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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】整流回路、整流回路の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240731BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240731BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20240731BHJP
   H01L 29/866 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H02M7/12 X
H01L29/78 657G
H01L29/78 656Z
H01L29/90 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021023448
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125705
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】ミネベアパワーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三輪 明寛
(72)【発明者】
【氏名】庄司 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】坂野 順一
(72)【発明者】
【氏名】内海 智之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 孝裕
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-194791(JP,A)
【文献】特開2021-5913(JP,A)
【文献】特開2015-116053(JP,A)
【文献】特開2019-41431(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107293542(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H01L 29/78
H01L 21/329
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と第2の端子との間に多段接続された複数のMOSFETと、
前記複数のMOSFETのうちの1つ以上のMOSFETのドレイン-ソース間電圧を検出し、所定の閾値電圧と比較して、前記複数のMOSFETのオン・オフを制御する制御信号を生成する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記複数のMOSFETのうちの1つのMOSFETのドレイン-ソース間電圧または2つ以上のMOSFETのドレイン-ソース間電圧の合計を検出した検出電圧と、前記所定の閾値電圧とを比較する比較回路と、
前記比較回路による比較結果に基づき、前記複数のMOSFETのオン・オフを制御する複数の駆動回路とを有し、
前記制御回路は、前記比較回路による比較結果に基づき、少なくとも検出対象のMOSFETを含む複数のMOSFETのオン・オフを連動して制御することを特徴とする整流回路。
【請求項2】
請求項1に記載の整流回路において、
前記駆動回路は、検出対象のMOSFETと検出対象以外のMOSFETとを含む複数のMOSFETのオン・オフを制御することを特徴とする整流回路。
【請求項3】
請求項1に記載の整流回路において、
前記検出電圧は、前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧であることを特徴とする整流回路。
【請求項4】
請求項1に記載の整流回路において、
前記駆動回路は、前記複数のMOSFETのうち少なくとも1つのMOSFETのオン・オフを制御する際に、前記比較回路による比較結果をレベルシフトして駆動することを特徴とする整流回路。
【請求項5】
請求項4に記載の整流回路において、
前記駆動回路は、前記比較回路による比較結果をレベルシフトするスイッチング素子またはコンデンサを有することを特徴とする整流回路。
【請求項6】
請求項1に記載の整流回路において、
前記所定の閾値電圧は、第1の閾値と前記第1の閾値より大きい第2の閾値を有し、
前記制御回路は、前記検出電圧が前記第1の閾値より小さい場合にオン信号を生成し、前記第2の閾値より大きい場合にオフ信号を生成することを特徴とする整流回路。
【請求項7】
請求項1に記載の整流回路において、
前記制御回路に電源を供給するコンデンサを有することを特徴とする整流回路。
【請求項8】
請求項7に記載の整流回路において、
前記コンデンサに並列に接続された抵抗またはツェナーダイオードを有することを特徴とする整流回路。
【請求項9】
