(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】鉄道車両、および、鉄道車両の製造方法
(51)【国際特許分類】
B61D 17/08 20060101AFI20240730BHJP
B61D 17/00 20060101ALI20240730BHJP
B23K 33/00 20060101ALI20240730BHJP
B23K 31/00 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
B61D17/08
B61D17/00 C
B23K33/00 Z
B23K31/00 F
(21)【出願番号】P 2023158170
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 賢太
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 尚
(72)【発明者】
【氏名】緋田 和高
(72)【発明者】
【氏名】辻本 諒
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-039706(JP,A)
【文献】特許第7336580(JP,B1)
【文献】特開2006-008078(JP,A)
【文献】特開2005-263126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0094856(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/08
B61D 17/00
B23K 33/00
B23K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両構体の側面部を構成する側構体を備え、前記側構体の外面を形成する側外板を有する鉄道車両において、
前記側外板は、軌道方向に隣接して並ぶ第1分割外板と第2分割外板とが突き合わせ溶接され、
前記第1分割外板は、前記車両構体の内方側の内面に、軌道方向に延在する第1横骨を備え、前記第2分割外板は、前記車両構体の内方側の内面に、軌道方向に延在する第2横骨を備え、
前記第1分割外板と前記第2分割外板との突き合わせ溶接部に沿って延在し、前記突き合わせ溶接部を前記車両構体の内方側から支持する支持組立を有し、
前記支持組立は、
前記第1分割外板の前記内面と前記第2分割外板の前記内面とに当接する当接板と、
前記第1横骨と前記第2横骨との間に配設され、前記当接板を支持する補強部材であって、前記当接板に接合される前記補強部材と、
前記第1横骨と前記第2横骨とに結合され、前記補強部材を支持する内板であって、前記補強部材に結合される前記内板と、
を有し、
前記第1分割外板と前記第2分割外板との突き合わせ溶接部と別に、前記当接板の仮留めに伴う溶接痕や溶接歪みが前記側外板に生じていない、
ように構成されている鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載する鉄道車両において、
前記補強部材は、中間板部と、前記中間板部の幅方向両側に立設された一対の側板部と、を有し、前記中間板部が前記第1分割外板の前記内面と前記第2分割外板の前記内面とに前記当接板を介して接合され、前記一対の側板部が前記内板に接合されている、
ように構成されている鉄道車両。
【請求項3】
請求項2に記載する鉄道車両において、
前記補強部材は、さらに、前記一対の側板部の一方が前記内板に結合される第1フランジ部を備え、前記一対の側板部の他方が前記内板に結合される第2フランジ部を備えている、
ように構成されている鉄道車両。
【請求項4】
請求項2に記載する鉄道車両において、
前記補強部材は、さらに、前記一対の側板部の一方が前記内板と共に前記第1横骨に結合される第1フランジ部を備え、前記一対の側板部の他方が前記内板と共に前記第2横骨に結合される第2フランジ部を備えている、
ように構成されている鉄道車両。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか1つに記載する鉄道車両において、
前記当接板は、前記補強部材の前記中間板部より、板厚が大きい、
ように構成されている鉄道車両。
【請求項6】
請求項1から請求項4の何れか1つに記載する鉄道車両において、
前記補強部材と前記内板との間に形成される内部空間部に配設され、前記補強部材を補強する内部補強部材を有する、
ように構成されている鉄道車両。
【請求項7】
車両構体の側面部を構成する側構体を備え、前記側構体の外面を形成する側外板を有する鉄道車両の製造方法において、
前記側外板は、軌道方向に隣接して並ぶ第1分割外板と、第2分割外板と、前記第1分割外板と前記第2分割外板との突き合わせ溶接部に沿って延在して前記車両構体の内方側から前記第1分割外板と前記第2分割外板とを支持する支持組立を有し、
前記第1分割外板の、前記車両構体の内方側に位置する内面に、軌道方向に延在する第1横骨を接合して第1ブロックとすると共に、前記第2分割外板の、前記車両構体の内方側に位置する内面に、軌道方向に延在する第2横骨を接合して第2ブロックとするブロック組立工程と、
