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特許7529845硫黄含有苛性流体を精製するための方法及びシステム
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  • 特許-硫黄含有苛性流体を精製するための方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】硫黄含有苛性流体を精製するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C10G 19/02 20060101AFI20240730BHJP
   C10G 21/14 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C10G19/02
C10G21/14
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023069393
(22)【出願日】2023-04-20
(65)【公開番号】P2023166984
(43)【公開日】2023-11-22
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17/740,821
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワインズ, トーマス エイチ.
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107043636(CN,A)
【文献】特表2013-536280(JP,A)
【文献】米国特許第04562300(US,A)
【文献】米国特許第02921020(US,A)
【文献】特開2011-231332(JP,A)
【文献】特開2014-218662(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0175307(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
B01D 11/04、17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄含有苛性流体を精製するための方法であって、
(a)前記硫黄含有苛性流体を炭化水素溶媒と混合するステップであり、混合弁両端の圧力差が68,948Pa~344,738Paの範囲内で運転される混合弁に、前記硫黄含有苛性流体の圧力を超える圧力で、前記硫黄含有苛性流体の流量の3%~10%の範囲の流量で、前記炭化水素溶媒を注入することを含むステップと;
(b)10℃~66℃の範囲にある温度の、炭化水素溶媒と混合された前記硫黄含有苛性流体を、圧力差が6,895Pa~172,369Paの範囲内で運転されるプレフィルター組立体に通し、炭化水素溶媒と混合された固体除去済みの硫黄含有苛性流体を用意するステップであり、前記プレフィルター組立体が、入口及び出口を含み前記入口と前記出口との間の流体流路を画定する筐体と、前記筐体の前記流体流路をまたぐ少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素とを有する、ステップと;
(c)10℃~66℃の範囲にある温度の、炭化水素溶媒と混合された前記固体除去済みの硫黄含有苛性流体を液液コアレッサ組立体の前記入口に通すステップであり、前記液液コアレッサ組立体は、前記入口を含む液液コアレッサ組立体の筐体と、前記液液コアレッサ組立体の筐体内にある少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素とを備え前記液液コアレッサ組立体の筐体が、上側ポートを有する上側部分及び下側ポートを有する下側部分を有し、前記液液コアレッサ組立体が、6,895Pa~103,421Paの範囲の圧力差、かつ、1つの液液コアレッサフィルター要素あたり0.00063090m /s~0.0031545m /sの範囲の流量で運転される、ステップと;
(i)硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を前記上側ポートに通すステップと;
(ii)硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を前記下側ポートに通すステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記硫黄含有苛性流体がジスルフィド油(DSO)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)が1ボーメ度~10ボーメ度の範囲の苛性濃度を有する硫黄含有苛性流体を前記炭化水素溶媒と混合することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(c)(ii)がメルカプタン除去プロセスを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
344,738Pag~4,136,854Pagの範囲のシステム圧力で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
硫黄含有苛性流体を精製するためのシステムであって、
(a)少なくとも第1の入口ポート、混合弁、及び出口ポートを有する混合用組立体と;
(b)苛性流体の供給源と流体連通している第1の導管の第1の端部、及び前記混合用組立体の少なくとも1つの入口ポートと流体連通している第1の導管の第2の端部を有する、硫黄含有苛性流体を受け入れるための第1の導管と;
(c)炭化水素溶媒の供給源と流体連通している第2の導管の第1の端部、及び前記第1の導管と流体連通している第2の導管の第2の端部を有する、炭化水素溶媒を受け入れるための第2の導管と;
