(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】直流およびマイクロ波信号を制御するための超電導デバイス
(51)【国際特許分類】
H01P 1/20 20060101AFI20240731BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240731BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240731BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240731BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240731BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240731BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240731BHJP
H01P 5/12 20060101ALI20240731BHJP
H10N 60/00 20230101ALI20240731BHJP
H10N 60/10 20230101ALI20240731BHJP
【FI】
H01P1/20 Z
H01L21/88 M
H01L27/04 F
H01L29/06 601D
H01P5/12 A
H10N60/00 A
H10N60/10 K
(21)【出願番号】P 2021517638
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2019077247
(87)【国際公開番号】W WO2020078777
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-04-18
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】アブド、バレーフ
(72)【発明者】
【氏名】ブリンク、マーカス
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-507929(JP,A)
【文献】特開2010-141787(JP,A)
【文献】特開2018-088638(JP,A)
【文献】特開2000-311573(JP,A)
【文献】国際公開第94/028592(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/143071(WO,A1)
【文献】特開昭55-049008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/20
H10N 60/10
H10N 60/00
H01L 29/06
H01L 21/822
H01L 21/3205
H01P 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および前記直流と前記マイクロ波信号を結合
する共通回路を形成することであって、前記直流回路が、バンドストップ回路を備え、前記マイクロ波回路が、キャパシタを備える、前記形成することと、
前記直流回路の第1の終端および前記マイクロ波回路の第1の終端を前記共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することと
を含
み、
前記形成することが、
前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の厚さの第1の超電導膜に形成することと、
前記第1の超電導膜上に堆積した第2の厚さの誘電体膜にパターンを形成することと、
前記直流回路の第2の部分、前記マイクロ波回路の第2の部分、および前記共通回路のパターンを、前記誘電体膜上に堆積した、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さより大きい第3の厚さの第2の超電導膜に形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記直流をサポートし、超電導デバイスの帯域幅の範囲内のマイクロ波信号を阻止するバンドストップ・フィルタで前記バンドストップ回路を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共通回路の前記第1の終端を前記動作可能なように連結することが、
前記共通回路の前記第1の終端に共通ノードを形成することと、
前記直流回路の前記第1の終端および前記マイクロ波回路の前記第1の終端を前記共通ノードに動作可能なように連結することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記直流回路の第2の終端を直流ポートに、前記マイクロ波回路の第2の終端をマイクロ波ポートに、および前記共通回路の第2の終端を共通ポートに動作可能なように連結することであって、前記直流ポートが、前記直流をサポートし、前記マイクロ波ポートが、前記マイクロ波信号をサポートし、前記共通ポートが、前記直流と前記マイクロ波信号をサポートする、前記連結すること
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の超電導膜に前記パターンを形成することが、
前記直流をサポートする直流ポート、前記マイクロ波信号をサポートするマイクロ波ポート、および前記マイクロ波信号と前記直流をサポートする共通ポートのパターンを、前記第1の超電導膜に形成すること
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記直流をサポートする直流ポート、および前記マイクロ波信号と前記直流をサポートする共通ポートのパターンを、前記第1の超電導膜に形成することを含み、前記第2の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記マイクロ波信号をサポートするマイクロ波ポートにパターンを形成することを含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
方法であって、
直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および前記直流と前記マイクロ波信号をサポートする共通回路を形成することであって、前記直流回路が、バンドストップ回路を備え、前記マイクロ波回路が、キャパシタを備える、前記形成することと、
前記直流回路の第1の終端および前記マイクロ波回路の第1の終端を前記共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することと
を含み、
前記形成することが、
前記直流回路の第1の部分、前記マイクロ波回路の第1の部分、および前記共通回路のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の超電導膜に形成することと、
前記第1の超電導膜上に堆積した誘電体膜にパターンを形成することと、
前記直流回路の第2の部分および前記マイクロ波回路の第2の部分のパターンを、前記誘電体膜上に堆積した第2の超電導膜に形成することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記第1の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記直流をサポートする直流ポート、前記マイクロ波信号をサポートするマイクロ波ポート、および前記マイクロ波信号と前記直流をサポートする共通ポートのパターンを、前記第1の超電導膜に形成することを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記直流をサポートする直流ポート、および前記マイクロ波信号と前記直流をサポートする共通ポートのパターンを、前記第1の超電導膜に形成することを含み、前記第2の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記マイクロ波信号をサポートするマイクロ波ポートにパターンを形成することを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
方法であって、
直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および前記直流と前記マイクロ波信号を結合
する共通回路を形成することであって、前記直流回路が、バンドストップ回路を備え、前記マイクロ波回路が、バンドパス回路を備える、前記形成することと、
前記直流回路の第1の終端および前記マイクロ波回路の第1の終端を前記共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することと
を含
み、
前記形成することが、
前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の厚さの第1の超電導膜に形成することと、
前記第1の超電導膜上に堆積した第2の厚さの誘電体膜にパターンを形成することと、
前記直流回路の第2の部分、前記マイクロ波回路の第2の部分、および前記共通回路のパターンを、前記誘電体膜上に堆積した、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さより大きい第3の厚さの第2の超電導膜に形成することと
を含む、方法。
【請求項11】
前記直流をサポートし、超電導デバイスの帯域幅の範囲内のマイクロ波信号を阻止するバンドストップ・フィルタで前記バンドストップ回路を形成することと、
超電導デバイスの帯域幅の範囲内のマイクロ波信号の伝送を可能にし、直流を阻止するバンドパス・フィルタで前記バンドパス回路を形成することと
をさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記共通回路を前記動作可能なように連結することが、
前記共通回路の前記第1の終端に共通ノードを形成することと、
前記直流回路の前記第1の終端および前記マイクロ波回路の前記第1の終端を前記共通ノードに動作可能なように連結することと
を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記直流回路の第2の終端を直流ポートに、前記マイクロ波回路の第2の終端をマイクロ波ポートに、および前記共通回路の第2の終端を共通ポートに動作可能なように連結することであって、前記直流ポートが、前記直流をサポートし、前記マイクロ波ポートが、前記マイクロ波信号をサポートし、前記共通ポートが、前記直流と前記マイクロ波信号をサポートする、前記連結すること
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
方法であって、
直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および前記直流と前記マイクロ波信号をサポートする共通回路を形成することであって、前記直流回路が、バンドストップ回路を備え、前記マイクロ波回路が、バンドパス回路を備える、前記形成することと、
前記直流回路の第1の終端および前記マイクロ波回路の第1の終端を前記共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することと
を含み、
前記形成することが、
前記マイクロ波回路のためのインダクタのパターンを、ウエハ上に堆積した第1の超電導膜に形成することと、
前記第1の超電導膜に堆積した第2の超電導膜にパターンを形成することと、
前記第2の超電導膜上に堆積した誘電体膜にパターンを形成することと、
前記誘電体膜上に堆積した第3の超電導膜にパターンを形成することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記第2の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記直流回路、前記共通回路、および前記マイクロ波回路の第1の部分にパターンを形成することを含み、前記第3の超電導膜にパターンを形成することが、前記マイクロ波回路の第2の部分にパターンを形成することを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記マイクロ波回路の第1の部分にパターンを形成することを含み、前記第3の超電導膜に前記パターンを形成することが、前記直流回路、前記共通回路、および前記マイクロ波回路の第2の部分にパターンを形成することを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
方法であって、
直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および前記直流と前記マイクロ波信号を結合
する共通回路を形成することであって、前記直流回路が、第1のキャパシタによってシャントされた第1の4分の1波長伝送回線を備える、前記形成することと、
前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分に前記共通回路を動作可能なように連結することと
を含
み、
前記形成することが、
前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の厚さの第1の超電導膜に形成することと、
前記第1の超電導膜上に堆積した第2の厚さの誘電体膜にパターンを形成することと、
前記直流回路の第2の部分、前記マイクロ波回路の第2の部分、および前記共通回路のパターンを、前記誘電体膜上に堆積した、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さより大きい第3の厚さの第2の超電導膜に形成することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記直流回路を前記形成することが、前記第1の4分の1波長伝送回線を電気接地にシャントするために前記第1のキャパシタを使用することをさらに含み、前記マイクロ波回路を前記形成することが、第2のキャパシタを前記マイクロ波回路に挿入することを含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記直流回路を前記形成することが、前記第1の4分の1波長伝送回線を電気接地にシャントするために前記第1のキャパシタ、および第2の4分の1波長伝送回線を電気接地にシャントするために第2のキャパシタを使用することをさらに含み、前記マイクロ波回路を前記形成することが、第3のキャパシタを前記マイクロ波回路に挿入することを含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項20】
方法であって、
直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および前記直流と前記マイクロ波信号を結合
する共通回路を形成することであって、前記直流回路を前記形成することが、第1の4分の1波長伝送回線を第1のキャパシタでシャントすることを含み、前記マイクロ波回路を前記形成することが、第2のキャパシタを前記マイクロ波回路に挿入することを含む、前記形成することと、
前記直流回路の第1の終端および前記マイクロ波回路の第1の終端に前記共通回路を動作可能なように連結することと
を含
み、
前記形成することが、
前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の厚さの第1の超電導膜に形成することと、
前記第1の超電導膜上に堆積した第2の厚さの誘電体膜にパターンを形成することと、
前記直流回路の第2の部分、前記マイクロ波回路の第2の部分、および前記共通回路のパターンを、前記誘電体膜上に堆積した、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さより大きい第3の厚さの第2の超電導膜に形成することと
を含む、方法。
【請求項21】
前記第1の4分の1波長伝送回線を電気接地にシャントするために前記第1のキャパシタ、および第2の4分の1波長伝送回線を電気接地にシャントするために第3のキャパシタを使用することをさらに含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
方法であって、
直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および前記直流と前記マイクロ波信号を結合
する共通回路を形成することであって、前記直流回路を前記形成することが、第1の4分の1波長伝送回線を第1のキャパシタで接地に、および第2の4分の1波長伝送回線を第2のキャパシタで接地に、シャントすることを含み、前記マイクロ波回路を前記形成することが、第3のキャパシタを前記マイクロ波回路に挿入することを含む、前記形成することと、
前記直流回路の第1の終端および前記マイクロ波回路の第1の終端を前記共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することと
を含
み、
前記形成することが、
前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の厚さの第1の超電導膜に形成することと、
前記第1の超電導膜上に堆積した第2の厚さの誘電体膜にパターンを形成することと、
前記直流回路の第2の部分、前記マイクロ波回路の第2の部分、および前記共通回路のパターンを、前記誘電体膜上に堆積した、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さより大きい第3の厚さの第2の超電導膜に形成することと
を含む、方法。
【請求項23】
前記直流回路の第2の終端に直流ポートを、前記マイクロ波回路の第2の終端にマイクロ波ポートを、および共通回路の第2の終端に共通ポートを形成することであって、前記直流ポートが、前記直流をサポートし、前記マイクロ波ポートが、前記マイクロ波信号をサポートし、前記共通ポートが、前記直流と前記マイクロ波信号をサポートする、前記形成すること
をさらに含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
超電導デバイスであって、
直流をサポートするバンドストップ回路を備える直流回路と、
マイクロ波信号をサポートするキャパシタまたはバンドパス回路を備えるマイクロ波回路と
を備え、
前記マイクロ波回路の第1の終端および前記直流回路の第1の終端が、前記直流と前記マイクロ波信号を結合
する共通回路によって結合され
、
ウエハ上に堆積した第1の厚さの第1の超電導膜に形成された、前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分のパターンと、
