(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】レバーフロート式蒸気トラップの弁機構
(51)【国際特許分類】
F16T 1/24 20060101AFI20240731BHJP
F16K 31/70 20060101ALI20240731BHJP
F16K 31/26 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F16T1/24
F16K31/70 A
F16K31/26 Z
(21)【出願番号】P 2022025340
(22)【出願日】2022-02-22
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直也
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-194700(JP,U)
【文献】特開昭57-29891(JP,A)
【文献】特開2003-130288(JP,A)
【文献】特開平2-102999(JP,A)
【文献】特開2021-124138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/00- 1/48
F16K 31/26,31/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートに連結されて支点の回りに揺動するレバーと、
弁体が着座する弁座を形成する弁座部材と、
前記弁体を保持して上下方向に移動自在なバルブホルダと、
前記バルブホルダと前記レバーを連結して前記レバーの揺動により前記バルブホルダを上下方向に移動させて前記弁体による開閉動作を行わせる弁軸部と、
弁軸部に設けられた感温式の伸縮機構と、
を備え、
前記感温式の伸縮機構は、低温時に前記弁体が開く方向に作用し、高温時に前記弁体が閉じる方向に作用
し、
前記バルブホルダが、前記弁軸部に高さ調整自在に連結されているレバーフロート式蒸気トラップの弁機構。
【請求項2】
請求項1に記載のレバーフロート式蒸気トラップの弁機構において、前記感温式の伸縮機構は、前記弁軸部に取り付けられた複数のバイメタルを有しているレバーフロート式蒸気トラップの弁機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの一端にフロートが設けられ、他端に弁体が設けられ、フロートの浮力により弁体の開閉を行うレバーフロート式蒸気トラップの弁機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レバーフロート式蒸気トラップでは、フロートと弁機構とがレバーで連結され、フロートの浮力を開弁方向の力として作用させて、弁の開閉が行われる(例えば、特許文献1)。特許文献1のような弁機構では、ケース内に一定水位以上のドレンが溜まり、弁を開けるのに必要なフロートの浮力が発生すると、ドレンが排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レバーフロート式蒸気トラップでは、ドレンの温度に拘わらず、蒸気が液化した凝縮水を外部に排出する。よって、使用蒸気圧力における飽和温度以下のドレンは、迅速に排出されることが望ましい。特に、通気開始直後は配管内に低温のドレンが滞留しているので、急激に昇圧すると、ウォータハンマが発生する恐れがある。そのため、低い圧力から徐々に昇圧させて、初期ドレンの排出と配管の暖機を行う必要がある。その結果、システムの立ち上げに時間を要する。
【0005】
本発明は、装置の立ち上げ時間を短縮できるレバーフロート式蒸気トラップの弁機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のレバーフロート式蒸気トラップの弁機構は、フロートに連結されて支点の回りに揺動するレバーと、弁体が着座する弁座を形成する弁座部材と、前記弁体を保持して上下方向に移動自在なバルブホルダと、前記バルブホルダと前記レバーを連結して前記レバーの揺動により前記バルブホルダを上下方向に移動させて前記弁体による開閉動作を行わせる弁軸部と、弁軸部に設けられた感温式の伸縮機構とを備えている。前記感温式の伸縮機構は、低温時に前記弁体が開く方向に作用し、高温時に前記弁体が閉じる方向に作用する。感温式の伸縮機構は、例えば、感温体であるバイメタルを有している。
【0007】
レバーフロート式蒸気トラップにおいて、飽和温度以下のドレンが存在する場合には閉弁する必要がない。この構成によれば、弁機構の弁軸部に、感温式の伸縮機構が組み込まれているので、低温時は内部の水位に関わらず弁体は開弁状態を維持する。これにより、フロートの浮力を利用することなく、ドレンを排出できる。特に、通気開始直後に内部の水位によらずドレンを排出できるので、システムの立ち上げに時間を短縮できる。
【0008】
