(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】情報提示システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240731BHJP
B65G 57/03 20060101ALI20240731BHJP
B65G 60/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G57/03 G
B65G60/00 S
(21)【出願番号】P 2022153931
(22)【出願日】2022-09-27
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】新川 大貴
(72)【発明者】
【氏名】誉田 航平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】大高 将悟
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽香
(72)【発明者】
【氏名】徳永 悠作
(72)【発明者】
【氏名】古池 香里
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-265970(JP,A)
【文献】特開2002-019963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0033123(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 57/03
B65G 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包材(52)で梱包された商品(54)である梱包商品(50)に関する情報を提示する情報提示システムであって、
第1パラメータが設定される条件で、1つのコンテナ(20)に積載可能な前記梱包商品の数である積載可能数を算出する算出部(61)と、
前記算出部の算出結果に基づいて、前記コンテナに積載される前記梱包商品のサイズと、前記第1パラメータと、前記積載可能数との関連を示す第1情報を提示する提示部(62)と、
を備え、
前記算出部は、
第1のサイズの前記梱包商品の前記積載可能数を算出する、第1算出ステップと、
前記第1のサイズと異なる第2~第Nのサイズ(Nは、3以上の整数である。)の前記梱包商品の前記積載可能数を算出する、第2~第N算出ステップと、
を実行し、
前記算出部は、前記第1~第Nのサイズの中から、積載増加数と容積減少率との比が最も高い、前記梱包商品のサイズを決定し、
前記第1パラメータは、前記コンテナに積載される前記梱包商品の位置、及び、前記コンテナに積載される前記梱包商品の向き、の少なくとも1つを含
み、
前記第1情報は、前記算出部が決定した前記梱包商品のサイズと、前記第1パラメータと、前記算出部が算出した前記積載可能数との関連を示し、
前記積載増加数は、前記第1のサイズの場合の前記積載可能数を基準とした場合における、前記積載可能数の増加量であり、
前記容積減少率は、前記第1のサイズの場合の前記梱包商品の容積を基準とした場合における、前記梱包商品の容積の減少率である、
情報提示システム(10)。
【請求項2】
前記梱包商品は、直方体の形状を有し、
前記第1~第Nのサイズは、前記直方体の幅、奥行き、及び、高さを含
み、
前記算出部は、前記第1のサイズの前記幅、前記奥行き、及び、前記高さの少なくとも1つを変更して前記第2~第Nのサイズを生成する、
請求項
1に記載の情報提示システム。
【請求項3】
前記第2~第Nのサイズの少なくとも1つは、前記第1のサイズと比較して、前記幅、前記奥行き、及び、前記高さのうちの少なくとも1つが異なる、
請求項
2に記載の情報提示システム。
【請求項4】
前記第2~第Nのサイズの少なくとも1つは、前記第1のサイズと比較して、前記幅、前記奥行き、及び、前記高さのうちの少なくとも1つが長く、かつ、少なくとも1つが短い、
請求項
3に記載の情報提示システム。
【請求項5】
前記算出部は、所定の範囲内になるように前記第2~第Nのサイズが設定される条件で、前記第2~第N算出ステップを実行する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提示システム。
【請求項6】
前記商品は、複数の部材(56a,56b)から構成され、
前記算出部は、前記商品の前記複数の部材のそれぞれが別々の前記梱包材で梱包された複数の梱包商品(58a,58b)を前記コンテナに積載する場合に、前記複数の梱包商品のそれぞれが同じ数だけ1つの前記コンテナに積載される条件で、前記第1~第N算出ステップを実行する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提示システム。
【請求項7】
前記算出部は、前記複数の梱包商品を積み重ねて前記コンテナに積載する場合に、前記複数の梱包商品を積み重ねる順番が設定される条件で、前記第1~第N算出ステップを実行する、
請求項
6に記載の情報提示システム。
【請求項8】
前記提示部は、前記コンテナに積載される前記梱包商品を図示することで前記第1情報を提示する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
