IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファナック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-I/Oユニット 図1
  • 特許-I/Oユニット 図2
  • 特許-I/Oユニット 図3
  • 特許-I/Oユニット 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】I/Oユニット
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G05B19/05 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023509006
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2022010773
(87)【国際公開番号】W WO2022202386
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021049366
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正博
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 眞一
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157456(JP,A)
【文献】特開平9-244772(JP,A)
【文献】特開2016-110460(JP,A)
【文献】特開2019-114085(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0333758(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0243793(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0297829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
G06F 3/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターユニット(12)と機器(Ins)とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニット(14)であって、
前段に設けられた前記マスターユニットまたは他の前記I/Oユニットと接続するための第1の前段端子(30a)および第2の前段端子(30b)と、
後段に設けられた他の前記I/Oユニットと接続するための第1の後段端子(32a)および第2の後段端子(32b)と、
前記第1の前段端子を前記第1の後段端子に接続し、前記第2の前段端子を第2の後段端子に接続するか、前記第1の前段端子を前記第2の後段端子に接続し、前記第2の前段端子を第1の後段端子に接続するかを選択する選択回路(38)と、
前記マスターユニットのマスター処理回路(24)と信号の入出力を行うスレーブ処理回路(34)と、
を備え、
前記第1の前段端子および前記第2の前段端子のいずれか一方または前記第1の後段端子および前記第2の後段端子のいずれか一方と、前記選択回路とは、前記スレーブ処理回路を介して接続されている、I/Oユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のI/Oユニットであって、
前記マスターユニットは、2つの前記マスター処理回路(24a、24b)を有し、
前記スレーブ処理回路は、2つの前記マスター処理回路の一方と信号の入出力を行う、I/Oユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターユニットと機器とを接続し、マスターユニットと機器との間で信号を伝送するI/Oユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-110460号公報には、プログラマブル・ロジック・コントローラシステムが開示されている。このプログラマブル・ロジック・コントローラシステムは、基本ユニット(マスター)と、複数の拡張ユニット(スレーブ)とを有する。基本ユニットと、複数の拡張ユニットとは、マスターユニットを先頭にして、デイジーチェーン接続される。複数の拡張ユニットの各々は、例えばI/Oユニットである。基本ユニットは、複数の拡張ユニットを介して、被制御装置に信号を送受信する。被制御装置は、例えばセンサ、またはアクチュエータである。
【発明の概要】
