(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】帳票仕分けシステム、ロボット制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20240730BHJP
B65G 47/248 20060101ALI20240730BHJP
B65G 47/28 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65G47/90 B
B65G47/248 A
B65G47/28 D
B65G47/90 D
(21)【出願番号】P 2023508324
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2021012598
(87)【国際公開番号】W WO2022201441
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中川 亮
(72)【発明者】
【氏名】石田 雅一
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-143369(JP,A)
【文献】特開平08-002712(JP,A)
【文献】特開2002-234615(JP,A)
【文献】特開2003-211096(JP,A)
【文献】特開2000-118715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/90
B65G 47/248
B65G 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねて置かれた帳票を認識する認識手段と、
前記認識の結果に基づいて、ロボットを制御する第1の制御手段と、を備え、
前記第1の制御手段は、前記ロボットが、前記重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、当該1以上の帳票の各々を、仕分け機構へ帳票を搬送する搬送手段に、
該搬送手段に搬送されている他の帳票の前後の空いたスペースで、前記他の帳票と重ならないように搬送させるように制御する、帳票仕分けシステム。
【請求項2】
前記搬送手段における帳票の面を反転させるための反転機構を制御する、第2の制御手段を更に備える請求項
1に記載の帳票仕分けシステム。
【請求項3】
前記重ねて置かれた帳票を撮像した画像から、前記帳票の記載を読み取る読み取り手段と、
前記帳票の記載を示す帳票データを生成する生成手段と、を更に備える、
請求項1
または2に記載の帳票仕分けシステム。
【請求項4】
前記搬送手段により搬送されている帳票、及び、前記仕分け機構により仕分けられた帳票のうちのいずれかを撮像した画像から、前記帳票の記載を読み取る読み取り手段と、
前記帳票の記載を示す帳票データを生成する生成手段と、を更に備える、
請求項1
または2に記載の帳票仕分けシステム。
【請求項5】
前記生成手段は、前記帳票の画像を含む帳票データを更に生成する
請求項
3または4に記載の帳票仕分けシステム。
【請求項6】
前記生成手段は、前記帳票の収納先を含む帳票データを更に生成する
請求項
3乃至5のいずれか1項に記載の帳票仕分けシステム。
【請求項7】
重ねて置かれた帳票を認識し、
認識された結果に基づいて、ロボットが、前記重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、当該1以上の帳票の各々を、仕分け機構へ帳票を搬送する搬送手段に、
該搬送手段に搬送されている他の帳票の前後の空いたスペースで、前記他の帳票と重ならないように搬送させるようにロボットを制御する
ロボット制御方法。
【請求項8】
重ねて置かれた帳票の位置を認識する処理と、
認識された結果に基づいて、ロボットが、前記重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、当該1以上の帳票の各々を、仕分け機構へ帳票を搬送する搬送手段に、
該搬送手段に搬送されている他の帳票の前後の空いたスペースで、前記他の帳票と重ならないように搬送させるようにロボットを制御する処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
重ねて置かれた帳票を認識する認識手段と、
前記認識の結果に基づいて、ロボットを制御する第1の制御手段と、
前記重ねて置かれた帳票を撮像した画像から、前記帳票の記載を読み取る読み取り手段と、
前記帳票の記載を示す帳票データを生成する生成手段と、を備え、
