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特許7529955コチョウランの双茎のための高効率誘導方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】コチョウランの双茎のための高効率誘導方法
(51)【国際特許分類】
   A01H 3/02 20060101AFI20240731BHJP
   A01H 6/62 20180101ALI20240731BHJP
   A01H 4/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A01H3/02
A01H6/62
A01H4/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023508010
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 CN2022082907
(87)【国際公開番号】W WO2022252777
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】202110720751.0
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】黄 桂云
(72)【発明者】
【氏名】張 海波
(72)【発明者】
【氏名】呉 笛
(72)【発明者】
【氏名】呉 錦華
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-094083(JP,A)
【文献】特表2009-517018(JP,A)
【文献】特開平10-033077(JP,A)
【文献】特開2017-066118(JP,A)
【文献】特開2003-265035(JP,A)
【文献】特開2016-202108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01H 3/00
A01H 4/00
A01H 6/62
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コチョウランの双茎の高効率誘導方法であって、
催花を実行しようとするコチョウランの植物体について物理的平面と空間角度を揃えて調整する物理的処理S1と、
S1終了後、コチョウランの葉の茎部に花柄誘導混合溶液を噴霧する化学試薬による処理S2と、
コチョウランの双茎の高効率誘導を完了する処理とを含み、
S1において、物理的平面を調整する工程は、具体的に、全てのコチョウランの植物体の向きが整い揃い、それらの茎及び葉の生長方向を北に向け、それらの根部を南に向けて配置するようにさせることであり、
S1において、空間角度を調整する工程は、具体的に、コチョウランの植物体の第3~5葉の茎部にある葉腋に光が上から下に当たるように催花を実行しようとする全てのコチョウランの植物体を当該コチョウランの植物体を置くベッドの底面を基準に同じ傾斜角に挙げ、催花を30~40日間行って小花梗が10~20cmに生長した後に、傾斜角を無くして前記ベッドの底面を基準に0度又は180度に復して植物体を置くことであり、
S2において、花柄誘導混合溶液はTDZ(0.01~0.05g/L)+GA(0.3~1.0g/L)+IAA(0.1~0.6g/L)+PP333(0.2~0.8g/L)+P(0.5~1.2g/L)+グルタミン酸(0.8~1.5g/L)を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
S2において、噴霧方法は、水玉が茎部の表面に付着して流れないほどを好適とするように、毎回小型如雨露を用いてコチョウランの植物体の第2~5葉の茎部を一周回るとともに噴霧を行い、特に植物体の葉腋に噴霧することである
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
S2において、花柄誘導混合溶液による噴霧処理は9~12日間ごとに一回行われ、計2~4回実行される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物育種の技術分野に関し、特にコチョウランの双茎の高効率誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コチョウラン(Phalaenopsis spp.)は、ラン科のコチョウラン属の植物として独特の花型や鮮やかな色や長続きする盛りを備えるので「洋蘭の女王」と知られている。
