(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
B65D5/66 301B
(21)【出願番号】P 2023067467
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523136776
【氏名又は名称】金沢 文宇
(72)【発明者】
【氏名】金沢 文宇
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-140318(JP,A)
【文献】特開2014-019470(JP,A)
【文献】特開2002-205733(JP,A)
【文献】特開平11-049149(JP,A)
【文献】特開2006-232332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面した前面壁及び後面壁、対面した右側面壁及び左側面壁、対面した蓋体及び底板を備え、前記前面壁及び後面壁、右側面壁及び左側面壁により形成された開口部を前記後面壁の上端に連結された前記蓋体で開閉する箱であって、前記蓋体には前記開口部を開閉する蓋部と前記前面壁の上部を覆う前面壁覆い部とが一体的に形成されるとともに、前記前面壁覆い部の内面には前記前面壁から突出して折り曲げ形成された嵌合凸部が嵌合する嵌合凹部が一体的に形成され、
前記前面壁覆い部の端縁から内側覆い部と内側蓋部とを延出し、前記蓋部の両側面に一体的に形成された右側面覆い部と左側面覆い部の上端に前記前面壁覆い部と内側覆い部とで挟持される挟持部が一体的に形成され、前記内側覆い部と内側蓋部とを前記前面壁覆い部と前記蓋部に沿って折り返すことで、前記挟持部を前記前面壁覆い部と前記内側覆い部とで挟持する箱であって、前記蓋部と前記右側面覆い部及び前記左側面覆い部との境界部にそれぞれ第1スリットとして形成され、前記前面壁覆い部と前記内側覆い部とで挟持部を挟持するとともに、前記右側面覆い部及び前記左側面覆い部を前記蓋部に対して直交して折り曲げることで前記第1スリットが前記蓋部の両端に係合部として一体的に形成され、前記係合部に前記内側蓋部の両端に一体的に形成された突起部を係止した
箱であり、前記嵌合凹部は、前記内側覆い部と前記内側蓋部に跨って所定間隔を空けて形成された1対の第2スリットと、前記第2スリット間を連結する連結スリットとで構成され、前記第2スリットと前記連結スリットにより形成された舌片の先端と前記前面覆い部の内面との間には前記前面壁から突出して形成された前記嵌合
凸部が係止する段差が形成されているとともに、前記嵌合凸部は、前記嵌合凹部に嵌合する突出部と、前記突出部の両側に連接して形成され前記嵌合凹部の周囲に位置した前記内側覆い部に当接する平坦部が一体的に形成されており、前記嵌合凹部の凹部の幅よりも前記突出部を挟んだ前記平坦部の外側両端縁間の長さを長くしたことを特徴とする箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙や合成樹脂材のような薄肉で形成され、開閉ごとに音を発し蓋を固定する箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の箱の蓋体は、蓋正面板に蓋正面内側フラップを接着剤により接着しており、蓋正面内側フラップに接着剤を塗布したり、蓋正面内側フラップに塗布された接着剤が箱に付着しないか気を付けながら作業をしなければならず、作業性が悪く接着剤を使用しないと成立しないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、蓋体の組み立てにおいて接着剤を不要とした箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の箱は、対面した前面壁及び後面壁、対面した右側面壁及び左側面壁、対面した蓋体及び底板を備え、前記前面壁及び後面壁、右側面壁及び左側面壁により形成された開口部を前記後面壁の上端に連結された前記蓋体で開閉する箱であって、前記蓋体には前記開口部を開閉する蓋部と前記前面壁の上部を覆う前面壁覆い部とが一体的に形成されるとともに、前記前面壁覆い部の内面には前記前面壁から突出して折り曲げ形成された嵌合凸部が嵌合する嵌合凹部が一体的に形成され、前記前面壁覆い部の端縁から内側覆い部と内側蓋部とを延出し、前記蓋部の両側面に一体的に形成された右側面覆い部と左側面覆い部の上端に前記前面壁覆い部と内側覆い部とで挟持される挟持部が一体的に形成され、前記内側覆い部と内側蓋部とを前記前面壁覆い部と前記蓋部に沿って折り返すことで、前記挟持部を前記前面壁覆い部と前記内側覆い部とで挟持する箱であって、前記蓋部と前記右側面覆い部及び前記左側面覆い部との境界部にそれぞれ第1スリットとして形成され、前記前面壁覆い部と前記内側覆い部とで挟持部を挟持するとともに、前記右側面覆い部及び前記左側面覆い部を前記蓋部に対して直交して折