(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】LEDフィラメント構成
(51)【国際特許分類】
F21K 9/232 20160101AFI20240730BHJP
F21S 4/22 20160101ALI20240730BHJP
F21S 4/24 20160101ALI20240730BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240730BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20240730BHJP
【FI】
F21K9/232 100
F21S4/22
F21S4/24
F21Y115:10
F21Y113:13
(21)【出願番号】P 2023561120
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2022058875
(87)【国際公開番号】W WO2022214429
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-10-12
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ボムメル ティース
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10767816(US,B1)
【文献】中国実用新案第208871526(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0088189(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112097129(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/232
F21S 4/22
F21S 4/24
F21Y 115/10
F21Y 113/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDフィラメント構成光を提供するLEDフィラメント構成であって、
第1のLEDフィラメント光を放出するように適合された第1のLEDフィラメントと、
第2のLEDフィラメント光を放出するように適合された第2のLEDフィラメントとを備え、
前記第1のLEDフィラメントと前記第2のLEDフィラメントが平行であり、前記第1のLEDフィラメントと前記第2のLEDフィラメントが、ギャップによって分離され、前記第1のLEDフィラメントと前記第2のLEDフィラメントとの間に配置された複数のスペーサによって互いに機械的に接続され、
前記複数のスペーサが、少なくとも3つのスペーサ、好ましくは少なくとも5つのスペーサ、最も好ましくは少なくとも7つのスペーサを含み、
前記第1のLEDフィラメントが第1の支持体を備え、前記第2のLEDフィラメントが第2の支持体を備え、前記第1の支持体、前記第2の支持体、及び前記複数のスペーサが、単一の支持体から作製される、LEDフィラメント構成。
【請求項2】
前記複数のスペーサが、前記LEDフィラメント構成の長さに沿って一様に分布する、請求項1に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項3】
前記複数のスペーサが、前記LEDフィラメント構成の端部から離れて配置される、
請求項1に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項4】
前記第1のLEDフィラメントと前記第2のLEDフィラメントが、前記LEDフィラメント構成の一方の端部又は両方の端部で前記複数のスペーサ以外の手段によって互いに機械的かつ/又は電気的に接続される、
請求項1又は2に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項5】
前記複数のスペーサが、前記ギャップを、前記LEDフィラメント構成の長さ方向に長さL
openingをそれぞれ有する複数の開口部に分割し、前記LEDフィラメント構成の長さ方向における前記複数のスペーサのうちの各スペーサの幅W
spacerが、前記長さL
openingよりも小さく、好ましくはL
opening>5W
spacerであり、より好ましくはL
opening>8W
spacerであり、最も好ましくはL
opening>10W
spacerである、
請求項1又は2に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項6】
螺旋又は渦巻き形態で構成される、
