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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ウエハ載置台
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240730BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240730BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240730BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C16/458
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023533323
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 JP2023000526
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】海野 豊
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/073554(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/179891(WO,A1)
【文献】特表2022-534141(JP,A)
【文献】特表2019-522374(JP,A)
【文献】特開2010-258428(JP,A)
【文献】国際公開第2021/242506(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
H01L 21/3065
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にウエハ載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートに埋設された円形の第1RF電極と、
前記第1RF電極に電気的に接続される第1RF端子と、
前記セラミックプレートのうち前記第1RF電極とは異なる深さに埋設され、平面視で前記第1RF電極の外側に位置する環状の第2RF電極と、
前記第2RF電極に電気的に接続される第2RF端子と、
前記第2RF端子と前記第2RF電極とを接続する接続回路と、
を備え、
前記接続回路は、網目状又は放射状の導電線で形成され、
前記導電線の幅は、前記第2RF電極から前記第2RF端子に向かって広くなっている、
ウエハ載置台。
【請求項2】
前記第2RF端子は、前記セラミックプレートの中心に設けられている、
請求項1に記載のウエハ載置台。
【請求項3】
前記導電線の幅は、5mm以上15mm以下の範囲内で前記第2RF電極から前記第2RF端子に向かって広くなっている、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
前記接続回路は、前記網目状の導電線で形成され、多角形の網目を有する、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
前記導電線のうち前記第2RF端子と繋がっている最内周線分の幅が最も広く、前記導電線のうち前記最内周線分の次に前記第2RF端子に近い線分の幅が次に広くなっている、
請求項4に記載のウエハ載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハ載置台として、セラミックプレートの異なる深さに2つのRF電極が埋設されたものが知られている。例えば、特許文献1には、2つのRF電極として、円形の第1RF電極と、平面視で第1RF電極の外側に位置する環状の第2RF電極とを備えたものが開示されている。第2RF電極は、放射状の導電線で形成された接続回路を介してセラミックプレートの中心付近に設けられた外部端子に接続されている。特許文献2では、接続回路として、開口形状が六角形状又は三角形状の孔を複数備えた導電プレートを用いている。導電プレートのうち孔を取り囲む部分が導電線に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-89694号公報
【文献】特許第5583877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2では、導電線の幅が一定であったため、ウエハ載置面内の温度差が大きくなったり、ウエハ載置面の上方にプラズマを効率よく発生できなかったりする問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ウエハ載置面内の温度差を小さくしつつプラズマを効率よく発生することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明のウエハ載置台は、
上面にウエハ載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートに埋設された円形の第1RF電極と、