当接板と内板とを補強部材を介して結合することにより前記支持組立を組み立てる支持組立接合工程と、
前記第1ブロックを構成する前記第1分割外板の端部と前記第2ブロックを構成する前記第2分割外板の端部とを隣接配置し、前記第1横骨と前記第2横骨との間に隙間を形成すると共に、前記支持組立
接合工程にて組み立てられた前記支持組立の前記当接板と前記補強部材とを前記隙間に挿入することによって、該隣接配置部分に沿って前記当接板を前記第1分割外板の前記内面と前記第2分割外板の前記内面とに当接させた状態とする配置工程と、
前記配置工程にて前記当接板が前記第1分割外板の前記内面と前記第2分割外板の前記内面とに当接された前記支持組立の前記内板を前記第1横骨と前記第2横骨とにそれぞれ結合する支持組立取付工程と、
前記第1分割外板と前記第2分割外板とを前記車両構体の外側から突き合わせ溶接する分割外板接合工程と、を行い、
前記第1分割外板と前記第2分割外板との突き合わせ溶接部と別に、前記当接板の仮留めに伴う溶接痕や溶接歪みが前記側外板に生じない、
鉄道車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両、および、鉄道車両の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両構体を構成する側構体が側外板を備え、その側外板が軌道方向に並べた複数の分割外板を突き合わせ溶接することにより形成された鉄道車両が開示されている。各分割外板は、強度を確保するために、車両構体の内方側に位置する内面に横骨が軌道方向に延在している。
【0003】
鉄道車両は、隣接する第1分割外板と第2分割外板の突き合わせ溶接部に沿って柱部材が配置されている。柱部材は、コの字形の本体部の両端部にフランジ部が設けられたハット形に形成されている。柱部材は、第1分割外板および第2分割外板を内面の側から支持するように本体部を配置した状態で、フランジ部が第1分割外板の横骨と第2分割外板の横骨に結合される。柱部材は、第1分割外板と第2分割外板とを車両構体の外側から突き合わせ溶接する場合に、第1分割外板と第2分割外板を支持し、第1分割外板と第2分割外板とが内面の側へ歪み変形することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記鉄道車両は、溶接時に高温になる第1分割外板と第2分割外板との突き合わせ部分に、平板状の本体部のみが配置されていた。そのため、突き合わせ溶接時に、本体部が溶接熱によって軟化し、第1分割外板および第2分割外板と共に歪み変形することがあった。また、第1分割外板と第2分割外板とを突き合わせ溶接する前に、本体部が第1分割外板と第2分割外板とに対して溶接によって仮留めされていたため、本体部の仮留めに伴う溶接痕や溶接歪みが側外板に生じていた。よって、溶接歪みによる側外板の変形を抑えて車両構体の美観を確保する技術には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた技術の一態様は、(1)車両構体の側面部を構成する側構体を備え、前記側構体の外面を形成する側外板を有する鉄道車両において、前記側外板は、軌道方向に隣接して並ぶ第1分割外板と第2分割外板とが突き合わせ溶接され、前記第1分割外板は、前記車両構体の内方側の内面に、軌道方向に延在する第1横骨を備え、前記第2分割外板は、前記車両構体の内方側の内面に、軌道方向に延在する第2横骨を備え、前記第1分割外板と前記第2分割外板との突き合わせ溶接部に沿って延在し、前記突き合わせ溶接部を前記車両構体の内方側から支持する支持組立を有し、前記支持組立は、前記第1分割外板の前記内面と前記第2分割外板の前記内面とに当接する当接板と、前記第1横骨と前記第2横骨との間に配設され、前記当接板を支持する補強部材と、前記第1横骨と前記第2横骨とに結合され、前記補強部材を支持する内板と、を有する、ように構成されている。
【0007】
上記構成を有する鉄道車両は、支持組立が突き合わせ溶接部に沿って延在し、当接板が第1分割外板の内面と第2分割外板の内面とに当接して、突き合わせ溶接部を車両構体の内方側から支持している。当接板は、補強部材と内板とを介して第1横骨と第2横骨とに支持されているので、第1分割外板と第2分割外板とを溶接する場合に溶接熱で軟化しても、補強部材と内板とによって変形を抑制される。当接板は、第1分割外板と第2分割外板とを突き合わせ溶接する前に、第1分割外板と第2分割外板とに対して溶接によって仮留めされていなくても、補強部材と内板とを介して第1横骨と第2横骨とに支持されることによって、第1分割外板と第2分割外板とに当接する状態で配置される。そのため、当接板の仮留めに伴う溶接痕や溶接歪みが側外板に生じない。よって、上記構成を有する鉄道車両によれば、溶接歪みによる側外板の変形を抑えて車両構体の美観を確保することができる。
【0008】
(2)(1)に記載する鉄道車両において、前記補強部材は、中間板部と、前記中間板部の幅方向両側に立設された一対の側板部と、を有し、前記中間板部が前記第1分割外板の前記内面と前記第2分割外板の前記内面とに前記当接板を介して接合され、前記一対の側板部が前記内板に接合されている、ことが好ましい。
【0009】