また、レバーフロート式蒸気トラップでは、システムの停止時は蒸気が止められ低温になる。そのため、蒸気が凝縮してドレン化し、内部に溜まる。従来のレバーフロート式蒸気トラップでは、水位が一定以上とならない限り、このようなドレンは排出されない。内部に溜まったドレンが長時間放置されると、ケースの錆の原因となる。そのため、従来は、ケースに設けられたドレン孔からドレンを抜いていた。しかしながら、このようなドレン抜き作業が増えるうえに、この作業を忘れると、ケースの錆の原因となる。
【0009】
上記構成によれば、低温時に内部の水位に関わらず弁体の開弁状態が維持されているので、システム停止時にも内部に滞留したドレンを排出できる。したがって、ドレン抜き作業が省略できるうえに、ケースの錆も防ぐことができる。
【0010】
本発明において、前記バルブホルダが、前記弁軸部に高さ調整自在に連結されていてもよい。この構成によれば、前記バルブホルダの高さを調整することで、弁体が開く温度を調整できる。
【0011】
この場合、前記感温式の伸縮機構は、前記弁軸部に取り付けられた複数のバイメタルを有していてもよい。この構成によれば、バルブホルダの高さ調整に加えて、バイメタルの枚数を変更することで、弁体が開く温度を調整できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレバーフロート式蒸気トラップの弁機構によれば、通気開始直後に内部の水位によらずドレンを排出できるので、システムの立ち上げに時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る弁機構を備えたレバーフロート式蒸気トラップを示す縦断面図である。
【
図2】同レバーフロート式蒸気トラップの要部を示す断面図である。
【
図3】低温時の同弁機構を拡大して示す縦断面図である。
【
図4】高温時の同弁機構を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明において、「上流」「下流」とは、流体の流れ方向の「上流」「下流」をいう。
【0015】
図1は本発明の第1実施形態に係る弁機構VMを備えたレバーフロート式蒸気トラップを示す構成図である。レバーフロート式蒸気トラップは、フロート1の浮力により排水弁2の開閉を行って復水(ドレン)Dを排水する。レバーフロート式蒸気トラップは、フロート1を収納するフロート室4を形成するケース6と、前端部(一端部)にフロート1が連結されたレバー8とを有している。
【0016】
レバー8は、前端部8aでフロート1に連結され、支点P1の回りに揺動する。つまり、レバー8は、公知の構造により、支点P1の回りに揺動自在にケース6に支持されている。レバー8における前端部8aと支点P1の間で、支点P1の近傍に排水弁2の弁体10が取り付けられている。レバー8に、排水弁2の弁体10の開動作を補助する錘9が取り付けられている。錘9は、レバー8における支点P1よりも後方に設けられている。錘9の重さは、使用圧力、例えば弁構造、サイズ等によって大きく変化し、これらを考慮して適宜設定される。
【0017】
フロート室4内のドレンDの液位が上昇するとフロート1が上昇し、レバー8が矢印A1方向に支点P1の回りに揺動する。これにより、排水弁2の弁体10が上昇して開弁し、ドレンDが排出される。フロート室4内のドレンDの液位が下降するとフロート1が下降し、レバー8が矢印A2方向に支点P1の回りに揺動する。これにより、排水弁2の弁体10が下降して閉弁する。排水弁2の詳細は、後述する。
【0018】
外装体を構成するケース6は、一端部(図の左端部)が開口したケース本体12のフランジ部14に、カバー体16がボルトのような締結部材18で結合されている。ケース本体12とカバー体16とで囲まれた領域により、フロート室4が形成されている。フロート室4内に、蒸気がトラップされる。ケース本体12の上部に、フロート室4に蒸気およびドレンDを含む1次側流体を導入する入口100が形成されている。
【0019】
カバー体16は、ケース6の一端部(左端部)の開口部を塞ぐ形状の部材である。カバー体16の内部に、ドレンDを排出するための横断面円形の流出路20が形成されている。流出路20の上側に、流出路下流部20aが接続されている。流出路下流部20aは、外部への排出口(図示せず)に連通している。さらに、カバー体16における流出路20の下端部近傍に、連通路22が設けられている。連通路22は、フロート室4と流出路20とを連通させている。
【0020】
連通路22は、排水弁2とカバー体16との間に介在するスペーサ24により形成されている。スペーサ24は、
図1の左右方向に延びる筒状の部材で、長手方向の一端側がフロート室4に開口し、他端側が流出路20に開口している。スペーサ24における長手方向の一端部(フロート室4側)に第1フランジ26が形成され、長手方向の中間部に第2フランジ28が形成されている。第2フランジ28に複数のボルト挿通孔28aが形成されている。ボルト挿通孔28aに挿通されたボルト30により、スペーサ24がカバー体16に結合されている。
【0021】
フロート室4におけるスペーサ24の上流側(フロート室4側)に、排水弁2が配置されている。排水弁2は、フロート室4内に流入して溜まったドレンDを排出する。排水弁2は、スペーサ24の第1フランジ26にボルト連結されている。