前記第1RF電極に電気的に接続される第1RF端子と、
前記セラミックプレートのうち前記第1RF電極とは異なる深さに埋設され、平面視で前記第1RF電極の外側に位置する環状の第2RF電極と、
前記第2RF電極に電気的に接続される第2RF端子と、
前記第2RF端子と前記第2RF電極とを接続する接続回路と、
を備え、
前記接続回路は、網目状又は放射状の導電線で形成され、
前記導電線の幅は、前記第2RF電極から前記第2RF端子に向かって広くなっている
ものである。
【0007】
このウエハ載置台では、第2RF端子と第2RF電極とを接続する接続回路は、網目状又は放射状の導電線で形成され、導電線の幅は、第2RF電極から第2RF端子に向かって広くなっている。つまり、導電線の幅は、第2RF電極との接続部分で狭く第2RF端子との接続部分で広くなっている。そのため、導電線の幅が狭い値で一定の場合に比べて、接続回路を形成する導電線の発熱を抑えることができる。その結果、ウエハ載置面内の温度差を小さくすることができる。また、導電線の幅が広い値で一定の場合に比べて、第1RF電極と接続回路との重複面積が小さくなり、第1RF電極と接続回路とのプラズマカップリングが低減される。その結果、ウエハ載置面の上方にプラズマを効率よく発生することができる。
【0008】
なお、本明細書では、上下、左右、前後などを用いて本発明を説明することがあるが、上下、左右、前後は、相対的な位置関係に過ぎない。そのため、ウエハ載置台の向きを変えた場合には上下が左右になったり左右が上下になったりすることがあるが、そうした場合も本発明の技術的範囲に含まれる。また、導電線の幅は、第2RF電極から第2RF端子に向かって段階的に広くなっていてもよいし、徐々に広くなっていてもよい。
【0009】
[2]本発明のウエハ載置台(前記[1]に記載のウエハ載置台)において、前記第2RF端子は、前記セラミックプレートの中心に設けられていてもよい。こうすれば、接続回路を形成する導電線をバランスよく配置しやすくなる。
【0010】
[3]本発明のウエハ載置台(前記[1]又は[2]に記載のウエハ載置台)において、前記導電線の幅は、5mm以上15mm以下の範囲内で前記第2RF電極から前記第2RF端子に向かって広くなっていてもよい。こうすれば、接続回路の発熱を適切に抑えつつ、平面視で第1RF電極と接続回路との重複面積も適切に小さくすることができる。
【0011】
[4]本発明のウエハ載置台(前記[1]~[3]のいずれか1項に記載のウエハ載置台)において、前記接続回路は、前記網目状の導電線で形成され、多角形の網目を有していてもよい。こうすれば、ウエハ載置面の平均温度をウエハ載置面の目標温度に近づけやすくなる。なお、多角形としては、例えば六角形、四角形、三角形などが挙げられる。
【0012】
[5]本発明のウエハ載置台(前記[4]に記載のウエハ載置台)において、前記導電線のうち前記第2RF端子と繋がっている最内周線分の幅が最も広く、前記導電線のうち前記最内周線分の次に前記第2RF端子に近い線分の幅が次に広くなっていてもよい。こうすれば、多角形の網目を有する接続回路を、比較的簡単に、第2RF電極から第2RF端子に向かって幅が広くなるように設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ウエハ載置台10の斜視図。
図2図1のA-A断面図。
図3】第1RF電極30と接続回路50が内側に設けられた第2RF電極40とを平面視したときの説明図。
図4】接続回路50の部分拡大図。
図5】ウエハ載置台10を設置したプラズマ励起化学蒸着装置80の概略説明図。
図6】接続回路50の比較形態の説明図。
図7】接続回路50の比較形態の説明図。
図8】接続回路150の実施形態の説明図。
図9】接続回路250の実施形態の説明図。
図10】接続回路150の比較形態の説明図。
図11】接続回路250の比較形態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1はウエハ載置台10の斜視図、図2図1のA-A断面図、図3は第1RF電極30と接続回路50が内側に設けられた第2RF電極40とを平面視したときの説明図、図4は接続回路50の部分拡大図である。
【0015】
ウエハ載置台10は、半導体素子等を製造する装置の部品として用いられるものであり、例えば静電チャックやセラミックヒータなどが挙げられる。ウエハ載置台10は、セラミックプレート20と、シャフト70とを備える。
【0016】
セラミックプレート20は、窒化アルミニウムやアルミナなどに代表されるセラミック材料からなる円盤状のプレートであり、上面に円形のウエハ載置面22と環状の突起24とを有する。セラミックプレート20の直径は、例えば約330mmであり、厚みは、例えば約20mmである。ウエハ載置面22の直径は、例えば約300mmであり、ウエハWの直径とほぼ一致している。環状の突起24は、ウエハ載置面22を取り囲むように、ウエハ載置面22よりも一段高くなるように設けられている。セラミックプレート20には、ウエハ載置面22に近い側から順に、第1RF電極30、第2RF電極40及びヒータ電極60が埋設されている。
【0017】