上記構成を有する鉄道車両は、突き合わせ溶接部が当接板と補強部材とによって二重に支持されているので、溶接時に当接板が補強部材に支持され、変形しにくい。よって、上記構成の鉄道車両によれば、側外板の変形を抑制して車両構体の美観を確保できる。
【0010】
(3)(2)に記載する鉄道車両において、前記補強部材は、さらに、前記一対の側板部の一方が前記内板に結合される第1フランジ部を備え、前記一対の側板部の他方が前記内板に結合される第2フランジ部を備えている、ことが好ましい。
【0011】
上記構成を有する鉄道車両は、補強部材が第1フランジ部と第2フランジ部とを介して内板に結合されることで、補強部材と内板との接合面積が増え、接合強度が強くなる。そのため、例えば、突き合わせ溶接部に対して枕木方向に圧縮荷重が作用しても、補強部材と内板との接合部分が破断しにくく、支持組立が突き合わせ溶接部を支持できる。
【0012】
(4)(2)に記載する鉄道車両において、前記補強部材は、さらに、前記一対の側板部の一方が前記内板と共に前記第1横骨に結合される第1フランジ部を備え、前記一対の側板部の他方が前記内板と共に前記第2横骨に結合される第2フランジ部を備えている、ことが好ましい。
【0013】
上記構成を有する鉄道車両は、補強部材が第1フランジ部と第2フランジ部とを介して内板と第1横骨と第2横骨とに結合されることで、例えば衝突時に突き合わせ溶接部に対して枕木方向に荷重が作用しても、補強部材が第1横骨と第2横骨と内板とに支持されて変形しにくい。よって、上記構成の鉄道車両によれば、例えば衝突時に車両構体が突き合わせ溶接部で破断することを抑制できる。
【0014】
(5)(2)から(4)の何れか1つに記載する鉄道車両において、前記当接板は、前記補強部材の前記中間板部より、板厚が大きい、ことが好ましい。
【0015】
上記構成を有する鉄道車両は、溶接熱が当接板から補強部材の中間板部に伝わりにくいので、補強部材が突き合わせ溶接時に変形することを抑制される。よって、上記構成の鉄道車両は、突き合わせ溶接時に第1分割外板と第2分割外板とが変形することを抑制できる。
【0016】
(6)(1)から(5)の何れか1つに記載する鉄道車両において、前記補強部材と前記内板との間に形成される内部空間部に配設され、前記補強部材を補強する内部補強部材を有する、ことが好ましい。
【0017】
上記構成を有する鉄道車両は、例えば衝突時に突き合わせ溶接部に対して枕木方向に作用する荷重を補強部材だけでなく、内部補強部材でも受けることができるので、衝突に伴う補強部材の変形を抑制し、突き合わせ溶接部で車両構体が破断することを回避できる。
【0018】
上記課題を解決するためになされた技術の別態様は、車両構体の側面部を構成する側構体を備え、前記側構体の外面を形成する側外板を有する鉄道車両の製造方法において、前記側外板は、軌道方向に隣接して並ぶ第1分割外板と、第2分割外板と、前記第1分割外板と前記第2分割外板との突き合わせ溶接部に沿って延在して前記車両構体の内方側から前記第1分割外板と前記第2分割外板とを支持する支持組立を有し、前記第1分割外板の、前記車両構体の内方側に位置する内面に、軌道方向に延在する第1横骨を接合して第1ブロックとすると共に、前記第2分割外板の、前記車両構体の内方側に位置する内面に、軌道方向に延在する第2横骨を接合して第2ブロックとするブロック組立工程と、当接板と内板とを補強部材を介して結合することにより前記支持組立を組み立てる支持組立接合工程と、前記第1ブロックを構成する前記第1分割外板の端部と前記第2ブロックを構成する前記第2分割外板の端部とを隣接配置すると共に、該隣接配置部分に沿って前記当接板を前記第1分割外板の前記内面と前記第2分割外板の前記内面とに当接させた状態とする配置工程と、前記内板を前記第1横骨と前記第2横骨とにそれぞれ結合する支持組立取付工程と、前記第1分割外板と前記第2分割外板とを前記車両構体の外側から突き合わせ溶接する分割外板接合工程と、を有する鉄道車両の製造方法である。
【0019】
上記構成の鉄道車両の製造方法は、上記(1)と同様に、溶接歪みによる側外板の変形を抑えて車両構体の美観を確保することができる。さらに、突き合わせ溶接に先立って支持組立を組み立てておき、突き合わせ溶接時には支持組立を第1横骨と第2横骨に結合するので、当接板を第1分割外板と第2分割外板とに溶接することによって生じる溶接痕や溶接歪みがなく、車両構体の美観を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記構成によれば、溶接歪みによる側外板の変形を抑えて車両構体の美観を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図7】鉄道車両の製造方法の一例を説明する図である。
【
図8】第2実施形態を説明するための図であり、
図2に対応する断面図である。
【
図9】第3実施形態を説明するための図であり、
図2に対応する断面図である。
【
図10】第4実施形態を説明するための図であり、
図2に対応する断面図である。
【
図12】第1実施形態の変形例を説明するための図であり、
図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
鉄道車両を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、車両構体の外面を形成する側外板を備える鉄道車両を開示する。
