(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】陰になった道路区間についての道路着氷状況予測
(51)【国際特許分類】
G01W 1/00 20060101AFI20240731BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G01W1/00 J
G08G1/00 J
(21)【出願番号】P 2022557985
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2021083227
(87)【国際公開番号】W WO2021203990
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-08-10
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン、キャンプベル、ディー
(72)【発明者】
【氏名】テワリ、ムクル
(72)【発明者】
【氏名】ダウ、エリ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クライン、レヴェンテ
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7089115(US,B2)
【文献】特開2013-113797(JP,A)
【文献】特開2009-047515(JP,A)
【文献】特開2006-162447(JP,A)
【文献】特開2000-346958(JP,A)
【文献】特開2013-020288(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051913(WO,A1)
【文献】米国特許第9262559(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第110334318(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路状況予測のための方法であって、
気象条件に基づいて、道路状況予測のための道路区間を選択することと、
前記道路区間についての太陽放射収支モデルを生成することと、
永続的構造物モデルおよび動的構造物モデルを使用して前記太陽放射収支モデルを更新することであって、前記永続的構造物モデルが前記道路区間に近い静的オブジェクトに基づいており、前記動的構造物モデルが前記道路区間に近い動的オブジェクトに基づいている、前記更新することと、
更新された前記太陽放射収支モデルおよび気象変数を使用して前記道路区間についての道路状況モデルを生成することと、
前記道路状況モデルに基づいた、前記道路区間についての道路状況予測を出力することと
を含む方法。
【請求項2】
前記道路区間を選択することが、
気象データ・ソースから、地理的エリアについての現在の気象条件が前記地理的エリア内の車道上に氷があり得ることを示すと判定することと、
前記地理的エリア内で懸念される1つまたは複数の道路区間を識別することと、
懸念される前記1つまたは複数の道路区間から、道路状況予測のための前記道路区間を選択することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記道路区間についての前記太陽放射収支モデルを生成することが、
前記道路区間についての分析のための時間期間を判定することと、
前記道路区間の地理的位置を判定することと、
分析のための前記時間期間中の太陽位置、前記道路区間の前記地理的位置、および分析のための前記時間期間中の前記道路区間に関連付けられた気象条件に基づいて、前記道路区間についての予想される太陽放射収支を計算することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記永続的構造物モデルを使用して前記道路区間についての前記太陽放射収支モデルを更新することが、
LIDARデータ点を使用して前記道路区間についての永続的天空率を判定することと、
前記永続的天空率、分析のための前記時間期間中の前記太陽位置、および分析のための前記時間期間中の前記道路区間に関連付けられた前記気象条件に基づいて、前記予想される太陽放射収支を更新することと
を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動的構造物モデルを使用して前記道路区間についての前記太陽放射収支モデルを更新することが、
前記道路区間についての植生モデル要因を判定することと、
前記道路区間に関連付けられた植生についての成長予測に基づいて、前記植生モデル要因を更新することと、
更新された前記植生モデル要因、分析のための前記時間期間中の前記太陽位置、および分析のための前記時間期間中の前記道路区間に関連付けられた前記気象条件に基づいて、前記予想される太陽放射収支を更新することと
を含む、
請求項
3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記更新された太陽放射収支モデルおよび前記気象変数を使用して前記道路区間についての前記道路状況モデルを生成することが、
前記気象変数に基づいて、前記道路区間についての予想される氷の堆積量を生成することと、
前記気象変数、1つまたは複数の道路措置要因、および前記更新された太陽放射収支モデルに基づいて、前記道路区間についての予想される氷の減少量をシミュレートすることと、
前記予想される氷の堆積量および前記予想される氷の減少量から、前記道路状況予測を判定することと
を含む、請求項1
ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記道路状況予測が前記道路区間上に氷が存在することを示すとき、前記道路区間についての前記道路状況予測を出力することが、
前記道路区間についての氷による移動勧告を生成することと、
前記氷による移動勧告を公的警告システムに提供することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項1ないし7のいずれかに記載の方法の各手順を実行させるためのコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
システムであって、
1つまたは複数のコンピュータ・プロセッサと、
メモリと
を含み、
前記メモリは、請求項8に記載のコンピュータ・プログラムを格納し、
前記1つまたは複数のコンピュータ・プロセッサによって、前記各手順が実行される、
システム。
【請求項10】
請求項8に記載のコンピュータ・プログラムが記録された記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道上の雪および氷の存在を予測することなどの、不都合な気象条件における道路状況を予測することに関し、より詳細には、太陽放射の効果ならびにあらゆる堆積した降水の潜在的な融解および蒸発に基づいて、道路区間の状況を予測することに関する。
【背景技術】
【0002】
