素子と、前記第1のアンテナ素子の前記線状導体の一端の外側近傍で前記線状導体の前記長手方向の中心線の延長上の点を通る仮想的な平面を対称面として前記第1のアンテナ素子と面対称である第2のアンテナ素子とを備えるアンテナと、前記アンテナに接続される無線通信機とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、共振周波数の微調整が容易で、広い周波数帯域で使用可能なアンテナ、およびこの様なアンテナを備える無線通信システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図3】第2の実施形態の構成例を示す図である。
図4】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図5】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図6】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図7】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図8】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図9】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図10】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図11】第2の実施形態の構成例を示す図である。
図12】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図13】第2の実施形態の動作を説明する図である。
図14】一般的なダイポールアンテナの構成例を示す図である。
図15】一般的なダイポールアンテナの特性を示す図である。
図16】一般的なダイポールアンテナの特性を示す図である。
図17】第3の実施形態の構成例を示す図である。
図18】第3の実施形態の動作を説明する図である。
図19】第3の実施形態の動作を説明する図である。
図20】第2の実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1に第1の実施形態の構成を示す。
【0014】
本実施形態のアンテナ100は、第1のアンテナ素子10と第2のアンテナ素子20とを備える。第1のアンテナ素子10は、線状導体11の長手方向の途中に複数の等しい形状の球状導体12を有する。また、第2のアンテナ素子20は、前記第1のアンテナ素子10の前記線状導体11の一端の外側近傍で前記線状導体11の前記長手方向の中心線の延長上の点31を通る平面を対称面32として前記第1のアンテナ素子10と面対称である。
【0015】
上記の構成のアンテナ100では、高周波電流は球状導体12の表面と、外観として見える線状導体11に流れる。球状導体12の内部に隠れる線状導体11には、高周波電流はほとんど流れない。
【0016】
この様な構成とすることで、本実施形態のアンテナ100は、一般的に用いられるダイポールアンテナ(dipole antenna)と比べて広い帯域の周波数で使用可能となる。
【0017】
ここで、アンテナの電気長Lは、共振周波数fと、次の関係がある。但し、cは光速である。
【0018】
f=c/(2×L)
アンテナの電気長は球状導体12の数に比例して段階的に変化するが、本実施形態のアンテナ100は、球状導体12が連なる外側に線状導体11の一部が突出している。そのため、この突出部分の長さを調整することによって、アンテナ100の共振周波数の微調整が容易に可能となっている。
【0019】
以上説明した様に、本実施形態のアンテナ100は、共振周波数の微調整が容易で、広い周波数帯域で使用可能なアンテナを実現することができる。
[第1の実施形態の変形例]
尚、図2に示すアンテナ110の様に、第1のアンテナ素子10と第2のアンテナ素子20が、一直線上に配置されることも当然可能である。
【0020】
アンテナ110の場合、第2のアンテナ素子20は、第1のアンテナ素子10の線状導体11の一端の外側近傍で線状導体11の長手方向の中心線の延長上の点31を対象の中心として、点対称であると表現してもよい。
【0021】
アンテナ110はアンテナ100と比べて、基本的なダイポールアンテナに類似した形状であるので、自然な形状ともいえる。そこで、以下の実施形態では、第1の実施形態の構成をアンテナ110として記載するが、アンテナ100の様な形状であっても本質的な効果は変わらない。
【0022】
尚、球状導体12は中空であってもよく、プラスチック(plastic)などの樹脂で形成される球体の表面に、金、銀、銅などの導体のめっきを施したものであってもよい。いずれの場合も、アンテナの使用周波数における表皮効果を考慮して、損失が小さくなる様に充分な導体の厚みとする。また、いずれの場合も、線状導体11は、球状導体12の導体表面同士を接続していればよく、球状導体12の内部で接続されている必要はない。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態のアンテナ200について、図3乃至図13を参照して説明する。
[構成の説明]
図3に、第2の実施形態のアンテナ200の構成を示す。
【0023】
第2の実施形態のアンテナ200は、第1の実施形態のアンテナ110の第1のアンテナ素子10の点31の近傍側の一端と、第2のアンテナ素子20の点31の近傍側の一端との間に高周波電力を印加する給電部33を備えている。