請求項7に記載の整流回路において、
前記制御回路は、前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧を検出し、
前記検出電圧を前記所定の閾値電圧と比較して、前記第1の端子および前記第2の端子のいずれかにソースを接続するMOSFETのオン・オフを制御する信号を生成する駆動回路に前記比較結果を入力する前記比較回路とは異なる別の比較回路と、
前記比較回路と前記別の比較回路に電源を供給するコンデンサに並列接続されたツェナーダイオードを有することを特徴とする整流回路。
【請求項10】
請求項9に記載の整流回路において、
前記コンデンサは、前記複数の駆動回路にそれぞれ電源を供給する複数のコンデンサを有し、
前記複数のコンデンサの内の1つは、前記比較回路と前記別の比較回路と前記駆動回路とに電源を供給するコンデンサであり、
前記複数のコンデンサの内、前記比較回路と前記別の比較回路と前記駆動回路とに電源を供給するコンデンサのみを充電する期間と、前記複数のコンデンサの全てを充電する期間とを有することを特徴とする整流回路。
【請求項11】
請求項1に記載の整流回路において、
前記第1の端子と前記第2の端子のいずれかにソースを接続するMOSFETを駆動する前記比較回路と前記駆動回路は、外部電源により電源を供給され、
前記整流回路は、前記外部電源から電源を供給され前記駆動回路以外の他の駆動回路に電源を供給するコンデンサを有することを特徴とする整流回路。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の整流回路において、
前記整流回路が半導体パッケージに内蔵されていることを特徴とする整流回路。
【請求項13】
請求項12に記載の整流回路において、
複数の前記整流回路が1つの半導体パッケージに内蔵されていることを特徴とする整流回路。
【請求項14】
複数のMOSFETを多段接続して構成する整流回路の制御方法において、
前記複数のMOSFETのうちの1つのMOSFETのドレイン-ソース間電圧または2つ以上のMOSFETのドレイン-ソース間電圧の合計を検出した検出電圧と、所定の閾値電圧とを比較し、
当該比較結果に基づき、少なくとも検出対象のMOSFETを含む複数のMOSFETのオン・オフを連動して制御することを特徴とする整流回路の制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の整流回路の制御方法において、
検出対象のMOSFETと検出対象以外のMOSFETとを含む複数のMOSFETのオン・オフを制御することを特徴とする整流回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流を直流に変換する整流回路の構成とその制御に係り、特に、複数のMOSFETを多段接続して構成する整流回路に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な整流回路では、交流を直流に整流するために、ダイオードやMOSFETの同期整流が使用されている。ダイオードを用いた整流はダイオードの内蔵ポテンシャルによる電圧降下があるため損失が大きいという問題がある。これに対し、MOSFETの同期整流は、MOSFETの内蔵ポテンシャルがなく0Vから順方向電流が立ち上がるため損失が低い。したがって、より低損失に整流するために、主にMOSFETの同期整流が用いられている。
【0003】
一方、複数のMOSFETを多段接続して整流回路を構成することで、複数のMOSFETの各耐圧の合計と等しい耐圧を持つ単体のMOSFETと比較して、オン抵抗の合計値とコストの合計値は共に削減できることが知られている。したがって、整流時の損失をより低減するために、複数のMOSFETを多段接続した回路構成の整流回路の開発が進められている。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、オルタネータに用いられる低損失な整流回路として、制御回路とMOSFETを1つのパッケージに搭載したものが記載されている。
【0005】
この整流回路は、主に比較回路と駆動回路、これらに電源を供給するコンデンサ、MOSFETから構成されている。電流がMOSFETの寄生ダイオードを流れると、MOSFETのドレインとソースとに接続された比較回路がMOSFETの寄生ダイオードの順方向電圧を検出し、駆動回路に信号が入力され、MOSFETがターンオンする。コンデンサはMOSFETのドレイン-ソース間に接続されていて、MOSFETがオフしているときに、比較回路と駆動回路に電源を供給するために必要な電力を充電する。
【0006】
また、特許文献2には、複数のMOSFETを多段接続した構成の整流回路が示されている。この整流回路は、主に、多段接続された複数のMOSFETと、複数のMOSFETのオン・オフを制御する信号をそれぞれ生成する複数の駆動回路と比較回路、複数の駆動回路と比較回路に電源を供給する複数の昇圧回路から構成される。複数の比較回路が複数のMOSFETの各ドレイン-ソース電圧をそれぞれ独立して検出し、複数のMOSFETのオン・オフのタイミングをそれぞれ独立して制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-116053号公報
