IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ I-sonat株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-スノードーム 図1
  • 特許-スノードーム 図2
  • 特許-スノードーム 図3
  • 特許-スノードーム 図4
  • 特許-スノードーム 図5
  • 特許-スノードーム 図6
  • 特許-スノードーム 図7
  • 特許-スノードーム 図8
  • 特許-スノードーム 図9
  • 特許-スノードーム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】スノードーム
(51)【国際特許分類】
   A63H 23/08 20060101AFI20240731BHJP
   A63H 23/10 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A63H23/08 Z
A63H23/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020153347
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022039854
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】521563194
【氏名又は名称】I-sonat株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153785
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 正典
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一男
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-013360(JP,A)
【文献】実開平02-099000(JP,U)
【文献】実開平02-071698(JP,U)
【文献】特開2020-185349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
前記液体注入用の口の外側を取り囲む第1の壁を有すると共に、この第1の壁の外側を取り囲む第2の壁を有し、この第2の壁は前記第1の壁と同じ高さか前記第1の壁よりも高く設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスノードーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスノードームの組み立てに於いて、ドームに栓をして密閉するに際し、ドームを満たす液体中から気泡を抜く作業を楽に行うことが出来るようにした、スノードームに関する。
【背景技術】
【0002】
スノードーム(スノーグローブとも呼ぶ)は19世紀のヨーロッパを発祥として米国で一般化した。スノードームの構造は、主にガラス製の透明な容器をドーム状や球状に形成して、内部に風景などの写真やミュチュア(景物)を配して、雪に見立てた粉末を納めた後に、スノードームの底部に設けた注入口からグリセリンや水などの透明な液体を注入して満たし、注入口に栓をしたものである。このように構成されたスノードームを手に持って逆さまにしたりすることで、風景に雪を降らせて遊ぶことが出来る。この景物としてはエッフェル塔や摩天楼などのご当地の風物が用いられるため、世界で土産物としての需要が多い。
【0003】
実用新案登録第3171324号のスノードーム型カレンダー(1)の考案は、上部を半球形に形成したドーム型の透明容器(2)に透明な液体(3)を充填し、液体(3)の内部に微小な装飾片(4)を多数収容すると共に、透明容器(2)の底部(2a)に設けた開口部(8)から上方へ向けて、透明容器(2)内の液体(3)から隔絶された状態で所定幅のスリット(5)を形成する枠部材(5a)を設け、スリット(5)にカレンダー等の表示片(6)を交換可能に挿入すると共に、透明容器(2)の底部(2a)を受ける受台(7)によってスリット(5)の開口部(8)を閉じるようにした。なお透明容器(2)への液体(3)の充填は底部(2a)に設けた注入口(9)から行われ、充填した後の透明容器(2)の密閉は注入口(9)を栓部材(10)で閉じることで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3171324号公報(図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに実用新案登録第3171324号のスノードーム型カレンダーは良く設計されている。しかしながら欠点もある。上述したように透明容器(2)への液体(3)の充填は底部(2a)に設けた注入口(9)から行われ、また充填した後の透明容器(2)の密閉は注入口(9)を栓部材(10)で閉じることで行われる。