前記第1の制御手段は、前記ロボットが、前記重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、当該1以上の帳票の各々を、仕分け機構へ帳票を搬送する搬送手段に、他の帳票と重ならないように搬送させるように制御する、帳票仕分けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、帳票仕分けシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等の店舗では、代行収納用紙、伝票、商品券、領収書を含む、大きさや内容の異なる多種多様な帳票が扱われる。これらの帳票は各店舗から会計センターに集められ、手作業により分類される。分類された帳票の内容は、さらに、人手を介してシステムに登録される。
【0003】
本開示に関連する技術として、特許文献1には、金融機関で扱われる帳票に記載されたデータを読み取り、データから帳票の種類を判別し、帳票の収納手段への仕分け収納を制御する帳票仕分け処理装置が開示されている。特許文献1において作業者は、仕分け対象である帳票として様々な種類の納付書が混在したものをホッパにセットする。ホッパにセットされた納付書は、繰り出しローラにより1枚ずつ帳票仕分け処理装置内に取り込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、様々な種類の納付書をホッパにセットすることが開示されているが、様々なサイズの納付書を扱うことは開示されていない。一般に、特許文献1のような装置には、作業者によってサイズごとに分類された帳票が、サイズごとにホッパにセットされる。また、一般に、特許文献1のような装置には、帳票の端と角を揃えて、帳票がセットされる。したがって、作業者の手間がかかる。
【0006】
本開示は、帳票の仕分けを簡単な機構で効率化する帳票仕分けシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る帳票仕分けシステムは、重ねて置かれた帳票を認識する認識手段と、
前記認識の結果に基づいて、ロボットを制御する第1の制御手段と、を備え、前記第1の制御手段は、前記ロボットが、前記重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、当該1以上の帳票の各々を、仕分け機構へ帳票を搬送する搬送手段に、他の帳票と重ならないように搬送させるように制御する。
【0008】
本開示に係るロボット制御方法は、重ねて置かれた帳票を認識し、認識された結果に基づいて、ロボットが、前記重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、当該1以上の帳票の各々を、仕分け機構へ帳票を搬送する搬送手段に、他の帳票と重ならないように搬送させるようにロボットを制御する。
【0009】
本開示に係る記録媒体は、重ねて置かれた帳票の位置を認識する処理と、認識された結果に基づいて、ロボットが、前記重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、当該1以上の帳票の各々を、仕分け機構へ帳票を搬送する搬送手段に、他の帳票と重ならないように搬送させるようにロボットを制御する処理とをコンピュータに実行させるプログラムを非一時的に記録する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、帳票の仕分けを簡単な機構で効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る帳票仕分けシステム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】ロボット10、コンベア20、及び、カメラ30の配置例を示す図である。
【
図3】ロボット制御装置100の構成を示すブロック図である。
【
図4】コンベア20と仕分け装置40の配置例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る帳票仕分けシステム1の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】ロボット10とコンベア20の他の配置例を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る帳票仕分けシステム2の構成を示すブロック図である。
【
図8】記憶部205に記憶される帳票データの例を示す図である。
【