【文献】特開2009-194791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、1つのMOSFETに対して1つの比較回路を接続し、比較回路で検出したMOSFETの寄生ダイオードの順方向電圧に基づいて、MOSFETの駆動を制御しており、上述したような複数のMOSFETを多段接続した構成の整流回路については言及されていない。
【0009】
また、上記特許文献2では、複数のMOSFETに対してそれぞれ比較回路を接続し、各比較回路で検出したMOSFETのドレイン-ソース電圧に基づいて、複数のMOSFETの各々の駆動をそれぞれ独立して制御している。したがって、複数のMOSFETの点数と同数の比較回路が必要になる。
【0010】
しかしながら、整流回路を構成する部品点数が増加すると、制御回路の故障率が増加し、同期整流の効果が損なわれる可能性が大きくなる。例えば、ある1つの比較回路が故障すると、その比較回路と駆動回路を介して接続されるMOSFETがオン・オフできなくなる。その結果、整流時の電流は当該MOSFETの寄生ダイオードを流れるため、同期整流による損失低減効果が損なわれる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、複数のMOSFETを多段接続して構成する整流回路において、1つの検出電圧を基に複数のMOSFETを連動制御可能な、低損失かつ信頼性の高い整流回路及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の端子と第2の端子との間に多段接続された複数のMOSFETと、前記複数のMOSFETのうちの1つ以上のMOSFETのドレイン-ソース間電圧を検出し、所定の閾値電圧と比較して、前記複数のMOSFETのオン・オフを制御する制御信号を生成する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記複数のMOSFETのうちの1つのMOSFETのドレイン-ソース間電圧または2つ以上のMOSFETのドレイン-ソース間電圧の合計を検出した検出電圧と、前記所定の閾値電圧とを比較する比較回路と、前記比較回路による比較結果に基づき、前記複数のMOSFETのオン・オフを制御する複数の駆動回路とを有し、前記制御回路は、前記比較回路による比較結果に基づき、少なくとも検出対象のMOSFETを含む複数のMOSFETのオン・オフを連動して制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、複数のMOSFETを多段接続して構成する整流回路の制御方法において、前記複数のMOSFETのうちの1つのMOSFETのドレイン-ソース間電圧または2つ以上のMOSFETのドレイン-ソース間電圧の合計を検出した検出電圧と、所定の閾値電圧とを比較し、当該比較結果に基づき、少なくとも検出対象のMOSFETを含む複数のMOSFETのオン・オフを連動して制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のMOSFETを多段接続して構成する整流回路において、1つの検出電圧を基に複数のMOSFETを連動制御可能な、低損失かつ信頼性の高い整流回路及びその制御方法を実現することができる。
【0015】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る整流回路の構成を示す図である。
図2図1の整流回路が正弦波電流を整流する場合の駆動回路の出力波形を示す図である。
図3図1の変形例を示す図である。(変形例1)
図4】本発明の実施例2に係る整流回路の構成を示す図である。
図5図4の変形例を示す図である。(変形例2)
図6】本発明の実施例3に係る整流回路の構成を示す図である。
図7】本発明の実施例4に係る整流回路の構成を示す図である。
図8図7の変形例を示す図である。(変形例3)
図9】本発明の実施例5に係る整流回路の構成を示す図である。
図10】本発明の実施例6に係る整流回路の構成を示す図である。
図11図10の整流回路が正弦波電流を整流する場合の駆動回路の出力波形を示す図である。
図12図10の整流回路において、コンデンサの電圧と蓄積電荷の関係を示す図である。
図13図10の整流回路において、コンデンサの電圧と蓄積電荷の関係を示す図である。
図14】本発明の実施例7に係る半導体パッケージの構成を示す図である。
図15】本発明の実施例7に係る半導体パッケージの構成を示す図である。
図16】本発明の実施例7に係る半導体パッケージの構成を示す図である。
図17】本発明の実施例8に係るフロントエンド電源の構成を示す図である。
図18】従来の整流回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例1】
