(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】血管内皮機能改善剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/074 20060101AFI20240731BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240731BHJP
A23L 31/00 20160101ALI20240731BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240731BHJP
【FI】
A61K36/074
A61P9/10 101
A23L31/00
A23L33/10 ZNA
(21)【出願番号】P 2020121405
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 明子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 千奈
(72)【発明者】
【氏名】高木 寛
(72)【発明者】
【氏名】深田 紘介
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-122065(JP,A)
【文献】特開2016-202098(JP,A)
【文献】特開2015-043738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A23L33/
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度が
140℃~180℃、かつ圧力が飽和蒸気圧以上の亜臨界状態にある水で処理したマンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物を有効成分として含有する血管内皮機能改善剤。
【請求項2】
細胞接着分子の発現抑制作用を有することを特徴とする請求項1記載の血管内皮機能改善剤。
【請求項3】
細胞接着分子がICAM1であることを特徴とする請求項2記載の血管内皮機能改善剤。
【請求項4】
単球の接着抑制作用を有することを特徴とする請求項1記載の血管内皮機能改善剤。
【請求項5】
マンネンタケが、赤霊芝及び/又は黒霊芝であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項記載の血管内皮機能改善剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項記載の血管内皮機能改善剤を含有する血管内皮機能改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物を含有することを特徴とする血管内皮機能改善剤に関する。より詳しくは、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物を含有することを特徴とする、細胞接着分子(ICAM1)の発現抑制作用、単球接着抑制作用を有する血管内皮機能改善剤、及び血管内皮機能改善用食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内皮は、血管の最も内側に存在する、一層の細胞層(血管内皮細胞)により構成されている。血管内皮細胞は、一酸化窒素、プロスタグランジン、アンジオテンシンII等の生理活性物質を放出し、血管の拡張・収縮、血液凝固等のバランスを保つことで、血管の調節、維持に働いている(非特許文献1)。
【0003】
血管内皮機能は、血管内皮細胞が発揮する働きであるが、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満、運動不足等で障害を受けることが知られている(非特許文献1)。血管内皮細胞は、障害を受けると、ICAM1(Intercellular Adhesion Molecule 1)、VCAM1(Vascular Cell Adhesion Molecule 1)等の細胞接着分子が増加し、血液中の単球の血管内皮細胞への接着を促す。その結果、マクロファージが泡沫化し、プラークが形成される(非特許文献2)。血管内皮機能を維持するには、細胞接着分子の発現を抑制し、単球の接着を抑えることが必要である。
【0004】
細胞接着分子は、細胞膜表面に存在し、細胞と細胞や、細胞と細胞外マトリックス等との接着に関与する分子群の総称である。細胞接着分子には、ICAM1、VCAM1、インテグリン、セレクチン、カドヘリン等、多くの種類が存在する。細胞接着分子は、血管内皮細胞ばかりでなく、様々な細胞で発現しており、動脈硬化症、急性上気道炎、リウマチ、膠原病、一型糖尿病、多発性硬化症、ウイルス性肝炎、アレルギー性疾患との関連が知られている(非特許文献3)。
【0005】
マンネンタケは、マンネンタケ科(Ganodermataceae)マンネンタケ属(Ganoderma)に属する担子菌で、生薬「霊芝」として用いられる。マンネンタケの細胞接着分子に対する作用は、細胞接着分子発現抑制剤(特許文献1)が報告されているが、特許文献1ではマンネンタケをそのまま水やエタノールで抽出する方法がとられており、本発明は亜臨界水処理した処理物又はその抽出物を用いる点で、特許文献1とは異なる。
【0006】
また、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物に関して、マンネンタケ抽出物を用いた幹細胞の未分化状態維持剤及び増殖促進剤(特許文献2)が報告されているが、特許文献2の用途は、本発明の用途とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-122065号公報