道路表面状況は、特に、温帯気候における冬季期間中にしばしば予測不能であり、そこでは、乾いた道路表面、濡れた道路表面、雪および氷に覆われた道路表面、ならびに他の状況の間で急速な推移がよく起こり得る。さらに、道路区間を取り囲む周囲温度が氷点下を超え得るとしても、堆積した凍結降水は、車道から融解せず、乾燥しないことがある。たとえば、陰になったエリアは、より低温のままであり、太陽放射による融解および車道の乾燥の促進を妨げることがある。これらのさまざまな要因は、車道が危ない恐れがあるという警告も表示もなしに、クリアで乾いた車道から雪または氷に覆われた車道へと、運転者が予想せずに推移し得るという車道上の状況を作り出し、それによって車両の制御の喪失をもたらすことがある。道路状況を正確に予測し、その状況を車両オペレータに警告することは、車道の安全性および使用効率を大幅に増加させることができる。
【発明の概要】
【0003】
1つまたは複数のコンピュータのシステムが、動作中、システムにアクションを実施させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せをシステムにインストールしていることによって、特定の動作またはアクションを実施するように構成されてよい。1つまたは複数のコンピュータ・プログラムは、データ処理装置によって実行されるときに、装置に方法のアクションを実施させる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを実施するように構成されてよい。1つの全体的な態様は、道路状況予測のための方法を含む。本方法は、気象条件に基づいて、道路状況予測のための道路区間を選択することと、道路区間についての太陽放射収支モデルを生成することとを含む。本方法はまた、道路区間に近い静的オブジェクトに基づいた永続的構造物モデルを使用して道路区間についての太陽放射収支モデルを更新することを含む。本方法はまた、道路区間に近い動的オブジェクトに基づいた動的構造物モデルを使用して道路区間についての太陽放射収支モデルを更新することを含む。本方法はまた、更新された太陽放射収支モデルおよび気象変数を使用して道路区間についての道路状況モデルを生成することを含む。本方法はまた、道路状況モデルに基づいた、道路区間についての道路状況予測を出力することを含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータ・システム、装置、および1つまたは複数のコンピュータ・ストレージ・デバイス上に記録されたコンピュータ・プログラムを含み、その各々が本方法のアクションを実施するように構成される。
【0004】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。本方法は、道路区間を選択する場合、気象データ・ソースから、地理的エリアについての現在の気象条件が地理的エリア内の車道上に氷があり得ることを示すと判定することと、地理的エリア内で懸念される1つまたは複数の道路区間を識別することと、懸念される1つまたは複数の道路区間から、道路状況予測のための道路区間を選択することを含むことができる。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、道路区間についての太陽放射収支モデルを生成することは、道路区間についての分析のための時間期間を判定することと、道路区間の地理的位置を判定することと、分析のための時間期間中の太陽位置、道路区間の地理的位置、および分析のための時間期間中の道路区間に関連付けられた気象条件に基づいて、道路区間についての予想される太陽放射収支を計算することとを含むことができる。
【0006】
本開示の別の実施形態によれば、永続的構造物モデルを使用して道路区間についての太陽放射収支モデルを更新することは、LIDARデータ点またはその地域の衛星スナップショットあるいはその両方を使用して道路区間についての永続的天空率を判定することと、永続的天空率、分析のための時間期間中の太陽位置、および分析のための時間期間中の道路区間に関連付けられた気象条件に基づいて、予想される太陽放射収支を更新することとを含むことができる。
【0007】
本開示の別の実施形態によれば、動的構造物モデルを使用して道路区間についての太陽放射収支モデルを更新することは、道路区間についての植生モデル要因を判定することと、道路区間に関連付けられた植生についての成長予測に基づいて、植生モデル要因を更新することと、更新された植生モデル要因、分析のための時間期間中の太陽位置、および分析のための時間期間中の道路区間に関連付けられた気象条件に基づいて、予想される太陽放射収支を更新することとを含むことができる。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、更新された太陽放射収支モデルおよび気象変数を使用して道路区間についての道路状況モデルを生成することは、気象変数に基づいて、道路区間についての予想される氷の堆積量を生成することと、気象変数、1つまたは複数の道路措置要因、および更新された太陽放射収支モデルに基づいて、道路区間についての予想される氷の減少量をシミュレートすることと、予想される氷の堆積量および予想される氷の減少量から、道路状況予測を判定することとを含むことができる。
【0009】
本開示の別の実施形態によれば、道路状況予測が道路区間上に氷が存在することを示すとき、道路区間についての道路状況予測を出力することは、道路区間についての氷による移動勧告を生成することと、氷による移動勧告を公的警告システムに提供することとを含むことができる。
【0010】
本開示の異なる実施形態によれば、上で考察された実施形態の任意の組合せを、1つまたは複数のコンピュータ可読ストレージ媒体によって実装することができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、1つまたは複数のコンピュータ・プロセッサの動作によって実行されるときに動作を実施するコンピュータ・プログラム・コードを集合的に含む。実施形態において、実施される動作は、上の方法および実施形態の任意の組合せに対応することができる。
【0011】
本開示のさらに別の異なる実施形態によれば、上で考察された実施形態の任意の組合せを、システムによって実装することができる。本システムは、1つまたは複数のコンピュータ・プロセッサと、1つまたは複数のコンピュータ・プロセッサによって実行されるときに動作を実施するプログラムを集合的に含む1つまたは複数のメモリとを含む。実施形態において、実施される動作は、上の方法および実施形態の任意の組合せに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態による道路区間を有する例示的な車道の図である。
【
図2】一実施形態による例示的な道路システムの図である。
【
図3】一実施形態による例示的なシステム・プロセス・フローの図である。
【
図4】一実施形態による道路状況予測のための方法の図である。
【
図5】一実施形態による太陽放射収支を判定するための方法の図である。
【
図6】一実施形態による道路状況モデリングのための方法の図である。
【
図7】一実施形態による道路予測システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
荒れ模様の気象の間、車両オペレータおよび運転者は、道路表面状況が危ないことを認識しており、普通は、道路表面上に雪および氷が堆積した道路表面に驚くことはない。しかしながら、荒れ模様の気象が過ぎた後、道路表面状況は、一定の区域において危険なままであることがある。たとえば、陰になったエリア、低地エリア、および水はけの悪いエリアは、車道の他の部分が降水または危険からクリアになった後もしばらく、堆積した降水に覆われたまま、または危険なまま、あるいはその両方のままであることがある。車両オペレータが予想せずにこれらの危険な状況に遭遇することは、望ましくない成り行きの中でもとりわけ、車両の制御の喪失を招くことがある。