第1RF電極30は、MoメッシュやWメッシュなどに代表される円形状の金属メッシュである。第1RF電極30の中心は、セラミックプレート20の中心と一致している。第1RF電極30の直径は、例えば約300mmである。第1RF電極30は、セラミックプレート20の中心の近くで第1RF端子32と電気的に接続されている。第1RF電極30は、第1RF端子32を介して第1給電棒34に接続されている。第1給電棒34は、第2RF電極40及びヒータ電極60を非接触な状態で貫通し、シャフト70の内部を通過してシャフト70の外部にまで達している。
【0018】
第2RF電極40は、セラミックプレート20のうち第1RF電極30とは異なる深さに埋設されている。第2RF電極40は、MoメッシュやWメッシュなどに代表される環状の金属メッシュである。第2RF電極40の中心は、セラミックプレート20の中心と一致している。第2RF電極40の内径は、第1RF電極30の直径と同じかそれよりも僅かに大きく、外径は、例えば約315mmである。第2RF電極40は、セラミックプレート20の中心に設けられた第2RF端子42と接続回路50を介して電気的に接続されている。第2RF電極40は、第2RF端子42を介して第2給電棒44に接続されている。第2給電棒44は、ヒータ電極60を非接触な状態で貫通し、シャフト70の内部を通過してシャフト70の外部にまで達している。
【0019】
接続回路50は、セラミックプレート20のうち第2RF電極40と同じ深さに設けられている。接続回路50は、第2RF電極40の内側に設けられている。接続回路50は、網目状の導電線52で形成されており、六角形状の網目54を有している。接続回路50の中心は、セラミックプレート20の中心と一致しており、第2RF端子42が電気的に接続されている。導電線52の材料としては、Mo、W、Nb等の高融点導電材料が好ましい。接続回路50は、こうした高融点導電材料を含むペーストを印刷することにより形成することができる。
【0020】
導電線52の幅は、環状の第2RF電極40から第2RF端子42に向かって広くなっている。本実施形態では、導電線52の幅は次のように決められている。すなわち、平面視でセラミックプレート20と同心円の仮想小円C1と仮想大円C2を描く。仮想小円C1の半径は網目54をなす六角形の辺の長さとほぼ同じ、仮想大円C2の半径は網目54をなす六角形の対角線(中心を通らない対角線)の長さとほぼ同じである。このとき、導電線52のうち仮想小円C1の内側に位置するもの(3本の導電線52a)の幅w1が最も大きく、仮想小円C1の外側で且つ仮想大円C2の内側に位置するもの(6本の導電線52b)の幅w2が次に大きく、仮想大円C2の外側に位置するもの(その他の導電線52c)の幅w3が最も小さくなっている。式で表すとw1>w2>w3である。換言すれば、導電線52のうち第2RF端子42と繋がっている最内周線分(導電線52a)の幅w1が最も広く、導電線52のうち最内周線分の次に第2RF端子42に近い線分(導電線52b)の幅w2が次に広く、それ以外の導電線52cの幅が最も狭くなっている。このように導電線52の幅は、環状の第2RF電極40から第2RF端子42に向かって段階的に広くなっている。
【0021】
導電線52の幅は、5mm以上15mm以下の範囲内で第2RF電極40から第2RF端子42に向かって広くなっていることが好ましい。例えば、w3=5mm,w2=10mm,w1=15mmとしてもよいし、w3=6mm,w2=8mm,w1=10mmとしてもよいし、w3=6mm,w2=7mm,w1=8mmとしてもよい。
【0022】
ヒータ電極60は、セラミックプレート20の中央付近に配設された一端から、一筆書きの要領で平面視でセラミックプレート20のほぼ全域に配線されたあと中央付近に配設された他端に至るように形成されている。ヒータ電極60の材料としては、Mo、W、Nb等の高融点導電材料が好ましい。なお、図示しないが、ヒータ電極60の一端と他端にはそれぞれ給電棒が接続され、各給電棒はシャフト70の内部を通過してヒータ用電源に接続されている。ヒータ電極60は上下に多段に設けられていてもよい。
【0023】
シャフト70は、セラミックプレート20と同じ材料で作製された筒状部材である。シャフト70は、上端がセラミックプレート20の下面(ウエハ載置面22とは反対側の面)に接合されている。
【0024】
こうしたウエハ載置台10は、例えば特許文献2に記載された製造例に準じて製造することができる。
【0025】
次に、ウエハ載置台10の使用例について説明する。図5は、ウエハ載置台10を設置したプラズマ励起化学蒸着装置80の概略説明図である。プラズマ励起化学蒸着装置80のチャンバ82の内部に、ウエハ載置面22にウエハWが載置されたウエハ載置台10を設置する。具体的には、シャフト70の下端をチャンバ82の床面に気密になるように設置する。これにより、シャフト70の内部は、チャンバ82の内部と遮断された状態となる。チャンバ82の天井には、ウエハ載置台10に対向する位置に対向電極84が設けられている。そして、ウエハ載置台10に載置されたウエハWが所定の温度になるようにヒータ電極60に電力を供給する。また、チャンバ82のガス排出口82aに繋いだ真空ポンプにより、チャンバ82の内部を所定の真空度になるまで減圧する。その後、チャンバ82のガス導入口82bから所望の膜を作製するための原料ガスを導入し、チャンバ82の内部圧力が所定の圧力となるように調整する。そして、第1RF電極30と対向電極84との間及び第2RF電極40と対向電極84との間に、それぞれ異なる高周波電力を供給する。すると、対向電極84とウエハ載置台10との間にプラズマが発生し、ウエハWの表面に所望の薄膜が生成する。
