(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】継手及び体温調節システム
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A41D13/005
(21)【出願番号】P 2020210417
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591240984
【氏名又は名称】株式会社鎌倉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】堀江 威史
(72)【発明者】
【氏名】山坂 昇
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/173431(US,A1)
【文献】特開2019-108623(JP,A)
【文献】実開平4-105292(JP,U)
【文献】実開昭55-132580(JP,U)
【文献】実開昭53-54415(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002-13/005
F16L 39/00-39/04
F16L 27/08
F16L 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管が接続される第1接続ポートと前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有し一軸方向に延びる第1主管部と、第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有し前記第1主管部から分岐する第1分岐管部と、を有する第1本体と、
第3配管が接続される第3接続ポートと前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有し前記一軸方向に延びる第2主管部と、第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有し前記第2主管部から分岐する第2分岐管部と、を有する第2本体と、
前記第1本体および前記第2本体に支持され、このうち少なくとも一方の支持が前記一軸まわりに回転可能な軸支となっているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する第1筒体と、
前記第1連結ポートと前記第2連結ポートの双方に亘り、少なくともこれらの一方に対して前記一軸まわりに回転可能に前記第1筒体と同心的に配置され、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する第2筒体と
を具備する回転継手。
【請求項2】
請求項1に記載の回転継手であって、
前記第1本体は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第1端部に嵌合する第3筒体をさらに有し、
前記第2本体は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第2端部に嵌合する第4筒体をさらに有する
回転継手。
【請求項3】
請求項1に記載の回転継手であって、
前記第1本体は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第1端部側の外周面を支持する第1シール部材をさらに有し、
前記第2本体は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第2端部側の外周面を支持する第2シール部材をさらに有する
回転継手。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の回転継手であって、
前記第1本体は、前記第1連結ポートに配置され前記第2筒体を回転可能に支持する軸受け部材をさらに有する
回転継手。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の回転継手であって、
前記第2本体は、前記第2連結ポートと前記第2筒体の外周面との間に配置され前記第2筒体を前記第2連結ポートに対して挿抜可能に支持する係止部材をさらに有する
回転継手。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の回転継手であって、
前記第1筒体は、弾性変形可能な合成樹脂材料で構成される
回転継手。
【請求項7】
吸水用の第1配管と送水用の第2配管とを有し、流体の温度を調節する流体温度調節装置と、
第3配管と第4配管とを含む流体の循環通路を有し、着用者の体温を調節することが可能な体温調節服と、
前記第1配管と前記第3配管との間を接続し、前記第2配管と前記第4配管との間を接続する回転継手と、を具備し、
前記回転継手は、
前記第1配管が接続される第1接続ポートと前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有し一軸方向に延びる第1主管部と、前記第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有し前記第1主管部から分岐する第1分岐管部と、を有する第1本体と、
前記第3配管が接続される第3接続ポートと前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有し前記一軸方向に延びる第2主管部と、前記第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有し前記第2主管部から分岐する第2分岐管部と、を有する第2本体と、