前記第1の超電導膜上に堆積した第2の厚さの誘電体膜に形成されたパターンと、
前記誘電体膜上に堆積した、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さより大きい第3の厚さの第2の超電導膜に形成された、前記直流回路の第2の部分、前記マイクロ波回路の第2の部分、および前記共通回路のパターンと
を含む、超電導デバイス。
【請求項25】
超電導デバイスであって、
第1のキャパシタによってシャントされた第1の4分の1波長伝送回線を備え
、直流をサポートする直流回路と、
マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路と、
前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分に連結され、前記直流と前記マイクロ波信号を結合
する共通回路と
を備え
、
ウエハ上に堆積した第1の厚さの第1の超電導膜に形成された、前記直流回路の第1の部分および前記マイクロ波回路の第1の部分のパターンと、
前記第1の超電導膜上に堆積した第2の厚さの誘電体膜に形成されたパターンと、
前記誘電体膜上に堆積した、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さより大きい第3の厚さの第2の超電導膜に形成された、前記直流回路の第2の部分、前記マイクロ波回路の第2の部分、および前記共通回路のパターンと
を含む、超電導デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
超電導デバイスは、規定の温度未満で零電気抵抗を示すことができるデバイスである。超電導デバイスは、例えば、量子コンピュータのためのキュービットとして用いることができる。別の例では、超電導デバイスは、直流とマイクロ波信号の結合器(combiner)または分離器(separator)あるいはその両方であってもよい。
【0002】
例えば、直流またはマイクロ波信号あるいはその両方の結合または分離あるいはその両方を行うための方法またはデバイスあるいはその両方は、(例えば、超電導ではなく)バイアス・ティーの使用を通じたものである。バイアス・ティーは、マイクロ波デバイスの直流バイアス・ポイントをセットするために使用される3ポート回路である。それでも、バイアス・ティーは、大きい静電容量(例えば、およそ0.01マイクロファラッド(μF))および大きいインダクタンス(例えば、およそ1ミリヘンリー(mH))の使用を必要とするが、これらをチップ上で実現するのは困難である。大きいインダクタンスに関連する問題は、実現するのが技術的に困難であること、大量の空間を占めること、または、信号の喪失を持ち込むこと、あるいはその組合せがあり得ることである。したがって、超電導デバイスのインダクタンスを低減させる試みが行われてきた。
【0003】
別の例では、インダクタンスの低減における1つの試みにおいて、「基礎となるニオビウム信号層上のカバレッジをコーティングするために最適化されたニオビウム・スパッタ堆積の前に、犠牲ポリマー層を使用することによって、真空ギャップ・クロスオーバを実現した」。Denisらの「Fabrication of Superconducting Vacuum-Gap Crossovers for High Performance Microwave Applications」、IEEE Transactions on Applied Superconductivity、Vol.27、No. 4、2017年6月、要約を参照されたい。「共平面導波路とマイクロストリップ・クロスオーバ・トポロジの両方を詳細に調査してきた」。同書を参照されたい。「結果として生じる製造プロセスは、導波路が連結した検出器を実現するためのバルク・ミクロ機械加工プロセスと互換性があり、これは、犠牲ワックス・ボンディング、および、区間を絶縁したシリコン膜構造(leg isolated silicon membrane structure)の作成のためのウエハ裏面ディープ反応性イオン・エッチング(wafer backside deep reactive ion etching)を含む。」同書の要約を参照されたい。それでも、超電導デバイス、および同じものの製造を改善することができる。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本発明の1つまたは複数の実施形態を基本的に理解するための概要を提示する。本概要は、主要もしくは重要な要素を識別すること、または、特定の実施形態のいずれかの範囲、もしくは、特許請求の範囲のいずれかの範囲を詳しく説明することを意図するものではない。その唯一の目的は、後で提示される、より詳細な説明の前置きとして、概念を単純な形で提示することである。1つまたは複数の実施形態では、量子アプリケーションのために直流およびマイクロ波信号を制御する超電導デバイスの製造を容易にするデバイス、システム、方法、コンピュータ実行方法、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せを本明細書で説明する。
【0005】
1つの実施形態によれば、方法は、直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および直流とマイクロ波信号をサポートする共通回路を形成することを含むことができる。直流回路は、バンドストップ回路を備えることができる。マイクロ波回路は、キャパシタを備えることができる。方法は、直流回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端を共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することを含むこともできる。このような方法の長所は、直流とマイクロ波信号の結合または分離あるいはその両方を行うことを可能にする超電導デバイスを、オンチップ超電導回路として実現できることである。
【0006】
別の実施形態によれば、方法は、直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および直流とマイクロ波信号をサポートする共通回路を形成することを含むことができる。直流回路は、バンドストップ回路を備えることができ、マイクロ波回路は、バンドパス回路を備えることができる。方法は、直流回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端を共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することを含むこともできる。このような方法の長所は、直流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、超電導回路を使用して実現できることである。
【0007】
別の実施形態によれば、方法は、直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および直流とマイクロ波信号をサポートする共通回路を形成することを含むことができる。直流回路は、第1のキャパシタによってシャントされた第1の4分の1波長伝送回線を備えることができる。方法は、直流回路の第1の部分およびマイクロ波回路の第1の部分に共通回路を動作可能なように連結することを含むこともできる。このような方法の長所は、実現するのが困難になり得る大きいインダクタンスを使用しなくても、直流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を製造できることである。
【0008】
別の実施形態によれば、方法は、直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および直流とマイクロ波信号をサポートする共通回路を形成することを含むことができる。直流回路を形成することは、第1の4分の1波長伝送回線を第1のキャパシタでシャントすることを含むことができる。さらに、マイクロ波回路を形成することは、第2のキャパシタをマイクロ波回路に挿入することを含むことができる。方法は、直流回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端に共通回路を動作可能なように連結することを含むこともできる。このような方法の長所は、直流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、オンチップ超電導回路として実現できることである。
【0009】
さらなる実施形態によれば、方法は、直流をサポートする直流回路、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波回路、および直流とマイクロ波信号をサポートする共通回路を形成することを含むことができる。直流回路を形成することは、第1の4分の1波長伝送回線を第1のキャパシタで接地に、および第2の4分の1波長伝送回線を第2のキャパシタで接地に、シャントすることを含むことができる。さらに、マイクロ波回路を形成することは、第3のキャパシタをマイクロ波回路に挿入することを含むことができる。方法は、直流回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端を共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することを含むこともできる。このような方法の長所は、実現するのが困難になり得る大きいインダクタンスを使用しなくても、直流とマイクロ波信号の結合または分離あるいはその両方を行うことを可能にする超電導デバイスを製造できることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、改良型超電導デバイスを提供する実例の非限定的なシステムのブロック図である。
【
図2】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路の1つの実施形態を備える実例の非限定的なシステムのブロック図である。
【
図3A】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図2のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図3B】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図2のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図3C】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図2のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図4】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、実例の非限定的なシステムのブロック図である。
【
図5】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路の別の実施形態を備える実例の非限定的なシステムのブロック図である。
【
図6A】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図5のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図6B】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図5のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図6C】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図5のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図7】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路のさらなる実施形態を備える実例の非限定的なシステムのブロック図である。
【
図8A】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図7のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図8B】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図7のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図8C】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図7のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図9】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路の別の実施形態を備える実例の非限定的なシステムのブロック図である。
【
図10A】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図9のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図10B】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図9のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図10C】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図9のシステムの実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフである。
【
図11】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のための実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図12】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流回路およびマイクロ波回路に共通回路を連結するための実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図13】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流回路、マイクロ波回路、および共通回路を形成するための実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図14】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流回路、マイクロ波回路、および共通回路を形成するための別の実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図15】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の別の実施形態の製造のための実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図16】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、バンドストップ回路およびバンドパス回路を備える直流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のための実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図17】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流回路、マイクロ波回路、および共通回路を連結するための実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図18】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方を製造するための実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図19】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のための別の実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図20】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のためのさらなる実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図21】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、直流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のためのさらに別の実例の非限定的な方法の流れ図である。
【
図22】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、製造することができる実例の非限定的な回路を示す図である。
【
図23】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、製造することができる別の実例の非限定的な回路を示す図である。
【
図24】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる実例の非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、例証にすぎず、実施形態、または実施形態の用途もしくは使用、あるいはその両方を限定することを意図するものではない。さらに、先行する背景技術もしくは発明の概要セクションで、または発明を実施するための形態セクションで提示した、いずれかの表現した、または意味した情報によって束縛することを意図するものではない。
【0012】
図面を参照しながら1つまたは複数の実施形態を次に説明するが、同様の要素を指すために同様の参照番号を全体にわたって使用する。以下の説明では、説明のために、1つまたは複数の実施形態をより完全に理解するために、非常に多くの具体的詳細を示す。それでも、これらの具体的詳細がなくても、1つまたは複数の実施形態を実践できることが様々なケースで明らかである。
【0013】
超電導デバイスは、規定の温度未満で零電気抵抗を示すデバイスであってもよい。1つの例では、超電導デバイスは、量子コンピュータのためのキュービットとして用いることができる。別の例では、超電導デバイスは、直流(DC電流)とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方であってもよい。
