(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】調整可能な自動CPR位置決め装置
(51)【国際特許分類】
A61H 31/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61H31/00
(21)【出願番号】P 2023569837
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2022028713
(87)【国際公開番号】W WO2022240949
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-12-27
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523425049
【氏名又は名称】ファビアン,アリエル
(73)【特許権者】
【識別番号】523425050
【氏名又は名称】シュワルツ,エフライム
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,エフライム
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-523883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0234255(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0198118(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0097261(US,A1)
【文献】米国特許第05257619(US,A)
【文献】米国特許第10292901(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺蘇生(CPR)位置決め装置であって、
複数の要素を含む支持構造体であって、前記複数の要素は、それぞれ入れ子式の可変長を有し、及びチェーンの形態においてそのそれぞれの端部で互いに接続され、
各セットの2つの隣接する要素の前記それぞれの端部は、ヒンジによって互いに接続され、
前記支持構造体は、前記複数の要素が折り畳まれ、及び互いに対して配置される、コンパクトな形態から、前記要素が患者の胴部の周りに端から端まで完全に配置される、動作可能な形態に展開されるように構成され、
前記支持構造体の2つの最も離れた要素の各々の未接続端部は、接続可能ヒンジによって互いに選択的に接続され得、それにより、前記接続可能ヒンジは、前記2つの最も離れた要素の前記未接続端部が互いに選択的に接続されて、前記支持構造体を前記動作可能な形態にロックすることを可能にする、支持構造体と、
前記複数の要素のうちの第1のものに移動可能に取り付けられたCPR胸部圧迫器であって、前記支持構造体が前記動作可能な形態であるとき、前記胸部圧迫器が前記患者の胸部の上方に正確に位置決めされ得るように、前記複数の要素のうちの前記第1のものに沿って移動されるように構成されるCPR胸部圧迫器と
を含む心肺蘇生(CPR)位置決め装置。
【請求項2】
前記複数の要素は、
前記支持構造体が前記動作可能な形態であるとき、前記患者の胸部に対して配置されるように構成された胸部側要素と、
前記支持構造体が前記動作可能な形態であるとき、前記患者の背部に対して配置され、及び前記CPR胸部圧迫器に対抗する抵抗を提供するように構成された背部側要素と、
前記支持構造体が前記動作可能な形態であるとき、前記患者の側部に対して配置されるように構成された2つの側部要素と
を含む、請求項1に記載のCPR位置決め装置。
【請求項3】
前記複数の要素のうちの前記第1のものは、前記胸部側要素である、請求項2に記載のCPR位置決め装置。
【請求項4】
前記CPR胸部圧迫器は、前記胸部側要素の長さに沿った位置に前記CPR胸部圧迫器をロックするように構成された位置ロック機構をさらに含む、請求項3に記載のCPR位置決め装置。
【請求項5】
前記複数の要素の各々は、前記複数の要素の前記それぞれの1つが可変長を有することを可能にするために、互いに対して移動可能である2つのサブ部品を含む、請求項1に記載のCPR位置決め装置。
【請求項6】
前記2つのサブ部品は、互いに対して入れ子式にはまり込むように構成される、請求項5に記載のCPR位置決め装置。
【請求項7】
前記複数の要素の各々は、前記複数の要素の前記それぞれ1つの前記可変長を固定長に設定するために、前記それぞれの
2つのサブ部品を互いに対してロックするように構成された長さロック機構をさらに含む、請求項5に記載のCPR位置決め装置。
【請求項8】
各組の2つの隣接する要素の前記それぞれの端部を接続する各ヒンジは、前記2つのそれぞれの隣接する要素間の角度が実質的に0°~実質的に360°で変化されることを可能にする、請求項1に記載のCPR位置決め装置。
【請求項9】
2つの隣接する要素の各組の前記それぞれの要素間の前記角度は、前記支持構造体が前記コンパクトな形態に折り畳まれるとき、実質的に0°又は実質的に360°である、請求項8に記載のCPR位置決め装置。
【請求項10】
各組の2つの隣接する要素の前記端部を接続する各ヒンジは、前記2つの隣接する要素のそれぞれの組の前記要素間のそれぞれの角度をロックするように構成された角度ロック機構を有する、請求項1に記載のCPR位置決め装置。
【請求項11】
各組の2つの隣接する要素の前記端部を接続する各ヒンジの前記角度ロック機構は、前記支持構造体が前記動作可能な形態であるとき、前記2つの隣接する要素のそれぞれの組の前記要素間の前記それぞれの角度を約90°にロックするように構成される、請求項10に記載のCPR位置決め装置。
【請求項12】
前記2つの最も離れた要素間の前記接続可能ヒンジは、選択的に係合解除可能であり、それにより、前記動作可能な形態において接続されると、前記2つの最も離れた要素は、前記支持構造体が前記動作可能な形態からロック解除され、及び前記コンパクトな形態に折り畳まれることを可能にするために互いに分離され得る、請求項1に記載のCPR位置決め装置。
【請求項13】
2つの最も離れた要素を接続する前記接続可能ヒンジは、前記2つの最も離れた要素間の角度をロックするように構成された角度ロック機構を有する、請求項1に記載のCPR位置決め装置。
【請求項14】
2つの最も離れた要素を接続する前記接続可能ヒンジの前記角度ロック機構は、前記支持構造体が前記動作可能な形態であるとき、前記2つの最も離れた要素間の前記角度を約90°にロックするように構成される、請求項13に記載のCPR位置決め装置。
【請求項15】
前記2つの最も離れた要素間の前記接続可能ヒンジは、前記支持構造体が前記コンパクトな形態に折り畳まれると、前記支持構造体が前記動作可能な形態に再配置されることを可能にするために、係合解除されると再接続可能である、請求項12に記載のCPR位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照により本明細書に援用される、2021年5月12日に出願された米国特許出願公開第17/318,862号からの優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は、心肺蘇生(CPR)の分野に関し、より詳細には、調整可能な携帯型の非侵襲的CPR位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[0003] 突然の心停止は、米国において大部分の人種及び民族の集団にわたって男女の主な死因である。アメリカ心臓協会によると、突然倒れて反応がない成人は、突然の心停止が起こっている可能性が高く、他の誰かが直ちに行動を起こさない限り、その人の生存の可能性は、ほぼゼロである。CPRは、心停止に陥った患者の生存率を高めることが証明されている成熟した技法である。
【0004】