情報提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部材を梱包するケースをコンテナに積み込む際におけるケースの積み込み位置を決定するバンニングレイアウトシステムが用いられている。例えば、特許文献1(特開平7-49909号公報)に開示のシステムは、ケースの仕様、数量、及び、コンテナへの積載条件に基づいてケースの積み込み位置を決定して、コンテナ内におけるケースの配置に関する情報を出力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のバンニングレイアウトシステムは、ケースのサイズと、コンテナに積載可能なケースの個数との関連を示す情報を出力しない。そのため、コンテナに積載可能なケースの個数を増やすことができるサイズのケースを用いることで積載効率を向上させることが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の情報提示システムは、梱包材で梱包された商品である梱包商品に関する情報を提示する。情報提示システムは、算出部と、提示部と、を備える。算出部は、第1パラメータが設定される条件で、1つのコンテナに積載可能な梱包商品の数である積載可能数を算出する。第1パラメータは、コンテナに積載される梱包商品の位置、及び、コンテナに積載される梱包商品の向き、の少なくとも1つを含む。提示部は、算出部の算出結果に基づいて、コンテナに積載される梱包商品のサイズと、第1パラメータと、積載可能数との関連を示す第1情報を提示する。算出部は、第1算出ステップと、第2~第N算出ステップ(Nは、3以上の整数である。)と、を実行する。第1算出ステップは、第1のサイズの梱包商品の積載可能数を算出する。第2~第N算出ステップは、第1のサイズと異なる第2~第Nのサイズの梱包商品の積載可能数を算出する。
【0005】
第1観点の情報提示システムでは、コンテナに積載可能な梱包商品の数である積載可能数を増加させて積載効率を向上できる、梱包商品のサイズを算出することで、商品の輸送費を低減できる。
【0006】
第2観点の情報提示システムは、第1観点の情報提示システムであって、梱包商品は、直方体の形状を有する。第1~第Nのサイズは、梱包商品の直方体の幅、奥行き、及び、高さを含む。
【0007】
第2観点の情報提示システムでは、梱包商品は、サイズを変更しながら積載可能数を算出する処理を高速に実行できる形状を有する。
【0008】
第3観点の情報提示システムは、第2観点の情報提示システムであって、第2~第Nのサイズの少なくとも1つは、第1のサイズと比較して、幅、奥行き、及び、高さのうちの少なくとも1つが異なる。
【0009】
第3観点の情報提示システムでは、積載可能数を最大化できる、梱包商品のサイズを決定できる。
【0010】
第4観点の情報提示システムは、第3観点の情報提示システムであって、第2~第Nのサイズの少なくとも1つは、第1のサイズと比較して、幅、奥行き、及び、高さのうちの少なくとも1つが長く、かつ、少なくとも1つが短い。
【0011】
第4観点の情報提示システムでは、梱包商品の幅及び奥行きを変更しながら積載可能数を算出することで、積載可能数を最大化できる、梱包商品のサイズを決定できる。
【0012】
第5観点の情報提示システムは、第1乃至第4観点のいずれか1つの情報提示システムであって、算出部は、所定の範囲内になるように第2~第Nのサイズが設定される条件で、第2~第N算出ステップを実行する。
【0013】
第5観点の情報提示システムでは、梱包商品のサイズを所定の範囲内で変更しながら積載可能数を算出することで、積載可能数を最大化できる、梱包商品のサイズを決定できる。
【0014】
第6観点の情報提示システムは、第1乃至第5観点のいずれか1つの情報提示システムであって、商品は、複数の部材から構成される。算出部は、商品の複数の部材のそれぞれが別々の梱包材で梱包された複数の梱包商品をコンテナに積載する場合に、複数の梱包商品のそれぞれが同じ数だけ1つのコンテナに積載される条件で、第1~第N算出ステップを実行する。
【0015】
第6観点の情報提示システムでは、コンテナに積載される商品が複数の部材から構成される場合でも、積載効率を向上できる。
【0016】
第7観点の情報提示システムは、第6観点の情報提示システムであって、算出部は、複数の梱包商品を積み重ねてコンテナに積載する場合に、複数の梱包商品を積み重ねる順番が設定される条件で、第1~第N算出ステップを実行する。
【0017】
第7観点の情報提示システムでは、コンテナに積載される商品が複数の部材から構成され、かつ、所定の部材を別の部材の上に積み重ねる必要がある場合でも、積載効率を向上できる。
【0018】
第8観点の情報提示システムは、第1乃至第7観点のいずれか1つの情報提示システムであって、提示部は、コンテナに積載される梱包商品を図示することで第1情報を提示する。
【0019】
第8観点の情報提示システムでは、作業者は、梱包商品をコンテナに積載する際に、梱包商品の積載方法に関する情報を参照することで、積載作業を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】情報提示システム10を用いる物品処理システム100の全体構成の一例を示す図である。
【