図9】帳票データ生成装置200の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】コンピュータ500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態の一態様である帳票仕分けシステムについて、図面を用いて説明する。本開示において、帳票とは、例えば、店舗等で扱われる代行収納用紙、伝票、商品券、領収書等の書類である。ここで、代行収納用紙は、例えば、ガス、電話、電気、税金、社会保険料、電子商取引などの料金の納付書である。ただし、上に列記した帳票のうち、扱われない書類があってもよい。また、帳票として他の書類が含まれてもよい。本開示において、帳票の種別とは、例えば、これら帳票の内容による分類を表す。また、帳票の種別は、帳票のサイズによる分類を表してもよい。
【0013】
[第1実施形態]
(構成)
図1は、第1実施形態に係る帳票仕分けシステム1の構成を示すブロック図である。帳票仕分けシステム1は、ロボット10、ロボット制御装置100、コンベア20、カメラ30、仕分け装置40、及び、仕分け制御装置400を有する。ロボット制御装置100は、ロボット10及びカメラ30と有線または無線により通信可能に接続される。仕分け制御装置400は、仕分け装置40と有線または無線により通信可能に接続される。ロボット制御装置100と仕分け制御装置400は、通信可能に接続されてもよいし、通信を行わなくてもよい。
【0014】
ロボット10は、所定の場所にセットされた様々な種別の帳票を保持し、コンベア20上に載せる。カメラ30は、所定の場所にセットされた帳票を撮影する。
【0015】
コンベア20は、仕分け装置40へ帳票を搬送する。コンベア20は、例えば並列に配置されたローラの各々が回転することにより帳票を搬送する、ローラコンベアである。コンベア20は、コンベアベルトを備えてもよい。コンベア20は搬送手段の一実施形態である。
【0016】
仕分け制御装置400は、仕分け装置40に帳票を仕分けさせる。仕分け装置40は、例えば、直角に配置された二組のローラの一方組のローラが他方の組のローラより高い位置に浮上して回転することにより、帳票の搬送方向を変更する、浮上式の移載機構である。仕分け装置40は、一方の組のローラが回転することにより、他方の組のローラ上に仕分け対象の帳票が来たときに、仕分け先の方向に帳票の搬送方向を変更する。
【0017】
仕分け装置40は、仕分け機構の一実施形態である。仕分け機構の構成は以上の構成に限られず、他の構成に変更されてもよい。
【0018】
仕分け装置40は、帳票の種別(内容やサイズ)により、仕分け先に仕分ける。例えば、仕分け装置40は、帳票を用紙のサイズにより仕分けてもよい。また、帳票は、代行収納用紙、伝票、商品券、領収書、その他書類などの内容により仕分けられてもよい。帳票は、データの入力対象であるか否か、保管対象であるか否か、及び、店舗への返却対象であるか否かなど、その後の処理工程により仕分けられてもよい。帳票は、さらに、帳票名により仕分けられてもよい。帳票が商品券の場合、商品券は、さらに、換金対象であるか否かにより仕分けられてもよい。なお、複数の異なる種別の帳票が、同じ仕分け先に仕分けられてもよい。
【0019】
図2は、ロボット10、コンベア20、及び、カメラ30の配置例を示す図である。
図2の例において、帳票は箱の中に積み重ねられている。コンビニエンスストアから収集された帳票は店舗ごとにバッグに入れられて運ばれうる。バッグには、例えば、店舗を一意に識別する情報が付される。作業者はバッグから帳票を取り出し、帳票を店舗ごとに異なる箱に入れてもよい。
【0020】
図3は、ロボット制御装置100の構成を示すブロック図である。ロボット制御装置100は、ロボット10を制御する。ロボット制御装置100は、認識部101と、制御部102を備える。
【0021】
認識部101は、例えば、カメラ30により撮影された画像に基づいて、重ねて置かれた帳票を認識する。認識部101は、認識手段の一実施形態である。
【0022】
認識部101は、カメラ30から、帳票を撮像した画像を受信してもよい。認識部101は、例えば、帳票の辺、または、角を認識して、帳票の位置およびサイズを認識する。認識部101は、帳票に印字された文字、または、コードの位置を認識して、帳票の位置およびサイズを認識してもよい。あるいは、認識部101は、カメラ30が認識した帳票の位置およびサイズを受信してもよい。
【0023】
例えば、認識部101は、上に重なっている帳票がない、箱の中で最上層の帳票を認識する。認識部101は、帳票の辺、印字された文字またはコードが他の帳票により隠されていない帳票を認識する。
【0024】
