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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ビーム変換器
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20240731BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20240731BHJP
   G02B 27/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G02B26/08 E
B23K26/064
G02B26/08 Z
G02B27/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023513421
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2021072210
(87)【国際公開番号】W WO2022043044
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】102020122484.2
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506065105
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー- ウント ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser- und Systemtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ツェラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ハイメス
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ベック
(72)【発明者】
【氏名】マリオ シュヴァルツ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ゲオルク シュラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ハイロ ヴェラ モスケラ
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/019374(WO,A1)
【文献】特開2013-097123(JP,A)
【文献】特開2009-175691(JP,A)
【文献】特開2016-062011(JP,A)
【文献】特開平11-281918(JP,A)
【文献】米国特許第05553088(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/48
B23K 26/00
G02B 5/00
G02B 6/00
G02B 26/00
G02B 27/00
G03B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力レーザービームを時間的及び/又は空間的コヒーレンスを低減させた変換ビームに変換するための、特に、互いに実質的に平行に延びる前面(32)と背面(34)とを有し、入口領域(16)及び出口領域を有し、ビーム偏向のための複数の反射面を有する透明平坦光学要素(14)の形態の、物体のライン照明用のレーザーシステムで使用するためのビーム変換器であって、冷却デバイスが少なくとも前記前面(32)又は前記背面(34)上に設けられており、
前記冷却デバイスは、少なくとも前記前面(32)又は前記背面(34)上のヒートシンク(18、24)を含み、
熱伝導性材料で作成された、前記ヒートシンク(18、24)を作成する材料よりも柔らかい中間層(38、40)が、前記光学要素(14)の前記前面(32)及び/又は前記背面(34)と前記ヒートシンク(18、24)の表面との間に配置されている、ビーム変換器。
【請求項2】
前記ヒートシンク(18、24)は、熱伝導率が少なくとも50Wm-1-1の熱伝導性材料からなる請求項に記載のビーム変換器。
【請求項3】
前記中間層(38、40)はインジウムからなる、請求項1又は2に記載のビーム変換器。
【請求項4】
前記中間層(38、40)は、0.02~1mmの厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のビーム変換器。
【請求項5】
前記中間層(38、40)は、約0.1mmの厚さを有する、請求項に記載のビーム変換器。
【請求項6】
前記ヒートシンク(18、24)は、受動冷却用の冷却リブ(48)を含む、請求項のいずれか一項に記載のビーム変換器。
【請求項7】
前記ヒートシンク(18、24)は、冷却剤を供給及び除去するためのコネクタを含む、請求項のいずれか一項に記載のビーム変換器。
【請求項8】
冷却デバイスは、前記光学要素(14)の前記前面(32)及び前記背面(34)上の両方に設けられている、請求項1~のいずれか一項に記載のビーム変換器。
【請求項9】
前記冷却デバイスは、冷却空気流を発生させるための手段(44、46)、ヒートパイプ、又はペルチェ素子(42)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のビーム変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力レーザービームを時間的及び/又は空間的コヒーレンスを低減させた変換ビームに変換するための、特に、互いに実質的に平行に延びる前面と背面とを有し、入口領域を有し、出口領域を有し、ビーム偏向のための複数の反射面を有する透明平坦光学要素の形態の、物体のライン照明用のレーザーシステムで使用するためのビーム変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなビーム変換器は、(特許文献1)から周知である。本明細書に記載されているのは、物体のライン照明のために加工面にレーザーラインを提供するためのレーザーシステムである。
