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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】挿通部材の固定構造
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/02 20060101AFI20240731BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20240731BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240731BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A61M39/02 114
F16B2/06 A
F16J15/10 K
F16J15/10 L
A61M25/02 500
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020177550
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068717
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】392000796
【氏名又は名称】株式会社サンメディカル技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】515345746
【氏名又は名称】株式会社EVIジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嵐 伸作
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-104437(JP,A)
【文献】国際公開第2020/111183(WO,A1)
【文献】特開2019-166310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/02
F16B 2/06
F16J 15/10
A61M 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に挿通される挿通部材と、
前記対象物に固定され、前記挿通部材を挿通する挿通孔を有する固定部材と、
前記固定部材に対して前記挿通部材を保持する保持機構とを備える、挿通部材の固定構造であって、
前記固定部材は、
前記挿通孔の軸方向の一端に雌ネジ部を有し、且つ当該軸方向の中途部において一端側から他端側に向かって断面形状が徐々に縮径する固定部材側被嵌合部を有し、
前記保持機構は、
前記固定部材側被嵌合部に則した形状からなる第一チャック部材側嵌合部を有し、前記挿通部材の外周面と、前記挿通孔の内周面との間において、前記第一チャック部材側嵌合部を前記固定部材側被嵌合部に嵌合させて前記挿通部材を挟持するチャック部材と、
円筒形状の弾性部材からなり、前記チャック部材に対して前記軸方向の一端側に配置されるシール部材と、
前記シール部材に対して前記軸方向の一端側に配置され、前記雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有し、前記雄ネジ部が前記雌ネジ部に螺合することによって前記チャック部材及び前記シール部材を前記軸方向の他端側に向かって押圧するネジ部材とを備え、
前記シール部材は、
前記挿通部材に挿通される本体部と、
前記本体部の他端側の端部から前記軸方向の他端側に突出し、且つ突出方向に向かって断面形状が徐々に縮径する環状突起部とを有し、
前記環状突起部は、
前記チャック部材における前記軸方向の一端側の端面と当接することで、前記シール部材の径方向の内側に屈曲変形する、
挿通部材の固定構造。
【請求項2】
前記チャック部材は、
前記シール部材側の端部において、
前記軸方向の他端側から一端側に向って断面形状が徐々に縮径する第二チャック部材側嵌合部を有し、
前記シール部材は、
前記環状突起部の径方向の外側に設けられ、前記第二チャック部材側嵌合部に則した形状からなる環状のシール部材側被嵌合部を有する、
請求項1に記載の挿通部材の固定構造。
【請求項3】
前記挿通部材は、医療用チューブである、
請求項1または請求項2に記載の挿通部材の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿通部材の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に挿通される挿通部材を保持し、当該対象物に固定する固定構造が知られている。