制御部102は、認識部101による認識の結果に基づいて、帳票をロボット10に保持させ、ロボット10が、コンベア20に帳票を搬送させるよう、ロボット10を制御する。すなわち、ロボット10は、コンベア20に帳票を載せる。認識の結果とは、例えば、帳票の位置またはサイズである。ロボット制御装置100の制御部102は、第1の制御手段の一実施形態である。
【0025】
ロボット10は、既存の技術を用いて、例えば、一番上の帳票を1枚保持する。ロボット10は、例えば、人間の指のように帳票の辺を把持することで帳票を保持してもよい。あるいは、ロボット10は、静電気、または空気の吸引もしくは吐出により、ロボット10のアームに備えられた平板、若しくは、1以上の接点に、帳票を吸着させてもよい。
【0026】
制御部102は、ロボット10が保持している帳票が、他の帳票と重ならないように、当該保持している帳票をコンベア20に搬送させるよう、ロボット10を制御する。例えば、制御部102は、ロボットが、コンベア20に搬送されている他の帳票の前後の空いたスペースで、帳票をコンベア20に搬送させるように制御する。制御部102は、例えば、帳票を1枚載せてから所定の時間経過後に次の帳票を載せるようロボット10を制御する。所定の時間経過の間にコンベア20は帳票を搬送し、次の帳票を載せるスペースを作る。認識部101が認識した帳票のサイズが他の帳票より大きい場合、制御部102は、次の帳票を載せる時間間隔を他の帳票を載せる間隔より大きくしてもよい。あるいは、コンベア20上を撮影するカメラを設置し、制御部102は、撮影されたスペースに帳票を載せるようロボット10を制御してもよい。
【0027】
なお、ロボット10は、帳票が重ならないようにコンベア20上に載せることができれば、一度に複数の帳票を箱から取り出してもよい。つまり、制御部102は、重ねて置かれた帳票のうちの2以上を保持し、2以上の帳票の各々を、コンベア20に搬送させるよう、ロボット10を制御してもよい。
【0028】
仕分け装置40は、既存の仕分け技術により、帳票を種別に応じて、複数の仕分け先である排出部へ仕分ける。各仕分け先(排出部)へ仕分ける帳票の種別は、事前に管理者等により設定される。ここで、異なる種別の帳票が、同じ仕分け先(排出部)へ仕分けられてもよい。各仕分け先(排出部)において、帳票は積み重ねられ得る。
【0029】
仕分け制御装置400は、仕分け装置40を制御する。仕分け制御装置400は帳票の特徴を取得し、取得した特徴により帳票の種別を特定し、仕分け先を判別する。帳票の特徴とは、例えば、帳票の形状、サイズ、色、または、帳票に印字された文字、コードなどである。帳票に印字された文字は、例えば、帳票名を示す。帳票に印字されたコードは、例えば帳票の種別を示すバーコードや2次元コードである。
【0030】
帳票の特徴を取得するために、仕分け制御装置400は、カメラ41と有線、または無線により通信可能に接続されてもよい。カメラ41は例えば、コンベア20上の帳票を撮影する。仕分け制御装置400は、画像に基づいて帳票の特徴を取得する。なお、カメラ41の代わりにイメージスキャナやバーコードスキャナが用いられてもよい。
【0031】
仕分け制御装置400はカメラ41を備える代わりに、カメラ30により撮影された画像から帳票の特徴を取得してもよい。この場合、例えば、ロボット制御装置100は、帳票がコンベア20に置かれた順番に、仕分け制御装置400に、カメラ30により撮影された帳票の画像を送信する。仕分け制御装置400がロボット制御装置100から画像を受信する帳票の順番は、コンベア20により仕分け装置40に搬送される帳票の順番に対応する。仕分け制御装置400は、ロボット制御装置100から順番に受信した画像により、帳票の特徴を取得して、仕分け装置40に順番に搬送された帳票を仕分けさせる。なお、仕分け制御装置400は、ロボット制御装置100において、カメラ30により撮影された帳票の画像に基づいて取得された帳票の特徴や、特定された帳票の種別を、当該ロボット制御装置100から受信してもよい。
【0032】
仕分け制御装置400は、仕分け装置40と一体に形成されてもよく、別々の装置として設けられてもよい。
【0033】
仕分け先(排出部)へ仕分けられた帳票は、作業者またはロボットによってさらに運ばれてもよい。例えば作業者またはロボットは、帳票の記載をシステムに登録するために、仕分け先(排出部)から帳票を取り出して他の装置へと運ぶ。あるいは、作業者またはロボットは帳票を所定の保管場所へと運ぶ。保管場所は、例えば、部屋、棚、ケース、箱、コンテナ、バッグ、ファイル、フォルダなど特に限られない。仕分け先(排出部)に収納手段が設置される場合、作業者は収納手段ごと帳票を運んでもよい。仕分け先(排出部)に設置される収納手段の種類は特に限られず、例えば、ケース、箱、コンテナ、バッグのいずれでもよい。