【0014】
現在、道路表面状況をモデル化し、予測することを試みる数多くの方法が存在する。たとえば、数値モデルは、道路表面状況を予測するためにしばしば使用される。米国陸軍工兵隊によるFast All-season Soil Strength Model(FASST)モデルは、予測されるグラウンド湿気レベル、グラウンド・レベルの氷含有量、温度、凍結/解氷プロファイル、および雪の堆積/除去などの情報を提供し、基本的または標準的な入力を使用して、広い地域についての一般的な道路表面状況予測を提供するために使用され得る。同様に、植生および植生キャノピに関係した情報を使用するNoah-Multiparameterization Land Surface Model(Noah-MP LSM)などの他の物理学ベースのモデルもまた、一般的または非特異的な入力に基づいて、推定される道路表面状況を提供することができる。
【0015】
いくつかのモデルは、都市キャノピおよび森林キャノピ、ならびに複雑な地形内の長波放射および短波放射の分割について放射平衡スキームにおいて計算された天空率(sky view factor)(Ψsky)を入力として利用し、それによって予測モデルを向上させることができる。現在、Ψskyを算出するために使用される多くの要因および方法が存在する。いくつかの方法は、光検出および測距(LIDAR)モデルを利用して、Ψsky計算で使用されるシャドーイングおよび他の要因を判定する。しかしながら、リソース制限のために、LIDARスキャンおよびモデルは、滅多に更新されず、したがって、動的植生(たとえば、季節的な群葉を有する植生、変化する成長パターン、その他)などの非永続的シェーディング・ソースからシェーディングを予測するには、信頼して使用することができない。これらの非永続的シェーディング・ソースは、農村エリアにおける車道などのいくつかの車道の場合、道路シェーディングの主要なソースであることがある。概して、上で説明したモデルは、車道の一定の区間に影響し得る、きめ細かい、リアル・タイムなシェーディング情報またはモデリングを利用していない。このことは、車両オペレータが、警告なく危険な状況に遭遇する可能性が高いままとされる。
【0016】
先の道路状況予測モデルにおいて、車道上のシェーディング情報およびシェーディング効果は考えられているものの、これらのモデルは、どこで、いつ、道路区間が陰になっているのかのきめ細かい精度および規模の大きさでの懸念により、不十分である。これは、部分的には、道路の特定の区間が陰になっているのかどうかを判定することに通じる多数の変数のため、および道路が危険なままであるかどうかを予測するためにその情報を使用しているためである。さらに、シェーディング情報は使用され得るものの、その情報を具体的な道路区間について正確に使用することができない。これは、運転者が危険な状況をアラートされつつも、車道の大部分では危険な状況を経験しないという過検知通知につながる可能性がある。これは、車両オペレータに危険な状況のアラートをないがしろにさせて、しかしその後、車両オペレータを危険な状況に遭遇させる可能性がある。
【0017】
これらの懸念に照らして、道路表面状況を正確に予測するには、正確な入力データが要求される。ローカルな気象条件(太陽放射を含む)および道路表面タイプが、さまざまな予測モデルを駆動する。凍った道路の場合には、日中の直射日光が、道路表面を温め、氷を融解することができる。いくつかの例において、道路に使用された建設材料の熱的性質が、動的気象条件の下での道路の温度を推定するのに使用されることがある。道路表面温度は、大気から吸収された熱(太陽放射を含む)と、グラウンドへ失われた熱(より低温であり得る)との平衡である。しかしながら、上で説明したように、道路にごく近接した樹木、建物、または他の構造物が直射日光を遮っている場合、氷はそのままであることがある。
【0018】
道路シェーディングはまた、(1日および1年全体を通して変化する)太陽の角度、ならびに付近の構造物(たとえば、樹木および建物)の位置および形状に依存する。追加として、車道基礎土壌組成およびインフラストラクチャ設計(たとえば、橋および懸架道路(suspended roads))もまた、車道上の堆積した凍結降水を融解し、クリアにすることに影響を及ぼすことがある(たとえば、橋は、他の道路区間より先に凍って、より長く凍ったままであり得る)。上のモデルおよび方法を使用して、所与の時間での太陽の角度を予測することは単純明快であり、既知の寸法を有する構造物がどのように道路のある区間に陰を作ることになるのか予測することもまた単純明快である。しかしながら、上のモデルおよび方法はすべて、信頼できる地理的に幅広いデータ、ならびに車道に陰を作る構造物および陰の他のソースの位置をきめ細かい精度で詳述するモデルを、取得する、またはモデル化することに失敗している。
【0019】
本明細書で説明されるシステムおよび方法は、道路状況予測において車道上に堆積した危険な降水のレベルを正確にモデル化し、予測するために、車道および車道の道路区間のきめ細かいモデリングを提供する。このプロセスは、
図1~
図7に関して説明されるさまざまな方法および要因の中でもとりわけ、気象条件に基づいて、車道から道路状況予測のための道路区間を選択することと、道路区間についての太陽放射収支モデルを生成することと、道路区間に近い静的オブジェクトに基づいた永続的構造物モデルを使用して道路区間についての太陽放射収支モデルを更新することと、道路区間に近い動的オブジェクトに基づいた動的構造物モデルを使用して道路区間についての太陽放射収支モデルを更新することと、更新された太陽放射収支モデルおよび気象変数を使用して道路区間についての道路状況モデルを生成することとを含む。
【0020】
図1は、一実施形態による道路区間を有する例示的な車道である。
図1における環境100は、車道110を含み、車道110は、道路区間111~113を含む、車道のさまざまなサブ区間を含む。車道110はまた、車道110についての予想される太陽放射収支を計算するのに使用することができる、関連付けられたΨsky115を有する。さらに、いくつかの例において、各道路区間111~113もまた、環境100における道路区間の位置およびさまざまな周辺のオブジェクト/構造物に基づいて、関連付けられた独自のΨskyを有する。
【0021】
たとえば、道路区間113について、さまざまな動的構造物および動的オブジェクトが、複数の要因に基づいて、動的な、または変化するシェーディング・パターンをもたらすことがある。たとえば、樹木120a~120eを含む植生などの動的オブジェクトは、1年のうちの異なる時期の間に、および現在の異なるレベルの陰をもたらす植生に応じて、異なるレベルのシェーディングを道路区間113に被らせることがある。たとえば、1年の異なる時期にいろいろな群葉をつける樹木は、群葉に応じて異なるレベルの陰をもたらすことになる。追加として、樹木120a~120eはまた、植生が成長するにつれて、道路区間113の上にさらなる陰を落とすサイズに成長することがある。別のシナリオにおいて、植生は定期的にトリミングされることがあり、全面的なシェーディング・エリアが減少する。動的シェーディングは、