【0023】
(第1実施形態)
図1に示す鉄道車両1は、車両構体2と車両構体2を支持する台車3とにより構成されている。
【0024】
車両構体2は、鉄道車両1の床部をなす台枠21と、台枠21の軌道方向の両端部に立設されることで、鉄道車両1の連結部を形成する一対の切妻構体24と、台枠21の枕木方向の両端部に立設されることで、鉄道車両1の側面部を形成する一対の側構体22と、切妻構体24および側構体22の上端部に結合されることで、鉄道車両1の屋根部を形成する屋根構体23と、により6面体をなすように構成される。また、車両構体2には、内部の客室に通じる乗客乗降口4および窓6が設けられている。なお、本実施形態における鉄道車両1は、軌道方向の両端部に連結器が形成される中間車両であるが、これに限定されるものではなく、先頭車両であっても良い。
【0025】
側構体22は、車両構体2の外面を形成する側外板25を有する。側外板25には、窓6を取り付けるための窓開口部251が形成されている。側構体22は、製造性を確保するために、第1ブロック32と、第2ブロック33と、第3ブロック34と、第4ブロック35と、が軌道方向に並べられ、突き合わせ溶接部43A,43B,43Cによって結合されている。第1ブロック32と、第2ブロック33と、第3ブロック34と、第4ブロック35とは、それぞれ、第1分割外板321と、第2分割外板331と、第3分割外板341と、第4分割外板351とを備え、それらが突き合わせ溶接されて側外板25を形成している。
【0026】
なお、側構体22を構成するブロックの数や分割位置は、本形態に限定されない。例えば、側構体22のブロック数は、2個でも、4個以上でもよい。例えば、鉄道車両1は、乗客乗降口4が側構体22の両端部や中央部にあってもよい。この場合、側構体22は、各乗客乗降口4で分割されてもよい。この場合、さらに、側構体22は、窓6に対応する位置で分割されてもよい。
【0027】
第1~第4ブロック32~35は、同じブロック結合構造によって結合されている。以下では、第1ブロック32と第2ブロック33とを結合するブロック結合構造5を
図2~
図6を参照しながら説明し、第2ブロック33と第3ブロック34とを結合するブロック結合構造、および、第3ブロック34と第4ブロック35とを結合するブロック結合構造については、説明を割愛する。
図3~
図6は、突き合わせ溶接部43Aのうち、窓開口部251より下側の部分を示しているが、窓開口部251の上側も同様の構造であり、説明は省略する。
【0028】
図2に示すように、ブロック結合構造5は、第1分割外板321および第2分割外板331との突き合わせ溶接部43Aが、車両構体2の内方側から支持組立50によって支持されている。第1分割外板321および第2分割外板331は、車両構体2の内方側に位置する内面321a,331aに支持組立50が当接している。
【0029】
図2および
図3に示すように、第1ブロック32および第2ブロック33は、それぞれ、第1分割外板321および第2分割外板331の車両構体2の内方側に位置する内面321a,331aに、第1横骨322および第2横骨332が軌道方向に延在している。
図3に示すように、第1横骨322および第2横骨332は、高さ方向に所定の間隔を空けて複数配置されている。また、第1ブロック32および第2ブロック33は、内面321a,331aに図示しない縦骨が高さ方向に延在している。第1ブロック32および第2ブロック33は、車両構体2に作用する圧縮荷重および引張荷重に対する強度を、これらの骨部材によって確保している。
【0030】
図2に示す第1分割外板321および第2分割外板331は、ステンレス鋼などにより形成され、1.0mm~2.5mm程度の板厚T11を有する板材である。
【0031】
図3および
図4に示すように、第1横骨322は、ステンレス鋼やアルミなどの金属によって形成されている。第1横骨322は、ハット形状をなし、コの字形に形成された屈曲部322bと、屈曲部322bの両端部に設けられた一対のフランジ部322a,322aと、を有する。第1横骨322は、一対のフランジ部322aが第1分割外板321の内面321aに接合されて、第1分割外板321を支持している。
【0032】
第2ブロック33も、第1ブロック32と同様、第2横骨332が屈曲部332bの両端部に設けられた一対のフランジ部332a,332aを第2分割外板331の内面331aに接合されることにより、第2分割外板331を支持している。
【0033】
図2および
図3に示すように、第1ブロック32および第2ブロック33は、それぞれ、各第1横骨322の端部および各第2横骨332の端部が突き合わせ溶接部43Aから離れた位置に配置されている。そのため、隣り合う第1横骨322と第2横骨332とは、所定の配置間隔W11を空けて配置され、第1横骨322と第2横骨332との間に隙間Sが形成されている。
【0034】
支持組立50は、当接板51と補強部材52と内板53とを有し、突き合わせ溶接部43Aに沿って延在している。支持組立50は、隙間Sに挿入された状態で第1横骨322と第2横骨332とに結合されている。当接板51と補強部材52と内板53とは、ステンレス鋼やアルミなど、同じ金属で形成されている。