図3】情報提示システム10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】情報提示システム10の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】積載効率を向上できる梱包商品50のサイズを算出する処理のフローチャートである。
【
図6】梱包商品Aの「現状」のバンニングイメージの一例である。
【
図7】梱包商品Aの「決定案」のバンニングイメージの一例である。
【
図8】梱包商品Bの「現状」のバンニングイメージの一例である。
【
図9】梱包商品Bの「決定案」のバンニングイメージの一例である。
【
図10】梱包商品Bのサイズを所定の範囲内で変更した場合における積載効率の変化の一例を表す図である。
【
図11】第1の積載条件の下、複数種類の梱包商品58a,58bを積載する場合のバンニングイメージの一例である。
【
図12】第2の積載条件の下、複数種類の梱包商品58a,58bを積載する場合のバンニングイメージの一例である。
【
図13】変形例Dにおいて、複数種類の梱包商品58a,58bを積載する場合のバンニングイメージの一例である。
【
図14】変形例Eにおいて、複数種類の梱包商品58a,58bを積載する場合のバンニングイメージの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
(1)全体構成
本実施形態に係る情報提示システム10は、例えば、物品処理システム100に用いられる。
図1に示されるように、物品処理システム100は、情報提示システム10と、コンテナ20と、積載装置30と、情報端末40と、を備える。物品処理システム100は、作業者が積載装置30及び情報端末40を用いて、コンテナ20に物品を積載するために用いられる。
【0022】
コンテナ20は、海上コンテナ又はインターモーダルコンテナと呼ばれる、国際的に標準化されている輸送コンテナである。コンテナ20は、耐久性を有する密閉型のスチールボックスである。コンテナ20は、略直方体の形状を有している。
【0023】
コンテナ20に積載される物品は、梱包商品50である。
図2に示されるように、梱包商品50は、梱包材52で梱包された商品54である。商品54は、例えば、空気調和装置の室外機等の精密機器である。梱包材52は、例えば、発泡スチロール及び段ボール等の緩衝材から成形され、運搬時の衝撃から商品54を保護するための部材である。商品54を梱包した状態の梱包材52は、略直方体の形状を有している。言い換えると、梱包商品50は、略直方体の形状を有している。梱包材52は、例えば、
図2に示されるように、下側トレイ52aと、胴枠52bと、上側トレイ52cと、から構成される。下側トレイ52a及び上側トレイ52cは、それぞれ、商品54の下端部及び上端部の一部が嵌め込まれるように成形される。胴枠52bは、商品54の周囲を覆う。胴枠52bの下端及び上端は、それぞれ、下側トレイ52a及び上側トレイ52cに嵌め込まれる。
【0024】
積載装置30は、コンテナ20に梱包商品50を積載するための装置である。作業者は、積載装置30を操作して、コンテナ20に梱包商品50を搬入したり、コンテナ20から梱包商品50を搬出したり、コンテナ20内の梱包商品50の位置及び向きを変更したりする。積載装置30は、例えば、ロボットアーム及びフォークリフトである。
【0025】
情報端末40は、例えば、タブレット型の携帯端末である。情報端末40は、例えば、コンテナ20に梱包商品50を積載するために必要又は有用な情報を出力する。作業者は、情報端末40が出力する情報を参照しながら、積載装置30を操作して、コンテナ20に梱包商品50を積載する作業等を行う。情報端末40は、有線又は無線により情報提示システム10と通信可能に接続されている。
【0026】
(2)情報提示システム10の構成
情報提示システム10は、バンニングシミュレーションを実行して積載効率を向上できる梱包商品50のサイズを算出し、梱包商品50に関する情報を提示するコンピュータシステムである。バンニングシミュレーションとは、コンテナ20に積載される梱包商品50の配置を、所定の条件の下で決定する処理である。梱包商品50の配置とは、例えば、コンテナ20内部における各梱包商品50の位置及び向きである。1つのコンテナ20の内部に積載できる梱包商品50の数が多いほど、積載効率が高い。
【0027】
図3に示されるように、情報提示システム10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、ストレージ14と、通信I/F(Interface)15と、ユーザI/F16と、を備える。これらのハードウェア構成要素11~16は、データバスを介して互いに接続される。
【0028】
CPU11は、情報提示システム10の機能を実現するための演算処理及び制御処理を行う。CPU11は、RAM12を作業領域として使用し、ROM13及びストレージ14等に記憶されたプログラムを実行することにより各種処理を実行する。ストレージ14は、不揮発性メモリである。通信I/F15は、情報端末40等の外部の機器との通信を確立するためのデバイスである。ユーザI/F16は、情報提示システム10のユーザからの入力の受け付け、及び、ユーザへの情報の出力等を可能にするデバイスである。ユーザI/F16は、例えば、キーボード、ディスプレイ及びスピーカである。ユーザは、例えば、コンテナ20に梱包商品50を積載する業務を管理する者である。
