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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】連結バンド
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/10 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A44C5/10 510J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023148882
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2019013342の分割
【原出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2023160997
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 庄作
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸島 功
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/79859(WO,A1)
【文献】実開平6-21413(JP,U)
【文献】特開平11-210(JP,A)
【文献】特表平6-505664(JP,A)
【文献】米国特許第5363640(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結バンドの幅方向に延びた連結孔が形成された複数の駒体と、
前記複数の駒体の前記連結孔に共通して通された連結ピンと、
前記複数の駒体のうち前記幅方向の両端に配置された外駒の、前記幅方向の外側に設けられた、前記外駒の前記幅方向の外側の端面の少なくとも一部を覆う覆い部、及び前記外駒の前記連結孔に通された突起を有する端面キャップと、を備え、
前記外駒は空洞の内部空間が形成され、前記内部空間に弾性材料で形成された保持部材が嵌め込まれ、
前記保持部材は、分割された2つの保持部材片により構成され、
2つの前記保持部材片が密着した状態で、前記突起が挿入される前記連結孔としての保持孔が形成され、
前記突起は、先端に太径部が形成され、
前記保持孔は、奥側に、端面側よりも内径の大きい大径孔が形成され、
前記保持孔は、端面側の内径が前記太径部よりも小さく形成され、前記大径孔の内径は前記太径部と同じか又は前記太径部の外径よりも僅かに小さく、
前記太径部は前記大径孔に配置されている連結バンド。
【請求項2】
前記覆い部は、前記外駒の前記端面と同じ断面輪郭形状で形成されている請求項1に記載の連結バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計を腕に装着するためのバンドとして、複数の駒体を長手方向に連結した連結バンドがある。このような連結バンドは、長手方向に隣接する2つの駒体にそれぞれ形成された、駒体の幅方向に延びた連結孔に、共通の連結ピンを通すことで連結されている。
【0003】
ここで、駒体の幅方向の両端に配置された外駒の端面(連結バンドの側面)には、連結孔が露出しているため、外観品質(見栄え)を向上することが求められている。
【0004】
そこで、連結孔に連結ピンを圧入した後に、外駒の端面を連結ピンごと研磨し、その後さらにヘアライン加工を施したり、メッキを施したりして、連結孔と連結ピンとの境界を目立たなくすることが行なわれている。
【0005】
また、駒体の幅方向の両外側に、外駒の端面を覆うカバーを取り付けた連結バンドも知られている(例えば、特許文献1参照)。この連結バンドのカバーは、駒体の連結孔に緩く通された連結ピンの脱落を阻止する目的で、連結ピンが緩く挿入された連結孔の両端を塞ぐ位置に配置され、カバーは、ねじによって外駒の端面に締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-141608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、連結バンドとして駒体を連結した後に研磨等の機械加工等を行った場合、その機械加工等によって生じた研磨粉等が連結孔と連結ピンとの間の微小な隙間に侵入し、その後に洗浄しても、限られた製造のサイクルタイム内で研磨粉等を完全に除去するのは困難である。
【0008】
また、外駒の外側をカバーで覆うものは、連結バンドとして組み立て後に機械加工を行う必要が無いため、上述した研磨粉等の残留の問題は無いが、カバーを外駒に固定するためのねじ穴を、駒に新たに形成する必要があるとともに、ねじを締め付けてカバーを固定するための締結作業の工数がかかるという問題がある。また、固定用のねじがカバーの外面に現れ、外観品質面で難がある。
