(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 1/32 20060101AFI20240731BHJP
F28F 17/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F28F1/32 Y
F28F1/32 N
F28F1/32 V
F28F17/00 501A
(21)【出願番号】P 2022114818
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】奥野 文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
(72)【発明者】
【氏名】廣川 智己
(72)【発明者】
【氏名】安東 透
(72)【発明者】
【氏名】鄭 晨
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢吾
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003123(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106288911(CN,A)
【文献】国際公開第2017/208493(WO,A1)
【文献】特開2022-148602(JP,A)
【文献】国際公開第2018/073898(WO,A1)
【文献】実開昭58-000180(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
F28F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ複数の扁平管(20)と、
前記扁平管に接合されるフィン(30)と、
を備え、
前記扁平管の中を流れる冷媒と、前記扁平管の外を前記第1方向に交差する第2方向に沿って流れる空気と、の間で熱交換を行わせる熱交換器であって、
前記フィンは、
第1の前記扁平管と接合されている第1の接合部(32)と、
空気流れの下流端と前記第1の接合部との間に位置する第1板部(33)と、
を有し、
前記第1板部には、
第1の
前記扁平管の近傍において前記第1方向に水を流すための第1の突出部(133)が形成されており、
第1の
前記扁平管の空気流れの下流端(120a)と、前記第1の突出部との前記第2方向の距離(L1)は、前記フィンの空気流れの下流端(30b)と、前記第1の突出部との前記第2方向の距離(L2)の1/3以下であ
り、
前記第2方向に沿った断面において、空気流れの上流側から順に、前記扁平管、第1平坦部、前記第1の突出部及び第2平坦部が位置し、前記第1平坦部の長さは、前記第2平坦部の長さの1/3以下である、
熱交換器(10)。
【請求項2】
前記第1の突出部は、前記第1方向に延びる、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記フィンは、
第1の
前記扁平管と前記第1方向に隣り合う第2の前記扁平管と接合されている第2の接合部(34)と、
前記第1の接合部と前記第2の接合部との間に位置する第2板部(35)と、
をさらに有し、
前記第2板部には、前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜する方向に延びる第2の突出部(135)が形成されている、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1の突出部は、上下方向に延び、
前記第2の突出部は、
第1の
前記扁平管の空気流れの下流部の近傍から、斜め下方に延びる、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1の突出部は、上下方向に延び、
前記第2の突出部は、
第1の
前記扁平管の空気流れの上流部の近傍から、斜め下方に延びる、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記フィンは、
第1の
前記扁平管と前記第1方向に隣り合う第2の前記扁平管と接合されている第2の接合部(34)と、
前記第1の接合部と前記第2の接合部との間に位置する第2板部(35)と、
空気流れの下流端と前記第2板部との間に位置する第3板部(36)と、
をさらに有し、
前記第3板部には、前記第1の突出部と連続する第3の突出部(136)が形成されている、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記フィンは、
第1の
前記扁平管と前記第1方向に隣り合う第2の前記扁平管と接合されている第2の接合部(34)と、
前記第1の接合部と前記第2の接合部との間に位置する第2板部(35)と、
をさらに有し、
