(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】試験装置、試験方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20240730BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240730BHJP
【FI】
G01M11/00 T
H01L33/00 K
(21)【出願番号】P 2023183582
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2021003813の分割
【原出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 宏太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮内 康司
(72)【発明者】
【氏名】歌丸 剛
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0371152(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0027543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00-G01M 11/08
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
H01L 33/00
H01L 33/48-H01L 33/64
G01R 31/26-G01R 31/27
G01R 31/28-G01R 31/3193
H01L 21/64-H01L 21/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気的に接続される電気接続部と、
前記複数の発光素子に対して一括して光を照射する光源部と、
前記複数の発光素子のそれぞれが、前記光源部によって照射された光を光電変換し、前記電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定部と、
前記光源部が発する前記光の強度を変化させる光源制御部と、
前記光源制御部により前記強度を変化させた場合における
、2以上の異なる前記強度のそれぞれについて前記測定部によ
り測定された前記複数の発光素子のそれぞれの2以上の前記光電信号の測定結果に基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定部と
を備える試験装置。
【請求項2】
前記判定部は、
2以上の異なる前記強度のそれぞれにおける前記測定結果に基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれの光電ゲインを算出し、
前記複数の発光素子のうち、前記光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定する、
請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記2以上の異なる強度の何れにおいても前記光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定する、
請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記複数の発光素子のうち、2以上の異なる前記強度のそれぞれにおいて測定された前記光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定する、
請求項1に記載の試験装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記2以上の異なる強度の何れにおいても前記光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定する、
請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記正常範囲として、前記複数の発光素子がそれぞれ出力する前記光電信号に応じた統計量を基準とした範囲を用いる、
請求項2から5の何れか一項に記載の試験装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記正常範囲として、前記測定部が発光素子群の中から順次試験対象となる前記複数の発光素子の組を変えながら複数回測定した測定結果における、前記複数の発光素子の組間で同じ位置に配置された発光素子が出力する前記光電信号に応じた統計量を基準とした範囲を用いる、
請求項2から5の何れか一項に記載の試験装置。
【請求項8】
試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気接続部を電気的に接続する電気接続段階と、
前記複数の発光素子に対して一括して光を照射する照射段階と、
前記複数の発光素子のそれぞれが、照射された光を光電変換し、前記電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定段階と、
前記照射段階で照射する前記光の強度を変化させる光源制御段階と、
前記光源制御段階で前記強度を変化させた場合における
、2以上の異なる前記強度のそれぞれについて前記測定段階
で測定された前記複数の発光素子のそれぞれの2以上の前記光電信号の測定結果に基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定段階と
を備える試験方法。
【請求項9】
前記光源部は、前記複数の発光素子の反応波長帯域の光を前記複数の発光素子に対して照射する、請求項1から7
の何れか一項に記載の試験装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子が前記光を照射されることによって昇温することを抑制する温度制御部を更に備える、請求項1から7
、および、9の何れか一項に記載の試験装置。
【請求項11】
前記温度制御部は、前記複数の発光素子に向けて風を送る送風機構を含み、
前記複数の発光素子が前記送風機構により風を送られることによって静電気を帯びることを抑止する静電気除去部を更に備える、請求項
10に記載の試験装置。
【請求項12】
複数の発光素子を試験する試験装置により実行され、前記試験装置に請求項
8に記載の試験方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置、試験方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象となる一対のLEDの一方を発光させて他方で受光し、光電効果により出力される電流の電流値を用いてLEDの光学特性を検査する方法が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特表2019-507953号公報
[特許文献2] 特開2010-230568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の方法では、各LEDを順に発光させて検査を行う必要があり、複数のLEDの光学特性を一括して検査することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様においては、試験装置が提供される。試験装置は、試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気的に接続される電気接続部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子に対して一括して光を照射する光源部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子のそれぞれが、光源部によって照射された光を光電変換し、電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定部を備えてもよい。試験装置は、光源部によって複数の発光素子のそれぞれの位置に照射される光の強度のばらつきを補正するための補正値を含む補正マップを取得する取得部を備えてもよい。試験装置は、測定部による測定結果、および、取得部によって取得された補正マップに基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定部を備えてもよい。
【0005】
判定部は、測定部が複数の発光素子のそれぞれについて測定した光電信号の測定値を、補正マップ中の複数の発光素子のそれぞれの位置に対する補正値を用いて補正し、補正された光電信号の測定値に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定してもよい。
【0006】
判定部は、複数の発光素子のうち、測定された光電信号を補正マップによって補正した補正値が正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0007】
判定部は、正常範囲として、複数の発光素子がそれぞれ出力する光電信号を補正マップによって補正した補正値に応じた統計量を基準とする範囲を用いてもよい。
【0008】
判定部は、正常範囲として、測定部が発光素子群の中から順次試験対象となる複数の発光素子の組を変えながら複数回測定した測定結果における、複数の発光素子の組間で同じ位置に配置された発光素子が出力する光電信号を補正マップによって補正した補正値に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。