図1では樹木120a~120dおよび120eとして示されているものの、樹木に加えて、または樹木の代わりに、多様な植生によってもたらされてもよい。たとえば、灌木、蔓植物、農作物、および他のタイプの陰をもたらす植生が、車道110の近くに位置し、車道の上に陰をもたらすことがある。
【0022】
いくつかの例において、車道110の区間はまた、環境100においてより永続的な構造物からの陰を受けることがある。たとえば、永続的構造物またはオブジェクトは、車道110の部分に陰を作ることがある建物130aおよび130bを含むことができる。永続的構造物は、建物130aおよび130bとして示されているものの、擁壁または防音壁、橋、ビルボード・サイン、その他などの、車道110の上に陰を落とすことがある他の静的な、または不変のオブジェクトもまた含むことができる。さらに、車道110は、単一の車道として示されているものの、
図2に関して説明されるようなより大きな道路ネットワークの道路区間であってもよい。
【0023】
図2は、一実施形態による例示的な道路システムである。道路システム200は、複数の車道および道路区間を含む。いくつかの例において、道路システム200は、都市、郡、大都市エリア、州、その他などの対象の特定のエリアにおけるすべての通行可能な道路または公的に整備された道路あるいはその両方を含む。上で説明したように、道路システム200についての一般的な、または広範囲にわたる道路状況モデルは、道路システム200全域についての道路状況の広範な理解を提供することができる。しかしながら、よりきめ細かい、またはターゲットにされたエリアについての道路状況は、未知であることがある。
【0024】
たとえば、道路システム200の地理的エリア205は、道路システム200の残りの区域とは異なる気象条件におかれることがある。さらに、具体的な地理的エリアにおける気象条件、地理的エリア内の植生、および道路構造要因などのさまざまな要因に基づいて、さまざまな他のサブ区域が、道路システム200のその他の区域とは異なる状況、または変則的な状況で知られていることがある。たとえば、地理的エリア210は、車道および道路区間が主に植生によって陰になっている住宅エリアであることがある。別の例において、道路が、公園または森林のような密集した植生エリアを通り抜けることがあり、そこでは、ローカルな気象パターンが、植生のより少ないエリアとは異なることがあり、太陽収支が、植生状態によって全面的に制御される。別の例において、地理的エリア215は、橋または高架車道などの、着氷をより頻繁に被る車道に関連付けられていることがある。
図3~
図6で説明される方法およびシステムは、正確な道路状況予測を提供するために、さまざまな地理的エリアおよび道路区間についてのより詳細できめ細かい予測を提供する。
【0025】
図3は、一実施形態による例示的なシステム・プロセス・フローである。システム・プロセス300は、一般的な道路状況モデル・プロセス310と、永続的構造物モデル350と、動的植生モデル360とを含む。道路状況モデル・プロセス310は、道路状況モデル・プロセスのハイレベル・ビューである。道路状況モデル・プロセス310は、
図7で説明される道路予測システム700などの道路予測システムが、特定の道路区間についての道路状況モデルを生成するために道路状況についての標準的な入力を使用するプロセス・ステップ312で始まる。特定の道路区間は、
図4における方法400に関して説明されるさまざまな要因に応じて選択されてよい。道路状況モデルのための標準的な入力は、少なくとも堆積した降水および太陽放射収支を含む一般的な道路状況モデルを生成するための、気象データ、時間データ、太陽位置データ、およびさまざまな他の情報を含むことができる。いくつかの例において、道路状況モデル・プロセス310で生成された道路状況モデルは、道路システム200などの道路システム全域のためであってもよく、一般的な道路状況予測を提供するために使用されてもよい。次いで道路システム200におけるさまざまな道路区間が選択され、プロセス・ステップ314でさらに処理されて、陰になっていることがあるエリアおよび道路区間のためのきめ細かい情報を提供することができる。
【0026】
プロセス・ステップ314で、道路予測システム700は、陰になった道路区間についての放射収支を修正する。いくつかの例において、道路状況モデルにおける放射収支は、永続的構造物モデル350および動的植生モデル360を使用して修正される。永続的構造物モデル350は、道路区間のサイズ(たとえば、道路区間の幅、その他)だけでなくグローバル位置(たとえば、緯度および経度)を含むことができる、道路区間の位置である位置351などのさまざまな情報を利用する。永続的構造物モデル350はまた、空における太陽の位置(たとえば、ある一定の日または時節における太陽の角度に基づいた位置)を含むことができる太陽情報352を使用する。永続的構造物モデル350はまた、LIDARデータ点群または衛星/航空画像353などの構造物モデルを使用して、道路区間に近い永続的構造物/オブジェクトの形状、および永続的構造物またはオブジェクトによってもたらされるシェーディングを判定する。位置351、太陽情報352、およびLIDARデータ点群353は、永続的構造物によって道路区間がいつ陰になっているのかを判定するモデル決定355への入力である。永続的構造物によって道路区間が陰になっているとき、プロセス・ステップ314で、放射収支が更新されて、陰を反映する。
【0027】
動的植生モデル360は、道路区間のサイズ(たとえば、道路区間の幅、その他)だけでなくグローバル位置(たとえば、緯度および経度)を含むことができる、道路区間の位置361などのさまざまな情報を利用する。動的植生モデル360はまた、空における太陽の位置(たとえば、ある一定の日または時節における太陽の角度)を含むことができる太陽情報362を使用する。動的植生モデル360は、植生成長モデル363を使用して、道路に近い植生の場所、高さ、およびサイズ、ならびに植生または他の動的オブジェクトによってもたらされるシェーディングを判定する。いくつかの例において、モデルは、道路のそのローカル区間に影響する太陽収支を抑制するようなキャノピ・サイズおよび葉の密集度を有することがある、道路の付近にある樹木種のタイプを利用し得る。位置361、太陽情報362、および植生成長モデル363は、植生などの動的オブジェクトによって道路区間がいつ陰になっているのかを判定するモデル決定365への入力である。植生によって道路区間が陰になっているとき、プロセス・ステップ314で、放射収支が更新されて、動的ソースによってもたらされた陰を反映する。いくつかの例において、永続的構造物モデル350は、更新することを必要とすることなく、長い時間の期間にわたって再使用されてもよい(たとえば、永続的構造物は変化する可能性が低いので、LIDARデータ点群は、古くなったデータを使用することができる)。対照的に、動的植生モデル360は、経時的に変化する植生パターン(たとえば、季節間、予想されるバイオマス成長、その他)を反映するように、必要に応じて更新される。
【0028】
道路状況モデル・プロセス310は、モデル350および360によって提供された向上した入力データで、道路区間または道路システムあるいはその両方についての道路状況モデルを道路予測システムが生成する、プロセス・ステップ316に続く。道路状況モデル・プロセス310は、
