(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】非ステップインデックス屈折率プロファイル(RIP)を有するプリフォームの評価の改善
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G01M11/02 H
(21)【出願番号】P 2023545189
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 US2022070838
(87)【国際公開番号】W WO2022183214
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-07-25
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515174489
【氏名又は名称】ヘレーウス クオーツ ノース アメリカ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quartz North America LLC
【住所又は居所原語表記】100 Heraeus Boulevard, Buford, GA 30518, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,マキシミリアン
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077220(JP,A)
【文献】特開昭61-70436(JP,A)
【文献】特開2007-86055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00-11/08
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G02B 6/00
C03B 37/00-37/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の半径方向屈折率プロファイルを決定するための方法であって、
(a)物体を提供する工程であって、前記物体は、層半径r
k及び層屈折率n
kを有する少なくとも1つの層kが半径方向に延在する円筒長手方向軸を有する円筒状光学物体を含み、前記少なくとも1つの層は実質的にステップインデックスではない、提供する工程と、
(b)前記物体
の偏向関数を測定し、前記測定データを測定屈折率プロファイルに変換する工程と、
(c)評価される前記物体の前記層の屈折率レベル及び半径を仮定し、補償レベル屈折率プロファイルを計算する工程と、
(d)前記仮定された屈折率レベル及び半径に対応する理論偏向関数を生成し、前記生成データをフィッティング屈折率プロファイルに変換する工程と、
(e)前記フィッティング屈折率プロファイルを前記測定屈折率プロファイルと比較し、評価される前記物体の前記層についての所定の精度レベルに対して前記比較を評価する工程と、
(f)前記所定の精度レベルが達成されるまで、工程(c)及び(d)を反復的に繰り返す工程と、
(g)前記物体が評価及び補償される別の層を有するかどうかを判定する工程と、
(h)評価及び補償される前記物体の更なる層がなくなるまで、前記物体の各層について工程(c)~(f)を繰り返す工程と、
(i)
前記測定屈折率プロファイルを前記補償レベル屈折率プロファイルに加算し、前記フィッティング屈折率プロファイルを減算することにより、前記物体について測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを計算する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記偏向関数を測定する前記工程(b)は、前記円筒状光学物体への入射点における入射ビームを前記円筒長手方向軸を横切る方向に向けることによって偏向角分布ψ(y)を測定することを含み、前記偏向角ψは、前記入射ビームに対する出射ビームの角度として定義され、yは、デカルト座標系における前記円筒長手方向軸と前記入射ビームの前記入射点との間の距離である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換工程は、アーベル変換に基づいて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の精度レベルは、約99%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの層は、外層と少なくとも1つの内層とを含み、前記外層は、工程(c)において評価される第1の層である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物体が評価及び補償される別の層を有するかどうかを判定する前記工程において、層は、前記物体の境界若しくは縁部と屈折率不連続部との間、又は2つの屈折率不連続部の間の層である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)で提供される前記物体は、ファイバプリフォームである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プリフォーム製造プロセスの適合のために、前記測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを使用する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
物体の半径方向屈折率プロファイルを決定するための方法であって、
(a)物体を提供する工程であって、前記物体は、層半径r
k及び層屈折率n
kを有する少なくとも1つの層kが半径方向に延在する円筒長手方向軸を有する円筒状光学物体を含み、前記少なくとも1つの層は実質的にステップインデックスではない、提供する工程と、
(b)前記物体
の偏向関数を測定し、前記測定データをアーベル変換を介して測定屈折率プロファイルに変換する工程と、
(c)評価される前記物体の前記層の屈折率レベル及び半径を仮定し、補償レベル屈折率プロファイルを計算する工程と、
(d)前記仮定された屈折率レベル及び半径に対応する理論的偏向関数を生成し、前記生成データをアーベル変換を介してフィッティング屈折率プロファイルに変換する工程と、
(e)前記フィッティング屈折率プロファイルを前記測定屈折率プロファイルと比較し、評価されている前記物体の前記層に関する所定の精度レベルに対して前記比較を評価する工程であって、前記所定の精度レベルが約90%以上である、評価する工程と、
(f)前記所定の精度レベルが達成されるまで、工程(c)及び(d)を反復的に繰り返す工程と、
(g)前記物体が、評価及び補償される別の層を有するかどうかを判定する工程であって、層は、前記物体の境界又は縁部と屈折率不連続部との間、又は2つの屈折率不連続部の間の層である、判定する工程と、
(h)評価及び補償される前記物体の更なる層がなくなるまで、前記物体の各層について工程(c)~(f)を繰り返す工程と、
(i)前記測定屈折率プロファイルを前記補償レベル屈折率プロファイルに加算し、前記フィッティング屈折率プロファイルを減算することによって、前記物体の測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを計算する工程と、を含む方法。
【請求項10】
前記偏向関数を測定する前記工程(b)は、前記円筒状光学物体への入射点における入射ビームを前記円筒長手方向軸を横切る方向に向けることによって偏向角分布ψ(y)を測定する工程であって、前記偏向角ψは、前記入射ビームに対する出射ビームの角度として定義され、yは、デカルト座標系における前記円筒長手方向軸と前記入射ビームの前記入射点との間の距離である、測定する工程を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの層は、外層と少なくとも1つの内層とを含み、前記外層は、工程(c)において評価される第1の層である、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)で提供される前記物体は、ファイバプリフォームである、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
プリフォーム製造プロセスの適合のために、前記測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを使用する工程を更に含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
円筒状光ファイバプリフォームの半径方向屈折率プロファイルを決定するための方法であって、
(a)前記プリフォームを提供する工程であって、前記プリフォームは、層半径r
k及び層屈折率n
kを有する少なくとも1つの層kが半径方向に延在する円筒長手方向軸を有し、前記少なくとも1つの層は、実質的にステップインデックス型ではない、提供する工程と、
(b)前記プリフォーム
の偏向関数を測定し、アーベル変換を介して前記測定されたデータを測定屈折率プロファイルに変換する工程であって、前記偏向関数は、入射点における入射ビームを前記プリフォーム内に前記円筒長手方向軸を横切る方向に向けることによって偏向角分布ψ(y)を測定することによって導出され、前記偏向角ψは、前記入射ビームに対する出射ビームの間の角度として定義され、yは、デカルト座標系における前記円筒長手方向軸と前記入射ビームの前記入射点との間の距離である、工程と、
(c)評価される前記プリフォームの前記層の屈折率レベル及び半径を仮定し、補償レベル屈折率プロファイルを計算する工程であって、前記少なくとも1つの層は、外層と少なくとも1つの内層とを含み、前記外層は、評価され
る第1の層である、工程と、
(d)前記仮定された屈折率レベル及び半径に対応する理論的偏向関数を生成し、アーベル変換を介して前記生成データをフィッティング屈折率プロファイルに変換する工程と、
(e)前記フィッティング屈折率プロファイルを前記測定屈折率プロファイルと比較し、評価される前記プリフォームの前記層に関する所定の精度レベルに対して前記比較を評価する工程であって、前記所定の精度レベルが約90%以上である、工程と、