【0035】
図2、
図3、および、
図6に示すように、当接板51は、第1分割外板321の内面321aと第2分割外板331の内面331aとに当接する平坦な板材である。
図2および
図3に示すように、当接板51は、第1分割外板321と第2分割外板331との突き合わせ溶接部43Aを覆い隠す大きさを有する。当接板51は、軌道方向の横幅W1が、第1横骨322と第2横骨332との配置間隔W11より小さく、かつ、第1分割外板321と第2分割外板331とに横架できる大きさを有する。
【0036】
図2に示すように、補強部材52は、長手方向に対して直交する方向に切断した断面の断面形状がコの字形をなす。補強部材52は、平坦な中間板部521と、中間板部521の幅方向両端部から車両内方側に向かって立設された一対の側板部522,523と、を備えている。
【0037】
図3および
図6に示すように、補強部材52は、突き合わせ溶接部43Aに沿って第1横骨322と第2横骨332との間に配置され、当接板51を支持している。補強部材52は、中間板部521が当接板51に溶接されている。
【0038】
図2に示すように、補強部材52は、軌道方向の横幅W2が、第1横骨322と第2横骨332との配置間隔W11より小さく、かつ、当接板51の横幅W1以上の大きさを有する。補強部材52は、枕木方向の奥行き寸法D1が、第1横骨322および第2横骨332の枕木方向の寸法D11(隙間Sの奥行き寸法)から当接板51の板厚T1を減算した値に設定されている。よって、補強部材52は、中間板部521が当接板51に当接した状態で、一対の側板部522,523の端部が第1および第2横骨322,332の屈曲部322b,332bの車両内方側の面と略同一の枕木方向の位置になるように配置されている。
【0039】
図2および
図3に示すように、内板53は、突き合わせ溶接部43Aに沿って延在し、第1横骨322と第2横骨332とに結合され、補強部材52を支持する平坦な板材である。内板53は、第1分割外板321の第1横骨322と第2分割外板331の第2横骨332との間に形成される隙間Sを覆うことができる大きさを有する。
【0040】
図2および
図5に示すように、内板53は、第1横骨322の屈曲部322bと第2横骨332の屈曲部332bとにそれぞれ結合され、さらに、補強部材52の一対の側板部522,523の車両内方側の端部と結合されている。
【0041】
図3および
図5に示すように、内板53は、突き合わせ溶接部43Aにて一番上に配置される第1横骨322および第2横骨332の屈曲部322b,332bから一番下に配置される第1横骨322および第2横骨332の屈曲部322b,332bの高さ方向下端部まで延在する全長を有する。内板53によって支持される補強部材52は、内板53と同じ全長を有する。補強部材52と内板53とは、全長が当接板51より短くされ、第1横骨322および第2横骨332に支持されない両端がカットされている。これにより、当接板51の両端部が、第1横骨322のフランジ部322aおよび第2横骨332のフランジ部332aに対して面一に配置され、台枠21の枕木方向端部に配置される側梁をフランジ部322a,332aとに溶接することができる。
【0042】
本形態の内板53は、第1横骨322および第2横骨332の屈曲部322b,332bに対応する位置に穴531が開設されている。内板53は、穴531を用いて第1横骨322と第2横骨332とに対して栓溶接されている。なお、内板53の結合方法は、栓溶接に限らず、隅肉溶接やスポット溶接など他の溶接方法であってもよい。また、内板53は、ビス固定など、溶接以外の方法で結合されてもよい。
【0043】
本形態において、当接板51の板厚T1と、補強部材52の板厚T2と、内板53の板厚T3とは、第1分割外板321および第2分割外板331の板厚T11と同じ大きさで設けられている。これに対して、当接板51の板厚T1は、補強部材52の板厚T52より大きくてもよい。これによれば、第1分割外板321と第2分割外板331とを車両構体2の外側に位置する外面321b、331b側から溶接する際に溶接熱が当接板51から補強部材52に伝わりにくくなるため、補強部材52が当接板51を安定して支持できる。
【0044】
続いて、各ブロック32~35を結合する工程について説明する。
図7に示すように、予め、当接板51と補強部材52の中間板部521とを溶接し、補強部材52の一対の側板部522,523と内板53とを溶接することによって、支持組立50が組み立てられている。
【0045】
第1ブロック32は、第1分割外板321と第1横骨322とを結合して組み立てられる。第2ブロック33は、第2分割外板331と第2横骨332とを結合して組み立てられる。これらと同様に、第3ブロック34と第4ブロック35とが組み立てられる。
【0046】
例えば、第1ブロック32と第2ブロック33とを結合する場合、まず、第1ブロック32と第2ブロック33とを軌道方向に並べ、第1分割外板321と第2分割外板331とを隣接させる。この際、側構体22のキャンバーの調整も行われてもよい。
【0047】