【0009】
試験装置は、光源部によって複数の発光素子のそれぞれの位置に照射される光の強度を測定する第2測定部を更に備えてもよい。試験装置は、第2測定部による第2測定結果に基づいて補正マップを生成する生成部を更に備えてもよい。
【0010】
第2測定部は、複数の発光素子と同じ数のセンサを有してもよい。複数のセンサのそれぞれは、複数の発光素子のそれぞれの位置と同じ位置に配置されてもよい。
【0011】
第2測定部は、複数の発光素子のそれぞれの位置に照射される光の強度を一括して測定するための二次元輝度計を有してもよい。
【0012】
試験装置は、光源部によって複数の発光素子のそれぞれの位置に照射される光のうちの一部である、幾つかの発光素子の位置に照射される光の強度を測定する第2測定部を更に備えてもよい。試験装置は、第2測定部による第2測定結果に基づいて、複数の発光素子のうち、幾つかの発光素子以外の残りの発光素子の位置に照射される光の強度を補間し、補正マップを生成する生成部を更に備えてもよい。
【0013】
第2測定部は、複数の発光素子よりも少ない数のセンサを有してもよい。複数のセンサのそれぞれは、幾つかの発光素子の位置に配置されてもよい。複数のセンサは、互いに予め定められた間隔だけ離間してもよい。
【0014】
第2測定部は、幾つかの発光素子の位置に照射される光の強度を一括して測定するための二次元輝度計を有してもよい。二次元輝度計の画素数は、複数の発光素子のそれぞれの位置に照射される光の強度を一括して測定するための他の二次元輝度計の画素数よりも少なくてもよい。
【0015】
試験装置は、複数の発光素子のそれぞれの位置を順に移動することにより、光源部によって複数の発光素子のそれぞれの位置に照射される光の強度を順に測定する第2測定部を更に備えてもよい。試験装置は、第2測定部による第2測定結果に基づいて補正マップを生成する生成部を更に備えてもよい。
【0016】
試験装置は、均一性が校正された面光源によって、第2測定部の複数のセンサによる測定値をキャリブレーションする校正部を更に備えてもよい。
【0017】
試験装置は、測定部が発光素子群の中から順次試験対象となる複数の発光素子の組を変えながら複数回測定した測定結果における、複数の発光素子の組間で同じ位置に配置された発光素子が出力する光電信号の平均値に基づいて補正マップを生成する生成部を更に備えてもよい。
【0018】
本発明の一態様においては、試験方法が提供される。試験方法は、試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気接続部を電気的に接続する電気接続段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子に対して一括して光を照射する照射段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子のそれぞれが、照射された光を光電変換し、電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子のそれぞれの位置に照射される光の強度のばらつきを補正するための補正値を含む補正マップを取得する取得段階を備えてもよい。試験方法は、測定段階の測定結果、および、取得段階で取得された補正マップに基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定段階を備えてもよい。
【0019】
本発明の一態様においては、試験装置が提供される。試験装置は、試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気的に接続される電気接続部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子に対して一括して光を照射する光源部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子のそれぞれが、光源部によって照射された光を光電変換し、電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定部を備えてもよい。試験装置は、光源部が発する光の強度を変化させる光源制御部を備えてもよい。試験装置は、光源制御部により強度を変化させた場合における測定部による測定結果に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定部を備えてもよい。
【0020】
判定部は、2以上の異なる強度のそれぞれにおける測定結果に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの光電ゲインを算出し、複数の発光素子のうち、光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0021】
判定部は、2以上の異なる強度の何れにおいても光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0022】
判定部は、複数の発光素子のうち、2以上の異なる強度のそれぞれにおいて測定された光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0023】
判定部は、2以上の異なる強度の何れにおいても光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0024】
判定部は、正常範囲として、複数の発光素子がそれぞれ出力する光電信号に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。
【0025】
判定部は、正常範囲として、測定部が発光素子群の中から順次試験対象となる複数の発光素子の組を変えながら複数回測定した測定結果における、複数の発光素子の組間で同じ位置に配置された発光素子が出力する光電信号に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。
【0026】
本発明の一態様においては、試験方法が提供される。試験方法は、試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気接続部を電気的に接続する電気接続段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子に対して一括して光を照射する照射段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子のそれぞれが、照射された光を光電変換し、電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定段階を備えてもよい。試験方法は、照射段階で照射する光の強度を変化させる光源制御段階を備えてもよい。試験方法は、光源制御段階で強度を変化させた場合における測定段階の測定結果に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定段階を備えてもよい。
【0027】
本発明の一態様においては、試験装置が提供される。試験装置は、試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気的に接続される電気接続部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子に対して一括して光を照射する光源部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子のそれぞれが、光源部によって照射された光を光電変換し、電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定部を備えてもよい。試験装置は、光源部が発する光の波長を、複数の発光素子の予め定められた反応波長を含む予め定められた範囲内で変化させる光源制御部を備えてもよい。試験装置は、光源制御部により波長を変化させた場合における測定部による測定結果に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定部を備えてもよい。
【0028】
判定部は、2以上の異なる波長のそれぞれにおける測定結果に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの光電ゲインを算出し、複数の発光素子のうち、光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0029】
判定部は、2以上の異なる波長の何れにおいても光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0030】
判定部は、複数の発光素子のうち、2以上の異なる波長のそれぞれにおいて測定された光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0031】
判定部は、2以上の異なる波長の何れにおいても光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つの発光素子を不良と判定してもよい。
【0032】
判定部は、正常範囲として、複数の発光素子がそれぞれ出力する光電信号に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。
【0033】
判定部は、正常範囲として、測定部が発光素子群の中から順次試験対象となる複数の発光素子の組を変えながら複数回測定した測定結果における、複数の発光素子の組間で同じ位置に配置された発光素子が出力する光電信号に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。