【0018】
図1から図3、及び図18を参照して、本発明の実施例1の整流回路の構成とその制御方法について説明する。なお、図3は、図1の変形例(変形例1)を示す図であり、図18は、本発明の構成を分かり易くするために比較例として示す従来の整流回路の構成図である。
【0019】
先ず、図1を用いて、本実施例の整流回路の構成について説明する。図1は、本実施例の整流回路の構成を示す図である。
【0020】
本実施例の整流回路は、図1に示すように、第1の端子T1と第2の端子T2との間に多段接続された複数のMOSFETQ1~Qnと、制御回路1と、複数のコンデンサC1~Cnから構成される。
【0021】
制御回路1は、比較回路COMPaと、複数の駆動回路GD1~GDnと、複数のレベルシフト回路LS2~LSnと、逆流防止ダイオードD1~Dnから構成される。比較回路COMPaは、検出したMOSFETQ1のドレイン-ソース電圧VQ1DSと所定の閾値を比較する。駆動回路GD1~GDnは、比較回路COMPaの比較結果に基づきMOSFETQ1~Qnのオン・オフを制御する制御信号をそれぞれ生成する。レベルシフト回路LS2~LSnは、比較回路COMPaが生成した信号をレベルシフトするスイッチング素子である。
【0022】
コンデンサC1~Cnは、比較回路COMPaと駆動回路GD1~GDnに電源を供給する。MOSFETQ1~Qnがオフの時に第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される電圧VT2T1の正の電圧よって、Dn,Cn,・・・D2,C2,D1,C1を経由して第2の端子T2から第1の端子T1へ流れる電流でコンデンサC1~Cnは充電される。
【0023】
次に、図2を用いて、本実施例の整流回路の制御方法について説明する。図2は、本実施例の整流回路が正弦波電流を整流する場合の制御方法を示す図である。VTH1とVTH2は比較回路COMPaが持つ2つの異なる閾値を示す。なお、VTH1の値はVTH2より小さいものとする。Iは第1の端子T1から第2の端子T2に流れる電流を示す。また、VTHaは、比較回路COMPaの閾値電圧を示している。
【0024】
先ず、ターンオン時の動作について説明する。MOSFETQ1~Qnがオフのとき、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される電圧VT2T1は正の値であり、MOSFETQ1は、VT2T1をMOSFETQ1~Qnで分圧しているため、MOSFETQ1のドレイン-ソース電圧VQ1DSは正の値である。
【0025】
この状態からVT2T1が負の値に転じると、Iが増加し、IはMOSFETQ1~Qnのボディダイオードを流れる。このとき、ボディダイオードの順方向電圧により、VQ1DSは負の値となる。VQ1DSの値が閾値VTH1より小さくなると、比較回路COMPaはオンの結果を生成する。その結果を基に駆動回路GD1~GDnはMOSFETQ1~Qnをオンする信号を生成し、MOSFETQ1~Qnのゲート-ソース電圧VQ1GS~VQnGSが上昇し、MOSFETQ1~Qnはターンオンする。
【0026】
MOSFETQ1~Qnのターンオン後は、IはMOSFETQ1~Qnを流れ、同期整流が実現される。このとき、VQ1DSはMOSFETQ1のオン抵抗とIの積で定義される電圧の負の値に等しくなる。
【0027】
次に、ターンオフ時の動作について説明する。Iが減少すると、VQ1DSは増加する。VQ1DSの値が第2の閾値VTH2より大きくなると、比較回路COMPaはオフの結果を生成する。その結果を基に駆動回路GD1~GDnはMOSFETQ1~Qnをオフする信号をそれぞれ生成し、MOSFETQ1~Qnのゲート-ソース電圧VQ1GS~VQnGSが下降し、MOSFETQ1~Qnはターンオフする。
【0028】
ここで、ターンオフの条件をVQ1DS>VTH1とすると、VQ1DSが第1の閾値VTH1より小さくなってターンオンし、IがMOSFETを流れることによりVQ1DSが増加してVQ1DS>VTH1となりターンオフするため、ターンオン・ターンオフの動作を短期間で繰り返すチャタリングが生じる。この問題を抑制するために、ターンオフ時にはVQ1DSと、第1の閾値VTH1より大きい第2の閾値VTH2を比較する。
【0029】
MOSFETQ1~Qnをオフした後、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される電圧VT2T1の負電圧によって、コンデンサC1~Cnは再び充電される。
【0030】
本実施例の利点は、複数のMOSFETを多段接続した構成の整流回路において1つの比較回路を使用することである。図18に示す従来の整流回路のように、複数のMOSFETQ1~Qnと同数の比較回路COMPa1~COMPanを用いる構成と比べて制御回路1の故障率を低減できるため、信頼性の高い整流回路を実現できる。
【0031】