請求項1又は2に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項7】
前記複数のスペーサが、前記螺旋又は渦巻き形態のターン毎に少なくとも1つのスペーサを含み、かつ/又は、前記螺旋又は渦巻き形態が、少なくとも3つの隣り合うターンを有し、前記少なくとも3つの隣り合うターンがそれぞれ、前記複数のスペーサのうちの少なくとも1つのスペーサを備える、
請求項6に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項8】
前記第1のLEDフィラメント及び前記第2のLEDフィラメントが、前記LEDフィラメント構成の長さと垂直に測定された最至近距離CDと、前記螺旋又は渦巻き形態の主溝に対応する最遠距離FDとを有し、FD>2CDである、請求項
6に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項9】
前記第2のLEDフィラメントが、前記第1のLEDフィラメント光とは異なる色及び/又は色温度の第2のLEDフィラメント光を放出するように適合される、
請求項1又は2に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項10】
前記第1のLEDフィラメントが、第1の色温度を有する白色LEDを含み、前記第2のLEDフィラメントが、RGB LED又は前記第1の色温度とは異なる第2の色温度を有する白色LEDを含む、
請求項1に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項11】
第3のLEDフィラメント光を放出するように適合された第3のLEDフィラメントをさらに備え、前記第3のLEDフィラメントが、前記第1のLEDフィラメント及び前記第2のLEDフィラメントに平行であり、前記第2のLEDフィラメントと前記第3のLEDフィラメントが、ギャップによって分離され、前記第2のLEDフィラメントと前記第3のLEDフィラメントとの間に配置された別の複数のスペーサによって互いに機械的に接続される、
請求項1に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項12】
前記第2のLEDフィラメントがRGB LEDを含み
、第3のLEDフィラメントが
、第1の色温度とは異なる第2の色温度を有する白色LEDを含む、請求項10
又は11に記載のLEDフィラメント構成。
【請求項13】
LEDフィラメントランプであって、
請求項1又は2に記載の少なくとも1つのLEDフィラメント構成と、
前記少なくとも1つのLEDフィラメント構成を少なくとも部分的に取り囲む光透過性外囲器と、
前記LEDフィラメントランプをソケットに電気的かつ機械的に接続するためのコネクタと、
を備えるLEDフィラメントランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)フィラメント構成に関する。本発明はまた、少なくとも1つのそのようなLEDフィラメント構成を備えるLEDフィラメントランプに関する。
【背景技術】
【0002】
白熱ランプは、LED(light emitting diode:発光ダイオード)ベースの照明ソリューションによって急速に置き換えられつつある。しかしながら、白熱電球の外見を有するレトロフィットランプを持つことが、ユーザによって評価され、望まれている。この目的のために、単純に、ガラスに基づく白熱ランプを製造するためのインフラストラクチャを使用して、フィラメントを、白色光を放出するLEDに置き換えることができる。構想のうちの1つは、そのような電球内に配置される、LEDフィラメントに基づく。これらのランプの外観は、装飾性に優れて見えるため、高く評価されている。
【0003】
米国特許第10767816号明細書は、電球シェル、電球ヘッド、及びヒートシンクカップを含む、電球装置を開示している。ヒートシンクカップは、電球シェルに接続された第1の端部と、電球ヘッドに接続された第2の端部とを有する。電球装置は、可撓性フィラメント及び中央支持体を含む。可撓性フィラメントは、第1の端子及び第2の端子を有し、中央支持体は、第1の端子に電気的に接続された第1の電極と、第2の端子に電気的に接続された第2の電極とを提供する。電球装置は、中央支持体に機械的に結合された拡張構造を含み、可撓性フィラメントを保持するための複数の保持部分を含む。
【0004】