【0022】
図3に示すように、排水弁2は、前記弁体10と、弁座部材34とを有している。弁座部材34は、弁体10が着座する弁座32を形成している。弁座部材34は、その内部に弁孔36が形成され、弁孔36の上端(上流端)が弁座32に連通している。つまり、弁体10が弁座32に着座すると、弁孔36が閉止されてドレンDが流れなくなる(閉状態)。弁体10が弁座32から離間すると、弁孔36が開放されてドレンDが流れる(開状態)。
【0023】
弁孔36の下端(下流端)は、
図1の連通路22を介して流出路20に連なっている。排水弁2は、バルブケース38を備えている。バルブケース38は、弁体10を上下方向に移動自在に支持するとともに、弁座部材34を相対移動不能に支持する
【0024】
バルブケース38は、その内部の上側に上流側通路40が形成され、内部の下側に下流側通路42が形成されている。上流側通路40はフロート室4に連通し、下流側通路42は連通路22に連通している。
図2のバルブケース38の内部に、上流側通路40と下流側通路42を連通する弁座部材取付孔44が形成されている。詳細には、弁座部材取付孔44に弁座部材34が装着されており、弁座部材34の弁孔36により上流側通路40と下流側通路42が連通している。
【0025】
バルブケース38の上部に、弁体挿通孔46が形成されている。弁体挿通孔46は、フロート室4と上流側通路40とを上下方向に連通している。本実施形態では、弁体挿通孔46は、バルブケース38に装着されたブッシュ45により形成されている。この筒状のブッシュ45の中空孔(弁体挿通孔)46を弁体10が通過する。
【0026】
図1のバルブケース38に、ねじ挿通孔(図示せず)が形成されており、スペーサ24の第1フランジ26にボルト25で連結されている。スペーサ24とバルブケース38との間に、ガスケット48が介在されている。このように、弁座32を有するバルブケース38がスペーサ24を介してカバー体6に取り付けられている。
【0027】
つぎに、弁体10を説明する。
図3に示すように、排水弁2は、さらに、バルブホルダ50と、弁軸部52とを備えている。バルブホルダ50は、弁体10を保持し、弁体挿通孔46内を上下方向に移動自在である。弁軸部52は、バルブホルダ50とレバー8を連結し、レバー8の揺動によりバルブホルダ50を上下方向に移動させて弁体10による開閉動作を行わせる。つまり、弁体10は、弁軸部52およびバルブホルダ50を介してレバー8に接続されている。
【0028】
弁軸部52は、上端部が第1連結ピン54によりレバー8に連結され、下端部が弁体10に連結されている。弁軸部52は、レバー8に連結される連結部材55と、弁体10に連結される弁軸部材56とを有し、これら連結部材55と弁軸部材56が連結されている。詳細には、連結部材55は、上端部がレバー8に連結され、下部にバルブホルダ50が固定されている。連結部材55の下部の周面に、
図3に示す雄ねじ55aが形成されている。また、連結部材55の下面に、上下方向に延びる軸挿通孔55bが形成されている。
【0029】
弁軸部材56は、上端部が連結部材55に連結され、下端部が弁体10に連結されている。詳細には、弁軸部材56の上端部が連結部材55の軸挿通孔55bに挿通され、下端部が鍔状のフランジ部材65を介して弁体10に連結されている。つまり、弁軸部材56は、連結部材55に対して上下方向に移動自在である。フランジ部材65の外径は、弁体10の外径よりも大きい。
【0030】
バルブホルダ50が、弁軸部52の連結部材55に高さ調整自在に連結されている。詳細には、バルブホルダ50の上部に、上方に開口するねじ孔50aが形成されており、このねじ孔50aに連結部材55の雄ねじ55aが上方から螺合されている。連結部材55の雄ねじ55aは、バルブホルダ50のねじ孔50aよりも十分に長く形成されている。これにより、バルブホルダ50の高さが調整自在となっている。一方、バルブホルダ50は、弁体挿通孔46内を上下方向に移動する。
【0031】
バルブホルダ50の下部に、上下方向に延びる弁体挿通孔58が形成されている。本実施形態では、弁体挿通孔58は段付きの貫通孔である。つまり、弁体挿通孔58は、段部60を挟んで上側の大径孔62と、下側の小径孔64とを有している。小径孔64の下端部に、径方向内側に突出する環状の受部66が形成されている。つまり、受部66が、小径孔64よりも小径に形成されている。
【0032】
弁体10は、上下方向に長い円柱形状で、その下端部10aが下方に向かって縮径するテーパ形状に形成されている。この下端部10aが、弁座32に着座することで、弁孔36が閉止される。弁体10の上端部は、前記フランジ部材65に連結されている。
【0033】
弁体10の外径は、受部66の内径よりも小さく形成されている。フランジ部材65の外径は、小径孔64の直径よりも大きく、大径孔62の直径よりも小さく形成されている。したがって、弁体10が下降すると、フランジ部材65の下面が段差60に当接する。つまり、フランジ部材65が、バルブホルダ50に対する弁体10の下限位置を規制するストッパ65を構成している。受部66とストッパ(フランジ部)65との間に、圧縮ばね68が介挿されている。
