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  • 特許-物品振分け装置 図1
  • 特許-物品振分け装置 図2
  • 特許-物品振分け装置 図3
  • 特許-物品振分け装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】物品振分け装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/68 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
B65G47/68 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020215120
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100871
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】西納 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】矢野 竜也
(72)【発明者】
【氏名】羽野 正規
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-153917(JP,A)
【文献】実公平07-045456(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/68-47/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が直線的に搬送される第1搬送経路と、前記第1搬送経路に平行な第2搬送経路とが設けられた搬送コンベヤと、
前記第1搬送経路にて搬送される物品に係合し、前記第2搬送経路へ物品を案内する案内ガイドと、
前記案内ガイドを移動させる案内ガイド走行手段と、を備え、
前記第1搬送経路にて搬送される前記物品の内の所定の連続物品列を前記案内ガイドにより前記第1搬送経路から前記第2搬送経路に振り分ける物品振分け装置において、
前記案内ガイド走行手段を搬送方向に沿って水平移動させる移動手段と、
前記移動手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記搬送コンベヤが停止した際に、前記移動手段により前記案内ガイド走行手段を搬送方向に移動させる
ことを特徴とする物品振分け装置。
【請求項2】
前記案内ガイドにより前記第1搬送経路から前記第2搬送経路へ案内される物品のズレ量を検出する検出手段を備え、
前記制御手段は、前記検出手段からの信号に基づき、前記移動手段により前記案内ガイド走行手段を搬送方向に移動させ、前記案内ガイドの位置を物品の位置に合わせて調整することを特徴とする請求項1に記載の物品振分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を複数の搬送経路に振り分ける物品振分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、並列する第1、第2搬送経路を1つのコンベア上に設け、第1搬送経路上を一列に搬送される物品の一部を所定数毎に第2搬送経路へと移動することで物品を2列に振り分ける物品振分け装置が知られている(特許文献1)。同物品振分け装置は、無端チェーンの一部区間に、第2搬送経路へ振り分けられる物品数に対応する外側に延出する案内片を備える。物品振分け装置は、第1搬送経路の脇に斜めに配置され、循環する案内片が一定のタイミングで第1搬送経路上の所定数の物品を順次第2搬送経路上へと斜めに押し出す。これにより所定数を単位に物品が第1、第2搬送経路に振り分けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-153917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、物品を案内片により第1搬送経路から第2搬送経路へ移動している間にコンベヤが突然停止されると、慣性力で先頭近くの物品が搬送面上を滑り移動経路からズレてしまう。この状態で搬送が再開されると、ズレた物品が第1、第2搬送経路の間を仕切る下流に配置され下流ガイドに接触する。