【0009】
なお、連結孔には、駒体同士を連結する連結ピンが通される孔だけでなく、駒体が複数の駒を連結ピンで連結したものであるとき、すなわち、幅方向の両端に配置された2つの外駒と、両外駒の間に配置された1つ以上の中駒とが連結ピンで連結されて構成されているときの、外駒と中駒とを連結する連結ピンが通される孔も含まれる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、連結バンドとして組み立て後に研磨等の機械加工を行わず、かつ、駒にねじ穴を新たに設けることなく、外観品質を向上させることができる連結バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、連結バンドの幅方向に延びた連結孔が形成された複数の駒体と、前記複数の駒体の前記連結孔に共通して通された連結ピンと、前記複数の駒体のうち前記幅方向の両端に配置された外駒の、前記幅方向の外側に設けられた、前記外駒の前記幅方向の外側の端面の少なくとも一部を覆う覆い部、及び前記外駒の前記連結孔に通された突起を有する端面キャップと、を備え、前記外駒は空洞の内部空間が形成され、前記内部空間に弾性材料で形成された保持部材が嵌め込まれ、前記保持部材は、分割された2つの保持部材片により構成され、2つの前記保持部材片が密着した状態で、前記突起が挿入される前記連結孔としての保持孔が形成され、前記突起は、先端に太径部が形成され、前記保持孔は、奥側に、端面側よりも内径の大きい大径孔が形成され、前記保持孔の、端面側の内径は前記太径部の外径よりも小さく、前記大径孔の内径は前記太径部の外径と同じか又は前記太径部の外径よりも僅かに小さく、前記太径部は前記大径孔に配置されている連結バンドである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る連結バンドによれば、連結バンドとして組み立て後に研磨等の機械加工を行わず、かつ、駒にねじ穴を新たに設けることなく、外観品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る連結バンドの一例である腕時計用の連結バンドの前提となる構成についておもて面側から見た平面図である。
図2図1に示した連結バンドの構成単位である駒体及び端面キャップを分解して示した分解斜視図である。
図3図2における2本の連結孔を含む面による断面を示す断面図である。
図4】端面キャップに形成された突起の参考例を示す、外駒の外側の面での断面を示す断面図である。
図5】外駒の連結孔に、連結孔の内径よりも大きな径の溝を形成し、この溝にOリングをそれぞれ配置した参考例の構成の、図3相当の断面図である。
図6】外駒が、図5に示したOリングに代えて弾性材料で形成された保持部材を有するものとした参考例を示す分解斜視図である。
図7】本発明に係る連結バンドの実施形態であって、2つの保持部材片に分割される保持部材を有する外駒に端面キャップを保持させる構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る連結バンドの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
<構成>
図1は本発明に係る連結バンドの一例である腕時計用の連結バンド100の前提となる構成についておもて面側から見た平面図、図2図1に示した連結バンド100の構成単位である駒体10及び端面キャップ51,52を分解して示した分解斜視図である。
【0016】
なお、図1においては、連結バンドの100の構成単位である1つの駒体10及びひと組の端面キャップ51,52を実線で示し、他の駒体10及び端面キャップ51,52を二点鎖線で示しているが、これは、理解の容易化のためである。また、図3図2における2本の連結孔22b,22cを含む面による断面を示す断面図である。
【0017】
図示の連結バンド100は、複数の駒体10が、連結バンドの長さ方向Lに沿って配置されている。連結バンド100の構成単位である駒体10は、図2に示すように、連結バンド100の幅方向W(長さ方向Lに直交する方向)の両端に配置される2つの外駒21,22と、両外駒21,22の間に配置される1つの中駒30とが、連結ピン40で連結されて一体に構成されている。
【0018】
2つの外駒21,22の間にはブリッジ部23が配置されていて、2つの外駒21,22はブリッジ部23を介してH字状に一体に繋がっている。ブリッジ部23の幅は、中駒30の幅よりも僅かに広く形成されている。このように、両端の2つの外駒21,22がブリッジ部23によって一体に構成されたものを、以下、単に外駒20ということがある。
【0019】
外駒21には、長さ方向Lの両端近くにそれぞれ、幅方向Wに延びて貫通した連結孔21b,21cが形成されている。ブリッジ部23は、両連結孔21b,21cの間で、外駒21に繋がっている。