【0003】
そのようなレーザーシステムの例示的な用途としては、例えばTFTディスプレイのガラス基板上に堆積させたシリコン酸化膜の再結晶化、例えば太陽電池のレーザーアシストドーピング、及びマイクロ電子デバイス製造時のレーザーリフトオフ法が挙げられる。
【0004】
このようなシステムにおいては、レーザーラインは、第1の方向に顕著な長さにわたって延び、第2の方向には短い経路にしか延びない。レーザーシステムは、範囲の方向に沿って延びる細長い入力レーザービームのベースとしてのレーザービームを提供するためのレーザー源と、レーザーラインを形成するために細長いレーザービームを均一化するための均一化及び収束ユニットとを含む。本明細書に記載されるのは、物体のライン照明のために入力レーザービームを変換ビームに成形するためのビーム変換器である。ビーム変換器は、互いに実質的に平行に延びる前面と背面とを有する透明モノリシック平坦光学要素を含む。レーザービームが入るための入口領域が前面に設けられている。変換ビームが出るための出口領域が背面に設けられている。光学要素は、ビーム偏向のための複数の反射面を含む。
【0005】
このようなビーム変換器は、当然、所望の変換を実施するのに適しているが、実際には、イメージング性能は改善可能であることが判明した。ライン幅及び所望の(一般に台形)ビームプロファイルは、全ての条件下で十分に正確に維持されるわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/019374A1号パンフレット
【文献】国際公開第2018/919374A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景の下、本発明は、改善されたイメージング性能を得ることができる改良されたビーム変換器を開発する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、冒頭で説明した種類によるビーム変換器において、冷却デバイスを少なくとも前面又は背面上に設けることにより達成される。
【0009】
動作中、レーザー光は、各インターフェース及び光学要素自体のガラス本体内で吸収される。これは、光学要素の不均一な加熱につながる。ガラス内の熱伝導は悪いため、ガラス本体における熱伝導による温度均一化は非常に限られたものにしかならない。このことは、不均一なイメージング挙動につながる。特に、ライン幅及び所望のビームプロファイルは、全ての条件下で十分に正確に維持されるわけではない。
【0010】
本発明によれば、少なくとも前面又は背面上に、好ましくは前面及び背面上の両方に冷却デバイスを使用することで、光学要素内の温度分布を大方均一化することが可能である。これにより、イメージング挙動が大幅に向上する。
【0011】
本発明の更なる実施形態によれば、冷却デバイスは、光学要素の少なくとも前面又は背面上のヒートシンクを含む。
【0012】
本発明の更なる実施形態によれば、ヒートシンクは、熱伝導率が少なくとも50Wm-1-1の良好な熱伝導性の材料、好ましくは銅又はアルミニウムからなる。
【0013】
これにより、良好な熱放散又は均一な温度分布を可能にする。
【0014】
本発明の更なる実施形態によれば、熱伝導性材料で作成された、ヒートシンクを作成する材料よりも柔らかい中間層が、光学要素の前面及び/又は背面とヒートシンクの表面との間に配置されている。
【0015】
本発明の更なる実施形態によれば、中間層はインジウムからなる。
【0016】
これによりヒートシンクの熱膨張係数と光学要素が作成されているガラス本体の熱膨張係数との差による光学要素の反射面の損傷が回避されるという点で、これは有利である。
【0017】
インジウムは良好な熱伝導率を有し、これは銅の熱伝導率よりも低いが、インジウムは非常に低い流動応力を有し、その低い融点のために室温又はわずかに高めの温度においても非常に柔らかい。したがって、インジウムからなる中間層は、第1に、中間層の下の光学要素の反射層を保護し、第2に、隣接するヒートシンクへの良好な熱伝達を可能にする。全般的に、好ましくはインジウムからなる柔らかい中間層は、ガラス本体の反射性コーティングの損傷を防止すると同時に、ヒートシンクに対する熱接触を向上させる。
【0018】
本発明の更なる実施形態によれば、中間層は、0.02~1mmの厚さ、好ましくは約0.1mmの厚さを有する。
【0019】
このような厚さは、光学要素と隣接するヒートシンクとの間の最適な熱伝達と、インジウムの熱伝導率が銅に対して悪いことによる低い熱損失との間で良好な妥協をもたらすと同時に、光学要素のミラーの十分な保護を提供する。
【0020】
本発明の更なる実施形態によれば、ヒートシンクは、冷却剤を供給及び除去するためのコネクタを含む。
【0021】
これにより、特に効果的な冷却を確実にする。
【0022】
代替的な実施形態によれば、ヒートシンクは、受動冷却用の冷却リブを含む。例として、受動冷却用の冷却リブは、例えば電子回路の場合の構成要素の冷却から典型的に周知のように、外側に角度をなして突出してもよい。しかしながら、追加的な冷却リブ又は冷却剤による能動冷却が提供されない場合であっても、前面及び/又は背面上の、良好な熱伝導性の材料で作成された層が、周囲への熱放散をもたらすヒートシンクとしての役割を果たす。
【0023】
