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  • 特許-打ち込み式ファスナピン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】打ち込み式ファスナピン
(51)【国際特許分類】
   F16B 15/00 20060101AFI20240731BHJP
   E04B 1/48 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F16B15/00 D
F16B15/00 B
E04B1/48 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020162891
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055456
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000110789
【氏名又は名称】日本パワーファスニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】土肥 雄治
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-051153(JP,A)
【文献】特開2006-329309(JP,A)
【文献】特開2002-339926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 15/00
E04B 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板製のワークを金属板製又はコンクリート製の厚肉基材に取付けるのに好適な打ち込み式ファスナピンであって、
軸とその基端に設けた頭とから成り、
前記軸は、前記頭に連続したストレート部と、丸みを帯びた先端を有するテーパ状又は砲弾状の第1窄まり部と、前記第1窄まり部とストレート部との間に位置したテーパ状の第2窄まり部とを有して、前記第1窄まり部と第2窄まり部とは滑らかに連続しており、
記第1窄まり部の長さをL1、前記第2窄まり部の長さをL2、前記ストレート部の直径をDとしたとき、L1はDの約1~1.5倍の範囲、L2はL1の約1~2.5倍、L1+L2はDの約2~5倍の範囲になるように設定されており
更に、前記ストレート部の長さはLl+L2よりも短かくて、
前記第1窄まり部の全体と前記第2窄まり部の少なくとも一部が前記厚肉基材に進入して、前記ストレート部は、前記ワークに部分的に進入するか又は全体が前記ワークの外側に露出するように設定されている、
打ち込み式ファスナピン。
【請求項2】
前記L1は、前記Dの約1~1.3倍の範囲に設定されている、
請求項1に記載した打ち込み式ファスナピン。
【請求項3】
前記ストレート部の長さは、前記第2窄まり部の長さL2よりも小さい寸法に設定されている、
請求項1に記載した打ち込み式ファスナピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属製やコンクリート製の厚肉基材に金属製等のワークを固定することに使用する打ち込み式のファスナピン(鋲)に関するものである。ファスナピンの打ち込み工具としては、火薬銃方式や空圧式方式もあるが、ガス燃焼式の工具がパワーと簡便性とにおいて優れているといえる。
【背景技術】
【0002】
例えば建築分野において、鋼板製の薄板製部材を鋼製基材に取付ける(固定する)ことが行われている。その一例として、鉄骨コンクリート構造の中高層建物における床スラブの施工態様として、断面凹凸形のデッキプレート(折り板)をH型鋼製の梁材に固定して、デッキプレートの上にコンクリート層を打設することが行われている。
【0003】
H型鋼にデッキプレートを固定する方法としては一般に溶接(スポット溶接の一種である焼き抜き栓溶接)が行われているが、これは専用の溶接機が必要でかつ熟練した技術が必要であるため作業性が悪いのみならず、溶接時に発生した火花によって火災が発生するおそれがあるという問題があった。そこで、打ち込み式のピンによってワークを基材に固定することが行われている。また、間仕切用枠材をコンクリートの躯体にピンで固定することも従来から行われている。
【0004】