前記第1本体および前記第2本体に支持され、このうち少なくとも一方の支持が前記一軸まわりに回転可能な軸支となっているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する第1筒体と、
前記第1連結ポートと前記第2連結ポートの双方に亘り、少なくともこれらの一方に対して前記一軸まわりに回転可能に前記第1筒体と同心的に配置され、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する第2筒体と、を有する
体温調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温調節システムで用いられる継手、及び該継手を備えた体温調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高温あるいは低温の作業環境にある屋内、または夏季あるいは冬季における屋外での作業での快適性を高めるため、冷却または加熱された流体を作業者が着用している服の内部に流通させ、作業者の体温調節を行う体温調節服が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、体温調節服に流体を送水・吸水するホースは、数メートルの長さになる場合がある。このため、ラインの作業者等は、同じ動作を繰り返すため、ホースを一方向に跨いでいるとホースにねじれが生じる。このような場合、体温調節服に取り付けられたホースの継手もねじられ、継手に接続された体温調節服内の循環通路(チューブ)の一部も局所的にねじられるため流路が潰れ、流量の低下、ひいては閉塞を招くおそれがある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、上述したねじれによる体温調節服の循環通路の流量低下および閉塞を抑制する回転継手及びこれを備えた体温調節システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る回転継手は、第1本体と、第2本体と、第1筒体と、第2筒体とを具備する。
前記第1本体は、一軸方向に延びる第1主管部と、前記第1主管部から分岐する第1分岐管部とを有する。前記第1主管部は、第1配管が接続される第1接続ポートと、前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有する。前記第1分岐管部は、第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有する。
前記第2本体は、前記一軸方向に延びる第2主管部と、前記第2主管部から分岐する第2分岐管部とを有する。前記第2主管部は、第3配管が接続される第3接続ポートと、前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有する。前記第2分岐管部は、第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有する。
前記第1筒体は、前記第1本体および前記第2本体に支持され、このうち少なくとも一方の支持が前記一軸まわりに回転可能な軸支となっているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する。
前記第2筒体は、前記第1連結ポートと前記第2連結ポートの双方に亘り、少なくともこれらの一方に対して前記一軸まわりに回転可能に前記第1筒体と同心的に配置され、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する。
【0007】
このような回転継手であれば、第1筒体および第2筒体が第1本体または第2本体に対して各々の軸周りに回転可能に構成されることから、配管のねじれによる体温調節服の循環通路の流量低下および閉塞を抑制することができる。
【0008】
前記第1本体は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第1端部に嵌合する第3筒体をさらに有し、前記第2本体は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第2端部に嵌合する第4筒体をさらに有してもよい。
【0009】
あるいは、前記第1本体は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第1端部側の外周面を支持する第1シール部材をさらに有し、前記第2本体は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1筒体の前記第2端部側の外周面を支持する第2シール部材をさらに有してもよい。
【0010】
前記第1本体は、前記第1連結ポートに配置され前記第2筒体を回転可能に支持する軸受け部材をさらに有してもよい。
【0011】
前記第2本体は、前記第2連結ポートと前記第2筒体の外周面との間に配置され前記第2筒体を前記第2連結ポートに対して挿抜可能に支持する係止部材をさらに有してもよい。
【0012】
前記第1筒体は、弾性変形可能な合成樹脂材料で構成されてもよい。
【0013】
本発明の一形態に係る体温調節システムは、流体温度調節装置と、体温調節服と、回転継手とを具備する。
前記流体温度調節装置は、吸水用の第1配管と送水用の第2配管とを有し、流体の温度を調節する。
前記体温調節服は、第3配管と第4配管とを含む流体の循環通路を有し、着用者の体温を調節することが可能に構成される。
