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特許7530115液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240731BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240731BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240731BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B32B7/023
C09J7/38
G02F1/1333
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022519525
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2019016062
(87)【国際公開番号】W WO2021060620
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0118678
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522120749
【氏名又は名称】リアルック アンド カンパニー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】REALOOK&COMPANY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イム、ナム イル
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0142765(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0030907(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0000145(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0108289(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0384960(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0346408(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0241393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0087630(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03457262(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第110183993(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C09J 7/38
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波指紋認識センサを備えたスマート機器の液晶の上部に付着され、前記液晶を保護するように設けられた液晶保護フィルム部を含み、前記液晶保護フィルム部が、
前記液晶の上部に付着される第1の層と、
前記第1の層の上部に形成される第2の層と、
前記第1の層の下部に形成され、液晶と前記第1の層を粘着するように設けられた液晶粘着層を含み、
前記液晶、前記第1の層、前記第2の層、前記液晶粘着層のインピーダンスの差が、指紋認識性能低下が0.35dB以内となるように制御されることを特徴とする、液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項2】
前記第1の層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン(PU)素材のうち少なくとも一つ以上を含む材質の基材層からなることを特徴とする、請求項1に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項3】
前記第2の層が、熱硬化性ハードコート法またはUVハードコート法によって前記第1の層の上部に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項4】
前記第2の層は熱または粘着によって前記第1の層と同じ素材で前記第1の層の上部に積層して形成されることを特徴とする、請求項2に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項5】
前記液晶粘着層が、シリコーン系、アクリル系、そしてウレタン系粘着剤のうち少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする、請求項2に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項6】
前記液晶粘着層の厚さは、
前記液晶粘着層を通過する超音波の波長の倍数となるように制御されることを特徴とする、請求項1に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項7】
前記第1の層の厚さは、
前記第1の層を通過する超音波の波長の倍数となるようにさらに制御されることを特徴とする、請求項6に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項8】
前記液晶保護フィルム部の上部に粘着されている状態で設けられたカバーフィルム部をさらに含み、
前記カバーフィルム部が、