【0034】
図4は、コンベア20と仕分け装置40の配置例を示す図である。なお、仕分け装置40とコンベア20は一体として形成されてもよい。
図4において、仕分け先(排出部)に収納手段X,Y,Zが設置されている。
【0035】
(動作)
図5は、第1実施形態に係る帳票仕分けシステム1の動作例を示すフローチャートである。まず、ロボット制御装置100の認識部101は、帳票の位置を認識する(ステップS1)。制御部102は認識された位置に基づいてロボット10を制御する。ロボット10は制御部102からの制御に基づいて、帳票を1枚保持する(ステップS2)。さらに、ロボット10は、保持した帳票をコンベア20に載せる(ステップS3)。コンベア20は仕分け装置40へ帳票を搬送する。仕分け装置40は帳票を種別に応じて仕分ける(ステップS4)。以上で帳票仕分けシステム1の動作例の説明を終了する。
【0036】
(効果)
第1実施形態によれば、帳票の仕分けを簡単な機構で効率化できる。その理由は、ロボット10が重ねて置かれた帳票のうちの1以上を保持し、1以上の帳票の各々を、他の帳票と重ならないようにコンベア20に載せるためである。さらに、コンベア20が帳票を仕分け装置40へ搬送するためである。さらに、第1実施形態によれば、仕分け装置40を用いることで、人による仕分け作業を自動化できる。これにより、帳票の向きや位置、サイズが揃えられていない状態で置かれていても、作業者が揃える必要はない。また、仕分け機構として、1枚ずつ搬送されてきた帳票を仕分けるだけの簡単な機構を用いることができる。したがって、簡単な機構で効率的に帳票を仕分けることができる。
【0037】
特許文献1に係る装置を用いる場合、作業者は帳票をホッパにまっすぐにセットしなければならない。また、帳票のサイズが異なる場合には、帳票をサイズごとにセットしなければならない可能性がある。第1実施形態によれば、ロボット制御装置100が積み重ねられた帳票の位置を認識してロボット10に帳票を保持させる。したがって、作業者は、多種多様なサイズの帳票をまとめてセットすることができる。また、作業者が帳票を多少乱雑に積み重ねても、仕分け装置40により帳票を効率よく仕分けできる。
【0038】
ところで、ロボットを用いた帳票の仕分け方法として、ロボットの近くに複数の仕分け先(排出部)を配置し、複数種別の帳票が積み重ねられた場所から、帳票を保持して各仕分け先(排出部)へ移載する方法が想定されうる。しかし、ロボットが仕分けを行う場合、第1実施形態に係るロボット10と比較して、ロボットの動作が複雑となることで製造コストが増加し、かつ、ロボットの処理が遅くなり得る。さらに、ロボットの近くに配置できる仕分け先(排出部)の数に限りがあるため、仕分けることができる帳票の種別が制限される。第1実施形態によれば、効率的に、より多くの種別の帳票を仕分けることが可能になる。
【0039】
(変形例1)
ロボット制御装置100は、ロボット10が、帳票の上下左右の向きを揃えてコンベア20に帳票を載せるよう、ロボットを制御してもよい。例えば、ロボット10は、全ての帳票の上端の配置角度が揃うように、帳票をコンベア20上に配置してもよい。
【0040】
コンベア20上の帳票の上下左右の向きと配置角度が揃えられると、仕分け機構によるに仕分けエラーや、帳票の特徴の取得エラーを低減することが期待される。また、仕分け先に帳票の向きが揃えて排出されるから、仕分け先に収納手段が設置される場合、帳票の向きを揃えて保管できる。さらに、作業者やロボットが向きを揃えることなく、帳票を保管場所へ移動できる。帳票が向きを揃えて保管されると、管理が容易となる。
【0041】
さらに、帳票の仕分けと保管を行う際に、帳票の表裏の向きは揃えられることが好ましい。帳票の裏表の向きを揃えるために、帳票仕分けシステム1は、さらに、既存の技術を利用した帳票の反転機構と反転機構を制御する制御装置を備えてもよい。
【0042】
反転機構は、コンベア20における帳票の面を反転させる。例えば、反転機構は、コンベア20上に載せられた帳票の裏面が上を向いている場合、表面が上に向くよう帳票を反転させる。表面が上を向いていると、例えば、カメラ41がコンベア上の表面に表れる帳票の特徴を撮影することができる。
【0043】
反転機構の制御装置は、任意のカメラから受信した帳票の画像に基づいて帳票の向きを認識する。帳票の向きを認識するためのカメラは、第1実施形態に係るカメラ30、コンベア20上を撮影する他のカメラ、及び、第2実施形態に係るカメラ41のいずれであってもよい。反転機構の制御装置は、第2の制御手段の一実施形態である。反転機構の制御装置は、ロボット制御装置100、または、仕分け制御装置400と一体に設けられてもよく、これらの装置とは別に設けられてもよい。