図4~
図7に関してより詳細に説明される。
【0029】
図4は、一実施形態による道路状況予測のための方法である。考察のしやすさのために、
図1~
図3および
図5~
図7への参照を行うことにする。
図7は、
図4~
図6で説明された方法のステップを実施することができる道路予測システム700のブロック図である。方法400は、地理的エリア内の車道上に氷があり得ることをシステム700が判定するブロック402で始まる。いくつかの例において、この判定は、気象データ・ソース(たとえば、国立気象局または民間の気象予報サービス)から受信した気象条件に基づいている。いくつかの例において、車道上に氷があり得るという判定は、
図2における道路システム200などの道路システム全域について行われてもよい。別の例において、判定は、より小さな地理的領域についての気象データなどの、よりターゲットを絞った情報に基づいている。たとえば、地理的エリア205は、冬の嵐に見舞われていることおそれがあり、より小さな地理的エリアである地理的エリア205は、地理的エリア205内の車道上に氷があり得るという判定の対象となる。ブロック402での判定はまた、履歴着氷情報(たとえば、一定の気象パターンが過去においてそのエリアに着氷をもたらしている)および車道要因(たとえば、道路建設は予想される着氷を招く)などの、他の情報に基づいていてもよい。いくつかの例において、車道上に氷があり得るという判定は、道路状況モデル・プロセス310を起動する。
【0030】
ブロック404で、システム700は、地理的エリア内で懸念される1つまたは複数の道路区間を識別する。たとえば、システム700は、地理的エリア全体にわたって危険な状況が予想されることを気象予報が示す場合に、地理的エリア内の道路区間のすべてを選択することができる。別の例において、プロセス・ステップ312で考察したように、標準的な道路状況モデルが生成されてもよい。次いで未知のシェーディングを有することがある道路状況モデル内の道路区間が、さらなる処理のためにシステム700によって識別される。別の例において、陰になっていることが既知である(たとえば、道路区間に近い永続的または動的オブジェクトを有することが既知である)道路区間が、さらなる処理のために識別される。
【0031】
ブロック406で、システム700は、懸念される1つまたは複数の道路区間から、道路状況予測のための道路区間を選択する。この選択は、正確できめ細かい道路状況予測を提供するために、各道路区間のきめ細かい検証を考慮する。たとえば、
図1に示された車道110の場合、懸念される道路区間として道路区間111~113が識別され、システム700は、道路状況予測のために道路区間112を選択する。いくつかの例において、選択された道路区間についての更新された道路状況モデルが生成されると、システム700は、ブロック406に戻り、さらなる処理のために懸念される別の道路区間を選択する(たとえば、道路区間111および113を選択する)。
【0032】
ブロック408で、システム700は、道路区間についての太陽放射収支モデルを生成する。たとえば、システム700は、選択された道路区間についての標準的なΨskyを生成する。たとえば、システム700は、道路区間112についてのΨskyを生成する。いくつかの例において、選択された道路区間についての太陽放射収支を生成することは、
図5で説明される方法を含む。
【0033】
図5は、一実施形態による太陽放射収支を判定するための方法である。方法500は、道路区間について分析するための時間期間をシステム700が判定するブロック502で始まる。たとえば、システム700は、分析のための最近の24時間、または気象条件(たとえば、降水の存在、雲量、その他)に基づいた別の時間期間を選択することができる。ブロック504で、システム700は、道路区間の地理的位置を判定する。たとえば、システムは、選択された道路区間の緯度および経度を判定する。
【0034】
ブロック506で、システム700は、分析のための時間期間中の太陽位置、道路区間の地理的位置、および分析のための時間期間中の道路区間に関連付けられた気象条件に基づいて、道路区間についての予想される太陽放射収支を計算する。たとえば、計算された太陽放射収支は、道路区間に到達して道路表面上のあらゆる堆積した凍結降水に融解を提供することが予想される日光の量をモデル化する。いくつかの例において、太陽放射収支の計算はまた、道路に使用されている建設材料の熱的性質を使用して、動的気象条件および太陽放射レベルの下での道路の温度を推定する。ブロック506で選択された道路区間についての太陽放射収支を計算すると、プロセス・ステップ312は、少なくとも選択された道路区間について完了し、シェーディングを考慮しない道路状況モデルおよびシミュレーションが生成される。しかしながら、モデルは、道路区間の陰になったエリアにおける危険な状況を考慮していないことになる。
【0035】
図4に戻ると、ブロック410で、システム700は、プロセス・ステップ314で示したように、車道のシェーディングに基づいて太陽放射収支モデルを更新することを始める。ブロック415で、システム700は、永続的構造物が道路区間上にシェーディングをもたらしているかどうかを判定する。たとえば、道路区間111および113について、永続的構造物は、LIDARモデルおよび他の車道情報に基づいて検出されていない。この例において、方法400は、ブロック430に進む。道路区間112についてなどの別の例において、システム700は、建物130aおよび130bなどの永続的構造物が道路区間上にシェーディングをもたらすと判定する。この例において、方法400は、ブロック420に進み、プロセス・ステップ314のための放射収支を修正するために、モデル350を利用し始める。
【0036】
ブロック420で、システム700は、LIDARデータ点を使用して道路区間についての永続的天空率を判定する。永続的Ψskyは、道路区間112の上に永続的構造物によって落とされた陰に基づいて放射収支を変更するために、モデル350のさまざまな入力を使用して判定される。ブロック422で、システム700は、永続的天空率、分析のための時間期間中の太陽位置、および分析のための時間期間中の道路区間に関連付けられた気象条件に基づいて、予想される太陽放射収支を更新する。たとえば、道路区間112は、晴れた日中に高レベルの太陽放射を受けることが予想され得るものの、建物130aおよび130bの存在が、建物によって落とされた陰のために、太陽放射が道路区間に到達するのを妨げることがある。永続的構造物を考慮して更新された予想される太陽放射収支は、道路区間が受ける実際の太陽放射を反映するために、予想される太陽放射の量を下げることになる。永続的構造物モデル350が太陽放射収支を更新するために使用されると、方法400は、動的植生モデル360を使用して、ブロック430~434で、動的シェーディングを考慮することに進む。
【0037】
ブロック430で、システム700は、道路区間についての植生モデル要因を判定する。いくつかの例において、植生モデルは、道路についてのLIDARデータ点および他の情報を使用して生成される。植生モデルは、LIDARデータ点からのさまざまな情報を使用して、植生分離(たとえば、樹木分離)、植生タイプ(たとえば、樹木種)、キャノピ・サイズ、植生場所、および他の情報を判定して、道路区間に近い植生の場所、位置、および陰をもたらす能力を判定することができる。たとえば、植生モデル360は、既知のデータまたは測定されたデータ(たとえば、樹木120eの既知の場所、その他)に基づいて、樹木120eを道路区間112に影響するものとしてモデル化する。