ところが液体(3)には気泡が含まれているものであり、この気泡を取り除かないと透明容器(2)の壁面に取り付いたり、液体(3)内で装飾片(4)鑑賞の目障りになったりする。また小さな気泡が時間と共に集まってより大きな空気の塊になり、液体(3)の上部に溜ったりすると言う不都合を生じる。大きな空気の塊は出しやすくもあるが、ちょっとした振動でまた小さな泡に細分化すると言う性質がある。気泡は動いてしまいやすく、注入口(9)を設けた壁面の注入口(9)の回りをさまよって中々注入口(9)に出て来てくれない。気泡はドーム部(2b)と底部(2a)との境目にあっては、水の表面張力によるものか、気泡は部材の境目に捉えられやすく、この境目に沿って移動するのみで注入口(9)の方に移動しにくい性質が見られる。こうして気泡が残っていると、スノードームを手に持って逆さまにしたりする時に、どうしても泡が気になってしまうし、製品としての完成度も問われてしまう。なお上記注入口(9)と栓部材(10)との構成によれば慎重に作業しても注入口(9)に栓部材(10)を嵌め合わせる段階で透明容器(2)の液体(3)の中に、せっかく出したはずの気泡が紛れ込むことがある。
【0006】
そこで当発明者は閉栓の作業が楽にスピーディーに行えて、気泡が残りにくくなるような構成手段はないものかと思考した。すなわちこの発明は気泡が抜きやすく且つ残りくいようなスノードームの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため本発明では、ドームと、該ドームに設けられた液体注入用の口と、該口を閉じて前記ドームを密閉するための栓とを備え、前記ドーム内側の前記液体注入用の口がある壁面に、前記液体注入用の口に通じる気泡案内用の溝が設けられている、スノードームとした。
【0008】
上述したように従来製品では、気泡を抜く最終段階で気泡は動いてしまいやすく、液体注入用の口を設けた壁面のその口の回りをさまよって中々その口に出て来てくれなかったり、ドーム側の部材と口側の部材との境目にあっては、気泡は部材の境目に捉えられやすく、この境目に沿って移動するのみで口の方には来にくいのであるが、本発明によれば、気泡案内用の溝があることによってこの溝に捕捉され案内される形で気泡が液体注入用の口まで出て来るのである。従って気泡を抜く作業がやりやすいものとなり、気泡を抜くために要する時間が大幅に短縮されると言う効果を奏する。
【0009】
このような気泡案内用の溝は、液体注入用の口がある壁面の、液体注入用の口の近傍にのみ設けられているものとしても良い。例えば上部を半球形に形成したドーム型透明容器の底部に平らな受台があるスノードームであれば、受台の中央部に開口した液体注入用の口から、平らな受台の端部すなわち透明容器のドーム壁面に至る部位まで、気泡案内用の溝を設けるのでも良いのであるが、そうではなくて液体注入用の口の近傍にのみ設けるようにしたのである。上述したように気泡は動いてしまいやすく、液体注入用の口を設けた壁面のその口の回りをさまよっていて中々その口から出て来てくれない。しかしながら口の回りをさまようものであるから、気泡案内用の溝をその部位にのみ設けるようにしただけでも気泡を捕捉することが可能になる。一方、上述したようにドーム側の部材と口側の部材との境目にあっては、気泡は部材の境目に捉えられやすく、この境目に沿って移動するのみで口の方には来にくいわけであるが、それでもドーム側や、口がある壁面側を指先などで叩くことによって、気泡が部材の境目から離脱してくることがある。こうした時に水の表面張力によるものか気泡案内用の溝がその気泡を捕捉するのである。溝が上記部材との境目まで設けられている場合に比べれば気泡は出し難くはあるが、溝には気泡案内の作用が確かに見られるのである。
【0010】
また気泡案内用の溝が複数条設けられているものとしても良い。例えば上記受台の中央部に開口した液体注入用の口へは、気泡案内用の溝が1条設けられていれば所要の効果を奏することが分かっているが、溝が複数条であると気泡抜きがより効率的なものとなる。なお溝が複数条であって、各々の溝の長短が異なるような構成もまた可能である。
【0011】
また上記壁面が、気泡を前記液体注入用の口へ向かわせる傾斜面であるものとすることが出来る。例えば上述した底部に平らな受台があるスノードームであれば、平らな受台にこの発明の構成を適用して、気泡案内用の溝を設けるだけで所要の効果を発揮するのであるが、更に受台を気泡を前記液体注入用の口へ向かわせる傾斜面を有するものとすることで、気泡抜きがより効率的なものとなる。
【0012】
また上記ドーム内に、風景などの写真やミニチュアと言った景物を設置するための台座を備えており、前記液体注入用の口と前記気泡案内用の溝とが前記台座の下を潜るように設けられているものとしても良い。要は景物を設置するための台座があるとしても、この潜る気泡の通路と気泡案内用の溝とが設けられていれば、気泡は景物の台座に邪魔されることなく、液体注入用の口へ向かうことが出来る。
【0013】
さて前記液体注入用の口の外側を取り囲む第1の壁を有すると共に、この第1の壁の外側を取り囲む第2の壁を有し、この第2の壁は前記第1の壁と同じ高さか前記第1の壁よりも高く設けられているように構成しても良い。