前記液晶保護フィルム部の上部を保護するように設けられたカバーフィルムと、
前記カバーフィルムの下部に形成され、前記液晶保護フィルム部の上部に前記カバーフィルムを粘着できるように設けられたカバー粘着層とを有し、
前記液晶保護フィルム部の下部に粘着されている状態で設けられた離型フィルム部をさらに含み、
前記離型フィルム部が、
前記液晶保護フィルム部の下部の粘着面を保護するように設けられた離型フィルムと、
前記離型フィルムの上部に形成され、前記液晶保護フィルム部の下部から前記離型フィ
ルムが脱着可能であるように設けられた離型層とを有することを特徴とする、請求項1に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【請求項9】
前記超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムが、液晶の形状に対応するように屈曲加圧され、その屈曲部分が、弾性を考慮して設計された曲率を備えることで、スプリングバック現象を防ぐと共に、熱シワの発生または成形損傷の発生を防ぐように立体的にフォーミングされることを特徴とする、請求項1に記載の液晶と液晶保護フィルム部とを備えた超音波式の指紋認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムに関し、さらに詳しくは、超音波指紋認識性能を向上させるための超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマート機器の指紋認識システムには、光学式、静電気式、超音波式の指紋認識システムがある。
【0003】
光学式指紋認識システムは、光源から放射されてから反射して戻ってくる光の陰影に応じて指紋の屈曲を集めることで指紋を認識する方法であり、耐久性に優れるといった利点がある。
【0004】
しかしながら、光学式指紋認識システムには、指紋認識の精度が低下するといった欠点がある。
【0005】
静電気式指紋認識システムは、指紋の屈曲に応じた静電容量の差を測定することで指紋を認識する方法であり、指紋認識の精度に優れるといった利点がある。
【0006】
しかしながら、静電気式指紋認識システムは、耐久性及び歩留まりが低いといった欠点がある。
【0007】
超音波式指紋認識システムは、超音波を利用して皮膚表皮層の微細な特徴をスキャンすることによって指紋を認識する方法であり、指紋認識の精度及び耐久性に優れるといった利点があるが、費用が高いといった課題がある。
【0008】
近年では、指紋認識の精度及び耐久性の両方を満たすために、超音波式指紋認識システムに対する需要が増え続けている。
【0009】
しかしながら、超音波式指紋認識システムは、液晶上に液晶保護フィルムを付着すると、液晶保護フィルムが超音波の透過を妨害し、指紋認識率が低下するといった課題があった。
【0010】
よって、液晶に付着しても高い指紋認識率を示す液晶保護フィルムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0081294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、超音波指紋認識性能を向上させるための超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムを提供することを目的とする。
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、前記液晶の上部に付着され、前記液晶を保護するように設けられた液晶保護フィルム部を含み、前記液晶保護フィルム部は、前記液晶の上部に付着される第1の層と、前記第1の層の上部に形成される第2の層と、前記第1の層の下部に形成され、液晶と前記第1の層を粘着するように設けられた液晶粘着層と、を含むことを特徴とする、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムを提供する。
【0015】
本発明の実施形態において、前記第1の層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン(PU)素材のうち少なくとも一つ以上を含む材質の基材層からなることを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の実施形態において、前記第2の層が、熱硬化性ハードコート法またはUVハードコート法によって形成されているか、あるいは熱または粘着によって前記第1の層と同じ基材層に積層して形成されることを特徴としてもよい。
【0017】
本発明の実施形態において、前記液晶粘着層が、シリコーン系、アクリル系、そしてウレタン系粘着剤の材質からなることを特徴としてもよい。
【0018】
本発明の実施形態において、前記液晶粘着層は、前記第1の層のインピーダンスと予め設定された差内のインピーダンスを有するように設けられていることを特徴としてもよい。
【0019】
本発明の実施形態において、前記液晶粘着層は、前記液晶粘着層を通過する超音波の波長が、前記第1の層を通過する超音波の波長と予め設定された差内の波長を有するように、厚さが制御されていることを特徴としてもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、前記液晶粘着層の厚さは、前記液晶粘着層を通過する超音波の波長であるλがλの倍数となるように制御されることを特徴としてもよい。
【0021】
本発明の実施形態において、前記第1の層の厚さは、前記第1の層を通過する超音波の波長であるλがλの倍数となるようにさらに制御されることを特徴としてもよい。
【0022】