[0004] バイスタンダーは、心停止している人を目撃した場合、9-1-1に電話し、心停止している人の胸部の中心を最小限の中断で強く速く押し始めるべきである。2015年のアメリカ心臓協会CPRガイドラインでは、罹病者の胸部の中心における2~2.4インチの深さでの100~120回/分の圧迫速度を推奨しており、それにより胸部の完全なリコイルが可能になり、停止が最小限になる。アメリカ心臓協会のインストラクターネットワークのCPR事実及び統計(2014年のデータ)によれば、病院外で心停止を経験し、バイスタンダーCPRによって治療を受けた人々のほぼ45%が生き延びた。
【0005】
[0005] バイスタンダーが行うCPRが失敗するか又は効果を発揮しない多くの理由がある。バイスタンダーによってCPRが開始されると、十分な深さの圧迫が行われないこと、圧迫の速度が遅すぎるか又は速すぎること、長期間にわたってCPR適用が一貫していないこと及び患者の搬送中に質の高いCPRを適用できないこと等、不適切なCPR技法のためにCPRが有効でない場合がある。心停止罹病者にCPRを手技で行うことは、正しい位置で十分な深さ及び速度の胸部圧迫を維持するためにかなりの肉体的労力を必要とし、肉体的に疲労させる可能性がある。時間の経過により疲労が始まる可能性があり、圧迫が規則的でなくなるとともに有効でなくなる可能性があり、CPRの失敗により、不幸にも心停止罹病者が死亡するか、又は神経学的損傷が起こり得る。この問題を克服するために、CPRのための自動及び手動の機械式の体外式胸部圧迫デバイスが多く開発されている。
【0006】
[0006] しかしながら、CPRが開始される前でも、例えば患者のサイズ若しくは体重、患者の場所(例えば、車内に閉じ込められている)若しくは周囲の状況、移動によって患者にもたらされる潜在的な損傷又はバイスタンダーの体調に起因して、バイスタンダーが患者を硬い面に適切に仰向けに位置決めすることができない可能性があるため、CPRが遅れるか又はさらに妨げられる場合がある。加えて、機械的なCPR装置が使用可能であっても、CPRは、迅速に行うことができなければならない。AHA勧告及び他の研究によれば、CPRの適用について推奨される時間は、心停止から最大で4分である。
【0007】
[0007] CPRの要件によって述べられているように、最も重要な要素は、患者が質の高いCPRを受け始めるまでの速さである。これは、「一刻を争う」ときであり、明らかに、回復と、最悪で命を失う大きい損傷とを決定する要因である。したがって、患者への質の高いCPRの実施を可能な限り迅速に開始する能力にいかなる遅れがあっても、避けられたはずの悲惨な結果につながる可能性がある。
【0008】
[0008] 携帯型CPRデバイスの使用の課題のいくつかは、組立てが困難な複数の部品を含むか、又は専門的な訓練が必要な装置であることであり、そうした部品の組立ては、CPRを開始する前の貴重な時間を無駄にする。
【0009】
[0009] 機械的な胸部圧迫を繰り返し行うために、患者の胸部に対して体外式圧迫デバイスを位置決めするための装置がいくつか開発されている。記載されている装置の各々は、予め存在するか、又は圧迫デバイスに接続され得、胸部圧迫を容易にするために患者の背部の直下に配置され得る支持フレームを指す。
【0010】
[0010] 例えば、米国特許第7,775,996号は、患者の胸部を繰り返し圧迫し、その後、胸郭を拡張させる胸部圧迫デバイスを有する蘇生システムを開示している。この胸部圧迫デバイスは、実質的に矩形のフレーム上の横板に取り付けられ、フレームは、横板と背板との間にヒンジ式に接続される、入れ子式の上側部品及び下側部品を含む2つの側方脚部を有する。
【0011】
[0011] 米国特許第8,002,720号は、米国特許第7,775,996号に示されるものと同様の第1の実施形態と、2つの側方脚部が横板と背板との間にヒンジ式に接続されることに加えて、上側部品と下側部品との間にヒンジ式に取り付けられる第2の実施形態とを有する胸部圧迫システム支持体を開示している。
【0012】
[0012] 米国特許第9,603,772号は、背板と、背板に取外し可能に取り付けられた2つの塔状部と、2つの塔状部の各々に解放可能に接続された梁状部とを含む機械式CPR装置を開示しており、それらの構成要素は、患者に胸部圧迫を行うために、背板に向かって及び背板から離れるように梁状部を移動させるように協働して動作するように一緒に構成される。
【0013】
[0013] 米国特許第10,022,295号は、胸部圧迫器を保持する支持構造体を有する胸部圧迫装置を開示しており、側方胸部支持体は、デバイスが使用されるとき、胸部の両側の側方にある箇所で支持構造体に取り付けられ、それにより胸部圧迫器による圧迫と同期して胸部の両側部に側方圧力が加えられる。
【0014】
[0014] しかしながら、これらの装置のいずれも、軽量でコンパクトに折り畳まれるユニット、すなわち折り畳まれた状態で患者の心停止の現場まで容易に搬送し、その後、現場において単一モードの展開動作で直感的に展開し、数分で無能力状態の患者の胴体に巻き付けるように迅速に装着し、横向きであるか、仰向けであるか又はさらに座っていても、患者の身体の姿勢に関係なく胸部圧迫のための背部の支持を提供することができるユニットではない。
【0015】
[0015] 加えて、これらの位置決め装置のいずれも、患者の身体の周りに位置決めされると、大柄であっても又は小柄であっても患者の身体の周りに密着してフィットするように調整することができず、胸部圧迫デバイスを、最大の効果が得られ、対照的な圧力を(すなわち身体の、胸部圧迫デバイスによって圧力が加えられる側とは反対側に)提供する、患者の胸部に対する最適な位置に位置決めするために全方向に調整することができない。
【0016】
[0016] したがって、これらの先行技術の装置のいずれも、支持フレームを組込み式にし、訓練を受けていない操作者が指示又は説明の必要なしに直感的に指導なしで組み立てることにより、自動CPR胸部圧迫の即時開始を容易にするためにいかなる姿勢でも患者に対して又は患者の周囲に配置することを可能にしない。
【0017】
[0017] 当技術分野では、胸部圧迫デバイスをコンパクトな折り畳まれた状態で患者の場所まで迅速及び容易に搬送することができ、いかなる指示又は説明の必要もなしに及び患者の身体の姿勢を変える必要もなしに、直感的で指導なしの組立て方法において迅速及び容易に広げて、無能力状態の患者の身体の周りに配置することができ、大柄であっても又は小柄であっても患者の身体の周りにフィットするように調整することができ、胸部圧迫デバイスを、最大限の効果が得られ、対照的な圧力を提供することができる、患者の胸部に対する最適な位置に位置決めするように調整することができ、ハンズフリーで動作し続けて、操作者が助けを求めるか、又は助けを必要とする他の人々に支援を提供することができるようにする位置決め装置を開発することが喫緊に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明の概要
[0018] 概して、本発明の目的は、収納及び位置決めが容易であるようにコンパクトに折畳み可能であり、軽量で自立型であり、コンパクトに折り畳まれた状態で好都合に運搬することができるCPR位置決め装置を提供することである。
【0019】
[0019] 本発明の別の目的は、患者の身体の姿勢を変える必要なく、迅速及び容易に広げて、無能力状態の患者の身体の周囲に配置することができるCPR位置決め装置を提供することである。
【0020】
[0020] 本発明のさらなる目的は、大柄であっても又は小柄であっても患者の身体の周りにフィットするように調整することができるCPR位置決め装置を提供することである。
【0021】