中国実用新案第208871526号明細書は、調節可能な色温度を有するLEDランプフィラメントを開示している。LED光源は、基材と、基材に固定された少なくとも2つのLEDチップセットとを備え、各LEDチップセットは、複数のLEDチップを備え、LEDチップセットは並列に接続され、異なるLEDチップセットの総電圧降下は異なり、異なるLEDチップセットは、異なる色温度を有する蛍光粉末層で被覆される。中国実用新案第208871526号明細書の一実施形態では、基材は二重平行金属基材である。一方の端部では、二重平行金属基材の2つの平行基材部分が互いに合わさる。二重平行金属基材の反対側の端部では、2つの平行基材部分が、何らかのU字形要素によって接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中国実用新案第208871526号明細書の二重平行金属基材LEDランプフィラメントのようなフィラメントは、制限を有する場合がある。例えば、一部のLEDフィラメント電球が有する形態である螺旋又は渦巻き形態でフィラメントを(適切に)配置することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、この問題を克服し、特に螺旋又は渦巻き形態で構成され得る改良されたLEDフィラメント構成を提供することにある。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、この目的及び他の目的は、LEDフィラメント構成光を提供するLEDフィラメント構成であって、第1のLEDフィラメント光を放出するように適合された第1のLEDフィラメントと、第2のLEDフィラメント光を放出するように適合された第2のLEDフィラメントとを備え、第1のLEDフィラメントと第2のLEDフィラメントが(実質的に)平行であり、第1のLEDフィラメントと第2のLEDフィラメントが、ギャップによって分離され、第1のLEDフィラメントと第2のLEDフィラメントとの間に配置された複数のスペーサによって互いに機械的に接続される、LEDフィラメント構成によって達成される。
【0008】
本LEDフィラメント構成のスペーサは、機械的安定性(安全目的のため)及び可撓性をもたらし、このことは特に、LEDフィラメント構成を螺旋形態で構成するのに役立つ。換言すれば、螺旋/渦巻形状を作ることがより容易になり(組み立ての容易さ)、スペーサは、相互干渉、すなわち、一方のフィラメントが他方のフィラメントの蛍光体を照射して励起することを防止するための望ましい距離を螺旋の長さにわたって保つことを確実にする。人間の目は、特にフィラメント構成が低強度で点灯される場合、螺旋の長さの距離の差に非常に敏感であり、したがって、スペーサを有する本LEDフィラメント構成は、実際に改善された審美性を有することができる。さらに、スペーサはまた、電気的接続を行うために都合よく使用することができる。さらに、ギャップにより、本LEDフィラメント構成は、スリムな外観を有することができる。さらに、ギャップは、個々のLEDフィラメントの印象を与えることができる。
【0009】
LEDフィラメントは、本発明のように、LEDフィラメント光を提供するものであり、線形配列で配置された複数の発光ダイオード(LED)を含む。好ましくは、LEDフィラメントは長さ及び幅を有し、長さは幅の5倍よりも大きい。LEDフィラメントは、直線形態で、又は、例えば湾曲形態、2D/3D螺旋又は渦巻などの非直線形態で構成されることができる。好ましくは、LEDは、剛性(例えば、ポリマー、ガラス、石英、金属、若しくはサファイアから作製される)又は可撓性(例えば、ポリマー若しくは金属、例えばフィルム若しくは箔で作製される)であり得る、例えば基材のような細長い支持体上に配置される。支持体が、第1の主表面及び反対側の第2の主表面を含む場合、LEDは、これらの表面のうちの少なくとも一方の上に配置される。支持体は、反射性であってもよく、あるいは、半透明及び好ましくは透明などの光透過性であってもよい。LEDフィラメントは、複数のLEDの少なくとも一部を少なくとも部分的に覆う、封入材を備えてもよい。封入材はまた、第1の主表面又は第2の主表面のうちの少なくとも一方を、少なくとも部分的に覆ってもよい。封止材は、1つ以上、例えば全てのスペーサを覆わなくてもよい。封入材は、例えばシリコーンなどの、可撓性であり得るポリマー材料であってもよい。更には、LEDは、例えば種々の色又はスペクトルの、LED光を放出するように構成されてもよい。封入材は、LED光を少なくとも部分的に変換光に変換するように構成されている、ルミネッセント材料を含んでもよい。ルミネッセント材料は、無機蛍光体及び/又は量子ドット若しくは量子ロッドなどの蛍光体であってもよい。LEDフィラメントは、複数のサブフィラメントを含んでもよい。
【0010】
本LEDフィラメント構成の複数のスペーサは、少なくとも3つのスペーサ、好ましくは少なくとも5つのスペーサ、最も好ましくは少なくとも7つのスペーサを含むことができる。このようにして、改善された機械的安定性がもたらされ得る。
【0011】
