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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】アンテナ取付装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
H01Q1/12 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023027266
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2023-02-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年11月25日、本発明に係るアンテナ取付装置をヒマラヤ通信有限会社(水無瀬支店)に納品し、その後、ヒマラヤ通信有限会社はアンテナと共に前記アンテナ取付装置を電気興業株式会社により管理される鉄塔に設置した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年2月16日にWEB会議(NTTドコモ東海支社主催)において開催された2022年度第4回VEプレゼン会議で発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】591142921
【氏名又は名称】株式会社CTK
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 明
(72)【発明者】
【氏名】青野 陽子
(72)【発明者】
【氏名】土田 厚人
(72)【発明者】
【氏名】河田 竹彦
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-145713(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0211568(US,A1)
【文献】米国特許第06283425(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状の柱体にアンテナを取り付け可能とするように構成されるアンテナ取付装置であって、
前記アンテナを直接的又は間接的に取り付け可能に構成される取付具と、
前記取付具を支持可能に構成され、かつ前記柱体の周囲に配置される支持機構と、
前記支持機構を前記柱体と一緒に保持するように構成される保持機構と
を備え、
前記支持機構が、前記柱体の径方向にて互いに対向すると共に互いに組み合わされる2つのフレーム部材を有し、
各フレーム部材が、前記柱体の周方向に間隔を空けて配置される左側及び右側対向部と、前記左側及び右側対向部を連結する頂上側及び底側連結部とを有し、
各フレーム部材の頂上側及び底側連結部が、互いに前記柱体の長手方向に間隔を空けて配置され、
前記2つのフレーム部材の一方における前記左側対向部が前記2つのフレーム部材の他方における前記右側対向部と組み合わされ、
前記2つのフレーム部材の一方における前記右側対向部が前記2つのフレーム部材の他方における前記左側対向部と組み合わされ、
前記保持機構が、前記柱体を挟み込むように配置される2つのクランプ部材と、前記2つのクランプ部材を締め付け可能とし、かつ前記保持機構を前記支持機構に対して固定可能とするように構成される締結具とを有し、
前記保持機構が、前記2つのフレーム部材の頂上側及び底側連結部間に配置され、
前記支持機構が、前記2つのクランプ部材を前記締結具により締め付ける前の状態で、前記柱体に対して旋回可能となるように構成されている、アンテナ取付装置。
【請求項2】
前記保持機構が、前記締結具を2つ有し、
前記2つの締結具の一方が、前記2つのクランプ部材を前記2つのフレーム部材の一方における前記左側対向部及び前記2つのフレーム部材の他方における前記右側対向部に対して固定可能に構成され、
前記2つの締結具の他方が、前記2つのクランプ部材を前記2つのフレーム部材の一方における前記右側対向部及び前記2つのフレーム部材の他方における前記左側対向部に対して固定可能に構成されている、請求項1に記載のアンテナ取付装置。
【請求項3】
前記柱体に取り付けられ、かつ前記支持機構を位置決め可能とする位置決め機構をさらに備え、
前記位置決め機構が、前記柱体の周囲に配置される摺動体を有し、
前記摺動体の横断面の外周が円形状又は楕円形状に形成され、