(d)プレフィルター組立体入口及びプレフィルター組立体出口を有し前記プレフィルター組立体入口と前記プレフィルター組立体出口との間の流体流路を画定するプレフィルター組立体筐体を備え、前記プレフィルター組立体筐体内に前記流体流路をまたいで配置される少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素を有する、プレフィルター組立体であり、前記プレフィルター組立体入口が前記混合用組立体の前記出口ポートと流体連通しており、前記プレフィルター組立体出口が液液コアレッサ組立体の入口と流体連通している、プレフィルター組立体と;
(e)筐体中に少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素を含む筐体を備える液液コアレッサ組立体であって、前記筐体は、前記液液コアレッサ組立体の入口、硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を受け入れるための上側ポートを有する上側部分、及び硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を受け入れるための下側ポートを有する下側部分を含む液液コアレッサ組立体と
を含む、システム。
【請求項7】
344,738Pag~4,136,854Pagの範囲のシステム圧力で操作可能である、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[0001]メルカプタン除去システムにおいて、苛性流中のジスルフィド油(DSO)は、プロパン、ブタン、液化石油ガス(LPG)、燃料ガス、ナフサ、又はガソリンを含み得る最終炭化水素製品へ戻され、硫黄含量の増加につながり、その結果製品の硫黄含量が目標とする仕様を超える。
【0002】
[0002]苛性流から硫黄を除去するための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【0003】
[0003]本発明は、先行技術の欠点の少なくとも一部の改善を提供する。本発明のこれらの及び他の利点は以下に示すような説明から明らかとなるであろう。
【0004】
[発明の概要]
[0004]本発明の態様は、硫黄含有苛性流体を精製するための方法であって、(a)硫黄含有苛性流体を炭化水素溶媒と混合するステップであり、混合弁両端の圧力差が10psid~50psidの範囲内で運転される混合弁に、硫黄含有苛性流体の圧力を超える圧力で、硫黄含有苛性流体の流量の3%~10%の範囲の流量で、炭化水素溶媒を注入することを含むステップと;(b)50°F~150°Fの範囲にある温度の、炭化水素溶媒と混合された硫黄含有苛性流体を、圧力差が1psid~25psidの範囲内で運転されるプレフィルター組立体に通し、炭化水素溶媒と混合された固体除去済みの硫黄含有苛性流体を用意するステップであり、プレフィルター組立体が、入口及び出口を含み入口と出口との間の流体流路を画定する筐体と、筐体の流体流路をまたぐ少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素と、を有する、ステップと;(c)50°F~150°Fの範囲にある温度の、炭化水素溶媒と混合された固体除去済みの硫黄含有苛性流体を液液コアレッサ組立体の入口に通すステップであり、前記液液コアレッサ組立体は、入口を含む液液コアレッサ組立体の筐体と、液液コアレッサ組立体の筐体内にある少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素とを備え、液液コアレッサ組立体の筐体が、上側ポートを有する上側部分及び下側ポートを有する下側部分を有し、液液コアレッサ組立体が、1psid~15psidの範囲の圧力差、かつ、1つの液液コアレッサフィルター要素あたり10gpm~50gpmの範囲の流量で操作される、ステップと;(i)硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を上側ポートに通すステップと;(ii)硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を下側ポートに通すステップとを含む、方法を提供する。
【0005】
[0005]この方法の一態様において、(a)は、1ボーメ度~10ボーメ度の範囲の苛性濃度を有する硫黄含有苛性流体を炭化水素溶媒と混合することを含む。
【0006】
[0006]この方法の好ましい態様において、硫黄含有苛性流体はジスルフィド油(DSO)を含む。
【0007】
[0007]別の態様において、硫黄含有苛性流体を精製するためのシステムは、(a)少なくとも第1の入口ポート、混合弁、及び出口ポートを有する混合用組立体と;(b)苛性流体の供給源と流体連通している第1の導管の第1の端部、及び混合用組立体の少なくとも1つの入口ポートと流体連通している第1の導管の第2の端部を有する、硫黄含有苛性流体を受け入れるための第1の導管と;(c)炭化水素溶媒の供給源と流体連通している第2の導管の第1の端部、及び第1の導管と流体連通している第2の導管の第2の端部を有する、炭化水素溶媒を受け入れるための第2の導管と;(d)プレフィルター組立体入口及びプレフィルター組立体出口を有しプレフィルター組立体入口とプレフィルター組立体出口との間の流体流路を画定する筐体を備え、プレフィルター組立体の筐体内に流体流路をまたいで配置される少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素を有する、プレフィルター組立体であって、プレフィルター組立体入口が混合用組立体の出口ポートと流体連通しており、プレフィルター組立体出口が液液コアレッサ組立体の入口と流体連通している、プレフィルター組立体と;(e)筐体中に少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素を含む筐体を備える液液コアレッサ組立体であって、前記筐体は、液液コアレッサ組立体の入口を有する筐体、並びに硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を受け入れるための上側ポートを有する上側部分、及び硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を受け入れるための下側ポートを有する下側部分を含む液液コアレッサ組立体とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の態様によるシステムの概略を示す図面である。