複数のスペーサは、LEDフィラメント構成の長さLに沿って一様に(+/-0.05L)分布することができる。このことは、さらに改善された安定性をもたらし得る。
【0012】
複数のスペーサは、LEDフィラメント構成の端部から離れて配置されることができる。この効果は、接続されていても個々のLEDフィラメントのように見えるため、改善された外観である。LEDフィラメント構成の各端部に最も近いスペーサは、例えば、端部から少なくとも0.1Lに配置されることができる。
【0013】
第1のLEDフィラメントと第2のLEDフィラメントは、LEDフィラメント構成の一方の端部又は両方の端部で複数のスペーサ以外の手段によって、例えば導電性ワイヤによって、互いに機械的かつ/又は電気的に接続されることができる。導電性ワイヤはまた、いくらかの機械的固定をもたらす。これらの手段の技術的効果は、電気的機能がスペーサの機械的接続から分離され得ることである。
【0014】
複数のスペーサは、ギャップを、LEDフィラメント構成の長さ方向に長さLopeningをそれぞれ有する複数の開口部に分割し、LEDフィラメント構成の長さ方向における複数のスペーサのうちの各スペーサの幅Wspacerは、長さLopeningよりも小さく、好ましくはLopening>5Wspacerであり、より好ましくはLopening>8Wspacerであり、最も好ましくはLopening>10Wspacerであることが理解される。比率Lopening/Wspacerは、第1及び第2のLEDフィラメントが実際に分離されているという印象を与えるために(特許請求されているように)大きくあるべきであり、このことは、より良好な外観をもたらす。好ましくは、Wspacer<3mmである。さらに、各スペーサの幅Wspacerは、好ましくは、第1及び/又は第2のLEDフィラメントの幅Wfilamentの3倍以下であり、より好ましくはWspacer≦2Wfilamentであり、最も好ましくはWspacer≦1Wfilamentである。
【0015】
第1のLEDフィラメントは、第1の支持体を備えることができ、第2のLEDフィラメントは、第2の支持体を備えることができ、第1の支持体、第2の支持体、及び複数のスペーサは、単一の支持体から作製される。前述の複数の開口部は、単一の支持体の穿孔又は打抜きによって好都合に作製されることができ、同時に複数のスペーサが作成される。したがって、このLEDフィラメント構成は製造が容易であり得る。単一の支持体は、モノリシック支持体であることができる。単一の支持体は、例えばPCB(プリント回路基板)であることができる。第1の/第2の/単一の支持体は可撓性であることができる。さらに、複数のスペーサは可撓性であることができる。スペーサは、例えば、シリコーンを含むか又はシリコーンで作られることができる。別の実施形態では、第1の/第2の/単一の支持体は、可撓性であることができ、スペーサは剛性である。
【0016】
上述されたように、LEDフィラメント構成は、螺旋又は渦巻き形態で構成されることができる。本LEDフィラメント構成は、そのような形態に非常に適している。ランプ(レトロフィット電球)では、このLEDフィラメント構成は、螺旋又は渦巻き形態を固定するために、(半透明/透明/反射性)ホルダに巻き付けられることができる。代替的に、第1の/第2の/単一の支持体は、螺旋又は渦巻き形態に巻かれることができ、自己支持型である、金属コアPCBであることができる。
【0017】
複数のスペーサは、螺旋又は渦巻き形態のターン毎に少なくとも1つのスペーサを含むことができる。このことは、安定性を改善し、特に、第1のLEDフィラメントと第2のLEDフィラメントとの間のギャップが螺旋又は渦巻き形態の全長にわたって保たれることを確実にすることができる。
【0018】
さらに、螺旋又は渦巻き形態は、少なくとも3つの隣り合うターンを有することができ、少なくとも3つの隣り合うターンはそれぞれ、複数のスペーサのうちの少なくとも1つのスペーサを含む。例えば、螺旋又は渦巻き形態が5つのループ/ターンを有する場合、ターン2、3、及び4がスペーサを有することができる(しかし、ターン1及び5はスペーサを有さない)。
【0019】
第1及び第2のLEDフィラメントは、LEDフィラメント構成の長さと垂直に測定された最至近距離CDと、螺旋又は渦巻き形態の(いわゆる)主溝に対応する最遠距離FDとを有することができ、FD>2CDである。このようにして、本LEDフィラメント構成は、従来の単一の螺旋状フィラメントのように見えることができる。したがって、螺旋状に見えるより良好な外観がある。別の実施形態では、FD=CDである。好ましくは、3mm<CD<12mmである。この最至近距離は、実際にLEDフィラメント間の相互干渉を防止することができる。また好ましくは、12mm<FD<50mmである。
【0020】