【0014】
開示の態様が取り組む問題は、一般に、DC電流とマイクロ波信号の結合または分離あるいはその両方を行うマイクロ波デバイスが非常に大きいインダクタンスを用いることであり、非常に大きいインダクタンスは、実現するのが技術的に困難であり得ること、大量の空間を占めること、または損失を生じ得ること、あるいはその組合せがある。超電導構成要素を使用してこのようなマイクロ波デバイスを実現するために、超電導デバイスのインダクタンスを著しく減らすこと、または、その特性の1つもしくは複数を改善すること、あるいはその両方が望ましい。
【0015】
上記のまたは他のあるいはその両方の問題に取り組むために、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態は、DC電流とマイクロ波信号の超低温結合器の製造を容易にするシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品を含む。例えば、DC電流とマイクロ波信号の改良型超電導結合器の製造を行うことができる。追加として、または代替として、DC電流とマイクロ波信号の改良型超電導分離器の製造を行うことができる。1つの実施形態では、本明細書で開示した超電導デバイスは、オンチップで製造することができる。別の実施形態では、超電導デバイスは、複数の信号の結合または分離あるいはその両方を行うための複数のポートを備えることができる。
【0016】
例えば、超電導デバイスは、DC電流をサポートする第1のポート(例えば、DCポート)、マイクロ波信号をサポートする第2のポート(例えば、マイクロ波ポート)、およびマイクロ波信号とDC電流の両方をサポートする第3のポート(例えば、共通ポート)を備えることができる。1つの態様では、超電導デバイスは、DC電流信号をサポートする第1の回路アーム(例えば、DC回路アーム)、およびマイクロ波信号をサポートする第2の回路アーム(例えば、マイクロ波回路アーム)を備えることができる。第1の回路アームおよび第2の回路アームは、DC電流とマイクロ波信号の両方をサポートすることができる共通ノードおよび第3のアームで結合することができる。
【0017】
マイクロ波信号をマイクロ波ポートに入力し、DC電流をDCポートに入力することができ、結合した信号が共通ポートを通って出て行く1つの実施形態では、超電導デバイスは、結合器として実装することができる。マイクロ波信号およびDC電流を共通ポートに入力し、マイクロ波信号がマイクロ波ポートを通って出て行き、DC電流がDCポートを通って出て行く別の実施形態では、超電導デバイスは、スプリッタとして実装することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の回路アーム(例えば、マイクロ波回路アーム)は、キャパシタを備えることができ、第1の回路アーム(例えば、DC回路アーム)は、DC電流をサポートすること、および、超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号を阻止することができるバンドストップ・フィルタを備えることができる。別の実施形態では、第2の回路アーム(例えば、マイクロ波回路アーム)は、超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号の伝送を可能にすることができるバンドパス・フィルタを備えることができ、第1の回路アーム(例えば、DC回路アーム)は、DC電流をサポートすること、および、超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号を阻止することができるバンドストップ・フィルタを備えることができる。さらに別の実施形態では、第2の回路アーム(例えば、マイクロ波回路アーム)は、キャパシタを備えることができ、第1の回路アーム(例えば、DC回路アーム)は、電気接地に連結されたキャパシタでシャントすることができる4分の1波長伝送回線を備えることができ、ここで、伝送回線の長さは、超電導デバイスの中心周波数に関連した波長の4分の1を指すことができる。さらに別の実施形態では、第2の回路アーム(例えば、マイクロ波回路アーム)は、キャパシタを備えることができ、第1の回路アーム(例えば、DC回路アーム)は、キャパシタで電気接地にシャントすることができる4分の1波長伝送回線、および、別のキャパシタで電気接地にシャントすることができる別の4分の1波長伝送回線を備えることができ、ここで、第1の回路アームのための伝送回線の長さに対応する4分の1波長は異なっていてもよい(例えば、超電導デバイスの2つの異なる中心周波数に関連したものであってもよい)。したがって、DC電流とマイクロ波信号の結合または分離あるいはその両方を行う超電導デバイスのインダクタンスを減らすことができる。さらに、マイクロ波ポートとDCポートとの間の絶縁だけでなく、超電導デバイスによって伝送されるマイクロ波信号の帯域幅も改善することができる。超電導デバイスは、狭帯域通信または広帯域通信のために設計された超電導のDC電流とマイクロ波の結合器または分離器あるいはその両方のデバイスであってもよい。その上、超電導デバイスのDCポートとマイクロ波ポートとの間の絶縁を向上させることもできる。したがって、改良型超電導デバイスを提供することができる。
【0019】
いくつかの実装形態によれば、本明細書で論じる様々な態様(例えば、結合器または分離器あるいはその両方の超電導デバイス)は、ジョセフソン・パラメトリック・コンバータ(JPC:Josephson Parametric Converter)など、量子限定の増幅器のために利用することができる。例えば、超電導デバイスは、超電導量子要素(例えば、JPC)をドライブするポンプ・トーン(pump tone)と、超電導量子要素(例えば、JPC)をフラックス・バイアスするDC電流とを結合するために用いることができる。さらに、超電導デバイスは、DC電流またはマイクロ波信号あるいはその両方をサポートすることができる超電導量子要素(例えば、JPC)のオンチップのポンプ回線に、結合信号を注入することができる。
【0020】
別の例では、本明細書で論じる様々な態様(例えば、結合器または分離器あるいはその両方のデバイス)は、カイネティック・インダクタンス進行波(KIT:Kinetic Inductance Traveling wave)増幅器などの、量子限定の増幅器のために利用することができる。例えば、超電導デバイスは、超電導量子要素(例えば、KIT増幅器)をバイアスするDC電流と、増幅させることになるマイクロ波信号とを結合するために用いることができる。さらに、超電導デバイスは、結合信号を介して、超電導量子要素(例えば、KIT増幅器)の入力にDC電流およびマイクロ波信号を送り込むことができる。その上、1つの実施形態では、超電導デバイスは、マイクロ波信号(例えば、増幅した量子マイクロ波信号)と、超電導量子要素(例えば、KIT増幅器)をバイアスするDC電流とを、超電導量子要素(例えば、KIT増幅器)の出力で分離するために用いることができる。
【0021】
別の実施形態では、超電導量子要素は、キュービットであってもよい。例えば、超電導量子要素は、調節可能な超電導キュービットであってもよい。1つの態様では、超電導デバイスは、結合信号を介して、超電導量子要素(例えば、キュービット)のドライブまたはフラックス・バイアスあるいはその両方を行うことができる。それでも、超電導量子要素が、異なるタイプの量子要素であってもよいこと、または超電導デバイスを、量子計算に関連した異なるタイプの実装形態のために用いることができること、あるいはその両方を認識されたい。
【0022】
図1は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、製造することができる改良型超電導デバイスを提供する実例の非限定的なシステム100のブロック図を示す。本明細書で開示したように、用語「超電導デバイス」は、その帯域幅に含まれるDC電流とマイクロ波信号の結合または分離あるいはその両方を行う超電導デバイスを指すことができる。システム100は、例えば、超電導デバイス(例えば、超電導回路)であってもよい。1つの実施形態では、システム100は、超電導結合器に関連したものであってもよい。例えば、システム100は、超電導のDC電流とマイクロ波信号の結合器に関連したものであってもよい。別の実施形態では、システム100は、超電導分離器に関連したものであってもよい。例えば、システム100は、超電導のDC電流とマイクロ波信号の分離器に関連したものであってもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、チップ上で実現することができる。
【0023】
図1の実施形態では、システム100は、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備えることができる。DC回路102は、DC電流108を伝送することができる。マイクロ波回路104は、マイクロ波信号110を伝送することができる。共通回路106は、結合信号112を伝送することができる。結合信号112は、例えば、DC電流108とマイクロ波信号110を結合したものであってもよい。DC電流108は、1つまたは複数のDC電流であってもよく、マイクロ波信号110は、1つまたは複数のマイクロ波信号であってもよく、結合信号112は、1つまたは複数の結合信号であってもよい。
【0024】
DC電流108は、電流の流れに関連した電気信号であってもよい。DC電流108は、定電圧または定電流あるいはその両方を含むことができる。マイクロ波信号110は、電圧または電流あるいはその両方の振動変化に関連した無線周波数信号であってもよい。1つの態様では、マイクロ波回路104およびDC回路102は、共通回路106で結合することができる。例えば、DC回路102は、DC電流108をサポートする第1の回路アームであってもよく、マイクロ波回路104は、マイクロ波信号110をサポートする第2の回路アームであってもよい。さらに、共通回路106は、DC回路102(例えば、第1の回路アーム)とマイクロ波回路104(例えば、第2の回路アーム)とをつなぐ第3の回路アームであってもよい。DC回路102がDCポート114を備えること、マイクロ波回路104がマイクロ波ポート116を備えること、または共通回路106が共通ポート118を備えること、あるいはその組合せが可能である。DCポート114、マイクロ波ポート116、または共通ポート118、あるいはその組合せは、例えば、超電導デバイスのための1つまたは複数のポートであってもよい。
【0025】
1つの態様によれば、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106は、DC電流108とマイクロ波信号110の結合または分離あるいはその両方を行うために実装することができる。1つの実施形態では、共通回路106は、DCポート114を介して受け取ったDC電流108と、マイクロ波ポート116を介して受け取ったマイクロ波信号110とを結合して、共通ポート118を介して出力することができる結合信号112を生成することができる。したがって、1つの実施形態では、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106は、結合器回路として実装することができる。別の実施形態では、共通回路106は、共通ポート118を介して受け取ることができる結合信号112を、DCポート114を介したDC電流108と、マイクロ波ポート116を介したマイクロ波信号110に分離することができる。したがって、別の実施形態では、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106は、分離器回路として実装することができる。
【0026】
図1の実施形態では、DC回路102は、バンドストップ回路120を備えることができる。バンドストップ回路120は、DC電流をサポートし、超電導デバイスの帯域幅内の1つまたは複数のマイクロ波信号の伝送を阻止するバンドストップ・フィルタであってもよい。バンドストップ回路120は、例えば、マイクロ波信号110に関連した一連の周波数をフィルタにかける(例えば、減衰させる)バンドストップ・フィルタであってもよい。1つの態様では、バンドストップ回路120は、DC電流108の伝送をサポートすることができる。さらに、バンドストップ回路120は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号110の一部の伝送を阻止することができる。
【0027】
さらに、マイクロ波回路104は、キャパシタ122を備えることができ、キャパシタ122は、広帯域通信による、マイクロ波回路104を通じたマイクロ波信号110の伝送を可能にすることができる。キャパシタ122は、マイクロ波ポート116に電気的に連結することができる。さらに、キャパシタ122は、共通回路106およびDC回路102に電気的に連結することができる。
【0028】
さらに、図示のように、回路(例えば、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106)を結合するために、共通ノード124(およびアーム)を、共通回路の第1の終端に形成することができる。DC回路102の第1の終端、およびマイクロ波回路104の第1の終端は、共通ノード124に動作可能なように連結することができる。この例に付け加えて、DC回路の第2の終端は、DCポート114に動作可能なように連結することができ、マイクロ波回路104の第2の終端は、マイクロ波ポート116に動作可能なように連結することができ、共通回路の第2の終端は、共通ポート118に動作可能なように連結することができる。
【0029】
いくつかの態様によれば、システム100は、マイクロ波信号110が規定の帯域幅内にある1つの実装形態で用いることができる。いくつかの実施形態では、バンドストップ回路120は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号110の一部の伝送の阻止を容易にするための、4分の1波長伝送回線のセットを備えることができる。
【0030】
システム100(および、本明細書で論じる他のシステムまたは方法あるいはその両方)は、従来のDC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のデバイスと比較して、様々な長所をもたらすことができる。例えば、システム100を用いることによって、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、オンチップ超電導回路として実現することができる。DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のマイクロ波帯域幅を改善することもできる。DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスを、システム100を用いることによって、狭帯域通信または広帯域通信のために提供することもできる。その上、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える超電導デバイスのDCポートとマイクロ波ポートとの間の絶縁を、システム100を用いることによって向上させることもできる。
【0031】
様々な実施形態では、システム100は、超電導技術、量子ハードウェア技術、量子増幅器技術、調節可能な超電導キュービット技術、マイクロ波デバイス技術、量子情報処理技術、または他の技術、あるいはその組合せなどであるがこれらに限定されない技術に関連したものであってもよい。システム100は、ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方を用いて、抽象的ではなく、人間による一連の精神行為として実施することができない本質的に非常に技術的な問題を解決することができる。さらに、実施される処理のうちのいくつかは、超電導デバイスおよび同じものの製造に関連した規定の処理またはタスクあるいはその両方を実行するための、1つまたは複数の専用コンピュータ(例えば、1つまたは複数の専用回路、1つまたは複数の専用ハードウェア、など)によって実施することができる。システム100またはシステムの構成要素あるいはその両方は、例えば、超電導技術、量子ハードウェア技術、量子増幅器技術、調節可能な超電導キュービット技術、マイクロ波デバイス技術、量子情報処理技術等などの、上記で言及した技術の進歩を通じて生じる新しい問題を解決するために用いることができる。システム100の1つまたは複数の実施形態は、超電導システム、量子ハードウェア・システム、量子増幅器システム、調節可能な超電導キュービット・システム、マイクロ波デバイス・システム、量子情報処理システム、または他の技術的システム、あるいはその組合せに技術的改善をもたらすことができる。システム100の1つまたは複数の実施形態は、超電導デバイスのインダクタンスを減らすこと、超電導デバイスによって伝送される信号の帯域幅を改善すること、狭帯域通信もしくは広帯域通信のための超電導デバイスの設計を構成すること、または、超電導デバイスの絶縁を向上させること、あるいはその組合せによって、超電導デバイスに技術的改善をもたらすこともできる。
【0032】
図2は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路の1つの実施形態を備える実例の非限定的なシステム200のブロック図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0033】
システム200は、例えば、超電導デバイス(例えば、超電導回路)であってもよい。いくつかの実施形態では、システム200は、超電導結合器に関連したものであってもよい。他の実施形態では、システム200は、超電導分離器に関連したものであってもよい。いくつかの実施形態では、システム200は、チップ上で実現することができる。システム200は、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える。
図2に示した実施形態では、DC回路102は、バンドストップ回路120を備えることができる。1つの態様では、DC回路102がDCポート114を備えること、マイクロ波回路104がマイクロ波ポート116を備えること、または共通回路106が共通ポート118を備えること、あるいはその組合せが可能である。
【0034】