【0034】
本発明の一態様においては、試験方法が提供される。試験方法は、試験対象となる複数の発光素子のそれぞれの端子に電気接続部を電気的に接続する電気接続段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子に対して一括して光を照射する照射段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子のそれぞれが、照射された光を光電変換し、電気接続部を介して出力する光電信号を測定する測定段階を備えてもよい。試験方法は、照射段階で照射する光の波長を、複数の発光素子の予め定められた反応波長を含む予め定められた範囲内で変化させる光源制御段階を備えてもよい。試験方法は、光源制御段階で波長を変化させた場合における測定段階の測定結果に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定する判定段階を備えてもよい。
【0035】
光源部は、複数の発光素子の反応波長帯域の光を複数の発光素子に対して照射してもよい。
【0036】
試験装置は、複数の発光素子が光を照射されることによって昇温することを抑制する温度制御部を更に備えてもよい。
【0037】
温度制御部は、複数の発光素子に向けて風を送る送風機構を含んでもよい。試験装置は、複数の発光素子が送風機構により風を送られることによって静電気を帯びることを抑止する静電気除去部を更に備えてもよい。
【0038】
本発明の一態様においては、複数の発光素子を試験する試験装置により実行され、試験装置に上記の試験方法を実行させるためのプログラムが提供される。
【0039】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】複数のLED10を試験する試験装置100の概略を示す全体図の一例である。
【
図2】載置部150、載置部150上に載置されたLED群、および、LED群中の特定の複数のLED10の組に複数のプローブ113が接触している状態の電気接続部110の、側面図の一例(A)および平面図の一例(B)である。
【
図3】載置部150、および、載置部150上に載置された光強度測定ユニット170の平面図の一例である。
【
図4】試験装置100による試験方法のフローを説明するフロー図の一例である。
【
図5】試験装置100による、補正マップを生成して各LED10の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の一例である。
【
図6】試験装置100による、光強度測定ユニット170の複数のセンサ173の測定値をキャリブレーションするための補正値を算出するフローを説明するフロー図の一例である。
【
図7】複数のLED20を試験する試験装置200の概略を示す全体図の一例である。
【
図8】載置部150、および、載置部150上に載置された光強度測定ユニット175の平面図の一例である。
【
図9】試験装置200による試験方法のフローを説明するフロー図の一例である。
【
図10】試験装置200による、補正マップを生成して各LED10の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の一例である。
【
図11】試験装置200による、補正マップを生成して各LED10の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の他の例である。
【
図12】試験装置200による、補正マップを生成して各LED10の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の更に他の例である。
【
図13】試験装置200による試験方法のフローを説明するフロー図の他の例である。
【
図14】試験装置200による試験方法のフローを説明するフロー図の更に他の例である。
【
図15】複数のLED30を試験する試験装置300の概略を示す全体図の一例である。
【
図16】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0042】
図1は、複数のLED10を試験する試験装置100の概略を示す全体図の一例である。
図1では、紙面に向かって右方向が+X方向となるX軸と、紙面に向かって上方向が+Z方向となるZ軸と、紙面に向かって奥行き方向が+Y方向となるY軸とが、互いに直交するように示されている。以降では、これらの3軸を用いて説明する場合がある。
【0043】
試験装置100は、LED10の光電効果を利用し、光を照射したLED10から出力される光電信号に基づいて、複数のLED10の光学特性を一括して試験する。試験装置100は、電気接続部110と、光源部120と、温度制御部126と、測定部130と、制御部140と、格納部145と、載置部150と、遮蔽部160とを備える。試験装置100は、温度制御部126と、格納部145と、載置部150と、遮蔽部160とを備えなくてもよい。
【0044】
本実施形態における試験装置100は、例えばバックプレーンによる配線を設ける前のLEDウェハであるウェハ15に複数のLED10が形成されたLED群が載置部150上に載置された状態で、LED群中の特定の複数のLED10の組の光学特性を一括して試験する。本実施形態におけるLED10は、寸法が100μm以下のマイクロLEDである。なお、LED10は、マイクロLEDに代えて、寸法が100μmよりも大きく200μm以下のミニLEDや、寸法が200μmよりも大きいLEDであってもよく、その他に、LD等の他の発光素子であってもよい。
【0045】
また、本実施形態における複数のLED10は、ウェハ15上で、互いに電気的に接続されていない。なお、複数のLED10は、電気配線が設けられたウェハに、または、略方形の外形を有するガラスベースのパネル(PLP)に形成され、互いに電気的に接続されてユニット化またはセル化されていてもよく、この場合、例えばRGBそれぞれの単色ウェハからレーザーリフトオフして転送する技術やRGBいずれかの単色ウェハ上で染色したり蛍光塗料を塗布したりする技術によって、RGBの各色が混ぜ込まれていてもよい。
【0046】
電気接続部110は、例えばプローブカード(プローブ基板)であって、試験対象となる複数のLED10のそれぞれの端子11に電気的に接続される。なお、本願明細書において、「電気的に接続される」と定義する場合、接触することで電気的に接続されること、または、非接触で電気的に接続されること、を意図する。本実施形態における電気接続部110は、複数のLED10のそれぞれの端子11に接することで電気的に接続されるが、例えば電磁誘導や近距離無線通信により非接触で電気的に接続されてもよい。
【0047】
本実施形態における電気接続部110はまた、載置部150がLED群を載置された状態で移動することによって、載置部150上に載置されたLED群の中から順次試験対象となる接続先の複数のLEDの組を切り替える。本実施形態における電気接続部110は、光源部120および複数のLED10の間に配置され、基板111と、複数のプローブ113とを有する。
【0048】
基板111は、光源部120からの光を複数のLED10に向かって通過させる開口112を有する。
図1では、開口112を破線で示す。
【0049】
複数のプローブ113は、基板111から開口112内に露出する複数のLED10のそれぞれに向かって延伸し、当該複数のLED10のそれぞれの端子11に接触する。各プローブ113における、端子11に接触する一端の反対側の他端は、基板111に設けられた電気配線に電気的に接続される。複数のプローブ113の複数の電気配線は、基板111の側面から延出し、測定部130に電気的に接続される。
【0050】
なお、複数のプローブ113は、複数のLED10のそれぞれの受光量を互いに等しくすべく、互いに同じ形状および寸法を有し、且つ、接触するLED10との間の距離が互いに等しいことが好ましい。また、複数のプローブ113はそれぞれ、プローブ113の表面で光が乱反射しないようにメッキをしたり色を塗ったりすることが好ましい。
【0051】
光源部120は、複数のLED10に対して一括して光を照射する。本実施形態における光源部120は、複数のLEDの反応波長帯域の光を複数のLEDに対して照射する。本実施形態における光源部120は、光源121と、レンズユニット123とを有する。
【0052】
光源121は、複数のLED10の反応波長帯域の光を発する。光源121は、例えばキセノン光源のように広い波長帯域の光を発する光源であってもよく、レーザー光源のように狭い波長帯域の光を発する光源であってもよい。光源121は、互いに波長が異なる複数のレーザー光源を含んでもよい。
【0053】
レンズユニット123は、1又は複数のレンズを含み、光源121の照射部に隣接して設けられ、光源121から照射される拡散光を平行光122にする。
図1では、平行光122を斜線で示す。当該平行光122のXY平面における投影面は、少なくとも基板111の開口112を覆う。
【0054】
温度制御部126は、複数のLED10が光を照射されることによって昇温することを抑制する。本実施形態における温度制御部126は、温度抑制フィルタ125と、フィルタ保持部124とを有する。温度抑制フィルタ125は、光の透過率が高く、入射光の熱線を吸収する。フィルタ保持部124は、レンズユニット123に隣接して設けられ、温度抑制フィルタ125を保持する。なお、温度制御部126は、温度抑制フィルタ125が吸収した熱を冷却する冷却器を更に有してもよい。
【0055】