【0044】
(変形例2)
1つのレーンのコンベア20に対して、ロボット10は複数配置されてもよい。
図6は、ロボット10とコンベア20の他の配置例を示す図である。
図6の例において、ロボット10-1は、例えば、箱Q内の帳票をコンベア20に載せて、ロボット10-2は、箱P内の帳票をコンベア20に載せる。ロボット10-1は、ロボット10-2が載せた帳票に重ならないように帳票をコンベア20に載せる。
【0045】
このとき、ロボット10-1とロボット10-2は、1つのロボット制御装置100により制御されてもよい。カメラ30は、ロボット10ごと、または、帳票が積み重ねられた箱ごとに複数設けられてもよい。ロボット制御装置100は、各カメラ30から各箱の中に積み重ねられた帳票の画像を受信する。ただし、設けられるカメラ30は1つであってもよく、1つのカメラ30により複数の各箱の中の帳票が撮影されてもよい。
【0046】
また、ロボット10-1とロボット10-2は、それぞれ別のロボット制御装置100により制御されてもよい。
【0047】
図6において、コンベア21は、積み重ねられた帳票の入った箱をロボット10の位置まで搬送する搬送手段である。コンベア21は、さらに、ロボット10により全ての帳票が取り出された空箱を搬送してもよい。
【0048】
[第2実施形態]
(構成)
図7は、第2実施形態に係る帳票仕分けシステム2の構成を示すブロック図である。帳票仕分けシステム2は、第1実施形態に係る帳票仕分けシステム1と比較して、帳票データ生成装置200をさらに備える。第1実施形態に係る構成と同様の構成については、説明を省略する。帳票データ生成装置200は、ロボット制御装置100及び仕分け制御装置400と、有線または無線により通信可能に接続されてもよい。
【0049】
帳票データ生成装置200は、画像取得部201、読取部202、生成部203、収納先取得部204、及び、記憶部205を備える。なお、帳票データ生成装置200は、以上の構成要素の一部を含んでいなくてもよい。また、帳票データ生成装置200の各構成要素は、複数の装置の組み合わせにより実現されてもよい。
【0050】
画像取得部201は、仕分け対象の帳票を撮像可能な任意の位置に配置されたカメラから、帳票の画像を取得する。画像取得部201は、上述の場所にセットされた仕分け対象の帳票の画像をカメラ30から取得してもよい。あるいは、画像取得部201は、仕分け制御装置400が用いるカメラ41や他のカメラからコンベア20上の帳票の画像を取得してもよい。あるいは、画像取得部201は、各仕分け先(排出部)に設置されたカメラから、仕分けられた後の帳票の画像を取得してもよい。
【0051】
画像取得部201は、カメラ30、41から画像を取得すると、カメラ30、41とは別に後述の帳票データの作成のためにカメラを設ける必要がなくなり、コストを低減できる。
【0052】
読取部202は、画像取得部201が取得した画像に基づいて、帳票の記載を読み取る。読取部202は、例えば、OCR(Optical Character Recognition)技術により、画像におけるテキストを認識することにより、帳票の記載を読み取る。読取部202は、帳票に含まれる項目ごとに帳票の記載を読み取ってもよい。
【0053】
生成部203は、読取部202が読み取った帳票の記載を示す帳票データを生成する。生成部203は、帳票データを記憶部205に記憶させる。記憶部205に帳票データを追加することを、帳票のシステムへの登録とも記載する。
図8は、記憶部205に記憶される帳票データの例を示す図である。
【0054】
帳票データは、帳票種別、帳票ID(Identifier)、及び、項目データを含む。帳票種別は、上述の帳票の種別(内容やサイズ)を示す。例えば、帳票種別は、帳票が代行収納用紙、伝票、商品券、領収書、その他書類のうちいずれであるかを示してもよい。あるいは、帳票種別は、帳票名若しくは帳票のサイズを示してもよい。帳票の種別は、読取部202より、例えば、仕分け制御装置400と同様に判別される。
【0055】
帳票IDは、帳票を一意に識別する識別子である。生成部203は、読み取った帳票に帳票IDを付してもよい。あるいは、生成部203は、帳票に印字された帳票IDを読取部202が読み取った結果を、帳票IDとして用いてもよい。
【0056】
項目データは、帳票に含まれる項目ごとに記載された事項を示すデータである。帳票の種別(内容)によって、帳票に含まれる項目は異なる場合がある。
