(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】車両のランプの取付構造
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/26 20060101AFI20240731BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
B60Q1/00 E
(21)【出願番号】P 2020126493
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 幸季
(72)【発明者】
【氏名】村杉 晋也
(72)【発明者】
【氏名】時實 亮
(72)【発明者】
【氏名】小倉 星也
(72)【発明者】
【氏名】貴田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】今田 光彦
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-348648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部の骨格を形成する骨格部材と、
前記車両の前部の側部の外装を形成するフェンダと、
前記骨格部材の上側に位置するランプと、
を備える車両のランプの取付構造であって、
前記ランプに形成され、該ランプの長さ方向一端を支持する第1固定部と、
前記ランプに形成され、該ランプの長さ方向他端を支持する第2固定部と、
前記ランプに車幅方向外側に向かって突出して形成され、該ランプの前記一端から前記他端までのうちのいずれか一点を支持する第3固定部と、
前記骨格部材に形成され、前記第1固定部が固定される第1取付部と、
前記骨格部材に形成され、前記第2固定部が固定される第2取付部と、
前記フェンダの内側部に形成され、前記第3固定部を保持する保持部と、を有
し、
前記保持部は、前記第3固定部の底部を保持する保持底部と、前記保持底部から上方に延びる第1保持側部及び第2保持側部とを含み、
前記第3固定部は、前記保持底部により底部を保持される際、前記第1保持側部と前記第2保持側部との間に位置することを特徴とする車両のランプの取付構造。
【請求項2】
前記第1固定部は、前記第1取付部及び前記フェンダの少なくとも一方に係止し、または係止されることを特徴とする、請求項1に記載の車両のランプの取付構造。
【請求項3】
前記第1固定部は、前記ランプの前記一端の上端部に位置し、前記第2固定部は、前記ランプの前記他端の下端部に位置することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両のランプの取付構造。
【請求項4】
前記第1保持側部と前記第2保持側部との距離は、前記第3固定部の前記第1保持側部と前記第2保持側部との距離に係る方向における幅より所定距離大きいことを特徴とする、請求項
1~3の何れか一項に記載の車両のランプの取付構造。
【請求項5】
前記フェンダに形成され、前記第3固定部が固定される第3取付部を有し、
前記第3取付部は、前記保持部によって前記第3固定部が保持された状態で前記第3固定部が固定されることを特徴とする、請求項1~
4の何れか一項に記載の車両のランプの取付構造。
【請求項6】
前記車両は、該車両の前端の外装を形成するバンパを備えており、
前記第3取付部は、前記第3固定部とは反対側の面が前記バンパに覆われることを特徴とする、請求項
5に記載の車両のランプの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のランプの取付構造に係り、特に取り付け作業性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、主に昼間等の明るい中で車両の存在を周囲に主張するランプであるDRL(Daytime Running Light)を、主に夜間等の暗中で進行方向を照らすヘッドランプとは別に備える車両が普及しつつある。このような複数種のランプを上下方向に並べて配設する方法として、一のランプをアッパーバーサイド等のフレーム部材に取り付ける技術が開発されている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、車両の前部の意匠性を向上させるべく、DRL等のランプをフレーム部材より上側に配設することが考えられる。