例えばその一例として、特許文献1には、貫通路(挿通孔)を有する経皮端子(固定部材)と、貫通路に挿嵌されるカテーテル(挿通部材)と、経皮端子の頭部にねじ嵌合するように形成され、カテーテルの固定部位の周囲に配設された環状ゴム弾性体(シール部材)を押圧して、カテーテルを止着するキャップ(ネジ部材)とを有する、経皮カテーテル留置セットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-254758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、Oリング等の一般的な環状のシール部材においては、気密性や液密性といった密着性を高めるために、シール機能を施す対象部材の外径に比べて、内径が僅かに小さくなるように予め設定しておき、当該対象部材の周囲(径方向の外側)に装着される必要がある。
【0005】
ここで、例えば人工心臓に使用される皮膚ボタンなどのような、医療用チューブを挿通部材とする固定構造においては、挿通部材の外径に比べて十分大きな外径を有するコネクタ部が、当該挿通部材における体外に露出した側の先端に設けられることから、上記のような一般的なシール部材では、コネクタ部を貫通させることが難しく、固定構造の所定箇所にシール部材を配置することが非常に困難である。
一方、このような問題の解決策として、例えば、コネクタ部の外径と比べて十分大きな内径を有する長尺円筒状にシール部材を構成し、固定構造の所定箇所に配置された後、軸方向に圧縮して内周面を径方向内側へ弾性変形させる等の構造が考えられるが、固定構造全体としての構造が複雑となり、また外観形状も過大となるため、現実性に乏しい。
【0006】
本発明の目的は、挿通部材に設けられ、当該挿通部材の外径に比べて十分大きな外径を有する部材(例えば、コネクタ部)を容易に貫通可能であり、且つ挿通部材に対して十分な密着性を確保することができるシール部材を有した、コンパクトな挿通部材の固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、本発明に係る挿通部材の固定構造は、対象物に挿通される挿通部材と、前記対象物に固定され、前記挿通部材を挿通する挿通孔を有する固定部材と、前記固定部材に対して前記挿通部材を保持する保持機構とを備える、挿通部材の固定構造であって、前記固定部材は、前記挿通孔の軸方向の一端に雌ネジ部を有し、且つ当該軸方向の中途部において一端側から他端側に向かって断面形状が徐々に縮径する固定部材側被嵌合部を有し、前記保持機構は、前記固定部材側被嵌合部に則した形状からなる第一チャック部材側嵌合部を有し、前記挿通部材の外周面と、前記挿通孔の内周面との間において、前記第一チャック部材側嵌合部を前記固定部材側被嵌合部に嵌合させて前記挿通部材を挟持するチャック部材と、円筒形状の弾性部材からなり、前記チャック部材に対して前記軸方向の一端側に配置されるシール部材と、前記シール部材に対して前記軸方向の一端側に配置され、前記雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有し、前記雄ネジ部が前記雌ネジ部に螺合することによって前記チャック部材及び前記シール部材を前記軸方向の他端側に向かって押圧するネジ部材とを備え、前記シール部材は、前記挿通部材に挿通される本体部と、前記本体部の他端側の端部から前記軸方向の他端側に突出し、且つ突出方向に向かって断面形状が徐々に縮径する環状突起部を有し、前記環状突起部は、前記チャック部材における前記軸方向の一端側の端面と当接することで、前記シール部材の径方向の内側に屈曲変形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る挿通部材の固定構造によれば、挿通部材に設けられ、当該挿通部材の外径に比べて十分大きな外径を有する部材(例えば、コネクタ部)を容易に貫通可能であり、且つ挿通部材に対して十分な密着性を確保することができるシール部材を有した、コンパクトな挿通部材の固定構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る固定構造の側面一部断面図である。
図2図1に記載の固定構造の要部分解斜視図である。
図3図1に記載の保持機構の断面一部拡大図である。
図4図1に記載の固定構造の組立方法を説明する図である。
図5図1に記載の固定構造の組立方法を説明する図である。
図6図1に記載の固定構造の組立方法を説明する図である。
図7】変形例に係る固定構造の側面一部断面図である。
図8図7に記載の固定構造の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、発明の実施の形態を説明する。まず、本発明の一実施形態にかかる挿通部材の固定構造1について説明する。本実施形態において、軸方向の一端側とは挿通部材の軸方向に沿った体外側を指し、軸方向の他端側とは挿通部材の軸方向に沿った体内側を指すものとする。
【0012】
本実施形態に係る固定構造1とは、対象物に挿通される挿通部材を固定するための構造である。ここで、挿通とは、長さを持つ部材である挿通部材が、少なくとも固定構造1の内部と外部とに亘って存在する状態とすることを意味する。挿通部材は、対象物に挿通された部分が保持されていれば、対象物を貫通してもよいし、貫通しなくてもよい。対象物は、挿通部材を挿通するための孔を有しており、当該孔を通して挿通部材を挿通させる。