(f)前記所定の精度レベルが達成されるまで、工程(c)及び(d)を反復的に繰り返す工程と、
(g)前記プリフォームが評価及び補償される別の層を有するかどうかを判定する工程であって、層は、前記プリフォームの境界若しくは縁部と屈折率不連続部との間の層、又は2つの屈折率不連続部の間の層である、判定する工程と、
(h)評価及び補償される前記プリフォームの更なる層がなくなるまで、前記プリフォームの各層について工程(c)~(f)を繰り返す工程と、
(i)前記測定屈折率プロファイルを前記補償レベル屈折率プロファイルに加算し、前記フィッティング屈折率プロファイルを減算することによって、前記プリフォームの測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを計算する工程と、
(j)プリフォーム製造プロセスを適合させるために、前記測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを使用する工程と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、屈折率測定に関し、より詳細には、ファイバプリフォームなどの透明な円筒状物体の屈折率プロファイルを測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバプリフォーム、光ファイバ、光パイプ、光チューブなどの透明な円筒状物体は、様々な光学用途で使用される。多くの場合、そのような物体の屈折率プロファイル(RIP)を知ることが望ましい。例えば、光ファイバは、ファイバプリフォームを加熱し、溶融端部を細いガラス糸に延伸することによって形成される。プリフォームのRIPは、結果として得られる光ファイバのRIPを規定し、それは次に光ファイバの導波特性を決定する。したがって、ファイバプリフォームのRIPを正確に測定できることが重要である。
【0003】
円筒状光学物体、特に光ファイバ用プリフォームの半径方向RIPを決定するための様々な方法が存在する。円筒状光学物体は、多くの場合、円筒長手方向軸を有し、その軸を中心に、層半径rk及び層屈折率nkを有する少なくとも1つの層kが、半径方向に対称的に延在する(ただし、当然ながら、非対称RIPを有する多くの物体も存在する)。偏向角分布ψ(y)が測定され、偏向角分布からRIPが再構成される。半径方向RIPは、記号n(r)によって表される半径方向屈折率分布としても知られている。
【0004】
残念ながら、屈折率分布を直接測定することができない。屈折率分布は、通常、光学素子の体積領域を透過する光ビームの偏向又は干渉として間接的に決定され、段階的透過は「走査」とも呼ばれる。光学素子内の空間屈折率分布は、ビーム入射点(入射ビーム)におけるビーム方向に基づく出射光ビーム(出射ビーム)の干渉又は偏向から推測することができる。円筒長手方向軸に対して横方向に(y方向に)光ビームを走査する間に測定される偏向角ψのファミリーは、偏向角分布ψ(y)を形成する。
【0005】
より良好な視認及び例示のために、幾何学的関係を
図1Aに概略的に示す。n
0<n
1となるような屈折率n
0を有する屈折率調整流体によって囲まれた均一な屈折率n
1を有する物体が示されている。物体の半径はr
1である。偏向角ψは、出射ビームと入射ビームとの間の角度として定義され、yは、円筒長手方向軸と入射ビームの入射点との間の距離として定義される。物体を走査するとき、ビームは物体に接触するとすぐに屈折し、物体の中心に向けられる。物体の中心までのビームの最短距離は、半径r
*によって与えられ、これは、後で逆アーベル変換の公式に現れる。
【0006】
屈折率のステップインデックス分布を有する半径方向に対称な物体の場合、偏向角分布ψ(y)は、以下の式(1)を参照して数学的に記述することができる。
【0007】
【0008】
式(1)において、mは物体の層数、n0は周囲媒質の屈折率、nkはk番目の層の屈折率、rkはk番目の層の半径である。式(1)に従って測定データに基づく偏向角分布から屈折率プロファイルを計算するための既知の数学的方法は、周知の「アーベル変換」に基づく。
【0009】
【数2】
ここで、rは物体の円筒長手方向軸からビーム経路までの最短距離であり、すなわち、
【0010】
【数3】
Rは屈折率分布の基準点、すなわち基準屈折率(大気、屈折率調整値流体、又は物体を取り囲む基準ガラス板)の半径方向位置である。位置Δtからψの偏導関数を適用することによって、公式は数学でよく知られている逆アーベル変換の形になる。原則として、アーベル変換は、式(1)に反映されるようなステップインデックス状の分布の典型だけでなく、任意の種類の偏向角分布に適用することができる。
【0011】
米国特許第4,227,806号には、光ファイバプリフォームのパラメータを非破壊的に決定する方法が記載されている。プリフォームは、コア-クラッド構造に横方向に入射するレーザビームによって走査され、出射ビームの偏向角が測定され、その後、屈折率分布が既知であるプリフォームの理論的又は経験的な偏向角分布と比較される。測定中、プリフォームは、偏向角が大きくなりすぎるのを防ぐために、屈折率調整流体を含む槽内に配置される。
【0012】
米国特許第4,441,811号には、円筒状の透明な光学プリフォームの屈折率分布を決定するための方法及び装置が記載されている。この場合も、屈折率調整流体中に挿入されたプリフォームは、光軸に対して垂直に延びる横方向に入射する光ビームによって走査される。光ビームは、プリフォームのガラスによって偏向され、光学装置によって位置決め可能な検出器上に結像される。屈折率プロファイルは、偏向角分布から数値積分を用いて計算される。プリフォーム直径、コア直径、偏心率、及びCCDR値(クラッド対コア直径比)などの他のプリフォームパラメータも、偏向角分布から決定することができる。
【0013】
アーベル変換を使用することによって横方向に測定された偏向角分布からRIPを再構成する方法は、米国特許第4,744,654号、第5,078,488号、及び第4,515,475号にも見出すことができる。以下の2つの技術文献もそのような方法を記載している:Michael R.Hutsel及びThomas K.Gaylord、「Concurrent three-dimensional characterization of the refractive-index and residual-stress distributions in optical fibers」、Applied Optics、Optical Society of America、ワシントンDC;Vol.51、No.22、5442~52頁(2012年8月1日)(ISSN:0003-6935,DOI:10.1364/A0.51.005442)、及びS.Fleming et al.、「Nondestructive Measurement for Arbitrary RIP Distribution of Optical Fiber Preforms」、Journal Of Lightwave Technology、IEEE Service Center、ニューヨーク州ニューヨーク、Vol.22、No.2、478~86頁(2004年2月1日)(ISSN:0733-8724,DOI:10.1109/JLT.2004.824464)。
【0014】
しかしながら、アーベル変換を使用して横方向に測定された偏向角分布からRIP又は屈折率プロファイルn(r)を単純に再構成することは、実際のRIPに対して無視できるほどの差をもたらすものではない。その理由は、透明な物体と環境との間の境界上、又は半径方向屈折率ステップ間の境界上の屈折率不連続部において生じる既知の測定アーチファクトである。光学物体の境界付近の体積領域における(外側から内側に見たときの)低屈折率から高屈折率への屈折率ジャンプの境界で行われる測定は、原理的に測定することができない領域をもたらす。例えば、ステップインデックスプロファイルの再構成RIPの典型的な差及び誤差は、プロファイルの丸み及び小さすぎるステップ高である。Werner J.Glantschnigによる刊行物「Index profile reconstruction of fiber preforms form data containing a surface refraction component」Applied Optics、Vol.29、No.19、2899~2907頁(1990年7月1日)(参照により本明細書に組み込まれる「Glantschnig刊行物」)は、測定不能領域によってもたらされる問題に対処する刊行物の1つである。Glantschnigは、不連続部の直前の偏向角分布の内側の3つの測定点に基づく補間によって、実際に欠けている偏向角が測定不可能な領域において推測されることを示唆している。
【0015】
3つの測定点に基づく補間は、必ずしも良好な結果をもたらすとは限らない。したがって、RIPを測定する方法のいくつかは、単純な均質ロッドのRIPの正確な測定を提供することができない。この欠点の1つの理由は、測定に対して表面屈折成分をもたらす、ロッドの境界又は縁部における屈折率の不連続部が存在することである。Glantschnig刊行物は、屈折率の不連続部が偏向関数データから正確に再構成されない理由を説明している。Glantschnig刊行物は、RIPを測定するための方法を提案しているが、物体の縁部において偏向角を正確に測定することを必要とし、これは、実行不能と言える程度まで困難である。
【0016】
これらの問題を解決するために、Corning Incorporatedに発行された米国特許第8,013,985号(参照により本明細書に組み込まれる)は、ファイバプリフォームなどの透明な円筒状物体のRIPの測定のために、ビーム偏向角関数を測定し、近軸光線理論に基づいて数学的に測定データからRIPを再構成するという点で、この再構成方法の修正を提案している。測定において、測定されるファイバプリフォームは、レーザと変換レンズとの間に配置される。プリフォームは、中心軸と、プリフォーム半径Rを画定する円筒面とを有する。高さxで円筒面に衝突する入射ビームは、プリフォーム内で偏向され、別の角度で出射ビームとして再び出射し、このビームは光検出器によって検出され、コントローラによって処理される。偏向角は、出射ビームと入射ビームとの間の角度として定義され、レーザビーム高さxを変化させることによって変更され、偏向角分布が測定される。実際のRIPを表す推定RIPは、数値モデルによって測定偏向角分布に適合される。