ここで、上記特許文献1に開示される技術について鑑みると、ランプは、フレーム部材と同じ高さに配設されており、ランプを車両に取り付ける際に当該ランプをフレーム部材に寄りかからせるようにして安定させることができる。したがって、ランプをフレーム部材より上側に安定して配設するためには、更なる改善の余地があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両に固定する前であってもランプを安定して保持させることができる車両のランプの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の車両のランプの取付構造は、車両の前部の骨格を形成する骨格部材と、前記車両の前部の側部の外装を形成するフェンダと、前記骨格部材の上側に位置するランプと、を備える車両のランプの取付構造であって、前記ランプに形成され、該ランプの長さ方向一端を支持する第1固定部と、前記ランプに形成され、該ランプの長さ方向他端を支持する第2固定部と、前記ランプに車幅方向外側に向かって突出して形成され、該ランプの前記一端から前記他端までのうちのいずれか一点を支持する第3固定部と、前記骨格部材に形成され、前記第1固定部が固定される第1取付部と、前記骨格部材に形成され、前記第2固定部が固定される第2取付部と、前記フェンダの内側部に形成され、前記第3固定部を保持する保持部と、を有し、前記保持部は、前記第3固定部の底部を保持する保持底部と、前記保持底部から上方に延びる第1保持側部及び第2保持側部とを含み、前記第3固定部は、前記保持底部により底部を保持される際、前記第1保持側部と前記第2保持側部との間に位置することを特徴とする。
【0007】
これにより、骨格部材に形成される第1取付部及び第2取付部に第1固定部及び第2固定部を固定する際に、フェンダの内側部に形成された保持部に第3固定部が保持されることで、第1固定部及び第2固定部に固定される前のランプが揺動することを抑制することが可能とされる。特に、保持底部により第3固定部の底部を保持する際に第3固定部が第1保持側部と第2保持側部との間に位置することで、第3固定部が第1保持側部と第2保持側部との間に位置するようにランプを組み付けるよう、案内することが可能とされる。
その他の態様として、前記第1固定部は、前記第1取付部及び前記フェンダの少なくと
も一方に係止し、または係止されるのが好ましい。
【0008】
これにより、第1固定部の移動を規制しつつ保持部に第3固定部を保持させることが可能とされる。
その他の態様として、前記第1固定部は、前記ランプの前記一端の上端部に位置し、前記第2固定部は、前記ランプの前記他端の下端部に位置するのが好ましい。
これにより、ランプの一端の上端部に第1固定部を位置させ、ランプの他端の下端部に第2固定部を位置させることで、より安定した状態でランプを固定することが可能とされる。
【0010】
その他の態様として、前記第1保持側部と前記第2保持側部との距離は、前記第3固定部の前記第1保持側部と前記第2保持側部との距離に係る方向における幅より所定距離大きいのが好ましい。
これにより、第1保持側部と第2保持側部との距離を第3固定部の幅より所定距離大きく形成することで、例えばフェンダが雰囲気温度により所定距離伸縮しても第3固定部を第1保持側部と第2保持側部との間に位置させることが可能とされる。
【0011】
その他の態様として、前記フェンダに形成され、前記第3固定部が固定される第3取付部を有し、前記第3取付部は、前記保持部によって前記第3固定部が保持された状態で前記第3固定部が固定されるのが好ましい。
これにより、第3固定部が保持部によって保持された状態で第3取付部に固定されるようにすることで、第3固定部を保持部によって保持しつつ第3取付部に固定することが可能とされる。
【0012】
その他の態様として、前記車両は、該車両の前端の外装を形成するバンパを備えており、前記第3取付部は、前記第3固定部とは反対側の面が前記バンパに覆われるのが好ましい。
これにより、第3取付部における第3固定部とは反対側の面をバンパにより覆うようにすることで、第3取付部に第3固定部を固定する際に例えばボルトを用いるようにしても、該ボルトをバンパにより覆い隠して意匠性を確保することが可能とされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両のランプの取付構造によれば、骨格部材に形成される第1取付部及び第2取付部に第1固定部及び第2固定部を固定する際に、フェンダの内側部に形成された保持部に第3固定部が保持されたので、第1固定部及び第2固定部に固定される前のランプが揺動することを抑制することができる。特に、保持底部により第3固定部の底部を保持する際に第3固定部が第1保持側部と第2保持側部との間に位置することで、第3固定部が第1保持側部と第2保持側部との間に位置するようにランプを組み付けるよう、案内することが可能とされる。これにより、車両に固定する前であってもランプを安定して保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図7】前側固定部及びDRL固定部の斜視図である。