バンドストップ回路120は、伝送回線のセット(例えば、第1の伝送回線202a、第2の伝送回線202b、第3の伝送回線202c、第4の伝送回線202d、第5の伝送回線202eから第nの伝送回線202n、ここでnは整数である)を備えることができる。例えば、伝送回線のセットは、4分の1波長伝送回線のセットであってもよい。1つまたは複数の実施形態では、バンドストップ回路120は、図示および記述した数とは異なる数の伝送回線を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、4分の1波長伝送回線のセットに関連した3つより少ないユニット・セル、または、4分の1波長伝送回線のセットに関連した3つより多くのユニット・セルを、バンドストップ回路120によって用いることができる。1つの実施形態では、第1の伝送回線202aおよび第2の伝送回線202bは、DCポート114に電気的に連結することができる。さらに、第2の伝送回線202bは、第3の伝送回線202cおよび第4の伝送回線202dに電気的に連結することができる。第4の伝送回線202dは、第5の伝送回線202eまたは第Nの伝送回線202nあるいはその両方に電気的に連結することもできる。第Nの伝送回線202nは、マイクロ波回路104および共通回路106に電気的に連結することもできる。さらに、第1の伝送回線202a、第3の伝送回線202c、および第5の伝送回線202eは、開口端の伝送回線スタブであってもよい。1つの実施形態では、マイクロ波回路104は、キャパシタ122を備えることができる。キャパシタ122は、マイクロ波ポート116に電気的に連結することができる。さらに、キャパシタ122は、共通回路106およびDC回路102(例えば、DC回路102の第Nの伝送回線202n)に電気的に連結することができる。伝送回線のセットのそれぞれの伝送回線は、4分の1波長に等しい対応する長さを備えることができ、ここで、波長は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの中心周波数に関連した波長を指す。1つの例では、伝送回線のセットのそれぞれの伝送回線は、7ギガヘルツ(GHz)での信号の伝送を阻止することができる。
【0035】
非限定的な例では、第1の伝送回線202aは、第1のインピーダンス値(例えば、およそ265.9オームに等しい第1のインピーダンス値)を備えることができ、第2の伝送回線202bは、第2のインピーダンス値(例えば、約50オームに等しい第2のインピーダンス値)を備えることができ、第3の伝送回線202cは、第3のインピーダンス値(例えば、およそ387オームに等しい第3のインピーダンス値)を備えることができ、第4の伝送回線202dは、第2のインピーダンス値(例えば、約50オームに等しい第2のインピーダンス値)を備えることができ、第5の伝送回線202eは、第1のインピーダンス値(例えば、およそ265.9オームに等しい第1のインピーダンス値)を備えることができる。さらに、第Nの伝送回線202nは、第2のインピーダンス値(例えば、約50オームに等しい第2のインピーダンス値)を備えることができる。キャパシタ122は、例えば、およそ8ピコファラッド(pF)に等しい静電容量値を備えることができる。それでも、伝送回線のセットの伝送回線、またはキャパシタ122、あるいはその両方は、異なる値、異なる長さ、または異なる数のユニット・セル、あるいはその組合せを備えることができることを認識されたい。
【0036】
追加として、システム200は、従来のDC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のデバイスと比較して、様々な長所をもたらすことができる。例えば、システム200を用いることによって、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、オンチップ超電導回路として実現することができる。DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のマイクロ波帯域幅を改善することもできる。DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスを、システム200を用いることによって、狭帯域通信または広帯域通信のために提供することもできる。その上、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える超電導デバイスのDCポートとマイクロ波ポートとの間の絶縁を、システム200を用いることによって向上させることもできる。
【0037】
図3A~
図3Cは、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図2のシステム200の実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフを示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
図3A~
図3Cの例では、周波数をGHzで水平軸に示し、デシベル(dB)を垂直軸に示す。
【0038】
図3Aは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、DC回路102のDCポート114と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送の実例の非限定的なグラフ300を示す。グラフ300は、DC電流における周波数伝送があることを証明する。
図3Bは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116とDC回路102のDCポート114との間の)絶縁の実例の非限定的なグラフ302を示す。さらに、
図3Cは、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフ304を示す。
図3Cは、7GHzの周辺の、およそ800メガヘルツ(MHz)の帯域幅が、マイクロ波ポート(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116)と共通ポート(例えば、共通回路106の共通ポート118)との間を通ることができることを示す。グラフ304は、零周波数で伝送が妨げられることをさらに示す。
【0039】
図4は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、実例の非限定的なシステム400のブロック図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0040】
システム400は、例えば、超電導デバイス(例えば、超電導回路)であってもよい。1つの実施形態では、システム400は、超電導結合器に関連したものであってもよい。別の実施形態では、システム400は、超電導分離器に関連したものであってもよい。いくつかの実施形態では、システム400は、チップ上で実現することができる。
【0041】
システム400は、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える。1つの態様では、DC回路102がDCポート114を備えること、マイクロ波回路104がマイクロ波ポート116を備えること、または共通回路106が共通ポート118を備えること、あるいはその組合せが可能である。
図4に示した実施形態では、DC回路102は、バンドストップ回路120を備えることができ、マイクロ波回路104は、バンドパス回路402を備えることができる。
【0042】
バンドパス回路402は、例えば、マイクロ波信号110に関連した一連の周波数をフィルタにかける(例えば、減衰させる)バンドパス・フィルタであってもよい。1つの態様では、バンドパス回路402は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号の一部の伝送を可能にすることができる。1つの態様では、システム400は、マイクロ波信号が規定の帯域幅内にある1つの実装形態で用いることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、バンドパス回路402は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号の一部の伝送を可能にすることを容易にするための集中回路素子のセットを備えることができる。例えば、バンドパス回路402は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号の一部の伝送を可能にすることを容易にするための、インダクタのセット、またはキャパシタのセット、あるいはその両方を備えることができる。
【0044】
追加として、いくつかの態様によれば、バンドストップ回路120は、マイクロ波信号110に関連した一連の周波数をフィルタにかける(例えば、減衰させる)バンドストップ・フィルタであってもよい。バンドストップ回路120は、DC電流108の伝送をサポートすることができる。さらに、バンドストップ回路120は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号110の一部の伝送を阻止することができる。いくつかの実施形態では、バンドストップ回路120は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内のマイクロ波信号の一部の伝送の阻止を容易にするための、4分の1波長伝送回線のセットを備えることができる。例えば、バンドストップ回路120は、伝送回線のセット(例えば、第1の伝送回線202a、第2の伝送回線202b、第3の伝送回線202c、第4の伝送回線202d、第5の伝送回線202eから第nの伝送回線202n)を備えることができる。
【0045】
追加として、システム400は、従来のDC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のデバイスと比較して、様々な長所をもたらすことができる。例えば、システム400を用いることによって、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、オンチップ超電導回路として実現することができる。DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のマイクロ波帯域幅を改善することもできる。DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスを、システム400を用いることによって、狭帯域通信または広帯域通信のために提供することもできる。その上、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える超電導デバイスのDCポートとマイクロ波ポートとの間の絶縁を、システム400を用いることによって向上させることもできる。
【0046】
図5は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路の別の実施形態を備える実例の非限定的なシステム500のブロック図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0047】
システム500、例えば、超電導デバイス(例えば、超電導回路)であってもよい。1つの実施形態では、システム500は、超電導結合器に関連したものであってもよい。別の実施形態では、システム500は、超電導分離器に関連したものであってもよい。いくつかの実施形態では、システム500は、チップ上で実現することができる。
【0048】
システム500は、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える。1つの態様では、DC回路102がDCポート114を備えること、マイクロ波回路104がマイクロ波ポート116を備えること、または共通回路106が共通ポート118を備えること、あるいはその組合せが可能である。
【0049】
図5に示した実施形態では、DC回路102は、バンドストップ回路120を備えることができ、マイクロ波回路104は、バンドパス回路402を備えることができる。バンドパス回路402は、第1のインダクタ502、第1のキャパシタ504、第2のインダクタ506、第2のキャパシタ508、第3のインダクタ510、または第3のキャパシタ512、あるいはその組合せを備えることができる。第1のインダクタ502、第1のキャパシタ504、第2のインダクタ506、第2のキャパシタ508、第3のインダクタ510、または第3のキャパシタ512、あるいはその組合せは、例えば、一連の集中要素として、実装することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2のインダクタ506および第2のキャパシタ508のためのポジション/ロケーションは、性能に影響を及ぼすことなく、入れ替えることができる。追加として、または代替として、いくつかの実施形態では、第3のインダクタ510および第3のキャパシタ512のためのポジション/ロケーションは、性能に影響を及ぼすことなく、入れ替えることができる。その上、いくつかの実施形態では、バンドパス回路402は、
図5に示したものとは異なる数のユニット・セルを備えることができる。
【0051】
1つの態様では、第2のインダクタ506は、マイクロ波ポート116に電気的に連結することができる。さらに、第2のインダクタ506は、第2のキャパシタ508に電気的に連結することができる。第2のキャパシタ508は、第1のインダクタ502、第1のキャパシタ504、および第3のインダクタ510に電気的に連結することもできる。第1のインダクタ502および第1のキャパシタ504は、並行に実装することができる。さらに、第1のインダクタ502および第1のキャパシタ504は、電気接地に電気的に連結することができる。第3のインダクタ510は、第3のキャパシタ512に電気的に連結することもできる。第3のキャパシタ512は、共通回路106およびDC回路102(例えば、DC回路102のバンドストップ回路120)に電気的に連結することもできる。
【0052】
非限定的な例では、第1のインダクタ502は、およそ0.156ナノヘンリー(nH)に等しいインダクタンス値を備えることができ、第1のキャパシタ504は、約3.32pFに等しい静電容量値を備えることができ、第2のインダクタ506は、およそ12.1nHに等しいインダクタンス値を備えることができ、第2のキャパシタ508は、およそ42.7フェムトファラッド(fF)に等しい静電容量値を備えることができ、第3のインダクタ510は、約12.1nHに等しいインダクタンス値を備えることができ、第3のキャパシタ512は、およそ42.7fFに等しい静電容量値を備えることができる。それでも、第1のインダクタ502、第1のキャパシタ504、第2のインダクタ506、第2のキャパシタ508、第3のインダクタ510、または第3のキャパシタ512、あるいはその組合せは、異なる値を備えることができる。
【0053】
追加として、システム500は、従来のDC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のデバイスと比較して、様々な長所をもたらすことができる。例えば、システム500を用いることによって、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、オンチップ超電導回路として実現することができる。DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のマイクロ波帯域幅を改善することもできる。DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスを、システム500を用いることによって、狭帯域通信または広帯域通信のために提供することもできる。その上、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える超電導デバイスのDCポートとマイクロ波ポートとの間の絶縁を、システム500を用いることによって向上させることもできる。
【0054】
図6A~
図6Cは、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図5のシステム500の実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフを示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
図6A~
図6Cの例では、周波数をギガヘルツ(GHz)で水平軸に示し、dBを垂直軸に示す。
【0055】
図6Aは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、DC回路102のDCポート114と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送の実例の非限定的なグラフ600を示す。
図6Bは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116とDC回路102のDCポート114との間の)絶縁の実例の非限定的なグラフ602を示す。さらに、
図6Cは、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフ604を示す。
図6Cは、7GHzの周辺の、およそ800MHzの帯域幅が、マイクロ波ポート(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116)と共通ポート(例えば、共通回路106の共通ポート118)との間を通ることができることを示す。
【0056】
図7は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路のさらなる実施形態を備える実例の非限定的なシステム700のブロック図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0057】
システム700は、例えば、超電導デバイス(例えば、超電導回路)であってもよい。1つの実施形態では、システム700は、超電導結合器に関連したものであってもよい。別の実施形態では、システム700は、超電導分離器に関連したものであってもよい。いくつかの実施形態では、システム700は、チップ上で実現することができる。
【0058】
システム700は、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える。
図7に示した実施形態では、DC回路102は、回路702を備えることができ、マイクロ波回路104は、回路704を備えることができる。1つの態様では、回路702は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内の1つまたは複数のマイクロ波信号の伝送の阻止を容易にすることができる。さらに、回路704は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内の1つまたは複数のマイクロ波信号の伝送を可能にすることを容易にすることができる。