【文献】特許第6535505号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】東幸仁、日本内科学会雑誌 2007;96(8):1717-1723
【文献】井上晃男、日本内科学会雑誌 2010;99(9):2116-2120
【文献】田中良哉、産業医科大学雑誌 2001;23(4):421-429
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物を含有することを特徴とする血管内皮機能改善剤を提供することである。より詳しくは、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物を含有することを特徴とする、細胞接着分子(ICAM1)の発現抑制作用、単球接着抑制作用を有する血管内皮機能改善剤、及び血管内皮機能改善用食品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物に、優れた血管内皮機能改善作用があることを見出した。さらに、赤霊芝の亜臨界水処理物又はその抽出物と、黒霊芝の亜臨界水処理物又はその抽出物を組み合わせると顕著な血管内皮機能改善作用を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、以下を包含する。
(1)温度が100℃~374℃、かつ圧力が飽和蒸気圧以上の亜臨界状態にある水で処理したマンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物を有効成分として含有する血管内皮機能改善剤。
(2)細胞接着分子の発現抑制作用を有することを特徴とする(1)記載の血管内皮機能改善剤。
(3)細胞接着分子がICAM1であることを特徴とする(2)記載の血管内皮機能改善剤。
(4)単球の接着抑制作用を有することを特徴とする(1)記載の血管内皮機能改善剤。
(5)マンネンタケが、赤霊芝及び/又は黒霊芝であることを特徴とする(1)~(4)のいずれか一項記載の血管内皮機能改善剤。
(6)(1)~(5)のいずれか一項記載の血管内皮機能改善剤を含有する血管内皮機能改善用食品組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、細胞接着分子の発現抑制作用、単球の接着抑制作用を介した血管内皮機能改善が達成できることから、極めて優れた血管内皮機能改善剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の血管内皮機能改善剤は、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物を有効成分として含有する。
【0014】
本発明のマンネンタケは、マンネンタケ科(Ganodermataceae)マンネンタケ属(Ganoderma)に属する担子菌で、生薬「霊芝」に用いられる。霊芝は、中国の薬学古書である「本草綱目」や「神農本草経」によると、赤霊芝(赤芝)、黒霊芝(黒芝)、紫霊芝(紫芝)、青霊芝(青芝)、黄霊芝(黄芝)及び白霊芝(白芝)が存在すると記載されている。また、赤霊芝の一種として、鹿角霊芝も知られている。本発明に用いられるマンネンタケは、上記マンネンタケ科マンネンタケ属の霊芝であれば特に限定はされないが、赤霊芝(Ganoderma lucidum)、黒霊芝(Ganoderma sinense、Ganoderma atrum、Ganoderma japonicum)が好ましい。さらに1種でも2種以上を組み合わせても良いが、赤霊芝と黒霊芝の組み合わせが特に好ましい。
【0015】
本発明のマンネンタケは、広く中国や日本市場等で流通しているものを用いることができるし、自生品や栽培品を用いても良い。本発明のマンネンタケは、子実体、菌糸体、胞子のいずれを用いてもよいが、子実体が好ましい。さらに、これらは乾燥や粉砕したものを用いることができ、あるいは、生のまま用いることもできる。
【0016】
本発明の亜臨界水処理とは、所定温度及び圧力の条件下で亜臨界状態にした水と処理対象(本発明ではマンネンタケ)とを接触させることをいう。例えば、水は、圧力22.12MPa、温度374.15℃まで上げると液体でも気体でもない状態を示す。この点を水の臨界点といい、臨界点より低い温度及び圧力の熱水を亜臨界水という。この亜臨界水は、誘電率低下とイオン積の向上により、優れた成分抽出作用と加水分解作用を有する。なお、亜臨界水処理に供給する水は、液体状態でも気体状態でも利用することができる。すなわち、亜臨界水処理の処理槽へは、水蒸気を供給してもよく、水を供給してもよく、あるいはその両者を供給してもよい。亜臨界水処理時の反応場は、気体状態よりも液体状態の方が反応は進みやすいので、密閉容器で強制的に液体の状態にした水を使用することが好ましい。より具体的には、金属やセラミックス等の耐圧容器に処理対象であるマンネンタケと処理剤である水を入れて、密閉状態にし、水の亜臨界状態(温度:100℃以上、圧力:飽和蒸気圧以上)で、両者の接触を一定時間以上行った処理物を亜臨界水処理物とすることができる。
【0017】
本発明のマンネンタケの亜臨界水処理物とは、マンネンタケを上述の亜臨界水処理に供することによって得られる処理物をいう。また、マンネンタケの亜臨界水処理物には、亜臨界水処理後のマンネンタケと水溶物(水溶液等)との混合物もしくはその乾燥物、また、前記の混合物を濾過した濾液もしくはその乾燥物を含む。