【
図8】フェンダ固定部及びDRL固定部の縦断面図である。
【
図9】別実施例に係るフェンダ固定部の斜視図である。
【
図10】別実施例に係る前側固定部及びDRL固定部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、車両1の前部の斜視図が示されている。車両1は、図示しないエンジンを搭載した普通乗用車である。この車両1の前部には、フード3、フェンダ5、バンパ7、グリル9、ヘッドランプ11及びDRL(Daytime Running Light)13が備えられる。フード3は、エンジンルーム25の上方を覆う開閉可能な金属製のエンジンカバーである。フェンダ5は、車両1の前部の外側面を形成する樹脂製のフロントフェンダであり、前輪2の周縁に沿うように形成される。このフェンダ5は、図示はしないが、車両右側にも同様に配設される。バンパ7は、車両1の前端に設けられた樹脂製のフロントバンパであり、左右のフェンダ5の前端や車体等に取り付けられる。このバンパ7には、ヘッドランプ11に対応する位置に開口7aが形成される。グリル9は、バンパ7における車両左右方向中央の上側であって、フード3の左右方向中央の下側に位置する通気性を有する部材である。
【0016】
ヘッドランプ11は、主に夜間等の暗中で進行方向を照らすランプであり、車体に取り付けられ、バンパ7の開口7aから車両前方を臨むように設けられる。DRL(ランプ)13は、主に昼間等の明るい中で車両1の存在を周囲に主張するランプであり、フード3、フェンダ5、バンパ7及びグリル9によって画された空間13aに配設されている。
図2を参照すると、車両1の前部の分解斜視図が示されている。DRL13は、車両前端から後方に、左右方向左側に向かって延びるよう設けられる。また、DRL13は、車両前後方向中央が車両1の外方へ向かって湾曲した形状である。したがって、DRL13は、重心がDRL13の前端と後端を結ぶ直線上にはなく、該直線より車両外方側に位置する。
【0017】
車両1の前部には、車体フレーム(骨格部材)15が形成されており、インサイドパネル(骨格部材)21及びアッパビーム(骨格部材)23を有している。インサイドパネル21は、車体フレーム15のうち、エンジンルーム25の左側壁を形成する金属製の骨格部材である。このインサイドパネル21は、車体フレーム15に左右一対に形成される。アッパビーム23は、車体フレーム15の前端に左右方向に延びて配設される樹脂製の骨格部材である。
【0018】
フェンダ5は、前端及び上端が車体フレーム15のインサイドパネル21等にボルト固定され、DRL13は、前端がアッパビーム23にボルト固定され、後端がインサイドパネル21にボルト固定され、前後方向略中央部がフェンダ5に固定される。以下、フェンダ5、DRL13、インサイドパネル21及びアッパビーム23の取付構造について説明する。
【0019】
車体フレーム15にはフェンダ取付部31が設けられ、インサイドパネル21には第1取付部32が設けられ、アッパビーム23には第2取付部33が形成される。フェンダ取付部31は、車体フレーム15の左側面から車両左方向に延びて形成されており、左端部に雌ネジが形成される。
図3を参照すると、
図2中の矢視Aから視た上視図が示されている。また、
図4を参照すると、
図3中のI-I断面の断面図が示されている。またさらに、
図5を参照すると、
図3中のII-II断面の断面図が示されている。
【0020】
第1取付部32は、インサイドパネル21の上側面に溶接される部材であり、フェンダ取付部31の後側に位置する。この第1取付部32には、フェンダ取付雌ネジ32a及びDRL取付雌ネジ32bが形成される。フェンダ取付雌ネジ32aは、第1取付部32の上面における車両左右方向左側に設けられる雌ネジである。DRL取付雌ネジ32bは、第1取付部32の上面における車両左右方向右側に設けられる雌ネジである。
【0021】
