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特許7529888面が最適化された、マイクロメカニカルコンポーネント、特に、計時器用車、を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】面が最適化された、マイクロメカニカルコンポーネント、特に、計時器用車、を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 15/14 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G04B15/14 Z
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2023503437
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021074027
(87)【国際公開番号】W WO2022058160
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】20196228.9
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ニクー,セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニエ,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ロデル,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】エルフェ,ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】シャルボン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】コーレル,フレデリク
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-13483(JP,A)
【文献】国際公開第2008/052378(WO,A1)
【文献】特開2013-96009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器用車を製造する方法であって、
少なくともニッケルとリンを含む第1の材料によって基材を作り、前記第1の材料は、リンの割合が1~15重量%の範囲内であるように選択され、
前記車の前記基材の少なくとも1つの面に対して、前記車の前記基材の前記少なくとも1つの面において前記車の周部層を構成する少なくとも1種類の第2の材料で、前記基材の被覆を行い、
前記第2の材料は、少なくともニッケルを含みリンの割合が前記第1の材料よりも少ない、又はニッケルを含むがリンを含まない
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基材の前記被覆は、前記車の摩擦面に隣接する少なくとも1つの面に対して、前記車の摩擦面に隣接する前記少なくとも1つの面において前記車の周部層を構成する前記少なくとも1種類の第2の材料で行う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材は、前記車の形状にされる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基材の前記被覆は、ガルバニック的に、かつ/又は化学的に、かつ/又はPVDによって、かつ/又はCVDによって、行う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料は、ニッケルとリンのみを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の材料は、リンの割合が10~15重量%の範囲内である非磁性材料であるように選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の材料は、純ニッケルのみを含む又はニッケルとリンのみを含む、ように選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の材料は、リンの割合が15重量%以下であるように選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の材料は、リンの割合が6~12重量%の範囲内であるように選択する
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の材料は、リンの割合が1~6重量%の範囲内であるように選択する
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の材料は、リンの割合が1重量%以下であるように選択する
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の材料は、ホウ素を含むように選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の材料は、ニッケルとホウ素のみを含むように選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の材料は、リンの割合が10~15重量%の範囲内である非磁性体であるように選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
