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特許7530093動物用食器、及び、動物用食器の使用方法
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  • 特許-動物用食器、及び、動物用食器の使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】動物用食器、及び、動物用食器の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 5/01 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A01K5/01 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020178168
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069158
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】502318216
【氏名又は名称】株式会社能作
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】能作 克治
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3139803(JP,U)
【文献】実開昭63-063364(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0211190(US,A1)
【文献】登録実用新案第3222766(JP,U)
【文献】特開2009-174003(JP,A)
【文献】特開昭56-123341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 5/00 - 9/00
A01K 39/00 - 39/06
A47G 19/00 - 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
97wt%以上の錫を含む合金により形成された食器本体と、
前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第1の側壁部と、
前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第2の側壁部と
を有し、
第1の側壁部は、第2の側壁部より高さが高く、かつ、互いに対向する位置に設けられる
動物用食器。
【請求項2】
錫を含む合金は、99wt%以上の錫を含み、
前記第1の側壁部は、前記食器本体の短手方向に位置し、それぞれ対向して配置され、
前記第2の側壁部は、前記食器本体の長手方向に位置し、それぞれ対向して配置されている
請求項1に記載の動物用食器。
【請求項3】
前記第2の側壁部は、互い高さが異なる
請求項2に記載の動物用食器。
【請求項4】
前記食器本体に動物の口吻部を収めた場合に、前記第1の側壁部が動物の口吻部と耳部との間に位置している
請求項3に記載の動物用食器。
【請求項5】
手の力で変形可能であり、かつ、変形後の形状を維持できる金属で形成された食器本体と、
前記食器本体に含まれ、上記金属により形成された、一対の第1の側壁部と、
前記食器本体に含まれ、上記金属により形成された、一対の第2の側壁部と
を有し、
第1の側壁部は、第2の側壁部より高さが高く、かつ、互いに対向する位置に設けられる
動物用食器。
【請求項6】
97wt%以上の錫を含む合金により形成された食器本体と、前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第1の側壁部と、前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第2の側壁部とを有し、第1の側壁部は、第2の側壁部より高さが高く、かつ、互いに対向する位置に設けられる動物用食器の使用方法において、
動物の口吻部の大きさに合わせて、前記食器本体を変形する工程と、
動物の口吻部と耳部との間に位置にするよう、前記第1の側壁部を変形し調整する工程と
を有する
動物用食器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用食器、及び、動物用食器の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、形を長方形にし耳が長く垂れているペットの耳が食器内に入らない長さにし、さらに底部2 を波状にして餌の移動を防ぎ、側部3の高さを側部4より低くすることにより鼻の長い種類のペットの鼻が食器内の隅に残る餌を食べるとき鼻が邪魔にならないよう構成したペット用食器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3139803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、様々な動物の口吻部の大きさに合わせて形状を変更することができる動物用食器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る動物用食器は、97wt%以上の錫を含む合金により形成された食器本体と、前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第1の側壁部と、前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第2の側壁部とを有し、第1の側壁部は、第2の側壁部より高さが高く、かつ、互いに対向する位置に設けられる。