本発明の実施形態において、前記液晶保護フィルム部の上部に粘着されている状態で設けられたカバーフィルム部をさらに含み、前記カバーフィルム部が、前記液晶保護フィルム部の上部を保護するように設けられたカバーフィルムと、前記カバーフィルムの下部に形成され、前記液晶保護フィルム部の上部に前記カバーフィルムを粘着できるように設けられたカバー粘着層とを有することを特徴としてもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、前記液晶保護フィルム部の下部に粘着されている状態で設けられた離型フィルム部をさらに含み、前記離型フィルム部が、前記液晶保護フィルム部の下部の粘着面を保護するように設けられた離型フィルムと、前記離型フィルムの上部に形成され、前記液晶保護フィルム部の下部から前記離型フィルムが脱着可能であるように設けられた離型層とを有することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0024】
前記構成による本発明は、液晶保護フィルムを液晶に付着しても超音波による指紋認識率が高いといった効果を奏する。
【0025】
特に、本発明は、液晶、第1の層、第2の層、液晶粘着層のインピーダンス差が、指紋認識性能低下が0.35dB以内となるように制御されることにより、液晶に液晶保護フィルム部を付着しても高い指紋認識率を維持することができる。
【0026】
本発明の効果は、これらに限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載されている発明の構成から推論できるあらゆる効果が含まれるものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムのインピーダンス差による波長変化を示す例示図である。
図3】本発明の一実施形態に係る超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムのインピーダンス差による波長変化を示す例示図である。
図4】本発明の一実施形態に係る超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムのインピーダンス差による波長変化を示す例示図である。
図5】本発明の一実施形態に係る屈曲した液晶に付着された超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムの側面を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムは、前記液晶の上部に付着され、前記液晶を保護するように設けられた液晶保護フィルム部を含み、前記液晶保護フィルム部は、前記液晶の上部に付着される第1の層と、前記第1の層の上部に形成される第2の層と、前記第1の層の下部に形成され、液晶と前記第1の層を粘着するように設けられた液晶粘着層と、を含むことを特徴とする、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムを提供する。
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現されるので、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために説明に関係のない部分は省略し、明細書全体を通して類似の部分には類似の符号を付した。
【0030】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続,接触,結合)」されているという場合、それには「直接的に連結」されているものだけでなく、その中間にさらに他の部材を介して「間接的に連結」されているものも含まれる。また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは特に断らない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えてもよいことを意味する。
【0031】
本明細書に用いる用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いるものであり、本発明を限定するものではない。単数の表現には、特に断らない限り、複数の表現が含まれる。本明細書における「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせが存在することを示すものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除するものではないことを理解すべきである。
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムの断面図である。
【0034】
図1に示すように、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100は、液晶保護フィルム部110、カバーフィルム部120、及び離型フィルム部130を含む。
【0035】
液晶保護フィルム部110は、スマート機器の液晶Gの上部に付着され、液晶Gを保護するように設けられてもよい。
【0036】
液晶保護フィルム部110は、第1の層111、第2の層112、及び液晶粘着層113を含む。
【0037】
第1の層111は、液晶Gの上部に付着され、液晶Gを保護するように設けられる。
【0038】
第1の層111は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン(PU)素材の基材層からなってもよく、20~188μmの厚さに形成されてもよい。
【0039】
第2の層112は、第1の層111の上部にコーティング形成され、第1の層111の耐久性を向上させるように設けられてもよい。
【0040】
第2の層112は、第1の層111の上部に熱硬化性ハードコートまたはUVハードコートを行って形成されてもよく、0.1~20μmの厚さに形成されてもよい。
【0041】
第2の層112は、第1の層111の基材層と同じ素材で連続して設けられてもよい。そのとき、第2の層112は、熱または粘着によって第1の層111と同じ基材層に積層して形成されてもよい。