[動作の説明]
次に第2の実施形態のアンテナ200の動作を説明する。
【0024】
図4に示す様な2つの球状導体12に対して、給電部33から高周波電力を印加するアンテナ210のインピーダンス(impedance)を計算すると、図5のスミスチャート(smith chart)に示す様なインピーダンスZ1となる。
【0025】
スミスチャートでは、次の様にインピーダンスが描かれる。円の左右方向の直径は純抵抗分を表し、円の上半分は正のリアクタンス(reactance)成分であるインダクタンス(inductance)成分を、円の下半分は負のリアクタンス成分であるキャパシタンス(capacitance)成分を表す。水平方向直径の左端は純抵抗成分、リアクタンス成分ともにゼロ。水平方向直径の右端は純抵抗成分、リアクタンス成分ともに無限、伝送線路の特性インピーダンス、例えば50オームは、円の中心に位置する。
【0026】
従って、アンテナが周波数f1で共振するとは、アンテナに印加する高周波電力の周波数を変化させた時のインピーダンスZ1のスミスチャート上の軌跡が、周波数f1でスミスチャートの中心に近づくことである。図5では、アンテナ210が、周波数f1で共振していることが認められる。
【0027】
また、図4のアンテナ210の等価回路は、図6に示す様に抵抗成分R1、インダクタンスL1、キャパシタンスC1による周波数f1における直列共振回路と考えられる。
【0028】
この際、f1=1/(2π・root(L1・C1))である。ここでrootは平方根を表す。
【0029】
次に、図4のアンテナ210に対して、図7に示すアンテナ220の様に、給電部33と元からある左右の球状導体12の間に、それぞれ1個の球状導体12を付加する。付加した球状導体12は、図8に示す等価回路で示されると考えられる。
【0030】
図9を用いて、球状導体を付加したアンテナ220のインピーダンスについて説明する。説明にあたって、図8の等価回路も参照する。
【0031】
元々の球状導体12が左右1個ずつのアンテナのインピーダンスZ1に、ZLの並列共振回路が並列に装荷されている。そして、Z1とZLの並列回路のインピーダンスは、図9の、Z1//ZLで表される。そして、Z1でキャパシタンス成分を呈し、ZLでインダクタンス成分を呈する周波数で並列共振となる。
【0032】
さらに直列にコンデンサC2´が装荷されることで、ZL´のインピーダンスとなり、スミスチャート上にループ(loop)を描いていることがわかる。また、図8のL2´は、球状導体の物理的長さに起因するインダクタンス成分である。
【0033】
球状導体12を更に増やすと、図8の等価回路も球状導体の増加分だけ付加されて、上述のインピーダンスの変化が繰り返される。つまり、アンテナ200は図10に示す様な等価回路として考えられる。その結果、アンテナのインピーダンスは、例えば後述の図12に示す様にスミスチャート上の中心、即ち伝送線路の特性インピーダンス(例えば50オーム)に近い位置で複数の円を描き、広帯域化が実現される。
【0034】
上記の様に動作するアンテナ200の具体的な実施例として、図11に示すアンテナ230について説明する。
【0035】
アンテナ230は、給電部を中心として、球状導体12を左右それぞれ7個ずつ配置したものである。
【0036】
球状導体12の直径は70ミリメートル、球状導体12同士の間隔は3ミリメートル、最も外側の球状導体12から突出している線状導体の長さは67.5ミリメートルである。また、給電部33を挟む第1のアンテナ素子10と第2のアンテナ素子20の間隔は4ミリメートルである。アンテナ230の全長は1155ミリメートルである。
【0037】
この様な形状のアンテナ230のインピーダンスを計算してスミスチャートに示したものが、図12である。ここでは、100MHzから1.6GHzのインピーダンスを示している。また、同じインピーダンスをVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)のグラフで示したものが、図13である。
【0038】
ここで、アンテナ230の特性を、図14に示す構成の一般的なダイポールアンテナの特性と比較する。図14に示すダイポールアンテナは、左右それぞれの線状導体11が577.5ミリメートル、全長が1155ミリメートルとしている。このダイポールアンテナのインピーダンスを計算して、スミスチャートに表したものを図15に示す。ここでも図12と同様に100MHzから1.6GHzのインピーダンスを示している。また、図15と同じ周波数範囲のVSWRを図16に示す。
【0039】
前述の様に、スミスチャートでは、伝送線路の特性インピーダンス、例えば50オームは、円の中心に位置する。そのため、アンテナが伝送線路と整合が取れる状態は、インピーダンスの軌跡が、スミスチャートの中心付近に存在することである。
【0040】
図12に示すアンテナ230のインピーダンスの軌跡と、図15に示すダイポールアンテナのインピーダンスの軌跡を比べると、図12の方が、インピーダンスの軌跡は中心付近で複数の円を描いている。
【0041】
また、図13に示すアンテナ230のVSWRと、図16に示すダイポールアンテナのVSWRのグラフからも、アンテナ230は、一般的なダイポールアンテナより、広い周波数で伝送線路とインピーダンス整合が取れていることが認められる。
【0042】
従って、本実施形態のアンテナ230は、一般的なダイポールアンテナと比べて、広い周波数で使用可能である。
【0043】