【0013】
本実施形態においては、挿通部材の一例であり医療用チューブの一種であるドライブライン2は、対象物である皮膚Sから体内の目的部位へと到達するように案内される。なお、挿通部材は、ドライブライン2に限定されず、例えば、カテーテルや、その他の医療用チューブ、または中実の医療用ケーブルであってもよく、長さを有する他の部材であってもよい。また、挿通部材が挿通される対象物は、経皮的に導入される体腔であってもよいが、皮膚に限定されるものではなく、臓器や骨等の生物を構成する要素など、細菌等の侵入を抑制する必要がある対象物、例えば生体であることが好ましい。
【0014】
<固定構造の構成>
次に、本実施形態に係る固定構造1の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。
【0015】
本実施形態に係る固定構造1は、挿通部材であるドライブライン2と、対象物である皮膚Sに固定され、ドライブライン2を挿通する挿通孔33を有する固定部材3と、固定部材3に対してドライブライン2を保持する保持機構4とを備えている。ここで、固定部材3が皮膚Sに固定されるとは、皮膚Sの一部が固定部材3の表面にアンカリングする(定着する)ことにより固定部材3が皮膚Sに固定されることを意味する。
【0016】
ドライブライン2は、人体の内部へ挿通する筒状の部材であり、医療用チューブの一種である。ドライブライン2の外周面(外表面)は、人体の内部へ挿入された部分は繊維によって被覆されている。ドライブライン2の体内側端部は体内に配置された図示しない医療用機器に連結されており、ドライブライン2の体外側端部は、体外に配置された図示しない機器に連結されている。ドライブライン2の体外側端部には、図示しない機器に連結するためのコネクタ部10(図4参照)が取り付けられている。一般的にコネクタ部10の外径は、ドライブライン2の外径よりも大きい。
【0017】
本実施形態においては、体内に配置された医療用機器は、補助人工心臓である。補助人工心臓は、体内の血液を循環させるポンプを有する部材である。また、体外に配置された機器は、前記ポンプを冷却するための冷却水を送り出す圧送ポンプと、ポンプへ電力を送る電源とを含む。ドライブライン2は、内部に前記圧送ポンプと前記補助人工心臓との間で冷却水を循環させる冷却水循環路11と、前記電源と前記ポンプとを連結する電源ケーブル12とを有する。なお、ドライブライン2の構成はこれに限定されるものではなく、公知の構成を採用できる。例えば、ドライブライン2は、電源ケーブル12のみを有する構成としてもよいし、冷却水循環路11のみを有する構成としてもよいし、他の機能を有する部材などを有する構成としてもよい。
【0018】
固定部材3は、皮膚Sに固定される固定部21と、ドライブライン2が挿通される挿通部22とを有する。詳細は後述するが、ここでは、固定部材3の少なくとも一部には、皮膚Sの一部のアンカリングを促進するために表面処理が施されている。また、固定部材の材料は、対象に固定できる剛性などを有すれば特に限定されないが、本実施形態のように生体組織である皮膚Sに固定される部材である場合には、生体適合性の高い材料で形成されていることが好ましい。生体適合性の高い材料としては、例えば、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、シリコン、チタン、チタン合金等である。なお、固定部21には、メッシュ状のチタン繊維などの細胞の侵入が可能な多孔性材料で表面が形成されて、固定部21と皮膚Sとの密着性が向上されて、細菌の生体内への侵入の防止が図られている。
【0019】
固定部21は、対象である皮膚Sに固定される部分であり、詳細には、皮膚Sに設けられた孔周辺の皮膚Sに固定される部分である。固定部21は、挿通部22の外周に設けられており、固定部21と挿通部22とは一体的に構成されている。なお、本実施形態においては、固定部21と挿通部22とは一体的に構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、挿通部22の外周に別体として設けた固定部21を溶接等により固定する構成としてもよい。
【0020】
挿通部22は、ドライブライン2が挿通される部分であり、略円筒状に構成されている。挿通部22は、軸方向の一端側の第一開口部31と、軸方向の他端側の第二開口部32と、第一開口部31と第二開口部32とを連通する挿通孔33と、挿通孔33の内面における軸方向の中途部において第一開口部31から第二開口部32に向かって断面形状が徐々に縮径するように設けられた固定部材側被嵌合部34と、挿通孔33の軸方向の一端である第一開口部31に設けられた雌ネジ部35とを有する。なお、各図面においては、雌ネジ部35のネジ溝等の図示は省略している。
【0021】