前記2つのフレーム部材の底側連結部が、前記摺動体に摺動可能な状態で当接している、請求項1又は2に記載のアンテナ取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔等の柱体にアンテナを取り付け可能とするように構成されるアンテナ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムは、携帯電話端末等の通信のための重要なインフラである。このような移動通信システムにおいては、主にセルラー方式が採用されている。セルラー方式の移動通信システムは、多数の基地局間の通信によって、効率的に広範囲の通信エリアを確保できる。
【0003】
このような基地局それぞれには、通信のためのアンテナが設置されている。最近では、第5世代移動通信システム(5G)の普及が進められており、5Gに対応可能なアンテナ(5G対応アンテナ)を基地局に設置する作業が進められている。5G対応アンテナ等のようなアンテナは、基地局において鉄塔に設置されることがあり、この場合、アンテナは、金具等のアンテナ取付装置を介して鉄塔の柱体に取り付けられる。
【0004】
また、移動通信システムのアンテナは、通常時には、外部との間で電波を送受信し易いように鉄塔の外方を向いた姿勢で設置される。その一方で、メンテナンス時には、アンテナは、メンテナンスの作業性向上の観点から鉄塔の内方を向いた姿勢に変更することが望まれる。このような場合、典型的には、アンテナの姿勢を変更可能とするアンテナ取付装置が用いられる。
【0005】
アンテナの姿勢を変更可能とするアンテナ取付装置の一例としては、支柱(柱体)に固定される第1金具と、この第1金具に対して第1回転軸を中心に所定範囲の角度で回動可能に固定される第2金具と、アンテナを直接又は間接的に取り付け可能とする共に、第2金具に対して第2回転軸を中心に所定範囲の角度で回動可能に固定される第3金具とを有する回転軸付機器取付金具が挙げられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2022-067697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記アンテナ取付装置の一例において、回転軸付機器取付金具は、第1~第3金具、並びに第1及び第2回転軸のような多数の要素から成る機構を用いている。そのため、回転軸付機器取付金具の部品点数は多く、かつその重量も大きくなっている。また、回転軸付機器取付金具は、第1及び第2回転軸の少なくとも一方を起点として複雑に折り曲げ変形するように構成されている。
【0008】
このような回転軸付機器取付金具の構成は複雑になっており、かつ回転軸付機器取付金具を折り曲げ変形させる作業は煩雑になっている。特に、回転軸付機器取付金具を、アンテナを鉄塔の外方に向けた姿勢から鉄塔の内容に向けた姿勢に変形させる作業は煩雑である。さらに、上記回転軸付機器取付金具においては、アンテナの中心及び鉄塔の支柱の中心間での芯ズレも発生し易くなっている。
【0009】
回転軸付機器取付金具においては、支柱及びアンテナ間に第1~第3金具が設けられるので、支柱からアンテナまでの距離が長くなっている。そのため、風等に起因してアンテナに外力が加えられた場合、この外力及び上述の回転軸付機器取付金具の大重量によって支柱に作用するモーメントが大きくなる傾向にある。この場合、アンテナの固定姿勢を安定的に維持し難くなるという問題が生ずる。
【0010】
上記実情を鑑みると、アンテナ取付装置においては、アンテナの姿勢変更作業を容易にし、アンテナの中心及び鉄塔の柱体の中心間での芯ズレを抑制し、アンテナの固定姿勢を安定的に維持することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、一態様に係るアンテナ取付装置は、細長形状の柱体にアンテナを取り付け可能とするように構成されるアンテナ取付装置であって、前記アンテナを直接的又は間接的に取り付け可能に構成される取付具と、前記取付具を支持可能に構成され、かつ前記柱体の周囲に配置される支持機構と、前記支持機構を前記柱体と一緒に保持するように構成される保持機構とを備え、前記支持機構が、前記柱体の径方向にて互いに対向すると共に互いに組み合わされる2つのフレーム部材を有し、各フレーム部材が、前記柱体の周方向に間隔を空けて配置される左側及び