図8の例において、例えば、帳票種別Aの帳票は、項目A1と項目A2を含む。読取部202は、帳票IDがA001の帳票について、項目A1にはデータxxx、A2にはデータyyyが記載されていることを読み取る。
【0057】
帳票データは、さらに、読み取った帳票の収納先を含んでもよい。収納先は、例えば、仕分け先(排出部)に設置されている収納手段の識別子である。また、収納先は、帳票が収納された保管場所を識別する識別子でもよい。また、収納先は、帳票が収納された保管場所を識別する識別子と収納手段の識別子との組み合わせであってもよい。
【0058】
収納先取得部204は、読み取り対象の帳票ごとに、帳票の収納先を取得する。
【0059】
(1)収納先が、仕分け先(排出部)に設置されている収納手段の識別子の場合、収納先取得部204は、例えば、以下のように、読み取り対象の帳票が収納された収納先を取得する。
【0060】
(1.1)例えば、画像取得部201が、読み取り対象の帳票の画像を、各仕分け先(排出部)のカメラから取得している場合、収納先取得部204は、読み取り対象の(仕分けられた)帳票とともに撮影された収納手段の画像から、当該帳票が収納された収納手段の識別子を特定する。
【0061】
(1.2)画像取得部201が、読み取り対象の帳票の画像を、カメラ30や、カメラ41等から取得している場合に、帳票が収納された収納手段の識別子は次のように特定され得る。例えば、収納先取得部204は、まず、読取部202により特定された読み取り対象の帳票の帳票IDを取得する。さらに、収納先取得部204は、各仕分け先(排出部)のカメラで撮影された画像から取得した、仕分けられた帳票の帳票IDと、当該帳票が収納された収納手段の識別子を取得する。収納先取得部204は、取得したこれらの帳票ID、及び、収納手段の識別子に基づき、当該帳票が収納された収納手段の識別子を特定する。
【0062】
(1.3)(1.2)と同様に、画像取得部201が、読み取り対象の帳票の画像を、カメラ30や、カメラ41等から取得している場合に、帳票が収納された収納手段の識別子は次のように特定され得る。例えば、収納先取得部204は、取得した各帳票の画像の順番(仕分け装置40による仕分けの順番)と当該帳票の種別とに基づき、当該帳票が仕分け先(排出部)に仕分けられる順番を求める。そして、画像取得部201は、当該仕分け先(排出部)に順次設置、交換される各収納手段に収納された帳票の数と当該収納手段の識別子から、読み取った帳票が収納された収納手段の識別子を特定する。この場合、各仕分け先(排出部)に順次設置、交換された各収納手段の識別子や、当該収納手段に収納された帳票の数は、作業者により入力されてもよいし、各仕分け先(排出部)のカメラで撮影された画像から取得してもよい。
【0063】
(2)収納先が、帳票が収納された保管場所を識別する識別子の場合、収納先取得部204は、例えば、以下のように、読み取った帳票が収納された収納先を取得する。
【0064】
例えば、収納先取得部204は、各収納手段が搬送された保管場所の識別子を、当該収納手段を搬送した作業者またはロボットからの入力により取得する。そして、収納先取得部204は、上述の方法により特定した、読み取り対象の帳票が収納された収納手段の識別子、及び、各収納手段が搬送された保管場所の識別子に基づき、読み取り対象の帳票が収納された収納手段の識別子を特定する。
【0065】
図8の例において、A001の帳票は箱X1に収納されることが記憶される。収納先が記憶されることで、データに対応する実物の帳票を管理することができる。
【0066】
帳票データはさらに、帳票の画像を含んでもよい。すなわち、生成部203は、さらに、画像取得部201が取得した帳票の画像を記憶部205に記憶させてもよい。そして、帳票データ生成装置200は、記憶した帳票データと画像とを関連付けて任意のディスプレイに表示させてもよい。画像が表示されることで、作業者は画像と読み取られた項目データを比べることができる。
【0067】
(動作)
第2実施形態に係る帳票仕分けシステム2の動作例について説明する。ロボット10、ロボット制御装置100、コンベア20、及び、仕分け装置40の動作は第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。
図9は、帳票データ生成装置200の動作例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、画像取得部201は、帳票の画像を取得する(ステップS21)。ステップS21は、
図5におけるステップS1の前、または、ステップS1からS4のいずれかの後に行われてもよい。
【0069】