温度制御部126は、複数のLED10の温度を一定に保つべく、当該構成に代えて又は加えて、複数のLED10の温度を調整する温度印加装置や、複数のLED10に向けて風を送る送風機構などを有してもよい。送風機構を用いる場合、温度制御部126は、複数のLED10が送風機構により風を送られることによって静電気を帯びることを抑止する静電気除去部を更に有してもよい。静電気除去部は、例えばイオナイザであってもよい。上記の温度印加装置は、複数のLED10に接触する態様で、載置部150や基板111などに設けてもよい。また、上記の送風機構は、複数のLED10に接触しない態様で、載置部150の側方に設けてもよい。
【0056】
測定部130は、複数のLED10のそれぞれが、光源部120によって照射された光を光電変換し、電気接続部110を介して出力する光電信号を測定する。本実施形態における測定部130は、電気接続部110が順次接続される複数のLED10の組からの光電信号を測定する。
【0057】
より具体的には、本実施形態における測定部130は、電気接続部110の各プローブ113に電気的に接続された電気配線に接続されており、載置部150上に載置されたLED群のうち、複数のプローブ113に接触するように切り替えられた複数のLED10の組から出力される電流の電流値を測定する。なお、測定部130は、当該電流値に代えて、当該電流値に対応する電圧値を測定してもよい。
【0058】
本実施形態による測定部130は更に、光源部120によって複数のLED10のそれぞれの位置に照射される光の強度を測定する。なお、測定部130は、第2測定部の一例としても機能する。
【0059】
制御部140は、試験装置100の各構成を制御する。本実施形態における制御部140は、光源部120の光源121を制御することにより、複数のLED10に一括して照射する平行光122の照射時間、波長および強度を制御する。本実施形態における制御部140はまた、載置部150を制御することにより、載置部150上に載置されたLED群の中から順次試験対象となる複数のLED10の組を切り替えるように制御する。より具体的には、制御部140は、当該組のそれぞれのLED10の端子11にプローブ113が接触するように載置部150を駆動する。なお、制御部140は、格納部145の参照データを参照することにより、複数のプローブ113の空間内の位置座標、および、複数のプローブ113のそれぞれと載置部150上の各LED10との相対位置を把握してもよい。
【0060】
制御部140は更に、光源部120によって複数のLED10のそれぞれの位置に照射される光の強度のばらつきを補正するための補正値を含む補正マップを取得する。本実施形態における制御部140は、予め、測定部130による測定結果に基づいて当該補正マップを生成し、当該補正マップを格納部145に格納しておく。本実施形態における制御部140は、複数のLED10の測定結果を取得した場合に、格納部145から当該補正マップを取得する。なお、当該補正マップは、光源121と同じ光源を有する外部の装置によって生成されて保有されていてもよく、この場合、制御部140は当該外部の装置から当該補正マップを取得してもよい。
【0061】
制御部140は更に、測定部130による測定結果および上記の補正マップに基づいて、複数のLED10のそれぞれの良否を判定する。より具体的には、本実施形態における制御部140は、測定部130が複数のLED10のそれぞれについて測定した光電信号の測定値を、補正マップ中の複数のLED10のそれぞれの位置に対する補正値を用いて補正する。本実施形態における制御部140は更に、補正された光電信号の測定値に基づいて、複数のLED10のそれぞれの良否を判定する。
【0062】
本実施形態における制御部140は更に、複数のLED10のうち、測定された光電信号を補正マップによって補正した補正値が正常範囲外となった少なくとも1つのLEDを不良と判定する。制御部140は、格納部145を参照することにより、これらの構成をシーケンス制御する。なお、制御部140は、取得部、判定部および生成部の一例として機能する。
【0063】
格納部145は、上述の補正マップ、複数のLED10のそれぞれの良否を判定するための参照データ、判定結果、載置部150を移動させるための参照データ、試験装置100における各構成を制御するためのシーケンスやプログラムなどを格納する。格納部145は、制御部140により参照される。
【0064】
載置部150は、LED群が載置される。図示の例における載置部150は、平面視において、略円形の外形を有するが、他の外形であってもよい。載置部150は、真空チャック、静電チャック等の保持機能を有し、載置されたLED群のウェハ15を保持する。また、載置部150は、制御部140によって駆動制御されることで、XY平面内を二次元的に移動し、且つ、Z軸方向に昇降する。なお、
図1では、載置部150のZ軸負方向側の図示を省略する。また、
図1では、載置部150の移動方向を白抜きの矢印で示す。以降の図においても同様とする。
【0065】
遮蔽部160は、光源部120からの光以外の光を遮蔽する。本実施形態における遮蔽部160は、表面が全て黒塗りされており、表面での光の乱反射を防ぐ。また、
図1に示すように、本実施形態における遮蔽部160は、光源121の外周および基板111の外周のそれぞれに密着するように設けられ、当該構成によって、光源部120からの光以外の光を遮蔽する。
【0066】
図2は、載置部150、載置部150上に載置されたLED群、および、LED群中の特定の複数のLED10の組に複数のプローブ113が接触している状態の電気接続部110の、側面図の一例(A)および平面図の一例(B)である。
図2の(A)は、
図1に示した載置部150、LED群および電気接続部110のみを抽出して図示している。
図2の(B)では、載置部150上のLED群における、基板111によって視認できない複数のLED10を破線で示す。
【0067】
図2の(B)に示すように、各LED10上には、2つの端子11がY軸方向に互いに離間して形成されている。また、複数のLED10は、載置部150上でマトリックス状に配列した状態で載置され、図示の例では、X軸方向に6列、Y軸方向に6行のマトリックス状に配列している。
【0068】
基板111の開口112は、Y軸方向に長い長方形の輪郭を有する。図示の例では、一括して光学特性が測定される複数のLED10の組として、X軸方向に2列且つY軸方向に6行の12個のLED10が開口112内で露出している。基板111の開口112内に位置する複数の端子11のそれぞれに対して、電気接続部110の1つのプローブ113が接触するように構成されている。
【0069】
図3は、載置部150、および、載置部150上に載置された光強度測定ユニット170の平面図の一例である。光強度測定ユニット170は、複数のLED10を保持するウェハ15が載置部150上に載置されないときに、載置部150上のウェハ15と同位置に配置される。
図3では、開口112と、複数のLED10とをそれぞれ破線で示す。
【0070】
本実施形態における測定部130は、光強度測定ユニット170を有する。本実施形態における光強度測定ユニット170は、保持部171と、複数のセンサ173とを有する。保持部171は、基板状の部材であって、表面に配置された複数のセンサ173を保持する。複数のセンサ173はそれぞれ、例えばフォトダイオードのような、周囲環境の輝度及び又は照度を検知するセンサであってもよい。複数のセンサ173はそれぞれ、例えば、複数のLED10の個数に対する複数のセンサ173の個数の割合に応じて、寸法が定められてもよい。当該割合が1対1の場合は、一例として、各センサ173はLED10と同じ寸法を有してもよい。
【0071】
光強度測定ユニット170は、基板111から開口112内に露出する複数のLED10と同じエリアをカバーするセンサ173群を有し、一例として、当該露出する複数のLED10と同じ数のセンサ173を有してもよい。
図1および
図2に示すウェハ15と同様に保持部171が載置部150上に載置された状態で、開口112内に露出する複数のセンサ173のそれぞれは、開口112内に露出する複数のLED10のそれぞれの位置と同じ位置に配置される。
【0072】
なお、光強度測定ユニット170は、上記構成に代えて、載置部150に設けられてもよく、この場合、ウェハ15が載置部150上に載置されないとき、すなわちウェハ15によって光源部120からの光が遮られないときに、光強度測定ユニット170の複数のセンサ173が当該光を受光してもよい。
【0073】
図4は、試験装置100による試験方法のフローを説明するフロー図の一例である。当該フローは、載置部150上にLED群が載置された状態で、例えば試験装置100に対して当該LED群の試験を開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。
【0074】
試験装置100は、試験対象となる複数のLED10のそれぞれの端子11に電気接続部110を電気的に接続する電気接続段階を実行する(ステップS101)。具体的な一例として、制御部140は、載置部150に命令を出力し、載置部150上のLED群のうち最初に試験対象とする複数のLED10の組が複数のプローブ113に接触するように、載置部150を移動させる。
【0075】
試験装置100は、複数のLED10に対して一括して光を照射する照射段階を実行する(ステップS103)。具体的な一例として、制御部140は、光源部120に命令を出力し、平行光122を、開口112内で露出する複数のLED10の組に照射させる。
【0076】