【0006】
好適には、錫を含む合金は、99wt%以上の錫を含み、前記第1の側壁部は、前記食器本体の短手方向に位置し、それぞれ対向して配置され、前記第2の側壁部は、前記食器本体の長手方向に位置し、それぞれ対向して配置されている。
【0007】
好適には、前記第2の側壁部は、互い高さが異なる。
【0008】
好適には、前記食器本体に動物の口吻部を収めた場合に、前記第1の側壁部が動物の口吻部と耳部との間に位置している。
【0009】
また、本発明に係る動物用食器は、手の力で変形可能であり、かつ、変形後の形状を維持できる金属で形成された食器本体と、前記食器本体に含まれ、上記金属により形成された、一対の第1の側壁部と、前記食器本体に含まれ、上記金属により形成された、一対の第2の側壁部とを有し、第1の側壁部は、第2の側壁部より高さが高く、かつ、互いに対向する位置に設けられる。
【0010】
また、本発明に係る動物用食器の使用方法は、97wt%以上の錫を含む合金により形成された食器本体と、前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第1の側壁部と、前記食器本体に含まれ、97wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の第2の側壁部とを有し、第1の側壁部は、第2の側壁部より高さが高く、かつ、互いに対向する位置に設けられる動物用食器の使用方法において、動物の口吻部の大きさに合わせて、前記食器本体を変形する工程と、動物の口吻部と耳部との間に位置にするよう、前記第1の側壁部を変形し調整する工程とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、様々な動物の口吻部の大きさに合わせて形状を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】動物用食器1を例示する斜視図である。
図2図1に例示した動物用食器1の正面図である。
図3図1に例示した動物用食器1の右側面図である。
図4】動物用食器1の使用方法(S10)を説明するフローチャートである。
図5】変形完了後の動物用食器1を例示する図である。
図6】餌Eを盛り付けた動物用食器1を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、動物用食器1を例示する斜視図である。
図2は、図1に例示した動物用食器1の正面図である。
図3は、図1に例示した動物用食器1の右側面図である。
図1図3に例示すように、動物用食器1は、動物の餌や飲料を入れるための食器である。動物用食器1を使用する動物とは、例えば、口吻部近傍まで垂れた耳、又は長髪である動物であり、具体的には犬又はウサギのような動物である。
動物用食器1は、手の力で変形可能であり、かつ、変形後の形状を維持できる金属で形成された食器である。ここで、手の力で変形可能であり、かつ、変形後の形状を維持できる金属とは、例えば、97wt%以上の錫を含む合金、具体的には99wt%以上の錫を含む合金である。本例の動物用食器1は、99wt%以上の錫を含む合金で形成された食器である。また、本例の動物用食器1の厚みは、例えば1.5mm以上2.5mm以下であり、本例の厚みは、2mmである。なお、本例の動物用食器1の厚みは、全体的に均一である。
動物用食器1は、食器本体10、及び側壁部20を有し、側壁部20は、第1側壁部20、及び第2側壁部22を有する。つまり、動物用食器1は、食器本体10、第1側壁部22、及び第2側壁部24を有し、これらが一体的に形成されている。
【0014】
食器本体10は、99wt%以上の錫を含む合金により形成された食器本体であり、底部15、及び側壁部20を含む。また、食器本体10の幅WOは、例えば30mm以上350mm以下である。なお、本例の動物用食器1は、例えば体高約20~28cm、体重約1~4kgの超小型犬(例えばトリプードル等)を想定した大きさであるため、食器本体10の幅WOは、具体的には55mm以上75mm以下であり、本例では66mmである。また、食器本体10の奥行きDは、例えば、45mm以上520mm以下である。なお、本例の動物用食器1は、上記超小型犬を想定した大きさであるため、食器本体10の奥行きDは、具体的には90mm以上110mm以下であり、本例では101mmである。
【0015】
側壁部20は、第1側壁部22、及び第2側壁部24を有する。第1側壁部22、及び第2側壁部24は、内壁面及び外壁面において、互いに滑らかに連続しており、かつ、底部15とも滑らかに連続している。