【0017】
この目的のために、対称相関は、測定偏向関数について完了して、中心座標を定義する。測定偏向関数は、中心座標の周りで2つの半分に分割され、屈折率半プロファイルが、2つの半分の各々について計算されて、各半分について結果として推定屈折率プロファイルを得る。RIP計算に関連するパラメータは、プリフォームの半径R及びプリフォームの屈折率である。目標角度分布ψtは、測定偏向関数に反復的に適合され、境界(屈折率不連続部)に近い測定点は、プリフォームの縁部内又は縁部上で省略される。数学関数のこの算術反復適合方法は、「フィッティング」と呼ぶことができる。
【0018】
米国特許第8,013,985号によれば、フィッティングは、上記の式(1)(ただし、式の第2行に示されるアークコサイン部分を考慮せずに)が、RIPの未知のパラメータ、すなわちプリフォームの半径Rの値(又は屈折率不連続部の半径の値)、並びに未知の屈折率値を式に挿入することによって行われ、未知のパラメータは、得られた目標角度分布ψtが測定偏向角分布ψmに最もよく一致するように変更される。したがって、目標角度分布は、未知のパラメータを用いて、測定偏向角分布に適合(フィッティング)される。
【0019】
このように適合され、シミュレート目標角度分布に基づいて、再構成屈折率プロファイルが導出される。このプロファイルは、内側物体領域の半径よりも大きい再構成プリフォーム半径R*まで延在する。RIPが少なくとも1つの不連続性を有する円筒状物体の場合、本方法は、不連続部によってそれぞれ定義される様々な物体領域に適用される。
【0020】
この方法では、シミュレート目標角度分布ψtが、未知のパラメータをフィッティングさせることによって測定偏向角分布ψmに適合され、屈折率プロファイルの更に外部に位置する不連続部の境界まで延在し得る半径方向屈折率分布が、シミュレート目標角度分布から導出される。
【0021】
したがって、屈折率不連続部によって半径方向に分離されたいくつかの層を有する光学物体の完全なRIPの検出は、外側から内側へのそれぞれの不連続部によって画定された層の連続的な測定、計算、及び推定を必要とする。系統的誤差及び数値的誤差は、シミュレート目標角度分布のフィッティングをもたらし得る。更に、偏向角分布の比較、すなわちシミュレートされたものと測定されたものとの比較は、あまり例証的なものではなく、フィッティングが最適であるかどうか、及び任意選択でどのように最適であるか、又は事後補正又は更なる変更を必要とするかどうか、及び任意選択でどの値が事後補正又は更なる変更を必要とするかを決定するために高度な専門知識を必要とすることが分かっている。
【0022】
本出願の譲受人(Heraeus Quarzglas GmbH & Co.KG、ドイツ、ハーナウ)に発行され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,508,973号は、円筒状光学物体、特に光ファイバ用プリフォームの屈折率プロファイルを決定する方法を教示している。本方法は、(a)調整偏向角分布を得るために、偏向角分布の極値決定を含む、測定偏向角分布を調整する工程と、(b)調整偏向角分布を調整屈折率プロファイルに変換する工程と、(c)調整屈折率プロファイルを、仮想屈折率プロファイルの層半径及び層屈折率についての配向値の固定について評価する工程と、(d)配向値を有する仮想屈折率プロファイルに基づいてシミュレートされた偏向角分布を生成し、偏向角分布をシミュレート屈折率プロファイルに変換する工程と、(e)パラメータの反復適合によってシミュレート屈折率プロファイルを調整屈折率プロファイルにフィッティングして、適合パラメータによって定義されるフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルを得る工程と、(f)屈折率プロファイルを、適合パラメータを有する仮想屈折率プロファイルとして得る工程とを含む。本方法は、RIPが実質的に又は完全にステップインデックス状である場合にRIPを決定することに関する最新技術を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、RIPが実質的に又は完全にステップインデックス状でない場合に、円筒状透明物体(典型的には、必須ではないが、半径方向対称又はほぼ半径方向対称の屈折率分布を有する)のRIPを決定するための方法が依然として必要とされている。もちろん、この方法は、妥当性、精度、信頼性及び再現性に関しても改善されなければならない。これに関連して、プリフォームの組付けを改善し、プリフォーム顧客の要求を満たす方法、特にますます複雑になる設計のプリフォームが必要とされている。
【0024】
これら及び他の必要性を満たすために、及びその目的を考慮して、本開示は、特にRIPが実質的にステップインデックス状でない場合に、プリフォームなどの物体の屈折率プロファイルを決定するための方法を提供する。本方法は、以下の工程を含む。(a)層半径rk及び層屈折率nkを有する少なくとも1つの層kが半径方向に対称に延在する円筒長手方向軸を有する円筒状光学物体が提供され、少なくとも1つの層は実質的にステップインデックスではない。(b)次に、物体の偏向関数が測定され、測定データが測定屈折率プロファイルに変換される。(c)評価される物体の層(最初は外層)について屈折率レベル及び半径が仮定され、補償レベル屈折率プロファイルが計算される。(d)仮定された屈折率レベル及び半径に対応する理論偏向関数が生成され、生成データがフィッティング屈折率プロファイルに変換される。(e)フィッティング屈折率プロファイルが、測定屈折率プロファイルと比較され、比較が、評価されている物体の層についての所定の精度レベルに対して評価される。(f)工程(c)及び(d)は、所定の精度レベルが達成されるまで反復的に繰り返される。(g)物体が補償される別の層を有するかどうかについて判定が行われる。(h)評価され補償されるべき物体の更なる層がなくなるまで、物体の各層について工程(c)~(f)が繰り返される。(i)最後に、物体について、測定アーチファクト補償屈折率プロファイルが計算される。
【0025】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、本開示の例示であり、限定ではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示は、添付の図面に関連して読まれるとき、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣行に従って、図面の様々な特徴は縮尺通りではないことを強調しておく。逆に、様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大又は縮小されている。図面には、以下の図が含まれる。
【
図1A】
図1Aは、様々な幾何学的関係を概略的に示す、均一な屈折率分布を有する物体を通る放射経路を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、均一な屈折率分布を有する物体を通る放射経路を示し、接線方向放射を検出することができない影付きの測定不能領域による屈折率プロファイリングにおける測定アーチファクトを示す。
【
図2】
図2は、偏向関数測定システムの概略図である。
【
図3】
図3は、様々な平滑化パラメータpに対する関連するスプライン関数を有する測定偏向角関数の一部を示す。
【
図4】
図4は、
図3の測定偏向角分布(p=1)から計算された屈折率分布を示す。
【
図5】
図5は、基礎となる偏向角分布の原点におけるオフセットの影響を示すための、異なる屈折率分布を有する図を示す。
【
図6】
図6は、調整屈折率プロファイルn’(r)と、ステッププロファイルを有するプリフォームについてのプロファイルの評価によってモデル化された仮想屈折率プロファイルn
*(r)とを有する図を示す。
【
図7】
図7は、ステップインデックス又は少なくとも実質的にステップインデックスを有さない物体の正確な屈折率プロファイルを提供する改良された方法の工程を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、実際のフッ素ドープ石英ガラスチューブの測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを計算するために使用される方法の実施形態の適用を説明するための、ミリメートル単位の位置rに対する屈折率差(n(r)-n
0)として描かれた屈折率プロファイルの計算を示す曲線のグラフである。
【
図9】
図9は、
図8に示すフッ素ドープ石英ガラスチューブについて、測定されたプロファイル曲線と新規評価方法曲線との比較である。
【
図10】
図10は、ステップ上RIPのない実際のコアロッドの測定アーチファクト補償屈折率プロファイルを計算するために使用される方法の実施形態の適用を説明するための、ミリメートル単位の位置rに対する屈折率差(n(r)-n
0)として描かれた屈折率プロファイルの計算を示す曲線のグラフである。
【
図11】
図11は、測定プロファイル曲線と、
図10に示されるコアロッドについての新規評価方法曲線との比較である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本方法は、ファイバプリフォームの形態の透明な円筒状物体を参照して以下に説明する。しかしながら、当業者であれば、説明した方法は、所与の波長の放射における屈折率を有する任意の円筒状物体に一般的に適用することができ、対応する偏向角分布は、ある波長の放射線の横方向透過を介して測定することができ、測定データに当てはめることができる関数として表すことができる目標偏向角分布関数が存在することを理解するであろう。ここで図面を参照すると、図面を構成する様々な図を通して同様の参照番号は同様の要素を指し、