【0059】
回路702は、キャパシタ706および伝送回線708を備えることができる。伝送回線708は、例えば、4分の1波長伝送回線であってもよく、ここで、波長は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの中心周波数に関連した波長を指す。キャパシタ706および伝送回線708は、DCポート114に電気的に連結することができる。キャパシタ706は、電気接地に電気的に連結することもできる。伝送回線708は、共通回路106およびマイクロ波回路104(例えば、マイクロ波回路104のキャパシタ710)に電気的に連結することもできる。
【0060】
1つの例では、伝送回線708およびキャパシタ706は、7GHzを中心とする大きい帯域幅内のマイクロ波信号を阻止することができる。1つの態様では、システム700は、広帯域通信に関連したマイクロ波信号に関する1つの実装形態で用いることができる。非限定的な例では、キャパシタ706は、およそ20pFに等しい静電容量値を備えることができ、伝送回線708は、およそ50オームに等しいインピーダンス値を備えることができ、キャパシタ710は、約10pFに等しい静電容量値を備えることができる。それでも、キャパシタ706、伝送回線708、またはキャパシタ710、あるいはその組合せは、異なる値を有してもよい。
【0061】
追加として、システム700は、従来のDC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のデバイスと比較して、様々な長所をもたらすことができる。例えば、システム700を用いることによって、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、オンチップ超電導回路として実現することができる。DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のマイクロ波帯域幅を改善することもできる。DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスを、システム700を用いることによって、狭帯域通信または広帯域通信のために提供することもできる。その上、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える超電導デバイスのDCポートとマイクロ波ポートとの間の絶縁を、システム700を用いることによって向上させることもできる。
【0062】
図8A~
図8Cは、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図7のシステム700の実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフを示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
図8A~
図8Cの例では、周波数をGHzで水平軸に示し、dBを垂直軸に示す。
【0063】
図8Aは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、DC回路102のDCポート114と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送の実例の非限定的なグラフ800を示す。
図8Bは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116とDC回路102のDCポート114との間の)絶縁の実例の非限定的なグラフ802を示す。図示のように、広い周波数帯域にわたって、およそ-35dBにおいて絶縁があってもよい。さらに、
図8Cは、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送の実例の非限定的なグラフ804を示す。図示のように、帯域幅は、およそ9.7GHzであってもよい。
【0064】
図9は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のための回路の別の実施形態を備える実例の非限定的なシステム900のブロック図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0065】
システム900は、例えば、超電導デバイス(例えば、超電導回路)であってもよい。1つの実施形態では、システム900は、超電導結合器に関連したものであってもよい。別の実施形態では、システム900は、超電導分離器に関連したものであってもよい。いくつかの実施形態では、システム900は、チップ上で実現することができる。システム900は、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える。
【0066】
図9に示した実施形態では、DC回路102は、回路902を備えることができ、マイクロ波回路104は、回路904を備えることができる。1つの態様では、回路902は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内の1つまたは複数のマイクロ波信号の伝送の阻止を容易にすることができる。さらに、回路904は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの帯域幅内の1つまたは複数のマイクロ波信号の伝送を可能にすることを容易にすることができる。
【0067】
回路902は、第1のキャパシタ906、第1の伝送回線908、第2のキャパシタ910、および第2の伝送回線912を備えることができる。第1の伝送回線908および第2の伝送回線912は、例えば、4分の1波長伝送回線であってもよく、ここで、用語「波長」は、DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスの中心周波数に関連した波長を指す。第1のキャパシタ906および第1の伝送回線908は、DCポート114に電気的に連結することができる。第1のキャパシタ906は、電気接地に電気的に連結することもできる。第1の伝送回線908は、第2のキャパシタ910および第2の伝送回線912に電気的に連結することもできる。第2のキャパシタ910は、電気接地に電気的に連結することもできる。さらに、第2の伝送回線912は、共通回路106およびマイクロ波回路104(例えば、マイクロ波回路104のキャパシタ914)に電気的に連結することもできる。
【0068】
1つの例では、第1の伝送回線908の長さは、11GHzにおける4分の1波長に等しくてもよく、第2の伝送回線912の長さは、7GHzにおける4分の1波長に等しくてもよい。1つの態様では、システム900は、高絶縁または広帯域あるいはその両方の通信に関連したマイクロ波信号に関する1つの実装形態で用いることができる。
【0069】
非限定的な例では、第1のキャパシタ906は、およそ20pFに等しい静電容量値を備えることができ、第1の伝送回線908は、約50オームに等しいインピーダンス値を備えることができ、第2のキャパシタ910は、およそ20pFに等しい静電容量値を備えることができ、第2の伝送回線912は、約50オームに等しいインピーダンス値を備えることができ、キャパシタ914は、およそ10pFに等しい静電容量値を備えることができる。それでも、第1のキャパシタ906、第1の伝送回線908、第2のキャパシタ910、第2の伝送回線912、またはキャパシタ914、あるいはその組合せは、本明細書で論じる値とは異なる値を備えることができる。
【0070】
追加として、システム900は、従来のDC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のデバイスと比較して、様々な長所をもたらすことができる。例えば、システム900を用いることによって、DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方を、オンチップ超電導回路として実現することができる。DC電流とマイクロ波信号の結合器または分離器あるいはその両方のマイクロ波帯域幅を改善することもできる。DC回路102、マイクロ波回路104、または共通回路106、あるいはその組合せを備える超電導デバイスを、システム900を用いることによって狭帯域通信または広帯域通信のために提供することもできる。その上、DC回路102、マイクロ波回路104、および共通回路106を備える超電導デバイスのDCポートとマイクロ波ポートとの間の絶縁を、システム900を用いることによって向上させることもできる。
【0071】
図10A~
図10Cは、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、
図9のシステム900の実装形態の例のシミュレーション結果の実例の非限定的なグラフを示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
図10A~
図10Cの例では、周波数をGHzで水平軸に示し、dBを垂直(またはY)軸に示す。
【0072】
図10Aは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、DC回路102のDCポート114と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送の実例の非限定的なグラフ1000を示す。
図10Bは、シミュレーション結果による、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116とDC回路102のDCポート114との間の)絶縁の実例の非限定的なグラフ1002を示す。図示のように、広帯域にわたって、およそ-67dBにおいて絶縁があってもよい。さらに、
図10Cは、ポート間の(例えば、マイクロ波回路104のマイクロ波ポート116と共通回路106の共通ポート118との間の)伝送の実例の非限定的なグラフ1004を示す。図示のように、帯域幅は、およそ9.7GHzであってもよい。
【0073】
図11は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のための実例の非限定的な方法1100の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0074】
方法1100は、1102で始まり、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDC回路(例えば、DC回路102)、マイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)、およびDC電流とマイクロ波信号(例えば、結合信号112)をサポートする共通回路(例えば、共通回路106)を形成する。さらに、方法の1104において、DC回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端を共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することができる。
【0075】
DC回路は、バンドストップ回路(例えば、バンドストップ回路120)を備えることができる。さらに、マイクロ波回路は、キャパシタ(例えば、キャパシタ122)を備えることができる。1つの例では、バンドストップ回路は、DC電流をサポートし、超電導デバイスの帯域幅の範囲内にあるマイクロ波信号を阻止するバンドストップ・フィルタで形成することができる。
【0076】
図12は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC回路およびマイクロ波回路に共通回路を連結するための実例の非限定的な方法1200の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0077】
方法1200は、1202で始まり、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDC回路(例えば、DC回路102)、マイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)、およびDC電流とマイクロ波信号(例えば、結合信号112)をサポートする共通回路(例えば、共通回路106)を形成する。DC回路は、バンドストップ回路(例えば、バンドストップ回路120)を備えることができる。さらに、マイクロ波回路は、キャパシタ(例えば、キャパシタ122)を備えることができる。
【0078】
方法の1204において、共通ノード(例えば、共通ノード124)を共通回路の第1の終端に形成することができる。さらに、方法1200の1206において、DC回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端を共通ノードに動作可能なように連結することができる。
【0079】
さらなる実装形態では、方法1200は、1208において、DC回路の第2の終端をDCポート(例えば、DCポート114)に、マイクロ波回路の第2の終端をマイクロ波ポート(例えば、マイクロ波ポート116)に、および共通回路の第2の終端を共通ポート(例えば、共通ポート118)に動作可能なように連結することを含むことができる。DCポートは、DC電流をサポートすることができ、マイクロ波ポートは、マイクロ波信号をサポートすることができ、共通ポートは、DC電流とマイクロ波信号をサポートすることができる。
【0080】
図13は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC回路、マイクロ波回路、および共通回路を形成するための実例の非限定的な方法1300の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0081】
方法1300は、1302で始まり、DC回路(例えば、DC回路102)の第1の部分およびマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)の第1の部分のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の超電導膜につける。例えば、第1の超電導膜にパターンをつけることは、方法1300の1304において、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDCポート(例えば、DCポート114)、およびマイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波ポート(例えば、マイクロ波ポート116)のパターンを、第1の超電導膜につけることを含むことができる。
【0082】
1306において、方法1300は、第1の超電導膜上に堆積した誘電体膜にパターンをつけることを含むことができる。さらに、1308において、方法1300は、DC回路の第2の部分、マイクロ波回路の第2の部分、ならびに共通回路(例えば、共通回路106および共通ポート118)のパターンを、誘電体膜上に堆積した第2の超電導膜につけることを含むことができる。1つの例では、第1の超電導膜にパターンをつけることは、DC電流をサポートするDCポート(例えば、DCポート114)、およびマイクロ波信号とDC電流をサポートする共通ポート(例えば、共通ポート118)のパターンを、第1の超電導膜につけることを含むことができる。第2の超電導膜にパターンをつけることは、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波ポート(例えば、マイクロ波ポート116)にパターンをつけることを含むことができる。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、第1の超電導膜は、第1の厚さで堆積させることができ、誘電体膜は、第2の厚さで堆積させることができ、第2の超電導膜は、第3の厚さで堆積させることができる。第3の厚さは、第1の厚さ、または第2の厚さ、あるいはその両方より大きくてもよい。
【0084】
図14は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC回路、マイクロ波回路、および共通回路を形成するための別の実例の非限定的な方法1400の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0085】
方法1400は、1402で始まり、DC回路(例えば、DC回路102)の第1の部分、マイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)の第1の部分、および共通回路(例えば、共通回路106)のパターンを、ウエハ上に堆積した第1の超電導膜につける。方法1400の1404において、第1の超電導膜上に堆積した誘電体膜にパターンをつけることができる。さらに、1406において、方法1400は、DC回路の第2の部分およびマイクロ波回路の第2の部分のパターンを、誘電体膜上に堆積した第2の超電導膜につけることを含むことができる。
【0086】
1つの例では、第1の超電導膜にパターンをつけることは、DC電流をサポートするDCポート(例えば、DCポート114)、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波ポート(例えば、マイクロ波ポート116)、およびマイクロ波信号とDC電流をサポートする共通ポート(例えば、共通ポート118)のパターンを、第1の超電導膜につけることを含むことができる。別の例では、第1の超電導膜にパターンをつけることは、DC電流をサポートするDCポート、およびマイクロ波信号とDC電流をサポートする共通ポートのパターンを、第1の超電導膜につけることを含むことができる。この例に付け加えて、第2の超電導膜にパターンをつけることは、マイクロ波信号をサポートするマイクロ波ポートにパターンをつけることを含むことができる。
【0087】
図15は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の別の実施形態の製造のための実例の非限定的な方法1500の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0088】
方法1500は、1502で始まり、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDC回路(例えば、DC回路102)、マイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)、およびDC電流とマイクロ波信号をサポートする共通回路(例えば、共通回路106)を形成する。DC回路は、バンドストップ回路(例えば、バンドストップ回路120)を備えることができ、マイクロ波回路は、バンドパス回路(例えば、バンドパス回路402)を備えることができる。さらに、方法の1504において、DC回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端は、共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することができる。