前記回転継手は、前記第1配管と前記第3配管との間を接続し、前記第2配管と前記第4配管との間を接続する。
前記回転継手は、第1本体と、第2本体と、第1筒体と、第2筒体とを具備する。
前記第1本体は、一軸方向に延びる第1主管部と、前記第1主管部から分岐する第1分岐管部とを有する。前記第1主管部は、前記第1配管が接続される第1接続ポートと、前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有する。前記第1分岐管部は、前記第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有する。
前記第2本体は、前記一軸方向に延びる第2主管部と、前記第2主管部から分岐する第2分岐管部とを有する。前記第2主管部は、前記第3配管が接続される第3接続ポートと、前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有する。前記第2分岐管部は、前記第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有する。
前記第1筒体は、前記第1本体および前記第2本体に支持され、このうち少なくとも一方の支持が前記一軸まわりに回転可能な軸支となっているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する。
前記第2筒体は、前記第1連結ポートと前記第2連結ポートの双方に亘り、少なくともこれらの一方に対して前記一軸まわりに回転可能に前記第1筒体と同心的に配置され、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配管のねじれによる体温調節服の循環通路の流量低下および閉塞を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る継手を含む体温調節システムの概要を示す作業者の側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る継手を示す概略断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る作用の一例を表す概略図である。
【
図5】第2実施形態に係る継手を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。また、以下に示す数値は例示であり、この例に限らない。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る継手を含む体温調節システムの概要を示す作業者の側面図である。
【0018】
[体温調節システム]
本実施形態の体温調節システム1は、体温調節服100と、流体温度調節装置200と、体温調節服100と流体温度調節装置200とを繋ぐ継手40とを備える。
【0019】
体温調節服100は、作業者5が着用可能な適宜の形態の衣服であって、作業者5の体温を調節(冷却又は加温)することが可能な流体(例えば、水)が循環する循環通路15を有する。流体温度調節装置200においては、体温調節服100の内部を循環する流体の温度を調節する冷熱回路が筐体30に内蔵されている。作業者5は、特に限定されず、典型的には、溶接現場や土木現場等の作業従事者が該当する。
【0020】
体温調節システム1においては、例えば、流体温度調節装置200が地面、床面等に置かれる。流体温度調節装置200と、体温調節服100内の循環通路15から体温調節服100外に延在した連結通路部151、152とは、継手40を介して、配管(吸水配管221、送水配管222)によって接続されている。ここで、連結通路部151、152は、総括的には循環通路15の一部である。配管は、典型的には、樹脂製のフレキシブルなチューブである。作業者5は、配管を体温調節服100から引き下げながら、地面または床面を移動して作業を行う。配管(吸水配管221、送水配管222)は、循環通路15に流体を流入させたり循環通路15から流出する流体を吸水したりする。
【0021】
[体温調節服]
図2は、体温調節システムの概略構成図である。
【0022】
体温調節服100は、本体部10と、本体部10の内部に配設され流体が循環する循環通路15とを有する。流体温度調節装置200によって循環通路15に温度が調節された流体を循環させることにより、体温調節服100の温度が調節される。
【0023】
本体部10は、着用者である作業者5の体型に合わせて作製された胴部11と、袖部12と、襟部13とを有する。本体部10は、例えば、柔軟な布地を所定の位置で縫製した積層体で構成される。また、胴部11には、典型的には、右前身頃と左前身頃との合わせ目に閉止手段としてのスライドファスナ(不図示)が設けられている。本体部10には、循環通路15を形成するチューブが蛇行するように配置され、その両脇を縫製することにより当該チューブが固定されている。
【0024】
継手40は、配管(吸水配管221、送水配管222)と連結通路部151、152とを連結可能にする。例えば、継手40を介して、吸水配管221は、連結通路部151と連結可能であり、送水配管222は、連結通路部152と連結可能になっている。
【0025】
循環通路15は、胴部11、袖部12、及び襟部13の各部位に流体が循環するように構成される。例えば、連結通路部151が入水通路、連結通路部152が排水通路だとすると、連結通路部151から入水した冷却水(又は加温水)が本体部10の各部位に巡回し、連結通路部152へ導かれる。循環通路15は、1本の流路で形成される場合に限られず、適宜の位置に形成された分流路や合流路等を含んでいてもよい。また、循環通路15は、継手40を介して流体温度調節装置200の流体回路22へ液的に接続される。