【0003】
劉耀仁の発表した「二層膨張式催花温室におけるコチョウランの出茎率と双茎率についての調査」では、様々なコチョウランの品種について、30日以上催花を行った後、それらの双茎誘導率に関して、順番に、夕陽赤という品種が50%、ローレンスという品種が27%、V31という品種が7%であり、巨宝紅薔薇という品種のみが3%であると記載している。今年3月末に「中国花卉報」の掲載した記事「大晦日の花の王は、なぜコチョウランなのか」では、2020年大晦日の頃に中国におけるコチョウランの市場投入量が5500万株を超える見込みであり、総売上金が10億元を超えると見込まれ、下位にランクされる主要品種の売上金の総和に当たったと記載している。コチョウランの双茎種について、ヨーロッパは中国よりも優勢だが、これはヨーロッパの育種者が20年以上にわたって双茎種を栽培してきたからである。中小花型と言えば、双茎種は生産者にとって単茎種よりも利得が高い。中国の販売業者にとっては、単茎製品の購入価格が20元であるなら、高品質の双茎製品の購入価格が通常25元となり、最高割増金は25%に達する。このように、国民の生活の質を向上させ美しい中国を構築するようなコチョウランの双茎種の研究に重要な実際的意義があることは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、双茎種の観賞効果を達成できるだけでなく育種に必要な手間を大幅に低減できる、コチョウランの双茎の高効率誘導方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
コチョウランの双茎のための高効率誘導方法は、
催花を実行しようとするコチョウランの植物体に対し物理的平面と空間角度を揃えて調整する物理的処理S1と、
S1終了後、コチョウランの第2~5葉の茎部に10日間毎に1回から計3回花柄誘導混合溶液を噴霧する化学試薬による処理S2と、
コチョウランの双茎のための高効率誘導を完了する処理とを含む。
【0006】
好ましくは、S1において、物理的平面を調整する工程は、具体的に、全てのコチョウランの植物体の向きが整い揃い、それらの茎及び葉の生長方向を北に向け、それらの根部を南に向けて配置するようにさせることである。
【0007】
好ましくは、S2において、空間角度を調整する工程は、具体的に、催花を実行しようとする全てのコチョウランの植物体を同じ傾斜角に挙げ、それらの第3~5葉の茎部にある葉腋に光が上から下に当たるように植物体を揺れベッドの底面に向かって70~90度と傾斜させ、催花を30~40日間行って小花梗が10~20cmに生長した後、傾斜角を無くして0度又は180度に復して植物体を置くことである。
【0008】
好ましくは、S1において、花柄誘導混合溶液はTDZ(0.01~0.05g/L)+GA(0.3~1.0g/L)+IAA(0.1~0.6g/L)+PP333(0.2~0.8g/L)+P(0.5~1.2g/L)+グルタミン酸(0.8~1.5g/L)を含む。
【0009】
好ましくは、S2において、噴霧方法は、水玉が茎部の表面に付着して流れないほどを好適とするように、毎回150mlの小型如雨露を用いて最良の噴霧状態に壷口を調整してコチョウランの植物体の第2~5葉の茎部を一周回るとともに噴霧を行い、特に植物体の葉腋に噴霧することである。
【0010】
好ましくは、S2において、花柄誘導混合溶液による噴霧処理は9~12日間ごとに一回行われ、計2~4回実行される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有益な効果は、次のとおりである。
1、屋外で植物体を栽培できるため、簡単な操作性と顕著な効果を備え、コチョウランの双茎を定期的に誘導し出すことができる。
【0012】
2、コチョウランの植物体の物理的平面を調整することで地球磁場を植物体に通過させるだけでなく、植物体に対する地球磁場の影響を最小限に抑え、施肥や灌水や植え替えなどの操作を容易にすることができる。
【0013】