【0038】
ブロック432で、システム700は、道路区間に関連付けられた植生についての成長予測に基づいて、植生モデル要因を更新する。たとえば、システム700は、ブロック430からの植生モデルを更新して、要因の中でもとりわけ、組み合わせた衛星データおよびLIDARデータ(たとえば、長期間の気候条件、その他)からのバイオマス推定値に基づいた植生管理モデルを使用して、植生成長をモデル化する。システム700は、樹木識別情報、ハイパー・ローカライズ成長予測モデル、道路区間への近接度、樹高推定モデル、植生トリミング・モデル、および樹木枯死検出モデルを使用して、バイオマス推定値の変化を予測することができる。
【0039】
ブロック434で、システム700は、更新された植生モデル要因、分析のための時間期間中の太陽位置、および分析のための時間期間中の道路区間に関連付けられた気象条件に基づいて、予想される太陽放射収支を更新する。構造物および動的植生によってもたらされたシェーディングを考慮するよう太陽放射収支が更新されると、方法400は、プロセス・ステップ316において、向上したデータで道路状況モデルを生成することに進む。いくつかの例において、道路状況モデルへと進むのに先立って、対象のあらゆる道路区間が、ブロック415~434を通じて処理される。
【0040】
ブロック440で、システム700は、更新された太陽放射収支モデルおよび気象変数を使用して、道路区間についての道路状況モデルを生成する。ブロック442で、システム700は、道路状況モデルに基づいた、道路区間についての道路状況予測を出力する。ブロック440および442における方法は、
図6に関してより詳細に考察される。
【0041】
図6は、一実施形態による道路状況モデリングのための方法である。ブロック602で、システム700は、気象変数に基づいて、道路区間についての予想される氷の堆積量を生成する。たとえば、システム700は、ある時間の期間にわたる気象情報を使用して、道路区間の道路表面上に堆積することが予想される雪、氷、または雨氷の量を判定する。ブロック604で、システム700は、気象変数、1つまたは複数の道路措置要因、および更新された太陽放射収支モデルに基づいて、道路区間についての予想される氷の減少量をシミュレートする。たとえば、システム700は、気象(たとえば、曇天、その他)に基づいて、堆積した降水と相互作用することが予想される太陽放射の量を判定する。システム700はまた、太陽放射収支を使用して、予想される氷の減少量、ならびに道路が措置されているかどうかを判定する。たとえば、道路区間の道路表面に塩、砂、または他の措置が適用されているとき、予想される減少量は、措置なしに比べて大きくなることになる。
【0042】
ブロック606で、システム700は、予想される氷の堆積量および予想される氷の減少量から、道路状況予測を判定する。たとえば、道路区間112について、予想される氷の減少量が予想される氷の堆積量よりも少ないとき、道路状況予測は、氷または危険な状況が存在していることを示す。別の例として、予想される氷の減少量が予想される氷の堆積量よりも多く、道路区間は、氷または堆積した降水からクリアである可能性があると示すことがある。
【0043】
ブロック608で、システム700は、道路区間についての氷による移動勧告を生成し、道路区間が危険である(すなわち、氷が存在する)のか、またはクリアである(すなわち、氷が道路区間上にあると予想されない)のかを示す。
【0044】
ブロック610で、システム700は、氷による移動勧告を公的警告システムに提供する。たとえば、システム700は、モデル化された道路区間のまわりのエリアにおける運転者への迅速かつ更新された情報を可能にするために、勧告を、公的交通予測システム、民間の交通システム、または運転者に直接、あるいはその組合せで提供する。いくつかの例において、勧告は、運転者または危険な道路区間と関わり合うことが予想される人々にのみ提供される。たとえば、運転者が車道110を走行し、道路区間112に接近すると、運転者は、道路区間112が危険であるというアラートを受信することになる。
【0045】
別の例において、車道または道路システム全域が評価されるとき、危険なエリアまたは危険な道路区間を、システム全域の地図作成においてハイライトして、危険なエリアの識別と共により一般的な大衆に提供してもよい。
【0046】
モデル350および360ならびに
図4~
図6で説明された方法によって提供される拡張された予測によるこの勧告システムは、堆積した降水に覆われ得る道路区間と関わり合うときに運転者/車両運行がよりよく備えることを可能にし、それにより、道路事故の数を減らすことができ、ひいては、さまざまな利益の中でもとりわけ、医療および財物の保険請求、人への潜在的な傷害、および財物への損傷の低下により、保険会社および個人の運転者に対するコストを減少させる。
【0047】
図7は、一実施形態による道路予測システム700のブロック図を例証する。道路予測システム700は、汎用コンピューティング・デバイスの形態で示されている。道路予測システム700のコンポーネントは、限定はされないが、1つもしくは複数のプロセッサまたは処理ユニット705と、システム・メモリ710と、ストレージ・システム720と、ネットワーク・インターフェース730と、バス750とを含むことができ、バス750は、システム・メモリ710およびストレージ・システム720を含むさまざまなシステム・コンポーネントを、ネットワーク・インターフェース730およびさまざまな入力/出力コンポーネントと共に、プロセッサ705に結合する。他の実施形態において、道路予測システム700は、分散されて、ワイヤードまたはワイヤレス・ネットワーキングを通して接続された複数のディスクリート・コンピューティング・デバイスを含む。
【0048】
バス750は、メモリ・バスまたはメモリ・コントローラ、ペリフェラル・バス、アクセラレイティッド・グラフィックス・ポート、および多様なバス・アーキテクチャのいずれかを使用するプロセッサまたはローカル・バスを含む、いくつかのタイプのバス構造のいずれかの1つまたは複数を表す。限定ではなく例として、そのようなアーキテクチャは、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA)バス、拡張されたISA(EISA)バス、ビデオ・エレクトロニクス・スタンダーズ・アソシエーション(VESA)(R)ローカル・バス、およびペリフェラル・コンポーネント相互接続(PCI)バスを含む。
【0049】
道路予測システム700は、通常、多様なコンピュータ・システム可読媒体を含む。そのような媒体は、道路予測システム700によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってよく、揮発性および不揮発性の媒体、リムーバブルおよび非リムーバブルな媒体の両方を含む。
【0050】