【0026】
[流体温度調節装置]
流体温度調節装置200は、回路ユニット20と、回路ユニット20を収容する筐体30とを有する。流体温度調節装置200は、体温調節服100に配設された循環通路15に配管(吸水配管221、送水配管222)を介して流体を循環させ、体温調節服100内の流体の温度を調節する。
【0027】
回路ユニット20は、冷熱回路21と、流体回路22と、回路ユニット20を制御する制御部23とを有する。
【0028】
冷熱回路21は、冷媒を作動流体として用いる冷凍サイクル回路で構成され、圧縮機211と、凝縮器212と、キャピラリーチューブ213と、蒸発器214とを有する。以下、蒸発器214を熱交換器として流体回路22内の流体(水)を所定温度に冷却する場合について説明する。なお、蒸発器214を凝縮器として機能させるとともに、凝縮器212を蒸発器として機能させるようにすれば、流体回路22内の流体を所定温度に加熱することができる。
【0029】
圧縮機211は、蒸発器214から供給される気体冷媒を圧縮して凝縮器212に冷媒を吐出する。凝縮器212は、圧縮機211から吐出された高温高圧の冷媒ガスを凝縮して液化させる。凝縮器212には必要に応じて凝縮効率を促進させるファン215が付設される。凝縮器212で凝縮された冷媒は、キャピラリーチューブ213で断熱膨張し、蒸発器214で蒸発(気化)する。キャピラリーチューブ213に代えて、電子膨張弁等が採用されてもよい。
【0030】
流体回路22は、吸水配管221と、送水配管222とを有する。流体回路22はさらに、吸水配管221を介して導入された流体(以下、冷却水ともいう)を貯留するタンク223と、タンク223内の冷却水を蒸発器214へ向けて吐出するポンプ224とを有する。ポンプ224から吐出された冷却水は、蒸発器214において、冷媒の蒸発潜熱に相当する熱量を奪われることで冷却される。蒸発器214において所定温度に冷却された冷却水は、送水配管222を介して継手40へ送出される。
【0031】
制御部23は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータで構成される。制御部23は、圧縮機211、ファン215、ポンプ224等の駆動を制御する。
【0032】
筐体30は、典型的には金属材料で構成されるが、合成樹脂材料、金属材料と合成樹脂材料との複合体等で構成されてもよい。筐体30は、図示せずとも、入力操作部、表示部等が設けられる。入力操作部は、電源スイッチ、温度設定部等の操作キーを含む。表示部は、入力操作部の入力状態を表示する液晶ディスプレイ等の適宜の表示素子で構成される。表示部の表示制御は、例えば、制御部23において実行される。あるいは、図示しないリモートコントローラを介して入力操作を行うことができてもよい。
【0033】
流体温度調節装置200は、回路ユニット20へ電源を供給する電源ケーブル37をさらに備える。電源ケーブル37は、筐体30の例えば側面部から外部へ延出される。電源ケーブル37は交流を直流に変換するアダプタ38を有する。
【0034】
[継手]
続いて、本実施形態の継手40の詳細について説明する。
図3は、継手40を示す概略断面図である。なお、図においてX軸、Y軸およびZ軸は、相互に直交する3軸方向を示している。
【0035】
継手40は、内部の流路が二重構造となった回転継手であって、第1本体400Aと、第2本体400Bと、第1筒体510と、第2筒体520と、第3筒体530と、第4筒体540とを備える。
【0036】
第1本体400Aは、一軸方向(X軸方向)に延びる第1主管部41Aと、第1主管部41Aから分岐する第1分岐管部42Aとを有する。
第1主管部41Aは、流体温度調節装置200の吸水配管221(第1配管)に接続される第1接続ポート410と、この第1接続ポート410とは反対側に設けられた第1連結ポート451とを有する。
第1分岐管部42Aは、流体温度調節装置200の送水配管222(第2配管)が接続される第2接続ポート420を有する。第2接続ポート420は、第1主管部41Aの内部を介して第1連結ポート451と連通している。
【0037】
第1接続ポート410と第1連結ポート451は、同軸上に形成されている。つまり、第1接続ポート410の中心軸410cと、第1連結ポート451の中心軸451cとは、互いに一致する。ここで、中心軸同士の「一致」とは、完全な一致のほか、継手40の作用効果に影響を及ぼさない程度の微小の真直度のずれ(オフセット)も含む(以下同様)。第1分岐管部42Aは、第2接続ポート420が第1接続ポート410に対してY軸方向に配列されるように、第1接続ポート410と第1連結ポート451との間から第1主管部41Aに対して例えばL字状に折り返される。第1分岐管部42Aの形状は、上述したL字状に限らず、円弧状、ストレート状等であってもよい。
【0038】
第1接続ポート410は、吸水配管221に接続される先端部411を有する。第2接続ポート420は、送水配管222に接続される先端部421を有する。先端部411、421のそれぞれは、X軸方向に平行に延在する。先端部411、421のそれぞれの表面には、吸水配管221および送水配管222の抜けを抑制する環状の凹凸が形成されている。
なお、第1接続ポート410内には、第3筒体530の挿入位置を規定するストッパS1が設けられている。第1連結ポート451内には、第2筒体520の挿入位置を規定するストッパS2が設けられている。
【0039】