また、物品がズレた分、案内片を移動してからコンベヤを再始動すると、物品に案内片の角が当たり、接触した際に傷を付けたり転倒させてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、コンベヤ上に並列に設けられる2つの搬送経路の間で物品を振り分ける装置の再始動時に、物品の傷つきや転倒を防止することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である物品振分け装置は、物品が直線的に搬送される第1搬送経路と、前記第1搬送経路に平行な第2搬送経路とが設けられた搬送コンベヤと、前記第1搬送経路にて搬送される物品に係合し、前記第2搬送経路へ物品を案内する案内ガイドと、前記案内ガイドを移動させる案内ガイド走行手段と、を備え、前記第1搬送経路にて搬送される前記物品の内の所定の連続物品列を前記案内ガイドにより前記第1搬送経路から前記第2搬送経路に振り分ける物品振分け装置において、前記案内ガイド走行手段を搬送方向に沿って水平移動させる移動手段と、前記移動手段の作動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記搬送コンベヤが停止した際に、前記移動手段により前記案内ガイド走行手段を搬送方向に移動させることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である物品振分け装置は、第1の発明において、前記案内ガイドにより前記第1搬送経路から前記第2搬送経路へ案内される物品のズレ量を検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段からの信号に基づき、前記移動手段により前記案内ガイド走行手段を搬送方向に移動させ、前記案内ガイドの位置を物品の位置に合わせて調整することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンベヤ上に並列に設けられる2つの搬送経路の間で物品を振り分ける装置の再始動時に、物品の傷つきや転倒を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態である物品振分け装置の全体的な配置を示す平面図である。
図2図1の物品振分け装置の側面図である。
図3】物品振分け装置における物品の第2搬送経路への移動動作を説明する図である。
図4】(a)搬送コンベヤが停止した際に生じる物品の移動経路からのズレ、および(b)再始動時における物品のズレに対応した動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態である物品振分け装置の全体的な配置を示す平面図であり、図2はその側面図である。
【0011】
本実施形態の物品振分け装置10は、搬送コンベヤ12を備え、搬送コンベヤ12は、搬送方向に沿って平行に配置される第1搬送経路(第1搬送コンベヤ)14と第2搬送経路(第2搬送コンベヤ)16とを備える。物品M(例えば容器)は、搬送コンベヤ12の搬送面上を、第1搬送経路14に沿って一列に連続的に供給される。搬送コンベヤ12の第1搬送経路14側には、側辺に沿って物品移動装置(案内ガイド走行手段)18が配置される。
【0012】
物品移動装置18は、第1搬送経路14を搬送される搬送される物品を所定数を単位とした物品列として、隣の第2搬送経路16へと順次連続的に移動させる装置である。物品移動装置18は、例えば従動スプロケット20と原動スプロケット22に掛け回された無端チェーン(案内ガイド走行手段)24を備え、無端チェーン24には、その一部の区間に案内ガイド26が隣接して多数設けられる。案内ガイド26の数は、第1搬送経路14から第2搬送経路16に一度に振り分けられる物品Mの数に対応する。
【0013】
各案内ガイド26は、無端チェーン24から垂直に外側に向けて一定の長さで延出する固定ロッド26Aを備え、固定ロッド26Aの先端にはロッド軸に垂直にガイド板26Bが設けられる。図1の例において、案内ガイド26は、無端チェーン24の一方のスパンに略対応する区間に亘って設けられ、スパン部に位置する隣り合う案内ガイド26のガイド板26B同士は互いに密接する。同構成により、案内ガイド26は、無端チェーン24の走行に合わせて循環経路に沿って連続的に移動し、スパン区間において1つのガイド面を形成する。
【0014】