【0003】
マスターユニットと複数のI/Oユニットとは、マスターユニットを先頭にして所定の設置方向に沿って並べられる。ここで、隣り合うマスターユニットの端子と、I/Oユニットの端子とが接続される。また、隣り合うI/Oユニット同士の端子が互いに接続される。これにより、ケーブル等を別途必要とすることなく、マスターユニットのマスター処理回路と、複数のI/Oユニットのスレーブ処理回路とがデイジーチェーンで接続される。
【0004】
ここで、マスターユニットに複数のマスター処理回路を設けたいという要望がある。しかし、マスターユニットとI/Oユニットとが上記の並び順で並ぶ場合、マスターユニットに隣り合うI/Oユニットは、1つのみである。したがって、仮にマスターユニットが複数のマスター処理回路を備えるとしても、スレーブ処理回路に接続されるマスター処理回路は、一つのみである。その一つのマスター処理回路以外のマスター処理回路は、スレーブ処理回路に接続されない。つまり、複数のマスター処理回路の各々に複数のスレーブ処理回路を接続することはできなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0006】
本発明の一態様に係るI/Oユニットは、マスターユニットと機器とを接続し、前記マスターユニットと前記機器との間で信号を伝送するI/Oユニットであって、前段に設けられた前記マスターユニットまたは他の前記I/Oユニットと接続するための第1の前段端子および第2の前段端子と、後段に設けられた他の前記I/Oユニットと接続するための第1の後段端子および第2の後段端子と、前記第1の前段端子を前記第1の後段端子に接続し、前記第2の前段端子を第2の後段端子に接続するか、前記第1の前段端子を前記第2の後段端子に接続し、前記第2の前段端子を第1の後段端子に接続するかを選択する選択回路と、前記マスターユニットのマスター処理回路と信号の入出力を行うスレーブ処理回路と、を備え、前記第1の前段端子および前記第2の前段端子のいずれか一方または前記第1の後段端子および前記第2の後段端子のいずれか一方と、前記選択回路とは、前記スレーブ処理回路を介して接続されている。
【0007】
本発明の態様によれば、マスターユニットが複数のマスター処理回路を有する場合であっても、複数のマスター処理回路の各々への複数のスレーブ処理回路の接続を可能にするI/Oユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態の通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、通信カプラユニットの2つのマスター処理回路と、複数のI/Oユニットのスレーブ処理回路との接続状態を示す一例である。
図3図3は、通信カプラユニットの2つのマスター処理回路と、複数のI/Oユニットのスレーブ処理回路との接続状態を示す他の一例である。
図4図4は、従来の通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るI/Oユニットについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0010】
[実施の形態]
図1は、通信システム10の構成を示す図である。通信システム10は、制御装置Contと機器Insとの間で信号を伝送する。機器Insは、例えばアクチュエータと、センサとを含む。アクチュエータは、例えばスイッチを含む。センサは、例えば押圧、電圧、電流、気温または湿度を検出する。
【0011】
通信システム10は、通信カプラユニット(マスターユニット)12と、複数のI/Oユニット(スレーブユニット)14とを有する。複数のI/Oユニット14は、通信カプラユニット12の後段に順次接続される。通信カプラユニット12と、その後段に接続された複数のI/Oユニット14とは、1つのステーションを構成する。通信システム10の通信カプラユニット12は、制御装置Contと接続される。複数のI/Oユニット14は、複数の機器Insと接続される。図1の例において、1つのI/Oユニット14に1つの機器Insが接続されている。ただし、1つのI/Oユニット14に複数の機器Insが接続されてもよい。また、図1の通信カプラユニット12には、6つのI/Oユニット14が接続される。ただし、通信カプラユニット12に接続されるI/Oユニット14の数は、6つに限定されない。
【0012】
なお、図1のI/Oユニットの符号(14)の後には、通信カプラユニット12からの段数に応じた添え字(1)、(2)、・・・、(6)が付される。この添字は、以下の説明において、特定のI/Oユニット14を指した説明が記載される場合に、用いられる。
【0013】