【0026】
以上説明したウエハ載置台10では、第2RF端子42と第2RF電極40とを接続する接続回路50は、網目状の導電線52(52a~52c)で形成され、導電線52の幅は、第2RF電極40から第2RF端子42に向かって広くなっている。つまり、導電線52の幅は、第2RF電極40との接続部分で狭く第2RF端子42との接続部分で広くなっている。そのため、接続回路50の導電線52の幅が狭い値で一定(例えば図6のように導電線52の幅がw3で一定)の場合に比べて、接続回路50を形成する導電線52の発熱を抑えることができる。その結果、ウエハ載置面22内の温度差を小さくすることができる。また、接続回路50の導電線52の幅が広い値で一定(例えば図7のように導電線52の幅がw1で一定)の場合に比べて、平面視で第1RF電極30と接続回路50との重複面積が小さくなり、第1RF電極30と接続回路50とのプラズマカップリングが低減される。その結果、ウエハ載置面22の上方にプラズマを効率よく発生することができる。
【0027】
また、第2RF端子42は、セラミックプレート20の中心に設けられている。そのため、接続回路50を形成する導電線52をバランスよく配置しやすい。具体的には、接続回路50を、セラミックプレート20の中心を軸として実質的に回転対称になるように形成しやすい。
【0028】
更に、導電線52(52a~52c)の幅は、5mm以上15mm以下の範囲内で第2RF電極40から第2RF端子42に向かって広くなっていることが好ましい。こうすれば、接続回路50の発熱を適切に抑えつつ、平面視で第1RF電極30と接続回路50との重複面積も適切に小さくすることができる。
【0029】
更にまた、接続回路50は、多角形(六角形)の網目54を有している。そのため、ウエハ載置面22の平均温度をウエハ載置面22の目標温度に近づけやすくなる。この点は以下の実施例で説明する。
【0030】
そしてまた、導電線52のうち第2RF端子42と繋がっている最内周線分(導電線52a)の幅w1が最も広く、導電線52のうち最内周線分の次に第2RF端子42に近い線分(導電線52b)の幅w2が次に広くなっている。そのため、六角形の網目54を有する接続回路50を、比較的簡単に、第2RF電極40から第2RF端子42に向かって幅が広くなるように設計することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
上述した実施形態では、接続回路50は、六角形の網目54を有するものとしたが、網目を六角形以外の多角形にしてもよい。図8は、三角形の網目154を有する接続回路150の一例である。接続回路150は、第2RF端子42と第2RF電極40とを接続する回路であり、平面視で第1RF電極30と重複している。接続回路150を形成する導電線152の幅は、環状の第2RF電極40から第2RF端子42に向かって広くなっている。具体的には、導電線152のうち第2RF端子42と繋がっている最内周線分(導電線152a)の幅が最も広く、導電線152のうち最内周線分の次に第2RF端子42に近い線分(導電線152b)の幅が次に広く、それ以外の導電線152cの幅が最も狭くなっている。
【0033】
上述した実施形態では、接続回路50は、網目状の導電線52で形成したが、放射状の導電線で形成してもよい。図9は、放射状の導電線252で形成された接続回路250の一例である。接続回路250は、第2RF端子42と第2RF電極40とを接続する回路であり、平面視で第1RF電極30と重複している。接続回路250を形成する4本の導電線252の幅は、環状の第2RF電極40から第2RF端子42に向かって広くなっている。ここでは、導電線252の幅は、段階的ではなく徐々に広くなっている。なお、放射状の導電線252の本数は、4本に限らず、3本でもよいし5本以上でもよい。
【0034】
上述した実施形態では、接続回路50の導電線52の幅を3段階(w1,w2,w3)に設定したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば2段階に設定してもよいし、4段階以上に設定してもよい。
【0035】
上述した実施形態では、第1RF電極30として円形電極を採用したが、特にこれに限定されない。例えば、第1RF電極30を、一対の半円電極を隙間を空けて実質的に円形になるように配置したものとしてもよい。この場合、一対の半円電極は、高周波電力が供給されたときに同電位になるよう構成されている。
【0036】
上述した実施形態では、セラミックプレート20の内部に静電電極を埋設しなかったが、静電電極を埋設してもよい。こうすれば、静電電極に直流電圧を印加することで、ウエハWをウエハ載置面22に吸着することができる。