【0009】
[発明の詳細な説明]
[0009]本発明の態様は、硫黄含有苛性流体を精製するための方法であって、(a)硫黄含有苛性流体を炭化水素溶媒と混合するステップであり、混合弁両端の圧力差が10psid~50psidの範囲内で運転される混合弁に、硫黄含有苛性流体の圧力を超える圧力で、硫黄含有苛性流体の流量の3%~10%の範囲の流量で、炭化水素溶媒を注入することを含むステップと;(b)50°F~150°Fの範囲にある温度の、炭化水素溶媒と混合された硫黄含有苛性流体を、圧力差が1psid~25psidの範囲内で運転されるプレフィルター組立体に通し、炭化水素溶媒と混合された固体除去済みの硫黄含有苛性流体を用意するステップであり、プレフィルター組立体が、入口及び出口を含み入口と出口との間の流体流路を画定する筐体と、筐体内の流体流路をまたぐ少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素とを有する、ステップと;(c)50°F~150°Fの範囲にある温度の、炭化水素溶媒と混合された固体除去済みの硫黄含有苛性流体を、液液コアレッサ組立体の入口に通すステップであって、前記コアレッサ組立体は、入口を含む液液コアレッサ組立体の筐体と、液液コアレッサ組立体の筐体内にある少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素とを備え、液液コアレッサ組立体の筐体が、上側ポートを有する上側部分及び下側ポートを有する下側部分を有し、液液コアレッサ組立体が、1psid~15psidの範囲の圧力差、かつ、1つの液液コアレッサフィルター要素あたり10gpm~50gpmの範囲の流量で運転される、ステップと;(i)硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を上側ポートに通すステップと;(ii)硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を下側ポートに通すステップとを含む、方法を提供する。
【0010】
[0010]この方法の一態様において、(a)は、1ボーメ度~10ボーメ度の範囲の苛性濃度を有する硫黄含有苛性流体を炭化水素溶媒と混合することを含む。
【0011】
[0011]いくつかの態様において、この方法は、例えば、炭化水素溶媒が液体状態で維持されるのを確実にするように、50psig~600psigの範囲のシステム圧力で行われる。
【0012】
[0012]この方法の好ましい態様において、硫黄含有苛性流体はジスルフィド油(DSO)を含み、より好ましい態様において、この方法はメルカプタン除去プロセスを含む。
【0013】
[0013]別の態様において、硫黄含有苛性流体を精製するためのシステムは、(a)少なくとも第1の入口ポート、混合弁、及び出口ポートを有する混合用組立体と;(b)苛性流体の供給源と流体連通している第1の導管の第1の端部、及び混合用組立体の少なくとも1つの入口ポートと流体連通している第1の導管の第2の端部を有する、硫黄含有苛性流体を受け入れるための第1の導管と;(c)炭化水素溶媒の供給源と流体連通している第2の導管の第1の端部、及び第1の導管と流体連通している第2の導管の第2の端部を有する、炭化水素溶媒を受け入れるための第2の導管と;(d)プレフィルター組立体入口及びプレフィルター組立体出口を有しプレフィルター組立体入口とプレフィルター組立体出口との間の流体流路を画定する筐体を備え、プレフィルター組立体の筐体内に流体流路をまたいで配置される少なくとも1つの多孔質フィルター要素を有する、プレフィルター組立体であって、プレフィルター組立体入口が混合用組立体の出口ポートと流体連通しており、プレフィルター組立体出口が液液コアレッサ組立体の入口と流体連通している、プレフィルター組立体と;(e)筐体中に少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素を含む筐体を備える液液コアレッサ組立体であて、前記筐体は、液液コアレッサ組立体の入口、並びに硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を受け入れるための上側ポートを有する上側部分、及び硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を受け入れるための下側ポートを有する下側部分を含む液液コアレッサ組立体とを含む。
【0014】
[0014]このシステムの態様は、液液コアレッサ組立体の上側ポートから通ってくる硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を収容するための第1の容器と、液液コアレッサ組立体の下側ポートから通ってくる硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を受け入れるための第2の容器とをさらに備えていてもよい。
【0015】
[0015]このシステムのいくつかの態様において、システムは50psig~600psigの範囲のシステム圧力で操作可能である。
【0016】