通信カプラユニット12は、電源20と、2つのコネクタ22(22a、22b)と、2つのマスター処理回路24(24a、24b)と、2つの支流端子26(26a、26b)と、筐体28とを備える。筐体28は、電源20と、2つのコネクタ22と、2つのマスター処理回路24と、2つの支流端子26とを収容する。2つのコネクタ22(22a、22b)と、2つの支流端子26(26a、26b)との少なくとも一部は、筐体28から露出している。したがって、2つのコネクタ22(22a、22b)と、2つの支流端子26(26a、26b)とは、通信カプラユニット12の外部の接続部材(ケーブルまたは他の端子)と接続可能である。
【0014】
電源20は、2つのマスター処理回路24(24a、24b)に電力を供給する。なお、電源20は、I/Oユニット14に電力を供給してもよい。この場合、電源20は、後述されるスレーブ処理回路34とインターフェース36とに電力を供給してもよい。
【0015】
2つのコネクタ22(22a、22b)は、制御装置Contまたは他の通信カプラユニット12に接続されるコネクタである。コネクタ22aは、前段に設けられた制御装置Contまたは前段に設けられた他の通信カプラユニット12と接続される。また、コネクタ22bは、後段に設けられた他の通信カプラユニット12のコネクタ22aと接続される。2つのコネクタ22(22a、22b)と、制御装置Contまたは他の通信カプラユニット12との接続は、ケーブルを介して行われる。
【0016】
コネクタ22aは、マスター処理回路24aに接続される。コネクタ22bは、マスター処理回路24bに接続される。マスター処理回路24aとマスター処理回路24bとは互いに接続されている。したがって、マスター処理回路24aと、マスター処理回路24bとは、この順で制御装置Contにデイジーチェーンで接続される。また、通信カプラユニット12のコネクタ22bは、他の通信カプラユニット12のコネクタ22aと接続可能である。これにより、複数の通信カプラユニット12の2つのマスター処理回路24(24a、24b)を、制御装置Contにデイジーチェーンで接続することも可能となる。なお、複数のマスター処理回路24(24a、24b)が制御装置Contにデイジーチェーン接続される信号線の系統を本流系統と呼ぶ。
【0017】
2つのマスター処理回路24(24a、24b)は、I/Oユニット14(スレーブ処理回路34)と信号の入出力を行うための通信回路である。マスター処理回路24と、後述するスレーブ処理回路34とは、CPU(中央処理装置)、ASIC(特定用途向け集積回路)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)、または、FPGA(フィールドプログラマブルロジックゲートアレー)等を含んでもよい。
【0018】
2つの支流端子26(26a、26b)は、通信カプラユニット12に隣接して後段に配置されたI/Oユニット14と接続される端子である。支流端子26aは、マスター処理回路24aと接続される。支流端子26bは、マスター処理回路24bと接続される。
【0019】
I/Oユニット14は、2つの前段端子30(30a、30b)と、2つの後段端子32(32a、32b)と、スレーブ処理回路34と、インターフェース36と、選択回路38と、筐体40とを備える。筐体40は、2つの前段端子30と、2つの後段端子32と、スレーブ処理回路34と、インターフェース36と、選択回路38とを収容する。なお、2つの前段端子30と、2つの後段端子32と、インターフェース36との少なくとも一部は、筐体40から露出している。したがって、2つの前段端子30と、2つの後段端子32と、インターフェース36との少なくとも一部は、I/Oユニット14の外部の接続部材(ケーブルまたは他の端子等)と接続可能である。
【0020】
2つの前段端子30(30a、30b)は、I/Oユニット14に隣接して前段に設けられた通信カプラユニット12または他のI/Oユニット14と接続される端子である。2つの後段端子32(32a、32b)は、I/Oユニット14に隣接して後段に設けられた他のI/Oユニット14と接続される端子である。
【0021】
前段に通信カプラユニット12が設けられる場合、前段端子30a(第1の前段端子)は、前段に設けられた通信カプラユニット12の支流端子26aに接続される。また、その場合、前段端子30b(第2の前段端子)は、前段に設けられた通信カプラユニット12の支流端子26bに接続される。前段にI/Oユニット14が設けられる場合、前段端子30aは前段に設けられたI/Oユニット14の後段端子(第1の後段端子)32aに接続される。また、その場合、前段端子30bは前段に設けられたI/Oユニット14の後段端子(第2の後段端子)32bに接続される。