読取部202は、取得された帳票の画像に基づいて帳票の記載を読み取る(ステップS22)。
【0070】
収納先取得部204は、帳票の収納先を取得する(ステップS23)。
【0071】
生成部203は、読取部202が読み取った記載を含む帳票データを生成する(ステップS24)。
【0072】
(効果)
第2実施形態によれば、人が帳票を見て、帳票の記載をシステムに入力する作業を自動化できる。その理由は、画像取得部201が、帳票の画像を取得し、読取部202が、帳票の記載を読み取り、生成部203が帳票データを生成し、記憶部205に登録するためである。
【0073】
[ハードウェア構成]
上述した各実施形態において、ロボット制御装置100、及び帳票データ生成装置200の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素の一部又は全部は、コンピュータ500とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0074】
図10は、コンピュータ500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図10を参照すると、コンピュータ500は、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、プログラム504、記憶装置505、ドライブ装置507、通信インタフェース508、入力装置509、入出力インタフェース511、及び、バス512を含む。
【0075】
プログラム504は、各装置の各機能を実現するための命令(instruction)を含む。プログラム504は、予め、ROM502やRAM503、記憶装置505に格納される。CPU501は、プログラム504に含まれる命令を実行することにより、各装置の各機能を実現する。例えば、ロボット制御装置100のCPU501がプログラム504に含まれる命令を実行することにより、ロボット制御装置100の機能を実現する。また、RAM503は、各装置の各機能において処理されるデータを記憶してもよい。例えば、コンピュータ500のRAM503に、ロボット制御装置100における帳票位置を記憶してもよい。
【0076】
ドライブ装置507は、記録媒体506の読み書きを行う。通信インタフェース508は、通信ネットワークとのインタフェースを提供する。入力装置509は、例えば、マウスやキーボード等であり、帳票仕分けシステム1の管理者からの情報の入力を受け付ける。出力装置510は、例えば、ディスプレイであり、管理者等へ情報を出力(表示)する。入出力インタフェース511は、周辺機器とのインタフェースを提供する。バス512は、これらハードウェアの各構成要素を接続する。なお、プログラム504は、通信ネットワークを介してCPU501に供給されてもよいし、予め、記録媒体506に格納され、ドライブ装置507により読み出され、CPU501に供給されてもよい。
【0077】
なお、
図10に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の構成要素が追加されていてもよく、一部の構成要素を含まなくてもよい。
【0078】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0079】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、プロセッサ等を含む汎用又は専用の回路(circuitry)や、これらの組み合わせによって実現されてもよい。これらの回路は、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0080】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0081】
また、帳票仕分けシステム1、2の少なくとも一部がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてよい。すなわち、ロボット制御装置100及び帳票データ生成装置200を実現するための機能の少なくとも一部が、ネットワーク経由で実行されるソフトウェアによって実行されてよい。
【0082】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施形態における構成は、本開示のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 ロボット
100 ロボット制御装置
20、21 コンベア
30、41 カメラ
40 仕分け装置
400 仕分け制御装置
500 コンピュータ