第2本体400Bは、一軸方向(X軸方向)に延びる第2主管部41Bと、第2主管部41Bから分岐する第2分岐管部42Bとを有する。
第2主管部41Bは、体温調節服100の循環通路15の一方の連結通路部151(第3配管)に接続される第3接続ポート430と、この第3接続ポート430とは反対側に設けられた第2連結ポート452とを有する。
第1分岐管部42Bは、循環通路15の他方の連結通路部152(第4配管)が接続される第4接続ポート440を有する。第4接続ポート440は、第2主管部41Bの内部を介して第2連結ポート452と連通している。
【0040】
第3接続ポート430と第2連結ポート452は、同軸上に形成されている。つまり、第3接続ポート430の中心軸430cと第2連結ポート452の中心軸452cとは、互いに一致する。第2分岐管部42Bは、第4接続ポート440が第3接続ポート430に対してY軸方向に配列されるように、第3接続ポート410と第2連結ポート452との間から第2主管部41Bに対して例えばL字状に折り返される。第2分岐管部42Bの形状は、上述したL字状に限らず、円弧状、ストレート状等であってもよい。
【0041】
第3接続ポート430は、一方の連結通路部151に接続される先端部431を有する。第4接続ポート440は、他方の連結通路部152に接続される先端部441を有する。先端部431、441のそれぞれは、X軸方向に平行に延在する。先端部431、441のそれぞれの表面には、連結通路部151,152の抜けを抑制する環状の凹凸が形成されている。
なお、第3接続ポート430内には、第4筒体540の挿入位置を規定するストッパS3が設けられている。第2連結ポート452内には、第2筒体520の挿入位置を規定するストッパS4が設けられている。
【0042】
第1及び第2接続ポート410,420先端部411、421と、第3及び第4接続ポート430,440の先端部431、441とは、互いに反対方向に向いている。第1連結ポート451と第2連結ポート452とは、X軸方向に互いに対向する。
【0043】
第1筒体510は、X軸方向に延びるストレート状の円筒体である。第1筒体510は、第1本体400Aと第2本体400Bの双方に亘って配置されており、第1本体400Aに支持される第1端部511と、第2本体400Bに支持される第2端部512とを有する。
【0044】
第1筒体510の第1端部511は、第1本体400Aの内部に配置される。第1端部511は、第3筒体530を介して第1接続ポート410に連通するとともに、第1接続ポート410の中心軸410cを中心に回転可能に構成される。第1筒体510の第2端部512側は、第1連結ポート451から第2本体400Bに向かって突き出ている。
【0045】
一方、第1筒体510の第2端部512は、第2本体400Bの内部に配置される。第2端部512は、第4筒体540を介して第3接続ポート430に連通するとともに、第3接続ポート430の中心軸430cを中心に回転可能に構成される。
【0046】
第2筒体520は、第1連結ポート451と第2連結ポート452の双方に亘り、少なくともこれらの一方に対してX軸まわりに回転可能に構成される。本実施形態において、第2筒体520は、第1筒体510と同心的に、第1筒体510の外側に配置されたストレート状の円筒体であり、その全長は第1筒体510の全長よりも短い。第2筒体520は、第1連結ポート451と第2連結ポート452との間に接続されており、第1連結ポート451に支持される第1端部521と、第2連結ポート452に支持される第2端部522とを有する。
【0047】
第2筒体520は、第1連結ポート451の中心軸451cを中心に回転可能に構成される。第2筒体520の第1端部521は、第1連結ポート451に環状ベアリング等の軸受け部材401を介して挿通されている。軸受け部材401は、圧入または接着の手法で、第1連結ポート451の内周面と第2筒体520の外周面との間に配置される。軸受け部材401の一部は、第1連結ポート451から開放されている。
【0048】
軸受け部材401よりも奥の第1連結ポート451の内周面には、第2筒体520を周回する環状の溝402が設けられている。溝402と第2筒体520との間には、Oリング等のシール部材403が配置されている。これにより、第2連結ポート451と第2筒体520との間からの流体の漏れが抑制される。また、軸受け部材401よりも奥にシール部材403が配置されていることから、軸受け部材401が流体に晒されることはない。これにより、軸受け部材401の錆び付きが抑制される。
【0049】
第2筒体520の第2端部522は、第2連結ポート452に環状の係止部材404(止め具)に噛み合った状態で挿通されている。第2連結ポート452の内周面には、第2筒体520を周回する環状の溝405が設けられ、第2筒体520の外周面には、溝405に対向する位置に環状の溝523が形成されている。係止部材404は、溝523に配置される。係止部材404は、例えば、弾性変形が可能な樹脂や金属板によって構成されている。つまり、係止部材404は、第2筒体520を第2連結ポート452に対して挿抜可能に支持しており、第1本体400Aと第2本体400Bが分離可能とされている。
【0050】
溝405よりも奥の第2連結ポート452の内周面には、第2筒体520を周回する環状の溝406が設けられている。溝406と第2筒体520との間には、摩擦係数の小さなOリング等のシール部材407が配置されている。これにより、第2連結ポート452と第2筒体520との間からの流体の漏れが抑制される。また、係止部材404よりも奥にシール部材407が配置されていることから、係止部材404が流体に晒されることはない。