例えば、金属製基材にワークを固定することに使用するピンの例が特許文献1,2に開示されており、コンクリート製基材にワークを固定することに使用するピンの例が特許文献3に開示されている。このうち特許文献3では、軸は、頭と連続したストレート部と、先端を構成する砲弾状部と、砲弾状部とストレート部との間に位置したテーパ状部で構成されており、砲弾状部とテーパ状部は略同じ長さになっていると共に、ストレート部の直径(外径)の約2倍に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-194379号公報
【文献】特開2006-250231号公報
【文献】特開2006-329309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のピンは、金属製ワーク基材への締結に適したプロフィールになっており、特許文献3のピンは、コンクリート製基材へのワークの固定に適したプロフィールになっている。
【0007】
本願発明は、これら特許文献1~3を参考にしつつ、基材への食い込み性の向上などを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、金属板製のワークを金属板製又はコンクリート製の厚肉基材に取付けるのに好適な打ち込み式ファスナピンに関するものであり、軸とその基端に設けた頭とからなっている。
【0009】
そして、軸の形態について各請求項で特定している。このうち請求項1の発明では、
「前記軸は、前記頭に連続したストレート部と、丸みを帯びた先端を有するテーパ状又は砲弾状の第1窄まり部と、前記第1窄まり部とストレート部との間に位置したテーパ状の第2窄まり部とを有して、前記第1窄まり部と第2窄まり部とは滑らかに連続しており、
記第1窄まり部の長さをL1、前記第2窄まり部の長さをL2、前記ストレート部の直径をDとしたとき、L1はDの約1~1.5倍の範囲、L2はL1の約1~2.5倍、L1+L2はDの約2~5倍の範囲になるように設定されており
更に、前記ストレート部の長さはLl+L2よりも短かくて、
前記第1窄まり部の全体と前記第2窄まり部の少なくとも一部が前記厚肉基材に進入して、前記ストレート部は、前記ワークに部分的に進入するか又は全体が前記ワークの外側に露出するように設定されている
という構成になっている。
【0010】
請求項1の展開例として、請求項2では、「前記L1は、前記Dの約1~1.3倍の範囲に設定されている」という構成を採用し、請求項3では、「前記ストレート部の長さは、前記第2窄まり部の長さL2よりも小さい寸法に設定されている」という構成を採用している。
【発明の効果】
【0011】
さて、本願発明において、第1窄まり部と第2窄まり部とは全体として窄まり部を構成しており、これが基材に食い込むが、第1窄まり部の長さが短か過ぎると、第1窄まり部の広がり角度が大きくなり過ぎて基材への打ち込み抵抗が大きくなり、結果として基材への進入が不完全になりやすい一方、第1窄まり部の長さが長過ぎると、軸方向の圧縮強度が低下して座屈変形や曲がり変形が発生しやすくなる。
【0012】
この点、本願発明のように、第1窄まり部の長さL1をストレート部の直径D1の約1~1.5倍に設定すると、第1窄まり部が必要な強度を保持しつつ基材に容易に進入できる角度になって、第1窄まり部を、座屈変形や曲がり変形のような変形を防止しつつ、基材にスムースに進入させることができる。
【0013】
また、窄まり部は第1窄まり部と第2窄まり部との2段階になっているため、第1窄まり部によって形成された穴が第2窄まり部によって押し広げられることになるが、第2窄まり部の広がり角度が第1窄まり部の広がり角度よりも小さいため、第2窄まり部の箇所が基材に進入しやすくなって第2窄まり部の進入深さが大きくなり、その結果、ファスナピンと基材との接触面積を大きくして引き抜き抵抗を増大できる。
【0014】
そして、第1窄まり部が第2窄まり部よりも長過ぎると、基材に対する第2窄まり部の進入深さ(或いは接触面積)を大きくできずに高い引き抜き抵抗を確保し難くなり、逆に、第2窄まり部の長さが第1窄まり部の長さに比べて長すぎると、座屈変形しやすくなる。
【0015】
これに対して、本願発明のように、第2窄まり部の長さを第1窄まり部の長さの1~2.5倍に設定すると、第1窄まり部及び第2窄まり部の広がり角度と長さとをバランスさせて、座屈変形を抑制しつつ基材に対するファスナピンの打ち込み深さ(ファスナピンと基材との接触面積)をできるだけ大きくすることができ、その結果、高い引き抜き抵抗を確保できる。なお、鋼材用やコンクリート用のファスナピンの場合、第2窄まり部の長さは第1窄まり部の長さの1~2倍に設定するのが好適である。