第1ブロック32および第2ブロック33は、第1横骨322と第2横骨332との間に隙間Sが形成されている。支持組立50は、その隙間Sに当接板51と補強部材52とを挿入することによって、当接板51が第1分割外板321の内面321aと第2分割外板331の内面331aとに当接される。この状態で、支持組立50は、内板53の穴531が第1横骨322の屈曲部322bと第2横骨332の屈曲部332bとに重なるように、高さ方向の位置を調整される。
【0048】
内板53は、各穴531を利用して第1横骨322と第2横骨332とにそれぞれ栓溶接される。これにより、当接板51は、第1分割外板321と第2分割外板331とに溶接によって仮留めされていなくても、補強部材52と内板53とを介して第1横骨322と第2横骨332とに支持されることで、第1分割外板321の内面321aと第2分割外板331の内面331aとに当接する状態を維持できる。
【0049】
その後、第1分割外板321と第2分割外板331とが、外面321b,331b側から突き合わせ溶接部43Aをアーク溶接され、結合される。この際、支持組立50の当接板51が、第1分割外板321および第2分割外板331の内面321a,331aに当接している。つまり、当接板51は、突き合わせ溶接部43Aのすぐ裏側に配置されている。そのため、アーク溶接時に第1分割外板321と第2分割外板331との結合部分の溶け落ちが当接板51によって防止される。
【0050】
当接板51は、第1分割外板321および第2分割外板331が当接する面と反対側の面に、補強部材52が当接し、補強部材52と内板53とを介して第1横骨322と第2横骨332とに支持されている。そのため、溶接熱は、第1分割外板321と第2分割外板331とから当接板51に伝わっても、補強部材52まで伝わりにくい。
【0051】
よって、例えば、当接板51が溶接熱に加熱されて変形しようとしても、補強部材52が変形せずに当接板51を支持できる。そのため、第1分割外板321と第2分割外板331は、外面321b,331b側から溶接される場合に、内面321a,331a側への変形を抑制されるので、車両構体2の美観を確保できる。
【0052】
また、支持組立50は、当接板51と補強部材52と内板53とを予め溶接して先組し、第1横骨322と第2横骨332とに結合され、当接板51が補強部材52と内板53とによって支持される。そのため、突き合わせ溶接部43Aと別に、当接板51を第1分割外板321と第2分割外板331にスポット溶接などで溶接する必要がなく、溶接痕や溶接歪みが側外板25に生じないので、車両構体2の美観を確保できる。
【0053】
さらに、当接板51を第1分割外板321と第2分割外板331とに溶接する必要がないので、第1ブロック32および第2ブロック33は、当接板51を第1分割外板321と第2分割外板331とに溶接する場合よりも、第1横骨322の端部と第2横骨332の端部とを突き合わせ溶接部43Aに近づけて配置できる。これにより、第1横骨322と第2横骨332との配置間隔W11を狭めることができ、隙間Sを小さくできる。第1ブロック32および第2ブロック33は、それぞれ、第1分割外板321および第2分割外板331が第1横骨322および第2横骨332によって支持される領域が増え、圧縮変形や引張変形に対する強度が向上する。
【0054】
上記と同様にして、第2ブロック33と第3ブロック34との結合、第3ブロック34と第4ブロック35との結合を行い、側構体22が組み立てられる。なお、各ブロック32~35を結合する順序は、本形態と異なっても良い。第2ブロック33と第3ブロック34とを結合する場合、第2分割外板331が「第1分割外板」の一例となり、第3分割外板341が「第2分割外板」の一例となり、それらに接合する横骨が「第1横骨」と「第2横骨」との一例となる。第3ブロック34と第4ブロック35との結合する場合、第3分割外板341が「第1分割外板」の一例となり、第4分割外板351が「第2分割外板」の一例となり、それらに接合する横骨が「第1横骨」と「第2横骨」との一例となる。
【0055】
このように組み立てた側構体22は、台枠21、切妻構体24、屋根構体23と共に組み立てられ、車両構体2を構成する。台枠21に台車3を取り付け、鉄道車両1を組み立てる。
【0056】
このように製造された鉄道車両1は、支持組立50の内板53が第1横骨322と第2横骨332とに掛け渡され、栓溶接によって第1横骨322と第2横骨332とに強固に結合されている。そのため、例えば車両衝突時に枕木方向に作用する荷重が突き合わせ溶接部43Aに作用しても、内板53が当接板51と補強部材52との変形を抑制するので、支持組立50が突き合わせ溶接部43Aを支持し続けることができる。よって、鉄道車両1は、衝突時に突き合わせ溶接部43Aで破断することを抑制できる。
【0057】
しかも、先組される支持組立50が突き合わせ溶接部43Aを支持することにより、突き合わせ溶接部43Aにて第1横骨322と第2横骨332とを近づけて配置できる。これにより、第1横骨322と第2横骨332との配置間隔W11が狭くなり、隙間Sが小さくなる。よって、例えば衝突時に突き合わせ溶接部43Aに荷重が枕木方向に作用した場合に、突き合わせ溶接部43A付近で第1分割外板321と第2分割外板331とが変形しにくくなり、車両構体2が突き合わせ溶接部43Aにて破断することを抑制できる。
【0058】