前記第2板部には、伝熱促進用の切り欠き(37)が形成されている、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記フィンは、前記扁平管の延びる方向に複数並び、
前記フィンのフィンピッチ(P)は、1.2mm以上1.4mm以下であり、
前記第1の突出部の高さは、0.1mm以上0.6mm以下である、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項9】
空気調和装置(200)の室内機(230)に含まれる、請求項1または2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扁平管とフィンとを備える熱交換器が知られている。このような熱交換器として、例えば、国際公開第2018/003123号(特許文献1)が挙げられる。
【0003】
特許文献1の熱交換器のフィンは、複数の扁平管のそれぞれの上下に配した導水領域と、複数の扁平管のそれぞれの一方の側部に配した排水領域と、を有している。そして、導水領域は、排水領域に水を導く導水構造を有し、排水領域は、重力方向に水を導く排水構造を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、扁平管の周りで発生した水を、導水領域に引き込んでから、排水領域に運んでいる。このように2段階で排水を行うので、排水に時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の熱交換器は、複数の扁平管と、フィンと、を備える。扁平管は、第1方向に並ぶ。フィンは、扁平管に接合される。熱交換器は、扁平管の中を流れる冷媒と、扁平管の外を第1方向に交差する第2方向に沿って流れる空気と、の間で熱交換を行わせる。フィンは、第1の接合部と、第1板部と、を有する。第1の接合部は、第1の扁平管と接合されている。第1板部は、空気流れの下流端と第1の接合部との間に位置する。第1板部には、第1の扁平管の近傍において第1方向に水を流すための第1の突出部が形成されている。
【0006】
第1観点の熱交換器では、第1の突出部によって、第1の扁平管の近傍の水を第1方向に流すことができる。したがって、フィンに付着した扁平管の近傍の水を、第1方向に排水する時間を減らすことができる。
【0007】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第1の突出部は、第1方向に延びる。
【0008】
第2観点の熱交換器では、第1の突出部は第1方向に延びるので、第1の突出部に沿って水を運ぶことができる。このため、フィンに付着した扁平管の近傍の水を、第1方向に排水する時間をより減らすことができる。
【0009】
第3観点の熱交換器は、第1観点または第2観点の熱交換器であって、第1の扁平管の空気流れの下流端と、第1の突出部との第2方向の距離は、フィンの空気流れの下流端と、第1の突出部との第2方向の距離よりも小さい。
【0010】
第3観点の熱交換器では、第1板部において扁平管に近い上流側に第1の突出部が配置されるので、熱交換器から水が飛ぶことを抑制できる。
【0011】
第4観点の熱交換器は、第1観点から第3観点のいずれかの熱交換器であって、フィンは、第2の接合部と、第2板部と、をさらに有する。第2の接合部は、第1の扁平管と第1方向に隣り合う第2の扁平管と接合されている。第2板部は、第1の接合部と第2の接合部との間に位置する。第2板部には、第1方向及び第2方向に対して傾斜する方向に延びる第2の突出部が形成されている。
【0012】
第4観点の熱交換器では、第2の突出部によって、第1の扁平管と第2の扁平管との間の水を排水することができる。
【0013】
第5観点の熱交換器は、第4観点の熱交換器であって、第1の突出部は、上下方向に延びる。第2の突出部は、第1の扁平管の空気流れの下流部の近傍から、斜め下方に延びる。
【0014】
第5観点の熱交換器では、第2の突出部によって、第1の扁平管の下方の下流側の水を、下方に流すことができる。
【0015】
第6観点の熱交換器は、第4観点の熱交換器であって、第1の突出部は、上下方向に延びる。第2の突出部は、第1の扁平管の空気流れの上流部の近傍から、斜め下方に延びる。
【0016】
第6観点の熱交換器では、第2の突出部によって、第1の扁平管の下方の上流側の水を下方に流すことができる。
【0017】
第7観点の熱交換器は、第1観点から第6観点のいずれかの熱交換器であって、フィンは、第2の接合部と、第2板部と、第3板部と、をさらに有する。第2の接合部は、第1の扁平管と第1方向に隣り合う第2の扁平管と接合されている。第2板部は、第1の接合部と第2の接合部との間に位置する。第3板部は、空気流れの下流端と第2板部との間に位置する。第3板部には、第1の突出部と連続する第3の突出部が形成されている。
【0018】