【0020】
外駒22にも、長さ方向Lの両端近くにそれぞれ、幅方向Wに延びて貫通した連結孔22b,22cが形成されている。ブリッジ部23は、両連結孔22b,22cの間で、外駒22に繋がっている。
【0021】
ブリッジ部23によって一体化されている状態の外駒20は、連結孔21bと連結孔22bとが一直線上に配置され、連結孔21cと連結孔22cとが一直線上に配置されている。
【0022】
中駒30は、長さ方向Lの一方の端部近くに、幅方向Wに延びた溝30aが形成されている。また、中駒30には、長さ方向Lの他方の端部近くと、長さ方向Lの中間近く(溝30aよりも他方の端部側)にそれぞれ、幅方向Wに延びて貫通した連結孔30b,30cが形成されている。
【0023】
そして、図3に示すように、溝30aには、外駒20のブリッジ部23が嵌め合わされ、この嵌め合わされた状態で、連結孔21c,22cと連結孔30cとが一直線上に配置される。一直線上に配置された連結孔21c,30c,22cに対して、共通する1本の連結ピン40が緩く通されて、外駒20と中駒30とが一体となった駒体10が構成される。
【0024】
なお、連結ピン40は、中駒30の幅よりも長く、かつ外駒20の幅よりも短い長さに形成されている。したがって、図3に示すように、連結ピン40が外駒20と中駒30とを連結した状態では、連結ピン40の両端は、外駒21,22の幅方向Wの外側の面(外駒20の両端面)21a,22aに達しない。
【0025】
また、駒体10を構成している外駒20と中駒30とは、連結ピン40とブリッジ部23との2か所で係合しているため、相対的な回転はしない。
【0026】
図3に示した状態で、中駒30の連結孔30bは、長さ方向Lに連結される他の駒体10の外駒21の連結孔21b及び外駒22の連結孔22bと一直線上に配置され、これら一直線上に配置された連結孔21b,30b,22bに対して、別の共通する1本の連結ピン40が緩く通されることで、駒体10同士が連結される。
【0027】
このとき、駒体10同士は、1本の連結ピン40のみで係合しているため、連結ピン40回りに相対的に回転可能となり、連結バンド100は、使用者の手首の太さに応じて屈曲される。
【0028】
また、連結バンド100は、外駒20の、幅方向Wの外側にそれぞれ、端面キャップ51,52を備えている。端面キャップ51は、覆い板51aと突起51d,51eとを有する。
【0029】
覆い板51aは、外駒21の幅方向Wの外側の面21aと同じ断面輪郭形状(幅方向に直交する断面の外周縁の輪郭形状)で形成されており、覆い部の一例である。覆い板51aの幅方向Wの外側の面51cは、凹凸の無い平坦な面で形成されている。一方、覆い板51aの、外駒21の外側の面21aに対向した内側の面51bも平坦な面であるが、幅方向Wに延びた突起51d,51eが形成されている。
【0030】
なお、覆い板51aは、外駒21の外側の面21aの全部を覆うものでなくてもよく、面21aの少なくとも一部(連結孔21b,21cを含む範囲)を覆う形状であればよい。
【0031】
突起51d,51eは、覆い板51aが、外駒21の外側の面21aの全面を過不足なく覆った配置のとき、外駒21の連結孔21b,21cにそれぞれ対応する位置に形成されている。
【0032】
突起51d,51eは、連結孔21b,21cに対して締まり嵌めとなる外径で形成されているため、連結孔21b,21cにそれぞれ圧入される。
【0033】
端面キャップ52も端面キャップ51と同様の構成であり、覆い板52aと突起52d,52eとを有する。
【0034】
覆い板52aは、外駒22の幅方向Wの外側の面22aと同じ輪郭形状で形成されている。覆い板52aの幅方向Wの外側の面52c及び外駒22の外側の面22aに対向した内側の面52bは凹凸の無い平坦な面であるが、内側の面52bからは、幅方向Wに延びた突起52d,52eが形成されている。
【0035】
覆い板52aは、外駒22の外側の面22aの全部を覆うものでなくてもよく、面22aの少なくとも一部(連結孔22b,22cを含む範囲)を覆う形状であればよい。
【0036】
突起52d,52eは、覆い板52aが、外駒22の外側の面22aの全面を過不足なく覆った配置のとき、外駒22の連結孔22b,22cにそれぞれ対応する位置に形成されている。
【0037】
突起52d,52eは、連結孔22b,22cに対して締まり嵌めとなる外径で形成されているため、連結孔22b,22cにそれぞれ圧入される。
【0038】
なお、図3に示すように、突起51d,51eが連結孔21b,21cにそれぞれ圧入されて、覆い板51aの内側の面51bが外駒21の外側の面21aに略密着し、突起52d,52eが連結孔22b,22cにそれぞれ圧入されて、覆い板52aの内側の面52bが外駒22の外側の面22aに略密着した状態で保持された組み立て状態となる。