【0051】
このように、第2筒体520の第1端部521は、第1連結ポート451に挿通され、第2筒体520の第2端部522は、第2連結ポート452に挿通されている。第2筒体520の中央部は、第1本体400A及び第2本体400Bから露出している。第2筒体520は、第1連結ポート451の中心軸451c及び第2連結ポート452の中心軸452cを中心に回転可能に構成される。
【0052】
第3筒体530は、X軸方向に延びるストレート状の円筒体であり、第1接続ポート410に一方の開口端531が挿通され、第1筒体510に他方の開口端532が挿通されている。第3筒体530の中心軸は、中心軸410cに一致している。第3筒体530は、第1本体400Aの内部から第1接続ポート410に挿通され、第1接続ポート410に圧入または接着の手法により固定されている。
【0053】
第1筒体510と第3筒体530との間には、微幅のクリアランスがあり、第1筒体510が第3筒体530に対して同心状に接触配置される。これにより、第1筒体510が第3筒体530の中心軸を中心に回転可能に軸支され、第1筒体510は、第1接続ポート410の中心軸410cを中心に回転できることになる。
【0054】
なお、本実施形態での「微幅のクリアランス」とは、流体が第1筒体510と第3筒体530との間から漏れを許容範囲内に抑えられる程度であって、第1筒体510が第3筒体530の中心軸を中心に自在に回転できる幅である。なお、第1筒体510と第3筒体530との間に適宜、潤滑剤が設けられてもよい。
【0055】
第4筒体540は、X軸方向に延びるストレート状の円筒体であり、第3接続ポート430に一方の開口端541が挿通され、第1筒体510に他方の開口端542が挿通されている。第4筒体540の中心軸は、中心軸430cに一致している。第4筒体540は、第2本体400Bの内部から第3接続ポート430に挿通され、第3接続ポート430に圧入または接着の手法により固定されている。
【0056】
第1筒体510と第4筒体540との間には、微幅のクリアランスがあり、第1筒体510が第4筒体540に対して同心状に接触配置される。これにより、第1筒体510が第4筒体540の中心軸を中心に回転可能に軸支され、第1筒体510は、第3接続ポート430の中心軸430cを中心に回転できることになる。また、この微幅のクリアランスによって、第1筒体510と第4筒体540との間からの流体の漏れを抑えながら、第1筒体510が第4筒体540の中心軸を中心に自在に回転できる。なお、第1筒体510と第4筒体540との間に適宜、潤滑剤が設けられてもよい。
【0057】
第1筒体510は、第1本体400Aの第1接続ポート410と第2本体400Bの第3接続ポート430との間を連絡する第1流路408を形成する。本実施形態において第1流路408は、第1接続ポート410(先端部411)の内周面、第1筒体510の内周面、第3筒体530の内周面、第4筒体540の内周面、および第3接続ポート430(先端部431)の内周面によって囲まれた空間で形成される。
【0058】
一方、第2筒体520は、第1本体400Aの第2接続ポート420と第2本体400Bの第4接続ポート440との間を連絡する第2流路409を形成する。本実施形態において第2流路409は、第2接続ポート420(先端部421)の内周面、第1分岐管部42Aの内周面、第1連結ポート451の内周面、第2筒体520の内周面、第1筒体510の外周面、第2連結ポート452の内周面、第2分岐管部42Bの内周面、および第4接続ポート440(先端部441)の内周面によって囲まれた空間で形成される。
【0059】
ここで、第2流路409は、第1流路408の周りに形成されている。また、第1筒体510および第2筒体520が互いに同心的に配置されている。従って、継手40においては、第1筒体510と第2筒体520とによって、第1筒体510および第2筒体520により各々の中心軸のまわりに回転可能な二重管が構成される。
【0060】
作業者5が第2筒体520及び第1筒体510を第2連結ポート452に嵌め込むと、第2筒体520が第2連結ポート452に挿通され、第1筒体510が第4筒体540の外周面に嵌合する。この際、係止部材404の内側の先端部が弾性変形して第2筒体520の溝523に入り込むと、溝523が係止部材404によって係止されて、第1本体400A、第1筒体510、及び第2筒体520が第2本体400Bの第2連結ポート452にロックされる。
【0061】
体温調節服100と流体温度調節装置200とが継手40によって繋がれたとき、例えば、送水配管222から送水された流体は、第2接続ポート420、第2流路409、および第4接続ポート440を経由して体温調節服100の連結通路部152に供給される。一方、体温調節服100の循環通路15を循環した流体は、体温調節服100の連結通路部151、第3接続ポート430、第1流路408、および第1接続ポート410を経由して吸水配管221に吸水される。
【0062】
なお、継手40の左右を反転させて、第1接続ポート410が連結通路部151に、第2接続ポート420が連結通路部152にそれぞれ接続されてもよい。この場合、第3接続ポート430が吸水配管221に、第4接続ポート440が送水配管222にそれぞれ接続される。
【0063】
このように、体温調節服100は、循環通路15に対して、第1接続ポート410と第2接続ポート420とを有する第1本体400A、および、第3接続ポート430と第4接続ポート440とを有する第2本体400Bのうち一方に接続可能になっている。流体温度調節装置200は、循環通路15に対して、第1接続ポート410と第2接続ポート420を有する第1本体400A、および、第3接続ポート430と第4接続ポート440とを有する第2本体400Bとのうち他方を介して流体を循環させることができる。