図2は、測定偏向角分布関数を確立するために使用することができる基本的な偏向角分布関数測定システム100の例示的な実施形態を示す概略図である。
【0028】
システム100は、一対の軸外ミラー4A、4Bの間に第1の光軸15A、第2の光軸15B、及び第3の光軸(図示せず)を有する。レーザダイオード1などのレーザ源は、レーザビーム(又は「光ビーム」)を生成し、レーザビームをシングルモード光ファイバ2に提供し、シングルモード光ファイバ2は、レーザビームをビーム調整器3に送達する。(光ファイバ通信において、シングルモード光ファイバは、シングルモードの光、すなわち横モードのみを搬送するように設計された光ファイバである。規格G.652は、シングルモード光ファイバの最も広く使用されている形態を定義している)。ビーム調整器3は、第1の光軸15Aに沿って位置合わせされ、レーザビームの特性を変更する。ビーム調整器3によって放射されたビームは、第1の光軸15Aに沿って進み、一対のミラー4A、4B及びアパーチャ(又は「ピンホール」)5を有する軸外放物面反射器に入る。第1のミラー4Aは、アパーチャ5を通過する平行ビームを生成する。第2のミラー4Bは、第2の光軸15Bに沿ってこれらのビームを集束する。
【0029】
軸外放物面反射器の第2のミラー4Bから偏向された集束ビームは、光シャッタ6を通過し、測定セル9に入射する。動作中、シャッタ6は閉位置のままであり、パルス制御信号が印加されると開く。シャッタ6への制御電圧が高いままである限り、シャッタ6は開いたままである。しかしながら、電圧が低くなるとすぐに、シャッタ6は閉じ、固有の「フェイルセーフ」動作、すなわちセキュリティを提供する。
【0030】
測定セル9は、平面であり、第2の光軸15Bに対して直角である対向側面を有する。測定セル9内には、典型的には、より低い屈折率を有する少なくとも1つのクラッド層によって囲まれた、より高い屈折率を有するコアを有するファイバプリフォームの形態で、測定対象の均一な又は階段状のRIPを有する透明な円筒状物体20が配置されている。屈折率調整流体18が、測定セル9内の物体20を取り囲んでいる。例示的な実施形態では、屈折率調整流体18は、測定セル9の屈折率に近いが同じではない屈折率を有する油である。
【0031】
レーザビームは測定セル9に入り、最初に物体20の第1の縁部で物体20に入射し、第1の屈折を受ける。次に、第1の屈折したレーザビームは、物体20を通って進み、物体20の反対側の縁部から出て、そこで第2の屈折を受けて物体20から出る。ギリシャ文字ψ(psi)によって識別される偏向角は、入射レーザビームの方向に対する出射レーザビームの経路によって定義される。出射したレーザビームは、フィルタ(例えば、赤外ロングパスフィルタ)10を通過し、光検出器ユニットによって検出される。フィルタ10は、環境光が測定に悪影響を及ぼすのを防止するのに役立つ。適切な光検出器ユニットは、光学活性センサ12を有するライン走査カメラ11を含む。次いで、光検出器ユニットは、対応する検出器信号を処理のためにコントローラ13に送信する。
【0032】
測定セル9は、測定セル9を支持すると共に測定セル9を移動方向8(例えば、
図2に示すように上下)に移動させるように構成された直線ステージ7に取り付けられている。測定セル9の中心水平軸及び測定セル9内の物体20に対するレーザビーム高の範囲にわたって偏向角の測定を実行することによって、コントローラ13によって受信及び処理される対応する検出器信号は、以下でより詳細に説明されるように、測定偏向角を生成する。換言すれば、直線ステージ7の移動は、測定偏向関数が物体20の半径の範囲を含むように、測定セル9及び物体20に対してレーザビーム高を変化させることを可能にする。
【0033】
図2に示す実施形態では、測定セル9内の物体20が移動(例えば、走査)されるが、別の実施形態では、物体20の異なる部分を通じてレーザビームを送るためにレーザビーム高を変更することができるように、他の構成要素(レーザダイオード1及び光検出器ユニットなど)を全て物体20(静止して保持されている)に対して同時に移動(例えば、走査)させることができる。
【0034】
コントローラ13は、例えば、プロセッサユニット(例えば、CPU)、メモリユニット、及びサポート回路を含むコンピュータであり、それらは動作可能に相互接続されている。プロセッサは、産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサであってもよく、又はそれを含んでもよい。メモリユニットは、以下で詳細に説明される方法を実行するようにプロセッサに指示する命令(例えば、ソフトウェア)を記憶することができるコンピュータ可読媒体を含む。メモリユニットは、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタル記憶装置であってもよい。例示的な実施形態では、メモリユニットに記憶された命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサを、以下で説明する方法のうちの1つ以上を実行するようにシステム100を制御する(すなわち指示する若しくは実行させる)特定用途プロセッサに変換するソフトウェアの形態である。サポート回路は、プロセッサに動作可能に(例えば、電気的に)結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源、制御回路などを含んでもよい。
【0035】
レーザダイオード1、シャッタ6、直線ステージ7、及びライン走査カメラ11はそれぞれ、複数のデータ接続14に沿ってコントローラ13に信号及びデータを送信し、コントローラ13から信号及びデータを受信するように構成される。データ接続14は、有線であっても、又は無線であってもよい。当業者に知られている任意の従来のデータ接続14が適切である。
【0036】
偏向関数を得るために、上述したものと同様の多くの他の偏向関数測定システムを使用することができる。使用されるシステムにかかわらず、円筒状光学物体20のRIPを決定するためのいくつかの方法が可能である。
【0037】
1つの方法では、第1の工程において、測定偏向角分布ψ(y)から、調整偏向角分布ψ’(y)が生成される。この目的のために、測定偏向角分布ψ(y)が、極値の分析及び決定に供される。このような極値は、屈折率ジャンプの領域、例えば、光学物体20の内側境界又は円筒面に常に生じる。簡単にするために、以下の説明は、少なくとも2つの層を有し、したがって1つ以上の屈折率ジャンプを有するステップインデックスプロファイルを有する光学プリフォームに言及する。
【0038】
半径方向に対称な物体の偏向角分布は、1つの同一の層k上の屈折率ジャンプによって引き起こされる少なくとも2つの極値を有する。極値の決定において、測定偏向角分布の極値yk,maxの位置が決定される。これらの位置は既に、屈折率ジャンプが発生する両側のほぼ縁部である(対応する層の半径によって数値的に定義される)。この極値の決定は、「縁部検出」と呼ばれる。
【0039】
偏向角分布の測定データは、デカルト座標系(X、Y、Z)を参照すべきである。このような座標系は、3つのデカルト数値座標によって3次元空間内の各点を一意に指定し、3つのデカルト数値座標は、同じ長さ単位で測定された、3つの固定された相互に垂直な有向線から点までの符号付き距離である。各基準線は座標軸又は単にシステムの軸と呼ばれ、それらが交わる点はその原点であり、通常は順序付けられたトリプレット(0、0、0)である。座標は、原点からの符号付き距離として表現される、3つの軸上への点の垂直投影の位置として定義することもできる。
【0040】
偏向角分布の測定データは、デカルト座標系のy軸に依存するものとして示され、一方、層の半径は、通常、異なる座標系(半径系)を参照し、半径rに依存して示される。屈折率の差が小さく、屈折が弱い場合には、この差は非常に小さいので、y値とr値との間で区別されないことが多く、これは文献では「近似法」、「直線近似」、又は「無屈折近似」と呼ばれる。
【0041】
縁部検出では、外れ値又は測定ノイズのために縁部を誤って仮定するリスクは、可能な限り回避されるべきである。測定偏向角分布がいくつかの異なる平滑化パラメータを使用してスプライン関数によって平滑化される手順は、この目的に特によく適することが分かった。スプライン関数は、高次のいくつかの合成多項式である。より弱い平滑化パラメータの反復適用によって、それぞれの極値は、各反復において実際の極値に向かって徐々にシフトされる。
【0042】
したがって、縁部検出では、最も内側の右極値yk,right及び最も内側の左極値yk,leftが決定されることが好ましい。上述したように、これらの値は、RIPのk番目の層の対応する縁部にほぼ対応する。これは、例えば、コアの外縁部又はクラッド層の外縁部である(屈折率は外側から内側に増加することに留意されたい)。このようにして決定された左右の縁部は、物体20の実際の中心点を定義するのに特に適している。
【0043】
更に、測定された偏向角分布の調整は、好ましくは、偏向角分布の原点が調整される調節(微調整)を含む。
【0044】
(y=0において)物体20の円筒長手方向軸が延在するデカルト座標系における偏向角分布の座標原点は、原点と呼ばれる。y軸に沿ったシフトは、システム100を使用する偏向角分布の測定において、y軸が測定セル9の幾何形状によってのみ規定されるために発生する可能性がある。しかしながら、測定セル9の中心は、物体20の長手方向軸に自動的に対応しない。したがって、偏向角分布の原点の調整は、例えば、座標系のy軸の方向において、最も内側の右極値yk,rightと最も内側の左極値yk,leftとの間の中間にシフトすることを含む。
【0045】
更に、全体の角度分布は、垂直軸(これは偏向角分布の座標系におけるψ軸である)の方向におけるシフトの形態で座標原点からのオフセットを含み得る。オフセットを排除するため、偏向角分布は、座標系のψ軸の方向に、このようにして決定された距離だけシフトされる。
【0046】