システム・メモリ710は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)またはキャッシュ・メモリあるいはその両方などの揮発性メモリの形態におけるコンピュータ・システム可読媒体を含むことができる。道路予測システム700は、他のリムーバブル/非リムーバブル、揮発性/不揮発性のコンピュータ・システム・ストレージ媒体をさらに含むことができる。いくつかの例において、ストレージ・システム720は、メモリ710の一部として含まれてもよく、通常、不揮発性メモリを、ネットワーク化されたコンピューティング・デバイスに提供することができ、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、光学ストレージ・デバイス、または磁気ストレージ・デバイスあるいはその組合せなどの、1つまたは複数の異なるストレージ要素を含むことができる。たとえば、ストレージ・システム720は、非リムーバブルな不揮発性磁気メディア(示されていないが、通常「ハード・ドライブ」と呼ばれる)から読み出し、非リムーバブルな不揮発性磁気メディアに書き込むために提供されてもよい。示されてはいないが、リムーバブルな不揮発性磁気ディスク(たとえば、「フロッピー(R)・ディスク」)から読み出し、リムーバブルな不揮発性磁気ディスクに書き込むための磁気ディスク・ドライブ、およびCD-ROM、DVD-ROM、または他の光学媒体などの、リムーバブルな不揮発性光学ディスクから読み出し、リムーバブルな不揮発性光学ディスクに書き込むための光学ディスク・ドライブが提供されてもよい。そのような実例において、各々は、1つまたは複数のデータ媒体インターフェースによってバス750に接続されてよい。ストレージ720は、永続的構造物モデル350、動的植生モデル360、気象情報721、および道路予測モジュール715の稼働に関係した他のデータを記憶するための媒体を含むことができる。ストレージ・システム720に記憶された情報は、
図4~
図6に関して上で説明したように、道路予測モジュール715によって更新され、アクセスされてよい。
【0051】
メモリ710は、本明細書で説明された道路状況予測に関係したさまざまな機能を実施するための道路予測モジュール715などの、複数のプログラム・モジュールを含むことができる。道路予測モジュール715は、一般に、プロセッサ705のうちの1つまたは複数によって実行可能なプログラム・コードを含む。
【0052】
本発明のさまざまな実施形態の説明は、例証の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示された実施形態に限定されることも意図していない。説明された実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの改変形態および変形形態が、当業者には明白であろう。本明細書で使用した専門用語は、実施形態の原理、実際の適用、または市場で見られる技術に対する技術的向上を最もよく解説するために、または他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解するのを可能にするために選ばれたものである。
【0053】
以下において、本開示で提示された実施形態への参照を行う。しかしながら、本開示の範囲は、具体的に説明された実施形態に限定はされない。そうではなく、以下の特徴および要素の任意の組合せが、異なる実施形態に関係するか否かにかかわらず、企図された実施形態を実装し、実践するように企図される。さらに、本明細書で開示された実施形態は、他の可能な解決策を超えた、または先行技術を超えた利点を実現し得るものの、特定の利点が所与の実施形態によって実現されるか否かは、本開示の範囲を限定することにはならない。したがって、以下の態様、特徴、実施形態、および利点は、単なる例証にすぎず、特許請求の範囲に明示的に列挙される場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素または限定とは考えられていない。同様に、「本発明」への言及は、特許請求の範囲に明示的に列挙される場合を除いて、本明細書で開示されたいかなる発明の主題の一般化と解釈されることはなく、添付の特許請求の範囲の要素または限定と考えられることもない。
【0054】
本発明の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード、その他を含む)、またはソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせる実施形態の形態を取ることができ、これらはすべて一般的に、「回路」、「モジュール」、または「システム」と本明細書で呼ばれてもよい。
【0055】
本発明は、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはその組合せであってよい。コンピュータ・プログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに遂行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。
【0056】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持し、記憶することができる有形なデバイスであってよい。コンピュータ可読ストレージ媒体は、たとえば、限定はされないが、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光学ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、または上記の任意の好適な組合せであってよい。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、静的ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック(R)、フロッピー(R)・ディスク、命令が記録されたパンチ・カードまたは溝における隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、および上記の任意の好適な組合せを含む。コンピュータ可読ストレージ媒体は、本明細書で使用されるとき、たとえば、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を伝播する電磁波(たとえば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを通して伝送される電気信号などの、一過性の信号自体であるものと解釈されるべきではない。
【0057】
本明細書で説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体から、それぞれのコンピューティング/処理デバイスに、あるいはたとえば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、またはワイヤレス・ネットワークあるいはその組合せのネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部ストレージ・デバイスに、ダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバあるいはその組合せを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に記憶するために、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0058】