【0014】
この構成によれば、液体注入用の口がその外側を取り囲む第1の壁と、更にその外側を取り囲む第2の壁とを有すると共に、第2の壁が第1の壁と同じ高さでまたは第2の壁が第1の壁よりも高く設けらており、液体注入用の口を閉じる栓は第1の壁に囲まれた口に栓をするように構成されている。そこでこの口からドームの中に液体を注入する時に液体を第1の壁から溢れ出させて第2の壁の中に入れ、第1の壁が液体に沈むようにするのである。このことが可能なのは第1の壁の外側を取り囲む第2の壁があることによる。
【0015】
第2の壁が第1の壁と同じ高さに設けられている場合では、第2の壁の高さいっぱいに液体を入れると、液体はその表面張力で盛り上がるので、第1の壁は液体の中に沈むようになる。第2の壁が第1の壁よりも高く設けらている場合では、第1の壁が沈むようにして第2の壁の中に液体を入れることが出来る。その何れの場合であっても第1の壁が液体の中に沈むようになる。従って第1の壁に囲まれた液体注入用の口に栓をする時に、この栓は第2の壁の液体の中に入ってから液体注入用の口を閉じるようになる。この栓が液体注入用の口に到達する前に第2の壁の中の液体に入り込むようになる。すなわち従来のように栓がいきなり液体注入用の口を閉じる場合ではこの栓が空気や気泡を捲き込みやすいのであるが、これに対して本発明によれば、この栓が空気や気泡を捲き込んで液体注入用の口を閉じるようなことは極めて起こりづらいものとなっている。
【0016】
なお本発明の実施に際しては、好適には第2の壁を第1の壁よりも高く設けるようにする。このようにすればこの栓にまつわる空気の影響を、第2の壁の中の液中で十分に除外することが可能になり、作業に余裕が生まれる。
【0017】
なお上述した動的に雪を降らせることを楽しむいわゆるスノードームでなくとも本発明を適用することが可能である。例えば水中花を液体中に配した静的なるドームや、比重が異なる幾種類かの色水を封入して、ドームを傾けることで色水が混ざり合うものの、静かに放置しておくことで色の層に分かれるような動的なドームや、水圧を変化させ得る機構を備え、水圧の脈動的な変化により模型の魚の鰭を動作させて、魚が恰も自然に泳いでいるかのように見せる水槽など、任意のドームに適用することが可能である。またこれ等のドームに照明器具を組み合わせたりすることなども、任意設計事項である。すなわちこれ等は本発明の権利範囲内にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスノードームは、ドーム内側の液体注入用の口がある壁面に、液体注入用の口に通じる気泡案内用の溝が設けられているものである。気泡案内用の溝があることによりこの溝に捕捉され案内される形で気泡が液体注入用の口まで出て来るようになる。従って気泡を抜く作業がやりやすいものとなり、気泡を抜くために要する時間が大幅に短縮されると言う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】 実施例1の説明図である。
図2】 実施例1を断面図で表した説明図である。
図3】 実施例1のドーム1の横断面を平面視した説明図である。
図4】 実施例2の説明図である。
図5】 実施例2の天地を反して断面図で表した説明図である。
図6】 実施例3を断面図で表した説明図である。
図7】 実施例4を断面図で表した説明図である。
図8】 実施例4のドーム6の横断面を平面視した説明図である。
図9】 実施例5のドーム7の横断面を平面視した説明図である。
図10】 実施例6のドーム8の横断面を平面視した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では本発明の実施例6種を図面に基づいて説明するが、本発明はこれ等に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内で工夫される種々変形例もまた本発明の権利範囲に含まれるものである。例えば例えば後述の水3をグリセリンなどに変更することが出来る。また気泡案内用の溝が1条と言う場合に、溝は直線でなくても曲線であっても良い。
【実施例1】
【0021】
図1乃至図3で本実施例のスノ―ドームを表す。透明なガラス製のドーム1は、球体の下端部に円筒状の開口部10を有する形状を呈して、この開口部10には台座2が、その填め込み突起20によってしっかりと填め込まれている。この台座2は傾斜状の底板21を備えている。底板21の傾斜はドーム1との境目から中心部分にある注入口22の内筒27に向けて下っており、この間の底板21の4回対称の位置に溝部23が設けられている。この溝部23は気泡の通り道となる部位である。図中符号24は壇部を指しており、壇部24は支柱25によって底板21に立設されており、この上に景物を置くことが可能である。なお注入口22の内筒27はその外側から栓26で液密に閉じることが出来るようになっている。
【0022】
なお注入口22の端部(第2の壁に相当)は、この注入口22の内筒27の端部(第1の壁に相当)よりも外側(図2の上方)に在るように構成されている。
【0023】