一般に、ψの原点の正確な(正しい)定義又は決定は、正確に計算されたRIP、したがって全ての後続の工程を達成するために非常に重要である。残念ながら、ψ=0度(偏向なし)を決定することは些細なことではない。わずか0.01度の範囲の差でも、計算RIPに大きな影響を及ぼす。セットアップの幾何形状だけでこの原点を定義することは十分ではない。実際には、ψ=0度である偏向原点を微調整又は決定するために、いくつかの方法が利用可能である。残念ながら、これらの方法のいくつかは、試料自体に依存し、常に適用可能であるとは限らない。
【0047】
ψの原点を決定する1つの方法は、最も内側の領域(コア直径の約10%~20%)のサブエリアに直線(又は奇数多項式)をフィッティングすることである。この領域は、実質的に均一な屈折率を有し、中心に置かれる必要がある。一般に、この手順は、チューブ(空気コア領域のため)及び均質な溶融シリカコアに対して機能することができる。(実際には、これは未ドープコアに対してのみ最良に機能する。チューブは、形状の完全性に極端に依存する。ドーピングは典型的には微小変動を引き起こす)。代替的に、非均質コアにも適用可能であるので推奨されるが、本方法は、計算RIPを評価することによってψ=0度を定義する。実際には、起点の範囲が定義され、RIPが計算され、比較に基づいて最も妥当なRIPが選択される。原点はまた、自動的に、又は当業者によって、各オフセット工程について計算RIPを見ることによって、反復的に補正され得る。
図5は、センタリング不一致を示す。RIPに基づいて最良の原点を選択することは比較的容易である。
【0048】
評価及び調整の結果は、調整偏向角分布ψ’(y)であり、これは、その原点に関して座標原点に適合される。
【0049】
次の工程では、調整屈折率プロファイルn’(r)と呼ばれるRIPが、調整偏向角分布ψ’(y)から変換によって生成される。この工程を完了するために、最初に測定偏向角分布からのRIPの生成は必要とされない。偏向角分布の原点の事前の適合は、例えばアーベル変換を用いて行われるこの変換に非常に役立つ。適合が行われていなければ、実際の原点からの小さなずれが、変換屈折率分布における誤差(すなわち、信頼できない不完全性)につながる。
【0050】
調整屈折率プロファイルn’(r)は、測定不可能な領域からの屈折率及び半径の値がまだないので、実際に予想されるプリフォームのRIPを反映しない。調整屈折率プロファイルは、例示的な配向ガイドを表すが、この配向ガイドから、後続の方法工程の基礎となる仮定的な屈折率プロファイルn*(r)の適切な配向値を比較的明確に導出することができる。導出される配向値は、層半径に対する配向値r*kと、仮想屈折率プロファイルn*(r)の層屈折率に対する配向値n*kとを含む。経験的な値及びデータベースに格納されたデータは、屈折率を決定するためにも使用することができ、特に屈折率について存在することが多い。
【0051】
最も単純な場合、決定された極値yk,right及びyk,leftは、調整屈折率プロファイルn’(r)の評価において配向値r*kを固定するために使用される。しかしながら、近似方法に関連して上述したように、これはほぼ正確であるにすぎない。したがって、特に好ましい方法の変形例では、決定された極値yk,right及びyk,leftは、それぞれ層半径rk,right及びrk,leftに変換され、計算された層半径は、配向値r*kを固定するために使用される。
【0052】
層半径における極値の変換は、好ましくは、以下の2つの式のうちの1つに基づいて完了する。
式2:r*
k=n0/nk-1
*yk,max又は
式(3):r*
k=n0/nk
*yk,max
式中、n0は周囲媒質の屈折率、nk-1は層kの外側に隣接する層の屈折率、nkは層kの屈折率、yk,maxは絶対値が最大の層kの偏向角の位置である。式(2)は、rkにおける境界で全反射が起こらない場合に適用可能である。そうでない場合、式(3)が適用可能である。
【0053】
仮想RIPは、調整屈折率プロファイルn’(r)と、このプロファイルから導出された配向値とに基づいており、配向値は、測定不能領域からの屈折率及び半径の推定値を含む。仮想RIPは、実際に予想されるプリフォームの屈折率プロファイルを既に示しているか、又はこの屈折率プロファイルに近い。以下のいくつかの段落で説明される反復は、層毎に物体に適用される。
【0054】
シミュレート偏向角分布ψ”(y)は、次の方法工程において仮想屈折率プロファイルn*(r)から生成される。シミュレート偏向角分布ψ”(y)の生成には、上述した式(1)を適用することができる。したがって、シミュレート偏向角分布ψ*(y)は、物体20のRIPの仮定(すなわち、仮想屈折率プロファイルn*(r))に基づいており、この仮想屈折率プロファイルn*(r)は、元の測定値の補正及び評価後に調整屈折率プロファイルn’(r)から導出される。シミュレート屈折率プロファイルn”(r)が、シミュレート偏向角分布ψ”(y)の変換によって再び得られる。
【0055】
したがって、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)は、調整屈折率プロファイルn’(r)から仮想屈折率プロファイルn*(r)の補助構成を介したシミュレーションによって得られる。シミュレート屈折率プロファイルn”(r)が調整屈折率プロファイルn’(r)に類似するほど、仮想屈折率プロファイルn*(r)の基礎となる仮定は、現実、すなわち物体20の実際の屈折率プロファイルn(r)に近くなる。
【0056】
理想的には、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)と調整屈折率プロファイルn’(r)とが一致する場合、シミュレーションの基礎となる仮想屈折率プロファイルn*(r)は、物体20の実際の屈折率プロファイルを反映する。しかしながら、実際には、正確な一致を達成することはできない。しかしながら、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)を調整屈折率プロファイルn’(r)に反復的にフィッティングさせることによって、適切かつ任意に正確な適合を達成することができる。反復は、以下の方法工程:配向値r*
k及びn*
kを有する仮想屈折率プロファイルn*(r)に基づいてシミュレート偏向角分布ψ”(y)を生成する工程と、偏向角分布をシミュレート屈折率プロファイルn”(r)に変換する工程とによるシミュレーションの少なくとも1回の実行を含む。結果は、十分に正確な方法で適合されるパラメータr*
k,fit及びn*
k,fitによって定義される、十分に正確な、フィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn”(r)fitである。したがって、適合されたパラメータr*
k,fit及びn*
k,fitを有するこのシミュレーションの基礎となる仮想RIPは、物体20の再構成された実際のRIPを同時に表す。
【0057】
十分にフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn*(r)fitが達成されたかどうかの数学的基準として、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)と調整屈折率プロファイルn’(r)との間の偏差が所与の閾値未満であるかどうかを計算することができる。偏差の計算は、最小絶対残差に基づいて、又は最小二乗法に基づいて実行されることが好ましい。等距離半径の場合、絶対残差は、いわゆる最良適合領域に対応する。
【0058】
本方法の実施形態によれば、最適化パラメータr*
k,fit及びn*
k,fitの決定並びに十分に適合された(フィッティングされた)プロファイルの決定は、屈折率プロファイルに基づいており、偏向角分布レベルに基づいていないので、測定結果の妥当性、精度及び再現性に関して単純化及び改善が達成される。
【0059】
理想的には、光学物体20の全ての層が、層半径rk全体にわたって所与の層屈折率nkを示す。しかしながら、実際には、この理想からの偏差が存在する。層屈折率nkは公称値の周りで変化してもよく、その変化は一定値と異なってもよい。本発明による方法に基づくRIPの再構成は、理想的なステッププロファイルを前提としない。偏差は、実際の層屈折率の平均値に平準化される。これは、予め設定された屈折率勾配を有する層にも等しく適用可能である。
【0060】
本方法の特に好ましい実施形態では、シミュレート偏向角分布ψ*(y)の調整偏向角分布ψ’(y)へのフィッティングは、以下の方法工程:パラメータr*
k及びn*
kの反復適合によって、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)を調整屈折率プロファイルn’(r)にフィッティングする工程に従って、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)を調整屈折率プロファイルn’(r)にフィッティングすることに加えて、(上述の方法工程による)パラメータr*
k及びn*
kの反復適合によって完了され、適合パラメータr*
k,fit及びn*
k,fitによって定義される、フィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn*(r)fitが得られる。適合パラメータr’*
k,fit及びn’*
k,fitによって定義される、フィッティングされたシミュレート偏向角分布ψ’*(y)fitが得られる。RIPは、重み係数Gを有するフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn*(r)fitを、重み係数(1-G)を有するフィッティングされたシミュレート偏向角分布ψ’*(y)fitと組み合わせる際に(ただし、0<G<1)、適合パラメータr*
k,fit及びn*
k,fitを有する仮想屈折率プロファイルとして得られる。
【0061】
実際の屈折率プロファイルn(r)を再構成するために、一方ではフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn”(r)fitから屈折率平面を見ることによって、他方ではフィッティングされたシミュレート偏向角分布ψ’*(y)fitによる角度平面を見ることによって得られる重み付けパラメータが使用される。これにより、ランダムな測定値変動又は変換誤差が除去され、実際の屈折率プロファイルの再構成においてより高い精度が達成される。