以上説明したように、本形態の鉄道車両1は、支持組立50が突き合わせ溶接部43Aに沿って延在し、当接板51が第1分割外板321の内面321aと第2分割外板331の内面331aとに当接して突き合わせ溶接部43Aを車両構体2の内方側から支持している。当接板51は、補強部材52と内板53とを介して第1横骨322と第2横骨332とに支持されているので、第1分割外板321と第2分割外板331とを溶接する場合に溶接熱で軟化しても、補強部材52と内板53とによって変形を抑制される。当接板51は、第1分割外板321と第2分割外板331とを突き合わせ溶接する前に、第1分割外板321と第2分割外板331とに対して溶接によって仮留めされていなくても、補強部材52と内板53とを介して第1横骨322と第2横骨332とに支持されることによって、第1分割外板321と第2分割外板331とに当接する状態で配置される。そのため、当接板51の仮留めに伴う溶接痕や溶接歪みが側外板25に生じない。よって、本形態の鉄道車両1によれば、溶接歪みによる側外板25の変形を抑えて車両構体2の美観を確保することができる。
【0059】
本形態の鉄道車両1は、突き合わせ溶接部43Aが当接板51と補強部材52の中間板部521とによって二重に支持されているので、溶接時に当接板51が補強部材52に支持されて変形しにいくい。よって、本形態の鉄道車両1によれば、側外板25の変形を抑制して車両構体2の美観を確保できる。
【0060】
なお、支持組立50は、側外板25より車両構体2の内方側に配設され、車両構体2の組立後、外部から視認できない。そのため、支持組立50は、溶接痕や、溶接歪みや、固定用のビスなどがあっても、車両構体2の美観に影響しない。
【0061】
(第2実施形態)
次に、鉄道車両の第2実施形態について、
図8を参照して説明する。第2実施形態の鉄道車両は、第1および第2フランジ部152a,152bを有する補強部材152を用いた支持組立150によって突き合わせ溶接部43Aを支持するブロック結合構造105を備えている。この点が、フランジ部を有していない補強部材52を用いた支持組立50によって突き合わせ溶接部43Aを支持するブロック結合構造5を備える第1実施形態の鉄道車両1と相違する。ここでは、第1実施形態と異なる点を説明し、第1実施形態と共通する構成は図面に第1実施形態と同じ符号を使用し、適宜説明を省略する。
【0062】
補強部材152は、隙間Sに挿入されるコの字形部分の横幅が第1実施形態より小さい。補強部材152は、一方の側板部522の車両内方側端部から軌道方向一側(第1横骨322側)に向けて内板53と略平行に第1フランジ部152aが延設され、他方の側板部523の車両内方側端部から軌道方向他側(第2横骨332側)に向けて内板53と略平行に第2フランジ部152bが延設されている。補強部材152は、第1フランジ部152aと第2フランジ部152bとが内板53に結合されている。結合方法は、本形態では栓溶接であるが、他の溶接方法でもよいし、ビス固定など溶接以外の結合方法でもよい。
【0063】
このような鉄道車両は、補強部材152が第1フランジ部152aと第2フランジ部152bとを介して内板53に結合されることで、補強部材152と内板53との接合面積が増え、接合強度が大きくなる。そのため、例えば、突き合わせ溶接部43Aに対して枕木方向に荷重が作用しても、補強部材152と内板53との結合部分が破断しにくく、支持組立150が突き合わせ溶接部を支持できる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、鉄道車両の第3実施形態について、
図9を参照して説明する。第3実施形態の鉄道車両は、第1横骨322と第2横骨332とに結合する補強部材252を用いた支持組立250によって突き合わせ溶接部43Aを支持するブロック結合構造205を備えている。この点が、第1横骨322と第2横骨332とに結合しない補強部材52を用いた支持組立50によって突き合わせ溶接部43Aを支持するブロック結合構造5を備える第1実施形態の鉄道車両1と相違する。ここでは、第1実施形態と異なる点を説明し、第1実施形態と共通する構成は図面に第1実施形態と同じ符号を使用し、適宜説明を省略する。
【0065】
補強部材252は、一方の側板部522に第1フランジ部252aが設けられ、他方の側板部523に第2フランジ部252bが設けられている。補強部材252は、第1フランジ部252aが内板53と共に第1横骨322に接合され、第2フランジ部152bが内板53と共に第2横骨332に結合されている。第1フランジ部252aと第2フランジ部252bは、それぞれ、栓溶接用の穴252c,252dが内板53の穴531に対応する位置に設けられている。結合方法は、本形態では栓溶接であるが、他の溶接でもよいし、ビス固定など溶接以外の結合方法でもよい。
【0066】
このような鉄道車両は、当接板51と補強部材252と内板53とを結合することによって、支持組立250が組み立てられる。この際、第1フランジ部252aの穴252cと第2フランジ部252bの穴252dとが内板53の穴531に対して位置合わせされた状態で、第1フランジ部252aと第2フランジ部252bとが内板53に結合されている。
【0067】