【0089】
図16は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、バンドストップ回路およびバンドパス回路を備えるDC電流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のための実例の非限定的な方法1600の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0090】
方法1600の1602において、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDC回路(例えば、DC回路102)を形成することができる。DC回路を形成することは、1604において、DC電流をサポートし、超電導デバイスの帯域幅の範囲内のマイクロ波信号を阻止するバンドストップ・フィルタでバンドストップ回路(例えば、バンドストップ回路120)を形成することを含むことができる。
【0091】
方法1600の1606において、マイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)を形成することができる。マイクロ波回路を形成することは、方法1600の1608において、超電導回路のマイクロ波帯域幅の範囲内のマイクロ波信号の伝送を可能にし、DC電流を阻止するバンドパス・フィルタでバンドパス回路(例えば、バンドパス回路402)を形成することを含むことができる。
【0092】
さらに、方法の1610において、DC電流とマイクロ波信号をサポートする共通回路(例えば、共通回路106)を形成することができる。方法1600の1612において、DC回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端を共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することができる。
【0093】
図17は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC回路、マイクロ波回路、および共通回路を連結するための、実例の非限定的な方法1700の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0094】
方法1700は、1702で始まり、このとき、共通回路(例えば、共通回路106)の第1の終端に共通ノード(例えば、共通ノード124)を形成することができる。共通回路は、DC電流(例えば、DC電流108)とマイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートすることができる。方法1700の1704において、DC回路(例えば、DC回路102)の第1の終端およびマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)の第1の終端を共通ノードに動作可能なように連結することができる。
【0095】
いくつかの実装形態によれば、方法1700は、1706において、DC回路の第2の終端をDCポート(例えば、DCポート114)に、マイクロ波回路の第2の終端をマイクロ波ポート(例えば、マイクロ波ポート116)に、および共通回路の第2の終端を共通ポート(例えば、共通ポート118)に動作可能なように連結することを含むことができる。DCポートは、DC電流をサポートすることができる。マイクロ波ポートは、マイクロ波信号をサポートすることができる。共通ポートは、DC電流とマイクロ波信号をサポートすることができる。
【0096】
図18は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方を製造するための実例の非限定的な方法1800の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0097】
方法1800は、1802で始まり、このとき、ウエハに堆積した第1の超電導膜は、マイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)のためのインダクタのパターンをつけることができる。さらに、方法1800の1804において、第1の超電導膜に堆積した第2の超電導膜にパターンをつけることができる。1つの実施形態によれば、第1の超電導膜にパターンをつけることは、DC回路(例えば、DC回路102)、共通回路(例えば、共通回路106)、およびマイクロ波回路の第1の部分にパターンをつけることを含むことができる。本実施形態に付け加えて、第2の超電導膜にパターンをつけることは、マイクロ波回路の第2の部分にパターンをつけることを含むことができる。
【0098】
別の実装形態によれば、第1の超電導膜にパターンをつけることは、マイクロ波回路の第1の部分にパターンをつけることを含むことができる。本実装形態に付け加えて、第2の超電導膜にパターンをつけることは、DC回路、共通回路、およびマイクロ波回路の第2の部分にパターンをつけることを含むことができる。
【0099】
方法1800の1806において、第2の超電導膜上に堆積した誘電体膜にパターンをつけることができる。さらに、1808において、誘電体膜上および基板上に堆積した第3の超電導膜にパターンをつけることができる。第3の超電導膜は、第2の超電導膜および第1の超電導膜との接点を形成することができる。
【0100】
図19は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のための別の実例の非限定的な方法1900の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0101】
方法1900は、1902で始まり、このとき、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDC回路(例えば、DC回路102)、マイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)、およびDC電流とマイクロ波信号をサポートする共通回路(例えば、共通回路106)を形成することができる。DC回路は、第1のキャパシタ(例えば、キャパシタ706)によってシャントされた第1の4分の1波長伝送回線(例えば、伝送回線708)を備えることができる。方法の1904において、DC回路の第1の部分およびマイクロ波回路の第1の部分に(例えば、共通ノード124を介して)共通回路を動作可能なように連結することができる。
【0102】
1つの実装形態によれば、DC回路を形成することは、第1の4分の1波長伝送回線を電気接地にシャントするために第1のキャパシタを使用することを含むことができる。本実装形態に付け加えて、マイクロ波回路を形成することは、第2のキャパシタ(例えば、キャパシタ710)をマイクロ波回路に挿入することを含むことができる。
【0103】
別の実装形態によれば、DC回路を形成することは、第1の4分の1波長伝送回線(例えば、第1の伝送回線908)を電気接地にシャントするために第1のキャパシタ(例えば、第1のキャパシタ906)を、および第2の4分の1波長伝送回線(例えば、第2の伝送回線912)を電気接地にシャントするために第2のキャパシタ(例えば、第2のキャパシタ910)を使用することを含むことができる。本実装形態に付け加えて、マイクロ波回路を形成することは、第3のキャパシタ(例えば、キャパシタ914)をマイクロ波回路に挿入することを含むことができる。
【0104】
図20は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のためのさらなる実例の非限定的な方法2000の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0105】
方法の2002において、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDC回路(例えば、DC回路102)、マイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)、およびDC電流とマイクロ波信号をサポートする共通回路(例えば、共通回路106)を形成することができる。例えば、DC回路を形成することは、第1の4分の1波長伝送回線(例えば、伝送回線708)をキャパシタ(例えば、キャパシタ706)でシャントすることを含むことができる。さらに、マイクロ波回路を形成することは、キャパシタ(例えば、キャパシタ710)をマイクロ波回路に挿入することを含むことができる。さらに、方法2000の2004において、DC回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端に(例えば、共通ノード124を介して)共通回路を動作可能なように連結することができる。
【0106】
いくつかの実装形態によれば、方法2000は、2006において、第1の4分の1波長伝送回線(例えば、第1の伝送回線908)を電気接地にシャントするために第1のキャパシタ(例えば、第1のキャパシタ906)を、および第2の4分の1波長伝送回線(例えば、第2の伝送回線912)を電気接地にシャントするために第2のキャパシタ(例えば、第2のキャパシタ910)を使用することを含むことができる。これらの実装形態に付け加えて、マイクロ波回路を形成することは、第3のキャパシタ(例えば、キャパシタ914)をマイクロ波回路に挿入することを含むことができる。
【0107】
図21は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、DC電流とマイクロ波信号の超低温結合器または超低温分離器あるいはその両方の製造のためのさらに別の実例の非限定的な方法2100の流れ図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0108】
方法の2102において、DC電流(例えば、DC電流108)をサポートするDC回路(例えば、DC回路102)、マイクロ波信号(例えば、マイクロ波信号110)をサポートするマイクロ波回路(例えば、マイクロ波回路104)、およびDC電流とマイクロ波信号をサポートする共通回路(例えば、共通回路106)を形成することができる。例えば、DC回路を形成することは、第1の4分の1波長伝送回線(例えば、第1の伝送回線908)を第1のキャパシタ(例えば、第1のキャパシタ906)で、および第2の4分の1波長伝送回線(例えば、第2の伝送回線912)を第2のキャパシタ(例えば、第2のキャパシタ910)でシャントすることを含むことができる。この例に付け加えて、マイクロ波回路を形成することは、第3のキャパシタ(例えば、キャパシタ914)をマイクロ波回路に挿入することを含むことができる。さらに、方法2100の2104において、DC回路の第1の終端およびマイクロ波回路の第1の終端を、(例えば、共通ノード124を介して)共通回路の第1の終端に動作可能なように連結することができる。
【0109】
いくつかの実装形態によれば、方法2100は、DC回路の第2の終端にDCポート(例えば、DCポート114)を、マイクロ波回路の第2の終端にマイクロ波ポート(例えば、マイクロ波ポート116)を、および共通回路の第2の終端に共通ポート(例えば、共通ポート118)を形成することを含むことができる。DCポートは、DC電流をサポートすることができ、マイクロ波ポートは、マイクロ波信号をサポートすることができ、共通ポートは、DC電流とマイクロ波信号をサポートすることができる。
【0110】
図22は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、製造することができる実例の非限定的な回路2200を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0111】
回路2200の実例のプロセス・フローを論じる。回路を形成するために、プロセス・フローは、ブランケット・ウエハで始まる。ウエハの表面は、洗浄することができる。洗浄時または洗浄後、第1の超電導膜をウエハ表面に堆積させることができる。1つの実装形態によれば、第1の超電導膜は、回路2200の第1の部分を備えるようにパターンをつけることができる。例えば、第1の部分は、DCポート114、共通ポート118、第1の伝送回線908、および第2の伝送回線912を備えることができる。さらに、第1の部分は、第1のキャパシタ906(C1)の第1のパッド2202、第2のキャパシタ910(C2)の第1のパッド2204、およびキャパシタ914(C3)の第1のパッド2206を備えることができる。いくつかの実装形態によれば、第1の部分は、必要なら、グランド(GND)プレーンを含むことができる。さらに、いくつかの実装形態では、(例えば、規定のサイズより小さい)キャパシタ914のサイズに応じて、キャパシタ全体(例えば、第1のパッド2206および第2のパッド2208)に、(例えば、フィンガ・キャパシタのように)パターンをつけることができる。両方のパッド(例えば、第1のパッド2206と第2のパッド2208)について、第1の超電導膜にパターンをつける場合、マイクロ波ポート116も、第1の部分の一部のようにパターンをつけることができる。
【0112】
第1の超電導膜にパターンをつけると同時に、またはその後、必要に応じて表面を洗浄することができる。オーバーラップ・キャパシタ誘電体のために、誘電体膜を堆積させることができる。パターンをつけた第1の超電導膜からのステップ端が覆われることになる場合、誘電体膜は、第1の超電導膜より厚くならなければならない。いくつかの実装形態によれば、誘電体膜は、約1.01倍から2.25倍の範囲まで、第1の超電導膜より厚くてもよい。例えば、誘電体膜は、1.5倍まで、第1の超電導膜より厚くてもよく、または第1の超電導膜の厚さの2倍であってもよい。いくつかの実装形態によれば、誘電体膜は、等角的に堆積させることができ、第1の超電導膜より薄くてもよく、同じ厚さでもよく、または厚くてもよい。誘電体膜は、回路のために、必要に応じて、パターンをつける(例えば、エッチングする)ことができる。誘電体膜は、少なくともオーバーラップ・キャパシタ・エリア内にとどまっていなければならない。
【0113】
誘電体膜にパターンをつけると同時に、またはその後、第2の超電導膜を堆積させることができる。いくつかの実装形態によれば、第2の超電導膜は、第1の超電導膜に対するエッチング選択比を有することができる。
【0114】
第2の超電導膜は、回路2200の第2の部分を備えるようにパターンをつける(例えば、エッチングする)ことができる。例えば、第2の部分は、マイクロ波ポート116、第1のキャパシタ906の第2のパッド2210、第2のキャパシタ910の第2のパッド2212、およびキャパシタ914の第2のパッド2208を備えることができる。
【0115】
いくつかの実装形態によれば、第1の超電導膜にパターンをつけた第1の部分は、マイクロ波ポート116、第1のキャパシタ906の第2のパッド2210、第2のキャパシタ910の第2のパッド2212、キャパシタ914の第2のパッド2208を備えることができる。これらの実装形態に付け加えて、第1の部分は、必要なら、グランド(GND)プレーンを含むことができる。さらに、いくつかの実装形態では、(例えば、規定のサイズより小さい)キャパシタ914のサイズに応じて、キャパシタ全体(例えば、第1のパッド2206および第2のパッド2208)に、第1の部分のパターンを(例えば、フィンガ・キャパシタのように)つけることができる。これらの実装形態に付け加えて、第2の部分は、DCポート114、共通ポート118、第1の伝送回線908、および第2の伝送回線912を備えることができる。さらに、第2の部分は、第1のキャパシタ906(C1)の第1のパッド2202、第2のキャパシタ910(C2)の第1のパッド2204、およびキャパシタ914(C3)の第1のパッド2206を備えることができる。
【0116】
回路2200の製造を、エッチング・プロセス・フローについて論じてきたが、製造は、いくつかの実装形態によるリフト・オフ・プロセス・フローを使用して実施することができる。さらに、いくつかの実装形態では、エッチングとリフト・オフの組合せを、様々なプロセス・フローに利用することができる。
【0117】
図23は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、製造することができる別の実例の非限定的な回路2300を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0118】
回路2300のための実例のエッチング・プロセス・フローを次に説明する。回路2300を形成するために、プロセス・フローは、ブランケット・ウエハの表面を洗浄することで始まる。洗浄時または洗浄後、高カイネティック・インダクタンス(薄型)超電導膜(例えば、第1の超電導膜)をウエハ上に堆積させることができる。第1の超電導膜は、1つまたは複数の大きいインダクタを備えるようにパターンをつけることができる。例えば、第1の超電導膜は、第1のインダクタ502、第2のインダクタ506、および第3のインダクタ510を備えるようにパターンをつけることができる。
【0119】
第1の超電導膜にパターンをつけると同時に、またはその後、第2の超電導膜を堆積させることができる。第2の超電導膜は、高カイネティック・インダクタンス超電導膜(例えば、第1の超電導膜)に十分接触しなければならない。1つの例では、接点を作るために、堆積の前に、その場で表面洗浄を実施することができる。いくつかの実装形態によれば、第2の超電導膜は、高カイネティック・インダクタンス超電導膜(例えば、第1の超電導膜)に対するエッチング選択比を有することができる。
【0120】
第2の超電導膜は、回路2300の第1の部分を備えるようにパターンをつけることができる。例えば、第1の部分は、接地への第1のキャパシタ504の第1のパッド2302、第2のキャパシタ508の第1のパッド2304、および第3のキャパシタ512の第1のパッド2306を備えることができる。
【0121】
必要なら、表面を洗浄することができ、(オーバーラップ・キャパシタ誘電体のための)誘電体膜を堆積させることができる。パターンをつけた第2の超電導膜からのステップ端が覆われることになる場合、誘電体膜は、第2の超電導膜より厚くならなければならない。いくつかの実装形態によれば、誘電体膜は、約1.01倍から2.25倍の範囲まで、第2の超電導膜より厚くてもよい。1つの実装形態では、誘電体膜は、第2の超電導膜の厚さの約1.5倍であってもよい。別の実装形態によれば、誘電体膜は、第2の超電導膜の厚さの約2倍であってもよい。いくつかの実装形態によれば、誘電体膜は、等角的に堆積させることができ、第2の超電導膜より薄くてもよい。誘電体膜は、回路2300のために、必要に応じて、パターンをつける(例えば、エッチングする)ことができる。誘電体膜は、少なくともオーバーラップ・キャパシタ・エリアに残っていなければならない(例えば、このエリアから離れてエッチングされない)ことに留意されたい。