【0062】
実際の屈折率プロファイルn(r)の再構成に基づいて決定されるパラメータ、特に、適合パラメータr*
k,fit及びn*
k,fitは、好ましくは、プリフォーム製造プロセスの適合のために使用される。
【0063】
一実施形態による方法は、例えば光学プリフォームなどの円筒状光学物体20の屈折率プロファイルを決定するのに役立つ。プリフォームのRIPは、直接測定することができず、したがって、プリフォームの体積領域を透過した光ビームの偏向として間接的に決定される。プリフォームの屈折率分布は、出射する光ビームの偏向分布から推定することができる。
【0064】
図3の図は、未ドープ石英ガラスのコアロッドがフッ素ドープ石英ガラスの内側クラッド層及び未ドープ石英ガラスの外側クラッド層によって囲まれているプリフォームの例を使用して、上述のように測定された典型的な偏向角関数のセクションを示す。偏向角ψ(度)は、y軸に沿った位置(ミリメートル単位)に対して描かれている。「p=1」で示される曲線は、測定曲線に対応する。この図では、様々な平滑化パラメータp<1に対するいくつかのスプライン関数も描かれている。これらの曲線は、様々な平滑化工程の効果を示しており、以下でより詳細に説明する。
【0065】
偏向角分布からの屈折率分布n(r)の計算は、アーベル変換を用いて完了する。
図4の対応する図では、相対屈折率n(r)-1.446が半径r(ミリメートル単位)に対して描かれている。例としてのみ示されている曲線は、数値積分によって
図3の測定された偏向角分布(p=1)から計算された。領域21の曲線はコアロッドを表し、領域22の曲線は内側クラッド層を表し、領域23の曲線は外側クラッド層を表す。
【0066】
これらの測定結果は正確ではない。上述したように、誤差の原因の1つは、内側クラッド層よりもコアにおいて比較的高い屈折率を有する光ファイバに典型的であるように、上向きの屈折率ジャンプの場合に測定方法によって引き起こされる測定不能領域の発生である。誤差源は、単純なケース、すなわち、均質な屈折率分布n
1を有するロッドを参照することによって
図1Bの略図に示され、ロッドは、n
1未満である屈折率数n
0を有する屈折率調節流体(屈折率適合液又は浸漬液とも呼ばれる)に挿入される。ロッドの走査中、入射点に接線方向に入射するビームは、ロッドの中心に向かって屈折され、ロッドから異なる伝搬方向を有する出射ビームとして再び出射し、
図1Bに示されるようなビーム経路をもたらす。したがって、光ビームが接線方向に透過できない(すなわち、測定中にビームによって決して照射されない)物体内のエリア又は領域が存在する。このエリアは、
図1Bにおいて斜線で示され、半径r
*及び角度β(ベータ)でマークされ、角度βは90度-ψ/2である。結果として、領域r
*<r<r
1における偏向角を測定することは不可能であり、この測定誤差のために、再構築屈折率値が実際の屈折率より低いことが明らかになる。
【0067】
測定偏向角分布の評価及びモデリングを伴う以下に説明される方法の目標は、この系統的な測定誤差の補償及び実際の屈折率プロファイルn(r)の実質的な再構成である。
【0068】
評価の開始時に、測定偏向角分布の極値yk,maxの位置が決定される。これらは既にほぼ個々の層の半径である。原理的には、コアロッド縁部の正及び負のy軸上の正確な位置は、特にノイズのない理想的なデータの場合、単純な手動読み取りによって決定することができる。
【0069】
本方法の実施形態を、
図3を参照して説明する。この実施形態に使用される測定データは、曲線p=1に対応する。縁部が誤って範囲外の測定点又はノイズによって引き起こされる二次極値に置かれないことを保証するために、測定偏向角分布は、最初にスプライン関数によって強く平滑化される。スプライン関数は、例えば3次の、いくつかの構成された高次多項式である。平滑化パラメータpは、例えば、p=1(三次多項式のセクション毎のフィッティング)、0<p<1(平滑化された曲線のセクション毎のフィッティング)、及びp=0(直線のフィッティング)の間の妥協点を表す。
【0070】
この方法は、p=0.9、すなわち強い平滑化から始まる。偏向角は、内側から外側への広い領域にわたって縁部に向かってその絶対値が増大する。強く平滑化された偏向角曲線は、偏向角の符号に応じて、この領域において最大値又は最小値を示す。少数の外れ値データ点は、(もしあれば)小さな極値をもたらす。極値は、強く平滑化された曲線上で決定される。続いて、p=0.99の平滑化(より少ない平滑化)が行われる。この工程は、p=0.999、p=0.9999、p=0.99999、最後に、元の測定データ(p=1)について、平滑化を徐々に減少させながら繰り返される。6回目及び最後の反復(p=1)ではもはや平滑化は行われない。p=1の選択が三次補間に対応することは事実であるが、特に支持点で評価される場合、元の点が実際に再び得られる。したがって、曲線p=1は、測定データのセクションを表す。
【0071】
したがって、強い平滑化に基づいて以前に決定された極値は、反復毎に偏向角分布の実際の極値に向かって徐々にシフトし、したがって、実際の屈折率縁部に向かっても移動する傾向がある。したがって、屈折率縁部の実際の位置は、最も高い平滑化パラメータによって最適に近似される。実際の縁部位置は、最大値の底部における下方への屈折率ジャンプの場合であり、逆に、最大値のピークにおける上方への屈折率ジャンプの場合である。
【0072】
この評価によって見出された偏向角分布の最も内側の極値yk,right及びyk,leftは、更なる評価において使用される。これらは特に、偏向角分布内のy方向における原点の補正に役立つ。
【0073】
アーベル変換が完了する前に、偏向角分布ψ(y)の原点が正確に決定される。具体的には、角度分布の座標系におけるy軸は、測定セル9の幾何形状によってのみ決定される。ここで、測定セル9の中心は、必ずしもプリフォームの中心と一致する必要はなく、これはy軸に向かうシフトをもたらす。更に、全体の角度分布は、この座標系のψ方向におけるシフト寄与を有する角度オフセットを有し得る。このオフセットは、例えば、測定システム100内の回転ディスクの角度の不正確な参照によって引き起こされ得る。
【0074】
図5は、基礎となる偏向角分布の原点におけるオフセットが、基礎となる偏向角分布から計算される屈折率分布に及ぼす影響を示す。この目的のために、式(1)を用いて4,401個のデータ点からなる2つの分布を作成し、続いて計算を完了した。プロファイル曲線41は、屈折率ジャンプΔn=±0.01を有する仮定ステッププロファイルである。残りの曲線は、相対単位(r.u.)で位置rに対する屈折率差(n(r)-n
0)として描かれている屈折率プロファイルの計算を示し、曲線42は、正確な偏向角分布からのものであり、曲線43は、0.1mmのy方向における原点の不正確な位置決めであり、曲線44は、-0.02度(約3.5×10
-4rad)の角度オフセットを有する原点の不正確な位置決めであり、曲線45は、両方のシフトを合わせたものである。
【0075】
曲線42は、屈折率プロファイルにおける測定偏向角分布の変換における典型的な系統誤差の結果を示す。全屈折率レベルは、実際のレベルよりも明らかに低い。更に、縁部に向かって屈折率プロファイルの丸みがある。曲線43~45は、原点の不正確な位置決めの影響を示す。
【0076】
実質的に半径方向に対称である光学プリフォームの場合、偏向角分布において予め決定されたコアロッド縁部は、プリフォーム中心点、したがって座標原点の決定に特によく適している。必要であれば、y軸は、原点がコアロッド縁部間の中央に正確に位置するように、対応する経路だけシフトされる。
【0077】
オフセットの補正は、それに応じて偏向角分布を垂直方向にシフトさせるために行われる。このために、最小二乗法の和を使用して、最も内側の右極値yk,rightと最も内側の左極値yk,leftとの間の中間に直線がフィッティングされる。フィッティングされる領域は、コアロッド直径の20%以下にわたって延在する。測定データは、最終的に、直線が原点を通るように、直線のy軸セクションの周りで垂直にシフトされる。
【0078】
オフセットを決定するための代替的な方法の変形例では、より高次の多項式(例えば9次)が、最も内側の右極値yk,rightと最も内側の左極値yk,leftとの間の中央にフィッティングされる。次に、縁部間のサブルート又はルート全体を選択することもできる。オフセットを決定するための更なる代替的な方法の変形例では、偏向角分布は、等間隔で測定された全ての偏向角の合計が0に等しくなるようにシフトされる。
【0079】
評価及び調整の結果は、調整偏向角分布ψ’(y)であり、これは、その原点に関して座標原点に適合される。
【0080】
次の工程では、アーベル変換によって、調整偏向角分布ψ’(y)から調整屈折率プロファイルn’(r)が生成される。
図5を参照して説明したように、偏向角分布の原点の事前の適合は非常に有用であり、この適合がなければ、実際の原点からの小さなずれが、変換屈折率分布の誤差につながる。
【0081】
実際には、調整屈折率プロファイルn’(r)は、実際に予想されるプリフォームの屈折率プロファイルを反映しない。調整屈折率プロファイルn’(r)は、例示的な配向ガイドを表すが、この配向ガイドから、仮想屈折率プロファイルn*(r)に対する適切な配向値を比較的明確な方法で導出することができ、この仮想屈折率プロファイルは、後続の方法工程の基礎を成す。導出される配向値は、層半径に対する配向値r*kと、仮想屈折率プロファイルn*(r)の層屈折率に対する配向値n*kとを含む。特に屈折率については、多くの場合、屈折率を決定するために使用することができるデータベースに格納された経験値及びデータが存在する。
【0082】
この評価では、先に決定された極値yk,right及びyk,leftも、配向値r*kを決定するために使用される。しかしながら、これらの位置は屈折率プロファイルの半径に近似的にのみ対応するので、決定された極値yk,right及びyk,leftは、それぞれ層半径rk,right及びrk,leftに変換され、計算された層半径は、配向値r*kを固定するために使用される。層半径への極値の変換は、rkにおける境界上で完全な反射が生じない場合にはアーベル変換における第2の式に基づいて行われ、rkにおける境界上で完全な反射が生じる場合には式(3)に基づいて行われる。