【0034】
フロート1が連結されたレバー8、弁座32を形成する弁座部材34、弁体10を保持するバルブホルダ50、レバー8とバルブホルダ50を連結する弁軸部52、および圧縮ばね68により、レバーフロート式蒸気トラップの弁機構VMが構成されている。
【0035】
弁機構VMは、さらに、感温式の伸縮機構70を備えている。伸縮機構70は、弁軸部52に設けられ、低温時に弁体10が開く方向に作用し(
図3の状態)、高温時に弁体10が閉じる方向に作用する(
図4の状態)。弁体10が閉じる閉弁温度は、例えば、90℃である。ただし、閉弁温度は、これに限定されない。
【0036】
感温式の伸縮機構は、例えば、感温体であるバイメタル69である。本実施形態では、感温式の伸縮機構70は、弁軸部52に取り付けられた複数のバイメタル69を有している。詳細には、複数の環状のバイメタル69が、弁軸部52の弁軸部材56に取り付けられている。
【0037】
バイメタル69は、その一端面(
図3の上面)が弁軸部52の連結部材55の下面に当接し、他端面(
図3の下面)がストッパ部(フランジ部)65の上面に当接している。詳細には、複数のバイメタル69が上下方向に重ねられており、最も上側のバイメタル69の上面が弁軸部52の連結部材55の下面に当接し、最も下側のバイメタル69の下面がストッパ部(フランジ部)65の上面に当接している。
【0038】
弁軸部52の弁軸部材56は、連結部材55に対して上下方向に移動自在に連結されている。したがって、
図3に示す低温時にバイメタル69が収縮すると、弁体10は上方に移動する。
図4に示す高温時にバイメタル69が膨張して椀状に変形すると、弁体10は下方に移動する。
【0039】
つぎに、本実施形態のレバーフロート式蒸気トラップの作用について説明する。システムの立ち上げ時、フロート室4の内部が閉弁温度以上であれば、
図4のように弁体10が閉じており、閉弁温度以下であれば、
図3のように弁体10は開いている。
図1のフロート室4に、高温の蒸気を含んだ1次側流体が流入し、この1次側流体に混入したドレンDがフロート室4内に溜まる。このドレンDが設定水位以下である場合には、フロート1が、
図1に2点鎖線で示す下限位置に保持される。このとき、排水弁2は、
図3の弁孔36が弁体10で閉塞された閉弁状態となり、1次側流体に含まれる高温の蒸気がフロート室4内にトラップされる。
【0040】
フロート室4内に溜まったドレンDが設定水位を越えると、
図1に実線で示すように、このドレンDから浮力を受けてレバー8が支点P1周りに矢印A1の方向に回動し、フロート1と一体的に上方へ移動する
図3の弁体10が弁孔36を開放する。これにより、排水弁2が開弁状態となって、ドレンDを含んだ流体が弁孔36、バルブケース38内部の下流側通路42、
図1のスペーサ24内部の連通路22および流出路20を通って流出路下流部20aから蒸気トラップの外部へ排出される。
【0041】
フロート室4内のドレンDが排出によって減少すると、フロート1が自重で下降し、レバー8が支点P1周りに矢印A2の方向に回動して全閉状態となる。
【0042】
システムが停止すると、蒸気(1次側流体)のフロート室4への流入が止まり、フロート室4内の温度が下がる。そのため、蒸気が凝縮してドレン化し、フロート室4内に溜まる。フロート室4内のドレン水位が一定以下で、フロート室4の温度が高いとき、
図4に示すようにバイメタル69が膨張して排水弁2は閉状態である。
【0043】
フロート室4内の温度がさらに下がり、フロート室4内のドレン水位が一定以下で、フロート室4内が低温になると、
図3に示すようにバイメタル69が収縮して排水弁2は開状態となる。これにより、フロート室4内のドレンが排出される。
【0044】
上記構成によれば、伸縮機構70により、低温時は内部の水位に関わらず弁体10は開弁状態を維持する。したがって、フロート1の浮力を利用することなく、ドレンを排出できる。特に、通気開始直後に内部の水位によらずドレンを排出できるので、システムの立ち上げに時間を短縮できる。
【0045】
また、低温時に内部の水位に関わらず弁体10の開弁状態が維持されているので、システム停止時にも内部に滞留したドレンDを排出できる。したがって、ドレン抜き作業が省略できるうえに、ケース6の錆も防ぐことができる。
【0046】
バルブホルダ50は、弁軸部52の連結部材55に高さ調整自在に連結されている。これにより、バルブホルダ50の高さを調整することで、弁体10が開く温度を調整できる。
【0047】
伸縮機構70は、弁軸部材56に取り付けられた複数のバイメタル69を有している。これにより、バルブホルダ50の高さ調整に加えて、バイメタル69の枚数を変更することで、弁体10が開く温度を調整できる。
【0048】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 フロート
8 レバー
10 弁体
32 弁座
34 弁座部材
50 バルブホルダ
52 弁軸部
69 バイメタル
70 感温式の伸縮機構
VM 弁機構