[0021] 本発明のさらに別の目的は、胸部圧迫デバイスを、一定の独立した対照的な圧力を用いて最大限の効果が得られる、患者の胸部に対する最適な位置に位置決めするために全方向に調整することができるCPR位置決め装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[0022] 本発明のこれら及び他の目的は、いくつかの実施形態において、コンパクトに折畳み可能であり、訓練を受けていない人であっても、最小限の遅延及び注意散漫でCPR適用を開始することができるように、迅速に展開して患者の身体に通すか又は巻き付けることができる一体型CPR位置決め装置によって達成される。いくつかの実施形態では、本装置は、患者の身体の姿勢を変える必要なく、応急処置及び緊急救助としてCPRを必要な人にいずれの場所でも提供するように設計され、適所にセットされると、ハンズフリーで動作し続けて、操作者が助けを求めるか、若しくは助けを必要とする他の人々に支援を提供するか、又は危険から脱することができるようにする。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態によれば、本発明は、調整可能フレームに取り付けられる、AHAガイドラインに従って圧迫の圧力及び緩和を供給する、パワーストロークデリバリユニット(PSDU)としても知られる自動胸部圧迫デバイスを有するCPR位置決め装置であって、調整可能フレームは、フレームが患者の身体の周りの適所に調整及びセットされると、圧迫供給の微調整の継続を可能にする、CPR位置決め装置によって実施され得る。電気機械的に操作される非侵襲的な自動胸部圧迫デバイスは、患者の胸部に対して位置決めされると、AHA推奨の速度及び深さで胸部圧迫の圧力を交互に伝達して、圧力の押圧力及び解放を供給する板を使用することにより、患者にCPR胸部圧迫を提供する。いくつかの実施形態によれば、位置決め装置は、患者の胴体の位置又は場所に関係なく、必要な対照的な圧力を(圧迫の反対側に)提供する。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態によれば、本発明は、CPRを施すのに必要な自立型の包括的な装置として設計及び構築される。それは、自動胸部圧迫デバイスがすでにフレームに取り付けられるため、直ちに使用されるように用意ができており、蘇生を準備する人が組み立てる必要がなく、それにより時間が節約され、混乱、間違いが阻止されるか、又は訓練の必要性がなくなる。
【0025】
[0025] 本装置は、予め定義された直感的な順序でフレームを展開することにより調整することができる、コンパクトに折り畳まれた剛性フレームに取り付けられた自動胸部圧迫デバイスを有する。必要な動作は、フレームを患者の周りでロックし、直線的に入れ子式にはまり込む側部を調整し、自動胸部圧迫デバイスの圧力板を、患者の腕を含めて又は除いて患者の胸部の中心に近接して位置決めすることのみである。患者の服を脱がせるか、胸部圧迫のために抵抗を生成する必要はない。フレームが調整されると、自動胸部圧迫デバイスの位置は、患者の心臓及び肺へのCPR供給を最適化するためにさらに調整可能である。
【0026】
[0026] 簡単に構成され、構築され、ロックされ、数秒で無能力状態の患者の胴体の周りで調整され、最適な位置でCPRを供給する、硬質で調整可能な一体型の軽量の折畳み式矩形フレームを使用することにより、設置の速さ及び使いやすさが実現される。
【0027】
[0027] 特定の実施形態では、心肺蘇生(CPR)位置決め装置は、複数の要素を含む支持構造体であって、複数の要素は、それぞれ可変長を有し、そのそれぞれの端部で互いにヒンジ式に接続され、支持構造体は、複数の要素が互いに対して配置される、コンパクトに折り畳まれた形態から、要素が患者の胸部の周りに端から端まで配置される、動作可能な形態に展開されるように構成される、支持構造体と、複数の要素のうちの第1のものに移動可能に取り付けられたCPR胸部圧迫器であって、支持構造体が動作可能な形態であるとき、胸部圧迫器が患者の胸部の上方に正確に位置決めされ得るように、複数の要素のうちの第1のものに沿って移動されるように構成されるCPR胸部圧迫器とを含む。
【0028】
[0028] 特定の実施形態では、複数の要素は、4つの要素、支持構造体が動作可能な形態であるとき、患者の胸部に対して配置されるように構成された胸部側要素と、支持構造体が動作可能な形態であるとき、患者の背部に対して配置される背部側要素と、支持構造体が動作可能な形態であるとき、患者の側部に対して配置され、及びCPR胸部圧迫器に対抗する抵抗を提供するように構成された2つの側部要素とを含む。
【0029】
[0029] いくつかの実施形態では、複数の要素のうちの第1のものは、胸部側要素である。いくつかの実施形態では、CPR胸部圧迫器は、胸部側要素の長さに沿った位置にCPR胸部圧迫器をロックするように構成された位置ロック機構をさらに含む。
【0030】
[0030] 特定の実施形態では、複数の要素の各々は、複数の要素のそれぞれの1つが可変長を有することを可能にするために、互いに対して移動可能である2つのサブ部品を含む。いくつかの実施形態では、2つのサブ部品は、互いに対して入れ子式にはまり込むように構成される。いくつかの実施形態では、複数の要素の各々は、複数の要素のそれぞれの1つの可変長を固定長に設定するために、それぞれの2つ以上のサブ部品を互いに対してロックするように構成された長さロック機構をさらに含む。
【0031】
[0031] 特定の実施形態では、第1の組の2つの隣接する要素の各々の端部は、ヒンジによって互いに接続され、そのヒンジは、第1の組の2つの隣接する要素間の角度が実質的に0°~実質的に360°で変化されることを可能にする。いくつかの実施形態では、ヒンジは、支持構造体がコンパクトに折り畳まれた形態であるとき、実質的に0°又は実質的に360°の角度を有する。
【0032】
[0032] いくつかの実施形態では、ヒンジは、支持構造体が動作可能な形態であるとき、第1の組の2つの隣接する要素間の角度をロックするように構成された角度ロック機構を有する。いくつかの実施形態では、角度ロック機構は、第1の組の2つの隣接する要素間の角度を約90°にロックするように構成される。
【0033】
[0033] 特定の実施形態では、第2の組の2つの隣接する要素の各々の端部間の接続部は、分離可能であり、それにより、2つの隣接する要素の第2の組における2つの要素は、支持構造体が患者の身体の周りに通されることを可能にするために互いに分離され得る。いくつかの実施形態では、2つの隣接する要素の第2の組の2つの要素間の接続部は、ヒンジであって、その角度が可変である、ヒンジである。いくつかの実施形態では、2つの隣接する要素の第2の組の2つの要素間の接続部は、所定の角度で固定され、それにより、2つの隣接する要素の第2の組の2つの要素間の角度は、変化しない。いくつかの実施形態では、2つの隣接する要素の第2の組の2つの要素間の接続部は、支持構造体が患者の身体の周りに通されると、支持構造体が患者の胸部の周りに端から端まで配置されることを可能にするために、分離されると再接続可能である。
【0034】
[0034] 特定の実施形態では、心肺蘇生(CPR)デバイスを位置決めする方法は、複数の要素で形成されたチェーンであって、複数の要素は、それぞれ可変長を有し、及びそのそれぞれの端部で互いに接続される、チェーンを患者の身体の周りに通すことと、それぞれの複数の要素の各々の可変長を固定長に設定することと、複数の要素のチェーンが支持構造体として患者の胸部の周りに端から端まで配置されるように、複数の要素のうちの第1及び第2のものの各々の端部を互いに接続することと、それぞれの複数の要素のそれぞれの接続された各対間に固定角度を設定することと、患者の胸部の上方に正確に位置決めされるように、複数の要素の1つに沿ってCPR胸部圧迫器の位置を設定することとを含む。
【0035】
[0035] いくつかの実施形態では、支持構造体における複数の要素は、4つの要素:患者の胸部に対して配置される胸部側要素と、患者の背部に対して配置される背部側要素と、患者の側部に対して配置される2つの側部要素とを含む。いくつかの実施形態では、CPR胸部圧迫器の位置を設定するステップは、CPR胸部圧迫器の位置を設定するために、胸部側要素の長さに沿って胸部圧迫器の位置をロックすることをさらに含む。
【0036】
[0036] 特定の実施形態では、複数の要素の各々は、協働して複数の要素のそれぞれの1つの長さを変化させる2つ以上のサブ部品を有し、それぞれの複数の要素の各々の可変長を設定するステップは、複数の要素の各々の2つ以上のサブ部品を互いに対してロックすることをさらに含む。
【0037】