各スペーサの長さLspacerに対応し得る最至近距離CDは、第1及び第2のLEDフィラメントそれぞれの幅Wfilamentよりも大きいことができる。好ましくはLspacer>Wfilamentであり、より好ましくはLspacer>1.5Wfilamentであり、最も好ましくはLspacer>2Wfilamentである。さらに、各スペーサの長さLspacerは、好ましくは、第1及び/又は第2のLEDフィラメントの幅Wfilamentの10倍未満であり、より好ましくはLspacer<8Wfilamentであり、最も好ましくはLspacer<5Wfilamentである。
【0021】
複数のスペーサのうちのスペーサは、第1及び第2のLEDフィラメントに対して90度の角度で配置されることができる。代替的に、スペーサは、第1及び第2のLEDフィラメントに対して90度とは異なる角度で配置されることができる。例えば、LEDフィラメント構成がランプにおいて螺旋又は渦巻き形態で構成される場合、スペーサの長さ軸は、ランプの長手方向軸線に平行であることができる。螺旋又は渦巻き形態では、複数のスペーサはまた、スペーサが互いに対して位置合わせされ得るように、LEDフィラメント構成の一方の側にのみ配置されることができる。
【0022】
両方のLEDフィラメントは、例えば、同じ色温度を有する白色フィラメント光を放出するように適合されることができる。しかし、好ましくは、第2のLEDフィラメントは、第1のLEDフィラメント光とは異なる色及び/又は色温度の第2のLEDフィラメント光を放出するように適合される。このことは、同じ構成、例えば同じ支持体でありながら、異なるLEDフィラメントによって異なる色及び/又は色温度を作り出す可能性を与える。
【0023】
例えば、第1のLEDフィラメントは、第1の色温度を有する白色LEDを含むことができ、第2のLEDフィラメントは、RGB(赤緑青)LED又は第1の色温度とは異なる第2の色温度を有する白色LEDを含む。第1の色温度CT1は、2500K未満、例えば2200Kであることができる。第2の色温度CT2は、2700K超、例えば3500Kであることができる。第2の色温度と第1の色温度との間の差は、500Kよりも大きいことができる(CT2-CT1>500K)。RGB LEDは、着色された(赤色、緑色及び/又は青色)第2のLEDフィラメント光を放出することができる。RGB LEDからの光はまた、白色の第2のLEDフィラメント光を放出するように組み合わせられることができる。
【0024】
白色LEDは、青色及び/又はUV LED光を変換LED光に少なくとも部分的に変換するように適合されたルミネッセント材料を含む第1の封入材によって封入された青色及び/又はUV LED光源/チップであることができる。RGB LEDは、光散乱材料を含み得る第2の封入材によって封入されて、光を散乱/混合し、良好な空間光分布をもたらすことができる。
【0025】
LEDフィラメント構成は、第3のLEDフィラメント光を放出するように適合された第3のLEDフィラメントをさらに備えることができ、第3のLEDフィラメントは、第1及び第2のLEDフィラメントに平行であり、第2のLEDフィラメントと第3のLEDフィラメントは、ギャップによって分離され、第2のLEDフィラメントと第3のLEDフィラメントとの間に配置された別の複数のスペーサによって互いに機械的に接続される。
【0026】
3つのLEDフィラメントを有する例示的なLEDフィラメント構成では、第1のLEDフィラメントは、第1の色温度を有する白色LEDを含むことができ、第2のLEDフィラメントは、RGB LEDを含み、第3のLEDフィラメントは、第1の色温度とは異なる第2の色温度を有する白色LEDを含む。このようにして、着色光と、異なる色温度を有する白色光との両方を(相互干渉なしに)放出できるLEDフィラメント構成が実現される。好ましい実施形態では、3つのLEDフィラメントは、使用され、色については暖白色WW+冷白色CW+RGBを提供する。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、LEDフィラメントランプであって、第1の態様による少なくとも1つのLEDフィラメント構成と、少なくとも1つのLEDフィラメント構成を少なくとも部分的に取り囲む光透過性(半透明、好ましくは透明)外囲器と、LEDフィラメントランプをソケットに電気的かつ機械的に接続するためのコネクタとを備えるLEDフィラメントランプが提供される。LEDフィラメントランプは、例えばレトロフィット電球であることができる。
【0028】
本発明は、請求項に列挙されている特徴の、全ての可能な組み合わせに関するものである点に留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、本発明のこの態様及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、より詳細に説明される。