図3に本実施例の変形例を示す。図1で示した整流回路では、レベルシフト回路LS2~LSn(比較回路COMPaの比較結果をレベルシフトする複数のスイッチング素子)を直列に接続しているのに対し、図3の整流回路ではレベルシフト回路LS2~LSnを互いに並列に配置している。
【実施例2】
【0032】
図4及び図5を参照して、本発明の実施例2の整流回路について説明する。図4は、2つのMOSFETQ1,Q2のドレイン-ソース電圧の合計を検出する構成を示している。図5は、図4の変形例(変形例2)であり、全てのMOSFETQ1~Qnのドレインーソース電圧の合計を検出する構成を示している。
【0033】
図1に示した整流回路では、MOSFETQ1のオン抵抗とIの値によっては、検出電圧に混在するノイズに対して検出電圧の絶対値が十分に大きくない場合がある。この場合、混在したノイズによって検出電圧と第1の閾値VTH1、もしくは、検出電圧と第2の閾値VTH2の大小関係が急峻に入れ替わり、上述したチャタリングが生じる可能性がある。これは第1の閾値VTH1と第2の閾値VTH2を小さく設定することで改善できるが、その場合は同期整流期間が減少し、整流回路で生じる損失が増加する。
【0034】
この問題を抑制するために、検出電圧に混在するノイズに対して検出電圧の絶対値を十分に大きくすることが考えられる。
【0035】
そこで、本実施例では、図4に示すように2つのMOSFETQ1とQ2のドレインーソース電圧の合計を検出する構成、もしくは、図5に示すように全てのMOSFETQ1~Qnのドレイン-ソース電圧の合計を検出する構成とする。つまり、混在するノイズに対して検出電圧の絶対値が十分大きくなるように、連続して多段接続された2つ以上の任意の数のMOSFETのドレイン-ソース電圧の合計を検出する。
【0036】
本実施例の利点は、検出電圧の増加である。検出電圧に混在するノイズに対して相対的に検出電圧を大きくすることで、チャタリングを抑制することができる。
【実施例3】
【0037】
図6を参照して、本発明の実施例3の整流回路について説明する。図6は、本実施例の整流回路の構成を示す図であり、図5の変形例として示している。
【0038】
本実施例の整流回路は、図6に示すように、レベルシフト回路LS2~LSnとして、図5のスイッチング素子に替えて、コンデンサCC2~CCnを使用している。
【0039】
本実施例の利点は、比較回路COMPaの比較結果をレベルシフトするスイッチング素子を使用する必要がないことである。
なお、図1図3図4の各整流回路についても、スイッチング素子に替えてコンデンサCC2~CCnを使用してもよい。例えば、複数のコンデンサCC2~CCnは、図3に示す整流回路のレベルシフト回路LS2~LSnのように互いに並列に接続してもよい。
【実施例4】
【0040】
図7及び図8を参照して、本発明の実施例4の整流回路について説明する。図7は、比較回路と駆動回路に電源を供給するコンデンサの分圧のための抵抗を有する構成を示している。図8は、図7の変形例(変形例3)であり、比較回路と駆動回路に電源を供給するコンデンサの分圧のためのツェナーダイオードを有する構成を示している。
【0041】
実施例1~実施例3では、コンデンサC1~Cnの電圧が第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される電圧VT2T1に対して均等に分圧されない場合がある。それによって、例えば、いずれかのコンデンサの電圧が当該コンデンサに接続される駆動回路が動作するための最低電圧VCC_MINより小さくなる場合、当該駆動回路がオン・オフ信号を生成できなくなる。この場合、整流電流Iは駆動回路がオン・オフを制御するMOSFETの寄生ダイオードを流れるため、同期整流による損失低減効果が損なわれてしまう。
【0042】
この問題を抑制するために、コンデンサC1~Cnの電圧が第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される電圧VT2T1に対して概ね均等に分圧させることが考えられる。
【0043】
そこで、本実施例では、図7に示すようにコンデンサC1~Cnに分圧用抵抗R1~Rnをそれぞれ並列に接続した構成とする。例えば、分圧用抵抗R1~Rnの値を等しく設定すると、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される正の電圧の最大値VT2T1_MAXに対してコンデンサC1~Cnの電圧は概ね均等に分圧される。
【0044】
もしくは、図8に示すようにコンデンサC1~CnにツェナーダイオードZD1~ZDnをそれぞれ並列に接続した構成とする。例えば、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される正の電圧の最大値VT2T1_MAXをコンデンサC1~Cnの点数nで除した値と、ツェナーダイオードZD1~ZDnのツェナー電圧Vが概ね等しい場合、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される正の電圧の最大値VT2T1_MAXに対してコンデンサC1~Cnの電圧は概ね均等に分圧される。
【0045】