3、コチョウランの植物体の物理的な空間角度を調整することでコチョウランの第3~5葉の茎部にある葉腋に光が上から下に当たる助けとなり、双茎を萌えさせることができる。
【0014】
4、化学試薬による処理は、植物体が栄養生長を生殖生長に変えるように有効的に促し、花芽の分化と双茎率を助長できるため、大規模生産において非常な重要性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コチョウランの葉面の向きが整い揃うことを示す。
図2】コチョウランの植物体の空間傾斜角の処理を示す。
図3】コチョウランの多株への双茎の誘導を示す。
図4】コチョウランの単株への双茎の誘導を示す。
図5】双茎を備える赤色系のコチョウラン(紅太陽という品種(Phalaenopsis aphrodite Red Sun))の咲いている植物体を示す。
図6】双茎を備える黄色系のコチョウラン(富楽夕陽という品種(Phalaenopsis Fuller’s Sunset))の咲いている多株の植物体を示す。
図7】双茎を備える橙色系のコチョウラン(金蝶という品種(Phalaenopsis Kingdee))の咲いている多株の植物体を示す。
図8】双茎を備える赤色系のコチョウラン(世紀紅という品種(Doritaenopsis Century Red))の咲いている多株の植物体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的と技術的解決策と有益な効果をより明確に説明できるように、次に具体的な実施例と相まって更なる説明を行う。なお、本明細書に記載された特定の実施例が本発明を説明するためのみに用いられ、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0017】
実施例1
1、物理的処理
双茎の萌出を順調且つ有効的に促すために、まずコチョウランの植物体に対し物理的処理を行い、主に催花を実行しようとするコチョウランの植物体に対し物理的平面と空間角度とを揃えて調整する。一番目には、物理的平面を調整する、即ち、全てのコチョウランの植物体の向きが整い揃っており、本実験温室が南北方向に合わされており(その他類似の温室が実際の状況に応じて調整できる)、植物体の茎及び葉の生長方向を北に向けて根部を南に向けて配置することで植物体が地球磁場の方向と一致することを確かにすることにより、地球磁場を植物体に通過させ、植物体に対する地球磁場の影響を最小限に抑えるだけでなく、施肥や灌水や植え替えなどの操作を容易にすることができる(図1をご覧ください)。二番目には、向きが整い揃った後に植物体に対して空間角度を調整する、即ち、催花を実行しようとする全てのコチョウランの植物体を同じ傾斜角に挙げ、当該植物体の第3~5葉の茎部にある葉腋に光が上から下に当たるように植物体を揺れベッドの底面に向かって70~90度に傾斜させ、催花を30~40日間行って小花柄が10~20cmに生長した後、傾斜角を無くして0度又は180度に復して植物体を置く(図2をご覧ください)。詳細な実験結果を表1~3に示す。
【0018】
30日後の統計分析によると、向きが整い揃ったコチョウランの植物体の双茎の誘導結果は、次に示される。試験群Pの向きだけ整い揃ったコチョウランの大花品種には双茎種がなく、即ち、双茎の誘導率は0%である。試験群Pの向きが整い揃ったコチョウランの小花品種には5株の双茎種があり、双茎の誘導率は5.6%である。対照群Pのコチョウランの大花品種にも双茎種がなく、双茎の誘導率は0%である。対照群Pのコチョウランの小花品種には1株の双茎種があり、双茎の誘導率は1%である(表1をご覧ください)。
【0019】
30日後の統計分析によると、空間角度処理を行ったコチョウランの植物体の双茎の誘導結果は、次に示される。試験群Pの70~90度になる空間角度処理だけを行ったコチョウランの大花品種には4株の双茎種があり、双茎の誘導率は4.4%である。試験群Pの70~90度になる空間角度処理を行ったコチョウランの小花品種には9株の双茎種があり、双茎の誘導率は10.0%である。試験群Pのコチョウランの大花品種は、対照群Pに比べて4株の双茎種が増え、双茎の誘導率は4.4%増加する。試験群Pのコチョウランの小花品種は、対照群Pに比べて8株の双茎種が増え、双茎の誘導率は8.9%増加する(表2をご覧ください)。
【0020】