第7観点の熱交換器では、第1の突出部及び第3の突出部よって、第1の扁平管の近傍の水を、第1方向において、第2の扁平管まで流すことができる。
【0019】
第8観点の熱交換器は、第1観点から第7観点のいずれかの熱交換器であって、フィンは、第2の接合部と、第2板部と、をさらに有する。第2の接合部は、第1の扁平管と第1方向に隣り合う第2の扁平管と接合されている。第2板部は、第1の接合部と第2の接合部との間に位置する。第2板部には、伝熱促進用の切り欠きが形成されている。
【0020】
第8観点の熱交換器では、切り欠きによって、空気とフィンとの間の伝熱を促進することができる。
【0021】
第9観点の熱交換器は、第1観点から第8観点のいずれかの熱交換器であって、フィンは、扁平管の延びる方向に複数並ぶ。フィンのフィンピッチは、1.2mm以上1.4mm以下である。第1の突出部の高さは、0.1mm以上0.6mm以下である。
【0022】
第9観点の熱交換器では、複数のフィンが積層される熱交換器において、第1の突出部により、第1方向に排水する時間を減らすことが容易に実現できる。
【0023】
第10観点の熱交換器は、第1観点から第9観点のいずれかの熱交換器であって、空気調和装置の室内機に含まれる。
【0024】
第10観点の熱交換器は、空気調和装置の室内機の熱交換器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の一実施形態に係る熱交換器を備える空気調和装置の概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る熱交換器の断面図である。
【
図6】変形例に係る熱交換器を構成するフィンの拡大図である。
【
図7】別の変形例に係る熱交換器を構成するフィンの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)空気調和装置
本開示の一実施形態に係る熱交換器を備える空気調和装置について、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、空気調和装置200は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、建物等の室内の冷暖房に使用される装置である。
【0027】
空気調和装置200は、主として、室外機220と、室内機230と、室外機220と室内機230とを接続する液冷媒連絡管240及びガス冷媒連絡管250と、を有している。そして、空気調和装置200の蒸気圧縮式の冷媒回路210は、室外機220と室内機230とが液冷媒連絡管240及びガス冷媒連絡管250を介して接続されることによって構成されている。
【0028】
(1-1)室外機
室外機220は、室外に設置されている。室外機220は、主として、圧縮機221と、流路切換機構222と、室外熱交換器223と、膨張機構224と、を有している。
【0029】
圧縮機221は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機構である。
【0030】
流路切換機構222は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換える機構である。流路切換機構222は、冷房運転時には、圧縮機221の吐出側と室外熱交換器223のガス側とを接するとともに、ガス冷媒連絡管250を介して室内熱交換器231(後述)のガス側と圧縮機221の吸入側とを接続する(
図1における流路切換機構222の実線を参照)。また、流路切換機構222は、暖房運転時には、ガス冷媒連絡管250を介して圧縮機221の吐出側と室内熱交換器231のガス側とを接続するとともに、室外熱交換器223のガス側と圧縮機221の吸入側とを接続する(
図1における流路切換機構222の破線を参照)。
【0031】
室外熱交換器223は、冷房運転時には冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器223は、その液側が膨張機構224に接続されており、ガス側が流路切換機構222に接続されている。
【0032】
膨張機構224は、冷房運転時には室外熱交換器223において放熱した高圧の液冷媒を室内熱交換器231に送る前に減圧し、暖房運転時には室内熱交換器231において放熱した高圧の液冷媒を室外熱交換器223に送る前に減圧する機構である。
【0033】
また、室外機220には、室外機220内に室外空気を吸入して、室外熱交換器223に室外空気を供給した後に、室外機220外に排出するための室外ファン225が設けられている。
【0034】
(1-2)室内機
室内機230は、室内に設置されている。室内機230は、主として、室内熱交換器231と、室内ファン232と、を有している。
【0035】