右側対向部と、前記左側及び右側対向部を連結する頂上側及び底側連結部とを有し、各フレーム部材の頂上側及び底側連結部が、互いに前記柱体の長手方向に間隔を空けて配置され、前記2つのフレーム部材の一方における前記左側対向部が前記2つのフレーム部材の他方における前記右側対向部と組み合わされ、前記2つのフレーム部材の一方における前記右側対向部が前記2つのフレーム部材の他方における前記左側対向部と組み合わされ、前記保持機構が、前記柱体を挟み込むように配置される2つのクランプ部材と、前記2つのクランプ部材を締め付け可能とし、かつ前記保持機構を前記支持機構に対して固定可能とするように構成される締結具とを有し、前記保持機構が、前記2つのフレーム部材の頂上側及び底側連結部間に配置され、前記支持機構が、前記2つのクランプ部材を前記締結具により締め付ける前の状態で、前記柱体に対して旋回可能となるように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
上記一態様に係るアンテナ取付装置によれば、アンテナの姿勢変更作業を容易にすることができ、アンテナの中心及び鉄塔の柱体の中心間での芯ズレを抑制することができ、アンテナの固定姿勢を安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係るアンテナ取付装置を設置する柱体を備えた鉄塔の一例を模式的に示す正面図である。
図2】一実施形態に係るアンテナ取付装置を柱体に取り付けた状態を概略的に示す側面図である。
図3】一実施形態に係るアンテナ取付装置を柱体に取り付けた状態を概略的に示す背面図である。
図4図2のW-W線断面図である。
図5図2のX-X線断面図である。
図6図2のY-Y線断面図である。
図7図2のZ-Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態に係るアンテナ取付装置について以下に説明する。アンテナ取付装置は、アンテナを細長形状の柱体に取り付け可能とするように構成された装置となっている。
【0015】
ここで、アンテナは移動通信システムに用いられるアンテナであるとよい。一例として、本実施形態においては、アンテナが5G(第5世代移動通信システム)に対応可能である場合、すなわち、アンテナが5G対応アンテナである場合を説明する。しかしながら、アンテナは、5G対応アンテナに限定されない。
【0016】
さらに、アンテナの取付対象である柱体は、移動通信システムの基地局に設けられている柱体であるとよい。一例として、本実施形態においては、柱体が基地局の鉄塔に設けられる場合を説明する。しかしながら、柱体は、鉄塔に設けられるものに限定されない。
【0017】
「アンテナ取付装置の概略」
図1図7を参照すると、本実施形態に係るアンテナ取付装置1は、概略的には以下のように構成される。上述のように、アンテナ取付装置1は、アンテナ2を細長形状の柱体B1に取り付け可能とするように構成されている。
【0018】
図2図7を参照すると、アンテナ取付装置1は、アンテナ2を直接的又は間接的に取り付け可能に構成される取付具10を有する。アンテナ取付装置1は、取付具10を支持可能に構成される支持機構20を有する。支持機構20は柱体B1の周囲に配置される。アンテナ取付装置1はまた、支持機構20を柱体B1と一緒に保持するように構成される保持機構30を有する。
【0019】
このようなアンテナ取付装置1において、支持機構20は、柱体B1の径方向にて互いに対向すると共に互いに組み合わされる2つのフレーム部材21を有する。なお、以下においては、必要に応じて、2つのフレーム部材21の一方を一方側フレーム部材21といい、かつ2つのフレーム部材21の他方を他方側フレーム部材21という。
【0020】
各フレーム部材21は、柱体B1の周方向に間隔を空けて配置される左側及び右側対向部22,23を有する。各フレーム部材21はまた、その左側及び右側対向部22,23を連結する頂上側及び底側連結部24,25を有する。各フレーム部材21において、頂上側及び底側連結部24,25は、互いに柱体B1の長手方向に間隔を空けて配置される。
【0021】
支持機構20において、一方側フレーム部材21の左側対向部22は、他方側フレーム部材21の右側対向部23と組み合わされる。一方側フレーム部材21の右側対向部23は、他方側フレーム部材21の左側対向部22と組み合わされる。
【0022】