【0122】
第3の超電導膜を堆積させることができる。第3の超電導膜は、高カイネティック・インダクタンス超電導膜(例えば、第1の超電導膜)に十分接触しなければならない。いくつかの実装形態では、第3の超電導膜は、第1の超電導膜および第2の超電導膜に対するエッチング選択比を有することができる。
【0123】
第3の超電導膜は、残りの回路(例えば、回路2300の第2の部分)を備えるようにパターンをつける(例えば、エッチングする)ことができる。例えば、第3の超電導膜にパターンをつけることは、第1のキャパシタ504の第2のパッド2308、第2のキャパシタ508の第2のパッド2310、第3のキャパシタ512の第2のパッド2312、伝送回線のセット(例えば、第1の伝送回線202a、第2の伝送回線202b、第3の伝送回線202c、第4の伝送回線202d、第5の伝送回線202eから第nの伝送回線202n)、DCポート114、マイクロ波ポート116、および共通ポート118にパターンをつけることを含むことができる。
【0124】
いくつかの実装形態によれば、第2の超電導膜および第3の超電導膜にそれぞれパターンをつけた構造は、入れ替えることができる。例えば、回路の第1の部分は、第1のキャパシタ504の第2のパッド2308、第2のキャパシタ508の第2のパッド2310、第3のキャパシタ512の第2のパッド2312、伝送回線のセット(例えば、第1の伝送回線202a、第2の伝送回線202b、第3の伝送回線202c、第4の伝送回線202d、第5の伝送回線202eから第nの伝送回線202n)、DCポート114、マイクロ波ポート116、および共通ポート118を備えることができる。さらに、第2の部分は、接地への第1のキャパシタ504の第1のパッド2302、第2のキャパシタ508の第1のパッド2304、および第3のキャパシタ512の第1のパッド2306を備えることができる。マイクロ波ポート116は、3つの超電導膜のいずれかの上に含まれること/いずれかにおいてパターンをつけられることができるということに留意されたい。
【0125】
高カイネティック・インダクタンス超電導インダクタの値は、例えば、窒化ニオブ(NbN)ナノワイヤ・スーパーインダクタを備えることができ、厚さおよそ20ナノメートル(nm)、スクエア当たりのカイネティック・インダクタンス(Lk)およそ82pH/スクエアを備えることができる。40nm幅の回線について、約2mH/mの単位長さ当たりのカイネティック・インダクタンスを得ることができる。12nHインダクタを得るために、長さ6マイクロメートル(μm)のナノワイヤを利用することができる。
【0126】
別の例では、高カイネティック・インダクタンス超電導インダクタの値は、厚さおよそ20nm、スクエア当たりのLkおよそ329pH/スクエアを有する(アルミニウム薄膜に酸素不純物を添加した)酸化アルミニウム・ワイヤを備えることができる。さらに、およそ20nmの厚さにおける窒化ニオブチタン(NbTiN)は、およそ20pH/スクエアを生じることができる。
【0127】
およそ300オーム程度の特性インピーダンスを有する伝送回線を作るために、厚さ350μmの基板上に実装された、幅およそ1μm、厚さ約100nmの長い蛇行Nb回線を利用することができる。例えば、約3.8nHのインダクタンスを実現するために、長さ2.5mmの超電導ワイヤを利用することができる。このような狭くて長い超電導回線の接地への静電容量は、数十fF程度である。30fFに対して、結果として生じる特性インピーダンスは、約356オームである。
【0128】
図23への参照を続けながら、回路2300のためのリフト・オフ・プロセス・フローを説明する。回路2300を形成するために、プロセス・フローは、ブランケット・ウエハの表面洗浄で始まる。高カイネティック・インダクタンス(薄型)超電導膜(例えば、第1の超電導膜)を堆積させることができる。第1の超電導膜は、エッチング・プロセスを通じるなどして、1つまたは複数の大きいインダクタを備えるようにパターンをつけることができる。例えば、第1の超電導膜は、第1のインダクタ502、第2のインダクタ506、および第3のインダクタ510を備えるようにパターンをつけることができる。
【0129】
第1の超電導膜にパターンをつけると同時に、またはその後、第2の超電導膜のためのレジスト・マスク(またはハード・マスク)を露光し、現像する。第2の超電導膜は、回路2300の第1の部分を備えることができる。例えば、第1の部分は、接地への第1のキャパシタ504の第1のパッド2302、第2のキャパシタ508の第1のパッド2304、第3のキャパシタ512の第1のパッド2306を備えることができる。第2の超電導膜は、高カイネティック・インダクタンス超電導膜(例えば、第1の超電導膜)に十分接触しなければならない。いくつかの実装形態によれば、堆積の前に、その場で、表面洗浄が必要になる可能性がある。
【0130】
必要なら、表面を洗浄することができる。さらに、オーバーラップ・キャパシタ誘電体のために、パターンをつけた誘電体膜を堆積させることができる。パターンをつけた第2の超電導膜からのステップ端が覆われることになる場合、誘電体膜は、第2の超電導膜より厚くなければならない。いくつかの実装形態によれば、誘電体膜は、約1.01倍から2.25倍の範囲まで、第2の超電導膜より厚くてもよい。1つの実装形態では、誘電体膜は、第2の超電導膜の厚さの約1.5倍であってもよい。別の実装形態によれば、誘電体膜は、第2の超電導膜の厚さの約2倍であってもよい。さらに別の実装形態によれば、誘電体膜は、等角的に堆積させることができ、第2の超電導膜より厚くてもよく、同じ厚さでもよく、または薄くてもよい。
【0131】
誘電体は、少なくともオーバーラップ・キャパシタ・エリアに残っていなければならないということに留意されたい。いくつかの実装形態によれば、(例えば、重複電極間に堆積した誘電体を必要としない)フィンガ・キャパシタのように、小さい静電容量を実装することができる。
【0132】
いくつかの実装形態によれば、パターンをつけた誘電体は、堆積およびエッチングによって実現することができる。いくつかの実装形態では、パターンをつけた誘電体は、レジスト・マスク/ハード・マスクを通じたリフト・オフによって実現することができる。
【0133】
第3の超電導膜のためのレジスト・マスク(またはハード・マスク)を露光し、現像することができる。その後、残りの回路(例えば、回路2300の第2の部分)のために第3の超電導膜を堆積し、リフト・オフする。第3の超電導膜は、高カイネティック・インダクタンス超電導膜(例えば、第1の超電導膜)に十分接触しなければならないことに留意されたい。
【0134】
いくつかの実装形態によれば、第2の部分は、第1のキャパシタ504の第2のパッド2308、第2のキャパシタ508の第2のパッド2310、第3のキャパシタ512の第2のパッド2312、伝送回線のセット(例えば、第1の伝送回線202a、第2の伝送回線202b、第3の伝送回線202c、第4の伝送回線202d、第5の伝送回線202eから第nの伝送回線202n)、DCポート114、マイクロ波ポート116、および共通ポート118を備えることができる。
【0135】
いくつかの実装形態によれば、第2の超電導膜および第3の超電導膜にそれぞれパターンをつけた構造は、入れ替えることができる。例えば、回路の第1の部分は、第1のキャパシタ504の第2のパッド2308、第2のキャパシタ508の第2のパッド2310、第3のキャパシタ512の第2のパッド2312、伝送回線のセット(例えば、第1の伝送回線202a、第2の伝送回線202b、第3の伝送回線202c、第4の伝送回線202d、第5の伝送回線202eから第nの伝送回線202n)、DCポート114、マイクロ波ポート116、および共通ポート118を備えることができる。さらに、第2の部分は、接地への第1のキャパシタ504の第1のパッド2302、第2のキャパシタ508の第1のパッド2304、および第3のキャパシタ512の第1のパッド2306を備えることができる。マイクロ波ポート116は、3つの超電導膜のいずれかの上に含まれること/いずれかにおいてパターンをつけられることができるということに留意されたい。
【0136】
説明を簡略化するために、方法またはコンピュータ実行方法あるいはその両方は、一連の行為として描写し、説明する。主題のイノベーションは、示した行為によって、または行為の順序によって、あるいはその両方によって限定されず、例えば、行為は、様々な順序で、または同時に、あるいはその両方で、および、本明細書で提示も説明もしていない他の行為とともに発生させることができることを理解し、認識されたい。さらに、開示の主題によるコンピュータ実行方法を実装するのに、全ての示した行為が必要とされ得るわけではない。さらに、コンピュータ実行方法は、代替として、状態図またはイベントを介した一連の相関状態として表せることを当業者は理解し、認識するであろう。追加として、以下に、および本明細書の全体にわたって開示したコンピュータ実行方法は、このようなコンピュータ実行方法のコンピュータへの輸送および転送を容易にするための製品に記憶することができることをさらに認識されたい。製品という用語は、本明細書で使用するように、任意のコンピュータ可読デバイスまたは記憶媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムを包含することを意図するものである。
【0137】
開示の主題の様々な態様についての背景を提供するために、
図24および以下の議論は、開示の主題の様々な態様を実装することができる適切な環境の全体的な説明を行うことを意図するものである。
図24は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる実例の非限定的な動作環境のブロック図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いる同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
図24を参照すると、本開示の様々な態様を実装するための適切な動作環境2400は、コンピュータ2412を含むこともできる。コンピュータ2412は、処理ユニット2414、システム・メモリ2416、およびシステム・バス2418を含むこともできる。システム・バス2418は、システム・メモリ2416を含むがこれらに限定されないシステム構成要素を処理ユニット2414に連結する。処理ユニット2414は、様々な利用可能なプロセッサのいずれかであってもよい。デュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャも、処理ユニット2414として用いることができる。システム・バス2418は、インダストリアル・スタンダード・アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネル・アーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカル・バス(VLB)、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィックス・ポート(AGP)、Firewire(IEEE1394)、およびスモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)を含むがこれらに限定されない任意の多様な利用可能なバス・アーキテクチャを使用した、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺機器バスもしくは外部バス、またはローカル・バス、あるいはその組合せを含むバス構造のいくつかのタイプのいずれかであってもよい。システム・メモリ2416は、揮発性メモリ2420および不揮発性メモリ2422を含むこともできる。基本入出力システム(BIOS)は、スタート・アップ中などに、コンピュータ2412内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを収め、不揮発性メモリ2422に記憶される。限定ではなく例証として、不揮発性メモリ2422は、リード・オンリ・メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリ2420は、外部キャッシュ・メモリとして機能するランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含むこともできる。限定ではなく例証として、RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambus RAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)、およびRambusダイナミックRAMなどの多くの形式で利用可能である。
【0138】
コンピュータ2412は、取外し可能/取外し不能な、揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体を含むこともできる。
図24は、例えば、ディスク・ストレージ2424を示す。ディスク・ストレージ2424は、磁気ディスク・ドライブ、フロッピー(R)・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティックのようなデバイスを含むこともできるがこれらに限定されない。ディスク・ストレージ2424は、コンパクト・ディスクROMデバイス(CD-ROM)、CD書込み可能ドライブ(CD-Rドライブ)、CD書換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)またはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスク・ドライブを含むがこれらに限定されない他の記憶媒体とは別々にまたは組み合わせて、記憶媒体を含むこともできる。ディスク・ストレージ2424のシステム・バス2418への接続を容易にするために、インターフェース2426などの、取外し可能または取外し不能なインターフェースが典型的に使用される。
図24は、適切な動作環境2400で説明した、ユーザと、基本的なコンピュータ・リソースとの間の中間体として機能するソフトウェアも描写する。このようなソフトウェアは、例えば、オペレーティング・システム2428を含むこともできる。オペレーティング・システム2428は、ディスク・ストレージ2424に記憶することができ、コンピュータ2412のリソースを制御し、アロケートするように機能する。システム・アプリケーション2430は、例えば、システム・メモリ2416またはディスク・ストレージ2424に記憶された、プログラム・モジュール2432およびプログラム・データ2434を通じて、オペレーティング・システム2428によるリソースの管理を利用する。本開示は、様々なオペレーティング・システム、またはオペレーティング・システムの組合せとともに実装できることを認識されたい。ユーザは、入力デバイス2436を通じてコンピュータ2412にコマンドまたは情報を入力する。入力デバイス2436は、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、パラボラ・アンテナ、スキャナ、TVチューナ・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラ等などのポインティング・デバイスを含むがこれらに限定されない。これらおよび他の入力デバイスは、インターフェース・ポート2438を介してシステム・バス2418を通じて処理ユニット2414に接続する。インターフェース・ポート2438は、例えば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含む。出力デバイス2440は、入力デバイス2436と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートは、コンピュータ2412への入力を行うために、および、コンピュータ2412から出力デバイス2440に情報を出力するために、使用することができる。出力アダプタ2442は、数ある出力デバイス2440の中でも、モニタ、スピーカ、およびプリンタのようないくつかの出力デバイス2440があり、特殊なアダプタが必要であることを示すために示される。出力アダプタ2442は、限定ではなく例証として、出力デバイス2440とシステム・バス2418との間の接続の方法を提供するビデオおよびサウンド・カードを含む。リモート・コンピュータ2444などの他のデバイス、またはデバイスのシステム、あるいはその両方が、入力と出力の両方の能力を提供することに留意されたい。
【0139】
コンピュータ2412は、リモート・コンピュータ2444などの、1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用してネットワーク化された環境で動作することができる。リモート・コンピュータ2444は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースのアプライアンス、ピア・デバイス、または他の共通ネットワーク・ノードなどであってもよく、典型的には、コンピュータ2412について説明した要素の多くまたは全てを含むこともできる。簡潔さのために、リモート・コンピュータ2444とともに、メモリ・ストレージ・デバイス2446だけを示す。リモート・コンピュータ2444は、ネットワーク・インターフェース2448を通じてコンピュータ2412に論理的に接続され、次に、通信接続2450を介して物理的に接続される。ネットワーク・インターフェース2448は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、セルラー・ネットワーク等などの、ワイヤまたはワイヤレスあるいはその両方の通信ネットワークを包含する。LAN技術は、光ファイバ分散データ・インターフェース(FDDI)、銅線分散データ・インターフェース(CDDI)、イーサネット(R)、トークン・リングなどを含む。WAN技術は、ポイント・ツー・ポイント・リンク、サービス総合デジタル網(ISDN)のような回線交換ネットワークおよびこれらの変形形態、パケット交換ネットワーク、ならびにデジタル加入者線(DSL)を含むがこれらに限定されない。通信接続2450は、ネットワーク・インターフェース2448をシステム・バス2418に接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。通信接続2450は、例証の明瞭さのために、コンピュータ2412の内側に示すが、コンピュータ2412の外部にあってもよい。ネットワーク・インターフェース2448への接続のためのハードウェア/ソフトウェアは、例示のためだけに、通常のテレフォン・グレード・モデム、ケーブル・モデムおよびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、ならびにイーサネット(R)・カードなどの内部および外部技術を含むこともできる。