室内熱交換器231は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。室内熱交換器231は、その液側が液冷媒連絡管240に接続されており、ガス側がガス冷媒連絡管250に接続されている。
【0036】
また、室内機230には、室内機230内に室内空気を吸入して、室内熱交換器231に室内空気を供給した後に、室内機230外に排出するための室内ファン232が設けられている。
【0037】
(1-3)動作
(1-3-1)冷房運転
空気調和装置200が冷房運転を行う場合、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機221に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機221から吐出された高圧の冷媒は、流路切換機構222を通じて、室外熱交換器223に送られる。室外熱交換器223に送られた高圧の冷媒は、室外熱交換器223において、室外ファン225によって供給される室外空気と熱交換を行って放熱する。室外熱交換器223において放熱した高圧の冷媒は、膨張機構224に送られて、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張機構224において減圧された低圧の冷媒は、液冷媒連絡管240を通じて、室内熱交換器231に送られる。室内熱交換器231に送られた低圧の冷媒は、室内熱交換器231において、室内ファン232によって供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却されて室内に吹き出される。室内熱交換器231において蒸発した低圧の冷媒は、ガス冷媒連絡管250及び流路切換機構222を通じて、再び、圧縮機221に吸入される。
【0038】
(1-3-2)暖房運転
空気調和装置200が暖房運転を行う場合、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機221に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機221から吐出された高圧の冷媒は、流路切換機構222及びガス冷媒連絡管250を通じて、室内熱交換器231に送られる。室内熱交換器231に送られた高圧の冷媒は、室内熱交換器231において、室内ファン232によって供給される室内空気と熱交換を行って放熱する。これにより、室内空気は加熱されて室内に吹き出される。室内熱交換器231において放熱した高圧の冷媒は、液冷媒連絡管240を通じて、膨張機構224に送られて、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張機構224において減圧された低圧の冷媒は、室外熱交換器223に送られる。室外熱交換器223に送られた低圧の冷媒は、室外熱交換器223において、室内ファン232によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器223において蒸発した低圧の冷媒は、流路切換機構222を通じて、再び、圧縮機221に吸入される。
【0039】
(2)熱交換器
(2-1)全体構成
本開示の一実施形態に係る熱交換器10について、
図1~
図5を参照して説明する。本実施形態の熱交換器10は、
図1の空気調和装置200の室内機230に含まれる。具体的には、熱交換器10は、
図1に示す室内熱交換器231である。
【0040】
図2~
図5に示すように、熱交換器10は、複数の扁平管20と、複数のフィン30と、を備えている。扁平管20は、第1方向に並ぶ。フィン30は、扁平管20に接合される。熱交換器10は、扁平管20の中を流れる冷媒と、扁平管20の外を流れる空気と、の間で熱交換を行わせる。熱交換器10は、空気と冷媒との間で、互いに混合させることなく熱交換を行わせる。
【0041】
空気は、扁平管20の外を第1方向に交差する第2方向に沿って流れる。ここでの第1方向は、上下方向である。第2方向は、第1方向と直交する。具体的には、第2方向は、左右方向である。また、
図2~
図5に示すように、空気流れは、左から右に向かう方向である。換言すると、左側が空気流れの上流側で、右側が空気流れの下流側である。
【0042】
(2-2)詳細構成
(2-2-1)扁平管
図3に示すように、複数の扁平管20は、第1方向において、間隔をあけて、互いに平行に配置されている。扁平管20は、
図2に示すように、第3方向に延びる。第3方向は、第1方向及び第2方向と交差する。ここでの第3方向は、第1方向及び第2方向と直交する。具体的には、第3方向は、前後方向である。
【0043】
図2~
図5に示すように、扁平管20の断面形状は、扁平な長円形または角の丸い矩形である。扁平管20の第2方向の長さ(幅)は、扁平管20の第1方向の長さ(厚み)よりも長い。扁平管20は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。