【
図1】本発明の実施形態による2本巻きLEDフィラメント構成を示す。
【
図2】
図1のLEDフィラメント構成の例示的な製造工程を示す。
【
図3】本発明の実施形態による螺旋/渦巻きLEDフィラメント構成を示す。
【
図4】本発明の別の実施形態による「3本巻き」(trifilar)LEDフィラメント構成を示す。
【
図5】本発明の実施形態による螺旋/渦巻き2本巻きLEDフィラメント構成を有するレトロフィット電球の側面図である。
【0030】
これらの図で示されるように、層及び領域のサイズは、例示目的で誇張されている場合があり、それゆえ、本発明の実施形態の一般的な構造を例示するように提供されている。同様の参照符号は、全体を通して、同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、本発明の現時点で好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明が、以降でより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、完全性及び網羅性のために提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝達するものである。
【0032】
図1は、本発明の実施形態による2本巻きLEDフィラメント構成10を示す。LEDフィラメント構成10は、
図1では直線形態で構成される。LEDフィラメント構成10は一般に、LEDフィラメント構成光12を提供するように適合される。
【0033】
LEDフィラメント構成10は、第1のLEDフィラメント14a及び第2のLEDフィラメント14bを備える。第1のLEDフィラメント14aは、16aによって概略的に示される第1のLEDフィラメント光を放出するように適合される。第2のLEDフィラメント14bは、16bによって概略的に示される第2のLEDフィラメント光を放出するように適合される。第1のLEDフィラメント光16a及び第2のLEDフィラメント光16bは、LEDフィラメント構成光12を形成することができる。
【0034】
好ましくは、第2のLEDフィラメント14bは、第1のLEDフィラメント光16aとは異なる色及び/又は色温度の第2のLEDフィラメント光16bを放出するように適合される。例えば、第1のLEDフィラメント14aは、第1の色温度を有する白色LEDを含むことができる一方、第2のLEDフィラメント14bは、着色された第2のLEDフィラメント光16b又は第1の色温度とは異なる第2の色温度を有する白色の第2のLEDフィラメント光16bを放出するRGB(赤緑青)LED18を含む。第1の色温度は、2500K未満、例えば2200Kであることができる。第2の色温度は、2700K超、例えば3500Kであることができる。白色LEDは、青色及び/又はUV LED光を変換LED光に少なくとも部分的に変換するように適合されたルミネッセント材料を含む第1の封入材22によって封入された青色及び/又はUV LED光源/チップ20であることができる。RGB LED18は、光散乱材料を含み得る第2の封入材24によって封入されることができる。第2の封入材24は、例えば、BaSO4、Al2O3、及び/又はTiO2などの光散乱材料を含むことができる。第1のLEDフィラメント14aは、青色及び/又はUV LED光源/チップ20が典型的に線形配列で配置される第1の細長い支持体26aをさらに備えることができる。同様に、第2のLEDフィラメント14aは、RGB LED18が典型的に線形配列で配置される第2の細長い支持体26bをさらに備えることができる。
【0035】
そして、第1のLEDフィラメント14aと第2のLEDフィラメント14bは、
図1の例に示されるように平行である。さらに、第1のLEDフィラメント14aと第2のLEDフィラメント14bは、ギャップ28によって分離され、第1のLEDフィラメント14aと第2のLEDフィラメント14bとの間に配置された複数のスペーサ30a~cによって互いに機械的に接続される。スペーサ30a~cは、機械的安定性(安全目的のため)及び可撓性をもたらし、このことは特に、LEDフィラメント構成を螺旋形態(
図3参照)で構成するのに役立つ。さらに、スペーサ30a~cは、LEDフィラメントアセンブリ10の長さLにわたって距離(ギャップ28)を保つことを確実にし、この距離/ギャップ28は、相互干渉、すなわち、第2のフィラメント14bが第1のフィラメント14aのルミネッセント材料/蛍光体を照射して励起することを防止するために望ましい。さらに、ギャップ28により、本LEDフィラメント構成10は、スリムな外観を有することができる。