本実施例の利点として、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される正の電圧の最大値VT2T1_MAXに対してコンデンサC1~Cnの電圧を概ね均等に分圧させることで、比較回路と駆動回路に供給する電源を確保し、整流回路の動作を継続させる効果がある。
【実施例5】
【0046】
図9を参照して、本発明の実施例5の整流回路について説明する。図9は、比較回路と駆動回路に電力を供給する外部電源を用いる構成を示す図であり、図6の構成において、コンデンサC1の代わりに外部電源Pを有する変形例として示している。
【0047】
図7に示すように、コンデンサC1~Cnに分圧用抵抗R1~Rnをそれぞれ並列に接続する場合、分圧用抵抗R1~Rnを流れる電流によって整流回路の損失が増加する。
【0048】
また、図8に示すように、コンデンサC1~CnにツェナーダイオードZD1~ZDnをそれぞれ並列に接続する場合、所望のツェナー電圧を得るツェナーダイオードZD1~ZDnの入手が困難な場合がある。
【0049】
この問題を抑制するために、比較回路COMPaと駆動回路GD1~GDnに電源を供給する外部電源を使用することが考えられる。
【0050】
そこで、本実施例では、図9に示すように、比較回路COMPaと駆動回路GD1の電源は外部電源Pによって供給されるように構成する。一方、駆動回路GD2~GDnの電源はコンデンサC2~Cnによって供給される。コンデンサC2~Cnを外部電源Pによって充電するために、ブートストラップ回路を構成している。
【0051】
例えば、MOSFETQ1がオンのとき外部電源PがコンデンサC2を充電し、MOSFETQ1とMOSFETQ2がオンのとき外部電源PがコンデンサC3(図示せず)を充電する。
【0052】
本実施例の利点として、比較回路COMPaと駆動回路GD1~GDnに供給する電源を安定させて整流回路の動作継続性を向上させつつ、図7で示した抵抗R1~Rnを取り除くことで当該複数の抵抗で生じる損失を削減した整流回路を実現できる。
【実施例6】
【0053】
図10から図13を参照して、本発明の実施例6の整流回路の構成とその制御方法について説明する。
【0054】
実施例1~実施例4では、コンデンサC1は比較回路COMPaと駆動回路GD1に電力を供給するのに対し、コンデンサC2~Cnはそれぞれ接続された駆動回路GD2~GDnに電源を供給する。したがって、MOSFETの1回のオン期間において、コンデンサC1から放出される電荷量ΔQ1はC2~Cnから放出される電荷量ΔQ2より大きい。
【0055】
一方で、MOSFETの1回のオフ期間において、コンデンサC1~Cnは共通の電流で充電されるため、オフ期間においてコンデンサC1~Cnに供給される電荷量は等しい。その結果、コンデンサC1~Cnが充放電を繰り返すうちに、MOSFETQ1~Qnがオフする期間において、第2の端子T2と第1の端子T1に印加される電圧に対して、コンデンサC2~Cnの電圧の合計電圧が支配的となり、コンデンサC1の電圧が0になる場合がある。
【0056】
この問題を抑制するために、コンデンサC1のみが充電される期間を設けることが考えられる。
【0057】
そこで、本実施例では、図10に示すように、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される電圧VT2T1を検出する比較回路COMPaとCOMPbと、比較回路COMPaの比較結果に基づきMOSFETQ2~Qnのオン・オフを制御する信号を生成する駆動回路GD2~GDnと、比較回路COMPbの比較結果に基づきMOSFETQ1のオン・オフを制御する信号を生成する駆動回路GD1と、比較回路COMPa及びCOMPbと駆動回路GD1~GDnに電源を供給するコンデンサC1~Cnと、コンデンサC1に並列に接続されるツェナーダイオードZD1を有して構成する。
【0058】
そして、コンデンサC1~Cnの内、比較回路COMPaと別の比較回路COMPbと駆動回路GD1とに電源を供給するコンデンサC1のみを充電する期間と、コンデンサC1~Cnの全てを充電する期間とを設けるように制御する。
【0059】
比較回路COMPaは、後述する第1の閾値VTH1及び第2の閾値VTH2と検出電圧を比較する。また、比較回路COMPbは、後述する2つの異なる閾値と検出電圧を比較する。2つの異なる閾値のうち、1つの閾値は第1の閾値VTH1と等しく、もう一方の閾値は第1の閾値VTH1より大きく第2の閾値VTH2より小さい第3の閾値VTH3である。
【0060】
図11は、図10に示す本実施例の整流回路が正弦波電流を整流する場合の制御方法を示す図である。図11において、VTHa,VTHbは、それぞれ比較回路COMPa,COMPbの閾値電圧を示している。時刻tは、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される電圧VT2T1の値が第1の閾値VTH1より小さくなる瞬間を示している。このとき、比較回路COMPaとCOMPbはオンの信号を生成し、駆動回路GD1~GDnがMOSFETQ1~Qnをオンに制御する信号を生成する。その結果、MOSFETQ1~Qnのゲート-ソース電圧VQ1GS~VQnGSが上昇し、MOSFETQ1~Qnはターンオンする。