【0016】
更に、打ち込みに際してのファスナピンの強度(特に座屈強度)は、窄まり部の全体の長さにも依存しており、ストレート部の直径との関係で、窄まり部が長すぎると強度が低下し、短か過ぎると打ち込み深さが不足して引き抜き抵抗が低下するおそれがあるが、本願発明のように、窄まり部の全体の長さをストレート部の直径の約2~5倍に設定すると、座屈が生じない強度を確保しつつ窄まり部に必要な長さを保持させて、基材への打ち込み深さをできるだけ大きくしてファスナピンと基材との接触面積を増大させ、高い引き抜き抵抗を確保できる。
【0017】
結局、本願発明では、軸の各部位のプロフィールと寸法の特定による相乗効果により、ファスナピンの全体の強度を確保しつつ基材との間に高い摩擦抵抗を確保して、高い締結強度を実現することができる。
【0018】
なお、型鋼のような金属とコンクリートとを比べると、打ち込み抵抗は金属の方が遥かに大きいため、金属製基材に打ち込む場合は、基材には第2窄まり部の中途部まで進入することが多いのに対して、コンクリートに打ち込む場合は、ストレート部がコンクリートに進入することが多いと云える。いずれにおいても、本願発明では上記のように必要な強度を確保しつつ高い引き抜き抵抗を実現できる。
【0019】
請求項2のように、第1窄まり部の長さL1をストレート部の直径Dの1~1.3倍程度に設定すると、基材に対する第1窄まり部の進入性と強度とをバランスさせることができて、好適であった。
【0020】
ストレート部の長さは、ワークの厚さ等に応じて任意に設定することができる。H型鋼のような金属製の基材に使用する場合は、請求項3のようにストレート部を短い長さに設定すると、ストレート部の座屈を防止できて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)はファスナピンの単体の図、(B)~(D)は使用状態を示す図である。
図2】(A)は第2実施形態のファスナピンのみを表示した図、(B)は第2実施形態の使用状態の図、(C)は第3実施形態のファスナピンのみを表示した図、(D)は第3実施形態の使用状態の図である。
図3】(A)は第1参考例のファスナピンのみを表示した図、(B)は第1参考例の使用状態の図である。
図4】(A)は第2参考例のファスナピンのみを表示した図、(B)は第2参考例の使用状態の図である。
図5】(A)は第3参考例のファスナピンのみを表示した図、(B)は第3参考例の使用状態の図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本願発明の実施形態及び参考例を図面に基づいて説明する。
【0023】
(1).第1実施形態の構造
図1では第1実施形態を示している。第1実施形態のファスナピンは、例えば、薄金属板製のワーク9をH型鋼のような金属製基材10に固定することに使用される。
【0024】
ファスナピンは焼入れされた鋼材から成っており、円形の軸1とその基端に設けた円板状の頭2とを備えている。このファスナピンは、複数本(例えば10本)を並列に並べた状態で樹脂製ストリップや金属板連結座金のような連結具に装着されて、ガス燃焼式等の打ち込み工具のマガジンに装填して使用され、ロッド(ハンマーブレード)によって1本ずつ打ち出される。従って、ストリップ及び連結座金は、1本のファスナピンを保持する単位保持部が並べられた形態になっており、隣り合った単位保持部は引き千切り可能なブリッジ部を介して連結されている(必要なら特許文献2参照)。この点は、他の実施形態及び参考例にも共通している。
【0025】
ファスナピンを樹脂製ストリップに装着している場合は、1本のファスナピンがストリップの単位保持部と一緒に打ち出されるが、樹脂製ストリップの場合は、単位保持部は、ファスナピンの頭と施工面との間に挟圧されて割れて飛散する場合と、飛散することなくワッシャ状又はスペーサ状の状態でファスナピンに装着されたままになる場合とがある。保持具が金属板製である場合は、単位保持部はファスナピンに取り付いたままに残って座金として機能することが普通である。
【0026】
軸1は、頭2の座面に連続して丸みを帯びて縮径した隅肉状部3と、隅肉状部3に連続したストレート部4と、先端5に丸みを持たせた第1窄まり部6と、ストレート部4と第1窄まり部6との間に介在した第2窄まり部7とで構成されている。隅肉状部3は部材の押さえ機能を発揮するので頭2の一部と見ることも可能であるが、本願では軸1の一部としている。