【0029】
情報提示システム10のハードウェア構成は、上記のものに限られない。例えば、情報提示システム10は、複数のコンピュータが連携して動作するシステム、及び、クラウドコンピューティングを利用したシステムであってもよい。
【0030】
図4に示されるように、情報提示システム10は、算出部61と、提示部62と、商品情報マスタ63と、取得部64と、生成部65と、を有する。これらの機能構成要素61~65は、
図3に示されるハードウェア構成要素11~16と、ソフトウェア構成要素との協働により実現される機能を表す。ソフトウェア構成要素は、例えば、ROM13及びストレージ14に記憶されるプログラムである。
【0031】
商品情報マスタ63は、梱包商品50に関する商品情報を格納するデータベースである。商品情報は、例えば、梱包商品50の数量(在庫量)及び重量と、当該梱包商品50に含まれる商品54の種類と、当該梱包商品50に用いられる梱包材52の種類と、を含む。
【0032】
取得部64は、通信I/F15を介して外部から注文情報を取得する。注文情報は、例えば、注文の対象となる商品54の種類、数量(受注量)、出荷先、及び、出荷日を含む。
【0033】
算出部61は、1つのコンテナ20に積載可能な梱包商品50の数である積載可能数を算出する。算出部61は、商品54の種類に応じて所定の種類の梱包材52で梱包された梱包商品50の積載可能数を算出する。本実施形態では、1つのコンテナ20に積載される商品54は1種類のみである。言い換えると、1つのコンテナ20には、全て同じサイズの複数の梱包商品50が積載される。算出部61は、商品情報マスタ63に格納される商品情報、及び、取得部64が取得した注文情報に基づいて、所定の種類の商品54が梱包された梱包商品50の積載可能数を算出する。
【0034】
算出部61は、梱包商品50に関する積載パラメータ(第1パラメータ)が設定される条件で、積載可能数を算出する。積載パラメータは、コンテナ20に積載される梱包商品50の位置、コンテナ20に積載される梱包商品50の向き、及び、コンテナ20に積載される梱包商品50内の商品54の向き、の少なくとも1つを含む。梱包商品50の位置に関する積載パラメータは、例えば、コンテナ20の内部において梱包商品50を積載することができる領域に関する情報である。梱包商品50の向きに関する積載パラメータは、例えば、コンテナ20に積載された状態の梱包商品50の向きに関する情報である。梱包商品50内の商品54の向きに関する積載パラメータは、例えば、コンテナ20に積載された状態の梱包商品50に含まれる商品54の向きに関する情報である。空気調和装置の室外機のように商品54の向きを輸送時に変更することが好ましくない場合、梱包商品50内の商品54の向きに関する積載パラメータが設定される。
【0035】
生成部65は、算出部61の算出結果に基づいて、コンテナ20に積載される梱包商品50のサイズと、当該梱包商品50に関する積載パラメータと、当該梱包商品50の積載可能数と、の関連を示す積載情報(第1情報)を生成する。積載情報は、例えば、コンテナ20に複数の梱包商品50が積載された状態を図示するバンニングイメージを含む。バンニングイメージは、例えば、コンテナ20を上から見た場合において、コンテナ20に積載された複数の梱包商品50の位置及び向きが示される二次元画像データを含む。バンニングイメージは、コンテナ20に積載された複数の梱包商品50を立体的に示す三次元画像データであってもよい。
【0036】
提示部62は、算出部61の算出結果に基づいて積載情報を提示する。具体的には、提示部62は、生成部65が生成した積載情報を、通信I/F15を介して情報端末40に送信する。情報端末40は、情報提示システム10の提示部62から受信した積載情報を、画面に表示したり、音声で通知したりする。
【0037】
(3)情報提示システム10の動作
図5に示されるフローチャートに沿って、情報提示システム10が、バンニングシミュレーションを実行して積載効率を向上できる梱包商品50のサイズを決定し、積載情報を提示する処理について説明する。
【0038】
ステップS11では、バンニングシミュレーションの対象となる、梱包商品50の基準となるサイズが取得される。以下、梱包商品50の基準となるサイズを、第1のサイズと呼ぶ。商品情報マスタ63は、商品54の種類ごとに、当該商品54が梱包材52で梱包された梱包商品50に関する情報を格納している。梱包商品50に関する情報は、梱包商品50のサイズを含む。梱包商品50のサイズは、直方体の形状を有する梱包商品50の幅、奥行き、及び、高さを含む。ステップS11では、算出部61は、積載対象である梱包商品50の幅、奥行き、及び、高さを商品情報マスタ63から読み込んで、梱包商品50の第1のサイズとして取得する。
【0039】
ステップS12では、第1のサイズを有する梱包商品50に対してバンニングシミュレーションが実行される。以下、第1のサイズに対するバンニングシミュレーションを、第1算出ステップと呼ぶ。ステップS12では、算出部61は、第1算出ステップを実行して、第1のサイズの梱包商品50の積載可能数を算出する。第1算出ステップでは、所定の積載パラメータが設定される条件で、積載可能数が算出される。
【0040】