【0018】
マンネンタケの亜臨界水処理温度は、マンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物中に含まれる有効成分が効率的に得られやすくなるという理由から100~300℃の間が好ましく、130~200℃の間がより好ましく、140~180℃の間がさらに好ましく、160~180℃の間が最も好ましい。100℃未満の場合は、有効成分の量が少なくなる傾向にある。また、亜臨界水処理の温度が300℃を超える場合は、有効成分の過分解を引き起こしやすくなる。
【0019】
マンネンタケの亜臨界水処理圧力は、各温度での飽和蒸気圧以上であれば良く、例えば、圧力0.1~3.0MPaの間が好ましく、0.2~1.5MPaの間がより好ましく、0.37~1.01MPaの間がさらに好ましく、0.63~1.01MPaの間が最も好ましい。圧力0.1MPa未満の場合は、有効成分の量が少なくなる傾向にある。また、亜臨界水処理の圧力が、飽和蒸気圧を大きく上回るような過度の加圧には、別途加圧装置の追加及び設備の耐圧向上が必要となり、抽出の経済性が悪化する。
【0020】
マンネンタケの亜臨界水処理時間は、5~90分の間で行うことが好ましく、10~30分の間で行うことがより好ましい。5分未満の場合は、有効成分の量が少なくなる傾向にある。また、亜臨界水処理の時間が90分を超える場合は、有効成分の過分解を引き起こしやすくなる。
【0021】
すなわち、マンネンタケの亜臨界水処理条件としては、温度は100~300℃、圧力は0.1~3.0MPa、時間は5~90分で行うことが好ましい。
【0022】
本発明のマンネンタケの亜臨界水処理物の抽出物とは、前記の亜臨界水処理物に溶媒を加えて抽出した抽出液又はその乾燥物をいう。
【0023】
マンネンタケの亜臨界水処理物の抽出物を得るための抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出方法であっても良いし、常温や冷温抽出方法であっても良い。抽出に使用する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)等が挙げられる。これらの溶媒のなかでも、水、エタノールが好ましく、水、含水エタノールがより好ましく、水が最も好ましい。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いてもよい。また、上記抽出溶媒に酸やアルカリを添加して、pH調整した溶媒を使用することもできる。また、抽出方法としては、連続抽出、浸漬抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出等が挙げられる。ここで、亜臨界抽出としては、亜臨界水抽出が好ましく、亜臨界水抽出は上記の亜臨界水処理と同一の条件で行ってもよく、別条件で行ってもよい。
【0024】
抽出における、マンネンタケの亜臨界水処理物と溶媒との割合は、固形分に換算して、例えば1~50重量%、好ましくは5~25重量%が挙げられる。例えば、マンネンタケの亜臨界水処理物の乾燥物に水を加え、95~100℃における熱水抽出を行うことで、マンネンタケの亜臨界水処理物の抽出物を得ることができる。あるいは、マンネンタケの亜臨界水処理物の乾燥物に低級アルコール(例えば、エタノール等)又は液状多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)を添加し、常温(例えば5~35℃)で抽出を行うことで、マンネンタケの亜臨界水処理物の抽出物を得ることができる。
【0025】
上記のマンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物は、得られた溶液自体又は溶媒相自体をそのまま用いてもよいが、必要に応じて、その効果に影響のない範囲で、得られた溶液自体又は溶媒相を、濃縮(減圧濃縮、膜濃縮等による濃縮)、希釈、濾過、乾燥(濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等)等の処理、活性炭等による脱色、脱臭処理、エタノール沈殿等に供して、得られた生成物を用いてもよい。特に、前記乾燥処理による乾燥物の形態で使用することが好ましい。
【0026】
本発明の血管内皮機能改善剤は、医薬品、医薬部外品、食品として用いることができる。その剤形は内服用であることが好ましく、タブレット、飴、グミ、ガム、飲料等の食品の形態や、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤等の医薬品の形態を用いることができる。また、皮膚外用剤、注射剤、座剤等として用いることもできる。
【0027】
本発明の血管内皮機能改善剤は、効果を損なわない範囲内で、必要に応じて他の成分を含有することもできる。他の薬効成分を含有しても良く、ハーブ類、ビタミン、アミノ酸、ミネラル等の他に、乳糖、デンプン、セルロース、マルチトール、デキストリン等の賦形剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤、ゼラチン、プルラン、シェラック、ツェイン等の被膜剤、小麦胚芽油、米胚芽油、サフラワー油等の油脂類、ミツロウ、米糠ロウ、カルナウバロウ等のワックス類、ショ糖、ブドウ糖、果糖、ステビア、サッカリン、スクラロース等の甘味料、並びにクエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等の酸味料等を適宜含有することができる。