厚みが10μm未満である前記第2の材料を被覆する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
厚みが5μm未満である前記第2の材料を被覆する
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
厚みが0.2μm~5.0μmの範囲内である前記第2の材料を被覆する
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
厚みが0.2μm~2.0μmの範囲内である前記第2の材料を被覆する
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基材及びその被覆によって形成されるアセンブリーに対して、100℃~500℃の温度で1~8時間熱処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記被覆を行った後に前記熱処理を行う
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記被覆を行う前に前記熱処理を行う
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
「LIGA」法によって前記基材を作る
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
エスケープ車である脱進車又はパレットの製造に用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
摩擦面に隣接する前記少なくとも1つの面において前記車の周部層を構成する前記第2の材料の厚みは、10μm未満である
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項25】
摩擦面に隣接する前記少なくとも1つの面において前記車の周部層を構成する前記第2の材料の厚みは、5μm未満である
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロメカニカルコンポーネント、特に、計時器用車、を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、計時器用機構の分野に関し、特に、少なくとも1つのエスケープ車及び少なくとも1つのパレットを備え、これらのうちの少なくとも1つが非磁性であるようなエスケープ機構に関する。
【背景技術】
【0003】
スイスレバー式計時器エスケープ機構において、スイスレバー式エスケープ車は、歴史的にニッケルめっき鋼によって作られ、磁場の影響を受けやすい。
【0004】
「LIGA」(Lithographie und Galvano-Abformung:リソグラフィー及び電気めっき成形)法によって作られ非磁性的にふるまうニッケル-リンNiP12のような材料を用いる代替手段が知られている。
【0005】
しかし、このようなニッケル-リンや類似の材料は、特定の気候条件の影響を受けやすいことがわかっており、特に摩擦トルクの2つの対抗成分が類似のLIGA材料において発生する場合に、性能、特に、振幅規則性、停止しないこと、経年劣化の性能、を劣化させてしまう可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、通常の気候条件下において、LIGA法NiP12又は類似の材料によって作られた非強磁性のコンポーネント、特に、スイスレバー式エスケープ車及びパレット、上における、通常の計時器用潤滑剤の耐性についての技術的課題を解決すること、特に、エピラメ効果を確実にすること、を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような状況で、本発明は、請求項1に記載の計時器用車を製造する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、マイクロメカニカルコンポーネントの分野に関し、特に、計時器用車の分野に関する。
【0009】
本発明は、特に、通常の気候条件下で、LIGA法NiP12又は類似の非強磁性体によって作られたコンポーネント、特に、スイスレバー式エスケープ機構の車、に対する、通常の計時器用潤滑剤の耐性についての技術的課題を解決することを提案するものである。
【0010】
スイスレバー式計時器用エスケープ機構において、パレットのルビーによって作られたギャザリングパレットとエスケープ車の歯との接触は、フォークとパレットストーンピンの間、又はフォークとパレット当接ピンの間の接触と同様に、特に繊細である。
【0011】
特に、このことは、エスケープ車とパレットの間の接触面に潤滑剤が存在することを確実にし、エスケープ車とパレットの経年劣化を低減させることに関わる。
【0012】
エスケープ車のプレートに対するエピラメ効果がなくなり、このことによって、油が広がり、車の歯とルビーによって作られたギャザリングパレットとの接触面における潤滑剤がなくなってしまうことが主な問題となる。
【0013】
パレットのギャザリングパレットとエスケープ車との接触面において安定的に潤滑されることによって、振幅の一貫性が確実になるはずである。
【0014】