【0022】
スレーブ処理回路34は、2つのマスター処理回路24(24a、24b)の一方と信号の入出力を行うための通信回路である。インターフェース36は、スレーブ処理回路34と機器Insとを接続し、スレーブ処理回路34と機器Insとの間で信号を伝送するためのハードウェア(回路、電子部品群)である。インターフェース36の具体的な構成は機器Insの種類に応じて異なる。
【0023】
選択回路38は、2つの前段端子30(30a、30b)と2つの後段端子32(32a、32b)とを接続する。なお、後段端子32aは、スレーブ処理回路34を介して選択回路38に接続される。また、後段端子32bは、スレーブ処理回路34を介さずに選択回路38に接続される。
【0024】
選択回路38は、2つの前段端子30(30a、30b)と2つの後段端子32(32a、32b)との接続関係を、第1の接続関係と第2の接続関係とに切り替えることができる。第1の接続関係は、前段端子30aと後段端子32aとをスレーブ処理回路34を介して接続させ、前段端子30bと後段端子32bとをスレーブ処理回路34を介さずに接続させた接続関係である。第2の接続関係は、前段端子30bと後段端子32aとをスレーブ処理回路34を介して接続させ、前段端子30aと後段端子32bとをスレーブ処理回路34を介さずに接続させた接続関係である。
【0025】
選択回路38は、オペレータの操作に応じて、2つの前段端子30(30a、30b)と2つの後段端子32(32a、32b)との接続関係を、第1の接続関係と第2の接続関係とに切り替える。例えば、選択回路38は、不図示のスイッチを含んでもよい。このスイッチは、オペレータが切替え操作子を操作することに応じて、第1の接続関係と第2の接続関係とを切り替えてもよい。
【0026】
図1のI/Oユニット14は、以下の効果を奏する。
【0027】
すなわち、I/Oユニット14は、2つの前段端子30(30a、30b)と、2つの後段端子32(32a、32b)とを有する。2つの前段端子30(30a、30b)の一方と、2つの後段端子32(32a、32b)の一方とは、スレーブ処理回路34を介して接続される。残りの前段端子30と、残りの後段端子32とは、スレーブ処理回路34を介さずに接続される。したがって、I/Oユニット14は、2つのマスター処理回路24(24a、24b)の各々に複数のスレーブ処理回路34を接続することを可能にする。なお、マスター処理回路24aに複数のスレーブ処理回路34がデイジーチェーン接続される信号線の系統は、以下の説明において第1の支流系統と呼ばれる。また、マスター処理回路24bに対して複数のスレーブ処理回路34がデイジーチェーン接続される信号線の系統は、以下の説明において第2の支流系統と呼ばれる。
【0028】
また、I/Oユニット14は、選択回路38を備える。これにより、スレーブ処理回路34の接続先がマスター処理回路24aとなるI/Oユニットと、スレーブ処理回路34の接続先がマスター処理回路24bとなるI/Oユニットとが一つのI/Oユニット14として共通化される。したがって、オペレータは、スレーブ処理回路34の接続先がマスター処理回路24aとなる専用のI/Oユニットと、スレーブ処理回路34の接続先がマスター処理回路24bとなる専用のI/Oユニットとを個別に用意しなくても済む。
【0029】
図2は、通信カプラユニット12の2つのマスター処理回路24(24a、24b)と、複数のI/Oユニット14のスレーブ処理回路34と接続状態を示す一例である。図2の例において、I/Oユニット14(1)と、I/Oユニット14(2)と、I/Oユニット14(3)と、I/Oユニット14(5)と、I/Oユニット14(6)との各々について、2つの前段端子30と2つの後段端子32とが第1の接続関係に基づいて接続される。また、図2の例において、I/Oユニット14(4)について、2つの前段端子30と2つの後段端子32とが第2の接続関係に基づいて接続される。なお、図2の選択回路38は、実線と破線とを含む。実線で繋がれた前段端子30と後段端子32とが、接続されている。破線で繋がれた前段端子30と後段端子32とは、接続されていない。
【0030】
図2の例において、I/Oユニット14(1)と、I/Oユニット14(2)と、I/Oユニット14(3)との各々のスレーブ処理回路34が、第1の支流系統に含まれる。I/Oユニット14(1)と、I/Oユニット14(2)と、I/Oユニット14(3)とは、この順でマスター処理回路24aにデイジーチェーンで接続される。また、I/Oユニット14(4)と、I/Oユニット14(5)と、I/Oユニット14(6)との各々のスレーブ処理回路34が、第2の支流系統に含まれる。I/Oユニット14(4)と、I/Oユニット14(5)と、I/Oユニット14(6)とは、この順でマスター処理回路24bにデイジーチェーンで接続される。図1のI/Oユニット14は、1つのステーション内に増設することが容易である。