【0044】
扁平管20は、内部に冷媒を流す伝熱管である。扁平管20には、熱交換器10で空気と熱交換される冷媒が通過する複数の貫通孔21が第2方向に並んで形成されている。この複数の貫通孔は、第3方向に沿って貫通する。
【0045】
(2-2-2)フィン
フィン30は、複数の扁平管20に接合されている。ここでは、扁平管20及びフィン30は、互いにロウ付けによって接合されている。フィン30は、扁平管20と空気との伝熱面積を増大させて、冷媒と空気との熱交換を促進する。
【0046】
図2に示すように、複数のフィン30は、第3方向において、間隔をあけて、互いに平行に配置されている。フィン30は、第1方向に延びる。フィン30は、扁平管20の延在方向と交差(ここでは直交)するように配置されている。本実施形態では、複数のフィン30は、平行、かつ、等間隔に配置されている。換言すると、複数のフィン30は、所定のフィンピッチPで第3方向に並んでいる。本実施形態のフィンピッチPは、1.2mm以上1.4mm以下である。
【0047】
フィン30は、平板状である。フィン30は、プレス加工などにより、形成される。フィン30は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。
【0048】
図3~
図5に示すように、フィン30には、扁平管20を通すための挿入部31が複数形成されている。挿入部31は、空気流れの上流端30aから下流端30b側に向けて第2方向に切り欠かれている。複数の挿入部31は、第1方向において、間隔をあけて並んでいる。
【0049】
フィン30は、第1の接合部32と、第1板部33と、第2の接合部34と、第2板部35と、第3板部36と、を有している。以下、
図3において、上側に位置する扁平管20を第1の扁平管20aとし、下側に位置する扁平管20を第2の扁平管20bとして、説明する。第1の扁平管20aと第2の扁平管20bとは、第1方向に隣り合う。
【0050】
図3に示すように、第1の接合部32は、第1の扁平管20aと接合されている。ここでは、第1の接合部32は、断面視において、U字形状である。本実施形態の第1の接合部32は、カラー部である。詳細には、第1の接合部32は、フィン30の一方面(表面)側の挿入部31から、隣り合うフィン30の他方面(裏面)に向かって、第3方向に立ち上がっている。
【0051】
第1板部33は、空気流れの下流端30bと第1の接合部32との間に位置する。第1板部33は、第1の接合部32と連続する。第1板部33には、第1の突出部133と、リブ134とが形成されている。
【0052】
第1の突出部133は、第1の扁平管20aの近傍において第1方向に水を流すものである。換言すると、第1の突出部133は、第1の扁平管20aの近傍の水を第1方向に流す導水用リブである。
【0053】
図4に示すように、第1の扁平管20aの空気流れの下流端120aと、第1の突出部133との第2方向の距離L1は、フィン30の空気流れの下流端30bと、第1の突出部133との第2方向の距離L2よりも小さい。距離L1は、距離L2の1/3以下であることが好ましく、距離L2の1/5以下であることがより好ましい。
【0054】
第1の突出部133は、第1方向に延びる。
図3~
図5では、第1の突出部133は、上下方向に延びる。本実施形態の第1の突出部133は、重力方向に延びる。このため、本実施形態の第1の突出部133は、第1の扁平管20aと接合されている第1の接合部32の下流側近傍において、自重で下方に水を流す。
【0055】
第1の突出部133の高さは、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上0.6mm以下である。なお、高さとは、フィン30の一方面から、隣り合うフィン30の他方面に向かって突出する距離(第3方向に向かう距離)である。
【0056】
リブ134は、伝熱促進用のリブである。リブ134は、一方面から、隣り合うフィン30の他方面に向かって突出している。リブ134は、断面視において矩形状である。
図3~
図5では、リブ134の第2方向の長さ(幅)は、第1の突出部133の第2方向の長さ(幅)よりも大きい。
【0057】
第2の接合部34は、第2の扁平管20bと接合されている。第2の接合部34は、第1の接合部32と同じ形状である。
【0058】
第2板部35は、第1の接合部32と第2の接合部34との間に位置する。第2板部35は、第1の接合部32及び第2の接合部34と連続する。第2板部35には、第2の突出部135と、切り欠き37とが形成されている。
【0059】
第2の突出部135は、第1方向及び第2方向に対して傾斜する方向に延びる。
図3~