試験装置100は、複数のLED10のそれぞれが、照射された光を光電変換し、電気接続部110を介して出力する光電信号を測定する測定段階を実行する(ステップS105)。具体的な一例として、制御部140は、測定部130に命令を出し、載置部150上に載置されたLED群のうち、複数のプローブ113に接触するように切り替えられた複数のLED10の組から出力される電流の電流値を測定させ、測定結果を制御部140に出力させる。制御部140は、当該複数のLED10の組の各測定結果を格納部145に格納する。
【0077】
試験装置100は、載置部150上に載置された全てのLED10の測定が終了したか否かを判断し(ステップS107)、終了していない場合には(ステップS107:NO)、試験対象とする複数のLED10の組を切り替える組切替段階を実行して(ステップS109)、ステップS101に戻る。具体的な一例として、制御部140は、格納部145の参照データを参照し、載置部150上に載置された全てのLED10の測定結果が格納されているか否かを判断し、格納されていない場合には、載置部150に命令を出し、次に試験対象とする複数のLED10の組に切り替えるよう、載置部150を移動させる。
【0078】
試験装置100は、ステップS107において、載置部150上に載置された全てのLED10の測定が終了している場合には(ステップS107:YES)、複数のLEDのそれぞれの位置に照射される光の強度のばらつきを補正するための補正値を含む補正マップを取得する取得段階を実行する(ステップS110)。具体的な一例として、制御部140は、予め生成して格納部145に格納してある補正マップを取得する。
【0079】
試験装置100は、上記の測定段階の測定結果、および、上記の補正マップに基づいて、複数のLED10のそれぞれの良否を判定する判定段階を実行し(ステップS111)、当該フローは終了する。具体的な一例として、制御部140は、格納部145の参照データを参照し、載置部150上に載置された全てのLED10の測定結果が格納されている場合には、当該測定結果および当該補正マップに基づいて、複数のLED10のそれぞれの良否を判定する。
【0080】
本実施形態における制御部140は、上述の通り、複数のLED10のうち、測定された光電信号を補正マップによって補正した補正値が正常範囲外となった少なくとも1つのLED10を不良と判定する。ここで言う正常範囲の一例として、複数のLED10がそれぞれ出力する光電信号を補正マップによって補正した補正値に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。
【0081】
より具体的には、正常範囲の一例として、載置部150上の複数のLED10のそれぞれから出力された電流の電流値を補正マップによって補正した補正値の、ウェハ15全体における統計量、すなわち当該複数のLED10の統計量を基準とした範囲を用いてもよく、ウェハ15が含まれるロット全体における当該補正値の統計量を基準とした範囲を用いてもよい。当該統計量の一例として、当該補正値の、平均値±1σ以内の範囲、当該平均値±2σ以内の範囲、または当該平均値±3σ以内の範囲を用いてもよい。
【0082】
この場合、制御部140は、格納部145に格納されている、載置部150上の複数のLED10のそれぞれから出力された電流の電流値を、補正マップによって補正して補正値を算出し、当該補正値に基づいて当該平均値と標準偏差σを算出する。また、当該補正値にピークが複数ある場合には、標準偏差を用いずに、複数のピークに対応可能な統計処理を用いて、当該補正値の統計量を算出してもよい。
【0083】
また、上記の正常範囲の他の一例として、測定部130がLED群の中から順次試験対象となる複数のLED10の組を変えながら複数回測定した測定結果における、複数のLED10の組間で同じ位置に配置されたLED10が出力する光電信号を補正マップによって補正した補正値に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。より具体的には、正常範囲の一例として、例えば
図2に示す載置部150上でX軸方向に6列、Y軸方向に6行のマトリックス状に配列されたLED群のうち、同一行且つ同一列に配置されたLED10を対象LEDとして、複数の載置部150上の複数のLED群のそれぞれにおける対象LEDから出力された電流の電流値を補正マップによって補正した補正値の、平均値±1σ以内の範囲、当該平均値±2σ以内の範囲、または当該平均値±3σ以内の範囲を用いてもよい。この場合、制御部140は、格納部145に格納されている、複数の対象LEDから出力された電流の電流値を、補正マップによって補正して補正値を算出し、当該補正値に基づいて当該平均値と標準偏差σを算出する。
【0084】
また、上記の正常範囲の他の一例として、LED10の仕様に基づいて定めたマージンを、LED10の仕様に基づいて定めた基準値に付加した範囲を用いてもよい。この場合、制御部140は、予め格納部145に格納されている当該範囲を示す情報を参照してもよい。
【0085】
図5は、試験装置100による、補正マップを生成して各LED10の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の一例である。当該フローは、載置部150上に光強度測定ユニット170が配置された状態で、例えば試験装置100に対して当該フローを開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。
【0086】
試験装置100は、開口112内に露出する複数のセンサ173の組に対して光源121により一括して光を照射し、各センサ173の輝度量を測定する(ステップS201)。試験装置100は、測定した輝度量を数値化し、
図5に例示するような補正マップのデータとして格納部145に格納する(ステップS203)。
【0087】
試験装置100は、
図5中に黒塗りの矢印で示すように載置部150を駆動してウェハ15を並行移動させ、開口112内に露出する複数のLED10の組に対して同じ光源121により一括して光を照射し、各LED10が光を光電変換して出力する光電信号を測定する(ステップS205)。試験装置100は、格納部145から補正マップを取得し、複数のLED10の組ごとに、補正マップを各LED10の光電信号の測定値に適用する(ステップS207)。試験装置100は、各LED10の光電信号の補正済測定値を算出し(ステップS209)、当該フローを終了する。
【0088】
なお、当該フローにおけるステップS205は、
図4に示すフローのステップS101~S109に対応し、当該フローにおけるステップS207およびS209は、
図4に示すフローのステップS110~S111に対応する。当該フローで算出される補正済測定値は、
図4に示すステップS111の判定で用いられる。
【0089】
図6は、試験装置100による、光強度測定ユニット170の複数のセンサ173の測定値をキャリブレーションするための補正値を算出するフローを説明するフロー図の一例である。当該フローは、例えば、光源部120の光源121が、均一性が校正された面光源に取り替えられ、且つ、載置部150上に光強度測定ユニット170が配置された状態で、例えば試験装置100に対して当該フローを開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。
【0090】
本実施形態における制御部140は、追加的に、均一性が校正された面光源によって、光強度測定ユニット170の複数のセンサ173による測定値をキャリブレーションしてもよい。試験装置100は、開口112内に露出する複数のセンサ173の組に対して、均一性が校正された面光源により一括して光を照射し、各センサ173の輝度量を測定する(ステップS251)。試験装置100は、測定した輝度量を数値化し、補正マップ用に測定される複数のセンサ173による測定値をキャリブレーションするための補正値として格納部145に格納し(ステップS253)、当該フローは終了する。
【0091】
本実施形態の試験装置100による試験方法との比較例として、例えばウェハ上に配列された複数のLEDを1つずつ順次点灯させて、イメージセンサ、分光輝度計などで受光し、正しく光っているかを判断するといったLEDの光学特性の試験方法が考えられる。
【0092】
当該比較例の試験方法を用いて、上記の複数のLEDの光学特性を一括して測定する場合、隣接する複数のLEDのそれぞれから発せられた光同士が干渉してしまい、光学特性が相対的に悪化している不良のLEDを正しく特定することができず、また、広い範囲を高精度に画像認識させるにはイメージセンサ等が非常に高額になってしまう。特に、複数のマイクロLEDの試験を行う場合に、当該問題が顕著となる。
【0093】
これに対して、本実施形態の試験装置100によれば、試験対象となる複数のLED10のそれぞれの端子11に電気接続部110を電気的に接続し、複数のLED10に対して一括して光を照射し、複数のLED10のそれぞれが、照射された光を光電変換し、電気接続部110を介して出力する光電信号を測定する。試験装置100によれば、更に、複数のLED10の測定結果に基づいて、複数のLED10のそれぞれの良否を判定する。これにより、試験装置100は、複数のLED10の光電信号を同時に測定することで処理時間を短縮することができるだけでなく、他のLED10の光学特性の測定による影響を受けずに測定された光電信号を用いてLED10の良否を判定することで、光学特性が悪化している不良のLED10を正しく特定することができる。また、試験装置100によれば、同時に測定するLED10の数を容易に拡張することができる。
【0094】