【0061】
期間tからtにおいて、整流電流IはMOSFETQ1~Qnを流れる。時刻tは、VT2T1の値が第3の閾値VTH3より大きくなる瞬間を示している。このとき、比較回路COMPbがオフの信号を生成し、その結果を基に駆動回路GD1がMOSFETQ1をオフに制御する信号を生成する。その結果、MOSFETQ1のゲート-ソース電圧VQ1GSが下降し、MOSFETQ1はターンオフする。
【0062】
時刻tは、整流電流Iが0になり、VT2T1の値が0になる瞬間を示している。期間tからtにおいて、IはMOSFETQ1の寄生ダイオードとMOSFETQ2~Qnを流れる。
【0063】
時刻tは、VT2T1の値が第2の閾値VTH2より大きくなる瞬間を示している。期間t~tにおいて、コンデンサC2~Cnに直列に接続される過電流防止抵抗(図示せず)の大きさをMOSFETQ2~Qnの各オン抵抗より十分に大きくすることで、MOSFETQ2~QnとコンデンサC1を経由して第2の端子T2から第1の端子T1まで流れる電流により、コンデンサC1のみが充電される。
【0064】
時刻tにおいて、比較回路COMPaがオフの信号を生成し、駆動回路GD2~GDnがMOSFETQ2~Qnをオフする信号を生成する。その結果、MOSFETQ2~Qnのゲート-ソース電圧VQ2GS~VQnGSが下降し、MOSFETQ2~Qnはターンオフする。
【0065】
時刻t以降は、コンデンサC2~Cnと、コンデンサC1またはツェナーダイオードZD1を経由して第2の端子T2から第1の端子T1まで流れる電流により、コンデンサC1~Cn、またはコンデンサC2~Cnを充電する。このとき、コンデンサC1の電圧はツェナーダイオードZD1のツェナー電圧VZ1でクランプされるため、コンデンサC1の過充電を抑制することが可能である。
【0066】
本実施例の利点として、コンデンサC1のみを充電する期間を設けることで、コンデンサC1~Cnの充放電が繰り返された後もコンデンサC1の電圧が0にならないことにある。その結果、整流回路は整流動作を継続することができる。
【0067】
図12及び図13を用いて、ツェナーダイオードZD1の電圧VZ1と第2の閾値VTH2の設定方法について説明する。
【0068】
前提として、コンデンサC1~Cnの容量は等しいと仮定する。また、駆動回路GD1~GDnがある期間中にMOSFETをオンするために必要な電荷量は等しいと仮定する。
【0069】
図12は、時刻tとtにおけるコンデンサC2の電圧VC2と蓄積電荷QC2の関係を示した図である。ΔQC2は期間tからtにおいて、MOSFETQ2をオンする信号を生成するために駆動回路GD2が必要とする電荷量を示す。MOSFETQ2がオフのとき、コンデンサC2は充電される。
【0070】
時刻tにおける電圧VC2の最大値は、第2の端子T2と第1の端子T1間に印加される正の電圧VT2T1の最大値VT2T1_MAXからツェナーダイオードZD1のツェナー電圧VZ1を引いた値を(n-1)で除した値、すなわち、(VT2T1_MAX-VZ1)/(n-1)となる。期間tからtにおいてコンデンサC2が放出する電荷量はΔQC2に等しいため、当該期間におけるコンデンサC2の電圧降下ΔVC2はΔQC2/C2である。
【0071】
したがって、時刻tにおける電圧VC2は(VT2T1_MAX-VZ1)/(n-1)-ΔQC2/C2である。期間tからtにおいてMOSFETのオンが継続するためには、tにおける電圧VC2の値が、駆動回路GD2の動作を保証する最低電圧VCC2_MINより大きい必要がある。この不等式を解くと、VZ1<VT2T1_MAX-(n-1)(VCC2_MIN+ΔQC2/C2)となる。
【0072】
第2の閾値VTH2がツェナーダイオードZD1の電圧VZ1より大きい場合、期間tからtにおいて、コンデンサC1の電圧VC1がツェナーダイオードZD1の電圧VZ1より大きくなった後、第2の端子T2から第1の端子T1間に印加される正の電圧VT2T1からVz1を引いた電圧値とMOSFETQ2~Qnのオン抵抗の合計値で定まる電流が第2の端子T2から第1の端子T1の方向に、MOSFETQ2~Qnがオフするまで流れてしまう。この問題を抑制するために、第2の閾値VTH2はVZ1より小さい必要がある。
【0073】
図13は、時刻tとtにおけるコンデンサC1の電圧VC1と蓄積電荷QC1の関係を示した図である。ΔQC1は、期間tからtにおいてMOSFETQ1をオンする信号を生成するために、駆動回路GD1と比較回路COMPaとCOMPbが必要とする電荷量を示す。MOSFETQ1がオフのとき、コンデンサC1は充電される。時刻tにおける電圧VC1の最大値はツェナーダイオードZD1のツェナー電圧VZ1であり、最小値は第二の閾値VTH2とすると、時刻tでは、VTH2≦VC1≦VZ1となる。期間tからtにおいてコンデンサC1が放出する電荷量はΔQC1に等しいため、該期間におけるコンデンサC2の電圧降下ΔVC1はΔQC1/C1に等しい。