[0016]この方法及びシステムの代替の態様において、液液コアレッサ組立体は、液液コアレッサ組立体の筐体(別個のプレフィルター組立体ではなくむしろ、又は別個のプレフィルター組立体に加えて)で少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素の上流に配置された少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素を含んでいてもよく、少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素は、例えば、カートリッジ又は平面状の要素の形態であってもよい。
【0017】
[0017]ここで本発明の部材の各々は下記でより詳細に説明されることになり、同様の部材は同様の参照番号を有する。
【0018】
[0018]図に示す例証される態様を参照のために使用すると、システム1000は、少なくとも第1の入口ポート101、混合弁100、及び出口ポート102を有する混合用組立体150(例証される態様において、差圧計175は混合用組立体をまたいで配置されている)と;苛性流体の供給源と流体連通している第1の導管の第1の端部10a、及び混合用組立体の少なくとも1つの入口ポートと流体連通している第1の導管の第2の端部10bを有する、硫黄含有苛性流体を受け入れるための第1の導管10と;炭化水素溶媒の供給源50と流体連通している第2の導管の第1の端部20a、及び第1の導管と流体連通している第2の導管の第2の端部20bを有する、炭化水素溶媒を受け入れるための第2の導管20(例証される態様において、ポンプ22、流量制御弁23、及び流量計24が第2の導管の端部20aと20bの間に置かれていると;混合用組立体を出る混合流体を受け入れるための第3の導管30であって、混合用組立体の出口ポートと流体連通している第3の導管の第1の端部30aと、プレフィルター組立体入口201及びプレフィルター組立体出口202を有し入口と出口の間の流体流路250を画定する筐体210を備え、筐体に流体流路をまたいで配置される少なくとも1つの多孔質プレフィルター要素(例えば、多孔質プレフィルターカートリッジ)251を有する、プレフィルター組立体200のプレフィルター組立体入口201と流体連通している第3の導管の第2の端部30bとを有する、第3の導管30とを備え、プレフィルター組立体出口は、第1の端部40a及び第2の端部40bを有する第4の導管40を介して、液液コアレッサ組立体300の液液コアレッサ組立体入口301と流体連通しており、液液コアレッサ組立体は、筐体の少なくとも1つの液液コアレッサフィルター要素351、並びに硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を受け入れるための上側ポート361を有する上側部分360、並びに硫黄含量が低減された精製済み苛性流体を受け入れるための下側ポート371を有する下側部分370を含む筐体310を備え、精製済み苛性流体を下側ポート371から例えばメルカプタン除去抽出器へ通すことができる。
【0019】
[0019]1つの好ましい態様において、システムは上側ポート361とつながっている収集サンプ400を含み、サンプは硫黄及び炭化水素溶媒を含む合体した液滴を収容し、炭化水素抽出物は、収集サンプポート401からポンプ62により第1の端部50a及び第2の端部50bを有する第5の導管50に沿って通すことができ、その後、蒸留又は水素化処理のために第6及び第7の導管60及び70を介して、又は再循環のために第8の導管80を介して炭化水素溶媒の供給源50へ通すことができる。
【0020】
[0020]適切な炭化水素溶媒としては、例えば、ナフサ、ヘキサン、液体プロパン、及び低硫黄含量を有する他の炭化水素溶媒が挙げられる。
【0021】
[0021]混合弁を含む様々な混合用組立体が本発明の態様における使用に適している。一態様において、混合弁は玉形弁を含む。
【0022】
[0022]混合用組立体への炭化水素溶媒の注入は、例えば、ポンプにより;又は炭化水素溶媒が苛性流に流れ込むように苛性流の圧力よりも高い圧力に上昇させるための不活性ガスを有する加圧貯留槽により行うことができる。
【0023】
[0023]適切なプレフィルター組立体としては、例えば、Pall Corporation(Port Washington、NY)より市販されているプロファイル(PROFILE)(登録商標)フィルター及びプロファイル(登録商標)IIフィルターが挙げられる。プレフィルター組立体は、任意の数の多孔質プレフィルター要素を有していてもよく、いくつかの態様では、少なくとも2つの多孔質プレフィルター要素、例えば3つ以上のプレフィルター要素を有していてもよい。
【0024】
[0024]好ましい液液コアレッサ組立体としては、米国特許第5,443,724号及び第5,480,547号、米国特許出願公開第2001/0047967号、及び欧州特許第0,831,958号に記載されるものが挙げられる。適切な液液コアレッサ組立体はPall Corporation(Port Washington、NY)より市販されている。液液コアレッサ組立体は、任意の数の液液コアレッサフィルター要素(例えば、カートリッジの形態である液液コアレッサフィルター要素)を有していてもよく、典型的には、少なくとも2つの液液コアレッサフィルター要素、例えば3つ以上の液液コアレッサフィルター要素、いくつかの態様では、少なくとも4つのフルオロポリマー液液コアレッサフィルター要素を有していてもよい。
【0025】
[0025]好ましくは、コアレッサ及びプレフィルターカートリッジは、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマーメディア、ナイロンメディア、ポリフェニレンスルフィド(PPS)メディア、又は苛性物及び炭化水素と適合性がある他の材料を使用して構成され、ステンレス鋼支持材料及びエンドキャップを含んでいてもよい。プレフィルター及びコアレッサを保持する筐体は炭素鋼又はステンレス鋼から作ることができる。