【0028】
本発明のマンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物の摂取量は、投与形態、使用目的、年齢、体重等によって異なる。成人1日当り、マンネンタケは、キノコ乾燥物に換算して1~20000mg、好ましくは10~5000mgの範囲で1日1回から数回経口摂取できる。上記摂取範囲より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて摂取する必要がある場合もある。また、製剤化における薬効成分の添加法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【0029】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例に示す含有量の%は重量%を示す。
【実施例1】
【0030】
製造例1 赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件1)及びその熱水抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として赤霊芝45gを入れ、処理条件1(処理温度:140℃、処理圧力:0.37MPa、処理時間:30分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで赤霊芝の亜臨界水処理物を43.8g得た。得られた赤霊芝の亜臨界水処理物10gに、精製水200mLを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物を0.6g得た。
【0031】
製造例2 赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件2)及びその熱水抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として赤霊芝45gを入れ、処理条件2(処理温度:160℃、処理圧力:0.63MPa、処理時間:20分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで赤霊芝の亜臨界水処理物を45.4g得た。得られた赤霊芝の亜臨界水処理物10gに、精製水200mLを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物を0.8g得た。
【0032】
製造例3 赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)及びその熱水抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として赤霊芝45gを入れ、処理条件3(処理温度:180℃、処理圧力:1.01MPa、処理時間:30分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで赤霊芝の亜臨界水処理物を39.8g得た。得られた赤霊芝の亜臨界水処理物10gに、精製水200mLを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物を2.6g得た。
【0033】
製造例4 黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件1)及びその熱水抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として黒霊芝45gを入れ、処理条件1(処理温度:140℃、処理圧力:0.37MPa、処理時間:30分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで黒霊芝の亜臨界水処理物を41.7g得た。得られた黒霊芝の亜臨界水処理物10gに、精製水200mLを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物を0.6g得た。
【0034】
製造例5 黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件2)及びその熱水抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として黒霊芝45gを入れ、処理条件2(処理温度:160℃、処理圧力:0.63MPa、処理時間:20分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで黒霊芝の亜臨界水処理物を40.3g得た。得られた黒霊芝の亜臨界水処理物10gに、精製水200mLを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物を1.0g得た。
【0035】
製造例6 黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)及びその熱水抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として黒霊芝45gを入れ、処理条件3(処理温度:180℃、処理圧力:1.01MPa、処理時間:30分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで黒霊芝の亜臨界水処理物を34.2g得た。得られた黒霊芝の亜臨界水処理物10gに、精製水200mLを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物を2.4g得た。