【0083】
図6の図は、単純なステッププロファイルを有するプリフォームについて、調整屈折率プロファイルn’(r)と、その評価によってモデル化された仮想屈折率プロファイルn
*(r)とを示す。屈折率は、屈折率調整流体の屈折率(n
0=1.446)を基準とした相対値で示している。
【0084】
仮想屈折率プロファイルn*(r)は、実際に予想されるプリフォームの屈折率プロファイルを既に示しているか、又は屈折率プロファイルに近い。仮想屈折率プロファイルは、調整屈折率プロファイルn’(r)と、プロファイルから導出された配向値とに基づいており、配向値は、測定不能領域からの屈折率及び半径の推定値を含む。
【0085】
式(1)を使用して、シミュレート偏向角分布ψ”(y)が、次の方法工程において仮定の屈折率プロファイルn*(r)から生成される。したがって、それによって得られるシミュレート偏向角分布ψ*(y)は、プリフォームの屈折率プロファイルの仮定(すなわち、仮想屈折率プロファイルn*(r))に基づいており、これは、元の測定値の補正及び評価の後に、調整屈折率プロファイルn’(r)から導出される。
【0086】
シミュレート偏向角分布ψ”(y)をアーベル変換の第1の式に基づいて変換することによって、
図6に示されたシミュレート屈折率プロファイルn”(r)が再び得られる。プロファイルは、クラッド領域52とコア領域51との間に丸み領域53を有する。この丸み領域53を除いて、シミュレート屈折率n”(r)は、調整屈折率プロファイルn’(r)とほぼ一致する。仮定屈折率分布n
*(r)が大きく異なることを考慮すると、このことは顕著である。この類似性は、仮想屈折率プロファイルn
*(r)の基礎となる仮定がプリフォームの実際の屈折率プロファイルn(r)に既に非常に近いことを示唆している。すなわち、
図6の仮想屈折率プロファイルn
*(r)は、実際の屈折率プロファイルn(r)を正確に又は少なくとも十分に正確に反映している。
【0087】
実際には、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)と調整屈折率プロファイルn’(r)との間の正確な一致を達成することはできない。しかしながら、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)を調整屈折率プロファイルn’(r)に反復的にフィッティングさせることによって、適切かつ任意に正確な適合を達成することが可能である。
【0088】
反復フィッティングの間、パラメータr*
k及びn*
kは、十分に正確なフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn”(r)fitが得られるように長時間にわたって変更される。ここで使用されるパラメータr*
k,fit及びn*
k,fitは、対応する仮想屈折率プロファイルn*(r)の基礎を成し、これらのパラメータは、プリフォームの再構成された実際の屈折率プロファイルを同時に表す。
【0089】
適切にフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn*(r)fitが存在するかどうかの基準は、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)と調整屈折率プロファイルn’(r)との間の偏差の最小値であり、これは、例えば、最小絶対残差の和に基づいて決定される。8つの層を有するプリフォームのかなり複雑な屈折率プロファイルの場合であっても、測定方法は良好な結果をもたらす。層パラメータのフィッティングは、好ましくは、外層から始まり内側に向かって行われる。
【0090】
図6の実際の屈折率プロファイルの再構成のための上述のモデルにおいて、シミュレート屈折率プロファイルn”(r)は、調整屈折率プロファイルn’(r)にフィッティングされた。再構成のためのこの手順の修正において、一方では、フィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn”(r)
fitからの屈折率平面を考慮することによって、他方では、フィッティングされたシミュレート偏向角分布ψ’
*(y)
fitによる角度平面を考慮することによって得られた重み付けパラメータが更に使用された。これにより、ランダムな測定値のばらつきと変換誤差の両方を排除して、実屈折率プロファイルの再構成の精度を高めることができる。
【0091】
したがって、シミュレート偏向角分布ψ*(y)は、調整偏向角分布ψ’(y)に追加的にフィッティングされる。フィッティングプロセスは、パラメータr*
k及びn*
kの反復適合に基づく。パラメータは、十分に正確な、フィッティングされた、シミュレート偏向角分布ψ”(r)fitが得られるまで変更される。ここで使用される最適に適合されたパラメータr’*
k,fit及びn’*
k,fitは、対応する仮想屈折率プロファイルn*(r)の基礎を形成するが、最適に適合されたパラメータ値r*
k,fit及びn*
k,fitとは異なっていてもよい。それによって得られた情報は、重み付けG=0.5を有するフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn*(r)fitとフィッティングされたシミュレート偏向角分布ψ’*(y)fitとを組み合わせることによって、屈折率プロファイルの再構成において追加的に考慮される(G=0.5)。
【0092】
個々の層の屈折率rk及びnkをより正確に決定することを可能にするために、最小二乗法又は最小絶対残差法を使用するフィッティングが望ましい。
【0093】
重要な問題は、フィット関数n(r)が解析式を持たないことである。したがって、フィット関数を確立するために迂回が適用される。反復内で、パラメータrk及びnkを毎回変化させ、式(1)によって偏向角分布を生成し、アーベル変換を完了して、最終的に、最小二乗基準又は最小絶対残差法によって得られたプロファイルn(r)を測定の屈折率分布と比較する。したがって、変換の計算は、各反復の固定された構成要素であり、計算時間を長くする。
【0094】
より短い時間内でのフィッティングを確実にするために、以下の制限を行うことができる。(i)原点の補正(原点補正により、独立したフィッティングパラメータであるはずのψ方向のオフセット及びy方向のシフトが省略され、独立したフィッティングパラメータの数が2つ減少する)。(ii)側方フィッティング(フィッティングにおける放射対称性に関してプリフォーム内の最小偏差さえ考慮するために、様々な層パラメータrk及びnkが、正及び負のy軸について層内で許容される。フィッティングは、自由フィッティングパラメータの数の半分のみを有する2つのフィッティングに分離することができるが、これは、必要とされる反復の数のかなりの低減をもたらし、それによって時間を節約する)。(iii)層毎のフィッティング(多くの自由パラメータを有するフィッティングを少数の自由パラメータを有するいくつかのフィッティングに分割するという基本的な考えから開始して、側方フィッティングとは別に層毎のフィッティングも可能である。しかしながら、決定されるべきパラメータrk及びnkは外側から内側に向かって決定されなければならず、それによって考慮中の層の数が連続的に増加し、フィッティングの考慮中の領域も層毎に増加することに留意されたい。前に説明した側方フィッティングと共に、k個の層を有するプリフォームにおいて、4kでのフィッティングの代わりに、決定されるべきそれぞれ2つの未知のパラメータで2kのフィッティングが得られ、それによって必要な計算時間が大幅に短縮される)。
【0095】
上記に要約したように、屈折率プロファイル(RIP)評価方法の展開の時系列は以下の通りである。最初に、単純なアーベル変換を適用した。しかしながら、アーベル変換は、RIPにおける典型的な測定アーチファクトを考慮しなかった。次に、Corning Incorporatedによって発行された米国特許第8,013,985号は、改良された方法である‘985方法を提供したが、(商業目的ではなく)研究開発のためだけであった。最後に、本出願人自身の米国特許第10,508,973号は、RIPが実質的に又は完全にステップインデックス状である場合にRIPを決定することに関する現在の最新技術を表す方法である‘973方法を教示している。‘973方法は、屈折率プロファイリングにおける周知の測定アーチファクト(過小評価された屈折率ステップ及び丸みプロファイル)を考慮する。
【0096】
要約すると、‘973特許によって教示される方法は、層半径rk及び層屈折率nkを有する少なくとも1つの層kが半径方向に対称的に延在する円筒長手方向軸を有する円筒状光学物体の半径方向RIPを決定する。本方法は、円筒状光学物体への入射点における入射ビームを円筒長手方向軸を横切る方向に向けることによって偏向角分布ψ(y)を測定する工程であって、偏向角ψは、入射ビームに対する出射ビームの角度として定義され、yは、デカルト座標系における円筒長手方向軸と入射ビームの入射点との間の距離である、測定する工程と、モデルに基づいてそこからRIPを再構成する工程とを含む。このモデルは、(a)測定偏向角分布ψ(y)を調整する工程であって、偏向角度分布の極値決定を含み、屈折率ステップの領域を含み、調整偏向角度分布ψ’(y)が得られ、測定偏向角分布の調整は、偏向角度分布の原点が調整される補正を含む、調整する工程と、(b)調整偏向角度分布ψ’(y)を調整屈折率プロファイルn’(r)に変換する工程と、(c)配向値の固定のために調整屈折率プロファイルn’(r)を評価する工程であって、配向値は、層半径についての配向値r*
kと、仮想屈折率プロファイルn*(r)の層屈折率についての配向値n*
kとを含む、評価する工程と、(d)配向値r*
k及びn*
kを有する仮想屈折率プロファイルn*(r)に基づいてシミュレート偏向角分布ψ”(y)を生成し、偏向角分布をシミュレート屈折率プロファイルn”(r)に変換することによってシミュレート屈折率プロファイルn”(r)を作成する工程と、(e)配向値r*