本発明の動作を遂行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、あるいは、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードまたはオブジェクト・コードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモート・コンピュータ上で、あるいは完全にリモート・コンピュータまたはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオにおいて、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてもよいし、または外部コンピュータへの接続が(たとえば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通して)行われてもよい。いくつかの実施形態において、たとえば、プログラマブル論理回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実施するために、電子回路を個人化するためのコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0059】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して本明細書で説明される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せが、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることが理解されるであろう。
【0060】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行された命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実装するための手段を作り出すように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されて、マシンを生み出すものであってよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、命令がその中に記憶されたコンピュータ可読ストレージ媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製造物品を含むように、コンピュータ可読ストレージ媒体に記憶されて、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスあるいはその組合せに、特定のやり方で機能するよう指示することができてもよい。
【0061】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行された命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実装するように、コンピュータ実装プロセスを生み出すべく、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス上にロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実施させてもよい。
【0062】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明のさまざまな実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性、および動作を例証している。このことに関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定された論理的機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替的実装形態において、ブロックに記した機能は、図に記した順序以外で行われてもよい。たとえば、関与する機能性に応じて、連続して示す2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよいし、またはブロックは、時に逆の順序で実行されてもよい。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能もしくは動作を実施する、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを遂行する、専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装されてもよいことにもまた留意されたい。
【0063】
本発明の実施形態は、クラウド・コンピューティング・インフラストラクチャを通してエンド・ユーザに提供されてもよい。クラウド・コンピューティングは、一般的には、ネットワーク上のサービスとしてのスケーラブルなコンピューティング・リソースのプロビジョンを指す。より形式的には、クラウド・コンピューティングは、コンピューティング・リソースと、その基礎となる技術的アーキテクチャ(たとえば、サーバ、ストレージ、ネットワーク)との間に抽象化を提供するコンピューティング能力として定義されてよく、最小限の管理労力またはサービス・プロバイダ相互作用で、素早くプロビジョニングされ、リリースされ得る構成可能なコンピューティング・リソースの共有プールへの便利でオン・デマンドなネットワーク・アクセスを可能にする。したがって、クラウド・コンピューティングは、コンピューティング・リソースを提供するために使用される基礎となる物理システム(またはそれらのシステムの場所)に関係なく、ユーザが、仮想コンピューティング・リソースに(たとえば、ストレージ、データ、アプリケーション、および完全な仮想化コンピューティング・システムにさえ)、「クラウド」においてアクセスできるようにする。
【0064】
通常、クラウド・コンピューティング・リソースは、使用に応じた料金でユーザに提供され、そこでは、ユーザは、実際に使用したコンピューティング・リソース(たとえば、ユーザによって消費されたストレージ空間の量、またはユーザによってインスタンス化された仮想化システムの数)についてのみ課金される。ユーザは、クラウドに常駐するリソースのどれにでも、いつでも、およびインターネット上のどこからでもアクセスすることができる。本発明のコンテキストにおいて、ユーザは、クラウドにおいて利用可能なアプリケーション(たとえば、道路予測モジュール715、永続的構造物モデル350、および動的植生モデル)または関係したデータにアクセスすることができる。そうすることで、ユーザは、クラウドに接続されたネットワーク(たとえば、インターネット)にアタッチされた任意のコンピューティング・システムから、この情報にアクセスできるようになる。
【0065】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の、およびさらなる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、その範囲は、続く特許請求の範囲によって決定される。