また、光源から複数のLEDに対して一括して光を照射することで出力される光電信号を測定する場合に、光源から複数のLEDに照射される光の照射領域の外側が中心側に比べて暗い場合や、照射領域内の位置に応じて光の強度が異なる場合がある。これに対して、本実施形態の試験装置100によれば、複数のLED10のそれぞれが出力する光電信号の測定値、および、光源部120によって複数のLED10のそれぞれの位置に照射される光の強度のばらつきを補正するための補正値を含む補正マップ、に基づいて、複数のLED10のそれぞれの良否を判定する。これにより、試験装置100は、光源部120によって複数のLED10のそれぞれの位置に照射される光の強度のばらつきを補正して、複数のLED10の光学特性の測定精度を高めることができる。
【0095】
また、本実施形態の試験装置100によれば、複数のLED10の光学特性の測定のために用いた複数のプローブ113および基板111を、例えばLEDテスタを用いたVIテストのような、複数のLED10の電気特性の測定にも共有することができる。また、本実施形態の試験装置100によれば、光源部120および遮蔽部160を除く他の構成、すなわち、電気接続部110、測定部130、制御部140、格納部145および載置部150は、LED群のような光学デバイス以外のデバイスの試験で用いられるものを流用することができる。
【0096】
以上の実施形態において、複数のLED10は発光面側に端子11を有する構成として説明した。これに代えて、複数のLED10が発光面の反対側に端子11を有してもよい。複数のプローブ113は、複数のLED10の各端子11が発光面側に位置するか発光面の反対側に位置するかに応じて、異なる長さを有してもよい。
【0097】
以上の実施形態では、XY平面内において、電気接続部110の複数のプローブ113の位置座標と、LED群の複数のLED10の位置座標とを一致させるように、LED群が載置された載置部150を移動させた後に、載置部150を昇降させることによって、複数のLED10の複数の端子11を複数のプローブ113に接触させる構成として説明した。これに代えて、上記のXY平面内の移動の後に、基板111を昇降させることによって、複数のLED10の複数の端子11を複数のプローブ113に接触させてもよい。
【0098】
以上の実施形態において、載置部150は、略円形の外形を有するものとして説明した。これに代えて、載置部150は、例えば電気配線が形成された略方形の外形を有するガラスベースのパネル(PLP)に複数のLED10が形成されたLED群が載置される場合に、LED群の外形に対応して、略方形の外形を有してもよい。
【0099】
図7は、複数のLED20を試験する試験装置200の概略を示す全体図の一例である。
図7に示す実施形態の説明においては、
図1から
図6を用いて説明した実施形態と同じ構成については対応する参照番号を使用し、重複する説明を省略する。ただし、
図7において、単に説明を明確にする目的で、
図1から
図6を用いて説明した試験装置100の測定部130、制御部140、格納部145および載置部150の図示を省略する。以降で説明する実施形態の図においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0100】
図1から
図6を用いて説明した実施形態において、電気接続部110は、光源部120および複数のLED10の間に配置され、基板111と、基板111の開口112に設けられた複数のプローブ113とを有する構成として説明した。
図7以降に示す実施形態では、これに代えて、電気接続部210は、光源部120および電気接続部210の間に複数のLED20、30が位置するように配置され、基板211と、基板211から複数のLED20、30のそれぞれに向かって延伸し、複数のLED20、30のそれぞれの端子21、31に接触する複数のプローブ213と、を有する。
【0101】
図7に示す実施形態において、LED群は、複数のLED20の発光面がウェハ25に面していない表面発光型であり、複数のLED20の各端子21はウェハ25に面しており、ウェハ25には各端子21の位置にZ軸方向に延在する複数のビア26が形成されている。このような場合に、電気接続部210は、ウェハ25に形成された複数のビア26を通して、複数のプローブ213をウェハ25のZ軸負方向側から複数のLED20の各端子21に接触させてもよい。
【0102】
図7に示す実施形態の電気接続部210において、基板211は、
図1から
図6を用いて説明した実施形態における電気接続部110の開口112を有さなくてもよく、複数のプローブ213は、XY平面内で延伸しなくてもよい。
図7に示す通り、複数のプローブ213は、基板211と共に剣山の形状を成すように、各LED20の端子21に向かってZ軸方向に延伸してもよい。以降で説明する実施形態においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0103】
図8は、載置部150、および、載置部150上に載置された光強度測定ユニット175の平面図の一例である。本実施形態による測定部130は、
図1から
図6を用いて説明した実施形態における光強度測定ユニット170に代えて、光強度測定ユニット175を有する。光強度測定ユニット175は、複数のLED20と同じ数のセンサ173を有し、複数のセンサ173のそれぞれは、複数のLED20のそれぞれの位置と同じ位置に配置される。なお、光強度測定ユニット175は、複数のLED20と同じ数のセンサ173に代えて、複数のLED20のそれぞれの位置に照射される光の強度を一括して測定するための二次元輝度計を有してもよい。
【0104】
図9は、試験装置200による試験方法のフローを説明するフロー図の一例である。本実施形態による試験装置200は、
図1から6を用いて説明した実施形態による試験装置100と同様に機能し、
図4に示すフローのステップS101、S103、S105、S110およびS111を実行する。ただし、本実施形態による試験装置200は、
図1から6を用いて説明した実施形態による試験装置100と異なり、
図4に示すフローのステップS107およびS109を実行しない。
【0105】
図10は、試験装置200による、補正マップを生成して各LED20の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の一例である。当該フローは、
図5に示すフローと同様、載置部150上に光強度測定ユニット175が配置された状態で、例えば試験装置200に対して当該フローを開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。
【0106】
試験装置200は、複数のセンサ173に対して光源121により一括して光を照射し、各センサ173の輝度量を測定する(ステップS301)。試験装置200は、測定した輝度量を数値化し、
図10に例示するような補正マップのデータとして格納部145に格納する(ステップS303)。
【0107】
試験装置200は、複数のLED20に対して同じ光源121により一括して光を照射し、各LED20が光を光電変換して出力する光電信号を測定する(ステップS305)。試験装置200は、格納部145から補正マップを取得し、補正マップを各LED20の光電信号の測定値に適用する(ステップS307)。試験装置200は、各LED20の光電信号の補正済測定値を算出し(ステップS309)、当該フローを終了する。
【0108】
なお、当該フローにおけるステップS305は、
図9に示すフローのステップS101~S105に対応し、当該フローにおけるステップS307およびS309は、
図9に示すフローのステップS110~S111に対応する。当該フローで算出される補正済測定値は、
図9に示すステップS111の判定で用いられる。
【0109】
図11は、試験装置200による、補正マップを生成して各LED20の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の他の例である。本実施形態による測定部130は、
図10を用いて説明した実施形態における光強度測定ユニット175に代えて、光強度測定ユニット176を有する。
【0110】
本実施形態による測定部130は、光源部120によって複数のLED20のそれぞれの位置に照射される光のうちの一部である、幾つかのLED20の位置に照射される光の強度を測定する。本実施形態による測定部130の光強度測定ユニット176は、複数のLED20よりも少ない数のセンサ173を有し、複数のセンサ173のそれぞれは、上記の幾つかのLED20の位置に配置される。複数のセンサ173は、例えば
図11に示すように、互いに予め定められた間隔だけ離間する。光強度測定ユニット176は、光強度測定ユニット175と比べて、センサ173の数を少なくすることができる。なお、
図11に示す複数のセンサ173の配置は一例に過ぎず、他の配置であってもよい。
【0111】
なお、光強度測定ユニット176は、複数のLED20よりも少ない数のセンサ173に代えて、幾つかのLED20の位置に照射される光の強度を一括して測定するための二次元輝度計を有してもよい。当該二次元輝度計の画素数は、複数のLED20のそれぞれの位置に照射される光の強度を一括して測定するための他の二次元輝度計の画素数よりも少なくてもよい。
【0112】
図11に示すフローは、
図10に示すフローと同様、載置部150上に光強度測定ユニット176が配置された状態で、例えば試験装置200に対して当該フローを開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。
【0113】
試験装置200は、複数のセンサ173に対して光源121により一括して光を照射し、各センサ173の輝度量を測定する(ステップS401)。
【0114】