【0031】
ここで、本実施の形態との比較のために、従来技術が説明される。図4は、従来の通信システムの構成例を示す。従来の通信システムは、通信カプラユニット100と、複数のI/Oユニット104とを有する(図4参照)。通信カプラユニット100は、1つのマスター処理回路102を有する。I/Oユニット104は、1つのスレーブ処理回路106を有する。1つのマスター処理回路102に、複数のスレーブ処理回路106がデイジーチェーン接続される。通信カプラユニット100は、制御装置Contと接続される。1つの通信カプラユニット100と、その通信カプラユニット100に接続される複数のI/Oユニット104とは、1つのステーションを構成する。なお、図4において、スレーブ処理回路106と機器Insとを接続するインターフェースの図示は省略されている。
【0032】
マスター処理回路102の性能等の理由により、1つの通信カプラユニット100に接続できるI/Oユニット104の台数には上限があった。したがって、従来の通信システムに含まれるI/Oユニット104の台数が上記上限を超える場合、オペレータは、ステーションを増設しなければならなかった。この場合、オペレータは、複数の通信カプラユニット100を用意しなければならない。また、オペレータは、複数の通信カプラユニット100を制御装置Contにデイジーチェーンで接続しなければならない。これらの作業を含むステーションの増設作業は、オペレータにとって大きな負担であった。以上の理由から、従来の通信システムは、オペレータにとって不便だった。この従来の通信システムに対し、本実施の形態の通信システム10は、I/Oユニット14を含む。I/Oユニット14は、オペレータがステーションを増設する必要をなくすことができる。なお、この効果は、後述する図3の接続状態においても得られる。
【0033】
図3は、通信カプラユニット12の2つのマスター処理回路24(24a、24b)と、複数のI/Oユニット14のスレーブ処理回路34との接続状態を示す他の一例である。図3の例において、I/Oユニット14(1)について、2つの前段端子30と2つの後段端子32とが第1の接続関係に基づいて接続される。また、図3の例において、I/Oユニット14(2)と、I/Oユニット14(3)と、I/Oユニット14(4)と、I/Oユニット14(5)と、I/Oユニット14(6)との各々について、2つの前段端子30と2つの後段端子32とが、第2の接続関係に基づいて接続される。
【0034】
したがって、図3の例において、I/Oユニット14(1)と、I/Oユニット14(3)と、I/Oユニット14(5)との各々のスレーブ処理回路34が、第1の支流系統に含まれる。I/Oユニット14(1)と、I/Oユニット14(3)と、I/Oユニット14(5)とは、この順でマスター処理回路24aにデイジーチェーンで接続される。また、図3の例において、I/Oユニット14(2)と、I/Oユニット14(4)と、I/Oユニット14(6)との各々のスレーブ処理回路34が、第2の支流系統に含まれる。I/Oユニット14(2)と、I/Oユニット14(4)と、I/Oユニット14(6)とは、この順でマスター処理回路24bにデイジーチェーンで接続される。なお、図3の選択回路38は、実線と破線とを含む。実線で繋がれた前段端子30と後段端子32とが、接続されている。破線で繋がれた前段端子30と後段端子32とは、接続されていない。
【0035】
ここで、安全性に関わる機器Insは冗長化されることが多い。工作機械またはロボット等の機械に設けられる機器Insであって、機械の動作に関する機器Insは、安全性のため冗長化される。例えば、機械を停止させるための非常停止ボタンの操作を検出する機器(検出器等)Insは冗長化される。つまり、安全性に関わる機器Insは、2つ用意される。
【0036】
この場合、従来技術に基づくオペレータは、ステーションを2つ設置する(図4参照)。オペレータは、冗長化された同一種類の2つの機器Insのうち、一方の機器Insを一方のステーションのI/Oユニット104に接続する。また、オペレータは、冗長化された他方の機器Insを他方のステーションのI/Oユニット104に接続する。この場合、冗長化された同一種類の2つの機器Insの各々は、自身のマスターユニットとなる通信カプラユニット100から同一段目のI/Oユニット104に接続される。このI/Oユニット104と機器Insとの接続はケーブル等の配線を介して行われるのが一般的である。冗長化された同一種類の2つの機器Insの各々が接続されるI/Oユニット104は、異なるステーションに属する。したがって、冗長化された同一種類の2つの機器Insの各々が接続されるI/Oユニット104は、互いに比較的離れた位置に設置される傾向がある。ここで、オペレータは、冗長化された同一種類の2つの機器Insの各々が接続されるべきI/Oユニット104とは異なる他のI/Oユニット104に、冗長化された機器Insを誤接続する可能性がある。また、冗長化される機器Insは複数あるため、上記の誤接続が生じる確率がなおさら高まる。