ステップS13では、ステップS11で取得した第1のサイズに基づいて、バンニングシミュレーションの対象となる、梱包商品50のサイズが取得される。1回のステップS13の実行では、梱包商品50のサイズが1つだけ取得される。
【0041】
ステップS14では、ステップS13で取得したサイズを有する梱包商品50に対してバンニングシミュレーションが実行される。
【0042】
ステップS13及びステップS14からなる一連の処理は、所定の回数、繰り返し実行される。以下、ステップS13で取得される梱包商品50のサイズを、第2~第Nのサイズ(Nは、3以上の整数である。)と呼ぶ。この場合、ステップS13では、第2~第Nのサイズのいずれか1つが順番に取得される。ステップS14では、ステップS13で取得された第2~第Nのサイズのいずれか1つのサイズを有する梱包商品50に対してバンニングシミュレーションが実行される。以下、第2~第Nのサイズに対するバンニングシミュレーションを、それぞれ、第2~第N算出ステップと呼ぶ。算出部61は、第2~第N算出ステップを実行して、第2~第Nのサイズの梱包商品50の積載可能数を算出する。第2~第N算出ステップでは、第1算出ステップで用いた積載パラメータが設定される条件で、積載可能数が算出される。
【0043】
第2~第Nのサイズは、第1のサイズと異なる。第2~第Nのサイズは、互いに異なる。本実施形態では、第2~第Nのサイズの高さは、第1のサイズの高さと同じであり、かつ、第2~第Nのサイズの幅及び奥行きの少なくとも一方は、第1のサイズの幅及び奥行きと異なる。この場合、算出部61は、第1のサイズの幅及び奥行きの少なくとも1つを変更して第2~第Nのサイズを生成する。第2~第Nのサイズの少なくとも1つは、第1のサイズと比較して、幅及び奥行きのうちの一方が長く、かつ、他方が短くてもよい。算出部61は、幅及び奥行きの両方が第1のサイズよりも長い第2~第Nのサイズを生成しない。
【0044】
梱包商品50の第1~第Nのサイズについて具体例を挙げて説明する。第1のサイズは、梱包商品50の基準となるサイズである。第2~第Nのサイズは、第1のサイズの幅及び奥行きを所定の寸法単位で増減させたサイズである。第2~第Nのサイズの幅及び奥行きの範囲は、予め設定されている。第1のサイズの幅が793mmであり、奥行きが340mmであるとする。第2~第Nのサイズは、第1のサイズの90%~110%の範囲内で、第1のサイズの幅を2mm単位で増減させ、かつ、第1のサイズの奥行きを2mm単位で増減させたサイズであるとする。この場合、例えば、第2~第Nのサイズの幅は793mm~773mmに設定され、かつ、第2~第Nのサイズの奥行きは340mm~306mmに設定される。この場合、第1~第Nのサイズの幅は11種類あり、第1~第Nのサイズの奥行きは18種類あるので、Nの値は198である。このように、Nの値は、第1のサイズの変更可能な範囲、及び、第1のサイズを変更する際の増減量に基づいて算出される。
【0045】
ステップS15では、第N算出ステップを実行したか否かが判定される。言い換えると、ステップS15では、第2~第Nのサイズのそれぞれに対する第2~第N算出ステップが全て実行されたか否かが判定される。第N算出ステップが実行されたと判定された場合、ステップS16が実行される。第N算出ステップが実行されなかったと判定された場合、ステップS13及びS14が再度実行される。
【0046】
ステップS16では、第1~第N算出ステップで算出した、第1~第Nのサイズの梱包商品50の積載可能数に基づいて、積載効率を向上できる梱包商品50のサイズが決定される。算出部61は、基準となる第1のサイズとの違いが小さく、かつ、積載可能数が多くなるようなサイズを、第1~第Nのサイズから選択する。算出部61は、選択したサイズを、積載効率を向上できる梱包商品50のサイズとして決定する。
【0047】
この場合、ステップS16において、算出部61は、第1~第Nのサイズのそれぞれに対して積載効率を表す値を算出して、当該値が最も高い梱包商品50のサイズを、積載効率を向上できる梱包商品50のサイズとして決定してもよい。積載効率を表す値は、例えば、積載増加数と容積減少率との比である。積載増加数とは、第1のサイズの場合の積載可能数を基準とした場合における、積載可能数の増加量である。例えば、第1のサイズの場合の積載可能数が50個であり、第2のサイズの場合の積載可能数が55個である場合、第2のサイズに対する積載増加数は5である。容積減少率は、第1のサイズの場合の梱包商品50の容積を基準とした場合における、梱包商品50の容積の減少率である。梱包商品50の容積は、梱包商品50の幅と奥行きと高さとの積である。例えば、第2のサイズの場合の梱包商品50の容積が、第1のサイズの場合の梱包商品50の容積より2%小さい場合、第2のサイズに対する容積減少率は2である。積載増加数が大きいほど、又は、容積減少率が小さいほど、積載効率を表す値は大きくなる。
【0048】
ステップS17では、ステップS16で決定した梱包商品50のサイズに基づいて、積載情報が生成される。
【0049】
ステップS18では、ステップS17で生成した積載情報が、情報端末40を介して作業者に提示される。
【0050】
次に、情報提示システム10が、バンニングシミュレーションを実行して積載効率を向上できる梱包商品50のサイズを決定する処理の実施例について説明する。
【0051】