30日後の統計分析によると、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行ったコチョウランの植物体の双茎の誘導結果は、次に示される。試験群Pの向きが整い揃い且つ70~90度になる空間角度処理を行ったコチョウランの大花品種には71株の双茎種があり、双茎の誘導率は78.9%である。試験群Pの向きが整い揃い且つ70~90度になる空間角度処理を行ったコチョウランの小花品種には82株の双茎種があり、双茎の誘導率は91.1%である。試験群Pのコチョウランの大花品種は、対照群Pに比べて71株の双茎種が増え、双茎の誘導率は78.9%増加する。試験群Pのコチョウランの小花品種は、対照群Pに比べて81株の双茎種が増え、双茎の誘導率は90%増加する(表3をご覧ください)。
【0021】
表1:コチョウランに対して催花及び育成を30日間行った後の双茎の誘導についての情報
【表1】
【0022】
表2:コチョウランに対して催花及び育成を30日間行った後の双茎の誘導についての情報
【表2】
【0023】
表3:コチョウランに対して催花及び育成を30日間行った後の双茎の誘導についての情報
【表3】
【0024】
表3から見れば、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行ったコチョウランの植物体は、大花品種と小花品種のいずれに属するかにかかわらず、それらの双茎種の誘導株数及び誘導率の両方が改善され、試験群Pのコチョウランの小花品種は、対照群Pの大花品種に比べて82株の双茎種が増え、誘導率は91.1%増加し、対照群Pの小花品種に比べて81株の双茎種が増え、誘導率は90%増加し、対照群Pの大花品種に比べて11株の双茎種が増え、誘導率は15.4%増加する。試験群Pの大花品種は、対照群Pの大花品種に比べて71株の双茎種が増え、誘導率は78.9%増加し、対照群Pの小花品種に比べて70株の双茎種が増え、誘導率は77.8%増加する。上記内容は、向きの整い揃いと空間角度処理がコチョウランの双茎種の誘導に重要な役割を果たすことを明らかにする。
【0025】
2、化学試薬による処理
化学試薬による処理についての研究は、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行った後、コチョウランの第2~5葉の茎部に花柄誘導混合溶液(TDZ(0.01~0.05g/L)+GA(0.3~1.0g/L)+IAA(0.1~0.6g/L)+PP333(0.2~0.8g/L)+P(0.5~1.2g/L)+グルタミン酸(0.8~1.5g/L))を噴霧するとともに対照群(花柄誘導混合溶液を噴霧せず)を配置することである。各処理工程に30鉢の植物体があり、実験を3回繰り返す必要がある。花柄誘導混合溶液を10日間ごとに1回、計3回噴霧する必要がある。噴霧方法は、水玉が茎部の表面に付着して流れないほどを好適とするように、毎回150mlの小型如雨露を用いて最良の噴霧状態に壷口を調整してコチョウランの植物体の第2~5葉の茎部を一周回るとともに噴霧を行い、特に植物体の葉腋に噴霧することである。実験結果は、花柄誘導混合溶液を噴霧した植物体の誘導率について、小花品種が98.9%で、大花品種が88.9%で、小花品種は大花品種に比べて10%増え、小花品種と大花品種の平均双茎率は93.9%であるが、花柄誘導混合溶液を噴霧しなかった植物体の双茎率は低くなることを明らかにする。詳細な実験結果を表4に示す。
【0026】
-P10においては、花柄誘導混合溶液AはTDZ(0.03g/L)+GA(0.6g/L)+IAA(0.4g/L)+P(0.5~1.2g/L)+グルタミン酸(1.2g/L)を含む。
【0027】
11-P12においては、花柄誘導混合溶液BはTDZ(0.03g/L)+GA(0.6g/L)+IAA(0.4g/L)+PP333(0.5g/L)+P(0.9g/L)を含む。
【0028】
13-P14においては、花柄誘導混合溶液CはTDZ(0.03g/L)+GA(0.6g/L)+IAA(0.4g/L)+PP333(0.5g/L)+P(0.9g/L)+グルタミン酸(1.2g/L)を含む。
【0029】
15-P16においては、花柄誘導混合溶液CはTDZ(0.03g/L)+GA(0.6g/L)+IAA(0.4g/L)+P(0.9g/L)を含む。
【0030】
表4:様々なコチョウランの植物体に花柄誘導混合溶液を噴霧するのについての情報