【0064】
第1本体400A及び第2本体400Bは、例えば、樹脂材料、ステンレス(SUS)、アルミニウム等によって構成される。また、第1筒体510、第2筒体520、第3筒体530、及び第4筒体540は、例えば合成樹脂材料によって構成される。このうち、第1筒体510は、第3筒体530および第4筒体540よりも柔軟性および潤滑性を有するフッ化系樹脂等のような軟質の材料で構成されるのが好ましく、これにより第1筒体510の軸心と第3筒体530および第4筒体540の軸心との間に多少のずれが生じたとしても、第1筒体510のしなりで当該ずれを吸収することができる。なお、第2筒体520、第3筒体530、及び第4筒体540は、ステンレス、アルミニウム等の金属材料で構成されてもよい。また、第1筒体510および第2筒体520は可撓性を有するホース部材で構成されてもよい。
【0065】
以上のように構成される本実施形態の継手40によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0066】
例えば、作業者5が連続作業において配管(吸水配管221、送水配管222)を一定方向に跨いで回転を繰り返すと、配管が上記回転方向にねじれる場合がある。配管が過剰にねじれると、配管の流路断面積が小さくなり、配管の流路抵抗が増加して、体温調節服100から温度が調節された流体が体温調節服100に充分に送水できなくなったり、あるいは、流体温度調節装置200に体温調節服100からの流体が還流できなくなったりする現象が起きる。この結果、体温調節服100が流体温度調節装置200によって所望の温度に調整できないという性能低下が引き起こされる場合がある。
【0067】
また、配管のねじれは、配管のみならず、継手を介して連結通路部151、152のねじれを引き起こす場合がある。特に、連結通路部151、152が細いチューブ束で構成されている場合、連結通路部151、152がねじれると、連結通路部151、152が縄状に巻かれたり、連結通路部151、152または体温調節服100内で連結通路部151、152に連通する循環通路15が局部的に引っ張られたりする現象が起きる。さらに、継手と連結通路部151、152との間から流体が漏れる場合もある。
【0068】
ここで、作業者5が配管のねじれを抑えるように、作業者5が配管を跨ぐ動作を極力抑える方法がある。しかし、このような方法は、作業者5による作業効率の妨げになり現実的ではない。従って、作業者5の通常の作業動作を確保しつつ、作業中に起きる配管のねじれを如何にして連結通路部151、152に伝達させないかが課題となる。
【0069】
これに対して本実施形態によれば、
図5に示すように、例えば、配管(吸水配管221、送水配管222)が回転方向Rにねじれたとしても、継手40においては、外管である第2筒体520の周りで第1本体400A(第1連結ポート451)が回転方向R1に回転する。この回転と同時に、内管である第1筒体510が第3筒体530の周りで回転方向R2に回転するか、または、第1筒体510は第4筒体540の周りで回転方向R2に回転する。場合によっては、第2筒体520が第2本体400B(第2連結ポート452)の内部で回転方向R3に回転することも稀に考えられる。
【0070】
これにより、配管(吸水配管221、送水配管222)の回転方向Rのねじれは、継手40によって吸収されて、配管(吸水配管221、送水配管222)側から連結通路部151、152側へのねじれの伝達が起きにくくなる。この結果、連結通路部151、152が縄状に巻かれたり、体温調節服100内の循環通路15が局部的に引っ張られたりする現象が回避される。さらに、継手40と連結通路部151、152との間からの流体の漏れも回避できる。
【0071】
逆に、連結通路部151、152が回転方向Rにねじれたとしても、継手40においては、外管である第2筒体520が第1連結ポート451の内部で回転方向R1に回転すると同時に、内管である第1筒体510が第3筒体530の周りで回転方向R2に回転するか、または第4筒体540の周りで回転方向R2に回転する。場合によっては、第2連結ポート452が第2筒体520の周りで回転方向R3に回転することも稀に考えられる。
【0072】
これにより、連結通路部151、152の回転方向Rのねじれは、継手40によって吸収されて、吸水配管221および送水配管222に伝達せず、したがって、これら配管が縄状に巻かれたり、これら配管が局部的に引っ張られたりする現象は回避される。
【0073】
特に、第2接続ポート420を有する第1分岐管部42AがL字状に形成されることで第1接続ポート410及び第2接続ポート420がそれらの軸心方向(X軸方向)に直交する方向(Y軸方向)に並設された場合には、作業中に第1接続ポート410及び第2接続ポート430に回転モーメントが強く働く場合がある。同じく、第4接続ポート440を有する第2分岐管部42BがL字状に形成されることで第3接続ポート430及び第4接続ポート440がそれらの軸心方向(X軸方向)に直交する方向(Y軸方向)に並設された場合には、作業中に第3接続ポート430及び第4接続ポート440に回転モーメントが強く働く場合がある。このような場合、本実施形態の継手40によれば、吸水配管221及び送水配管222、または連結通路部151、152で生じた回転モーメントを効率よく吸収することができる。
【0074】