第一開口部31は、挿通部22の体外側に設けられた開口部であり、第二開口部32は、体内側に設けられた開口部である。第一開口部31は、開口面が挿通部22の軸方向に対して直交するように形成されている。第二開口部32は、開口面が挿通部22の軸方向に対して非直交となるように形成されている。第一開口部31の断面は円形状に形成されており、断面直径は、後述するネジ部材52の外径と略同じ長さとなるように形成されている。第二開口部32の断面は楕円形状に形成されており、第二開口部32の断面積は、ドライブライン2を第二開口部32と平行な方向に切断した時の断面積よりも大きくなるように形成されている。
【0022】
挿通孔33は、ドライブライン2を挿通する孔であり、断面視円形状に形成されている。挿通孔33は、中心軸が一つの直線となるように構成されている。なお、挿通孔33は、中心軸が一つの直線となるように形成されているがこれに限定されるものではなく、例えば、中途部において屈曲または屈折するように形成されていてもよい。また、本実施形態においては、挿通孔33が固定部21に対して傾斜するように構成されているが、傾斜角度は特に限定されない。また、挿通孔33は、対象物に対して直交するように形成してもよい。
【0023】
固定部材側被嵌合部34は、挿通孔33の内面に設けられた部分であり、第一開口部31から第二開口部32に向かって内径が縮径するように設けられる。固定部材側被嵌合部34は、傾斜角度が一定となるように設けられている。すなわち、固定部材側被嵌合部34は、図1に示す断面が直線状となるように構成されている。なお、固定部材側被嵌合部34は、傾斜角度が一定となるように形成されているが、本実施形態に限定されるものでなく、例えば、第二開口部32に向かって傾斜角度が大きくなるように形成することもできる。この場合、固定部材側被嵌合部は、図1に示す断面が曲線状となるように構成される。
【0024】
雌ネジ部35は、第一開口部31の内周面に設けられた部分である。雌ネジ部35は、後述する雄ネジ部72と螺合する。
【0025】
また、挿通孔33の内周には、角リング78が配置される。角リング78は、挿通孔33の内周面とネジ部材52の外周面との間に設けられており、挿通部22とネジ部材52との間の液密を補助する役割を有する部材である。なお、角リング78はネジ部材52の外周に取り付けられてもよい。
【0026】
本実施形態の保持機構4は、固定部材3に対してドライブライン2を保持する機構であり、体内側を液密に保つための機構を有している。保持機構4は、チャック部材51と、ネジ部材52と、シール部材53とを備える。
【0027】
チャック部材51は、ドライブライン2のような挿通部材を締め付けて挟持するための部材である。チャック部材51は、軸方向の他端側の外周面に設けられ、固定部材側被嵌合部34に則した形状からなる第一チャック部材側嵌合部61を有する。チャック部材51は、軸方向の一端側の外周面に設けられ、シール部材53及びネジ部材52と嵌合する第二チャック部材側嵌合部62を有する。チャック部材51は、内側に設けられ、ドライブライン2の外周に対して密着して挟持する挟持部63を有する。チャック部材51は、シール部材53と当接する軸方向の一端側の端面64を有する。
【0028】
チャック部材51は、挿通孔33の内周面とドライブライン2の外周面との間に配置される部材であり、保持機構4において、ドライブライン2を締め付けることにより挟持する役割と、液密を達成する役割とを有する部材である。チャック部材51の材料は、特に限定されるものではないが、ドライブライン2を保持する役割と液密を達成する役割とを達成できる材料として、ドライブライン2を締め付けることができる程度の微小な変形が可能な材料を用いることができる。本実施形態におけるチャック部材51は、耐食性の高い金属であって固定部材3を形成する金属と同等の硬度を持つまたは固定部材3を形成する金属より低い硬度を持つ金属で形成されている。耐食性の高い金属とは、例えば、チタンやチタン合金等である。
【0029】
第一チャック部材側嵌合部61は、チャック部材51が挿通孔33に配置された状態において、固定部材側被嵌合部34と嵌合する部分である。第一チャック部材側嵌合部61は、固定部材側被嵌合部34と嵌合して、チャック部材51が縮径する方向の力(ドライブライン2側への向きの力)が固定部材側被嵌合部34からチャック部材51に対して与えられるように構成されている。本実施形態では、第一チャック部材側嵌合部61は、固定部材側被嵌合部34と傾斜角度が同一の傾斜面で構成されている。言い換えれば、第一チャック部材側嵌合部61が、固定部材側被嵌合部34との面接触によって、固定部材側被嵌合部34と嵌合するように構成されている。すなわち、第一チャック部材側嵌合部61には、固定部材側被嵌合部34と傾斜角度が同一の傾斜面が少なくとも一部分に形成されていることが好ましい。
【0030】
なお、第一チャック部材側嵌合部61は、傾斜面で構成されるが、これに限定されるものではなく、少なくとも固定部材側被嵌合部34からチャック部材51を第一開口部31側へ押す方向の力を受けることができる形状であればよい。
【0031】