【0042】
液晶粘着層113は、第1の層111の下部に形成され、液晶Gと第1の層111とを粘着するように設けられてもよい。
【0043】
液晶粘着層133は、シリコーン系、アクリル系、及びウレタン系素材で設けられてもよく、1~50μmの厚さに形成されてもよい。
【0044】
このように設けられた液晶粘着層113は、第1の層111のインピーダンスと予め設定された差内のインピーダンスを有するように設けられてもよい。ここで、インピーダンスは、音響インピーダンスのことであり、音響インピーダンスは、以下の数式(1)によって計算される。
【0045】
【数1】
【0046】
ここで、Zは音響インピーダンス(independent of frequency)、ρは密度、Cは超音波速度(ultrasound velocity)、Eは体積弾性率である。
【0047】
【表1】
【0048】
表1を参照すると、第2の層112と第1の層111は、同様の体積弾性率を有するために同様のインピーダンスを示すが、液晶粘着層113は、液晶G、第2の層112及び第1の層111との体積弾性率の差により大きなインピーダンスの差を有する。
【0049】
そして、インピーダンスの差により、超音波が液晶粘着層113を通過する度に超音波の透過量が大幅に低下し、指紋に到達する超音波量が少なくなることから、指紋認識率が大幅に低下する。
【0050】
よって、液晶粘着層113は、第1の層111のインピーダンスと予め設定された差内のインピーダンスを有するように設けられてもよい。
【0051】
そして、そのために、液晶粘着層113は、液晶粘着層113を通過する超音波の波長が、第1の層111を通過する超音波の波長と予め設定された差内の波長を有するように、厚さが制御されてもよい。
【0052】
特に、液晶粘着層113の厚さは、液晶粘着層113を通過する超音波の波長であるλがλの倍数となるように制御されてもよい。このように設けられた液晶粘着層113は、第1の層111のインピーダンスと予め設定された差内のインピーダンスを有することになる。
【0053】
また、第1の層111の厚さは、第1の層111を通過する超音波の波長であるλがλの倍数となるようにさらに制御されることにより、液晶粘着層113とのインピーダンス差をさらに小さくすることもできる。
【0054】
すなわち、本発明は、液晶G、第1の層111、第2の層112、及び液晶粘着層113のインピーダンス差が、指紋認識性能低下が0.35dB以内となるように制御されることにより、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100の指紋認識率をさらに向上させることができる。
【0055】
図2ないし図4は、本発明の一実施形態に係る超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムのインピーダンス差による波長変化を示す例示図である。
【0056】
一例として、図2に示すように、超音波モジュールUは、液晶Gの上部に向かって超音波を照射してもよい。
【0057】
そして、図3に示すように、照射された超音波は、液晶Gとは異なるインピーダンスを有する液晶粘着層113に進入することで、インピーダンス差によって一部の超音波が反射される。
【0058】
そのとき、液晶粘着層113と液晶Gとのインピーダンス差が予め設定された差よりも大きい状態であれば、大半の超音波が反射され、指紋に到達する超音波の量が少ないため、超音波認識率が低下する虞がある。
【0059】
しかしながら、本発明に係る液晶粘着層113は、液晶Gとのインピーダンス差が予め設定された差内になれる波長を有するように、厚さが制御された状態であるため、境界面において反射される超音波の量が少ない。
【0060】
すなわち、本発明は、液晶G、液晶粘着層113、第1の層111、及び第2の層112が同様のインピーダンスを有するため、超音波モジュールUから照射された超音波が比較的完全に指の指紋まで到達する。
【0061】
そして、図4に示すように、指の指紋に到達した超音波は、指の表皮層の間に形成された空気層と第2の層112とのインピーダンス差によって大半が反射される。すなわち、指紋の形状に応じて指の表皮層の間に形成された空気層から反射されて戻ってきた超音波を認識することで、指紋を正確に感知することができる。
【0062】
このように設けられた本発明によると、液晶G、液晶粘着層113、第1の層111、及び第2の層112同士のインピーダンスのミスマッチを最低限にすることで、保護フィルム部110を液晶Gに付着した状態でも、指紋認識性能低下を0.35dB以下にすることができる。すなわち、指紋センサと同等の性能レベルの超音波認識が可能になる。
【0063】
カバーフィルム部120は、液晶保護フィルム部110の上部に粘着された状態で設けられ、カバーフィルム121及びカバー粘着層122を含んでもよい。
【0064】
カバーフィルム121は、液晶保護フィルム部110の第2の層112の上部を保護するように設けられてもよい。
【0065】
カバーフィルム121は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン(PU)素材からなってもよく、12~150μmの厚さに形成されてもよい。
【0066】
カバー粘着層122は、カバーフィルム121の下部に形成され、液晶保護フィルム部110の上部にカバーフィルム121を粘着できるように粘着力を有する素材で設けられてもよい。
【0067】
カバー粘着層122は、シリコーン系、アクリル系、そしてウレタン系粘着剤素材で形成されてもよく、0.1~50μmの厚さに形成されてもよい。
【0068】
離型フィルム部130は、液晶保護フィルム部110の下部に粘着された状態で設けられ、離型フィルム131及び離型層132を含んでもよい。
【0069】