図2に戻り、第2取付部33は、アッパビーム23の左右端部の上面に形成される雌ネジである。DRL13には、パネル固定部(第1固定部)41、ビーム固定部(第2固定部)43及びフェンダ固定部(第3固定部)45が形成される。パネル固定部41は、DRL13の後端から後方に延びて形成される。このパネル固定部41には、下方に延びる係止ピン41aが形成されている(
図3、4参照)。ビーム固定部43は、DRL13の前端下部から前方に延びて形成される。これにより、ビーム固定部43は、アッパビーム23の第2取付部33に図示しないボルトによって固定することができる。
【0022】
図6を参照すると、フェンダ固定部45の斜視図が示されている。また、
図7を参照すると、前側固定部51及びDRL固定部55の斜視図が示されている。またさらに、
図8を参照すると、フェンダ固定部45及びDRL固定部55の縦断面図が示されている。フェンダ固定部45は、DRL13の下部における車両前後方向中央より後側であって、フェンダ5の前端に対応する位置に形成される(
図2参照)。このフェンダ固定部45には、フェンダ5に臨む開口45aが形成され、内部にナット45bが配設される。
【0023】
フェンダ5には、前側固定部51、上側固定部53及びDRL固定部(第3取付部)55が形成されている(
図2参照)。前側固定部51は、フェンダ5におけるインサイドパネル21のフェンダ取付部31に対応する位置に形成されたボルト座面であり、車両前後方向に延びる長穴51aが形成されている。したがって、前側固定部51は、ボルトによって車体フレーム15のフェンダ取付部31に固定することができる。また、雰囲気温度によりフェンダ5が伸縮して前側固定部51の位置が変動する場合であっても、長穴51aにより取付位置を調整することができるので、フェンダ5をフェンダ取付部31に固定する際にフェンダ5に加わる負荷を低減することができる。
【0024】
図3に戻り、上側固定部53は、フェンダ5の上端から車両左右方向右方に向かって延びるボルト座面であり、インサイドパネル21の第1取付部32に対応する位置に形成されている。この上側固定部53は、長孔53a及びDRL係止孔53bが形成される。長孔53aは、上下方向に向かって開放し前後方向に延びて形成される。したがって、上側固定部53は、雰囲気温度によりフェンダ5が伸縮して前側固定部51の位置が変動する場合であっても、取付位置を調整しつつ、ボルト53cによってインサイドパネル21の第1取付部32に固定することができる。
【0025】
DRL係止孔53bは、第1取付部32の上面に、上下方向に開放する貫通孔である。これにより、パネル固定部41は、インサイドパネル21の第1取付部32に形成されたDRL係止孔53bに係止ピン41aを係止し、DRL取付雌ネジ32bにボルト53dによって第1取付部32に固定する固定することができる。
図7によると、DRL固定部55は、フェンダ5における前側固定部51の車両上下方向上側に形成されたボルト座面である。このDRL固定部55には、保持部57及び長孔59が形成される。保持部57は、車両左右方向内側に突出する底板部(保持底部)57a、前側板部(第1保持側部)57b及び後側板部(第2保持側部)57cを有している。底板部57aは、フェンダ固定部45がDRL固定部55に組み付く際にフェンダ固定部45の下側に位置し、車両前後方向に延びて形成される。これにより、保持部57は、底板部57aによってフェンダ固定部45の下端を保持することができる。
【0026】
前側板部57bは、フェンダ固定部45が保持部57に組み付く際にフェンダ固定部45の前側に位置し、車両上下方向に延びて形成される。後側板部57cは、フェンダ固定部45が保持部57に組み付く際にフェンダ固定部45の後側に位置し、車両上下方向に延びて形成される。前側板部57b、後側板部57c間の距離は、前側固定部51の車両前後方向の幅より所定距離広くなるよう形成される。これにより、保持部57は、前側板部57b及び後側板部57cによってフェンダ固定部45を車両前後方向で保持することができる。また、保持部57は、フェンダ固定部45がDRL固定部55に組み付く際に前側板部57b及び後側板部57cと所定距離の空隙を形成することができる。
【0027】
長孔59は、車両左右方向に開放し、前後方向に延びて形成される開孔である。
図8によると、この長孔59は、ボルト55aが貫通可能な幅に形成される。これにより、車両左右方向左側からボルト55aを長孔59及び開口45aに貫通させてナット45bに螺合することで、DRL固定部55にフェンダ固定部45を固定することができる。
図2に戻り、車体フレーム15にフェンダ5及びDRL13を組み付ける際の組付け手順及びその際の作用効果を説明する。