保持機構30は、柱体B1を挟み込むように配置される2つのクランプ部材31を有する。以下においては、必要に応じて、2つのクランプ部材31の一方を一方側クランプ部材31といい、かつ2つのクランプ部材31の他方を他方側クランプ部材31という。
【0023】
保持機構30はまた、2つのクランプ部材31を締め付け可能とするように構成される締結具32を有する。締結具32はまた、保持機構30を支持機構20に対して固定可能とするように構成される。保持機構30は、2つのフレーム部材21の頂上側及び底側連結部24,25間に配置される。支持機構20は、2つのクランプ部材31を締結具32により締め付ける前の状態で、柱体B1に対して旋回可能となるように構成されている。
【0024】
さらに、本実施形態に係るアンテナ取付装置1は、概略的には以下のように構成することができる。図2図7を参照すると、保持機構30は2つの締結具32を有する。以下においては、必要に応じて、2つの締結具32の一方を一方側締結具32といい、かつ2つの締結具32の他方を他方側締結具32という。
【0025】
一方側締結具32は、2つのクランプ部材31を2つの一方側フレーム部材21の左側対向部22及び他方側フレーム部材21の右側対向部23に対して固定可能に構成される。他方側締結具32は、2つのクランプ部材31を一方側フレーム部材21の右側対向部23及び他方側フレーム部材21の左側対向部22に対して固定可能に構成される。
【0026】
図2図3、及び図5に示すように、アンテナ取付装置1は、柱体B1に取り付けられ、かつ支持機構20を位置決め可能とする位置決め機構40を有する。位置決め機構40は、柱体B1の周囲に配置される摺動体41を有する。摺動体41の横断面の外周は円形状又は楕円形状に形成される。2つのフレーム部材21の底側連結部25は、摺動体41に摺動可能な状態で当接する。
【0027】
「柱体及び鉄塔の詳細」
図1図7を参照して、柱体B1及びそれを設けた鉄塔Aの詳細について、これらの一例を挙げて説明する。柱体B1の一例としては、以下のようなものが挙げられる。図2図7に示すように、柱体B1の横断面の外周は略円形形状に形成される。すなわち、このような柱体B1の横断面の外周は、円形形状か、又は円形形状に近似する多角形形状に形成することができる。さらに、柱体B1は略円柱形状に形成することもできる。
【0028】
さらに、柱体B1は、略鉛直方向に延びる鉛直軸線に沿って配置される。しかしながら、柱体は、鉛直軸線に対して傾斜するように配置することもできる。柱体は、略水平方向に延びる水平に延びる水平軸線に沿って配置することもできる。
【0029】
図1を参照すると、柱体B1が略鉛直方向に延びる鉛直軸線に沿って配置されている。このような柱体B1を有する鉄塔Aの一例としては、以下のようなものが挙げられる。鉄塔Aは、上下方向に延びる本体部B2を有する。本体部B2の上下方向の頂部B3には、略円環形状に形成された上側及び下側リング部材B4,B5が設置される。しかしながら、上側及び下側リング部材は、本体部の上下方向の中間部に設置することもできる。
【0030】
上側及び下側リング部材B4,B5の外周部には、複数の柱体B1が取り付けられる。柱体B1は、2つのリング部材B4,B5の周方向に互いに間隔を空けて配置される。これら柱体B1の少なくとも1つに、アンテナ2がアンテナ取付装置1を介して取り付けられる。
【0031】
さらに、下側リング部材B5の内側には、格子状の床部材(図示せず)が設置される。作業者(図示せず)は、鉄塔Aの頂部B3に登った際には、この床部材上でアンテナ2のメンテナンス作業等を実施することができる。すなわち、床部材を設置した下側リング部材B5は踊り場となっている。しかしながら、鉄塔は、ここで挙げた一例には限定されない。
【0032】
「アンテナ取付装置の詳細」
図2及び図3を参照すると、アンテナ取付装置1は、詳細には以下のように構成することができる。柱体B1が略鉛直方向に延びる鉛直軸線に沿って配置される場合、アンテナ取付装置1は、柱体B1に沿いながらその頂部1aを上方に向け、かつその底部1bを下方に向けるように配置される。
【0033】
この場合、各フレーム部材21は、柱体B1に沿いながら頂上側連結部24を上方に向け、かつ底側連結部25を下方に向けて配置されることとなる。位置決め機構40は、支持機構20の下方に位置し、かつ下方から支持機構20を位置決めすることができる。さらに、位置決め機構40の摺動体41は、柱体B1に沿いながら下方から上方に向かって、支持機構20のフレーム部材21の底側連結部25と当接することとなる。