第二チャック部材側嵌合部62は、チャック部材51が挿通孔33に配置された状態において、シール部材53及びネジ部材52と嵌合する部分である。第二チャック部材側嵌合部62は、チャック部材51の第一開口部31側に形成された傾斜面として構成されている。第二チャック部材側嵌合部62は、ネジ部材52の後述する先端嵌合部74と嵌合して、チャック部材51が縮径する方向の力(ドライブライン2側への向きの力)が先端嵌合部74からチャック部材51に対して与えられるように構成されている。
【0032】
また、ネジ部材52の先端嵌合部74も、ネジ部材52の径方向外側へ向かう力を第二チャック部材側嵌合部62から受けることとなる。本実施形態では、第二チャック部材側嵌合部62は、傾斜面である先端嵌合部74と傾斜角度が同一の傾斜面で構成されている。言い換えれば、第二チャック部材側嵌合部62が、先端嵌合部74との面接触によって、先端嵌合部74と嵌合するように構成されている。すなわち、第二チャック部材側嵌合部62には、先端嵌合部74と傾斜角度が同一の傾斜面が少なくとも一部分に形成されていることが好ましい。
【0033】
なお、第二チャック部材側嵌合部62は、傾斜面で構成されるが、これに限定されるものではなく、少なくともネジ部材52からチャック部材51を第二開口部32側へ押す方向の力を受けることができる形状であればよい。
【0034】
挟持部63は、ドライブライン2の外周に対して嵌合する部分であり、本実施形態ではチャック部材51の内周面全体である。チャック部材51は、第一開口部31側となる開口部と第二開口部32側となる開口部とを連通する連通孔を有し、ドライブライン2がこれらの開口部から延出するように、ドライブライン2を挟持する。挟持部63は、図1に示すように、断面円形状に設けられており、断面の直径が均一となるように形成されている。なお、挟持部63は、断面の直径が均一となるように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば中央部において、断面の直径が拡大されるように形成された段部を有してもよい。
【0035】
端面64は、チャック部材51が挿通孔33に配置された状態において、シール部材53の後述する環状突起部92と当接する部分である。端面64は、挿通部22の径方向に平行な面で構成されており、第二チャック部材側嵌合部62と連続して形成されている。なお、端面64は、挿通部22の径方向に平行な面で構成されるが、これに限定されるものではなく、シール部材53の環状突起部92からチャック部材51を第二開口部32側へ押す方向の力を受けることができる形状であればよい。
【0036】
本実施形態におけるチャック部材51は、図2に示すように、径方向に分割され、一体的に合わせられることで略筒状体となる第一チャック部材65と第二チャック部材66とから構成される。第一チャック部材65の接合面67と第二チャック部材66の接合面68とが接合することによりチャック部材51が形成される。また、チャック部材51の外周面には、凹部69が設けられている。凹部69は、チャック部材51を固定部材側被嵌合部34及び先端嵌合部74に嵌合させる際の滑り止めのために設けられた部分である。なお、チャック部材51の構造は、径方向に分割される構造に限られず、軸方向に分割される構造や、分割されない構造としてもよい。
【0037】
ネジ部材52は、シール部材53に対して軸方向の一端側に配置され、雌ネジ部35に螺合可能な雄ネジ部72を有し、雄ネジ部72が雌ネジ部35に螺合することによってチャック部材51及びシール部材53を軸方向の他端側に向かって押圧する部材である。ネジ部材52は、ドライブライン2が挿通されるネジ部材挿通路71と、外周面に設けられた雄ネジ部72と、挿通部22に挿入される先端部73とを有する。ネジ部材52は、先端部73の内側に設けられ第二チャック部材側嵌合部62と嵌合する先端嵌合部74と、シール部材53と嵌合するネジ部材嵌合部75とを有する。
【0038】
ネジ部材52は、挿通孔33の内周面と、シール部材53の外周面及びチャック部材51の外周面との間に配置される部材であり、保持機構4において、第一開口部31を遮蔽する役割と、チャック部材51及びシール部材53を押圧する役割とを有する。ネジ部材52の材料は、第一開口部31を遮蔽する役割と、チャック部材51及びシール部材53を押圧する役割とを達成できる材料であれば特に限定されない。本実施形態において、ネジ部材52は、耐食性の高い金属であって固定部材3を形成する金属と同等の硬度を持つ、又は、固定部材3を形成する金属より低い硬度を持つ金属で形成されている。耐食性の高い金属とは、例えば、チタンやチタン合金である。
【0039】
ネジ部材挿通路71は、ネジ部材52の内部に設けられるドライブライン2を挿通するための通路である。ネジ部材挿通路71は、軸方向の一端側の端部から中途部まで設けられており、コネクタ部10の外径より大きな直径を有している。
【0040】
雄ネジ部72は、ネジ部材52の外周面に設けられ、雌ネジ部35と螺合する部分である。先端部73は、固定部材3の挿通孔33に挿入される部分であり、その外周面に雄ネジ部72が設けられる。なお、各図面においては、雄ネジ部72のネジ山等の図示は省略している。