り曲げることで前記第1スリットが前記蓋部の両端に係合部として一体的に形成され、前記係合部に前記内側蓋部の両端に一体的に形成された突起部を係止した箱であり、前記嵌合凹部は、前記内側覆い部と前記内側蓋部に跨って所定間隔を空けて形成された1対の第2スリットと、前記第2スリット間を連結する連結スリットとで構成され、前記第2スリットと前記連結スリットにより形成された舌片の先端と前記前面覆い部の内面との間には前記前面壁から突出して形成された前記嵌合凸部が係止する段差が形成されているとともに、前記嵌合凸部は、前記嵌合凹部に嵌合する突出部と、前記突出部の両側に連接して形成され前記嵌合凹部の周囲に位置した前記内側覆い部に当接する平坦部が一体的に形成されており、前記嵌合凹部の幅よりも前記突
出部を挟む前記平坦部の外側両端縁間の長さを長くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の箱は、対面した前面壁及び後面壁、対面した右側面壁及び左側面壁、対面した蓋体及び底板を備え、前記前面壁及び後面壁、右側面壁及び左側面壁により形成された開口部を前記後面壁の上端に連結された前記蓋体で開閉する箱であって、前記蓋体には前記開口部を開閉する蓋部と前記前面壁の上部を覆う前面壁覆い部とが一体的に形成されるとともに、前記前面壁覆い部の内面には前記前面壁から突出して折り曲げ形成された嵌合凸部が嵌合する嵌合凹部が一体的に形成され、前記前面壁覆い部の端縁から内側覆い部と内側蓋部とを延出し、前記蓋部の両側面に一体的に形成された右側面覆い部と左側面覆い部の上端に前記前面壁覆い部と内側覆い部とで挟持される挟持部が一体的に形成され、前記内側覆い部と内側蓋部とを前記前面壁覆い部と前記蓋部に沿って折り返すことで、前記挟持部を前記前面壁覆い部と前記内側覆い部とで挟持する箱であって、前記蓋部と前記右側面覆い部及び前記左側面覆い部との境界部にそれぞれ第1スリットとして形成され、前記前面壁覆い部と前記内側覆い部とで挟持部を挟持するとともに、前記右側面覆い部及び前記左側面覆い部を前記蓋部に対して直交して折り曲げることで前記第1スリットが前記蓋部の両端に係合部として一体的に形成され、前記係合部に前記内側蓋部の両端に一体的に形成された突起部を係止した箱であり、前記嵌合凹部は、前記内側覆い部と前記内側蓋部に跨って所定間隔を空けて形成された1対の第2スリットと、前記第2スリット間を連結する連結スリットとで構成され、前記第2スリットと前記連結スリットにより形成された舌片の先端と前記前面覆い部の内面との間には前記前面壁から突出して形成された前記嵌合凸部が係止する段差が形成されているとともに、前記嵌合凸部は、前記嵌合凹部に嵌合する突出部と、前記突出部の両側に連接して形成され前記嵌合凹部の周囲に位置した前記内側覆い部に当接する平坦部が一体的に形成されており、前記嵌合凹部の幅よりも前記突出部を挟む前記平坦部の外側両端縁間の長さを長くしたことを特徴とするものであるから、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合するとき、手指の感触のみならず、嵌合音が発生し嵌合が確実に完了したことを報知することができ、蓋体の嵌合不良などの浮き上がり、隙間の発生の防止をすることができるという効果がある。更に、蓋体を接着することなく組み立てることが出来、作業性が良いという効果がある。更に、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合するとき、手指の感触のみならず、嵌合音が発生し嵌合が確実に完了したことを報知することができ、蓋体の嵌合不良などの浮き上がり、隙間の発生の防止をすることができるという効果がある。更に、前記突出部が前記嵌合凹部の中への入り込みを防ぎ、前記突出部が毎回の開閉時に指定位置に留め置くことが出来、破損を防止することが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態を
図1乃至
図6に基づいて詳述する。
【0009】
箱1は、上質厚紙でできており、対面した前面壁2及び後面壁3、対面した右側面壁4及び左側面壁5、対面した蓋体6及び底板7を備え、前面壁2及び後面壁3、右側面壁4及び左側面壁5により形成された開口部8を後面壁3の上端に連結された蓋体6で開閉する箱であって、蓋体6には開口部8を開閉する蓋部9と前面壁2の上部を覆う前面壁覆い部10とが一体的に形成されるとともに、前面壁覆い部10の内面には前面壁2から突出して折り曲げ形成された嵌合凸部11が嵌合する嵌合凹部12が一体的に形成されている。箱1は、上質厚紙でできている例について説明したが、合成樹脂のシートで形成していても構わないものである。嵌合凸部11が嵌合する嵌合凹部12は、中央部に1個ある実施例について説明したが、複数個あっても構わないものである。箱1は、前面壁2及び後面壁3は、横幅が145ミリメートル、高さが175ミリメートル、奥行きが55ミリメートルに形成されている。