図5では、第2の突出部135は、第2板部35の上端部から、右下に向けて延びる。第2の突出部135は、第1の扁平管20aと第2の扁平管20bとの間の水を排水する導水用リブである。
【0060】
本実施形態の第2の突出部135は、第1の扁平管20aの空気流れの下流部の近傍から、斜め下方に延びる。詳細には、第2の突出部135は、下流端120aの近傍から、空気流れの下流側に向けて、第3の突出部136と連結されるように延びる。このため、ここでの第2の突出部135は、第1の扁平管20aと第2の扁平管20bとの間における空気流れの下流部近傍の水を右下に排水する導水用リブである。
【0061】
図4に示すように、第1の扁平管20aの空気流れの下流端120aと、第2の突出部135の第2方向一端(
図4では左端)との第2方向の距離L3は、フィン30の空気流れの上流端30aと、第2の突出部135の第2方向の一端(
図4では左端)との第2方向の距離L4よりも小さい。距離L3は、距離L4の1/3以下であることが好ましく、距離L4の1/5以下であることがより好ましい。
【0062】
第2の突出部135の高さは、第1の突出部133の高さと同じであってもよく、低くてもよく、高くてもよい。ここでは、第2の突出部135の高さは、例えば、0.1mm以上0.6mm以下である。
【0063】
切り欠き37は、伝熱促進用の切り欠き37である。切り欠き37は、第2方向に、複数(
図3では3つ)並ぶ。また、切り欠き37は、第1方向に延びる。ここでは、切り欠き37は、他方面から、隣り合うフィン30の一方面に向かって凹んでいる。
【0064】
第3板部36は、空気流れの下流端30bと第2板部35との間に位置する。第3板部36は、第1板部33及び第2板部35と連続する。
【0065】
第3板部36には、第1の突出部133と連続する第3の突出部136が形成されている。第3の突出部136は、第1の突出部133からの水を第1方向に流す導水用リブである。
【0066】
第3の突出部136は、第1方向に延びる。
図3~
図5では、第3の突出部136は、上下方向に延びる。本実施形態の第3の突出部136は、重力方向に延びる。このため、本実施形態の第3の突出部136は、第1の突出部133からの水を、下方に流す。
【0067】
第3の突出部136の第2方向位置は、第1の突出部133と同じである。換言すると、第1の突出部133と第3の突出部136とは、上下方向に直線状に連続している。
【0068】
第3の突出部136の高さは、第1の突出部133の高さと同じであってもよく、低くてもよく、高くてもよい。ここでは、第3の突出部136の高さは、第1の突出部133と同じである。
【0069】
なお、本実施形態のフィン30は、第1の突出部133、第2の突出部135及び第3の突出部136による導水を妨げる形状を有していない。
【0070】
また、
図3は、フィン30において、第1の扁平管20a及び第2の扁平管20bと接合される領域を示すが、
図2に示すように、本実施形態のフィン30は、3つ以上の扁平管20と接合されている。そして、第1の突出部133と第3の突出部136とで連続する直線状のリブは、フィン30の上端部から下端部にかけて延びる。
【0071】
(2-3)動作
図1に示す空気調和装置200の冷房運転、暖房運転などの動作時、冷媒回路210において、冷媒が室内熱交換器231としての熱交換器10の扁平管20に送られる。この冷媒は、扁平管20の複数の貫通孔21を流れる。そして、扁平管20の中を流れる冷媒と、扁平管20の外を流れる室内空気とが熱交換を行う。このとき、フィン30における扁平管20との接合部の周囲で、凝縮水が発生することがある。
【0072】
図5に示すように、第1の扁平管20aの上部に付着した凝縮水としての水Wは、第1の接合部32に沿って移動する。詳細には、水Wは、第1の突出部133の湾曲部分に沿って円弧状に移動する。
【0073】
また、第1の突出部133に沿って移動した水、及び、第1の扁平管20aの下部に付着した水Wは、第2の突出部135に沿って、第1方向及び第2方向に対して傾斜する方向(
図5では右下側)に移動する。
【0074】
そして、水Wは、第2の突出部135と連結され、かつ第1の突出部133と連続する第3の突出部136に沿って、第1方向(
図5では下側)に移動する。
【0075】
このように、第1の扁平管20aの周りで発生した水Wを、第1の突出部133及び第2の突出部135に直接引き込んで、第3の突出部136に沿って下方に排水している。換言すると、水Wを、第1の突出部133、第2の突出部135及び第3の突出部136を伝わせることによって、下方に排水している。このため、第1の扁平管20aの周りで発生した水Wが途中で引っ掛かることを抑制できるとともに、排水のスピードを高めることができる。
【0076】
なお、水Wの量、第1の突出部133の高さ、第2の突出部135の高さ、第3の突出部136の高さなどによって、水Wは、