本実施形態における制御部140は、測定部130による複数のセンサ173の測定結果に基づいて、複数のLED20のうち、上記の幾つかのLED20以外の残りのLED20の位置に照射される光の強度を補間し、補正マップを生成する。具体的には、試験装置200は、ステップS401で測定した輝度量を数値化し、当該数値化したデータから補正係数を算出し、当該補正係数を用いて、複数のLED20に対してセンサ173が配置されていない位置における数値を補間する。試験装置200は、補間後のデータを補正マップとして格納部145に格納し(ステップS403)、
図10に示すフローのステップS305へと進む。
【0115】
図12は、試験装置200による、補正マップを生成して各LED20の光電信号の補正済測定値を算出するフローを説明するフロー図の更に他の例である。本実施形態による測定部130は、
図11を用いて説明した実施形態における光強度測定ユニット176に代えて、光強度測定ユニット177を有する。
【0116】
本実施形態による測定部130の光強度測定ユニット177は、複数のLED20のそれぞれの位置を順に移動することにより、光源部120によって複数のLED20のそれぞれの位置に照射される光の強度を順に測定する。光強度測定ユニット177は、1つのセンサ173を有し、センサ173は、保持部171の表面上を移動可能である。光強度測定ユニット177は、光強度測定ユニット175、176等と比べて、センサ173の数をより一層少なくすることができる。なお、
図12に矢印で示すセンサ173の移動経路は一例に過ぎず、他の移動経路であってもよい。
【0117】
図12に示すフローは、
図11に示すフローと同様、載置部150上に光強度測定ユニット177が配置された状態で、例えば試験装置200に対して当該フローを開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。
【0118】
試験装置200は、複数のLED20のそれぞれの位置を順に移動するセンサ173に対して光源121により光を照射し、各位置におけるセンサ173の輝度量を測定し(ステップS501)、
図10に示すフローのステップS303へと進む。
【0119】
以上で説明した実施形態における試験装置200によれば、
図1から
図6を用いて説明した実施形態の試験装置100と同様の効果を有する。また、試験装置200は、開口を有さない基板211の一面から複数のプローブ213が各LED20の端子21に向かってZ軸方向に延伸する構成の電気接続部210を備えることにより、
図1から
図6を用いて説明した実施形態による、基板111の開口112内に露出したLED20の端子11に向かって延伸する複数のプローブ113を有する電気接続部110を用いる場合に比べて、プローブ213の数を増やし、同時に測定するLED20の数を増やすことができる。
【0120】
なお、本実施形態では、XY平面内において、電気接続部110の複数のプローブ113の位置座標と、LED群の複数のLED20の位置座標とを一致させるように、LED群が載置された載置部150を移動させた後に、各図中で白抜きの矢印で示すように電気接続部210の基板211を昇降させることによって、複数のLED20の複数の端子21を複数のプローブ213に接触させてもよい。
【0121】
また、本実施形態では、
図7において図示した構成を、Z軸方向に反転させて、光源部120からの平行光122をZ軸負方向から複数のLED20に照射する構成としてもよい。
【0122】
また、本実施形態では、電気接続部210の複数のプローブ213による押圧によってウェハ25が変形することを防止すべく、ウェハ25と遮蔽部160との間には、例えばガラスのように光を透過する支持板が介在してもよく、
図7に示すように複数のLED20が光源部120側に位置する場合には、当該支持板は、ウェハ25に形成された複数のLED20を破壊しないように、複数のLED20に接触しない構成であることが好ましい。上記で説明した点は何れも、以降で説明する複数の実施形態においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0123】
なお、以上の実施形態による試験装置100、200では、制御部140は、複数のLED10、20を保持するウェハ15、25の代わりに、1つ又は複数のセンサ173を保持する保持部171若しくは輝度計を用いて補正マップを生成する構成として説明した。これに代えて、制御部140は、測定部130がLED群の中から順次試験対象となる複数のLED10、20の組を変えながら複数回測定した測定結果における、複数のLED10、20の組間で同じ位置に配置されたLED10、20が出力する光電信号の平均値に基づいて補正マップを生成してもよい。
【0124】
例えば、試験対象とするウェハ15、25を例えば30枚としたときに、30枚のウェハ15、25の光電信号を測定し、複数のLED10、20の組間で同じ位置に配置されたLED10、20が出力する光電信号の平均値を算出し、当該平均値に基づいて、上述の補正マップを生成してもよい。これにより、試験装置100、200は、光強度測定ユニット170等の構成を省略することができる。
【0125】
また、この場合に、複数のLED10、20の組間で同じ位置に配置されたLED10、20が出力する光電信号の測定値の中で、例えば不良なLED10、20によって出力された光電信号の測定値のように、他に比べて顕著に異常な測定値は除外してもよい。当該除外には、当該測定値に対する予め定められた閾値を用いてもよい。これにより、上記の平均値の算出精度を高めることができる。
【0126】
図13は、試験装置200による試験方法のフローを説明するフロー図の他の例である。本実施形態による試験装置200の制御部140は、追加的に又は代替的に、光源部120が発する光の強度を変化させ、強度を変化させた場合における測定部130による測定結果に基づいて、複数のLED20のそれぞれの良否を判定する。換言すると、制御部140は、光源部120が発する光の強度を変化させ、光の強度変化に対する各LED20の反応を判断する。なお、本実施形態による制御部140は、光源制御部の一例として機能する。
【0127】
LED20は、印加する電流値が高ければ高いほど強い光を発するが、個体差があり、電流値が低いときに特性を出しきれない、すなわち適切に発光できない場合がある。なので、LED20に光電変換させる場合、LED20に弱い光を照射しても適切な反応、すなわち適切に光電信号を出力してくれるならば、低い電流値でも適切に発光可能なLED20である、と見做すことができる。
【0128】
図13に示すフローは、
図4に示すフローと同様に、載置部150上にLED群が載置された状態で、例えば試験装置200に対して当該LED群の試験を開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。試験装置200は、
図4に示すフローにおけるステップS101、S103およびS105と対応する、ステップS121、S123およびS125を実行する。
【0129】
試験装置200は、光の強度を変化させて、ウェハ25上の複数のLED20のそれぞれの良否を判定するのに必要な測定結果を得ているか否かを判断し(ステップS127)、得ていない場合には(ステップS127:NO)、ステップS123の照射段階で照射する光の強度を変化させる光源制御段階を実行して(ステップS129)、ステップS123に戻る。具体的な一例として、制御部140は、格納部145の参照データを参照し、複数のLED20が、予め定められた閾値以上の強度の光を照射された場合の測定結果と、予め定められた閾値以下の強度の光を照射された場合の測定結果とが格納されているか否かを判断してもよい。格納部145にこれらの少なくとも何れかが格納されていない場合には、制御部140は、光源部120から発する光の強度を変化させ、再び複数のLED20に光を照射する。
【0130】
試験装置200は、ステップS127において、ウェハ25上の複数のLED20のそれぞれの良否を判定するのに必要な測定結果を得ている場合には(ステップS127:YES)、ステップS129の光源制御段階で強度を変化させた場合における測定段階の測定結果に基づいて、複数のLED20のそれぞれの良否を判定する判定段階を実行し(ステップS131)、当該フローは終了する。
【0131】
以上で説明した実施形態における試験装置200によれば、
図1から
図12を用いて説明した複数の実施形態の試験装置100、200と同様の効果を有する。本実施形態における制御部140は、例えば、2以上の異なる強度のそれぞれにおける測定結果に基づいて、複数のLED20のそれぞれの光電ゲインを算出してもよい。この場合、制御部140は、複数のLED20のうち、光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。より具体的には、制御部140は、2以上の異なる強度の何れにおいても光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。
【0132】
本実施形態における制御部140は、例えば、複数のLED20のうち、2以上の異なる強度のそれぞれにおいて測定された光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。より具体的には、制御部140は、2以上の異なる強度の何れにおいても光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。
【0133】