【0140】
1つまたは複数の実施形態は、統合の任意の可能な技術的詳細レベルにあるシステム、回路、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せであってもよい。コンピュータ・プログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持し、記憶することができる有形デバイスであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁気ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、または前述の任意の適切な組合せであってもよいがこれらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の完全に網羅されていないリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、命令が記録されたパンチ・カードまたは溝内隆起構造などの機械的にエンコードされたデバイス、および前述の任意の適切な組合せを含むこともできる。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用するように、電波もしくは他の自由に伝搬する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通じて伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを通じて伝送される電気信号などの、それ自体が一過性信号であると解釈されるべきではない。
【0141】
本明細書で説明したコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理デバイスに、あるいは、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、もしくはワイヤレス・ネットワーク、またはその組合せといった、ネットワークを介して外部コンピュータまたは外部ストレージ・デバイスに、ダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組合せを備えることができる。各計算/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受け取り、それぞれの計算/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶させるために、コンピュータ可読プログラム命令を転送する。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械語命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路機器のための構成データ、または、Smalltalk(R)、C++、もしくは同様のものなどのオブジェクト指向プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードもしくはオブジェクト・コードであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザのコンピュータ上で、または、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモート・コンピュータ上で、または全体的にリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続することができ、または接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用して、インターネットを通じて)外部コンピュータに対して行われてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル・ロジック回路機器、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路機器は、本発明の態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、電子回路機器を個別化することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0142】
本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品の流れ図またはブロック図あるいはその両方を参照しながら本明細書で本発明の態様を説明する。流れ図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびに流れ図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装することができることが理解されよう。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行する命令が、流れ図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/行為を実装するための方法を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または機械を生み出すための他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供することできる。これらのコンピュータ可読プログラム命令も、命令をその中に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が、流れ図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/行為の態様を実装する命令を含む製品を含むべく、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、特定の手法で機能するように、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組合せに指図することができる。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で実行する命令が、流れ図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/行為を実装するべく、コンピュータ実行処理を生み出すコンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで一連の動作行為を実施するために、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスにロードすることもできる。
【0143】
図中の流れ図およびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。この点に関して、流れ図またはブロック図の中の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメント、または一部を表すことができる。いくつかの代替実装形態では、ブロックに記された機能は、図に記された順序とは異なる順序で発生してもよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行することができ、またはブロックは、時には、含まれる機能に応じて、逆の順序で実行することができる。ブロック図または流れ図あるいはその両方の各ブロック、および、ブロック図または流れ図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能もしくは行為を行うか、または、専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せを実行する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実現できることにも留意されたい。
【0144】
1台のコンピュータまたは複数のコンピュータあるいはその両方で動くコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的な背景で主題を上記で説明してきたが、本開示も、他のプログラム・モジュールと組み合わせて実装できることを当業者は認識するであろう。一般に、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実施すること、または、特定の抽象データ型を実装すること、あるいはその両方を行うルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造等を含む。その上、発明のコンピュータ実行方法は、シングル・プロセッサまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニ・コンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、および、コンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(例えば、PDA、電話)、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能な消費者または産業用電子機器などを含む他のコンピュータ・システム構成で実践できることを当業者は認識するであろう。図示の態様は、通信ネットワークを通じてリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実施される分散コンピューティング環境で実践することもできる。それでも、本開示の全てではないとしてもいくつかの態様は、スタンド・アロン・コンピュータ上で実践することができる。分散コンピューティング環境では、プログラム・モジュールは、ローカルとリモート両方のメモリ・ストレージ・デバイス内にあってもよい。
【0145】
本出願で使用したように、用語「構成要素(component)」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェース」などは、コンピュータ関連エンティティ、または1つもしくは複数の特定の機能を伴う動作機械に関連したエンティティを指すこと、または含むこと、あるいはその両方を行うことができる。本明細書で開示したエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアであってもよい。例えば、構成要素は、プロセッサ上で動くプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、またはコンピュータ、あるいはその組合せであってもよいがこれらに限定されない。例証として、サーバ上で動くアプリケーションとサーバの両方が構成要素であってもよい。1つまたは複数の構成要素は、プロセス、または実行スレッド内、あるいはその両方に常駐することができ、構成要素は、1つのコンピュータ上に局所化すること、または、2つ以上のコンピュータ間に分散させること、あるいはその両方を行うことができる。別の例では、様々なデータ構造を記憶した様々なコンピュータ可読媒体からそれぞれの構成要素を実行することができる。構成要素は、(例えば、ローカル・システム、分散システム内の別の構成要素と、または、インターネットなどのネットワークを横断して、信号を介して他のシステムと、あるいはその両方と対話する1つの構成要素からのデータといった)1つまたは複数のデータ・パケットを有する信号によるものなどの、ローカルまたはリモートあるいはその両方のプロセスを介して通信することができる。別の例として、構成要素は、プロセッサによって実行されたソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションによって動作する電気または電子回路機器によって動作する機械部品によって、特定の機能が行われる装置であってもよい。このようなケースでは、プロセッサは、装置の内部にあっても外部にあってもよく、ソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。さらに別の例として、構成要素は、機械部品がなくても電子構成要素を通じて特定の機能が提供される装置であってもよく、電子構成要素は、電子構成要素の機能を少なくとも部分的に授けるソフトウェアまたはファームウェアを実行するためのプロセッサまたは他の方法を含むことができる。1つの態様では、構成要素は、例えば、クラウド・コンピューティング・システム内で、仮想マシンを介して電子構成要素をエミュレートすることができる。
【0146】
さらに、用語「または(or)」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図する。すなわち、別途指定されない限り、または背景から明らかでない限り、「Xは、AまたはBを用いる」は、自然の包括的な並べ替えのいずれかを意味することを意図する。すなわち、XがAを用いる、XがBを用いる、またはXがAとBの両方を用いる場合、「XがAまたはBを用いる」は、前述の例のいずれかのもとで満たされる。その上、主題の明細書および添付の図面で使用されるような冠詞「a」および「an」は、全体的に、単数形を対象とするものとして別途指定されない限り、または背景から明らかでない限り、「1つまたは複数」を意味するものと解釈されなければならない。本明細書で使用したように、用語「例(example)」または「例示的な(exemplary)」あるいはその両方は、1つの例、例、または例証として機能することを意味するために利用される。誤解を避けるために、本明細書で開示した主題は、このような例によって限定されない。さらに、「例」または「例示的な」あるいはその両方のような本明細書で説明した任意の態様または設計は、他の態様または設計に対して好ましいまたは有利なものとして必ずしも解釈されるべきではなく、当業者に知られた同等の例示的な構造および技法を排除することを意味するものでもない。
【0147】
主題の明細書で用いられるように、用語「プロセッサ」は、シングル・コア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するシングル・プロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術によるマルチコア・プロセッサ、パラレル・プラットフォーム、および分散共有メモリを伴うパラレル・プラットフォームを含むがこれらに限定されない任意の計算処理ユニットまたはデバイスを実質的に指すことができる。追加として、プロセッサは、本明細書で説明した機能を実施するように設計された、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、またはこれらの任意の組合せを指すことができる。さらに、プロセッサは、空間使用量を最適化するか、または、ユーザ機器の性能を拡張するために、分子および量子ドット・ベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートなどであるがこれらに限定されないナノ・スケール・アーキテクチャを活用することができる。プロセッサは、計算処理ユニットの組合せとして実装することもできる。本開示では、「ストア(store)」、「ストレージ(storage)」、「データ・ストア(data store)」、「データ・ストレージ(data storage)」、「データベース(database)」、ならびに、構成要素の動作および機能に関係した実質的に他の任意の情報ストレージ構成要素などの用語を、「メモリ構成要素」、「メモリ」に含まれるエンティティ、または、メモリを備える構成要素を指すために利用する。本明細書で説明したメモリまたはメモリ構成要素あるいはその両方は、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリであってもよく、または、揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含むことができることを認識されたい。限定ではなく例証として、不揮発性メモリは、リード・オンリ・メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM)を含むことができる。揮発性メモリは、例えば外部キャッシュ・メモリとして機能することができる、RAMを含むことができる。限定ではなく例証として、RAMは、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambus RAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)、およびRambusダイナミックRAM(RDRAM)などの多くの形式で利用可能である。追加として、本明細書におけるシステムまたはコンピュータ実行方法の開示のメモリ構成要素は、これらおよび他の任意の適切なタイプのメモリを含むことに限定することなく含むことを意図するものである。
【0148】
上記で説明してきたものは、システムおよびコンピュータ実行方法の単なる例を含む。当然、本開示を説明するために、構成要素またはコンピュータ実行方法のあらゆる想像可能な組合せを説明することはできないが、本開示の多くのさらなる組合せおよび並べ替えが可能であることを当業者は認識するはずである。さらに、用語「含む(includes)」、「有する(has)」、「保有する(possesses)」などが、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、付録、および図面で使用される限り、請求項で遷移語として用いられるときに「備える(comprising)」が解釈されるように、このような用語は、用語「備える」と同様に包括的であることを意図するものである。様々な実施形態の説明を例証として提示してきたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。説明した実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、多くの変更形態および変形形態が当業者には明らかであろう。本明細書で使用した専門用語は、実施形態の原理、実用的な用途、または、市場で見つかる技術に対する技術的改善を最もよく説明するように、または、本明細書で開示した実施形態を当業者が理解できるように、選ばれた。