物品移動装置18において、従動スプロケット20および原動スプロケット22は、ベース部材28に一体的に取り付けられ、原動スプロケット22は、ベース部材28の下方に取り付けられたモータ30により回転駆動される。無端チェーン24(従動スプロケット20および原動スプロケット22)は、搬送コンベヤ12に対して斜めに配置される。すなわち、無端チェーン24は、搬送コンベヤ12側のスパンの案内ガイド26が形成するガイド面が、第1搬送経路14の上流側の物品移動装置18側の側辺に位置する振分け開始位置P1から、第1搬送経路14の下流側の第2搬送経路16側の側辺に位置する振分け終了位置P2までの移動区間P1P2に亘り、第1搬送経路14を斜めに横断するように配置される。
【0015】
ベース部材28の下部には、モータ(移動手段)32Aにより駆動されるスライダ(移動手段)32が設けられる。すなわち、物品移動装置18において、従動スプロケット20、原動スプロケット22、無端チェーン24、案内ガイド26を一体的に搬送コンベヤ12(第1、第2搬送経路14、16)の搬送方向に沿って往復移動可能である。なお、物品移動装置18は、スライダ32を通して台座34の上に設置される。
【0016】
物品移動装置18よりも上流側の第1搬送経路14には、隣接して第1搬送経路14上を搬送される物品Mの数を計数するための物品カウンタ36が配置される。また、案内ガイド26により第1搬送経路14から第2搬送経路16へ案内される位置には、物品Mの搬送状態を検出するカメラ(検出手段)38が設けられる。
【0017】
物品移動装置18において、原動スプロケット22を駆動するモータ30は、物品カウンタ36からの信号に基づき制御され、スライダ32を駆動するモータ32Aは、物品カウンタ36およびカメラ38の画像解析の結果に基づいて制御される。なお、これらの制御および物品振分け装置10の全体の制御は、制御装置(制御手段)40によって行われる。
【0018】
図3を参照して、物品移動装置18による物品列の振分け動作について説明する。図3(a)~図3(d)は、案内ガイド26により物品Mが第1搬送経路14から第2搬送経路16へ移動される様子を時系列に示す。
【0019】
図3(a)には、物品移動装置18による物品列の振分け動作開始直前の様子が示される。物品移動装置18は待機状態にあり、進行方向先頭の案内ガイド26は、従動スプロケット20において第1搬送経路14側のスパン開始位置手前に位置する。すなわち、第1搬送経路14側のスパンに案内ガイド26は存在せず、案内ガイド26が第1搬送経路14上を搬送される物品Mと干渉することはない。したがって、この間に物品移動装置18脇の第1搬送経路14上を搬送される物品Mは、そのまま第1搬送路14上を搬送され続け下流側から排出される。
【0020】
物品カウンタ36により計数される通過した物品Mの数に基づき、第2搬送経路16に振り分けられる先頭の物品M1が検出されると、図3(b)に示されるように、物品M1が振分け開始位置P1位置に到達したときに、その側面に先頭の案内ガイド26のガイド板26Bが当接するように原動スプロケット22が回転される。
【0021】
原動スプロケット22は、先頭のガイド板26Bが、搬送コンベヤ12上を搬送される先頭の物品M1に対して当接状態を維持する速度で回転される。これにより、後続の案内ガイド26も順次、第1搬送経路14側のスパンへと移動され、複数の案内ガイド26によりガイド面が形成される。ガイド面は下流側に向かって第1搬送経路14を斜めに横切るように配置されるので、図3(c)に示されるように、物品M1以降の物品Mは、搬送されるにしたがって、順次案内ガイド26により第2搬送経路16側へと押し出される。
【0022】
図3(d)に示されるように、先頭の案内ガイド26が振分け終了位置P2にまで達すると、先頭の物品M1は第2搬送経路16に移動され、その後、後続の物品Mも同様に振分け終了位置P2に移動するまでの間に、第2搬送経路16に移動される。最後尾の案内ガイド26が第1搬送経路14上のガイド面を構成すると、それよりも下流の物品Mを第2搬送経路16方向に押し出す案内ガイド26は存在しないので、以後の物品Mは、第1搬送経路14上を移動する。また、最後尾の案内ガイド26が振分け終了位置P2にまで移動すると、これに当接する物品Mが第2搬送経路16へと移され、1サイクル分の物品列の振分けが完了する。
【0023】
振分け終了位置P2を通過した案内ガイド26は、原動スプロケット22の周りに回転され、反対側のスパンを介して図3(a)の待機位置まで戻され、次に第2搬送経路16に振り分けられる先頭の物品Mが物品カウンタ36により検出されるまで、その位置で待機する。なお、図示例では、案内ガイド26がスパンの長さと同じ長さの区間に亘って設けられていたが、第1、第2搬送経路14、16に振り分けられる物品Mの数に応じて、スパンの一部に対応する区間や、スパンの長さを超える区間に亘って設けられていてもよい。ただし、スパン長さを超えて配置される場合には、案内ガイド26が待機位置にあるときに、最後尾の案内ガイド26が第1搬送経路14上から退避した位置にある必要がある。