【0027】
第1窄まり部6と第2窄まり部7とは、軸心を含む平面で切断した縦断面視で外形が直線であるテーパ状になっており、第1窄まり部6と第2窄まり部7とは滑らかに連続している。第2窄まり部7とストレート部4も同様である。従って、第1窄まり部6と第2窄まり部7との境界部、及び第2窄まり部7とストレート部4との境界部は、滑らかな湾曲部になっている。
【0028】
従って、厳密には、軸1は、第1窄まり部6と第1湾曲部と第2窄まり部7と第2湾曲部とストレート部4と隅肉状部3とで構成されていると云うべきかもしれないが、湾曲部も窄まり部の一部であるので、本願では、湾曲部は独立した要素としては捉えずに、窄まり部6,7やストレート部4の一部として捉えている。
【0029】
ストレート部4の直径(外径)をD、第1窄まり部6の長さをL1、第2窄まり部7の長さをL2、隅肉状部3ストレート部4との長さの和をLSとして、L1はDよりも僅かに大きくて、L2はL1よりは大きくて2.5×L1よりは短かく(L1の約1.5倍程度)、LSはL1よりも大きくてL2よりは小さい寸法になっている。また、両窄まり部6,7の全体の長さであるL1+L2は、ストレート部4の直径Dの略3倍になっている。第1窄まり部6の広がり角度θ1は25°程度、第2窄まり部7の広がり角度θ2は10°程度になっている。Lsは隅肉部3の長さを含んでいるため、ストレート部4の長さはLsよりも短くなっている。
【0030】
なお、実寸としては、鋼材用の場合、Dは3mm程度、軸1の全長は14mm程度に設定できる。この場合、L1は3mm強、L2は6mm弱で、窄まり部6,7の全長(L1+L2)は9mm程度、LSは約5mmになっている。頭2の厚さは1.5mm程度である。Dについては、既述の3mmの他に4mmや3.6mmを規格化していることも多い。
【0031】
(2).作用
図1の(B)~(D)において打ち込み工程を表示している。すなわち、既に述べたように、ファスナピンは、ガス燃焼等の打ち込み工具により、連結具の単位保持体8と一緒に打ち出される。本実施形態では、打ち込み後も単位保持体8はファスナピンに取り付いたままに残っている。従って、単位保持体8は座金(ワッシャ)として機能しており、ワーク9は、単位保持体8を介して頭2によって基材10に押さえ固定されている。また、単位保持体8は、打ち込み時の衝撃を緩和するクッション材としても機能している。
【0032】
本実施形態では、第2窄まり部7の全体は基材10に進入しておらず、第2窄まり部7の一部は基材10の外側にはみ出ているが、ファスナピンの材質や基材10の材質によっては、第2窄まり部7の全体を基材10に進入させることも可能である。逆に、第2窄まり部7の半分程度しか基材10に進入していない態様や、第2窄まり部7の一部がワーク9の表面の外側に位置している態様も有り得る。
【0033】
本実施形態おいて、まず、第1窄まり部6の先端5が丸みを帯びているため、打込みに際して先端5が潰れ変形することはなくて、基材10への進入性に優れている(基材10の肉を押し広げる効果に優れている。)。
【0034】
また、第1窄まり部6の広がり角度θ1が大き過ぎると打ち込み抵抗が増大し、広がり角度θ1が小さ過ぎると強度が低下して座屈等の変形を招来しやすいが、本実施形態では、第1窄まり部6の長さL1はストレート部4の直径Dよりも僅かに大きい寸法に設定されて、第1窄まり部6の広がり角度θ1は25°程度になっているため、座屈を生じない強度を保持しつつ打ち込み抵抗をできるだけ抑制できる。
【0035】
そして、第1窄まり部6で形成された穴が第2窄まり部7によって押し広げられるが、本実施形態では、第2窄まり部7の長さL2は第1窄まり部6の長さL1の1.5倍程度あって、第2窄まり部7の広がり角度θ2は10°程度になっているため、第2窄まり部7は、広がり角度θ2と長さL2とのバランスが良くて基材10への進入性に優れて いる。これにより、軸1と基材10との接触面積をできるだけ大きくして基材10との間に高い摩擦を保持することができ、その結果、高い締結強度を確保できる。
【0036】
第1窄まり部6と第2窄まり部7との全長(L1+L2)も重要な要素である。すなわち、全長(L1+L2)が短か過ぎると、打ち込みに際してのスラスト方向の抵抗が大きくなって打ち込みが不完全になるおそれがあり、逆に、全長(L1+L2)が長過ぎると、全体として細くなるため強度が低下して座屈変形しやすくなる。
【0037】