【0039】
そして、この組み立て状態では、連結孔21b,30b,22bに通された連結ピン40及び連結孔21c,30c,22cに通された連結ピン40は、幅方向Wのいずれか一方の側に偏っても、2つの外駒21,22から抜けることが無いように、連結ピン40の長さ及び突起51d,52d,51e,52eの長さが設定されている。
【0040】
<作用>
以上のように構成された連結バンド100は、外駒21,22の外側の面21a,22aまで貫通した連結孔21b,21c,22b,22cが、外駒21,22を外側から覆う端面キャップ51,52によって覆われる。これにより、連結バンド100は、連結孔21b,21c,22b,22cが外部に露出することが無い。したがって、連結バンド100は、外観品質を向上させることができる。
【0041】
しかも、連結バンド100は、外部に露出するのは、端面キャップ51,52の外側の面51c,52cであり、この面51c,52cには、駒体10に結合するための構造(突起51d,51e,52d,52e)が現れない。したがって、外面に、駒体に結合するための構造であるねじが現れる、先行技術のカバーと比べて外観品質を向上させることができる。
【0042】
また、この面51c,52cは凹凸の無い平坦な面であるため、連結バンド100はすっきりした印象を与え、高級感を醸し出すことができる。なお、この面51c,52cは平面に限らず凹凸があってもよいし、また、駒体10に結合するための構造が現れてもよいが、そのような構造が現れないことが好ましい。
【0043】
また、連結バンド100は、連結バンド100として組み立て後に研磨等の機械加工を行う必要がないため、連結バンド100として組み立て後に、洗浄等を行わなくても研磨粉等が残留することもない。
【0044】
さらに、連結バンド100は、端面キャップ51,52に形成された突起51d,51e,52d,52eを、既存の連結孔21b,21c,22b,22cに圧入することで、端面キャップ51,52を駒体10に保持することができるため、駒体10に端面キャップ51,52をねじ止めするためのねじ穴を形成したり、ねじ止めする締結作業を行ったりする必要が無く、製造コストを低減することができる。
【0045】
なお、端面キャップ51,52の突起51d,51e,52d,52eと外駒21,22とが金属である場合は、突起51d,51e,52d,52eを連結孔21b,21c,22b,22cに圧入して、端面キャップ51,52を駒体10に保持させるのに代えて、突起51d,51e,52d,52eを連結孔21b,21c,22b,22cに通した状態で、突起51d,51e,52d,52eと外駒21,22とを固相接合により固定して、端面キャップ51,52を駒体10に保持させてもよい。
【0046】
また、突起51d,51e,52d,52eを連結孔21b,21c,22b,22cに圧入するとともに固相接合することで、端面キャップ51,52を駒体10に、より強固に保持させてもよい。
【0047】
また、連結バンド100は、端面キャップ51,52によって、連結孔21b,22bの両端及び連結孔21c,22cの両端が塞がれているため、連結ピン40が連結孔21b,22b,21c,22cに対して緩く形成されていても、連結ピン40が連結孔21b,22b,21c,22cから脱落することが無い。
【0048】
したがって、連結ピン40を、従来のようなCリング等を用いた圧入で、連結孔21b,22b,21c,22cに固定しなくても、連結ピン40が連結孔21b,22b,21c,22cから脱落することが無い。これにより、連結ピン40を連結孔21b,22b,21c,22cに配置する作業を自動化し易い。
【0049】
なお、連結ピン40を圧入する際は、圧入時の摩擦抵抗を低減するために潤滑剤を用いるが、本実施形態の連結バンド100は、連結ピン40を圧入しないため、潤滑剤を用いる必要もない。ただし、本発明に係る連結バンドは、連結孔に連結ピンを圧入したものであってもよい。
【0050】
また、連結バンド100は、端面キャップ51,52を駒体10と同一色、同一材料で形成してもよいし、端面キャップ51,52を駒体10は別の色に形成したり、別の材料で形成したりしてもよい。
【0051】
端面キャップ51,52と駒体10とを同一色で形成したものは、連結バンド100の全体を単一色ですっきりとした印象を与え、端面キャップ51,52と駒体10とを別の色で形成したものは、装飾的な印象を与えることができる。
【0052】
また、端面キャップ51,52を駒体10と同一材料(例えばチタン等)で形成したものは、連結バンド100の全体にすっきりとした印象を与え、端面キャップ51,52と駒体10とを別の材料で形成したものは、質感の差で、装飾的な印象を与えることができる。
【0053】