[0037] 特定の実施形態では、チェーン内の複数の要素は、ヒンジによってそのそれぞれの端部で互いに接続され、及びそれぞれの複数の要素のそれぞれの接続された各対間の角度を設定するステップは、それぞれの複数の要素のそれぞれの接続された各対間のヒンジ式接続部をロックすることをさらに含む。特定の実施形態では、それぞれの複数の要素のそれぞれの接続された各対間の角度を設定することは、ヒンジを約90°でロックすることを含む。
【0038】
[0038] 特定の実施形態では、本方法は、複数の要素で形成されたチェーンを、複数の要素が互いに対して配置される、コンパクトに折り畳まれた形態から展開することをさらに含む。
【0039】
図面の簡単な説明
[0039] 本発明によるシステム及び方法の原理及び動作は、図面及び以下の説明を参照してよりよく理解することができ、これらの図面は、例示の目的のみのために与えられ、限定するように意図されないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】[0040]閉じた形態である本発明の装置の概略図である。
【
図2】[0041]完全に折り畳まれた形態である本発明の装置の概略図である。
【
図3】[0042]患者の背部の下に配置する用意ができている、開いた展開形態である本発明の装置の概略図である。
【
図4】[0043]患者の身体の周りに配置される途中における、部分的に閉じられた、展開された形態である本発明の装置の概略図である。
【
図5A】[0044]患者の身体の周りに配置された、閉じた形態である本発明の装置の概略図である。
【
図5B】[0045]仰臥位の患者の身体の周りに配置された、閉じた形態である本発明の装置の図である。
【
図6】[0046]小柄な患者の身体の周りに配置された、閉じた形態である本発明の装置の概略図である。
【
図7】[0047]大柄な患者の身体の周りに配置された、閉じた形態である本発明の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
発明の詳細な説明
[0048] ここで、図面を参照すると、
図1は、本発明の1つの実施形態によるCPR位置決め装置1を示す概略図である。装置支持装置1は、パワーストロークデリバリユニット(PSDU)としても知られる自動胸部圧迫デバイス3を含み、この自動胸部圧迫デバイス3は、作動すると、自動化された反復する胸部圧迫の圧力を必要とする患者に供給する。自動胸部圧迫デバイス3は、調整可能フレーム5に取り付けられる。後により詳細に考察するように、調整可能フレーム5は、折り畳まれた状態でCPRを必要とする患者の場所まで運ぶことができ、調整可能フレーム5は、その後、CPRを施すために展開し、患者の周りに配置することができる。調整可能フレーム5は、患者の身体の周りで調整されるように構成されるとともに、調整可能フレーム5が調整されて患者の身体の周りの適所にセットされると、患者の胸部に対する自動胸部圧迫デバイス3の位置の微調整を可能にするように構成される。
【0042】
[0049] 調整可能フレーム5は、複数の接続されたサブ部品又は要素を含み、それらは、接続された要素の1つに胸部圧迫デバイスが取り付けられた状態で患者の身体の周りに配置することができる。特定の実施形態では、調整可能フレーム5は、患者の身体の周りに配置することができる最も少ない数、例えば3つの接続されたサブ部品又は要素を含む。他のいくつかの実施形態では、調整可能フレーム5は、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに密着してフィットすることを可能にするように配置することができる程度の数の接続されたサブ部品又は要素、例えば5つ、10又はさらにそれを超える接続されたサブ部品又は要素を含む。他のいくつかの実施形態では、調整可能フレーム5は、患者の身体の周りに矩形のフレームを形成するように配置することができる程度の数、例えば4つの接続されたサブ部品又は要素のみを含む。いくつかの実施形態では、複数の接続されたサブ部品又は要素は、胸部側要素7、背部又は底部要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13を含む。胸部圧迫デバイス3、すなわちPSDUは、本明細書で後述するように、胸部側要素7に取り付けることができる。患者の身体が大柄であるか又は小柄であるかに関わらず、患者の身体の周りにフレーム5を配置することができるように、第1の側部要素11及び第2の側部要素13は、後述するように、胸部側要素7及び背部側要素9の両方に連結することができ、胸部側要素7と背部側要素9との間に調整可能な距離を提供するように適合することができる。
【0043】
[0050] 特定の実施形態では、胸部側要素7は、背部側要素9によって支えられて、胸部圧迫デバイス3が必要な胸部圧迫を提供することができるように、患者の胸部側に対して配置されるように構成され、背部側要素9は、胸部圧迫のための対照的な圧力を提供するために、患者がいかなる姿勢であっても患者の背部に対して配置されるように構成される。例えば、患者が仰臥位、すなわち仰向けで横たわっている場合、背部側要素9は、患者の背部の上部領域が背部側要素9の上に載るように、患者の背部の下に配置されるように意図され、胸部側要素7は、自動胸部圧迫デバイス3が胸部に直接接する状態で患者の正面に対して配置される。患者が腹臥位、すなわちうつ伏せで横たわっている場合、胸部側要素7は、患者の胸部が胸部側要素7の上に載るように、患者の胸部の下に配置されるように意図される。この位置では、胸部圧迫デバイス3が患者の背部に対して必要な胸部圧迫を提供することができるように、胸部側要素7は、患者の胸部に当接する。患者が横向きで横たわっているか又は座位である場合、背部側要素9は、患者の背部に対して配置されるように意図される。この位置では、胸部圧迫デバイス3が背部側要素9によって支えられて、必要な胸部圧迫を提供することができるように、胸部側要素7は、患者の正面に当接する。
【0044】
[0051] 特定の実施形態では、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の1つ若しくは複数又は各々が、それぞれの要素が可変の調整可能な長さを有することができるように、合わせて調整可能である複数のサブ部品を有する。この配置により、胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の長さは、患者の胸部領域の周りにフィットするように容易に適合させることができる。
【0045】
[0052] 1つのこうした実施形態では、調整可能フレーム5の胸部側要素7は、胸部側要素7が可変長を有することができるように合わせて調整可能である2つ以上のサブ部品を有する。1つの実施形態では、
図1に示すように、胸部側要素7は、第1のサブ部品7a及び第2のサブ部品7bを含み、それらは、胸部側要素7の長さを矢印Aの長手方向に容易に変化させることができるように互いに並んで摺動するようにレールとして、又は一方が他方の内側に入れ子式にはまり込むように同軸に組み立てられて伸縮可能に配置される。例えば、胸部側要素7を長くするために、胸部側要素のサブ部品7a、7bを引き離して、それらの一方が他方の中から滑り出るようにすることができる。加えて、胸部側要素7を短くするために、サブ部品7a、7bを互いに押して、それらの一方が他方の中に滑り込むようにすることができる。別の実施形態(図示せず)では、胸部側要素7は、第1のサブ部品7a及び第2のサブ部品7bに加えて、胸部側要素7の長さを矢印Aの長手方向に調整することができるようにするために、一方を他方の内側に入れ子式にはまり込ませるように配置された追加のサブ部品を含み得る。
【0046】
[0053] 好ましい実施形態では、第1のサブ部品7a及び第2のサブ部品7b等、調整可能フレーム5の胸部側要素7の2つ以上のサブ部品が可変長を有することができるようにする調整機構は、胸部側要素7の2つ以上のサブ部品の各々を他のサブ部品に対する胸部側要素7の長さに沿ったそれぞれの位置にロックするように構成されたロック機構も有する。このロック機構は、
図1に示すような横方向ロックピン15又は締付デバイス若しくは切欠き位置等、当技術分野で既知であるような他の任意のこうしたロック機構であり得る。
【0047】