離型フィルム131は、液晶保護フィルム部110の下部の粘着面を保護するように設けられてもよい。
【0070】
離型フィルム131は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン(PU)素材から形成されてもよく、12~150μmの厚さに形成されてもよい。
【0071】
離型層132は、離型フィルム131の上部に形成され、液晶保護フィルム部110の下部に離型フィルム131を容易に脱着可能にする。
【0072】
離型層132は、フッ素離型材で設けられてもよく、0.1~5μmの厚さに形成されてもよい。
【0073】
このように設けられた離型フィルム部130は、液晶粘着層113に付着された状態で液晶粘着層113を保護し、液晶粘着層113を液晶Gに付着させる際には、取り外されるように設けられてもよい。
【0074】
また、カバーフィルム部120は、液晶保護フィルム部110を液晶Gに付着してから取り外されることにより、液晶保護フィルム部110が液晶Gに付着されるまで、液晶保護フィルム部110を保護するように設けられてもよい。
【0075】
前述のように設けられた本発明によると、液晶保護フィルム部110を液晶に付着したときにも、超音波の低下が0.35dB以内となるようにすることで、高い指紋認識率を確保することができる。
【0076】
図5は、本発明の一実施形態に係る屈曲した液晶に付着された超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルムの側面を示す例示図である。
【0077】
なお、図5に示すように、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100を成形する主な原理は、高分子工学で言う「ミクロブラウン運動(micro-brownian motion)」によって実現される。超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100に対して温度を上げると、各構成層の高分子物質は、それぞれ温度による分子の活性を有して動き始める温度であるTg(ガラス化温度)とTm(溶融温度)に順次到達する。
【0078】
そして、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100の各構成層に対して、前述したTg(ガラス化温度)とTm(溶融温度)との間でできるだけ均等にTg(ガラス化温度)が交差する温度領域が形成されるように、フィルム層の物性をそれぞれ設計して作製し、その後必要に応じて、実際のフォーミング機器において各構成層に対して温度を測定し、Tg(ガラス化温度)が交差する温度範囲で実際の成形を行う。
【0079】
その場合、超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100は、加わる圧力の大きさや加わる圧力の方向に対して層ごとに変形が発生するので、本超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100の上下左右の折り曲げ面を含む周辺部分は、フォーミング工程後に実際に付着すべき強化ガラスである液晶(G)付着表面部分に対して直角方向基準で、-45~+45度の変形された勾配の斜面値を有するように設けられてもよい。
【0080】
また、液晶の屈曲部分の曲率よりもフォーミングされた(屈曲加圧された)液晶保護フィルム100の屈曲部分の曲率を同一または比較的に大きくしてもよく、それにより、屈曲面がフォーミングされた液晶保護フィルム100の屈曲部分が液晶の屈曲部分よりも比較的に曲がる形状に形成されることが好ましく、フォーミングされたフォーミングフィルムの屈曲部分が弾性によって設計された曲率を備えるので、スプリングバック現象を防ぐと共に、熱シワの発生または成形損傷の発生を防ぐことができる。
【0081】
さらに、本発明である超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム100を液晶に直接付着するに当たり、前述のような液晶と液晶保護フィルム100との屈曲面の曲率差に応じて、液晶の表面に別途の接着剤などを追加塗布する必要がなく、単に本発明である液晶保護フィルム100に含まれている液晶粘着層113の付着力のみでも十分な強度の接着力を提供することができる。よって、液晶保護フィルム100が屈曲液晶に付着された後、接着剤などが漏れ出る問題を防ぐことができるのみならず、そのまま液晶保護フィルム100の折り曲げ面に沿ってそれぞれのフィルム層及び液晶粘着層113が屈曲形成されるため、液晶保護フィルム100が液晶に付着された状態で、埃や異物などが付着されていない非常にきれいな接触面を維持できるといった利点がある。
【0082】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形できることを理解するであろう。よって、前述した実施形態はあくまで例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。例えば、単一のものが説明されている各構成要素が分散した形態で実施されてもよく、同様に分散したものが説明されている各構成要素も結合した形態で実施されてもよい。
【0083】
本発明の範囲は特許請求の範囲に示されており、特許請求の範囲の意味及び範囲、さらにその均等概念から導かれるあらゆる変更又は変形された形態が本発明に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0084】
100 超音波指紋認識が可能な液晶保護フィルム
110 液晶保護フィルム部
111 第1の層
112 第2の層
113 液晶粘着層
120 カバーフィルム部
121 カバーフィルム
122 カバー粘着層
130 離型フィルム部
131 離型フィルム
132 離型層
G 液晶
U 超音波モジュール

図1
図2
図3
図4
図5