【0036】
製造例7 赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物
製造例3の赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物2gと、製造例6の黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物2gを均一になるように混合し、マンネンタケの亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物を4g得た。
【0037】
製造例8 赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の50%エタノール抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として赤霊芝45gを入れ、処理条件3(処理温度:180℃、処理圧力:1.01MPa、処理時間:30分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで赤霊芝の亜臨界水処理物を39.8g得た。得られた赤霊芝の亜臨界水処理物10gに、50%エタノール水溶液200mLを加え、一昼夜抽出した。濾過した後、その濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥することにより、赤霊芝の亜臨界水処理物の50%エタノール抽出物を2.1g得た。
【0038】
製造例9 黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の50%エタノール抽出物
亜臨界水処理缶に、マンネンタケ原料として黒霊芝45gを入れ、処理条件3(処理温度:180℃、処理圧力:1.01MPa、処理時間:30分間)で亜臨界水処理を行った。亜臨界水処理の終了後、処理缶内の処理物を凍結乾燥させることで黒霊芝の亜臨界水処理物を34.2g得た。得られた黒霊芝の亜臨界水処理物10gに、50%エタノール水溶液200mLを加え、一昼夜抽出した。濾過した後、その濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥することにより、黒霊芝の亜臨界水処理物の50%エタノール抽出物を1.8g得た。
【0039】
比較例1 赤霊芝の熱水抽出物
赤霊芝100gに、精製水2Lを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して赤霊芝の熱水抽出物を4.4g得た。
【0040】
比較例2 黒霊芝の熱水抽出物
黒霊芝100gに、精製水2Lを加え、95~100℃で2時間抽出した。濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して黒霊芝の熱水抽出物を4.2g得た。
【0041】
比較例3 赤霊芝の熱水抽出物と黒霊芝の熱水抽出物の混合物
比較例1の赤霊芝の熱水抽出物2gと、比較例2の黒霊芝の熱水抽出物2gを均一になるように混合し、マンネンタケの熱水抽出物の混合物を4g得た。
【実施例2】
【0042】
処方例1 軟カプセル剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3) 10.0
2.黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6) 10.0
3.米胚芽油 70.0
4.ミツロウ 7.0
5.ビタミンE 3.0
<製造方法>
成分1~5を混合し、ゼラチン、グリセリン、カラメル色素で構成される被膜に、250mg充填し、乾燥後、軟カプセル剤を得る。
<用法>
1日当り3粒摂取する。
【0043】
処方例2 硬カプセル剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件1)の熱水抽出物(製造例1) 1.0
2.黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件1)の熱水抽出物(製造例4) 1.0
3.コーンスターチ 90.0
4.ショ糖脂肪酸エステル 8.0
<製造方法>
成分1~4を混合し、2号硬カプセルに250mg充填して硬カプセル剤を得る。
<用法>
1日当り4粒摂取する。
【0044】
処方例3 顆粒剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件2)の熱水抽出物(製造例2) 0.1
2.黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件2)の熱水抽出物(製造例5) 0.1
3.乳糖 89.8
4.セルロース 10.0
<製造方法>
成分1~4を乾式法により造粒し、顆粒剤を得る。
<用法>
1日当り1g摂取する。
【0045】
処方例4 飲料
<処方>
成分 含有量(%)
1.赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3) 1.0
2.黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6) 1.0
3.クエン酸 6.0
4.ショ糖 10.0
5.香料 1.0
6.水 81.0
<製造方法>
成分1~5を成分6の一部の水に撹拌溶解する。次いで、成分6の残りの水を加えて混合し、殺菌したものを飲料とする。
<用法>
1日当り50mL摂取する。
【0046】