【0036】
図1では、複数のスペーサ30a~cは、3つのスペーサ30a~cからなるが、スペーサの数は、5つ又は7つのように異なってもよい。また
図1では、複数のスペーサ30a~cは、長さLに沿って一様に分布し、1つのスペーサ30bが長さLに沿った中間にあり、1つのスペーサ30aが、スペーサ30bとLEDフィラメント構成10の一方の端部32aとの間の中間にあり、1つのスペーサ30cが、スペーサ30bとLEDフィラメント構成10の他方の端部32bとの間の中間にある。したがって、スペーサ30aは、端部32aから約0.25Lであり、スペーサ30cは、端部32bから約0.25Lである。さらに、端部32a~bでは、第1のLEDフィラメント14aと第2のLEDフィラメント14bは、例えば、導電性ワイヤ又は他の導電性要素34a~bによって、互いに機械的かつ/又は電気的に接続されることができる。代替的又は補完的に、スペーサ30a~cは、電気的接続のためにも使用されることができる。例えば、スペーサ30aのような第1のスペーサが、第1の電気的接続をもたらすことができ、スペーサ30cのような第2のスペーサが、第2の電気的接続をもたらすことができる。
【0037】
複数のスペーサ30a~cは、前述のギャップ28を複数の開口部、ここでは4つの開口部36a~dに分割する。一般に、N個のスペーサに対して、隣り合うスペーサの間のN-1個の開口部、並びに、LEDフィラメント構成10の各端部に1つずつで2つの追加の開口部が存在することができる。開口部36a~dはそれぞれ、LEDフィラメント構成10の長さ方向の長さLopeningを有する。さらに、スペーサ30a~cはそれぞれ、LEDフィラメント10の長さ方向の幅Wspacerを有する。スペーサ30a~cの幅Wspacerは小さくなければならず、開口部34a~dの長さLopeningは大きい。好ましくはLopening>5Wspacerであり、より好ましくはLopening>8Wspacerであり、最も好ましくはLopening>10Wspacerである。さらに、各スペーサ30a~cの幅Wspacerは、好ましくは、第1及び/又は第2のLEDフィラメント14a~bの幅Wfilamentの3倍以下であり、より好ましくはWspacer≦2Wfilamentであり、最も好ましくはWspacer≦1Wfilamentである。
【0038】
さらに、各スペーサ30a~cの長さL
spacer(
図1における長さL
spacerがLEDフィラメント構成10の長さLと垂直である)は、好ましくは、第1及び/又は第2のLEDフィラメント14a~bの幅W
filamentの10倍未満であり、より好ましくはL
spacer<8W
filamentであり、最も好ましくはL
spacer<5W
filamentである。さらに、各スペーサ30a~cの幅W
spacerは、好ましくは、第1及び/又は第2のLEDフィラメント14a~bの幅W
filamentの3倍以下であり、より好ましくはW
spacer≦2W
filamentであり、最も好ましくはW
spacer≦1W
filamentである。
【0039】
例示的なLEDフィラメント構成10では、Lspacer=8mm、Wspacer=3mm、及びLopening=30mmである。
【0040】
図2に示されるように、複数の開口部36a~dは、少なくとも1つのツール40を使用して単一の支持体38の穿孔又は打抜きによって好都合に作製されることができる。したがって、第1の支持体26a、第2の支持体26b、及び複数のスペーサ30a~cは、単一の支持体38から(によって)作製されることができる。言い換えれば、スペーサ30a~cは、第1及び第2の支持体26a~bと一体であることができる。単一の支持体38は、モノリシック支持体であることができる。単一の支持体38は、例えば、PCB(プリント回路基板)であることができる。
【0041】
図3を参照すると、
図3は、
図1のものと同様であるが、螺旋又は渦巻き形態で構成された2本巻きLEDフィラメント構成10を示す。ここで、LEDフィラメント構成10の第1及び第2のLEDフィラメント14a~bの第1及び第2の支持体は、螺旋又は渦巻き形態に巻かれることができ、自己支持型である、金属コアPCBであることができる。
【0042】
螺旋又は渦巻き形態では、複数のスペーサは、螺旋又は渦巻き形態のターン毎に少なくとも1つのスペーサを含むことができる。
図3の螺旋又は渦巻き形態は、約3つのターン及び3つのスペーサ30a~cを有し、したがって、ターン毎に1つのスペーサを有する。
【0043】
全てのスペーサ30a~cはまた、LEDフィラメント構成10の一方の側にのみ、
図3では観察者に面する側にのみ、配置されることができる。
【0044】
さらに、