【0037】
上記の従来技術に対して、本実施の形態では、冗長化された同一種類の2つの機器Insの各々に接続されるI/Oユニット14が隣り合って設置される(図3参照)。したがって、誤接続の発生が防止される。つまり、オペレータは、冗長化された同一種類の2つの機器Insと、この2つの機器Insに接続されるべきI/Oユニット14とを確実に接続できる。
【0038】
図3には複数の機器Insが図示される。複数の機器Insは、機器Ins1と、機器Ins2と、機器Ins3とを含む。機器Ins1と、機器Ins2と、機器Ins3との各々は、冗長化されている。したがって、機器Ins1と、機器Ins2と、機器Ins3とは、2つずつ用意される(図3参照)。2つの機器Ins1の一方はI/Oユニット14(1)に接続される。2つの機器Ins1の他方はI/Oユニット14(2)に接続される。2つの機器Ins2の一方はI/Oユニット14(3)に接続される。2つの機器Ins2の他方は、I/Oユニット14(4)に接続される。2つの機器Ins3の一方はI/Oユニット14(5)に接続される。2つの機器Ins3の他方はI/Oユニット14(6)に接続される。このように、冗長化された同一種類の2つの機器Insは、互いに隣接する2つのI/Oユニット14に接続される。したがって、冗長化された同一種類の2つの機器Insと、その2つの機器Insの接続対象とは異なる他のI/Oユニット14とが接続されることが、防止される。
【0039】
なお、冗長化された同一種類の2つの機器Insとは、例えば、検出対象が同一のセンサ、同一の対象物を動作させるアクチュエータ、または、同一の役割を果たすためのアクチュエータ等のことをいう。
【0040】
以下に簡単に説明されるように、制御装置Contと機器Insとは、通信システム10を介して信号を伝送する。
【0041】
制御装置Contが機器Insに制御信号を送る場合、制御装置Contは、初段(1番目)に接続された通信カプラユニット12のマスター処理回路24(24a)に制御信号を出力する。この制御信号は、送信対象の機器Insが接続されたI/Oユニット14のアドレス情報等を含む。マスター処理回路24は、入力された制御信号に含まれるアドレス情報が、自身が属するステーション内のI/Oユニット14を示しているか否かを判断する。ここで、マスター処理回路24は、自身が属するステーション内のI/Oユニット14をアドレス情報が示していない場合、自身の後段のマスター処理回路24に制御信号を出力する。その一方で、マスター処理回路24は、自身が属するステーション内のI/Oユニット14をアドレス情報が示している場合、そのステーションのI/Oユニット14(1)のスレーブ処理回路34に制御信号を出力する。スレーブ処理回路34は、入力された制御信号に含まれるアドレス情報が、自身を指しているか否かを判断する。ここで、スレーブ処理回路34は、アドレス情報が自身を示している場合、自身に接続された機器Insに制御信号を出力する。これにより、機器Insが動作する。その一方で、スレーブ処理回路34は、アドレス情報が自身を示していない場合、自身の後段に接続されたI/Oユニット14のスレーブ処理回路34に制御信号を出力する。なお、スレーブ処理回路34は、制御信号に含まれるアドレス情報が自身を示す場合において、必要であれば後段のスレーブ処理回路34(I/Oユニット14)に制御信号を出力してもよい。また、マスター処理回路24は、制御信号に含まれるアドレス情報が自身のステーション内のI/Oユニット14を示す場合において、必要であれば後段のマスター処理回路24に制御信号を出力してもよい。
【0042】
なお、機器Insが自身に接続されたスレーブ処理回路34に信号を出力する場合がある。この場合、スレーブ処理回路34は、機器Insから入力された信号に、アドレス情報を付加する。このアドレス情報は、マスター処理回路24または制御装置Contを示す。スレーブ処理回路34は、アドレス情報が付された信号を、前段に接続されたスレーブ処理回路34、または前段に接続されたマスター処理回路24に出力する。通信カプラユニット12とI/Oユニット14とが行う信号の入出力は周知技術なので、これ以上の説明を省略する。
【0043】
[変形例1]