【0010】
蓋体6は、後面壁3に蓋部9と前面壁覆い部10とが一体的に形成されるとともに、前面壁覆い部10を折り返して内側覆い部13と内側蓋部14とを延出して形成し、内側覆い部13と内側蓋部14とを前面壁覆い部10と蓋部9に沿って折り返している。嵌合凹部12は、内側覆い部13と内側蓋部14に跨って所定間隔を空けて平行に形成された1対の第2スリット15と、第2スリット15間を連結する連結スリット16とで構成され、第2スリット15と連結スリット16により形成された長方形形状の舌片17は前面壁覆い部10の内面との間に嵌合凸部11が嵌合する段差18を形成している。嵌合凹部12は、横幅が18ミリメートル、高さが9ミリメートルに形成されており、1ミリメートルの寸法分内側蓋部14に第2スリット15が食い込んで形成されることで舌片17が内側蓋部14から延出されることになって第2スリット15の長さよりも短くなり段差18が形成される。
【0011】
嵌合凸部11は、嵌合凹部12に嵌合する突出部19と、突出部19の両側に連接して形成され嵌合凹部12の周囲に位置した内側覆い部13に当接する平坦部20が形成されており、嵌合凹部12の幅よりも平坦部20の幅を広くして嵌合凸部11が嵌合凹部12内に落ち込んでスムーズに動作しなくなるのを防止している。嵌合凸部11は、幅が32ミリメートル、突出部19の横幅が13ミリメートル、高さが9ミリメートルに設定し、平坦部20の横幅が25ミリメートル、高さが8ミリメートルに設定している。嵌合凸部11の平坦部20の横幅の寸法:25ミリメートルに対して嵌合凹部12の横幅の寸法:18ミリメートルと小さくして嵌合凸部11の嵌合凹部12への潜り込みを防止することで嵌合凹部12の潜り込みによる破損を防止している。
【0012】
蓋部6の両端に形成された凹状の係合部21に内側蓋部14の両端に一体的に形成された突起部22を係止している。係合部21は、蓋部6と右側面覆い部23と左側面覆い部24との境界部にそれぞれ第1スリットとして形成されており、第1スリットは蓋部6から右側面覆い部23と左側面覆い部24方向に1ミリメートルコ字状に突出して形成されている。右側面覆い部23と左側面覆い部24を内側に曲げて直交する所定の位置に位置させることで、第1スリットは立ち上がって第1スリットの両側辺の長さ分の隙間が発生し、その隙間が突起部22を係止することができる高さが1ミリメートルの係合部21となるものである。第1スリットはコ字状に突出して形成したが、M字状、V字状、W字状に突出して形成しても構わないものである。
蓋体6には右側面覆い部23と左側面覆い部24とが一体的に形成されており、右側面覆い部23と左側面覆い部24の上端には前面壁覆い部10と内側覆い部13とで挟持される前面壁覆い部10と内側覆い部13と同一幅の挟持部25がそれぞれ一体的に形成されており、前面壁覆い部10と内側覆い部13と同一幅の挟持部25が挟持されることで、右側面覆い部23と左側面覆い部24は強固に蓋部6に保持されるのであり、係合部21も安定した形状を維持することが出来るものである。
【0013】
左側面壁5には、左側面壁5と同一高さに形成された糊代片26が一体的に形成されており、糊代片26に接着剤を塗布することで接合しているが、合成樹脂材の場合は、高周波溶着にて接合しても構わないものである。
【0014】
右側面壁4及び左側面壁5の上端にはフラップ27が一体的に形成されており、右側面壁4及び左側面壁5の強度アップを図っている。
【0015】
突起部22を係合部21に係止することで、挟持部25が前面壁覆い部10と内側覆い部13とで挟持されて右側面覆い部23と左側面覆い部24が固定される。
【0016】
底板7は、前面壁2から延設された第1底板部28と、右側面壁4から延設された第2底板部29と、左側面壁5から延設された第3底板部30と、後面壁3から延設された第4底板部31とで構成されており、第1底板部28、第2底板部29、第3底板部30、第4底板部31の順に折り込むことで底板7を形成することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 箱
2 前面壁
3 後面壁
4 右側面壁
5 左側面壁
6 蓋体
7 底板
8 開口部
9 蓋部
10 前面壁覆い部
11 嵌合凸部
12 嵌合凹部
【要約】
【課題】従来、箱の蓋体は、蓋正面板に蓋正面内側フラップを接着剤により接着しており、蓋正面内側フラップに接着剤を塗布したり、蓋正面内側フラップに塗布された接着剤が箱に付着しないか気を付けながら作業をしなければならず、作業性が悪く接着剤を必要とするという問題点があった。
い
【解決手段】箱の蓋体には開口部を開閉する蓋部と前面壁の上部を覆う覆い部とが形成されるとともに、覆い部の内面には前面壁から突出して折り曲げ形成された嵌合凸部が嵌合する嵌合凹部を形成したことで従来の問題点を解決している。
【選択図】
図1