[0054] 胸部側要素7に自動胸部圧迫デバイス3が取り付けられる。自動胸部圧迫デバイス3は、例えば、ピストン、ピストンにエネルギーを伝達する伝達機構、モータ及び電源(図示せず)を含む、当技術分野で既知であるような胸部圧迫部材を含み得る。特定の実施形態では、自動胸部圧迫デバイス3は、自動胸部圧迫デバイス3が胸部側要素7の長さに沿っていずれの方向にも移動することができるように、胸部側要素7に調整可能に取り付けられ、それにより患者に胸部圧迫を供給するように自動胸部圧迫デバイス3をその患者の胸部に対して最適な位置に配置することができる。自動胸部圧迫デバイス3が胸部側要素7の長さに沿っていずれか方向に移動することができるようにする調整可能な機構は、レールに沿って摺動可能である等、当技術分野で既知のものであり得る。好ましい実施形態では、自動胸部圧迫デバイス3が胸部側要素7の長さに沿っていずれかの方向に移動することができるようにする調整可能な機構は、自動胸部圧迫デバイス3を胸部側要素7の長さに沿ったその位置にロックするように構成されたロック機構も有し、ロック機構は、横方向ロックピン、締付デバイス又は切欠き部等、当技術分野で既知のものであり得る。
【0048】
[0055] 別のこうした実施形態では、調整可能フレーム5の背部側要素9は、背部側要素9が可変長を有することができるように合わせて調整可能である2つ以上のサブ部品を有する。1つの実施形態では、
図1に示すように、背部側要素9は、矢印Bの長手方向に背部側要素9の長さを容易に変化させることができるように、一方を他方の内側に入れ子式にはまり込めるように配置された第1のサブ部品9a及び第2のサブ部品9bを含む。例えば、背部側要素9を長くするために、背部側要素のサブ部品9a、9bを引き離して、それらの一方が他方の中から滑り出るようにすることができる。加えて、背部側要素9を短くするために、サブ部品9a、9bを互いに押して、それらの一方が他方の中に滑り込むようにすることができる。別の実施形態(図示せず)では、背部側要素9は、第1のサブ部品9a及び第2のサブ部品9bに加えて、背部側要素9の長さを矢印Bの長手方向に調整することができるようにするために、一方を他方の内側に入れ子式にはまり込ませるように配置された追加のサブ部品を含み得る。
【0049】
[0056] 好ましい実施形態では、第1のサブ部品9a及び第2のサブ部品9b等、調整可能フレーム5の背部側要素9の2つ以上のサブ部品が可変長を有することができるようにする調整機構は、背部側要素9の2つ以上のサブ部品の各々を他のサブ部品に対する背部側要素9の長さに沿ったそれぞれの位置にロックするように構成されたロック機構も有する。このロック機構は、
図1に示すような横方向ロックピン15又は締付デバイス等、当技術分野で既知であるような他の任意のこうしたロック機構であり得る。
【0050】
[0057] 1つの実施形態では、背部側要素9は、少なくとも閉じた調整可能フレーム5の内側に面する面において、任意選択的な身体支持面9cを含む。身体支持面9cは、胸部圧迫デバイス3によって供給される圧力に対抗する対照的な圧力を提供すると同時に、患者に快適さを提供するために、発泡体又はパッド等、当技術分野で既知であるような任意の材料から形成することができる。身体支持面9cは、サブ部品9a、9b等、背部側要素9のサブ部品の1つ又は複数に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、身体支持面9cは、身体支持面9cを背部側要素9に対して又は背部側要素9の長さに沿ってその位置にロックするように構成されたロック機構を有し、ロック機構は、横方向ロックピン、締付デバイス又は切欠き部等、当技術分野で既知のものであり得る。
【0051】
[0058] さらなるこうした実施形態では、調整可能フレーム5の第1の側部要素11は、第1の側部要素11が可変長を有することができるように合わせて調整可能である2つ以上のサブ部品を有する。1つの実施形態では、
図1に示すように、第1の側部要素11は、矢印Cの長手方向に第1の側部要素11の長さを容易に変化させることができるように、一方を他方の内側に入れ子式にはまり込ませるように配置された第1のサブ部品11a及び第2のサブ部品11bを含む。例えば、第1の側部要素11を長くするために、第1の側部要素のサブ部品11a、11bを引き離して、それらの一方が他方の中から滑り出るようにすることができる。加えて、第1の側部要素11を短くするために、サブ部品11a、11bを互いに押して、それらの一方が他方の中に滑り込むようにすることができる。別の実施形態(図示せず)では、第1の側部要素11は、第1のサブ部品11a及び第2のサブ部品11bに加えて、第1の側部要素11の長さを矢印Cの長手方向に調整することができるようにするために、一方を他方の内側に入れ子式にはまり込ませるように配置された追加のサブ部品を含み得る。
【0052】
[0059] 好ましい実施形態では、第1のサブ部品11a及び第2のサブ部品11b等、調整可能フレーム5の第1の側部要素11の2つ以上のサブ部品が可変長を有することができるようにする調整機構は、第1の側部要素11の2つ以上のサブ部品の各々を他のサブ部品に対する第1の側部要素11の長さに沿ったそれぞれの位置にロックするように構成されたロック機構も有する。ロック機構は、
図1に示すような横方向ロックピン15又は締付デバイス等、当技術分野で既知であるような他の任意のこうしたロック機構であり得る。
【0053】
[0060] 第1の側部要素11は、少なくとも閉じた調整可能フレーム5の内側に面する面に身体支持面11cを含み得る。身体支持面11cは、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに配置されたときに患者に快適さを提供するために、発泡体又はパッド等、当技術分野で既知であるような任意の材料から形成することができる。身体支持面11cは、サブ部品11a、11b等の第1の側部要素のサブ部品の1つ又は複数に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、身体支持面11cは、身体支持面11cを第1の側部要素11に対して又は第1の側部要素11の長さに沿ってその位置にロックするように構成されたロック機構を有し、ロック機構は、横方向ロックピン、締付デバイス又は切欠き部等、当技術分野で既知のものであり得る。
【0054】
[0061] さらなるそうした実施形態では、調整可能フレーム5の第2の側部要素13は、第2の側部要素13が可変長を有することができるように合わせて調整可能である2つ以上のサブ部品を有する。1つの実施形態では、
図1に示すように、第2の側部要素13は、矢印Dの長手方向に第2の側部要素13の長さを容易に変化させることができるように、一方を他方の内側に入れ子式にはまり込ませるように配置された第1のサブ部品13a及び第2のサブ部品13bを含む。例えば、第2の側部要素13を長くするために、第2の側部要素のサブ部品13a、13bを引き離して、それらの一方が他方の中から滑り出るようにすることができる。加えて、第2の側部要素13を短くするために、サブ部品13a、13bを互いに押して、それらの一方が他方の中に滑り込むようにすることができる。別の実施形態(図示せず)では、第2の側部要素13は、第1のサブ部品13a及び第2のサブ部品13bに加えて、第2の側部要素13の長さを矢印Dの長手方向に調整することができるようにするために、一方を他方の内側に入れ子式にはまり込ませるように配置された追加のサブ部品を含み得る。
【0055】
[0062] 好ましい実施形態では、第1のサブ部品13a及び第2のサブ部品13b等、調整可能フレーム5の第2の側部要素13の2つ以上のサブ部品が可変長を有することができるようにする調整機構は、第2の側部要素13の2つ以上のサブ部品の各々を他のサブ部品に対する第2の側部要素13の長さに沿ったそれぞれの位置にロックするように構成されたロック機構も有する。ロック機構は、
図1に示すような横方向ロックピン15又は締付デバイス等、当技術分野で既知であるような他の任意のこうしたロック機構であり得る。
【0056】