【実施例
【0037】
以下に実施例や比較例について説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
実施例1では、上述した実施形態のウエハ載置台10(図1図4)においてw1=8mm、w2=7mm、w3=6mmに設定した。そして、第2RF端子42をグランドに接続し、第2RF電極40に2000Wの電力を入力したときのウエハ載置面22内の最高温度と最低温度との差(以下温度差という)を求めた。第1RF電極30やヒータ電極60には電力を供給しなかった。温度の測定点は、ウエハ載置面22において予め定めた18箇所とした。その結果、温度差は44.3℃であった。
【0039】
これとは別に、ウエハ載置面22の目標温度を300℃に設定し、そのウエハ載置面22の温度が目標温度になるようにヒータ電極60への給電を制御した。これと共に、第2RF端子42をグランドに接続し、第2RF電極40に2000Wの電力を入力した。また、第1RF電極30には電力を供給しなかった。このときのウエハ載置面22の平均温度を求めた。温度の測定点は、先ほどと同じとした。その結果、平均温度は306.6℃であった。
【0040】
[比較例1]
比較例1では、接続回路50として図6を採用し、導電線52の幅w3を6mmで一定とした以外は、実施例1のウエハ載置台10と同様とした。そして、実施例1と同様にして温度差及び平均温度を求めた。その結果、温度差は58.0℃、平均温度は307.4℃であった。
【0041】
[実施例2]
実施例2では、上述した実施形態のウエハ載置台10において接続回路50の代わりに図8の接続回路150を用い、導電線152aの幅を8mm、導電線152bの幅を7mm、導電線152cの幅を6mmに設定した。そして、実施例1と同様にして温度差及び平均温度を求めた。その結果、温度差は20.4℃、平均温度は310.6℃であった。
【0042】
[比較例2]
比較例2では、接続回路150として図10を採用し、導電線152の幅を6mmで一定とした以外は、実施例2のウエハ載置台10と同様とした。そして、実施例1と同様にして温度差及び平均温度を求めた。その結果、温度差は30.7℃、平均温度は311.9℃であった。
【0043】
[実施例3]
実施例3では、上述した実施形態のウエハ載置台10において接続回路50の代わりに図9の接続回路250を用い、導電線252の幅を、第2RF電極40との接続部分で6mm、第2RF端子42との接続部分で8mmに設定した。そして、実施例1と同様にして温度差及び平均温度を求めた。その結果、温度差は18.7℃、平均温度は321.9℃であった。
【0044】
[比較例3]
比較例3では、接続回路250として図11を採用し、導電線252の幅を6mmで一定とした以外は、実施例3のウエハ載置台10と同様とした。そして、実施例1と同様にして温度差及び平均温度を求めた。その結果、温度差は22.1℃、平均温度は324.2℃であった。
【0045】
[評価]
温度差については、実施例1~3の方がそれぞれ対応する比較例1~3に比べて小さくなった。すなわち、接続回路を構成する導電線の幅については、第2RF電極から第2RF端子に向かって広くなっている方が、狭い値で一定の場合に比べて、温度差を小さくすることができた。また、平均温度については、実施例1,2のように接続回路が網目状の導電線で形成されている方が、実施例3のように放射状の導電線で形成されている場合に比べて目標温度(300℃)に近づけることができた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、半導体素子製造装置の部品として利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 ウエハ載置台、20 セラミックプレート、22 ウエハ載置面、24 突起、30 第1RF電極、32 第1RF端子、34 第1給電棒、40 第2RF電極、42 第2RF端子、44 第2給電棒、50 接続回路、52,52a,52b,52c 導電線、54 網目、60 ヒータ電極、70 シャフト、80 プラズマ励起化学蒸着装置、82 チャンバ、82a ガス排出口、82b ガス導入口、84 対向電極、150 接続回路、152,152a,152b,152c 導電線、250 接続回路、252 導電線、C1 仮想小円、C2 仮想大円、W ウエハ、w1,w2,w3 幅。
【要約】
ウエハ載置台10は、上面にウエハ載置面22を有するセラミックプレート20と、セラミックプレート20に埋設された円形の第1RF電極30と、第1RF電極30に電気的に接続される第1RF端子32と、セラミックプレート20のうち第1RF電極30とは異なる深さに埋設され、平面視で第1RF電極30の外側に位置する環状の第2RF電極40と、第2RF電極40に電気的に接続される第2RF端子42と、第2RF端子42と第2RF電極40とを接続する接続回路50と、を備える。接続回路50は、網目状又は放射状の導電線で形成され、導電線の幅は、第2RF電極40から第2RF端子42に向かって広くなっている。
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