【0034】
柱体が鉛直軸線に対して傾斜するように配置される場合も、上記と同様に、アンテナ取付装置を配置することができる。しかしながら、柱体が略水平方向に延びる水平に延びる水平軸線に沿って配置する場合は、アンテナ取付装置は、柱体に沿いながらその頂部を水平方向の一方に向け、かつその底部を水平方向の他方を向けるように配置される。
【0035】
「取付具の詳細」
図2を参照すると、取付具10は、詳細には以下のように構成することができる。取付具10は、アンテナ2側の先端部11と、支持機構20側の基端部12とを有する。先端部11及び基端部12は、ヒンジ13を介して互いに連結されている。
【0036】
このような取付具10において、先端部11は、アンテナ2と一緒に基端部12に対して、支持機構20の旋回方向に交差する方向に揺動可能となっている。特に、先端部11は、アンテナ2と一緒に基端部12に対して、支持機構20の旋回方向に略直交する方向に揺動可能とすることができる。このような揺動によって、アンテナ2の取付角度を調節することができる。
【0037】
しかしながら、取付具は、先端部及び基端部を一体に形成することもできる。この場合、先端部はアンテナと共に基端部に対して固定されるので、アンテナが、上記のようなアンテナの取付角度を調節するための揺動に対応するチルト角調節手段を有すると好ましい。チルト角調節手段は、電気的な手段又は機械的な手段のいずれとすることもできる。
【0038】
「支持機構の詳細」
図2図7を参照すると、支持機構20は、詳細には以下のように構成することができる。支持機構20において、フレーム部材21は、その左側及び右側対向部22,23の内周と柱体B1との間に所定の間隔を空けて形成された第1クリアランスC1を有するように配置可能となっている。第1クリアランスC1の詳細については後述する。
【0039】
各フレーム部材21の左側対向部22は、後述する保持機構30の締結具32のボルト32aを挿入可能とする左側貫通孔22aが形成される。各フレーム部材21の右側対向部23には、保持機構30の締結具32のボルト32aを挿入可能とする右側貫通孔23aが形成される。各フレーム部材21の左側対向部22には、保持機構30の数量に応じた数量の左側貫通孔22aが形成される。各フレーム部材21の右側対向部23には、保持機構30の数量に応じた数量の右側貫通孔23aが形成される。
【0040】
さらに、支持機構20は、2つのフレーム部材21を互いに対して固定するように構成された固定具26を有する。一方側フレーム部材21の左側対向部22と他方側フレーム部材21の右側対向部23とが、互いに組み合わされた状態で固定具26によって互いに対して固定される。一方側フレーム部材21の右側対向部23と他方側フレーム部材21の左側対向部22とが、互いに組み合わされた状態で固定具26によって互いに対して固定される。
【0041】
固定具26は、ボルト及びナットから構成することができる。しかしながら、固定具は、ボルト及びナット以外によって構成することもできる。さらに、2つのフレーム部材は、固定具以外の固定手段によって互いに対して固定することもできる。この固定手段は、例えば、溶接、接着剤等とすることができる。
【0042】
次に、フレーム部材21は、その頂上側及び底側連結部24,25の内周と柱体B1との間に所定の間隔を空けて形成された第2クリアランスC2を有するように配置可能となっている。第2クリアランスC2の間隔は、上述した第1クリアランスC1の間隔以上であるとよい。そのため、第2クリアランスC2の間隔は、第1クリアランスC1の間隔と実質的に等しくすることができる。そして、第2クリアランスC2の間隔は、第1クリアランスC1の間隔よりも小さくすることもできる。
【0043】
第2クリアランスC2の間隔は、2つのクランプ部材31を締結具32により締め付ける前の状態で、支持機構20を旋回可能としながら、支持機構20をアンテナ2及び取付具10と一緒になって安定的に仮保持できるように設定される。一例として、第2クリアランスC2の間隔は、約1mm~約2mmとすることができる。しかしながら、第2クリアランスの間隔は、この一例に限定されない。
【0044】