このために、LIGA法NiP12によって作られたエスケープ車上に、好ましくはガルバニック(電気めっき)的なニッケル(Ni)の層の形態、又は化学的なニッケル(例えば、NiP6-9)の層の形態、又は化学的に堆積されたニッケル-ホウ素の層の形態の被覆を堆積させることによって、ムーブメントの性能を大きく向上させることができる。
【0015】
実際に、この顕著な改善は、所定の気候条件、例えば、50℃の温度及び90%の湿度レベル、においてエピラメの耐性が向上することが関連することが、様々な試験によって実証されている。発明者らは、さらに、面におけるリンの量が低いときに、材料に対するエピラメの接着性が向上し、結果として、リンの量が少ない場合に、潤滑剤の耐性が向上することを観察した。
【0016】
変異形態の1つにおいて、ガルバニック的なニッケルの被覆は、合金、例えば、Ni-Fe、Ni-Wなど、での被覆であることができる。
【0017】
このような状況で、本発明は、マイクロメカニカルコンポーネント、特に、計時器用車、を製造する方法に関し、この方法によれば、少なくともニッケルとリンを含む第1の材料によって基材を作り、この基材は、前記車の形状に成形され、前記車の基材の少なくとも1つの面に対して、10μm未満の薄い厚みを有する少なくとも1種類の第2の材料で、ガルバニック的かつ/又は化学的に、被覆される。この被覆は、車の基材の少なくとも1つの面において、車の周部層を構成し、少なくともニッケルを含み第1の材料よりもリンを少ししか含まない、又はニッケルを含みリンを含まない。
【0018】
具体的には、前記第1の材料は、非磁性材料であるように選択する。
【0019】
具体的には、前記第2の材料は、非磁性材料であるように選択する。特に、前記第2の材料は、非磁性の性質を有する。
【0020】
なお、ニッケルは非磁性ではなく、NiP6-9%は必ずしも非磁性ではなく、堆積の厚みが薄いことによって部品が非磁性になることには留意すべきである。
【0021】
特定の実施形態において、基材は、組成がNiPxであるニッケル-リンであり、ここで、xは1~15重量%の範囲内であり、特に、xは10~15重量%の範囲内であり、後者の範囲によって、被覆が非磁性であることを確実にすることができる。
【0022】
基材を覆う被覆は、さらに、リンを少ししか含まない、その厚みは、0.2μm~10.0μm、特に0.2μm~2.0μmである。なお、これに限定されない。
【0023】
好ましくは、被覆は、0.5μmの厚みを有する。
【0024】
本発明によってリンを少ししか含まない被覆による被覆処理は、ガルバニック的に実行することができる。
【0025】
堆積操作、特にガルバニック的なもの、の前に基材に熱処理を行うことができ、また、堆積操作、特にガルバニック的なもの、の後に基材及びその被覆によって形成されるアセンブリーに熱処理を行うこともできる。
【0026】
また、基材に対して化学的処理を行って、その表面特徴を変更して、特にガルバニック的な、被覆の接着を促進させることも可能である。
【0027】
代わりに、本発明におけるリンを少ししか含まない又はリンを含まない被覆での被覆処理を、純粋なニッケル、又はリンを少ししか含まないニッケル-リン、例えば、6~9重量%のリンを含むNiP6-9、又はさらにはニッケル-ホウ素(NiB)、であってもよい化学的ニッケルを堆積させる方法に従って化学的に行うこともできる。
【0028】
ニッケル、NiP6-9、又はNiBの層を堆積させることによって、あらゆる気候条件下でエピラメの安定性を高め、エピラメの接着性を向上させ、したがって、任意の通常の計時器用潤滑剤の耐性を向上させることができる。
【0029】
特に、用いられるエピラメは、フッ素をベースとする組成物である。
【0030】
また、潤滑剤は、潤滑剤及び潤滑スポンジとして作用する二硫化モリブデンMoS2ベースのペーストの形態によって補って、脱進車上に堆積させることができる。
【0031】
好ましいことに、当該脱進車は、接触面を最小限にすることを可能にする幾何学的構成を有し、例えば、丸められるように削られたパレットの使用が好ましい。このパレットにおいては、プレートピンと当接ピンと接触するように意図されたフォークのアクティブ面が丸められ、このことによって、線で接触するのではなく点で接触することができる。
【0032】
エスケープ機構の革新的な実施形態は、LIGA法によって作られたパレットを備え、又はそのパレット、少なくともパレットストーンが、LIGA法によって作られる。このような場合、パレットのLIGA法によって作られた部分にも同様の課題が発生しうるが、同じ手法を用いることができる。
【0033】
本発明は、特に、ケイ素製パレットなどよりも優れた耐衝撃性を確実にする丸められたLIGA法ニッケル-リン製のパレットの存在下において、通常の経年劣化条件、振幅の一貫性、及び停止しないことを確実にすることを可能にする。
【0034】
したがって、好ましい形態において、計時器用車を製造する方法が実装され、これは以下の特徴を有する。
- 少なくともニッケルとリンを含む第1の材料によって基材を作る。
- この基材の被覆は、車の基材の少なくとも1つの面に対して、基材の前記少なくとも1つの面において車の周部層を構成する少なくとも1種類の第2の材料で、行う。
- この少なくとも1種類の第2の材料は、少なくともニッケルを含み第1の材料よりもリンを少ししか含まない、又はこの少なくとも1種類の第2の材料は、ニッケルを含みリンを含まない。
【0035】