尚、アンテナの電気長は球状導体12の数に比例して段階的に変化するが、本実施形態のアンテナ230は、球状導体12が連なる外側に線状導体11の一部が突出している。そのため、この突出部分の長さを調整することによって、アンテナ230の共振周波数の微調整が容易に可能となっている。
【0044】
以上、アンテナ230の例で説明した様に、本実施形態のアンテナ200は、共振周波数の微調整が容易で、広い周波数帯域で使用可能なアンテナを実現することができる。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態のアンテナ300について、図17乃至図19を参照して説明する。
[構成の説明]
図17に、第3の実施形態のアンテナ300の構成を示す。
【0045】
第3の実施形態のアンテナ300は、第2の実施形態のアンテナ230の第1のアンテナ素子10が第1のアンテナ素子50に置きかえられている。また、第2の実施形態のアンテナ230の第2のアンテナ素子20が、アンテナ300では第2のアンテナ素子60に置きかえられている。
【0046】
そして、第2の実施形態のアンテナ230の第1のアンテナ素子10の給電部33の側の球状導体12と隣接しあう3つの球状導体の、線状導体11の長手方向と垂直で前記球状導体12の中心を通る断面の円周どうしを導体面で覆う接続素子13を備える。
【0047】
ここで、隣接しあう3個の球状導体12を接続素子13で接続すると記したが、実際には、3個のうち、端の2個以外の球状導体は接続素子13の内部にかくれてしまうので、削除して良い。
【0048】
また、接続素子13は中空であってもよく、プラスチックなどの樹脂で形成される球体の表面に導体のめっきを施したものであってもよい。ただし、接続素子13と接続される端の2個の球状導体12の外形とは導電している必要がある。中空の導電体で形成する場合も、樹脂に導体のめっきを施した場合も、アンテナの使用周波数における表皮効果を考慮して、損失が小さくなる様に充分な導体の厚みとする。
【0049】
本実施形態のアンテナ300は、第1のアンテナ素子50の球状導体7個のうち、3個が接続素子13で接続される。
【0050】
しかし、球状導体12の数は3個以上であってもよく、接続素子13は、最も給電部33よりの球状導体12と、隣接する2個以上の球状導体を接続することでも良い。
【0051】
ここでは、球状導体12が7個で、そのうち3個が接続素子13で接続されるアンテナ300の構成を例として説明する。
[動作の説明]
次に第3の実施形態のアンテナ300の動作を説明する。
【0052】
球状導体12の直径、球状導体12同士の間隔、最も外側の球状導体12から突出している線状導体の長さは、第2の実施形態のアンテナ230と同じである。
【0053】
アンテナ300のインピーダンスを計算してスミスチャートに示したものが、図18である。ここでは、図12と同様に、100MHzから1.6GHzのインピーダンスを示している。また、同じインピーダンスをVSWRのグラフで示したものが、図19である。
【0054】
前述の様に、スミスチャートでは、伝送線路の特性インピーダンス、例えば50オームは、円の中心に位置する。そのため、アンテナが伝送線路と整合が取れる状態は、インピーダンスの軌跡が、スミスチャートの中心付近に存在することである。
【0055】
図18に示すアンテナ300のインピーダンスの軌跡と、図12に示すアンテナ230のインピーダンスの軌跡を比べると、アンテナ300の方がスミスチャートの中心付近にまとまっている。また、図19に示すアンテナ300のVSWRと、図13に示すアンテナ230のVSWRを比較すると、アンテナ300は、アンテナ230より、広い周波数で伝送線路とインピーダンス整合が取れていて、広い周波数で使用可能であることが認められる。
【0056】
尚、アンテナ300は、球状導体12が連なる外側に線状導体11の一部が突出していることで、アンテナ300の共振周波数の微調整が容易に可能であることは、アンテナ230と同じである。
【0057】
以上説明した様に、本実施形態のアンテナ300は、接続素子13を設けることにより、第2の実施形態のアンテナ230と比べて、広い周波数帯域で使用可能なアンテナを実現することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、次のように拡張または変形できる。
【0059】
第2の実施形態および第3の実施形態の給電部33の部分を、高周波電力を印加するのではなく電気的に短絡することで、他のアンテナと電磁気的に結合する無給電アンテナを実現してもよい。この様にすることで、他のアンテナと共に無給電アンテナが動作して、他のアンテナだけの放射特性とは異なる放射特性を実現可能である。
【0060】
また、上記実施形態に示されるアンテナと無線通信機とを接続することによって、無線通信システムを実現することも可能である。図20は、第2の実施形態のアンテナ200の給電部33と、無線通信機410を高周波ケーブル420で接続する無線通信システム400の例を示している。
【符号の説明】
【0061】
10 第1のアンテナ素子
11 線状導体
12 球状導体
13 接続素子
20 第2のアンテナ素子
31 点
32 対称面
33 給電部
50 第1のアンテナ素子
60 第2のアンテナ素子
100 アンテナ
110 アンテナ
200 アンテナ
210 アンテナ
220 アンテナ
230 アンテナ
300 アンテナ
400 無線通信システム
410 無線通信機
420 高周波ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20