さらに、フレーム部材21の頂上側及び底側連結部24,25の内周は、略円弧形状に形成されている。フレーム部材21の頂上側及び底側連結部24,25の外周もまた、略円弧形状に形成することができる。フレーム部材21の底側連結部25は、支持機構20の最底部に位置する。フレーム部材21の頂上側連結部24は、支持機構20の最頂部に位置することができる。
【0045】
このような支持機構20において、一方側フレーム部材21に、取付具10を介してアンテナ2が取り付けられる。具体的には、取付具10の基端部12が、一方側フレーム部材21に取り付けられる。各フレーム部材21には、クランプ部材31を柱体B1に押し付け可能とするように形成される貫通口21aが形成されている。各フレーム部材21の貫通口21aは、その左側及び右側対向部22,23並びに頂上側及び底側連結部24,25によって囲まれることができる。
【0046】
「保持機構の詳細」
図2図7を参照すると、保持機構30は、詳細には以下のように構成することができる。アンテナ取付装置1は、柱体B1の長手方向に互いに間隔を空けて配置される2つの保持機構30を有する。しかしながら、アンテナ取付装置は、1つの保持機構を有することもできる。また、アンテナ取付装置は、柱体の長手方向に互いに間隔を空けて配置される3つ以上の保持機構を有することもできる。
【0047】
クランプ部材31は細長形状に形成されている。クランプ部材31は、その長手方向を柱体B1の周方向に沿って略水平に向けるように配置される。クランプ部材31の長手方向の中間部には、柱体B1の外周形状に対応するように凹部31aが形成される。2つのクランプ部材31が締結具32によって締め付けられるときには、この凹部31aが柱体B1に直接的に又は間接的に押し当てられる。
【0048】
クランプ部材31の長手方向の左端部には、締結具32のボルト32aを挿入可能とする左側貫通孔31bが形成される。クランプ部材31の長手方向の右端部には、締結具32のボルト32aを挿入可能とする右側貫通孔31cが形成される。締結具32は、ボルト32aと、このボルト32aに螺合可能な第1ナット32bとを有する。さらに、締結具32は、ボルト32aに螺合可能な第2ナット32cを有することもできる。各締結具32のボルト32aは、第1及び第2ナット32b,32cよりもアンテナ2側に位置すると好ましい。
【0049】
一方側締結具32のボルト32aは、一方側クランプ部材31の左側貫通孔31bと、一方側フレーム部材21の左側貫通孔22aと、他方側フレーム部材21の右側貫通孔23aと、他方側ランプ部材31の右側貫通孔31cとに挿入される。一方側締結具32のボルト32a及び第1ナット32bが、一方側クランプ部材31の左端部と、他方側クランプ部材31の右端部とを挟み込むように互いに螺合する。一方側締結具32のボルト32a及び第2ナット32cが、一方側クランプ部材31の左端部と、他方側フレーム部材21の右側対向部23とを挟み込むように互いに螺合する。
【0050】
他方側締結具32のボルト32aは、一方側クランプ部材31の右側貫通孔31cと、一方側フレーム部材21の右側貫通孔23aと、他方側フレーム部材21の左側貫通孔22aと、他方側ランプ部材31の左側貫通孔31bとに挿入される。他方側締結具32のボルト32a及び第1ナット32bが、一方側クランプ部材31の右端部と、他方側クランプ部材31の左端部とを挟み込むように互いに螺合する。他方側締結具32のボルト32a及び第2ナット32cが、一方側クランプ部材31の右端部と、他方側フレーム部材21の左側対向部22とを挟み込むように互いに螺合する。
【0051】
「位置決め機構の詳細」
図2図3、及び図5を参照すると、位置決め機構40は、詳細には以下のように構成することができる。位置決め機構40において、摺動体41は、柱体B1の径方向に対向する2つの摺動部材42を有する。各摺動部材42は略円弧形状に形成されている。以下においては、必要に応じて、2つの摺動部材42の一方を一方側摺動部材42といい、かつ2つの摺動部材42の他方を他方側摺動部材42という。
【0052】
位置決め機構40は、アンテナ取付装置1の底部1bからその頂部1aに向かって摺動体41を支持するベース組立体43を有する。ベース組立体43は、柱体B1の径方向に対向する2つのベース部材44を有する。2つのベース部材44が、柱体B1を締め付けるように互いに組み合わされた状態で、柱体B1に対して固定されたベース組立体43を構成している。以下においては、必要に応じて、2つのベース部材44の一方を一方側ベース部材44といい、かつ2つのベース部材44の他方を他方側ベース部材44という。