【0074】
したがって、時刻tにおける電圧VC1の最小値はVTH2-ΔQC1/C1となる。期間tからtにおいてMOSFETのオンが継続するためには、tにおける電圧VC1の値が、比較回路COMPaとCOMPb、駆動回路GD1の動作を保証する最低電圧VCC1_MINより大きくなければならない。この不等式を解くと、VTH2>VCC1_MIN+ΔQC1/C1となる。
【0075】
TH2の値がMOSFETQ1の耐圧VDS1_MAXより大きい場合、期間t~tにおいてVDS1_MAXを超える電圧がMOSFETQ1に印加され、MOSFETQ1が破壊されてしまう。この問題を防ぐためには、VTH2の値はMOSFETQ1の耐圧VDS1_MAXより小さくなければならない。
【0076】
以上の理由により、ツェナーダイオードZD1の電圧VZ1と第2の閾値VTH2は、VCC1_MIN+ΔQC1/C1<VTH2<VZ1<VT2T1_MAX-(n-1)(VCC2_MIN+ΔQC2/C2)かつVTH2<VDS1_MAXを満たすように選定すればよい。
【実施例7】
【0077】
図14から図16を参照して、本発明の実施例7に係る半導体パッケージについて説明する。
【0078】
図14は、実施例2の変形例2(図5)に示した整流回路を半導体パッケージ2に内蔵した構成を示す。半導体パッケージ2は、第1の端子T1と第2の端子T2の2端子を外部端子として持つ。図14に示す整流回路は、第1の端子T1と第2の端子T2に整流電圧を印加して使用する。
【0079】
図15は、実施例5(図9)に示した整流回路を外部電源Pを除いて半導体パッケージ3に内蔵した構成を示す。半導体パッケージ3は、第1の端子T1と第2の端子T2と第3の端子T3の3端子を外部端子として持つ。図15に示す整流回路は、第1の端子T1と第2の端子T2に整流電圧を印加し、第1の端子T1と第3の端子T3に外部電源Pを接続して使用する。
【0080】
図16は、実施例2の変形例2(図5)に示した整流回路を4つ用いてブリッジ構成した整流回路を半導体パッケージ4に内蔵した構成を示す。整流回路5は、一例として図5に示した整流回路を示しており、整流回路6~8は整流回路5と同じ構成である。整流回路5は、他の実施例で説明した整流回路を用いてもよい。半導体パッケージ4は、第4の端子T4と、第5の端子T5と、第6の端子T6と、第7の端子T7の4端子を外部端子として持つ。図16に示す整流回路では、第5の端子T5と第6の端子T6に交流電圧を印加し、第4の端子T4と第7の端子T7から整流後の直流電圧を得る。
【0081】
図16に示す整流回路において、半導体パッケージ4の寸法と、4つの端子T4~T7の端子間距離を、ダイオードブリッジの既存製品と同程度にすることにより、ダイオードブリッジの既存製品との互換性を得ることができる。
【0082】
本実施例の利点として、整流回路を使用する製品を設計・製造する際に、本実施例のような制御回路を内蔵した整流回路を購入して組み込めばよく、自身で制御回路を設計・製造プロセスに組み込む必要がなくなるため、設計及び実装の工数を削減できる効果がある。
【実施例8】
【0083】
図17を参照して、本発明の実施例8に係るフロントエンド電源について説明する。図17は、実施例1~実施例7で説明した本発明の整流回路の適用対象となる電源の例を示している。
【0084】
本発明の適用範囲は、電力変換器に用いられる整流回路全般である。例えば、図17に示すようなフロントエンド電源においては、商用整流用ダイオードCRD1~4、還流ダイオードFWD1、二次側整流ダイオードSSD1~2、逆流防止ダイオードORD1の各々が適用される箇所に用いられる整流回路として置き換えて適用可能である。
【0085】
本発明の整流回路を、フロントエンド電源等の電源に適用することにより、電源の低損失化と信頼性向上に寄与することができる。
【0086】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施例は本発明に対する理解を助けるために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1:制御回路
2,3,4:半導体パッケージ
5,6,7,8:整流回路
T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7:端子
COMPa,COMPb,COMPa1,COMPa2,COMPan:比較回路
GD1~GDn:駆動回路
Q1~Qn:MOSFET
D1~Dn:逆流防止ダイオード
C1~Cn:コンデンサ
P:外部電源
LS2~LSn:レベルシフト回路
CC2~CCn:コンデンサ
R1~Rn:分圧用抵抗
ZD1~ZDn:ツェナーダイオード
CRD1~4:商用整流用ダイオード
FWD1:還流ダイオード
SSD1~2:二次側整流ダイオード
ORD1:逆流防止ダイオード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18