この実施例では、コンテナ20の内寸の幅は11950mmであり、奥行きは2320mmである。コンテナ20の内寸は、梱包商品50が積載可能な領域(コンテナ20内部の底面)のサイズを表す。バンニングシミュレーションの対象となる梱包商品50は、梱包商品A及び梱包商品Bの2種類である。梱包商品A及び梱包商品Bは、互いに異なる種類の商品54を梱包し、互いに異なるサイズを有する。次の表は、梱包商品Aのバンニングシミュレーションの結果を示す。
【0052】
【0053】
次の表は、梱包商品Bのバンニングシミュレーションの結果を示す。
【0054】
【0055】
表中の「現状」の列は、基準となる第1のサイズの梱包商品50に関するデータを表す。表中の「決定案」の列は、情報提示システム10が、積載効率を向上できる梱包商品50のサイズとして、第1~第Nのサイズから選択して決定したサイズの梱包商品50に関するデータを表す。
【0056】
情報提示システム10は、積載情報として、
図6~9に示されるバンニングイメージを生成して、情報端末40を介して作業者に提示する。
図6~9は、コンテナ20を上から見た場合において、コンテナ20に積載された梱包商品50の配置を示す。
図6及び
図7に示されるように、梱包商品Aを積載する場合、「現状」の積載可能数は64であり、「決定案」の積載可能数は72である。
図8及び
図9に示されるように、梱包商品Bを積載する場合、「現状」の積載可能数は98であり、「決定案」の積載可能数は104である。
【0057】
従って、梱包商品Aの場合、表中の「決定案」のサイズの梱包商品50を採用することで、積載可能数を13%増加させることができる。梱包商品Bの場合、表中の「決定案」のサイズの梱包商品50を採用することで、積載可能数を6%増加させることができる。
【0058】
次に、バンニングシミュレーションの具体例について
図10を参照しながら説明する。
図10のグラフは、梱包商品Bのサイズ(幅及び奥行き)を所定の範囲内で変更した場合における積載効率の変化を表す。グラフの横軸は、梱包商品Bの奥行きを表し、左側から右側に向かって奥行きが小さくなる。グラフの縦軸は、梱包商品Bの幅を表し、下側から上側に向かって幅が小さくなる。グラフは、複数の領域D1~D4を含んでいる。領域D1~D4は、第1のサイズを有する梱包商品Bの積載効率である基準積載効率からの増加量に応じて区分されている。第1のサイズは、グラフの左下の点に相当し、領域D1にある。
【0059】
領域D1は、基準積載効率からの増加量が0以上かつ0.2未満の領域である。領域D2は、基準積載効率からの増加量が0.5以上の領域である。領域D3,D4は、領域D2の一部であって、基準積載効率からの増加量が1.5以上の領域である。領域D1は、第1のサイズに近い領域である。梱包商品Bのサイズを領域D1内で変更しても、基準積載効率は、ほとんど変化しない。しかし、領域D1内の幅及び奥行きの少なくとも一方を徐々に小さくして梱包商品Bのサイズが領域D1から領域D2に移行すると、積載効率が大きくなる。特に、領域D2に含まれる領域D3,D4は、領域D1と隣接するにも関わらず、領域D1と比較して積載効率が特に大きい領域である。領域D3,D4において積載効率が特に大きい理由は、例えば、
図6及び
図7に示されるように、梱包商品Bのサイズを変更することで、一部の梱包商品Bの向きを変更することが可能となり、その結果、梱包商品Bの効率的な配置が実現できるようになるからである。このように、バンニングシミュレーションでは、梱包商品Bの向き及び配置を考慮することで、領域D3,D4におけるサイズのように、第1のサイズに近いサイズであるにも関わらず、高い積載効率を実現できる梱包商品Bのサイズを算出できる。
【0060】
(4)特徴
(4-1)
情報提示システム10は、1つのコンテナ20に積載可能な梱包商品50の数である積載可能数を増加させて積載効率を向上できる、梱包商品50のサイズを算出して提示する。そのため、提示されたサイズの梱包商品50をコンテナ20に積載することで、コンテナ20の使用台数を削減して、商品54の輸送費を低減することができる。
【0061】
(4-2)
情報提示システム10は、積載効率を表す値(積載増加数と容積減少率との比)が最も高い梱包商品50のサイズを、積載効率を向上できる梱包商品50のサイズとして決定してもよい。これにより、情報提示システム10は、基準となる第1のサイズからの容積減少を抑えつつ、積載可能数が多くなるようなサイズの梱包商品50を決定することができる。基準となる第1のサイズからの容積減少が小さいほど、サイズ変更に伴う梱包材52の設計変更が容易になり、かつ、梱包材52の耐久性等の低下を抑えることができる。
【0062】
(4-3)
コンテナ20及び梱包商品50が直方体の形状を有する場合、情報提示システム10は、梱包商品50のサイズ(幅、奥行き、及び、高さ)を変更しながら積載可能数を算出するバンニングシミュレーションの処理を高速に実行できる。例えば、情報提示システム10は、梱包商品50の幅及び奥行きを変更しながら積載可能数を算出することで、積載可能数を最大化できる、梱包商品50のサイズを高速に決定できる。
【0063】
(4-4)
情報提示システム10は、梱包商品50のサイズを第1のサイズから少しずつ変更することで第2~第Nのサイズを取得し、第2~第Nのサイズのそれぞれに対してバンニングシミュレーションを実行する。情報提示システム10は、コンテナ20に積載された梱包商品50の向き及び配置を考慮してバンニングシミュレーションを実行することで、積載効率を向上できる、梱包商品50のサイズを決定できる。