なお、一般的に連結バンドは、時計のケースに形成されたラグ(連結バンドをケースに取り付ける爪状の部分)に近い部分で、幅方向Wの寸法を大きくしたり小さくしたりすることが行なわれている。この場合、駒体の両外駒の幅を徐々に大きく形状にしたり、徐々に小さくしたりして対応しているのが一般的である。
【0054】
これに対して、連結バンド100は、複数の駒体10自体は、ラグに近い部分も含めて一定の幅(同一の幅)で形成し、端面キャップ51,52の幅を徐々に大きく形成したり、徐々に小さくしたりすることで対応することができる。つまり、一部の駒体10に取り付けられた端面キャップ51,52は、幅方向Wの寸法が他の端面キャップ51,52と異なって形成されている。したがって、1つの連結バンド100を形成するために、幅の異なる複数の駒体10を製造する必要が無い。
【0055】
この場合、幅の異なる複数の端面キャップ51,52を製造する必要はあるが、幅の異なる複数の駒体10を製造するのに比べて、低コストで製造することができる。
【0056】
しかも、幅の異なる駒体10を製造する場合は、駒体10の幅方向の両側を対称的に形成する必要があるが、精度よく対称的に形成する作業は非常に難しい作業となっている。
【0057】
これに対して、端面キャップ51と端面キャップ52とは別体の部品であるから、単一部品で左右対称に形成するよりも成形が容易である。
【0058】
図4は、端面キャップ52(51)に形成された突起52d(51d),52e(51e)の参考例を示す、外駒22(21)の外側の面22a(21a)での断面を示す断面図である。
【0059】
参考例の連結バンドは、例えば図4に示すように、端面キャップ52(51)の2つの突起52d,52e(51d,51e)のうち、一方の突起52d(51d)のみが連結孔22b(21b)に圧入される形状に形成され、他方の突起52e(51e)は連結孔22c(21c)に対して締め代のない中間ばめとなる形状であってもよい。
【0060】
要するに、他方の突起52e(51e)は、駒体10に対する端面キャップ52(51)の姿勢を維持する(回り止めとなる)程度の嵌め合い形状であればよく、図4に示した、断面が略矩形の形状でなくてもよい。
【0061】
このように、2つの突起52d,52e(51d,51e)を共に圧入する形状とするのではなく、一方の突起52d(51d)のみを圧入する形状とし、他方の突起52e(51e)を圧入しない形状とすることにより、端面キャップ52(51)を駒体10に固定する作業を容易にすることができる。
【0062】
一方、2つの突起52d,52e(51d,51e)を共に圧入する形状としたものでは、一方の突起52d(51d)又は突起52e(51e)のみを圧入した形状としたものよりも、端面キャップ52(51)の駒体10への保持力を大きくすることができる。
【0063】
上述した連結バンド100は、端面キャップ51,52の突起51d,51e,52d,52eを外駒21,22の連結孔21b,21c,22b,22cに圧入することにより、端面キャップ51,52を外駒21,22に保持させるが、端面キャップ51,52は外駒21,22から使用者が手動で取り外せないことが好ましい。
【0064】
しかし、参考例の連結バンドは、一部の端面キャップについては、手動で駒体から取り外し可能に固定するものとしてもよい。すなわち、連結バンドは、使用者の手首の長さに応じて長さ調整を行うことが求められており、そのような要望を実現する構造として、連結する駒体の数を調整するのが一般的である。
【0065】
そこで、一部の駒体については、専門業者に頼ることなく時計を使用する使用者自身で連結及び連結の解除をできるようにしてもよい。具体的には、連結バンド100を構成する複数の駒体10のうち、一部の駒体10については、端面キャップ51,52を駒体10に着脱可能に構成する。
【0066】
これにより、使用者自身が駒体10から端面キャップ51,52を取り外して、その駒体10を連結バンド100から取り外し又は新たに駒体10を追加して連結し、その後に端面キャップ51,52を取り付けて駒体10に保持させることで、連結バンド100を構成する駒体10の数を増減して長さの調整を行うことができる。
【0067】
図5は端面キャップ51,52を駒体10(外駒21,22)に対して着脱可能としつつ、端面キャップ51,52を駒体10に保持させる参考例の構成の一例として、駒体10の外駒21,22の連結孔21b,21c,22b,22cに、連結孔21b,21c,22b,22cの内径よりも大きな径の溝を形成し、この溝にOリング26をそれぞれ配置した構成の、図3相当の断面図である。
【0068】
図5に示した連結バンドにおけるOリング26の内径は、連結孔21b,21c,22b,22cの内径よりも小さく形成されていて、端面キャップ51,52の突起51d,51e,52d,52eの外径を、連結孔21b,21c,22b,22cの内径よりも小さく、かつOリング26の内径よりも大きく形成する。