【0041】
先端嵌合部74は、先端部73の内周面に設けられ、第二チャック部材側嵌合部62と嵌合する部分である。先端嵌合部74は、第二チャック部材側嵌合部62の傾斜面の傾斜角度と同一の傾斜角度を有する傾斜面で構成されている。なお、先端嵌合部74は、第二チャック部材側嵌合部62の傾斜面の傾斜角度と同一の傾斜角度を有する傾斜面で構成されるが、これに限定されるものではない。先端嵌合部74の形状は、先端嵌合部74の少なくとも一部が第二チャック部材側嵌合部62と嵌合することで、ネジ部材52からチャック部材51を第二開口部32側へ押す方向の力を伝えることができる形状であればよい。
【0042】
ネジ部材嵌合部75は、シール部材53と嵌合する部分である。ネジ部材嵌合部75は、図3に示すように、第一開口部31側に径方向と平行な押圧面81と、シール部材53の外周面と平行な当接面82と、第一開口部31側から第二開口部32側へ向かうにつれて内径が縮径するように設けられた当接面83とを有する。なお、ネジ部材嵌合部75の構成は、シール部材53と嵌合し、かつ、押圧面81を有する構成であればよく、その構成は、本実施形態に示される構成に限定されない。
【0043】
シール部材53は、ネジ部材52の内周面とドライブライン2の外周面との間に配置される部材であり、ドライブライン2を締め付けることにより保持する役割と、保持機構4において液密を達成する役割を有する。シール部材53は、円筒形状の弾性部材からなり、チャック部材51に対して軸方向の一端側に配置される部材である。シール部材53の材料には、ドライブライン2を締め付けることにより保持する役割と、液密を達成する役割とを有することが可能な弾性部材を用いることができる。弾性部材としては、弾性を有する樹脂材料であることが好ましく、弾性を有するシリコン樹脂などの単独組成の合成樹脂や、合成樹脂と無機化合物との混合物などが挙げられる。
【0044】
シール部材53は、本体部91と、環状突起部92と、シール部材側被嵌合部93とを有する。本体部91は、ドライブライン2に挿通される円筒形状の部分である。本体部91の内径は、図4に示すように、ドライブライン2の外径よりも大きく、コネクタ部10の外径と同じかやや小さく構成される。これにより、シール部材53を可能な限り小さくできるとともに、シール部材53を弾性変形させながらコネクタ部10を通すことができる。本体部91の外周面は、ネジ部材嵌合部75に則した形状を有し、図3に示すように、ネジ部材52の押圧面81に押圧される被押圧面94と、ネジ部材52の当接面82に当接する被当接面95とを有する。これにより、本体部91は、ネジ部材52に嵌合される。その結果、本体部91の外周面において液密が達成される。
【0045】
環状突起部92は、図5に示すように、本体部91の他端側の端部から軸方向の他端側に突出し、且つ突出方向に向かって断面形状が徐々に縮径する部分である。本実施形態において環状突起部92は、断面三角形状に構成されている。環状突起部92は、組み立て時に、図6に示すようにチャック部材51における軸方向の一端側の端面64と当接し、図1及び図3に示すようにシール部材53の径方向の内側に屈曲変形する。これにより、環状突起部92の内径が本体部91の内径より小さくなり、チャック部材51の端面64及びドライブライン2の外周面に密着する。よって、環状突起部92は、ドライブライン2を締め付けることにより保持し、本体部91の内周面において液密を達成する。
【0046】
なお、環状突起部92の形状は、シール部材53の径方向の内側に屈曲変形可能な形状であれば特に限定はなく、例えば、径方向の内側に湾曲するような断面略三角形状であってもよい。
【0047】
シール部材側被嵌合部93は、図3及び図5に示すように、環状突起部92の径方向の外側に設けられ、少なくとも第二チャック部材側嵌合部62に則した形状からなる環状の部分である。本実施形態においてシール部材側被嵌合部93は、第二チャック部材側嵌合部62及びネジ部材52の当接面83に則した断面三角形状に構成されている。これにより、シール部材側被嵌合部93は、第二チャック部材側嵌合部62及び当接面83に密着した状態で嵌合される。よって、シール部材53のチャック部材51及びネジ部材52に対する密着性をより高めることができる。
【0048】
なお、シール部材53の構成は、本体部91及び環状突起部92を有する構成であればシール部材側被嵌合部93を有していなくてもよく、その構成は、本実施形態に示される構成に限定されない。
【0049】
<固定構造の組立>
次に、固定構造1の組立方法について、図1から図6を用いて説明する。
【0050】
図4に示すように、ドライブライン2は、固定部材3の挿通孔33に挿通される。例えば、皮膚Sに設けられた孔から体外側へ延出したドライブライン2に対して、固定部材3を第二開口部32から挿通することができる。
【0051】
次に、チャック部材51を構成する第一チャック部材65の挟持部63とドライブライン2の外周とを当接させつつ、第二チャック部材66の挟持部63をドライブライン2の外周と当接させる。第一チャック部材65の接合面67と第二チャック部材66の接合面68とを対向させることにより、チャック部材51をドライブライン2の外周に配置する。