本実施例の使用法であるが、図1の天地を反した図2の体勢にして、注入口22の内筒27から栓26を外し、注入口22からドーム1の中に水3を注入する。この時に水3が内筒27から溢れて注入口22を満たす(溢水31)まで行うようにすると良い。この時までにドーム1内に気泡30が残っていたとする。気泡30は上昇して来る性質を有するが、ドーム1の壁面や底板21や、両者の境目に止まるものが出て来る。これ迄であればドーム1を指先で軽く叩くなどして、気泡30を注入口22からドーム1の外に出そうとしたのであるが、既述の通りなかなかうまく行かないのが実状であった。ところが本実施例によれば、気泡30は底板21の表面を彷徨う内に、あるいはドーム1と底板21との境目に沿って移動する内に溝部23に至り、注入口22の内筒27方向に傾斜状態の溝部23を伝って内筒27へと案内されることになる。このようにして気泡30が抜けたならば、内筒27を栓26で止めれば良い。
【0024】
なお次に本実施例の付随的な特徴について説明しておく。上述したように水3は注入口22の内筒27から溢れて、注入口22の中で溢水31となり注入口22の縁に達している。すなわち内筒27は溢水31に水没している。この内筒27を栓26で止めるに際して、栓26を内筒27に近づけて行くと栓26は最初に溢水31に触れるが、この時に栓26を操って栓26の先に気泡が着いていないようにするのである。そしてドーム1内に気泡30が残らず栓26にも気泡が付着していない状態で、栓26を進めて内筒27に栓26をするのである。
【実施例2】
【0025】
図4及び図5で本実施例のスノ―ドームを表す。透明な合成樹脂製のドーム4は半球体の下端部に開口部40を有する形状を呈し、この開口部40には台座5が、その填め込み突起50によってしっかりと填め込まれている。この台座5は傾斜状の底板51を備えている。底板51の傾斜はドーム4との境目から中央部の注入口52に向けて下っており、この間の底板51の4回対称の位置に溝部53が設けられている。この溝部53は気泡の通り道となる部位である。図中符号54は壇部を指し、壇部54は支柱55によって底板51に立設されており、この上に景物を置くことが可能である。なお注入口52にはその外側から栓56で液密に閉じることが出来るようになっている。一方上記開口部40および台座5の端部は、上記注入口52の端部よりも外側(図5の上方)に在るように構成されている。
【0026】
本実施例の使用法は上述した実施例1の使用法に倣う。本実施例に於いても気泡30は底板51の表面を彷徨う内に、あるいはドーム4と底板51との境目に沿って移動する内に、溝部53に至り、注入口52方向に傾斜した状態の溝部53を伝って注入口52へと案内されることになる。このようにして気泡30が抜けたならば、注入口52を栓56で液密に止めれば良い。この際に注入口52(第1の壁に相当)が溢水31に水没するように、予め注水するに当たり水3が注入口52から溢れて開口部40内に満つようにしておくとなお良い。
【実施例3】
【0027】
図6で本実施例のスノ―ドームを表す。透明な合成樹脂製のドーム6は開口部60よりも幾分奥まった位置に底板61を有する。この底板61は注入口62を有し、底板61のドーム6の内側に面する部位は平坦ではなく、注入口62に向けて下方に傾斜している。上記注入口62は底板61の中心部から一方に外れた位置に設けられており、この注入口62から底板61とドーム6との境目に掛けて2条の溝部63,64が2回対称の位置に刻設されている。図6で明らかなように溝部63の方が溝部64よりも短いが、気泡30の通り道となる部位である。なお注入口62はその外側から栓65で液密に閉じることが出来るようになっている。
【0028】
本実施例の使用法であるが、図6の天地を反した体勢で、注入口62の栓65を外し、注入口62(第1の壁に相当)からドーム6の中に水3を、注入口62から溢れて開口部60(第2の壁に相当)に満つまで行うようにする。
【0029】
この時までにドーム6内に気泡30が残っていたとする。気泡30は上昇して来る性質を有するが、ドーム6の壁面や底板61や、ドーム6と底板61との境目に止まるものが出て来る。これ迄であればドーム6を指先で軽く叩くなどして気泡30を注入口62からドーム6の外に出そうとしたのであるが、既述の通りなかなかうまく行かないのが実状であった。ところが本実施例によれば、気泡30は底板61の表面やーム6と底板61との境目を彷徨う内に2条の溝部63,64に集まり、溝部63,64の傾斜状態もあって、この溝部63,64を伝って注入口62へと案内されることになる。このようにして気泡30が抜けたならば注入口62を栓65で止めるようにすれば良い。
【実施例4】
【0030】
図7及び図8で本実施例のスノ―ドームを表す。透明な合成樹脂製のドーム7は開口部70よりも幾分奥まった位置に底板71を有する。この底板71からドーム7の頂部付近までの間、ドーム7を左右に二分する立方体形状の透明な合成樹脂製の中空部75が形成されており、この中空部75の中に底板71の挿着口76から景物77が着脱自在に挿着出来るように構成されている。
【0031】