第1側壁部22は、99wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の側壁部分である。第1側壁部22は、食器本体10の短手方向にそれぞれ位置し、互いの内壁面が対向している。また、第1側壁部22の高さは、第2側壁部24の高さより高く形成される。第1側壁部22の高さH3は、例えば、25mm以上250mm以下である。なお、本例の動物用食器1は上記超小型犬を想定した大きさであるため、第1側壁部22の高さH3は、具体的には40mm以上60mm以下であり、本例では49.5mmである。また、第1側壁部22は、開口近傍において凸状に形成された凸状部22Aを含む。凸状部22Aは、第1側壁部22の周縁部分から中央部分にかけて凸状に形成され、山なりとなっている。これにより、手の力で第1側壁部22を部分的に変形しやすくなる。なお、第1側壁部22は、第1の側壁部の一例である。
【0016】
第2側壁部24は、99wt%以上の錫を含む合金により形成された、一対の側壁部分である。第2側壁部24は、食器本体10の長手方向にそれぞれ位置し、互いの内壁面が対向している。また、第2側壁部24の高さは、第1側壁部22の高さより低く形成される。第2側壁部24は、第2側壁部24A及び第2側壁部24Bを含み、第2側壁部24Aの高さは、第2側壁部24Bの高さより低く形成される。すなわち、第2側壁部24A及び第2側壁部24Bは、互いに高さが異なる。第2側壁部24Aの高さH1は、例えば、10mm以上150mm以下である。なお、本例の動物用食器1は、上記超小型犬を想定した大きさであるため、第2側壁部24Aの高さH1は、具体的には20mm以上40mm以下であり、本例では29mmである。また、第2側壁部24Bの高さH2は、例えば、15mm以上180mm以下である。なお、本例の動物用食器1は、上記超小型犬を想定した大きさであるため、第2側壁部24Bの高さH2は、具体的には25mm以上45mm以下であり、本例では36mmである。このように、第2側壁部24A及び第2側壁部24Bの2種の高さを備えることにより、例えば、動物の年齢や大きさに応じて、アプローチ側となる第2側壁部24の高さを適宜選択することができる。なお、第2側壁部24は、第2の側壁部の一例である。
【0017】
次に、本実施形態における動物用食器1の使用方法を説明する。
図4は、動物用食器1の使用方法(S10)を説明するフローチャートである。
図5は、変形完了後の動物用食器1を例示する図である。
図6は、餌Eを盛り付けた動物用食器1を例示する図である。
以下、図4図6を参照しながら、ペットである犬Dに餌Eを与える場合を具体例として、動物用食器1の使用方法を説明する。なお、動物用食器1の大きさは、予めペットである犬Dの大きさに合わせ選定したものとする。
図4に例示するように、ステップ100(S100)において、使用者は、ペットである犬Dの口吻部の長さ、及び、口吻部の幅に合わせて、手の力で動物用食器1の形状を適宜変形する。具体的には、図2に例示した動物用食器1における2つの第1側壁部22の内壁面側における離間距離WIを、犬Dの口吻部の幅より僅かに大きく調節する。これにより、動物用食器1は、犬Dの口吻部が収まる程度の大きさとなる。
ステップ102(S102)において、使用者は、図5に例示したように、食器本体10に犬Dの口吻部を収めた場合に、第1側壁部22が犬Dの口吻部と耳部との間に位置するよう、凸状部22Aを手の力で形状を変形し調整する。すなわち、第1側壁部22を変形し口吻部との隙間をより無くすよう調整する。これにより、犬Dの耳部が動物用食器1に入る隙間を無くすことができるため、耳部が汚れることを防止できる。
ステップ104(S104)において、使用者は、図6に例示したように、犬Dに合わせて調節した動物用食器1に餌Eを盛り付ける。盛付後、犬Dのアプローチ側に、第2側壁部24Bを向けて配置する。
このように、動物の口吻部の大きさに合わせて動物用食器1の形状を適宜変形させ調節することができる。
【0018】
以上説明したように、本実施形態における動物用食器1によれば、手の力で形状を適宜変更することができるため、様々な動物の口吻部の大きさに合わせて形状を合わせることができる。とくに、口吻部近傍まで垂れた耳をもつ犬又はウサギであれば、耳を汚さずに食事を行うことができる。また、錫合金で形成されているため、例えば、動物用食器1に注がれた飲料を抗菌することが期待でき衛生的である。
【0019】
(変形例1)
上記実施例では、99wt%以上の錫を主成分とする合金で動物用食器1を形成する場合を具体例として説明したが、これに限定するものではなく、錫と銀とを含む合金で形成してもよい。例えば、動物用食器1は、97wt%以上である錫と、3%wt以下の銀とを含む合金で形成してもよいし、99wt%以上の錫と0.5wt%以下の銀とを含む合金で形成してもよい。銀を含有させることにより、錫のみの場合に比べて硬度を向上させることができる。これにより、動物用食器1の厚みを薄くしても、手の力で変形でき、変形後の形状を維持できる程度の硬さを維持することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 動物用食器1
10 食器本体
20 側壁部
22 第1側壁部
24 第2側壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6