【0052】
次に、図5に示すように、チャック部材51を第一開口部31側から挿通孔33に挿入する。ここでは、挿通孔33に挿入されたチャック部材51の第一チャック部材側嵌合部61は、固定部材3の固定部材側被嵌合部34に当接するが、この時点では、必ずしも当接していなくてもよい。次に、図4に示すように、シール部材53を、コネクタ部10を貫通させてドライブライン2の外周におけるチャック部材51の上側(第1開口部31側)に嵌める。その後、角リング78が嵌められたネジ部材52を、コネクタ部10を貫通させてドライブライン2の外周にあるシール部材53に嵌める。
【0053】
次に、図6に示すように、シール部材53が嵌められたネジ部材52をドライブライン2に沿って移動させ、ネジ部材52の雄ネジ部72を固定部材3の雌ネジ部35に螺合させる。これにより、ネジ部材52は固定部材3の軸方向の他端側へ移動する。そして、ネジ部材52の先端嵌合部74がチャック部材51の第二チャック部材側嵌合部62を押圧する。同時に、シール部材53の環状突起部92がチャック部材51の端面64に当接する。このとき、チャック部材51の第一チャック部材側嵌合部61が固定部材3の固定部材側被嵌合部34に当接していない場合には、チャック部材51が軸方向の他端側へ移動し、第一チャック部材側嵌合部61が固定部材側被嵌合部34に当接する。
【0054】
さらに、雌ネジ部35に対する雄ネジ部72の螺合を進めていくと、図1に示すように、シール部材53の環状突起部92が、チャック部材51の端面64によって径方向の内側に屈曲変形し、チャック部材51の端面64及びドライブライン2の外周面に密着する。そして、チャック部材51の移動が規制されることで、固定部材3へのネジ部材52及びシール部材53の組み付けが完了し、固定構造1の組み立てが完了する。なお、上記の組立手順は一例であり、固定部材3の雌ネジ部35に対してネジ部材52の雄ネジ部72を螺合させるまでの組立手順は特に限定されない。
【0055】
<効果>
以上のように、本実施形態の固定構造1は、皮膚Sに挿通されるドライブライン2と、皮膚Sに固定され、ドライブライン2を挿通する挿通孔33を有する固定部材3と、固定部材3に対してドライブライン2を保持する保持機構4とを備える。固定部材3は、挿通孔33の軸方向の一端に雌ネジ部35を有し、且つ当該軸方向の中途部において一端側から他端側に向かって断面形状が徐々に縮径する固定部材側被嵌合部34を有する。保持機構4は、固定部材側被嵌合部34に則した形状からなる第一チャック部材側嵌合部61を有し、ドライブライン2の外周面と、挿通孔33の内周面との間において、第一チャック部材側嵌合部61を固定部材側被嵌合部34に嵌合させてドライブライン2を挟持するチャック部材51と、円筒形状の弾性部材からなり、チャック部材51に対して軸方向の一端側に配置されるシール部材53と、シール部材53に対して軸方向の一端側に配置され、雌ネジ部35に螺合可能な雄ネジ部72を有し、雄ネジ部72が雌ネジ部35に螺合することによってチャック部材51及びシール部材53を軸方向の他端側に向かって押圧するネジ部材52とを備える。シール部材53は、ドライブライン2に挿通される本体部91と、本体部91の他端側の端部から軸方向の他端側に突出し、且つ突出方向に向かって断面形状が徐々に縮径する環状突起部92とを有する。そして、環状突起部92は、チャック部材51における軸方向の一端側の端面と当接することで、シール部材53の径方向の内側に屈曲変形する。
【0056】
このような構成によれば、例えば、ドライブライン2の外径に比べて十分大きな外径を有するコネクタ部10がドライブライン2に設けられている場合、シール部材53の内径を、コネクタ部10を貫通させることができる十分な大きさに設定する必要がある。そして、固定構造1の所定位置にシール部材53が装着された際には、環状突起部92がシール部材53の径方向の内側に屈曲変形し、ドライブライン2の外周面と密着される。
【0057】
よって、ドライブライン2に設けられ、ドライブライン2の外径に比べて十分大きな外径を有するコネクタ部10を容易に貫通可能であり、且つドライブライン2に対して十分な密着性を確保することができるシール部材53を有したドライブライン2の固定構造を、複雑且つ大掛かりな構造を別途設けることなく、コンパクトに実現することができる。
【0058】
また、本実施形態の固定構造1において、チャック部材51は、シール部材53側の端部において、軸方向の他端側から一端側に向って断面形状が徐々に縮径する第二チャック部材側嵌合部62を有する。シール部材53は、環状突起部92の径方向の外側に設けられ、第二チャック部材側嵌合部62に則した形状からなる環状のシール部材側被嵌合部93を有する。
【0059】
このような構成によれば、チャック部材51の第二チャック部材側嵌合部62と、シール部材53のシール部材側被嵌合部93とが密着した状態で互いに嵌合される。よって、シール部材53のチャック部材51に対する密着性を、より高めることができる。