この点、本実施形態のように窄まり部6,7の全長(L1+L2)がストレート部4の直径Dの3倍程度であると、窄まり部6,7を過不足のない長さと成して、座屈を生じない強度を確保しつつ、基材10との間に必要な摩擦を保持できる程度の深さに打ち込むことができる。
【0038】
なお、金属製の基材10に打ち込まれるファスナピンの場合、ストレート部4にも大きな荷重が作用するため、ストレート部4の長さはできるだけ短いのが好ましい。この点、実施形態では、隅肉状部3を除いた本来のストレート部4はその直径Dと同じ程度の長さであるため、座屈変形を防止できる。
【0039】
(3).他の実施形態
図2(A)(B)に示す第2実施形態では、第1窄まり部6と第2窄まり部7との関係は第1実施形態とほぼ同じであるが、ストレート部4の長さ(≒Ls)は第1実施形態よりも長くなっている。すなわち、Lsは、L2よりも長くてL1+L2よりも短くなっている。従って、ワーク9の厚さが厚い場合や、連結具の単位保持体8の厚さが厚い場合に好適である。図2(B)において使用状態を示しているが、基材10はコンクリートやレンガなどであってもよい。なお、Dは3mm、軸1の全長は17.5mm(ファスナピンの全長は約19mm)程度になっている。
【0040】
図2(C)(D)に示す第3実施形態は、コンクリート製の基材10に打ち込まれるファスナピンに適用している。この実施形態では、第1窄まり部6は正面視や側面視で緩く湾曲した砲弾状になっており、また、第2窄まり部7の長さL2は第1窄まり部6の長さL1の2.5倍程度になっている。従って窄まり部に占める第2窄まり部7の範囲が長くなっている。窄まり部6,7の全長L1+L2は、ストレート部4の直径Dの約3.5倍になっている。実寸は、ストレート部4の直径Dを3mm、軸1の全長を20.5mm(ファスナピンの全長が約22mm)程度に設定できる。ストレート部4のみの長さは、L1+L2よりも短くなっている。
【0041】
図3に示す第1参考例は、断熱材12をデッキプレート等の金属製基材10に固定するファスナピンに適用している。断熱材12には薄い鋼板13が重なっている。この参考例では、第1窄まり部6はテーパ状に形成されており、その長さL1はストレート部4の直径Dよりも少し長い長さになっている。第2窄まり部7の長さL2は第1窄まり部6の長さL1の約1.4倍になっている。窄まり部の全長(L1+L2)は、ストレート部4の直径Dの約3倍になっている。
【0042】
図4に示す第2参考例は、防水シート14及び断熱材12をコンクリート製基材(コンクリートスラブ)10に固定するファスナピンに適用している。防水シート14は、ワッシャ15を介して押さえられている(なお、ファスナピンの頭2が防水シート14で覆われる場合もある。)。この例の窄まり部6,7は第3実施形態と似ており、第1窄まり部6は砲弾状になっている。また、第2窄まり部7の長さL2は第1窄まり部6の長さL1の約1.5倍になっている。窄まり部の全長(L1+L2)は、ストレート部4の直径Dの約3倍になっている。
【0043】
図5に示す第3参考例は、金具16をアスファルト製基材10に固定するファスナピンに適用している。金具16には、予め取り付け穴が空いている。基材10はアスファルトなので、全長が長くても問題なく打ち込みできる。窄まり部の形態は第2参考例と似ており、L2はL1の1.5倍以上、窄まり部の全長(L1+L2)は、ストレート部4の直径Dの約3.5倍になっている。敢えて述べるまでもないが、第3参考例のファスナピンは、コンクリート製基材にも適用できる。
【0044】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、第1窄まり部をテーパ状に形成して、第2窄まり部を砲弾状の湾曲面に形成することも可能である。頭と軸(ストレート部)との境界には必ずしも隅肉状部を形成する必要はない。
【0045】
多数本のファスナピンを並列状に連結する場合、帯状等のテープ状材に装着することも可能である。この場合は、ファスナピンの頭はテープ状材を突き抜けるので、ワークはファスナピンの頭又は軸で直接押さえられる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明は、打ち込み式ファスナピンに具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 軸
2 頭
3 隅肉状部
4 ストレート部
5 先端
6 第1窄まり部
7 第2窄まり部
8 連結具を構成する単位保持体
9 ワーク
10 基材
図1
図2
図3
図4
図5