【0053】
各ベース部材44は柱体B1の周方向に沿って延びており、各ベース部材44の長手方向の左端及び右端にそれぞれ左側及び右側フランジ44a,44bが形成されている。一方側ベース部材44の左側フランジ44aと他方側ベース部材44の右側フランジ44bとが、互いに組み合わされた状態で固定具45によって互いに対して固定される。また、一方側ベース部材44の右側フランジ44bと他方側ベース部材44の左側フランジ44aとが、互いに組み合わされた状態で固定具45によって互いに対して固定される。
【0054】
固定具45は、ボルト及びナットから構成することができる。しかしながら、固定具は、ボルト及びナット以外によって構成することもできる。さらに、2つのフレーム部材は、固定具以外の固定手段によって互いに対して固定することもできる。この固定手段は、例えば、溶接、接着剤等とすることができる。
【0055】
各ベース部材44は、柱体B1の中心から外周に向かう方向に突出する少なくとも1つの突起部44cを有する。一方側摺動部材42は、一方側ベース部材44に対応するように形成され、かつ一方側ベース部材44の左側及び右側フランジ44a,44b並びに少なくとも1つの突起部44cに固定される。他方側摺動部材42は、他方側ベース部材44に対応するように形成され、かつ他方側ベース部材44の左側及び右側フランジ44a,44b並びに少なくとも1つの突起部44cに固定される。
【0056】
「アンテナ取付装置の組立方法」
図2図7を参照して、アンテナ取付装置1の組立方法の一例について説明する。摺動部材42を固定した2つのベース部材44を準備する。柱体B1を締め付けるように、2つのベース部材44を互いに組み合わせる。その結果、柱体B1に対して固定されたベース組立体43が得られる。
【0057】
次に、アンテナ2を、取付具10を介して一方側フレーム部材21に取り付けた状態で、2つのフレーム部材21を準備する。ベース組立体43の上方で、2つのフレーム部材21を、柱体B1を挟み込むように組み合わせる。このとき、2つのフレーム部材21の頂上側及び底側連結部24,25が、柱体B1を挟み込むように配置される。
【0058】
固定具26によって、2つのフレーム部材21を互いに対して固定する。その結果、柱体B1の周方向に旋回可能な支持機構20が得られる。この支持機構20の旋回によって、アンテナ2も旋回可能となる。このような旋回によって、アンテナ2の位置調節を行うことができる。
【0059】
次に、2つのクランプ部材31を、柱体B1を挟みこむように配置する。締結具32によって、柱体B1を挟みこむように2つのクランプ部材31を締め付け、かつ2つのクランプ部材31を2つのフレーム部材21に対して固定する。その結果、保持機構30が、支持機構20を柱体B1と一緒に保持することとなる。この状態では、支持機構20が柱体B1に対して固定される。
【0060】
以上、本実施形態に係るアンテナ取付装置1によれば、以下のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、本実施形態に係るアンテナ取付装置1は、アンテナ2を直接的又は間接的に取り付け可能に構成される取付具10と、取付具10を支持可能に構成され、かつ柱体B1の周囲に配置される支持機構20と、支持機構20を柱体B1と一緒に保持するように構成される保持機構30とを備え、支持機構20が、柱体B1の径方向にて互いに対向すると共に互いに組み合わされる2つのフレーム部材21を有し、各フレーム部材21が、柱体B1の周方向に間隔を空けて配置される左側及び右側対向部22,23と、左側及び右側対向部22,23を連結する頂上側及び底側連結部24,25とを有し、各フレーム部材21の頂上側及び底側連結部24,25が、互いに柱体B1の長手方向に間隔を空けて配置され、一方側フレーム部材21の左側対向部22が他方側フレーム部材21の右側対向部23と組み合わされ、一方側フレーム部材21の右側対向部23が他方側フレーム部材21の左側対向部22と組み合わされ、保持機構30が、柱体B1を挟み込むように配置される2つのクランプ部材31と、2つのクランプ部材31を締め付け可能とし、かつ保持機構30を支持機構20に対して固定可能とするように構成される締結具32とを有し、保持機構30が、2つのフレーム部材21の頂上側及び底側連結部24,25間に配置され、支持機構20が、2つのクランプ部材31を締結具32により締め付ける前の状態で、柱体B1に対して旋回可能となるように構成される。