[0063] 第2の側部要素13は、少なくとも閉じた調整可能フレーム5の内側に面する面に身体支持面13cを含み得る。身体支持面13cは、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに配置されたときに患者に快適さを提供するために、発泡体又はパッド等、当技術分野で既知であるような任意の材料から形成することができる。身体支持面13cは、サブ部品13a、13b等の第2の側部要素のサブ部品の1つ又は複数に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、身体支持面13cは、身体支持面13cを第2の側部要素13に対して又は第2の側部要素13の長さに沿ってその位置にロックするように構成されたロック機構を有し、ロック機構は、横方向ロックピン、締付デバイス又は切欠き部等、当技術分野で既知のものであり得る。
【0057】
[0064]
図1に示すように、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の1つ又は複数は、直線状又は実質的に直線状であり得る。特定の実施形態では、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13のすべてが直線状又は実質的に直線状である。これらの実施形態では、
図1に示すように、胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の各々のそれぞれのサブ部品により、それぞれの要素の直線状又は実質的に直線状の長手方向に沿って、それぞれの要素がその長さの変化を有し得る。
【0058】
[0065] しかしながら、他のいくつかの実施形態では、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の1つ又は複数は、直線状でなくてもよく、例えば曲線状又は弧状の構成を有し得る。特定の実施形態では、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13のすべてが直線状ではなく、例えば曲線状又は弧状の構成を有し得る。これらの実施形態では、
図1に示すように、胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13のそれぞれのサブ部品により、それぞれの要素の曲線状又は弧状の長手方向に沿って、それぞれの要素がその長さの変化を有し得る。
【0059】
[0066]
図1に示すように、調整可能フレーム5の第1の側部要素11及び第2の側部要素13のそれぞれの端部は、胸部側要素7及び背部側要素9のそれぞれの端部に接続される。特定の実施形態では、第1の側部要素11の端部と、胸部側要素7及び背部側要素9のそれぞれの端部との間の接続部は、回転可能であり、第2の側部要素13の端部と、胸部側要素7及び背部側要素9のそれぞれの端部との間の接続部は、回転可能である。
【0060】
[0067] 具体的には、
図1に示すように、第1の側部要素11のサブ部品11aの先端部は、胸部側要素7のサブ部品7aの先端部に回転可能に接続され、第1の側部要素11のサブ部品11bの先端部は、背部側要素9のサブ部品9aの先端部に回転可能に接続される。同様に、第2の側部要素13のサブ部品13aの先端部は、胸部側要素7のサブ部品7bの先端部に回転可能に接続され、第2の側部要素13のサブ部品13bの先端部は、背部側要素9のサブ部品9bの先端部に回転可能に接続される。
【0061】
[0068] 特定の実施形態では、調整可能フレーム5の回転可能な接続部は、ヒンジ17を使用する。本明細書で用いる場合の「ヒンジ」という用語は、2つの部品間の少なくとも回転接続を可能にする任意の要素を指す。ヒンジ17は、本明細書で後述するように、調整可能フレーム5が折り畳まれ/展開されるときに必要となるように、接続された要素間の回転接続に加えて、接続された要素の摺動可能な接続又は何らかの線形変位を可能にするように撓みヒンジでもあり得る。
【0062】
[0069] 特定の実施形態では、ヒンジ17の少なくとも1つは、調整可能フレーム5のそれぞれの部品/サブ部品が他の部品/サブ部品に対して設定されると、ヒンジ17をそのそれぞれの位置にロックするように構成されるロック機構(図示せず)も有する。特定の実施形態では、ヒンジ17の各々は、そうしたロック機構を有する。ロック機構は、横方向ロックピン、締付デバイス、切欠き部又は当技術分野で既知であるような他の任意のこうしたロック機構であり得る。
【0063】
[0070] いくつかの実施形態では、ヒンジ17のロック機構は、調整可能フレーム5の要素が患者の身体の周りに配置されると、ヒンジ17によって接合されたそれぞれの要素を、選択されたいかなる角度にもロックすることができる。したがって、調整可能フレーム5が、胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13等、すべて直線状又は実質的に直線状である4つの要素を有する実施形態では、調整可能フレーム5は、ヒンジ17のロック機構がヒンジによって接合されたそれぞれの要素を約90°の角度にロックすると、矩形又は正方形の構成を有することになる。他の実施形態では、ヒンジ17のロック機構は、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに配置されると、ヒンジによって接合されたそれぞれの要素を種々の角度にロックすることができる。他のいくつかの実施形態では、ヒンジ17の種々の角度は、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに配置されると合計して360°になる任意の角度であり得る。
【0064】
[0071] 特定の実施形態では、ヒンジ17の少なくとも1つ、例えばヒンジ17aは、全く回転可能ではなく(したがって、そうした実施形態では、ヒンジ17aではなく、継手17aと称するべきである)、代わりに、ヒンジ/継手17aによって接続されるべき調整可能フレーム5のそれぞれの要素/サブ部品は、ヒンジ/継手17aによってそのように接続されると、所定の角度で配置されるように構成される。特定の実施形態では、他のヒンジ17の各々は、横方向ロックピン、締付デバイス、切欠き部又は当技術分野で既知であるような他の任意のこうしたロック機構等のロック機構を有することができ、こうしたロック機構により、調整可能フレーム5の要素が患者の身体の周りに配置されると、ヒンジ17によって接合されるそれぞれの他の要素は、選択されたいかなる角度にもなることができる。この実施形態では、開いた位置にある調整可能フレームの要素/サブ部品が患者の身体の周りに配置されると、調整可能フレーム5の離れた要素/サブ部品は、ヒンジ/継手17aによって接続され、ヒンジ/継手17aの所定の予め決められた角度に設定され、その後、調整可能フレーム5の他の要素は、ヒンジ17をロックすることにより、選択されたそれぞれのいかなる角度にも設定される。
【0065】
[0072]
図1は、第1の側部要素11のサブ部品11aの先端部が、ヒンジ/継手17aにより胸部側要素7のサブ部品7aの先端部に接続される状態を示すとともに、調整可能フレーム5の他のすべての要素がヒンジ17によって接続される状態を示すが、別の実施形態では、調整可能フレーム5の要素の他の任意の2つをヒンジ/継手17aによって接続し、残りをヒンジ17によって接続することができる。
【0066】
[0073] CPR位置決め装置1は、
図2に示すように、平坦化形態になるように折り畳むことにより、
図1の動作可能な形態から変化させ、例えば搬送のためによりコンパクトにすることができる。そうした形態の1つでは、ヒンジ17は、それによって接合されたそれぞれの要素が実質的に0°の角度から実質的に360°の角度まで回転することができる。
【0067】