特に、この基材の被覆は、車の摩擦面に隣接する少なくとも1つの面に対して、摩擦面に隣接する前記少なくとも1つの面において車の周部層を構成する前記少なくとも1種類の第2の材料で、行う。「隣接」とは、非常に小さな断面の峡部に限定されていても、2つの面が連続している又は少なくとも接していることを意味する。
【0036】
特に、前記基材は、車の形状に成形される。
【0037】
特に、この基材の被覆は、ガルバニック的、かつ/又は化学的、かつ/又はPVD、かつ/又はCVDによって行う。
【0038】
変異形態の1つにおいて、この基材の被覆は、車のガイド面ではない車の面に対して、その車の回転のために、すなわち、単一の自由度に従うその車のガイドのために、行う。特に、この基材の被覆は、これらの車のガイド面ではない車のすべての面に対して行う。
【0039】
別の変異形態において、この基材の被覆は、これらの車のガイド面がある車の面に対して行う。
【0040】
さらなる別の変異形態において、この被覆は、車のガイド面ではない車の摩擦面に隣接する少なくとも1つの面に対して、その車の回転のため、すなわち、単一の自由度に従うその車のガイドのために行う。特に、この基材の被覆は、車のガイド面ではない車のすべての面に対して、その車の回転のため、すなわち、単一の自由度に従うその車のガイドのために行う。
【0041】
さらなる別の変異形態において、前記基材の被覆は、車のガイド面がある車の摩擦面に隣接する面において、その車の回転のため、すなわち、単一の自由度に従うその車のガイドのために行う。
【0042】
変異形態の1つにおいて、前記基材の被覆は、車のすべての面に対して行う。
【0043】
特に、前記第1の材料は、1~15重量%のリンを含むように選択する。
【0044】
特に、前記第1の材料は、ニッケルとリンのみを含むように選択する。
【0045】
特に、前記第1の材料は、リンの割合が10~15重量%の範囲内である非磁性材料であるように選択する。
【0046】
特に、前記第1の材料は、非磁性材料であるように選択する。
【0047】
特に、前記第2の材料は、純ニッケルのみを含む又はニッケルとリンのみを含むように選択する。
【0048】
特に、前記第2の材料は、リンの割合が15重量%以下であるように選択する。
【0049】
特に、前記第2の材料は、リンの割合が10~15重量%である非磁性材料であるように選択する。
【0050】
1つの代替的形態において、前記第2の材料は、リンの割合が6~12重量%であるように選択する。
【0051】
別の代替的形態において、前記第2の材料は、リンの割合が1~6重量%であるように選択する。
【0052】
さらなる別の代替的形態において、前記第2の材料は、リンの割合が1重量%以下であるように選択する。
【0053】
特に、前記第2の材料は、ホウ素を含むように選択する。
【0054】
特に、前記第2の材料は、ニッケルとホウ素のみを含むように選択する。
【0055】
1つの変異形態において、前記第2の材料は、ガルバニック的に堆積される。
【0056】
別の変異形態において、前記第2の材料は、化学的に堆積される。
【0057】
特に、10μm未満の厚みの被覆を堆積させる。
【0058】
特に、厚みが0.2μm~5.0μmである被覆を堆積させる。特に、厚みが0.2μm~2.0μmである被覆を堆積させる。
【0059】
さらなる別の変異形態において、厚みが0.2μm未満、特に、0.1μm近傍である、被覆を堆積させる。
【0060】
特に、基材及びその被覆によって形成されるアセンブリーに、100℃~500℃の温度で1~8時間、熱処理を行う。1つの代替的形態において、この熱処理は、被覆操作の後に行う。別の代替的形態において、この熱処理は、被覆操作の前に行う。
【0061】
特に、基材は、「LIGA」(リソグラフィー及び電気めっき成形を意味するRoentgenlithographie, Galvanoformung, Abformung)法によって製造される。
【0062】
特に、被覆は、基材のすべての面に対して、前記のような第2の材料で、ガルバニック的かつ/又は化学的に行う。
【0063】
特に、エスケープ車やパレットなどによって形成される脱進車を製造するための方法を行う。
【0064】
変異形態の1つにおいて、摩擦面に隣接する少なくとも1つの面において車の周部層を構成する第2の材料の厚みは、10μm未満である。特に、摩擦面に隣接する少なくとも1つの面において車の周部層を構成する第2の材料の厚みは、5μm未満である。
【0065】
1つの変異形態において、基材の少なくとも1つの面において車の周部層を構成する第2の材料の厚みは、10μm未満である。特に、基材の少なくとも1つの面において車の周部層を構成する第2の材料の厚みは、5μm未満である。
【0066】
この方法は、マイクロメカニカルコンポーネント、特に、計時器用車、さらには、面が最適化されたエスケープ機構の車、を作ることを可能にする。
【0067】
このようにして製造された車は、好ましいことに、その摩擦面にて、潤滑物質、例えば、計時器の分野における当業者に知られている精密なマイクロエンジニアリング用途に適合する油又は合成グリース、を堆積することができる。このような潤滑物質を二硫化モリブデンMoS2ベースのペーストと組み合わせることができる。
【0068】
また、車は、好ましいことに、潤滑物質の耐性を向上させることを可能にするために、その車の摩擦面ではない被覆の少なくとも1つの面にてエピラメ層を堆積させることができる。