頂部で水3の流通はあるものの、中空部75から左右に隔てられたドーム7の、一側の底板71には、注入口72が設けられており、注入口72には栓74が液密に止められるようになっている。この注入口72がある側の底板71には、注入口72から底板71とドーム7との境目に掛けて、および注入口72から底板71と中空部75との境目に掛けて、溝部73,73が刻設されている。その何れも気泡30の通り道となる部位である。
【0032】
本実施例によれば、中空部75に挿着された景物77を、水3とドーム7越しに見ることが出来る。また必要に応じて景物77を取り替えることが可能である。なお景物77としては人形や写真などが任意に用いられる。複数枚の透明板の各々に景色や人物や花などを描いて並べると、立体感を表現することが出来る。あるいはユーザーに手作りした景物を挿着させることも可能である。なお中空部75の形状をドーム形状などとし、指輪などの展示物を景物77としてこれに被せるような使い方も可能である。このような用途でもドーム7中に気泡30を残さないと言う特長がそのまま活かされる。
【実施例5】
【0033】
図9で本実施例のスノ―ドームを表す。透明な合成樹脂製のドーム8は傾斜のない平らな底板80を有している。この底板80の直径である線上に於いて、底板80の中心より外れてドーム8の壁面に近い部位に注入口81が設けられている。このに注入口81から長い方の直径線上をドーム8の壁面まで溝部82が刻設されている。
【0034】
この実施例の特徴は溝部82が1本だけ刻設されている点にある。注入口81から水を注入した後で底板80を360度方向に傾けることを行うと、気泡は底板80や、ドーム8と底板80との境目から溝部82に集まるので、次には注入口81を溝部82よりも上となるように底板80を傾けることで、溝部82に集められた気泡を注入口81から排出させることが出来る。このようにして水の中に気泡がない状態で注入口81に栓をするのである。なおこの栓をするに当って、本実施例に請求項6の構成を採用するのであれば、注入口81を第1の壁としてこの注入口81が水没するように水を追加してやると良い。このことは上述した実施例4の注入口72でも、後述する実施例6の注入口91でも同様である。
【実施例6】
【0035】
図10で本実施例のスノ―ドームを表す。透明な合成樹脂製のドーム9は、傾斜のない平らな底板90を有している。この底板90の直径である線上に於いて、中心部に注入口91が設けられている。この注入口91からドーム9側に向けて2条の溝部92,92が2回対称の位置に刻設されている。2条の溝部92,92には各々端部93があり、溝部92,92はドーム9の壁面にまでは達していない。この溝部92,92は気泡の通り道となる部位である。なお注入口91にはその外側から栓で液密に閉じることが出来るようになっている。
【0036】
本実施例の使用法であるが、ドーム9を水で満たした後に、底板90を360度方向に傾けることを行うと、気泡は底板90やドーム9と底板90との境目に集まる。底板90の気泡は底板90を360度方向に傾けることで、2条の溝部92,92に捕捉される。ドーム9と底板90との境目の気泡は、表面張力によるものか境目に沿って移動して溝部92の方には来にくくはあるが、それでもドーム9側や底板90側を指先などで叩くことによって、気泡が部材の境目から離脱して来る。この時に溝部92は、表面張力によるものか、その気泡の捕捉に十分な効果を発揮するのである。このようにして水の中に気泡がない状態で注入口91に栓をするのである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、スノードーム内側の液体注入用の口がある壁面に、液体注入用の口に通じる気泡案内用の溝が設けられているものである。気泡案内用の溝があることによって、この溝に集まり、案内される形で気泡が液体注入用の口まで出て来るようになる。従って気泡を抜く作業がやりやすいものとなり、気泡を抜くために要する時間が大幅に短縮されると言う効果を奏する。すなわち本発明には産業上の利用可能性があると共に、十分な価値が認められる。なお実施例とは天地が逆のスノードームを提供することも可能である。またモータの回転機構を備えて自動で回転動作を行ったり、照明回路を備えてライトアップしたり、オルゴールなどの演奏機構を備えて音楽を奏でたりするスノードームを提供することが出来る。
【符号の説明】
【0038】
1 ドーム 10 開口部
2 台座 20 填め込み突起 21 底板
22 注入口 23 溝部 24 壇部
25 支柱 26 栓 27 内筒
3 水 30 気泡 31 溢水
4 ドーム 40 開口部
5 台座 50 填め込み突起 51 底板
52 注入口 53 溝部 54 壇部
55 支柱 56 栓
6 ドーム 60 開口部 61 底板
62 注入口 63 溝部 64 溝部
65 栓
7 ドーム 70 開口部 71 底板
72 注入口 73 溝部 74 栓
75 中空部 76 挿着口 77 景物
8 ドーム 80 底板 81 注入口
82 溝部
9 ドーム 90 底板 91 注入口
92 溝部 93 端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10