図14は、試験装置200による試験方法のフローを説明するフロー図の更に他の例である。本実施形態による試験装置200の制御部140は、追加的に又は代替的に、光源部120が発する光の波長を、複数のLED20の予め定められた反応波長を含む予め定められた範囲内で変化させ、波長を変化させた場合における測定部130による測定結果に基づいて、複数のLED20のそれぞれの良否を判定する。換言すると、制御部140は、光源部120が発する光の波長を、複数のLED20の予め定められた反応波長を含む予め定められた範囲内で変化させ、光の波長変化に対する各LED20の反応を判断する。
【0134】
発光波長がシフトして不良となっているLED10は、光源121からの光に対する反応のピークもずれている。そこで、試験装置200は、追加的に、光源121が発する光の波長をシフトする機能、すなわち波長選択機能を有する。具体的な一例として、試験装置200は、光源121が、広い波長帯域を有する光源、例えばキセノン光源である場合には、光源121の光の出力側(フロントエンド)に、例えばスリットを使ったような分光器を設置して、光源121からの光を分光させて特定波長の光だけを透過させる構成を備えてもよい。また、他の一例として、光源121が狭い波長帯域を有するレーザー光源である場合には、試験装置200は、光源121のフロントエンドにおいて、回折格子などを備えてもよい。また、他の一例として、光源121が狭い波長帯域を有するレーザー光源を複数有してもよい。
【0135】
制御部140は、光源121からの光の波長をスイープして、例えば350ナノから400ナノまで1ナノステップでスイープして、各LED10が何れの波長と反応するかを判断することにより、各LED10の発光波長を判断することができる。
【0136】
図14に示すフローは、
図4に示すフローと同様に、載置部150上にLED群が載置された状態で、例えば試験装置200に対して当該LED群の試験を開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。試験装置200は、
図4に示すフローにおけるステップS101、S103およびS105と対応する、ステップS141、S143およびS145を実行する。
【0137】
試験装置200は、光の波長を、複数のLED20の予め定められた反応波長を含む予め定められた範囲内で変化させて、ウェハ25上の複数のLED20のそれぞれの良否を判定するのに必要な測定結果を得ているか否かを判断し(ステップS147)、得ていない場合には(ステップS147:NO)、ステップS143の照射段階で照射する光の波長を、複数のLED20の予め定められた反応波長を含む予め定められた範囲内で変化させる光源制御段階を実行して(ステップS149)、ステップS143に戻る。具体的な一例として、制御部140は、格納部145の参照データを参照し、複数のLED20が、複数のLED20の設計上の反応波長を中心とする所定数の異なる波長の光を照射された場合の測定結果が格納されているか否かを判断してもよい。格納部145に当該所定数以上の異なる波長の光に基づく測定結果が格納されていない場合には、制御部140は、光源部120から発する光の波長を、例えば予め定められた波長幅だけずらし、再び複数のLED20に光を照射する。
【0138】
試験装置200は、ステップS147において、ウェハ25上の複数のLED20のそれぞれの良否を判定するのに必要な測定結果を得ている場合には(ステップS147:YES)、ステップS149の光源制御段階で波長を変化させた場合における測定段階の測定結果に基づいて、複数のLED20のそれぞれの良否を判定する判定段階を実行し(ステップS151)、当該フローは終了する。
【0139】
以上で説明した実施形態における試験装置200によれば、
図1から
図13を用いて説明した複数の実施形態の試験装置100、200と同様の効果を有する。本実施形態における制御部140は、例えば、2以上の異なる波長のそれぞれにおける測定結果に基づいて、複数のLED20のそれぞれの光電ゲインを算出してもよい。この場合、制御部140は、複数のLED20のうち、光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。より具体的には、制御部140は、2以上の異なる波長の何れにおいても光電ゲインが正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。
【0140】
本実施形態における制御部140は、例えば、複数のLED20のうち、2以上の異なる波長のそれぞれにおいて測定された光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。より具体的には、制御部140は、2以上の異なる波長の何れにおいても光電信号が正常範囲外となった少なくとも1つのLED20を不良と判定してもよい。
【0141】
図15は、複数のLED30を試験する試験装置300の概略を示す全体図の一例である。試験装置300は、試験装置100、200と異なり、試験装置200全体がZ軸方向に反転した姿勢をとっている。
図15に示す実施形態において、LED群は、複数のLED30の発光面がウェハ35に面している裏面発光型であり、ウェハ35は光を透過する。複数のLED30の各端子31は、ウェハ35に面していない。なお、本実施形態のような裏面発光型のLED群については、複数のLED30と、複数のLED30が実装されたウェハ35とを総称して、ウェハと呼ぶ場合がある。
【0142】
このような構成においては、電気接続部210は、複数のプローブ213をウェハ35のZ軸正方向側から複数のLED30の各端子31に接触させる。また、
図15に示す実施形態では、載置部155は、載置部150と異なり、複数のLED30が発してウェハ35を透過した光を遮らないよう、XY平面の中央部に透光部156を有し、当該透光部156の周囲においてウェハ35を保持する。透光部156は、一例として、単なる貫通孔であってもよく、貫通孔にガラスなどの光を透過させる部材が嵌められた構成であってもよい。
図15に示す実施形態の試験装置300によれば、
図1から
図14を用いて説明した複数の実施形態の試験装置100、200と同様の効果を有する。
【0143】
以上の複数の実施形態において、LED群が、電気配線が形成された略方形の外形を有するガラスベースのパネル(PLP)に複数のLEDが形成された構成である場合、電気接続部は、パネルの2つの側面に配された、行方向および列方向の各配線にプローブを接触させる構成であってもよい。
【0144】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0145】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0146】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0147】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0148】
図16は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0149】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0150】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0151】
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0152】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0153】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0154】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0155】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0156】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0157】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0158】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。また、各構成要素は、名称が同一で、参照符号が異なる他の構成要素と同様の特徴を有してもよい。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0159】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0160】
10、20、30 LED、11、21、31 端子、15、25、35 ウェハ、100、200、300 試験装置、110、210 電気接続部、111、211 基板、112 開口、113、213 プローブ、120 光源部、121 光源、122 平行光、123 レンズユニット、124 フィルタ保持部、125 温度抑制フィルタ、126 温度制御部、130 測定部、140 制御部、145 格納部、150、155 載置部、156 透光部、160 遮蔽部、170、175、176、177 光強度測定ユニット、171 保持部、173 センサ、1200 コンピュータ、1201 DVD-ROM、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インターフェース、1224 ハードディスクドライブ、1226 DVD-ROMドライブ、1230 ROM、1240 入出力チップ、1242 キーボード