k及びn*
kの反復適合によってシミュレート屈折率プロファイルn”(r)を調整屈折率プロファイルn’(r)にフィッティングする工程であって、適合パラメータr*
k,fit及びn*
k,fitによって定義されるフィッティングされたシミュレート屈折率プロファイルn*(r)fitが得られる、フィッティングする工程と、(f)適合パラメータr*
k,fit及びn*
k,fitを有する仮想屈折率プロファイルとして屈折率プロファイルを得る工程とを含む。
【0097】
‘985方法及び‘973方法はどちらも、ステップインデックスプリフォーム又は少なくとも実質的にステップインデックスプリフォームにのみ適している。ステップインデックスプリフォームは、コア全体にわたって均一な屈折率を有するマルチモード又はシングルモード光ファイバを生成するプリフォームとして定義される。(コア内を伝送することに加えて、追加の光がマルチモードとしてクラッド層内を伝送されるステップ状のマルチクラッドファイバもある。ステップは、コアと、コアよりも低い屈折率を有するクラッドとの間のシフトである。本明細書で使用される「実質的に」という用語は、近似を示す記述用語であり、「かなりの程度」又は「指定されたものの全体ではなく大部分」を意味し、指定されたパラメータに対する厳密な数値境界を回避することを意図している。したがって、実質的なステップインデックスプリフォームは、完全にではないにしても大部分が均一である屈折率を有するコアを有するマルチモード又はシングルモード光ファイバを生成するプリフォームである。
【0098】
‘985号の方法も‘973号の方法も、更に言えば、他の任意の既知の方法も、完全にステップインデックス状ではないが、屈折率プロファイリングにおける前述の測定アーチファクトの補償を必要とする物体のRIPを正確に提供しない。‘985号の方法は、測定偏向関数ψ(y)をとり、理想的な屈折率偏向曲線を測定偏向関数に当てはめる。これにより、計算が偏向関数空間内で完了する。対照的に、‘973号の方法は、屈折率プロファイル空間内で計算を完了する。
【0099】
本明細書の残りの部分は、ステップインデックス又は少なくとも実質的にステップインデックスを有さない物体に対して正確なRIPを提供する改良された方法の工程を説明する。改良された方法は、屈折率プロファイリングにおける周知の測定アーチファクト(過小評価された屈折率ステップ及び丸みプロファイル)を考慮する。物体20は、屈折率プロファイリングにおける測定アーチファクトに従って補償するために、1つ、2つ、又は最大10の層を有してもよい。
【0100】
改良された方法110の工程を、
図7のフロー図に示す。方法110は、層半径r
k及び層屈折率n
kを有する少なくとも1つの層kが半径方向に対称的に延在する円筒長手方向軸を有する円筒状光学物体20の半径方向RIPを決定する。方法110の工程101では、偏向関数が測定され、測定されたデータは、アーベル変換を使用して、屈折率プロファイルに変換される。(そのRIPは、以下の例において「測定プロファイル」とラベル付けされた曲線201、301に反映されている)。上述したように、工程101は、円筒状光学物体20への入射点における入射ビームを円筒長手方向軸を横切る方向に向けることによって偏向角分布ψ(y)を測定する工程であって、偏向角ψは、入射ビームに対する出射ビームの角度として定義され、yは、デカルト座標系における円筒長手方向軸と入射ビームの入射点との間の距離である、測定する工程を含む。
【0101】
方法110の工程102では、屈折率レベルは物体20の外側領域(又は層)に対して仮定される。(結果として生じるRIPは、以下の例において「補償レベル」とラベル付けされた曲線202、302に反映されている)。工程103では、対応する理論偏向関数が生成され、アーベル変換を用いて変換される。(結果として生じるRIPは、以下の例において「フィッティング曲線」とラベル付けされた曲線203、303に反映されている)。工程104では、工程103で生成された変換理論偏向関数が、工程101の変換測定偏向関数と比較される。工程104aでは、比較は、評価されている物体20の領域に対する所定の精度レベルに対して評価される。「所定の」とは、事前に決定されることを意味し、したがって、所定の特性は、方法工程が開始される前に決定されなければならない、すなわち、選択されなければならない、又は少なくとも知られなければならない。所定の精度レベルは、特定の用途に依存し得る。典型的な所定の精度は約90%であり、更なる所定の精度は約92%であり、好ましい所定の精度は約95%であり、より好ましい所定の精度は約97%であり、最も好ましい所定の精度は約99%以上である。
【0102】
工程103で生成された変換理論偏向関数が、工程101の変換測定偏向関数に十分に近い(すなわち、精度レベルが所定レベル以上である)と判定された場合、方法110は工程105に進む。(以下の例では、フィッティング曲線203、303は、測定プロファイル曲線201、301と実質的に一致する)。そうでない場合、方法110は工程102に戻る。工程102及び103は、精度レベルが所定のレベル以上になるまで反復的に繰り返され、方法110は工程105に進むことができる。
【0103】
方法110の工程105では、物体20が補償すべき別の領域(又は層)を有するかどうかについて判定が行われる。典型的には、物体20の領域は、物体の境界又は縁部と屈折率不連続部との間、又は2つの屈折率不連続部の間のエリア又は層として定義される。補償は常に物体20の外縁部から開始され、一連の1つ以上の領域又は層において物体20の中心に向かって内側に進む。評価及び補償されるべき物体20の領域が残っていないと判定された場合、方法110は工程106に進む。物体20の別の領域が評価及び補償されずに残っている場合、方法110は工程102に戻り、評価及び補償されずに残っている領域がなくなるまで、追加領域毎に工程102、103、104、104a、及び105が繰り返される。
【0104】
工程102で仮定されたRIP(以下の例における補償レベル曲線202、302)と、工程103で生成された変換理論的偏向関数に対応するRIP(以下の例におけるフィッティング曲線203、303)との間の差は、屈折率プロファイリングの測定アーチファクトに起因する誤差、シフト、又はオフセットである。この誤差は、より多くの層が補償されるにつれて累積する。方法110の工程106において、この差は、工程101の測定され変換されたRIP(以下の例において測定プロファイル曲線201、301)に加算され、測定アーチファクト補償RIP(以下の例において「新規評価方法」とラベル付けされた曲線204、304)を計算する。したがって、数学的計算規則は、新規評価方法曲線=測定プロファイル曲線+補償レベル曲線フィッティング曲線である。測定アーチファクト補償RIP曲線204、304は、実際の絶対屈折率値を含む。改良された方法110は、ステップインデックス状又は実質的にステップインデックス状でない物体20に対しても、正確で信頼性のあるRIPを提供する。
【実施例】
【0105】
以下の2つの実施例に本開示の全体的な性質をより明確に示す。これらの2つの実施例は本開示を例示するものであり、制限するものではない。
【0106】
図8は、実際のフッ素ドープ石英ガラスチューブへの方法110の適用を説明するために、ミリメートル単位の位置rに対する屈折率差(n(r)-n
0)として描かれた屈折率プロファイルの計算を示す曲線のグラフである。上述したように、このようなチューブは、プリフォーム内のドープされていない石英ガラスのコアロッドを囲む内側クラッド層を形成するためにしばしば使用される。
図8には、測定プロファイル曲線201、補償レベル曲線202、フィッティング曲線203、及び新規評価方法曲線204が示されている。新規評価方法曲線204は、方法110をチューブに適用した最終結果であり、チューブに対する測定アーチファクト補償RIPを表す。
【0107】
図9は、フッ素ドープ石英ガラスチューブについて、測定プロファイル曲線201と新規評価方法曲線204との単純な比較である。これらの曲線間には無視できない重要なオフセットがあるが、傾向の特性は依然として保存されていることに留意されたい。比較は、方法110によって達成される高精度レベルを反映する、2つの曲線間の高度の相関を示す。
【0108】
図10は、実際のコアロッドへの方法110の適用を説明するために、ミリメートル単位の位置rに対する屈折率差(n(r)-n
0)として描かれた屈折率プロファイルの計算を示す曲線のグラフである。上述したように、このようなコアロッドは、プリフォームにおいて、フッ素ドープ石英ガラスの内側クラッド層及び非ドープ石英ガラスの外側クラッド層によって囲まれることが多い。
図10には、測定プロファイル曲線301、補償レベル曲線302、フィッティング曲線303、及び新規評価方法曲線304が示されている。新規評価方法曲線304は、方法110をコアロッドに適用した最終結果であり、コアロッドの測定アーチファクト補償RIPを表す。
【0109】
図11は、コアロッドについての測定されたプロファイル曲線301と新規評価方法曲線304との単純な比較である。比較は、方法110によって達成される高精度レベルを反映する、2つの曲線間の高度の相関を示す。
【0110】
方法110は、従来の方法よりも正確で信頼できるRIP評価を提供する。このような評価は、プリフォーム組立のために、及びプリフォーム顧客の要求を満たすために、特に、より複雑な設計のプリフォームのために必要である。RIPがステップインデックス状又は実質的にステップインデックス状でなく、RIP測定アーチファクトが存在するときはいつでも、方法110は改良された結果を提供する。
【0111】
特定の具体的な実施形態及び実施例を参照して上に図示して説明したが、本開示は示した詳細に限定されるものではない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲及び範囲内で、本開示の趣旨から逸脱することなく、詳細において様々な修正を行うことができる。例えば、本書において記載されている全ての広義の範囲は、広義の範囲に含まれる全ての狭義の範囲もその範囲に含まれることが明示的に意図されている。