処方例5 錠剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件1)の熱水抽出物(製造例1) 0.1
2.黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件1)の熱水抽出物(製造例4) 0.1
3.乳糖 70.8
4.還元麦芽糖水飴 25.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 4.0
<製造方法>
成分1~5を混合して打錠成型し、0.5gの錠剤を得る。
<用法>
1日当り2錠摂取する。
【0047】
処方例6 ゼリー
<処方>
成分 含有量(%)
1.赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件2)の熱水抽出物(製造例2) 0.1
2.黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件2)の熱水抽出物(製造例5) 0.1
3.カラギーナン 2.0
4.ゼラチン 1.0
5.砂糖 28.5
6.精製水 68.3
<製造方法>
成分1~6を混合し、加熱しながら煮詰め、ゼリーの型に流し込み、冷却する。
<用法>
1日当り1個(100g)を摂取する。
【0048】
処方例7 軟カプセル剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3) 10.0
2.黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6) 10.0
3.赤霊芝の熱水処理物(比較例1) 5.0
4.黒霊芝の熱水抽出物(比較例2) 5.0
5.米胚芽油 60.0
6.ミツロウ 7.0
7.ビタミンE 3.0
<製造方法>
成分1~7を混合し、ゼラチン、グリセリン、カラメル色素で構成される被膜に、250mg充填し、乾燥後、軟カプセル剤を得る。
<用法>
1日当り3粒摂取する。
【実施例3】
【0049】
試験例1 血管内皮細胞におけるICAM1(細胞接着分子)発現抑制作用
血管内皮細胞HUVECを、培地(Humedia-EG2)にて培養し、ICAM1の発現を亢進させる物質として、7-ケトコレステロール10μg/mLを添加した。赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)、赤霊芝の熱水抽出物(比較例1)、黒霊芝の熱水抽出物(比較例2)、赤霊芝の熱水抽出物と黒霊芝の熱水抽出物の混合物(比較例3)を各々1mg/mLで添加し、24時間培養後、リアルタイムPCR法によるICAM1の遺伝子発現解析を行った。
【0050】
ICAM1用のプライマーセット
CCGGTATGAGATTGTCATCATCA(配列番号1)
GGCCTGCAGTGCCCATTATGA(配列番号2)
【0051】
試験例1の結果を表1に示した。赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、血管内皮細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用を示した。
【0052】
赤霊芝の熱水抽出物(比較例1)、黒霊芝の熱水抽出物(比較例2)、赤霊芝の熱水抽出物と黒霊芝の熱水抽出物の混合物(比較例3)においても、血管内皮細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用は認められたが、亜臨界水処理の有無で比較すると、赤霊芝、黒霊芝、赤霊芝と黒霊芝の混合物のいずれも、亜臨界水処理をすることで、血管内皮細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用が、著しく高くなることが示された。
【0053】
また、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)と比較すると、極めて優れた効果を有していることが判った。
【0054】
【0055】
なお、製造例7は、製造例3と製造例6の1:1混合物であるが、混合割合を1:9から9:1の範囲の任意の割合とした場合にも、血管内皮細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用が認められた。また、亜臨界水処理物の50%エタノール抽出物(製造例8、製造例9)についても同様に試験を行ったところ、血管内皮細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用が認められた。
【0056】
試験例2 単球接着抑制作用
血管内皮細胞HUVECを、培地(Humedia-EG2)にて培養し、単球接着を亢進させる物質として、7-ケトコレステロール10μg/mLを添加した。赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)、赤霊芝の熱水抽出物(比較例1)、黒霊芝の熱水抽出物(比較例2)、赤霊芝の熱水抽出物と黒霊芝の熱水抽出物の混合物(比較例3)を各々1mg/mLで添加し、24時間培養後、単球細胞THP-1を添加し、接着した単球の数をカウントした。
【0057】
試験例2の結果を表2に示した。赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、単球接着抑制作用を示した。
【0058】