【表4】
【0031】
30日後の統計分析によると、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行った後でコチョウランの植物体に花柄誘導混合溶液Aを噴霧した結果は、試験群Pの大花品種では、72株の双茎種があり、誘導率が80%に達し、花柄の長さが10.9cmになり、花柄の粗さが0.41cmになるが、試験群P10の小花品種では、81株の双茎種があり、誘導率が90%に達し、花柄の長さが8.6cmになり、花柄の粗さが0.31cmになることを明らかにする。
【0032】
30日後の統計分析によると、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行った後でコチョウランの植物体に花柄誘導混合溶液Bを噴霧した結果は、試験群P11の大花品種では、73株の双茎種があり、誘導率が81.1%に達し、花柄の長さが9.2cmになり、花柄の粗さが0.45cmになるが、試験群P12の小花品種では、82株の双茎種があり、誘導率が91.1%に達し、花柄の長さが7.7cmになり、花柄の粗さが0.35cmになることを明らかにする。
【0033】
30日後の統計分析によると、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行った後でコチョウランの植物体に花柄誘導混合溶液Cを噴霧した結果は、試験群P14の小花品種では、89株の双茎種があり、誘導率が98.9%に達し、花柄の長さが10.5cmになり、花柄の粗さが0.38cmになるが(図3図6~7をご覧ください)、次点となると、試験群P13の大花品種では、80株の双茎種があり、誘導率が88.9%に達し、花柄の長さが12.8cmになり、花柄の粗さが0.52cmになる(図4~5、図8を覧ください)ことを明らかにする。
【0034】
30日後の統計分析によると、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行った後でコチョウランの植物体に花柄誘導混合溶液Dを噴霧した結果は、試験群P15の大花品種では、70株の双茎種があり、誘導率が77.8%に達し、花柄の長さが7.9cmになり、花柄の粗さが0.39cmになるが、試験群P16の小花品種では、80株の双茎種があり、誘導率が88.9%に達し、花柄の長さが6.6cmになり、花柄の粗さが0.25cmになることを明らかにする。
【0035】
表4から見れば、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行った後でコチョウランの植物体に花柄誘導混合溶液(TD(0.01~0.05g/L)+GA(0.3~1.0g/L)+IAA(0.1~0.6g/L)+PP333(0.2~0.8g/L)+P(0.5~1.2g/L)+グルタミン酸(0.8~1.5g/L))を噴霧すると、双茎種の誘導の株数と誘導率の改善効果のいずれにおいても最適な結果となる。試験群P14の小花品種は、誘導効果が最も良く、最多89株までの双茎種があり、誘導率が98.9%に達し、花柄の長さが10.5cmになり、花柄の粗さが0.38cmになる(図3図6~7をご覧ください)。次点となると、試験群P13の大花品種は、80株の双茎種があり、誘導率が88.9%に達し、花柄の長さが12.8cmになり、花柄の粗さが0.52cmになる(図4~5、図8をご覧ください)。試験群P14の小花品種は、対照群P、P、P、P10、P11、P12、P13、P15及びP16に比べると、それぞれ双茎種が、89株、88株(8800%増)、17株(23.6%増)、8株(9.9%増)、16株(21.9%増)、7株(8.5%増)、9株(11.3%増)、19株(24.1%増)及び9株(11.3%増)増加し、それぞれ誘導率が、98.9%、97.8%、18.9%、8.9%、17.8%、7.8%、10.0%、21.1%及び10.0%増え、それぞれ花柄の長さが、10.5cm、5cm(91%増)、-0.4cm(3.7%減)、1.9cm(22.1%増)、1.3cm(14.1%増)、2.8cm(36.4%増)、-2.3cm(18.0%減)、2.6cm(32.9%増)及び3.9cm(59.1%増)増加し、それぞれ花柄の粗さが、0.38cm、0.15cm(65.2%増)、-0.03cm(7.3%減)、0.08cm(26.7%増)、-0.07cm(15.6%減)、0.03cm(8.6%増)、-0.14cm(26.9%減)、-0.01cm(2.6%減)及び0.13cm(52%増)増加する。