【0064】
(4-5)
情報提示システム10は、積載情報としてバンニングイメージを生成して、情報端末40を介して作業者に提示する。作業者は、情報端末40に表示されるバンニングイメージを参照することで、積載装置30を用いて、梱包商品50をコンテナ20に積載する作業を効率的に行うことができる。
【0065】
<第2実施形態>
本実施形態の情報提示システム10の基本的な構成及び動作は、第1実施形態の情報提示システム10と同じである。以下、本実施形態の情報提示システム10と、第1実施形態の情報提示システム10との相違点を中心に説明する。
【0066】
本実施形態では、商品54は、複数の部材から構成される。複数の部材のそれぞれは、別々の梱包材52で梱包されて、複数の梱包商品となる。以下、商品54は、第1の部材56a及び第2の部材56bの2つの部材から構成されるとする。商品54は、空気調和装置であり、第1の部材56aは室外機であり、第2の部材56bは室内機である。第1の部材56aは、第1の部材56aに適した梱包材52で梱包されて第1の梱包商品58aとなる。第2の部材56bは、第2の部材56bに適した梱包材52で梱包されて第2の梱包商品58bとなる。第1の梱包商品58a及び第2の梱包商品58bは、コンテナ20に積載される対象である。このように、本実施形態では、コンテナ20に積載される梱包商品は、複数種類の梱包商品から構成される。
【0067】
算出部61は、複数種類の梱包商品のそれぞれが同じ数だけ1つのコンテナ20に積載される条件で、第1~第N算出ステップを実行する。そのため、1つのコンテナ20に積載される第1の梱包商品58aの数と、第2の梱包商品58bの数とは同じである。算出部61は、複数種類の梱包商品のそれぞれのサイズ(幅、奥行き、及び、高さ)を変更しながら、各梱包商品の積載可能数を算出するバンニングシミュレーションを実行する。
【0068】
算出部61は、第1の梱包商品58a及び第2の梱包商品58bの積載に関する積載条件の下、第1の梱包商品58a及び第2の梱包商品58bの積載可能数を算出する。次に、積載条件の2つの例について
図11~12を参照しながら説明する。
図11~12は、コンテナ20に積載された第1の梱包商品58a及び第2の梱包商品58bを立体的に示す図である。
図11~12では、第2の梱包商品58bは、ハッチングされた領域として示されている。
【0069】
(1)第1の積載条件
この条件では、複数種類の梱包商品のそれぞれは、コンテナ20内部の梱包商品が積載可能な領域(コンテナ20内部の底面)において、互いに異なる領域に積載される。具体的には、
図11に示されるように、コンテナ20内部の底面は、第1の梱包商品58aのみが積載される第1の領域R1と、第2の梱包商品58bのみが積載される第2の領域R2と、を含む。
【0070】
(2)第2の積載条件
この条件では、複数種類の梱包商品のそれぞれの重量が異なっている場合、ある梱包商品を、それより重量が小さい梱包商品の上に積み重ねないようにして、複数種類の梱包商品が積載される。具体的には、第1の梱包商品58aが室外機を含み、第2の梱包商品58bが室内機を含む場合、第1の梱包商品58aは、第2の梱包商品58bよりも重い。そのため、
図12に示されるように、第2の梱包商品58bを第1の梱包商品58aの上に積み重ねるようにして、第1の梱包商品58a及び第2の梱包商品58bがコンテナ20に積載される。
【0071】
提示部62は、算出部61の算出結果に基づいて、
図11~12に示されるように積載条件が考慮されたバンニングイメージを生成して、当該バンニングイメージを含む積載情報を提示する。
【0072】
本実施形態では、情報提示システム10は、コンテナ20に積載される商品54が複数の部材から構成される場合でも、第1実施形態と同様に積載効率を向上できる。また、情報提示システム10は、上記の第2の積載条件の下で第1~第N算出ステップを実行することで、商品を構成する複数の部材のうち、所定の部材を別の部材の上に積載する必要がある場合でも、積載効率を向上できる。
【0073】
なお、第2の積載条件に関して、複数種類の梱包商品を積み重ねる順番は、梱包商品の重さ以外の要素によって設定されてもよい。例えば、複数種類の梱包商品を積み重ねる順番は、梱包商品の寸法、及び、梱包商品内の商品の材質によって設定されてもよい。
【0074】
<変形例>
(1)変形例A
第1実施形態では、第2~第Nのサイズの高さは、第1のサイズの高さと同じであり、かつ、第2~第Nのサイズの幅及び奥行きの少なくとも一方は、第1のサイズの幅及び奥行きと異なる。この場合、算出部61は、第1のサイズの幅及び奥行きの少なくとも1つを変更して第2~第Nのサイズを生成する。しかし、第2~第Nのサイズの少なくとも1つは、第1のサイズと比較して、幅、奥行き、及び、高さのうちの少なくとも1つが異なっていればよい。
【0075】
例えば、第2~第Nのサイズの奥行きは、第1のサイズの奥行きと同じであり、かつ、第2~第Nのサイズの幅及び高さの少なくとも一方は、第1のサイズの幅及び高さと異なってもよい。この場合、算出部61は、第1のサイズの幅及び高さの少なくとも1つを変更して第2~第Nのサイズを生成する。
【0076】