【0028】
まず、車体フレーム15には、フェンダ5を取り付ける。具体的には、フェンダ5の後端部等を車体に取り付けつつ、フェンダ取付部31の上側及び第1取付部32の左側に前側固定部51及び上側固定部53を位置させ、ボルトによって固定する。このとき、前側固定部51には長穴51aが形成され、上側固定部53には長孔53aが形成されるため、雰囲気温度が規定温度(例えば25℃)のときと比較してフェンダ5が車両前後方向に伸縮してなる場合であっても、負荷をかけずにフェンダ5をフェンダ取付部31及び第1取付部32に固定することができる。
【0029】
次に、車体フレーム15には、DRL13を組み付ける。具体的には、DRL13の上側固定部53のDRL係止孔53bにパネル固定部41の係止ピン41aを挿入するよう、DRL13を上方から下方に移動させる。このとき、アッパビーム23の第2取付部33上側にビーム固定部43を位置させ、フェンダ5のDRL固定部55の保持部57にフェンダ固定部45を位置させるように移動させる。これにより、DRL13は、DRL係止孔53bが係止ピン41aに係止するようにして後端が支持され、ビーム固定部43が第2取付部33に支持されることで前端が支持される。そして、フェンダ固定部45が保持部57によって保持されることで、DRL13は、前端及び後端を軸にして揺動することなく姿勢を安定させて、車体フレーム15上側に配設することができる。
【0030】
DRL13を車体フレーム15上側に配設したあと、ビーム固定部43、パネル固定部41、フェンダ固定部45の順にボルトで固定する。このとき、ビーム固定部43及びパネル固定部41は、アッパビーム23の第2取付部33及びインサイドパネル21の第1取付部32、換言すると、フェンダ5と比較して雰囲気温度等による伸縮が小さい部材に固定されるので、DRL13を適切な位置に固定することができる。また、フェンダ固定部45は、上記したようにフェンダ5が雰囲気温度により車両前後方向に伸縮してなる場合、保持部57の前側板部57bまたは後側板部57cに接するようにして配設される。
【0031】
したがって、フェンダ固定部45は、フェンダ5が伸縮して保持部57の位置が車両前後方向にずれてなる場合であっても、DRL固定部55の適切な位置に固定することができる。また、長孔59が車両前後方向に延びて形成されてなるため、フェンダ固定部45と保持部57との位置が前後方向にずれてなる場合であっても、的確にボルト55aを螺合することができる。そして、前側板部57b及び後側板部57cが形成されることで、フェンダ固定部45は、フェンダ5が大きく伸縮する場合であっても、少なくとも前側板部57bと後側板部57cとの間に位置するように取り付けられるので、フェンダ5とDRL13との相対的な位置精度を高めることができる。
【0032】
図9を参照すると、別実施例に係るフェンダ固定部145の斜視図が示され、
図10を参照すると、別実施例に係る前側固定部51及びDRL固定部155の斜視図が示されている。別実施例に係るフェンダ固定部(第2固定部)145は、フェンダ固定部45に対し被保持ピン146が形成されている点で相違する。また、別実施例に係るDRL固定部(第3取付部)155は、DRL固定部55の保持部57に代えて保持長孔(保持部)157が形成されている点で相違する。
【0033】
被保持ピン146は、フェンダ固定部145における開口45aの近傍から車両左右方向左方に延びて形成されるピンである。保持長孔157は、被保持ピン146に対応する位置に形成され、車両前後方向に長孔59と同一長さに形成される開孔である。これにより、別実施例では、被保持ピン146を保持長孔157に挿入することで、被保持ピン146を保持長孔157によって保持して保持部57と同様にフェンダ固定部45を保持することができる。
【0034】
以上説明したように、本発明に係る車両のランプの取付構造では、車両1の前部の骨格を形成する車体フレーム15やインサイドパネル21、アッパビーム23等の骨格部材と、車両1の前部の側部の外装を形成するフェンダ5と、骨格部材の上側に位置するDRL13と、を備える車両のランプの取付構造であって、DRL13に形成され、DRL13の長さ方向一端である後端を支持するパネル固定部41と、DRL13に形成され、DRL13の長さ方向他端である前端を支持するビーム固定部43と、DRL13に車幅方向外側に向かって突出して形成され、DRL13の前端から後端までのうちのいずれか一点を支持するフェンダ固定部45と、インサイドパネル21に形成され、パネル固定部41が固定される第1取付部32と、アッパビーム23に形成され、ビーム固定部43が固定される第2取付部33と、フェンダ5の内側部に形成され、フェンダ固定部45を保持する保持部57と、を有する。