小花品種の一部は品種自体の特性に依存して花柄の長さ及び粗さにおいて大花品種より僅かに低くなるが、その全部が双茎種の株数と誘導率という重要な指標において絶対な優位を占める。試験群P13の小花品種は、対照群P、P、P、P10、P11、P12、P13、P15及びP16に比べると、それぞれ双茎種が、80株、79株(7900%増)、8株(11.1%増)、-1株(1.2%減)、7株(9.6%増)、-2株(2.4%減)、-9株(10.1%減)、10株(14.3%増)及び0株(0.0%増)増加し、それぞれ誘導率が、88.9%、87.8%、8.9%、-1.1%、7.8%、-2.2%、-10.0%、11.1%及び0.0%増え、それぞれ花柄の長さが、12.8cm、7.3cm(132.7%増)、1.9cm(17.4%増)、4.2cm(48.8%増)、3.6cm(39.1%増)、5.1cm(66.2%増)、2.3cm(21.9%増)、4.9cm(62.0%増)及び6.2cm(93.9%増)増加し、それぞれ花柄の粗さが、0.52cm、0.29cm(126.1%)、0.11cm(26.8%増)、0.22cm(73.3%増)、0.07cm(15.6%増)、0.17cm(48.6%増)、0.14cm(36.8%増)、0.13cm(33.3%増)及び0.27cm(108.0%増)増加する。大花品種は、双茎種の株数及び誘導率において小花品種より低くなるが、花柄の長さ及び粗さにおいて絶対な優位を占める。
【0036】
要約すれば、向きが整い揃い且つ空間角度処理を行った後に花柄誘導混合溶液を適用するという方法は、コチョウランの双茎の誘導に重要な役割を果たし、「ゼロ」の突破(コチョウランの大花品種)を達成するだけでなく、双茎の株数を大幅に増加させ、誘導率を上げるうえ、花柄の長さ及び粗さの増加において明らかな優位を占める。これは、高収量や高品質や高効率を備えるコチョウランを育成し、多彩な生活を遂げるように強固な技術基盤を提供する。
【0037】
上記に開示されたものは、本発明の好ましい特定の実施形態に過ぎないが、本発明の保護範囲はこれに限定されない。当業者の誰も本発明に開示された技術範囲内でそれを容易に想到できるすべての変更又は交換を、本発明の保護範囲に含めるべきである。
【0038】
[付記]
[付記1]
コチョウランの双茎の高効率誘導方法であって、
催花を実行しようとするコチョウランの植物体について物理的平面と空間角度を揃えて調整する物理的処理S1と、
S1終了後、コチョウランの葉の茎部に花柄誘導混合溶液を噴霧する化学試薬による処理S2と、
コチョウランの双茎の高効率誘導を完了する処理とを含み、
S1において、物理的平面を調整する工程は、具体的に、全てのコチョウランの植物体の向きが整い揃い、それらの茎及び葉の生長方向を北に向け、それらの根部を南に向けて配置するようにさせることであり、
S1において、空間角度を調整する工程は、具体的に、コチョウランの植物体の第3~5葉の茎部にある葉腋に光が上から下に当たるように催花を実行しようとする全てのコチョウランの植物体を同じ傾斜角に挙げ、催花を30~40日間行って小花梗が10~20cmに生長した後に、傾斜角を無くして0度又は180度に復して植物体を置くことであり、
S2において、花柄誘導混合溶液はTDZ(0.01~0.05g/L)+GA3(0.3~1.0g/L)+IAA(0.1~0.6g/L)+PP333(0.2~0.8g/L)+P2O5(0.5~1.2g/L)+グルタミン酸(0.8~1.5g/L)を含む
ことを特徴とする方法。
【0039】
[付記2]
S2において、噴霧方法は、水玉が茎部の表面に付着して流れないほどを好適とするように、毎回小型如雨露を用いてコチョウランの植物体の第2~5葉の茎部を一周回るとともに噴霧を行い、特に植物体の葉腋に噴霧することである
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0040】
[付記3]
S2において、花柄誘導混合溶液による噴霧処理は9~12日間ごとに一回行われ、計2~4回実行される
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8