ここで、外管がその軸心まわりに回転可能であるものの、内管がその軸心まわりに回転できない構成の二重管を有する継手の場合、内管と外管とが同時に回転できないため、当該継手に接続される配管あるいは連結通路部の回転を継手が吸収できない。このため、配管の回転力が連結通路部側に伝達したり、あるいは、連結通路部の回転が配管側に伝達したりする。
【0075】
このように、本実施形態の継手40においては、内管である第1筒体510と外管である第2筒体520が同時に各々の軸心まわりに回転することができるため、吸水配管221及び送水配管222側から連結通路部151,152側への回転力の伝達、あるいは、連結通路部151,152側から吸水配管221及び送水配管222側への回転力の伝達が抑制される。
【0076】
また、第1乃至第4筒体510、520、530、540の中で、少なくとも最長の第1筒体510が樹脂により構成されることにより、第1本体400Aと第2本体400Bとの間にしなりが生じたとしても、第1連結ポート451の中心軸451cと第2連結ポート452の中心軸452cとの交差またはズレが第1筒体510の弾性変形によって吸収される。
【0077】
また、第1筒体510は、第3筒体530及び第4筒体540のそれぞれに固定されず第3筒体530及び第4筒体540に差し込まれているので、第3筒体530および第4筒体540に対して第1筒体510がその軸心まわりに容易に回転することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、第1筒体510が第3筒体530および第4筒体540に対して、いずれも回転可能な構成となっていたが、このうちの一方のみに対して回転可能な構成にしても、第3筒体530と第4筒体540との間で生じるねじれは吸収できるため、このような構成を採用してもよい。
その場合、回転しない側の第3筒体530または第4筒体540は、もはや第1筒体510と別体とする必要がなくなるため、直接第1筒体510の一方の端部を第1接続ポート410または第3接続ポート430に圧入や接着などの方法で固定しても構わない。
【0079】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る継手50を示す概略断面図である。
以下、第1実施形態と異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0080】
本実施形態の継手50は、第3筒体530及び第4筒体540を有さない点で、上述の第1実施形態と異なる。本実施形態の継手50においては、第1本体400Aの第1接続ポート410に第1筒体510の第1端部511が挿通されており、第2本体400Bの第3接続ポート430に第1筒体510の第2端部512が挿通されている。
【0081】
第1接続ポート410と第1筒体510との間には第1環状体610が配置されている。第1環状体610は、圧入または接着の手法によって、第1接続ポート410内に配置される。第1環状体610の第1筒体510の側には、第1筒体510を周回する環状の溝611が設けられている。溝611と第1筒体510との間には、摩擦係数の小さなOリング等の第1シール部材601が配置されている。第1シール部材601は、第1筒体510の第1端部511側の外周面を、第1筒体510がその軸心まわりに回転可能に支持する。
【0082】
一方、第3接続ポート430と第1筒体510との間には第2環状体620が配置されている。第2環状体620は、圧入または接着の手法によって、第3接続ポート430内に配置される。第2環状体620の第1筒体510の側には、第1筒体510を周回する環状の溝622(第2溝)が設けられている。溝622と第1筒体510との間には、摩擦係数の小さなOリング等の第2シール部材602が配置されている。第2シール部材602は、第1筒体510の第2端部512側の外周面を、第1筒体510がその軸心まわりに回転可能に支持する。
【0083】
以上のように構成される本実施形態の継手50においては、第1筒体510が第1接続ポート410および第3接続ポート430に対し、第1シール部材601および第2シール部材602を介して、第1筒体510の軸心まわりに回転可能である。また、第1実施形態と同様に、第2筒体520が第1連結ポート451に対し、軸受け部材401を介して、第2筒体520の軸心まわりに回転可能である。したがって本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
特に本実施形態によれば、第1筒体510の両端をそれぞれ第1シール部材601および第2シール部材602によって回転可能に支持しているため、別途の支持部材を必要とすることなく第1筒体510の回転支持機構を構成でき、これにより部品点数の削減を図ることができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0086】
1…体温調節システム
5…作業者
15…循環通路
40、50…継手
41A…第1主管部
41B…第2主管部
42A…第1分岐管部
42B…第2分岐管部
100…体温調節服
151、152…連結通路部
100…体温調節服
200…流体温度調節装置
400A…第1本体
400B…第2本体
401…軸受け部材
404…係止部材
408…第1流路
409…第2流路
410…第1接続ポート
420…第2接続ポート
430…第3接続ポート
440…第4接続ポート
451…第1連結ポート
452…第2連結ポート
510…第1筒体
520…第2筒体
530…第3筒体
540…第4筒体
601…第1シール部材
602…第2シール部材