図5において、第1の突出部133及び第3の突出部136の左側を流れる場合がある。例えば、第2の突出部135の高さが第1の突出部133及び第3の突出部136の高さよりも高い場合には、水Wは、主に、第1の突出部133及び第3の突出部136の右側を流れる。一方、第2の突出部135の高さが第1の突出部133及び第3の突出部136の高さよりも低い、または、同じ場合には、水Wは、主に、第1の突出部133及び第3の突出部136の左側を流れる。
【0077】
(3)特徴
(3-1)
本実施形態に係る熱交換器10は、複数の扁平管20と、フィン30と、を備える。扁平管20は、第1方向に並ぶ。フィン30は、扁平管20に接合される。熱交換器10は、扁平管20の中を流れる冷媒と、扁平管20の外を第1方向に交差する第2方向に沿って流れる空気と、の間で熱交換を行わせる。フィン30は、第1の接合部32と、第1板部33と、を有する。第1の接合部32は、第1の扁平管20aと接合されている。第1板部33は、空気流れの下流端30bと第1の接合部32との間に位置する。第1板部33には、第1の扁平管20aの近傍において第1方向に水を流すための第1の突出部133が形成されている。
【0078】
本実施形態の熱交換器10では、第1の突出部133によって、第1の扁平管20aの近傍の水Wを第1方向に流すことができる。したがって、フィン30に付着した第1の扁平管20aの近傍の水を、第1方向に排水する時間を減らすことができる。
【0079】
また、本実施形態の熱交換器10では、第1の扁平管20aの周りで発生した水を、フィン30の空気流れの下流端30bまで運ぶことなく、第1の扁平管20aの近傍の第1の突出部133を用いて排水する。したがって、フィン30から水が飛ぶことを抑制できる。
【0080】
(3-2)
本実施形態の熱交換器10において、第1の突出部133は、第1方向に延びる。このため、第1の突出部133に沿って水Wを運ぶことができる。このため、フィン30に付着した第1の扁平管20aの近傍の水Wを、第1方向に排水する時間をより減らすことができる。
【0081】
(3-3)
本実施形態の熱交換器10において、第1の扁平管20aの空気流れの下流端120aと、第1の突出部133との第2方向の距離L1は、フィン30の空気流れの下流端30bと、第1の突出部133との第2方向の距離L2よりも小さい。
【0082】
これにより、第1板部33において、第1の扁平管20aの近くであって、空気流れの上流側に、第1の突出部133が配置される。このため、熱交換器10から水が飛ぶことをより抑制できる。
【0083】
(3-4)
本実施形態の熱交換器10において、フィン30は、第2の接合部34と、第2板部35と、をさらに有する。第2の接合部34は、第1の扁平管20aと第1方向に隣り合う第2の扁平管20bと接合されている。第2板部35は、第1の接合部32と第2の接合部34との間に位置する。第2板部35には、第1方向及び第2方向に対して傾斜する方向に延びる第2の突出部135が形成されている。
【0084】
ここでは、第2の突出部135により、第1の扁平管20aと第2の扁平管20bとの間の水Wを排水することができる。
【0085】
(3-5)
本実施形態の熱交換器10において、第1の突出部133は、上下方向に延びる。第2の突出部135は、第1の扁平管20aの空気流れの下流部の近傍から、斜め下方に延びる。
【0086】
ここでは、第2の突出部135により、第1の扁平管20aの下方かつ下流側の水Wを、下方に流すことができる。
【0087】
(3-6)
本実施形態の熱交換器10において、フィン30は、第2の接合部34と、第2板部35と、第3板部36と、をさらに有する。第2の接合部34は、第1の扁平管20aと第1方向に隣り合う第2の扁平管20bと接合されている。第2板部35は、第1の接合部32と第2の接合部34との間に位置する。第3板部36は、空気流れの下流端30bと第2板部35との間に位置する。第3板部36には、第1の突出部133と連続する第3の突出部136が形成されている。
【0088】
ここでは、第1の突出部133及び第3の突出部136より、第1の扁平管20aの近傍の水Wを、第1方向において、第2の扁平管20bまで流すことができる。
【0089】
また、第2の突出部135により、第1の扁平管20aの下方かつ下流側の水Wを、第3の突出部136に導き、さらに第3の突出部136により、さらに下方に流すことができる。
【0090】
(3-7)
本実施形態の熱交換器10において、フィン30は、第2の接合部34と、第2板部35と、をさらに有する。第2の接合部34は、第1の扁平管20aと第1方向に隣り合う第2の扁平管20bと接合されている。第2板部35は、第1の接合部32と第2の接合部34との間に位置する。第2板部35には、伝熱促進用の切り欠き37が形成されている。