【0069】
これにより、突起51d,51e,52d,52eは、連結孔21b,21c,22b,22cに対して緩く挿入されるが、Oリング26を通過した状態では、Oリング26の弾性変形によって摩擦抵抗が生じ、端面キャップ51,52を駒体10に取り付けられた状態に保持させることができる。
【0070】
一方、外駒21,22に取り付けられた状態で保持された端面キャップ51,52を、手指等で掴んで外駒21,22から引き抜く力を作用させると、突起51d,51e,52d,52eはOリング26の弾性変形による摩擦抵抗を受けるが、摩擦抵抗よりも大きな力を作用させることで、外駒21,22から取り外すことができる。
【0071】
図6は、外駒22,21が、図5に示したOリング26に代えて弾性材料で形成された保持部材25,24を有するものとした参考例を示す分解斜視図である。図示の外駒22,21は、端面キャップ52,51に向いた面に凹部22d,21dが形成され、この凹部22d,21dに、保持部材25,24が配置されている。
【0072】
保持部材25,24は、シリコーン等の弾性材料により、凹部22d,21dよりも僅かに大きいサイズで形成されていて、凹部22d,21dに嵌め込まれて、外駒22,21に保持されている。
【0073】
保持部材25,24は、端面キャップ52,51の突起52d,52e,51d,51eに対応する位置に、突起52d,52e,51d,51eの外径よりも小さい内径の保持孔25b,25c,24b,24cが形成されていて、突起52d,52e,51d,51eは、これらの保持孔25b,25c,24b,24cにきつく挿入されて、前述したOリング26(図5参照)と同様の作用により、端面キャップ52,51は外駒22,21に対して着脱可能に保持される。
【0074】
図7は、本発明に係る連結バンドの実施形態であって、2つの保持部材片27A,27Bに分割される保持部材27を有する外駒22に端面キャップ52を保持させる構成を示す分解斜視図である。
【0075】
図7に示した外駒22は、空洞の内部空間22eに、保持部材27が嵌め込まれたものである。保持部材27は、図示の上下方向に2つに分割される、シリコーン等の弾性材料で形成された保持部材片27Aと保持部材片27Bとで構成されている。2つの保持部材片27A,27Bは図示の矢印方向に密着させることで、端面キャップ52の突起52dが挿入される保持孔27aと突起52eが挿入される保持孔27bが形成される。
【0076】
端面キャップ52は、突起52d,52eの先端に、突起52d,52eの外径よりも太い太径部52f,52gが形成されている。
【0077】
保持孔27aの奥側には、保持孔27aよりも内径の大きい大径孔27cが形成され、保持孔27bの奥側には、保持孔27bよりも内径の大きい大径孔27dが形成されている。保持孔27a,27bの内径は、突起52d,52eの外径より大きいが、太径部52f,52gよりも小さい。大径孔27c,27dの内径は、太径部52f,52gの外径と同じ寸法か又は太径部52f,52gの外径よりも僅かに小さい。
【0078】
保持部材27の内部空間22eに嵌め込まれて、一体の外駒22として形成される。そして、保持孔27a,27bに突起52d,52eが挿入され、太径部52f,52gが大径孔27c,27dに配置された状態で、端面キャップ52は外駒22に密着し、外駒22に保持される。
【0079】
この例では、保持部材27の作用により、端面キャップ52は外駒22に対して着脱可能に保持される。
【0080】
なお、上述した実施形態の連結バンド100は、駒体10が、2つの外駒21,22をブリッジ部23により、H字状に一体に形成された外駒20を有するものであるが、本発明に係る連結バンドは、2つの外駒がブリッジ部によりH字状に一体に形成されたものに限定されず、2つの外駒が別体に形成されたものであってもよい。
【0081】
上述した実施形態の連結バンド100は、本発明に係る連結バンドを腕時計の連結バンドに適用した例であるが、本発明に係る連結バンドは、腕時計の連結バンドに限定されるものではなく、ブレスレット等その他装飾品の連結バンドにも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 駒体
21,22 外駒
21b,21c,22b,22c,30b,30c 連結孔
23 ブリッジ部
27 保持部材
27A,27B 保持部材片
27a,27b 保持孔
27c,27d 大径孔
30 中駒
40 連結ピン
51,52 端面キャップ
51a,52a 覆い板(覆い部の一例)
51d,51e,52d,52e 突起
51f,51g 太径部
100 連結バンド
L 長さ方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7