【0060】
また、本実施形態の固定構造1において、ドライブライン2を用いているように、挿通部材は医療用チューブである。
【0061】
このような構成によれば、挿通部材が医療用チューブである場合であっても、医療用チューブに設けられ、医療用チューブの外径に比べて十分大きな外径を有するコネクタ部10を容易に貫通可能であり、且つ医療用チューブに対して十分な密着性を確保することができるシール部材53を有した医療用チューブの固定構造1を、複雑且つ大掛かりな構造を別途設けることなく、コンパクトに実現することができる。
【0062】
<変形例>
本発明の固定構造の変形例について図7及び図8を用いて説明する。変形例の固定構造100と上記の固定構造1との主たる相違点は、ドライブライン2の屈曲や径方向の捩れを防止する部材であるキンクガード101をネジ部材52の体外側端部に設けた点である。その他の点は、上記の実施形態に係る固定構造1と同様であるので、説明を省略し、以下、キンクガード101について説明する。
【0063】
キンクガード101は、ネジ部材52に固定される固定部111と、ドライブライン2が挿通される挿通部112とを有する。本変形例の実施形態において固定部111はシリコンで構成されているが、その材料には特に限定はなく、例えば硬質の合成樹脂で構成されていてもよい。また本変形例の実施形態においては、キンクガード101は、カバー部材116によりキンクガード101の外周面の一部が覆われている。
【0064】
固定部111は、ネジ部材52に固定される部材であり、ネジ部材52に嵌合される嵌合部113と、ネジ部材52における軸方向の一端側の端部と略同径のフランジ部114とを有する。ネジ部材52における軸方向の一端側の端部には、キングガード101の嵌合部113を嵌合させるための嵌合孔79が設けられている。嵌合部113の外周面には径方向に突出した爪部115が設けられている。嵌合孔79に設けられた凹部に爪部115を係合させることにより、キンクガード101はネジ部材52に固定される。本変形例では、爪部115がシール部材53の端面を覆うように嵌合孔79に入り込んでいるので、シール部材53を外部から保護することができる。
【0065】
挿通部112は、ドライブライン2が挿通される部材であり、略円筒状に構成されている。挿通部112は、第一開口部131と、第二開口部132と、第一開口部131と第二開口部132とを連通する挿通孔133とを有する。第一開口部131は第二開口部132よりも小さく構成されており、第一開口部131の孔径は、ドライブライン2の外径と略同一に構成されている。また、挿通孔133は、第一開口部131側から第二開口部132側へ向かって内径が拡径するように設けられている。キンクガード101に挿通されたドライブライン2は、第一開口部131によって挟持され、ドライブライン2の径方向の捩れや屈曲が発生し難くなる。
【0066】
挿通部112の側面には第一開口部131側端部から第二開口部132側端部まで切り込みが設けられてもよい。この場合、キンクガード101を広げながらドライブライン2の径方向から取り付けることができる。また、カバー部材116によりキンクガード101の外周面の一部または全部を覆うことで、キンクガード101の切り込みが開くことを防止することができる。このため、皮膚Sに固定構造1を形成した後でも、体外側からキンクガード101の取り換え作業などができ、メンテナンス性に優れる。
【0067】
以上説明したように、本変形例では、長尺部材であるドライブライン2の径方向の捩れや屈曲を防止することが可能となる。なお、キンクガード101の構成は上記の構成に限られず、公知の構成を適用できる。また、挿通部材が医療用チューブである場合に限られず、キンクガード101を有する構成は、可撓性を有する挿通部材を有する固定構造に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の挿通部材の固定構造は、上記の実施形態に限らず、例えば、基体に対して挿通部材を挿通して固定する構造において適用できる。例えば、挿通部材の他の例としては、電線やコントロールケーブルなどの可撓性を有する部材や、配管などの剛性を有する部材が挙げられる。また、基体としても特に限定されず、例えば、車体や壁などが挙げられる。要は、本発明の挿通部材の固定構造は、挿通部材を液密または気密に固定するために用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 固定構造
2 ドライブライン(挿通部材)
3 固定部材
4 保持機構
33 挿通孔
34 固定部材側被嵌合部
35 雌ネジ部
51 チャック部材
52 ネジ部材
53 シール部材
61 第一チャック部材側嵌合部
62 第二チャック部材側嵌合部
72 雄ネジ部
91 本体部
92 環状突起部
93 シール部材側被嵌合部
S 皮膚(対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8