【0091】
ここでは、切り欠き37により、空気とフィン30との間の伝熱を促進することができる。これにより、扁平管20の内部を流れる冷媒と、フィン30の外部を流れる空気との熱交換を促進することができる。
【0092】
(3-8)
本実施形態の熱交換器10において、フィン30は、扁平管20の延びる方向に複数並ぶ。フィン30のフィンピッチPは、1.2mm以上1.4mm以下である。第1の突出部133の高さは、0.1mm以上0.6mm以下である。
【0093】
これにより、複数のフィン30が積層される熱交換器10において、第1の突出部133により、第1方向に排水する時間を減らすことが容易に実現できる。
【0094】
(3-9)
本実施形態の熱交換器10は、空気調和装置200の室内機230に含まれる。換言すると、本実施形態の熱交換器10は、空気調和装置200の室内機230に適用することができる。本実施形態の熱交換器10は、排水する時間を減らすことができるとともに、フィン30から水が飛ぶことを抑制できるので、室内に配置される室内熱交換器231に好適に用いられる。
【0095】
(4)変形例
(4-1)変形例1
上述した実施形態では、第2の突出部135は、第1の扁平管20aの空気流れの下流部の近傍から、斜め下方に延びるが、これに限定されない。本変形例の熱交換器11では、
図6に示すように、第2の突出部135は、第1の扁平管20aの空気流れの上流部120bの近傍から、斜め下方に延びる。ここでは、第2の突出部135は、第1の接合部32の空気流れの上流端の近傍から、右下に延びる。
【0096】
図6に示すように、第1の扁平管20aの空気流れの下流端120aと、第2の突出部135の第2方向一端(
図6では左端)との第2方向の距離は、フィン30の空気流れの上流端30aと、第2の突出部135の第2方向の一端(
図6では左端)との第2方向の距離よりも大きい。
【0097】
本変形例では、第1の扁平管20aの下部に付着した水Wは、空気流れの上流側から、第2の突出部135に沿って、第1方向及び第2方向に対して傾斜する方向(
図6では右下側)に移動する。そして、第2の突出部135と連結された第3の突出部136に沿って、第1方向(
図6では下側)に移動する。
【0098】
このように、本変形例の熱交換器11では、第1の突出部133は、上下方向に延びる。第2の突出部135は、第1の扁平管20aの空気流れの上流部120bの近傍から、斜め下方に延びる。
【0099】
ここでは、第2の突出部135によって、第1の扁平管20aの下方かつ上流側の水Wを下方に流すことができる。
【0100】
(4-2)変形例2
上述した実施形態では、第1方向に水を流す導水用リブとして、第1の突出部133及び第3の突出部136が形成されているが、さらに別の導水用リブが形成されてもよい。
図7に示すように、本変形例の熱交換器12には、第1の突出部133及び第3の突出部136の空気流れの下流側に、第1方向に水を流すための第4の突出部138がさらに形成されている。
【0101】
詳細には、第4の突出部138は、フィン30の空気流れの下流端30b近傍に、第1方向の延びるように形成されている。第4の突出部138は、フィン30の上端部から下端部にかけて連続して延びる。第4の突出部138は、第1の突出部133及び第3の突出部136と平行、かつ、直線状である。
【0102】
(4-3)変形例3
上述した実施形態では、フィン30に、伝熱促進用の切り欠き37、リブ134などが形成されているが、これに限定されない。伝熱促進用の切り欠き、リブなどは適宜形成される。本変形例では、第3の突出部136の両横に、伝熱促進用のリブがさらに形成されている。両横のリブは、断面視において、例えば、L字形状である。
【0103】
(4-4)変形例4
上述した実施形態では、熱交換器10は、室内熱交換器231に適用されるが、これに限定されない。本変形例では、熱交換器10は、室外熱交換器223に適用される。
【0104】
(4-5)変形例5
上述した実施形態では、熱交換器10は、空気調和装置200に適用されるが、これに限定されない。熱交換器10は、給湯装置、床暖房装置、冷蔵装置等の冷凍装置に適用されてもよい。
【0105】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0106】
1 :空気調和装置
10,11,12 :熱交換器
20,20a,20b:扁平管
30 :フィン
30b,120a :下流端
32 :第1の接合部
33 :第1板部
34 :第2の接合部
35 :第2板部
36 :第3板部
37 :切り欠き
133 :第1の突出部
135 :第2の突出部
136 :第3の突出部
200 :空気調和装置
210 :冷媒回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】