支持組立250は、当接板51と補強部材252とを隙間Sに挿入し、穴252c,252d、531を利用して、第1フランジ部252aと第2フランジ部252bとを内板53と共に第1横骨322と第2横骨332とに栓溶接によって結合する。その後、第1分割外板321と第2分割外板331とを溶接する。
【0068】
これにより、本形態の鉄道車両は、例えば衝突時に突き合わせ溶接部43Aに対して枕木方向の荷重が作用しても、補強部材252が第1横骨322と第2横骨332と内板53とに支持されて変形しにくい。よって、本形態の鉄道車両によれば、例えば衝突時に車両構体2が突き合わせ溶接部43Aで破断することを抑制できる。
【0069】
(第4実施形態)
次に、鉄道車両の第4実施形態について、
図10および
図11を参照して説明する。第4実施形態の鉄道車両は、
図10に示すように、補強部材252が内部補強部材311によって補強された支持組立350を用いて突き合わせ溶接部43Aを支持するブロック結合構造305を有している。この点が、補強部材252が補強されていない支持組立250によって突き合わせ溶接部43Aを支持するブロック結合構造205を備える第3実施形態の鉄道車両1と相違する。ここでは、第3実施形態と異なる点を説明し、第3実施形態と共通する構成は図面に第3実施形態と同じ符号を使用し、適宜説明を省略する。
【0070】
内部補強部材311は、補強部材252と内板53との間に形成される内部空間部S1に、補強部材252の内周面と内板53とに接触する状態で配置され、補強部材252を補強している。
【0071】
図10に示すように、内部補強部材311は、略四角形の補強板部312と、補強板部312の車両内方側の端部から内板53に沿うように屈曲して設けられた接合部313と、を有するL字形状をなす。
図11に示すように、補強板部312は、接合部313が設けられた辺と対抗する辺の両側に位置する角部を切り欠いて、切り欠き部314が設けられている。
【0072】
支持組立350は、次のように組み立てられる。内部補強部材311は、切り欠き部314が両端部に設けられた辺側から、一対の側板部522,523の間に挿入される。この際、補強部材252の角部に対応する位置が切り欠き部314によって切り欠かれているので、内部補強部材311は、補強部材252の中間板部521を突き当たる位置まで、内部空間部S1に挿入できる。
【0073】
補強部材252は、軌道方向に隣接する第1横骨322と第2横骨332とに対応する位置にそれぞれ、内部補強部材311が配置されて溶接により結合されている。結合方法は、ビス固定など、溶接以外の方法でもよい。
【0074】
補強部材252は、当接板51が中間板部521に結合される。さらに、内板53は、第1および第2フランジ部252a,252bに形成した穴252c、252dに対して穴531をそれぞれ位置合わせした状態で、第1および第2フランジ部252a,252bと内部補強部材311の接合部313とに結合される。結合方法は、溶接でも、溶接以外の方法でもよい。支持組立350は、第3実施形態の支持組立250と同様に、第1横骨322と第2横骨332とに結合される。
【0075】
このような本形態の鉄道車両は、例えば衝突時に突き合わせ溶接部43Aに対して枕木方向に作用する荷重を、補強部材252だけでなく、内部補強部材311でも受けることができるので、衝突に伴う補強部材252の変形を抑制し、突き合わせ溶接部43Aで車両構体2が破断することを回避できる。
【0076】
なお、上記実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、
図12に示すように、支持組立50は、中間板部521を内板53に結合し、一対の側板部522,523を当接板51に接合してもよい。この場合、一対の側板部522,523は、突き合わせ溶接部43Aの両側に配置されるように、当接板51に接合される。これによれば、補強部材52の一対の側板部522,523が、突き合わせ溶接部43Aを挟んで対称位置で当接板51を支持し、当接板51が第1分割外板321および第2分割外板331と共に変形することを抑制でき、車両構体2の美観を確保できる。
【符号の説明】
【0077】
1 鉄道車両
2 車両構体
22 側構体
25 側外板
43A 突き合わせ溶接部
50 支持組立
51 当接板
52 補強部材
53 内板
321 第1分割外板
321a 内面
322 第1横骨
331 第2分割外板
331a 内面
332 第2横骨
【要約】
【課題】溶接歪みによる側外板の変形を抑えて車両構体の美観を確保すること。
【解決手段】鉄道車両1の側外板25は、軌道方向に隣接して並ぶ第1分割外板321と第2分割外板331とが突き合わせ溶接されている。第1分割外板321の内面321aと第2分割外板331の内面331aには、第1横骨322と第2横骨332が軌道方向に延在している。支持組立50は、第1分割外板321と第2分割外板331との突き合わせ溶接部43Aに沿って延在し、突き合わせ溶接部43Aを支持する。支持組立50は、第1分割外板321の内面321aと第2分割外板331の内面331aとに当接する当接板51と、第1横骨322と第2横骨332との間に配設され、当接板51を支持する補強部材52と、第1横骨322と第2横骨332とに結合され、補強部材52を支持する内板53と、を有する。
【選択図】
図2