また、第2~第Nのサイズの幅は、第1のサイズの幅と同じであり、かつ、第2~第Nのサイズの奥行き及び高さの少なくとも一方は、第1のサイズの奥行き及び高さと異なってもよい。この場合、算出部61は、第1のサイズの奥行き及び高さの少なくとも1つを変更して第2~第Nのサイズを生成する。
【0077】
また、第2~第Nのサイズの少なくとも1つは、第1のサイズと比較して、幅、奥行き、及び、高さのうちの少なくとも1つが長く、かつ、少なくとも1つが短くてもよい。
【0078】
(2)変形例B
算出部61は、所定の範囲内になるように第2~第Nのサイズが設定される条件で、第2~第N算出ステップを実行してもよい。具体的には、算出部61は、
図5のステップS13において、第2~第Nのサイズの幅及び奥行きが、それぞれ、変更可能範囲内となるように、第2~第Nのサイズを生成してもよい。変更可能範囲は、ユーザが事前に設定した任意の範囲であってもよい。また、変更可能範囲は、自動的に設定されてもよい。例えば、変更可能範囲は、第1のサイズの幅及び奥行きの90%~110%となるように設定されてもよい。
【0079】
情報提示システム10は、梱包商品50のサイズを変更可能範囲内で変更しながら積載可能数を算出するバンニングシミュレーションを実行することで、積載可能数を最大化できる、梱包商品50のサイズを効率的に決定できる。
【0080】
(3)変形例C
算出部61は、
図5のステップS12及びステップS14において、梱包商品50の回転制約に関する条件の下、第1~第N算出ステップを実行してもよい。回転制約に関する条件とは、コンテナ20に積載された状態の梱包商品50の向きに関する条件である。回転制約に関する条件は、例えば、商品54が室外機である場合、室外機を梱包した梱包商品50を指定の向きに対して横倒しにしたり上下反対にしたりして配置することを禁止する条件である。
【0081】
情報提示システム10は、回転制約に関する条件の下、梱包商品50のサイズを決定することで、梱包商品50が不適切な状態でコンテナ20に積載されることによる梱包商品50の不具合の発生を抑制できる。
【0082】
(4)変形例D
第2実施形態において、第2の積載条件は、異なる種類の梱包商品の上に積み重ねられた梱包商品のはみ出し量に関する条件をさらに含んでもよい。
図13は、本変形例を説明するための図であり、コンテナ20を側面から見た場合において、コンテナ20に積載された第1の梱包商品58a及び第2の梱包商品58bの配置を示す図である。
図13では、第2の梱包商品58bは、ハッチングされた領域として示されている。
【0083】
図13に示されるように、第2の梱包商品58bを第1の梱包商品58aの上に積み重ねる場合、一部の第2の梱包商品58bは、第1の梱包商品58aの縁からはみ出した状態で、第1の梱包商品58aの上に積み重ねられることがある。この場合、はみ出し量に関する条件とは、第1の梱包商品58aの縁からの第2の梱包商品58bのはみ出し量(
図13の寸法L1)を所定値以下とする条件である。はみ出し量が長いほど、コンテナ20の運搬中に、第2の梱包商品58bは第1の梱包商品58aから落下しやすくなる。
【0084】
情報提示システム10は、はみ出し量に関する条件の下、梱包商品50のサイズを決定することで、コンテナ20の運搬中にコンテナ20内部で梱包商品が落下することを抑制できる。
【0085】
(5)変形例E
第2実施形態において、第2の積載条件は、一番下に積載される梱包商品の配置に関する条件をさらに含んでもよい。
図14は、本変形例を説明するための図であり、コンテナ20を上から見た場合において、コンテナ20に積載された第1の梱包商品58aの配置を示す図である。
【0086】
図14に示されるように、バンニングシミュレーションの結果、コンテナ20に積載された状態の第1の梱包商品58aの向きが2種類あるバンニングイメージが生成された場合について説明する。
図14には、第1の梱包商品58aの幅方向がコンテナ20の長手方向と平行になるように配置される第3の領域R3と、第1の梱包商品58aの奥行き方向がコンテナ20の長手方向と平行になるように配置される第4の領域R4と、が示されている。作業者は、コンテナ20の長手方向の一端にある搬入口20aから、最初に第3の領域R3に第1の梱包商品58aを積載し、次に、第4の領域R4に第1の梱包商品58aを積載する。この場合、算出部61は、
図14に示される寸法L2が最小となる条件の下、第1~第N算出ステップを実行してもよい。寸法L2が小さいほど、第2の梱包商品58bを第1の梱包商品58aの上に積み重ねることが容易になる。寸法L2は、第1の梱包商品58aの奥行きの2倍以下であることが好ましい。
【0087】
情報提示システム10は、一番下に積載される梱包商品の配置に関する条件の下、梱包商品50のサイズを決定することで、第2の梱包商品58bの積載作業を効率化することができる。
【0088】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0089】
10 :情報提示システム
20 :コンテナ
50 :梱包商品
52 :梱包材
54 :商品
61 :算出部
62 :提示部
56a :第1の部材(複数の部材)
56b :第2の部材(複数の部材)
58a :第1の梱包商品(複数の梱包商品)
58b :第2の梱包商品(複数の梱包商品)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】