[0074] 平坦化形態の1つの実施形態では、調整可能フレーム5内のヒンジ17の2つは、それらによって接続されたそれぞれの要素が互いに接するように、すなわち実質的に0°の角度で位置するように完全に曲げられる一方、調整可能フレーム5内の他の2つのヒンジ17は、それらによって接続されたそれぞれの要素が互いに軸方向に整列して直線状に配置されるように完全に曲げられず、すなわち実質的に360°の角度である。例えば、胸部側要素7と第1の側部要素11との間のヒンジ17は、完全に曲げられ、背部側要素9と第2の側部要素13との間のヒンジ17は、完全に曲げられるが、胸部側要素7と第2の側部要素13との間のヒンジ17は、それらの要素が直線状に配置されるように完全に曲げられず、第1の側部要素11と背部側要素9との間のヒンジ17は、それらの要素が直線状に配置されるように完全に曲げられない。別の例では、上記で言及した最初の2つのヒンジは、完全に曲げないようにすることができ、上記で言及した2番目の2つのヒンジは、完全に曲げることができる。
【0068】
[0075] ヒンジ17が標準的なヒンジである実施形態では、ヒンジ17が、それぞれの要素が物理的に互いに対して位置することができずに、非常に小さい角度にのみ達することができるため、この平坦化形態である調整可能フレーム5は、非常に狭い平行四辺形に類似している。しかしながら、特定の実施形態では、調整可能フレーム5の要素7、9、11及び13を、互いに対して非常に小さい角度ではなく、互いに対して平坦に、すなわち0°又は360°のいずれかの角度で折り畳むことができるようにするために、ヒンジ17の各々は、撓みヒンジ、すなわち当技術分野で既知であるような、ヒンジ17によって接続された要素の何らかの摺動可能な移動又は線形変位を許容するヒンジであり得る。これにより、ヒンジ17が完全に曲げられたとき、調整可能フレーム5の要素7、9、11及び13を互いに対して平坦に、すなわち平行に折り畳むことができる。したがって、ヒンジ17が撓みヒンジである実施形態では、この平坦化形態である調整可能フレーム5は、直線に類似しており、胸部側要素7及び第2の側部要素13は、直線状に位置合わせされ、直線状に位置合わせされた第1の側部要素11及び背部側要素9に対して平坦になるか、又は胸部側要素7及び第1の側部要素11が直線状に位置合わせされ、直線状に位置合わせされた背部側要素9及び第2の側部要素13に対して平坦になる。
【0069】
[0076] 平坦化形態の別の実施形態では、調整可能フレーム5内のヒンジ17のすべてが完全に曲げられ、それにより、ヒンジ17によって接続されたそれぞれの要素のすべては、互いに対して、すなわち0°又は360°のいずれかの角度で位置し、それぞれの要素は、互いに軸方向に直線状に位置合わせされない。しかしながら、この実施形態では、調整可能フレーム5をこのコンパクトな形態になるようにさらに折り畳むことができるようにするために、ヒンジ17の少なくとも1つ、特定の実施形態ではヒンジ17の1つのみが分離可能であり、互いに回転可能に接続される2つの要素を完全に接続解除することができるようにする。ヒンジ17のうちの分離可能なものが接続解除されると、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13は、
図2に示すように、コンパクトな移動のために互いに折り重ねることができる。
【0070】
[0077] 例えば、
図1に示すように、第1の側部要素11を胸部側要素7に接続するヒンジ/継手17aは、第1の側部要素11を胸部側要素7から完全に切り離すことができるように分離することができる。第1の側部要素11から胸部側要素7の各々が伸長可能なサブ部品を有する実施形態では、第1の側部要素11のサブ部品11aの先端部を胸部側要素7のサブ部品7aの先端部に接続するヒンジ/継手17aは、第1の側部要素11のサブ部品11aの先端部を胸部側要素7のサブ部品7aの先端部から完全に切り離すことができるように分離することができる。代わりに、本明細書の説明では、ヒンジ/継手17aを、第1の側部要素11のサブ部品11aの先端部と、胸部側要素7のサブ部品7aの先端部とを分離可能に接続するものとして扱うが、ヒンジ17の他の任意のものが同様に分離可能であるように構成され得る。
【0071】
[0078]
図2は、コンパクトに折り畳まれた形態であるCPR位置決め装置1の概略図であり、包装/収納構造を示す。
図2は、多くの折畳みオプションの1つを示す。
【0072】
[0079]
図2に示すコンパクトに折り畳まれた形態であるとき、CPR位置決め装置1は、最小限のスペースを占めるように好都合に収納及び搬送することができる。必要に応じて、折り畳まれたCPR位置決め装置1は、その収納場所から迅速に取り出して、CPRを必要とする負傷した患者の現場まで容易に搬送することができる。その後、折り畳まれたCPR位置決め装置1は、患者の体位に関係なく、無能力状態の患者の周りに容易に構築することができる。実際の構築、調整及び管理は、CPRを直ちに開始することができるように、訓練を受けていない人でも迅速に及びいかなる専門的な機器もなしに直感的に行うことができる。
【0073】
[0080] CPR位置決め装置1は、
図2に示す平坦化形態から、
図1に示す動作可能形態に容易に変更することができる。特定の実施形態では、CPR位置決め装置1を、
図2に示すそのコンパクトに折り畳まれた形態から、
図1に示すような動作可能な形態に変えるために、調整可能フレーム5の要素7、9、11及び13は、最初に、
図2に示すそれらのコンパクトに折り畳まれた形態から、
図3に示すような完全に開いた形態に展開される。そうするために、調整可能フレーム5の接続された要素7、9、11、13間のヒンジ17の曲げを解除する必要がある。特定の実施形態において、
図3及び
図4は、
図2に示す折畳み形態から、
図1に示す動作可能な形態に調整可能フレーム5を変形させる段階を示す。
【0074】
[0081] 特定の実施形態では、調整可能フレーム5の要素7、9、11及び13のすべてが直線的に配置されるように展開される。他のいくつかの実施形態では、調整可能フレーム5の第1の側部要素11、背部側要素9及び第2の側部要素13のみを、直線的に配置されるように展開する必要があり、胸部側要素7は、
図3に示すように、第2の側部要素13に対して依然として折り畳むことができる。他のいくつかの実施形態では、調整可能フレーム5の第1の側部要素11及び背部側要素9のみを、直線的に配置されるように展開する必要があり、第2の側部要素13及び胸部側要素7は、依然として第2の側部要素13に対して又は互いに対して折り畳むことができる。
【0075】
[0082] 調整可能フレーム5の要素7、9、11及び13のいずれが、ヒンジ17を使用して、直線的に配置されるように展開されるかに関わらず、展開された調整可能フレーム5は、
図3に示すように、患者の背部の下に滑り込むか、又は仰臥位の患者の背部を横切って配置される用意ができており、次いで調整可能フレーム5の背部側要素9を、患者の背部に接するように配置しなければならない。例えば、仰臥位、すなわち仰向けで横たわっている患者の場合、調整可能フレーム5の第1の側部要素11及び背部側要素9を患者の背部の下に通すべきであり、第1の側部要素11は、患者の背部を越えて引っ張られ、調整可能フレーム5の背部側要素9が患者の背部の下に配置されるようにする。特定の実施形態では、要素7、9、11及び13間のヒンジ17は、180°よりも大きい角度で曲げることができる。これは、仰臥位の患者が平らな地面に寝かされていない状況に対応するため、調整可能フレーム5の第1の側部要素11及び背部側要素9を患者の背部の下に通す場合に有用である。
【0076】
[0083]
図4に示すように、患者が調整可能フレーム5の背部側要素9、例えば身体支持面9cに直接寝かされると、調整可能フレーム5の第1の側部要素11、第2の側部要素13及び胸部側要素7を患者の身体の周りに折り畳むことができる。次いで、特定の実施形態では、例えば、ともに本明細書で上述したように、ロック機構を有するか、又は接続された要素が所定の角度に設定されるように構成された、ヒンジ/継手17a等の少なくとも1つのロック可能なヒンジ/継手を使用して、第1の側部要素11に胸部側要素7をロックすることができる。ヒンジ17のいくつか又はすべてを所定の角度でさらにロックすることにより、調整可能フレーム5にその動作可能な形態で剛性が与えられ、支持体又は患者の体位に関係なく一貫した圧迫処置が可能になる。
【0077】