赤霊芝の熱水抽出物(比較例1)、黒霊芝の熱水抽出物(比較例2)、赤霊芝の熱水抽出物と黒霊芝の熱水抽出物の混合物(比較例3)においても、単球接着抑制作用は認められたが、亜臨界水処理の有無で比較すると、赤霊芝、黒霊芝、赤霊芝と黒霊芝の混合物のいずれも、亜臨界水処理をすることで、単球接着抑制作用が、著しく高くなることが示された。
【0059】
また、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)と比較すると、極めて優れた効果を有していることが判った。
【0060】
【0061】
なお、製造例7は、製造例3と製造例6の1:1混合物であるが、混合割合を1:9から9:1の範囲の任意の割合とした場合にも、単球接着抑制作用が認められた。また、亜臨界水処理物の50%エタノール抽出物(製造例8、製造例9)についても同様に試験を行ったところ、単球接着抑制作用が認められた。
【0062】
試験例3 肝臓細胞におけるICAM1(細胞接着分子)発現抑制作用
肝臓細胞HepG2を、10%牛胎児血清を含むMEM培地にて培養した。赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)、赤霊芝の熱水抽出物(比較例1)、黒霊芝の熱水抽出物(比較例2)、赤霊芝の熱水抽出物と黒霊芝の熱水抽出物の混合物(比較例3)を各々1mg/mLで添加し、24時間培養後、リアルタイムPCR法によるICAM1の遺伝子発現解析を行った。
【0063】
試験例3の結果を表3に示した。赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、肝臓細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用を示した。
【0064】
赤霊芝の熱水抽出物(比較例1)、黒霊芝の熱水抽出物(比較例2)、赤霊芝の熱水抽出物と黒霊芝の熱水抽出物の混合物(比較例3)においても、ICAM1の遺伝子発現抑制作用は認められたが、亜臨界水処理の有無で比較すると、赤霊芝、黒霊芝、赤霊芝と黒霊芝の混合物のいずれも、亜臨界水処理をすることで、肝臓細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用が、著しく高くなることが示された。
【0065】
また、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、赤霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例3)、黒霊芝の亜臨界水処理物(処理条件3)の熱水抽出物(製造例6)と比較すると、極めて優れた効果を有していることが判った。
【0066】
【0067】
なお、製造例7は、製造例3と製造例6の1:1混合物であるが、混合割合を1:9から9:1の範囲の任意の割合とした場合にも、肝臓細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用が認められた。また、亜臨界水処理物の50%エタノール抽出物(製造例8、製造例9)についても同様に試験を行ったところ、肝臓細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用が認められた。以上、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物、黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物において、極めて優れた肝臓細胞におけるICAM1の遺伝子発現抑制作用が認められ、肝炎を予防する作用が示された。
【0068】
試験例4 細胞接着分子発現抑制作用
ApoE(Apolipoprotein E)欠損マウスに、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)を90日間摂取させた後、大動脈を採取し、リアルタイムPCR法によるICAM1、VCAM1の遺伝子発現解析を行った。また、大動脈基部の凍結切片を作成し、オイルレッド染色により、大動脈基部の脂質蓄積抑制作用を検討した。
【0069】
ICAM1用のプライマーセット
GGAGGTGGCGGGAAAGTT(配列番号3)
TCCAGCCGAGGACCATACAG(配列番号4)
VCAM1用のプライマーセット
GGAGGTCTACTCATTCCCTG(配列番号5)
AAGGGATACACATTAGGGACTG(配列番号6)
【0070】
表4に示す様に、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、大動脈における細胞接着分子(ICAM1、VCAM1)の遺伝子発現抑制作用を示した。
【0071】
【0072】
また、表5に示す様に、赤霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物と黒霊芝の亜臨界水処理物の熱水抽出物の混合物(製造例7)は、大動脈基部における脂質の蓄積抑制作用を示した。
【0073】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のマンネンタケの亜臨界水処理物又はその抽出物は、細胞接着分子(ICAM1)の遺伝子発現抑制作用、単球の接着抑制作用による優れた血管内皮機能改善作用を示した。細胞接着分子(ICAM1)の抑制作用は、動脈硬化、急性上気道炎、リウマチ、ウイルス性肝炎、アレルギー性疾患等、様々な疾患の治療、改善及び予防するための医薬品、医薬部外品、食品として幅広く利用できる。また、血管内皮細胞あるいは肝臓細胞のin vitroでの細胞培養における、ICAM1産生抑制方法として利用できる。
【配列表】