上記実施の形態の後段端子32aは、スレーブ処理回路34を介して選択回路38に接続された。その一方で、後段端子32bは、スレーブ処理回路34を介さずに選択回路38に接続された。しかし、後段端子32aは、スレーブ処理回路34を介さずに選択回路38に接続されてもよい。この場合、後段端子32bは、スレーブ処理回路34を介して選択回路38に接続されてもよい。この場合にも、上記実施の形態と同様の効果が奏される。要は、後段端子32aと後段端子32bとのいずれか一方と、選択回路38とが、スレーブ処理回路34を介して接続されていればよい。
【0044】
[変形例2]
上記実施の形態と変形例1とにおいて、スレーブ処理回路34は、選択回路38と後段端子32との間に配置された。しかし、スレーブ処理回路34は、選択回路38と前段端子30との間に配置されてもよい。つまり、前段端子30aと選択回路38とは、スレーブ処理回路34を介して接続されてもよく、前段端子30bと選択回路38とは、スレーブ処理回路34を介さずに接続されてもよい。また、前段端子30aと選択回路38とは、スレーブ処理回路34を介さずに接続されてもよく、前段端子30bと選択回路38とは、スレーブ処理回路34を介して接続されてもよい。この場合にも、上記実施の形態と同様の効果が奏される。要は、前段端子30aと、前段端子30bとのいずれか一方と、選択回路38とが、スレーブ処理回路34を介して接続されていればよい。
【0045】
[変形例3]
上記実施の形態と、変形例1と、変形例2との通信カプラユニット12は、2つのマスター処理回路24を有していた。しかし、通信カプラユニット12は、3つ以上のマスター処理回路24を有してもよい。この場合、前段端子30と後段端子32の各々の数は、マスター処理回路24と同じ数である。この場合、選択回路38は、スレーブ処理回路34を介して接続される前段端子30と後段端子32とを、複数の前段端子30と複数の後段端子32との中からそれぞれ選択してもよい。
【0046】
[変形実施形態]
本発明についての実施形態および変形例を説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0047】
〔実施形態から得られる発明〕
上記各実施形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0048】
マスターユニット(12)と機器(Ins)とを接続し、マスターユニット(12)と機器(Ins)との間で信号を伝送するI/Oユニット(14)は、前段に設けられたマスターユニット(12)または他のI/Oユニット(14)と接続するための第1の前段端子(30a)および第2の前段端子(30b)と、後段に設けられた他のI/Oユニット(14)と接続するための第1の後段端子(32a)および第2の後段端子(32b)と、第1の前段端子(30a)を第1の後段端子(32a)に接続し、第2の前段端子(30b)を第2の後段端子(32b)に接続するか、第1の前段端子(30a)を第2の後段端子(32b)に接続し、第2の前段端子(30b)を第1の後段端子(32a)に接続するかを選択する選択回路(38)と、マスターユニット(12)のマスター処理回路(24)と信号の入出力を行うスレーブ処理回路(34)と、を備える。第1の前段端子(30a)および第2の前段端子(30b)のいずれか一方または第1の後段端子(32a)および第2の後段端子(32b)のいずれか一方と、選択回路(38)とは、スレーブ処理回路(34)を介して接続されている。
【0049】
これにより、I/Oユニット(14)のスレーブ処理回路(34)を1つにしたまま、通信カプラユニット(12)のマスター処理回路(24)を2つにして、ケーブル等を介さずに通信カプラユニット(12)と複数のI/Oユニット(14)とを隣接させて端子同士を接続した場合であっても、2つのマスター処理回路(24a、24b)の各々に複数のスレーブ処理回路(34)を接続することが可能となる。
【0050】
また、選択回路(38)を設けたことにより、スレーブ処理回路(34)の接続先がマスター処理回路(24a)となる専用のI/Oユニットと、スレーブ処理回路(34)の接続先がマスター処理回路(24b)となる専用のI/Oユニットとの各々を個別に用意しなくても済む。つまり、スレーブ処理回路(34)の接続先がマスター処理回路(24a)となるI/Oユニットと、スレーブ処理回路(34)の接続先がマスター処理回路(24b)となるI/Oユニットとを共通化して1つのI/Oユニット(14)とすることができる。
【0051】
マスターユニット(12)は、2つの前記マスター処理回路(24a、24b)を有し、スレーブ処理回路(34)は、2つの前記マスター処理回路の一方と信号の入出力を行う。
図1
図2
図3
図4