[0084] 様々なヒンジ式ロック機構を使用することができ、いずれの機構を選択するかは、調整可能フレーム5のモデルによって決まる。1つの基本的なバージョンでは、ロック機構は、手動でロック舌片を適所まで転がすことによってロックされる。高度なモデルでは、さらに単純化するために、ヒンジを圧力ボールによって自動的にロックするか、又は予め設計された孔に入るピンをばねで装填することができる。好適であり得る既知のロック機構のいくつかの例としては、ボールキャッチラッチ、ジャムポケットラッチボルトアセンブ解除装置、キャビネットボールドアキャッチ、圧力解放スライドラッチ機構、ばね式スライドボルトラッチ、ロッキングプルピンラッチ、クイックリリースボールロックピン、調整可能ロッキングヒンジ、自動調整圧縮ラッチばね、溶接ばねラッチ及び板ばねアシストオープナースプリングラッチ(スイッチブレードナイフロック機構等)が挙げられる。
【0078】
[0085] 特定の実施形態では、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに密着してフィットするように、調整可能フレーム5が患者の身体の周りで閉じられ、ロックされる前又はされた後のいずれかで、本明細書で上述したように、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の各々の長さを調整することができる。
【0079】
[0086] 具体的には、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の各々の長さは、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに折り畳まれたとき、その高さ及び幅がその患者の身体の周りに密着してフィットするように調整される。これらの調整は、患者の身体のサイズ及び形状に基づいて行われる。特定の実施形態では、調整可能フレーム5の第1の側部要素11及び第2の側部要素13は、支持面11c、13cが患者の身体のそれぞれの側面に接触するように調整される。例えば、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに配置されると、幅及び高さの調整を容易に行うことができ、調整可能フレーム5のそれぞれの要素7、9、11及び13の長さは、それぞれの各要素が患者の身体に接触することを確実にしながら適所にロックすることができる。
【0080】
[0087]
図5Aは、CPR位置決め装置1が動作可能な形態である状態を示し、調整可能フレーム5は、患者の身体の周りで折り畳まれる。
図5Bは、動作可能な形態であるCPR位置決め装置1が仰臥位の患者の身体の周りに配置されている状態を示す。この実施形態では、ヒンジ/継手17aは、互いに再接続/ロックされ、計画された90°の角度に折り畳まれるか又は所定の90°の角度に設定され、ヒンジ17は、90°の角度に折り畳まれる。特定の実施形態では、ヒンジ/継手17aは、約90°の角度になるようにロック/接続され得る。特定の実施形態では、ヒンジ/継手17a及びヒンジ17は、約90°の角度にロックされ得る。特定の実施形態では、ヒンジ17は、90°±10~20°の角度にロックされるように構成され得る。特定の実施形態では、ヒンジ17は、90°を超える角度を妨げるように構成され得る。他の実施形態では、ヒンジ17の各々は、必要に応じて、調整可能フレーム5が患者の身体の周りに最適にフィットすることができるいかなる角度にも折り畳まれ、及びロックされ得る。特定の実施形態では、ヒンジ17は、それぞれの各要素が患者の身体に接触した状態で適所にロックされ得る。
【0081】
[0088] さらなる実施形態では、患者の心臓の上又はその近くで胸部圧迫デバイス3の圧迫板の患者の胸部に対する正確な位置決めを達成するために、胸部圧迫デバイス3は、本明細書で上述したように、矢印Aの長手方向において胸部側要素7の長さに沿って調整することができる。特定の実施形態では、胸部圧迫デバイス3は、調整可能フレーム5が圧迫力に耐えるように安定しているように、例えばロック機構15を用いて適所にロックすることができる。
【0082】
[0089] 特定の実施形態では、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の各々は、直接又はそれぞれの支持面9c、11c及び13cを介して患者の身体に接触する。したがって、胸部圧迫デバイス3が患者の胸部に圧迫を供給しているとき、患者の身体は、フレーム5自体のいかなる相対的な移動も許容しない方法でCPR位置決め装置1の閉じた構造内にロックされ、同時にCPR位置決め装置1が、ロックされ、調整された側面及びロックされたヒンジ17の剛性によって適所に固定された背部支持面9cに対して圧迫/緩和シーケンスを提供することができるようにする。
【0083】
[0090]
図6及び
図7は、CPR位置決め装置1の閉じたフレーム5内に異なるサイズの患者の身体が隙間なくフィットする状態を示す。具体的には、
図6は、CPR位置決め装置1が、調整可能フレーム5が患者の小柄な身体の周りで折り畳まれる動作可能な形態であることを示し、
図7は、CPR位置決め装置1が、調整可能フレーム5が患者の大柄な身体の周りで折り畳まれる動作可能な形態であることを示す。
【0084】
[0091] いくつかの体位において、患者を別の場所に避難させるか又は移送する必要がある状況において、CPR位置決め装置1は、固定ストラップ及び頭部拘束具(図示せず)も含むことができ、外的条件が通常他の手段によりCPRの適用を妨げる状況でもCPR位置決め装置のCPRを提供する動作を可能にする。
【0085】
[0092] CPR位置決め装置1は、上述したように硬い表面上に仰向け(すなわち仰臥位)で横たわっているか、うつ伏せ(すなわち腹臥位)で横たわっているか、横向きで横たわっているか又は座位であるか、例えば車内で座って閉じ込められているかに関わらず、患者の体位に関係なく患者の身体の周りに配置できることに留意されたい。CPR位置決め装置1を、片腕又は両腕をフレームの内側又は外側に置いて身体の周りで構築してロックすることができ、その後、AHAガイドラインに従った胸部圧迫を適用することができる。
【0086】
[0093] さらに、特定の実施形態では、任意選択的なストラップ及び頭部拘束具が提供され、医療補助者が引き継ぐまで、患者を、依然として質の高いCPRを受けながら移動及び移送することができるようにする。患者が別の場所に避難させられているとき等、直立した体位及び不安定な状況では、安全ストラップを使用することにより、例えば胸部側要素7から患者の肩の上を越えて背部側要素9まで又は胸部の周りに、第1の側部要素11から第2の側部要素13まで又は他の任意の方法で1つ又は複数のストラップを取り付けることにより、調整可能フレーム5が患者の身体に対して動かないようにすることができる。
【0087】
[0094] CPR位置決め装置1を、
図1に示す動作可能な形態から、
図2に示す折畳み形態に変えるために、分離可能なヒンジ/継手17aを、第1の側部要素11のサブ部品11aの先端部が胸部側要素7のサブ部品7aの先端部から分離される(又はヒンジ/継手17aによって接続されるフレーム5のいずれの2つのサブ部品であっても互いに分離される)ように接続解除するべきであり、次いで調整可能フレーム5の要素7、9、11及び13が互いに折り畳まれる。特定の実施形態では、調整可能フレーム5の胸部側要素7、背部側要素9、第1の側部要素11及び第2の側部要素13の各々は、ヒンジ/継手17aの接続解除前又は後及びヒンジ17の折畳み前又は後のいずれかで可能な限り短くされる。
【0088】
[0095] このように、CPR位置決め装置を提供した。当業者であれば、本発明は、限定ではなく、説明の目的で提示されたものである記載した実施形態以外のものによっても実施され得、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解するであろう。さらに、多数の変更形態及び変形形態が当業者に容易に想到されるため、図示及び記載した厳密な構造及び動作に本発明を限定することを望むものではなく、したがって添付の特許請求の範囲に定義するような本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、すべての好適な変更形態及び均等物を用いることができる。