図1のスペーサとは異なり、スペーサ30a~cは、ここでは、第1及び第2のLEDフィラメント14a~bに対して90度とは異なる角度で配置されることができる。
図3では、スペーサ30a~cは長手方向軸線42に平行である。全体として、スペーサ30a~cは、点線44によって示されるように、互いに対してきちんと整列されることができる。
【0045】
さらに、第1及び第2のLEDフィラメント14a~bは、最至近距離CD及び最遠距離FDを有することができる。最至近距離CDは、LEDフィラメント構成10の長さLと垂直に測定される。最至近距離CDはまた
図1に示される。最遠距離FDは、螺旋又は渦巻き形態のいわゆる主溝に対応し、
図3に示される。別様に表現すると、FDは、隣り合うターン/ループの間にある。FD>2CD、3mm<CD<12mm、12mm<FD<50mm、及びCD>W
filamentのうちの1つ以上が満たされることができる。
【0046】
図4では、LEDフィラメント構成10は、第3のLEDフィラメント14cをさらに備えるが、他の点では、
図1のLEDフィラメント構成10と同様であることができる。第3のLEDフィラメント14cは、第1及び第2のLEDフィラメント14a~bに平行である。さらに、第2及び第3のLEDフィラメント14b~cは、別のギャップ28'によって分離され、第2及び第3のLEDフィラメント14b~cの間に配置された別の複数のスペーサ30a'、30b'、30c'によって互いに機械的に接続される。第2のLEDフィラメント14bと第3のLEDフィラメント14cとの間の最至近距離CD'は、前述の最至近距離CDと同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、他の複数のスペーサ30a'、30b'、30c'は、スペーサ30a~cと同じように構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい(#数、サイズ/寸法、及び/又は位置)。
【0047】
第3のLEDフィラメント14cは、16cによって概略的に示される第3のLEDフィラメント光を放出するように適合される。第1のLEDフィラメント光16a、第2のLEDフィラメント光16b、及び第3のLEDフィラメント光16cは、LEDフィラメント構成光12を形成することができる。第3のLEDフィラメント光16cは、色及び/又は色温度に関して第1及び第2のLEDフィラメント光16a~bと異なることができる。例えば、第1のLEDフィラメント14aは、第1の色温度を有する白色LEDを含むことができ、第2のLEDフィラメント14bは、着色された第2のLEDフィラメント光16bを放出するRGB LEDを含むことができる一方、第3のLEDフィラメント16cは、第1の色温度とは異なる第2の色温度を有する白色LEDを含むことができる。第1の色温度は、2500K未満、例えば2200Kであることができる。第2の色温度は、2700K超、例えば3500Kであることができる。
【0048】
図5は、LEDフィラメントランプ100、すなわちレトロフィット電球を示す。ランプ100は、螺旋又は渦巻き形態の2本巻きLEDフィラメント構成10を備える。LEDフィラメント10は、ここでは、螺旋又は渦巻き形態を固定するために、ランプ100の透明ホルダ102に巻き付けられ、他の点では、
図3のものと同様であることができる。透明ホルダ102は、直円柱の形状を有することができる。
【0049】
ランプ100は、LEDフィラメント構成10を取り囲む透明外囲器104をさらに備える。外囲器104は、ガラス製であることが好ましい。外囲器104は、様々な形状を有することができる。ランプ100は、ランプ100を外部ソケット(図示せず)に電気的かつ機械的に接続するためのねじ付きコネクタ/キャップ106をさらに備える。コネクタ/キャップ106は、例えばE26又はE27など、それ自体が知られている様々なタイプのものであることができる。
【0050】
ランプ100は、LEDフィラメント構成10のLEDフィラメントを個別に制御するためのコントローラ(図示せず)をさらに備えることができる。
【0051】
当業者は、本発明が、上述の好ましい実施形態に決して限定されるものではない点を、理解するものである。むしろ、多くの修正形態及び変形形態が、添付の請求項の範囲内で可能である。
【0052】
更に、図面、本開示、及び添付の請求項を検討することにより、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者によって理解され、特許請求される発明を実施する際に遂行され得る。請求項では、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利には使用され得ないことを示すものではない。