【0024】
次に図4を参照して、本実施形態の物品移動装置18の再始動時の動作を説明する。図4(a)は、案内ガイド26により第2搬送経路16に振り分けられる物品列の先頭の物品M1が第1搬送経路14から第2搬送経路16へと移動されている途中で搬送コンベヤ12が停止された状態を示す。搬送コンベヤ12が急停止されると、案内ガイド26のガイド面に沿って搬送される物品Mは、その慣性力により、搬送コンベヤ12の搬送面(例えばトップチェーン)上を移動方向に滑り、その位置がズレることがある。
【0025】
特に先頭の物品M1は、それよりも下流側にガイド板26Bが存在しないので、図4(a)に示されるように、搬送コンベヤ12の搬送方向下流側に向けて距離D移動し、ガイド面により規定される移動経路からズレてしまう。移動区間P1P2において、案内ガイド26は、第2搬送経路16に向けて斜めに移動するので、図4(a)の状態で物品移動装置18を再駆動させると、先頭のガイド板26Bの前縁の角が物品M1の側面に当たり、物品M1の転倒や側面に傷を付ける可能性がある。
【0026】
そのため本実施形態の物品振分け装置10では、制御装置40においてカメラ38の画像を解析して、物品M1の搬送方向へのズレ量である距離Dを検出し、モータ32Aを駆動して距離Dに対応する分、スライダ32、すなわち物品移動装置18を搬送コンベヤ12の搬送方向に移動し、図4(b)の状態とする。これにより、先頭のガイド板26Bのガイド面が、先頭の物品M1の側面に当接する。その後、搬送コンベヤ12および物品移動装置18を再駆動すると、物品Mは下流側に距離Dの分だけ平行移動した新たなガイド面に沿って第2搬送経路16に向けて移動され、当初の振分け終了位置P1から距離D分下流側の位置で、第2搬送経路16上へと完全に移動される。なお、図4(b)では、元の位置(位置調整前の位置)にある従動スプロケット20側の物品移動装置18の一部が破線で示される。
【0027】
なお、再駆動当初、先頭の物品M1以外の案内ガイド26により第2搬送経路16側へ移動されている物品Mは、新たなガイド面を形成するガイド板26Bから僅かに離間している。しかし、これらの物品Mは、搬送コンベヤ12により搬送コンベヤ12の搬送方向に移動されることで対応するガイド板26Bに当接し、その後は、新たなガイド面に沿って移動される。
【0028】
第2搬送経路16へ振り分けられる物品列の移動が完了し、案内ガイド26が待機位置へと移動する間に、制御装置40は、モータ32Aを駆動して、物品移動装置18を元の位置へと戻す。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、コンベヤ上に並列に設けられる2つの搬送経路の間で物品を振り分ける物品振分け装置において、再始動時に、物品の傷つきや転倒を防止することができる。
【0030】
本実施形態では、物品のズレ量(移動距離)をカメラを用いて検出したが、ズレ量が検出できる検出装置であればよく、例えば、ファイバーセンサなどを所定間隔で配置してズレ量を検出する構成としてもよい。また、本実施形態では、検出されたズレ量に基づき物品移動装置がコンベヤ搬送方向に移動されたが、例えば物品の搬送速度に応じて予め設定された距離を移動する構成とすることもできる。また、案内ガイドは、循環経路に沿って移動されるものでなくてもよく、例えば、進退可能なロッドを備え、ガイド面に沿って往復動可能な構成であってもよい。
【0031】
本実施形態において搬送コンベヤ12の第1、第2搬送経路には2台の搬送コンベヤ(すなわちトップチェーンが2列)が用いられるが、1台の搬送コンベヤに第1および第2搬送経路を設ける構成としてもよい。また、本実施形態では、ズレ量に応じて移動量を調整する構成であったが、ズレが発生した場合に、予め決められた距離移動させる構成としても良い。
【符号の説明】
【0032】
10 物品振分け装置
12 搬送コンベヤ
14 第1搬送経路
16 第2搬送経路
18 物品移動装置(案内ガイド走行手段)
24 無端チェーン(案内ガイド走行手段)
26 案内ガイド
32 スライダ(移動手段)
32A モータ(移動手段)
40 制御装置(制御手段)
図1
図2
図3
図4