【0061】
このようなアンテナ取付装置1においては、保持機構30の締結を緩めれば、支持機構20が柱体B1に対して旋回可能になる。そのため、アンテナ2の姿勢を容易に変更することができる。特に、アンテナ2を鉄塔Aの外方に向けた状態と鉄塔Aの内方に向けた状態との間で、アンテナ2の姿勢を容易に変更することができる。
【0062】
そして、上述したような支持機構20及び保持機構30のシンプルな構成によって、アンテナ2の姿勢を変更するための構成を簡素化できる。その結果、従来と比較して、アンテナ取付装置1の重量を軽減することができる。さらに、アンテナ取付装置1の軽量化によって、アンテナ取付装置1の操作性を改善することができる。その結果、アンテナ2の姿勢変更作業をより容易にすることができる。
【0063】
アンテナ取付装置1においては、アンテナ2が柱体B1を中心として旋回するので、アンテナ2の中心及び鉄塔Aの柱体B1の中心間で芯ズレが起こり難くなっている。すなわち、アンテナ2の中心及び鉄塔Aの柱体B1の中心間での芯ズレを抑制することができる。
【0064】
アンテナ取付装置1においては、アンテナ2から柱体B1までの距離が取付具10によって短く画定できるので、従来と比較して、取付対象の柱体B1に作用するモーメントを軽減できる。その結果、アンテナ2の固定姿勢を安定的に維持することができる。
【0065】
本実施形態に係るに係るアンテナ取付装置1においては、保持機構30が、2つの締結具32を有し、一方側締結具32が、2つのクランプ部材31を一方側フレーム部材21の左側対向部22及び他方側フレーム部材21の右側対向部23に対して固定可能に構成され、他方側締結具32が、2つのクランプ部材31を一方側フレーム部材21の右側対向部23及び他方側フレーム部材21の左側対向部22に対して固定可能に構成される。
【0066】
このようなアンテナ取付装置1においては、保持機構30の2つの締結具32によって、支持機構20が安定的に保持されるので、支持機構20に取り付けられた取付具10と、この取付具10に取り付けられたアンテナ2とを安定的に保持することができる。よって、アンテナ2の固定姿勢を安定的に維持することができる。
【0067】
本実施形態に係るアンテナ取付装置1は、柱体B1に取り付けられ、かつ支持機構20を位置決め可能とする位置決め機構40をさらに備え、位置決め機構40が、柱体B1の周囲に配置される摺動体41を有し、摺動体41の横断面の外周が円形状又は楕円形状に形成され、2つのフレーム部材21の底側連結部25が、摺動体41に摺動可能な状態で当接する。
【0068】
このようなアンテナ取付装置1においては、2つのフレーム部材21の底側連結部25と位置決め機構40の摺動体41との当接によって、アンテナ2の取付状態を安定的に維持しながら、アンテナ2の姿勢変更作業を容易にすることができる。
【0069】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…アンテナ取付装置、2…アンテナ、10…取付具、20…支持機構、21…フレーム部材、22…左側対向部、23…右側対向部、24…頂上側連結部、25…底側連結部、30…保持機構、31…クランプ部材、32…締結具、40…位置決め機構、41…摺動体、A…鉄塔、B1…柱体
【要約】
【課題】アンテナの姿勢変更作業を容易にし、アンテナの中心及び鉄塔の柱体の中心間での芯ズレを抑制し、アンテナの固定姿勢を安定的に維持する。
【解決手段】本発明は、アンテナ取付装置1に関する。アンテナ取付装置1は、アンテナ2の取付具10を取り付けられ、かつ柱体B1の周囲に配置される支持機構20と、支持機構20を柱体B1と一緒に保持する保持機構30とを有する。支持機構20は、柱体B1の径方向にて互いに対向するように組み合わされる2つのフレーム部材21を有し、保持機構30が、柱体B1を挟み込む2つのクランプ部材31と、2つのクランプ部材31を締め付け可能とし、かつ保持機構30を支持機構20に対して固定可能とする締結具32とを有し、支持機構20が、2つのクランプ部材31を締結具32により締め付ける前の状態で、柱体B1に対して旋回可能となる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7