【0026】
[0026]以下の実施例は本発明をさらに例証するが、当然、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0027】
[実施例]
[0027]この実施例は、本発明の態様による、DSOを含む苛性流体からの硫黄の低減を実証する。
【0028】
[0028]図に示すシステムの概略図を参照のために使用すると、>350ppmwのDSOを含有する苛性物及び固相を含む第1の流体流を100gpmで流し、低硫黄ナフサ炭化水素溶媒を5gpmの流量(苛性物の流量の5%)で第1の流体流に注入する(流量制御弁及び流量計を使用して制御される流量を有するポンプを使用する)。
【0029】
[0029]差圧計により測定される15psidの差圧を作り出す(それによりせん断を作り出し、改善されたその後の合体及び苛性相から炭化水素溶媒相への硫黄の物質移動のための、ミクロンサイズ範囲の微細液滴の生成につながる)ように調整された玉形混合弁に通すことにより、苛性物及び溶媒を共に混合し、2つのナイロン多孔質デプスプレフィルターカートリッジ(それぞれ長さ60インチ×直径6インチ)(商品名プロファイル(登録商標)フィルター、Pall Corporation、Port Washington、NY)を有するプレフィルター組立体に混合物を通して固相を除去し、液滴サイズを増加させる合体プロセスを開始させ、4つのフルオロポリマー液液コアレッサカートリッジ(それぞれ長さ40インチ×直径3・3/4インチ)を有する水平に構成された液液コアレッサ組立体に、固相を除去した混合物を通し、溶媒及びDSOを含む凝集した乳化液滴を得て、これは合体し浮力により苛性物からより容易に分離され、炭化水素サンプにおいて液液コアレッサ組立体の上側部分から収集され、これは連続プロセスの一部として定期的に排出される。精製済み苛性物(<180ppmwのDSOまで低減された)は液液コアレッサ組立体の下側部分からメルカプタン抽出塔へ通され、目標とする仕様を継続的に下回る低硫黄含量を確実に維持する最終製品の炭化水素を得る。
【0030】
[0030]本明細書において引用される、出版物、特許出願、及び特許を含めたあらゆる参考文献は、各々の参考文献が個々に且つ具体的に参照により組み込まれることが示されまたその全体が本明細書に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
[0031]本発明を説明する文脈における(特に下記の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つの」という用語並びに同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指定がない限り又は文脈により明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。1つ又は複数の品目のリストに続く「少なくとも1つ」という用語の使用(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)は、本明細書において別段の指定がない限り又は文脈により明確に否定されない限り、記載される品目から選択される1つの品目(A又はB)、又は記載される品目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、特に断りのない限り、非制限的な用語として解釈されるべきである(すなわち、「限定はされないが、含む」を意味する)。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指定がない限り、範囲に含まれる各々の別個の値に個々に言及することの簡略化した方法として機能することを単に意図しており、各々の別個の値は本明細書において個々に列挙されるかのごとくに本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるあらゆる方法は、本明細書において別段の指定がない限り又は文脈により明確に否定されない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書において示される、あらゆる例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をさらに明確にすることを意図しており、別段の主張がされない限り、本発明の範囲に制約を与えるものではない。本明細書における言語はいずれも、請求項に記載されていない要素を本発明の実施に必須なものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0032】
[0032]本発明を実施するための発明者らに既知の最良の方式を含めた、本発明の好ましい態様が本明細書に記載される。前述の説明を読めばそれらの好ましい態様の変形形態が当業者にとって明らかとなり得る。発明者らは当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用することを期待しており、発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載される以外のように実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用可能な法律により認められるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される主題のあらゆる修正形態及び等価形態を含む。さらに、あらゆる考えられる変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書において別段の指定がない限り又は文脈により明確に否定されない限り、本発明に包含される。
図1