【0035】
従って、インサイドパネル21に形成される第1取付部32及びアッパビーム23に形成される第2取付部33にパネル固定部41及びビーム固定部43を固定する際に、フェンダ5の内側部に形成された保持部57にフェンダ固定部45が保持されるようにしたので、パネル固定部41及びビーム固定部43に固定される前のDRL13が揺動することを抑制することができる。また、パネル固定部41及びビーム固定部43のいずれかひとつに固定されたあとであっても、保持部57にフェンダ固定部45が保持されることにより、DRL13の姿勢を保持することができる。
【0036】
そして、パネル固定部41は、第1取付部32及びフェンダ5の少なくとも一方に係止し、または係止されるようにしたので、パネル固定部41の移動を規制しつつ保持部57にフェンダ固定部45を保持させることができる。
そして、パネル固定部41は、DRL13の後端の上端部に位置し、フェンダ固定部45は、DRL13の前端の下端部に位置するようにしたので、より安定した状態でDRL13を固定することができる。
【0037】
そして、保持部57は、フェンダ固定部45の底部を保持する底板部57aと、底板部から上方に延びる前側板部57b及び後側板部57cとを含み、フェンダ固定部45は、底板部57aにより底部を保持される際、前側板部57bと後側板部57cとの間に位置するようにしたので、フェンダ固定部45が前側板部57bと後側板部57cとの間に位置するようにDRL13を組み付けるよう、案内することができる。
【0038】
そして、前側板部57bと後側板部57cとの距離は、フェンダ固定部45の前側板部57bと後側板部57cとの距離に係る方向における幅より所定距離大きいので、例えばフェンダ5が雰囲気温度により所定距離伸縮してもフェンダ固定部45を前側板部57bと後側板部57cとの間に位置させることができる。
そして、フェンダ5に形成され、フェンダ固定部45が固定されるDRL固定部55を有し、DRL固定部55は、保持部57によってフェンダ固定部45が保持された状態でフェンダ固定部45が固定されるようにしたので、フェンダ固定部45を保持部57によって保持しつつDRL固定部55に固定することができる。
【0039】
そして、車両1は、車両1の前端の外装を形成するバンパ7を備えており、DRL固定部55は、フェンダ固定部45とは反対側の面がバンパ7に覆われるようにしたので、DRL固定部55にフェンダ固定部45を固定する際に例えばボルト53cを用いるようにしても、ボルト53cをバンパ7により覆い隠して意匠性を確保することができる。
以上で本発明に係る車両のランプの取付構造の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0040】
例えば、本実施形態では、車両1の前部にDRL13を取り付けることについて説明したが、車両1の図示しない後部に取り付けるようにしてもよく、ヘッドランプ等のDRL以外のランプであってもよい。
また、本実施形態では、保持部57の形状について、底板部57a、前側板部57b及び後側板部57cを用いて説明したが、このような形状に限らず、上方に向かって開放する略U字状の形状にすることや、別実施例のようにフェンダ固定部45を保持することができればよい。
【0041】
また、本実施形態では、パネル固定部41を第1取付部32に固定する際、インサイドパネル21の第1取付部32に形成されたDRL係止孔53bに係止ピン41aを係止することを説明したが、上側固定部53から車両上下方向上方に立設してなるピンを形成し、パネル固定部41に当該ピンが係止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
13 DRL(ランプ)
15 車体フレーム(骨格部材)
21 インサイドパネル(骨格部材)
23 アッパビーム(骨格部材)
32 第1取付部
33 第2取付部
41 パネル固定部(第1固定部)
43 ビーム固定部(第2固定部)
45 フェンダ固定部(第3固定部)
55 DRL固定部(第3取付部)
57 保持部
57a 底板部(保持底部)
57b 前側板部(第1保持側部)
57c 後側板部(第2保持側部)
145 フェンダ固定部(第2固定部)
155 DRL固定部(第3取付部)
157 保持長孔(保持部)