本発明の代替的な実施形態によれば、冷却デバイスは、冷却空気流を発生させるための手段、ヒートパイプ、又はペルチェ素子を含む。このような冷却デバイスを使用することで、光学的物体の表面の効果的な冷却も確実とすることができる。同様に、冷却剤の追加的な通路と組み合わせたヒートシンクによる冷却は、特に経済的で効果的な好ましい実施形態である。
【0024】
本発明の前述の特徴及び以下でこれから説明する本発明の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ明記されている組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独でも使用可能であることは理解される。本発明の更なる特徴及び利点は、図面を参照する好ましい例示的実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるビーム変換器の斜視図を示す。
図2】正面から見た図1による光学要素の簡略側面図を示す。
図3】裏面から見た光学要素の図を示す。
図4】簡略化のためにシンク内の冷却チャネルの表現を省略した、正面及び裏面上にヒートシンクを有する光学要素と光学要素上に配置された締結要素とを通る簡略断面図を示す。
図4a】光学要素のみがヒートパイプ又はペルチェ素子の形態の冷却要素とともに断面図で示されている図4によるビーム変換器の代替的な実施形態を示す。
図4b】光学要素が、ファンによって供給される冷却空気ラインの形態の冷却デバイスとともに示されているビーム変換器の更なる修正形態を示す。
図4c】ヒートシンクのみが示され、ヒートシンクは、受動冷却を提供するために外側に角度をなして突出する冷却リブを備えるビーム変換器の更なる修正形態を示す。
図5a】冷却を伴わない、時間(分)に対してプロットした経時的な細長いレーザービームの短軸の測定長さ(マイクロメートル)の変化の表現を示す。
図5b】ヒートシンクを通過する冷却剤による能動冷却を伴う、前面及び背面の両方における冷却を伴う図5aによる表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、全体的に参照番号10で示される本発明によるビーム変換器の斜視図を示す。
【0027】
ビーム変換器10は、参照により全体が本明細書に組み込まれる(特許文献1)に詳述されているような、物体の照明のために加工面にライン形状のレーザービームを提供するように設計されたレーザーシステムの一部である。
【0028】
したがって、レーザーラインは、第1の方向に顕著な長さにわたって延び、第2の方向にはわずかな範囲しか有しない。レーザーシステムは、伝搬の方向に沿った細長い入力レーザービームのベースとしてのレーザービームを放出するためのレーザー源と、レーザーラインを形成するために細長いレーザービームを均一化及び収束するための均一化及び収束ユニットとを含む。このプロセスでは、一連のレーザーラインからなる広範囲のレーザーラインを共に形成するために、複数のレーザーシステムが互いに隣り合って配置されてもよい。入力レーザービームを空間的及び/又は時間的コヒーレンスを低減させた変換ビームに変換するためのビーム変換器は、そのようなレーザーシステム内の光学系の一部である。
【0029】
(特許文献1)によれば、これは、互いに実質的に平行に延びる前面と背面とを有し、前面に入口領域、背面に出口領域を有し、ビーム偏向のための複数の反射面を有する透明平坦光学要素である。このようなビーム変換器の構造及び機能は周知である。こうした状況において、詳細については(特許文献2)を参照されたい。
【0030】
ビーム変換器内における変換は、一般に、ビーム品質をX方向(長手方向のビームの範囲の方向)に低下させると同時に、ビーム品質をレーザービームのY方向(「幅」)に向上させる。Z方向は、レーザービームの伝搬方向である。
【0031】
図1によれば、本発明によるビーム変換器10は、全体的に参照番号14で示される透明平坦モノリシック光学要素を収容するハウジング12を含む。平坦光学要素14は、互いに平行に延びる前面と背面とを有し、前面に入口領域16、背面に出口領域を有する(図1では見えない)。
【0032】
図2及び図3によれば、光学要素14は、共通縁部37から出る2つの直交する長手方向側部33、35を有する実質的に三角形の形状を有する。実質的に矩形の入口領域16が前面32に形成されており(図2)、入口領域16に対して垂直に延びる実質的に矩形の出口領域36が裏面34に形成されている(図3)。入口領域16と出口領域36は、共通縁部37に隣接する縁部領域内で交差する。入口領域16及び出口領域36には反射防止コーティングが提供されている。
【0033】
これとは対照的に、前面32及び背面34は、その外側が高反射性コーティングで覆われている。その結果、上流のアナモルフィック光学機構によって楕円形に広がった斜めに入射するレーザービームが出口領域36を通って再び出る前に、前記ビームは光学要素14内で複数回反射される。しかしながら、入口領域16と出口領域36との間のオーバラップ領域内に垂直に入射するレーザービームは、反射されることなく出口領域36を通って直接出る。
【0034】
本発明によれば、ここで、各ヒートシンク18又は24(図1)が前面32と背面34上の両方に設けられ、それぞれの場合において、ヒートシンクは、入口領域16及び出口領域36のみを除いた前面32の全体又は背面34の全体にわたって延びる。ヒートシンク18、24は銅からなり、冷却剤がヒートシンク18、24のそれぞれを通って流れる。図1では、正面にあるヒートシンク18の関連冷却剤ライン20、22及び背面にあるヒートシンク24の冷却剤ライン26、28を確認できる。
【0035】
レーザー光は、各インターフェース及び光学要素14自体のガラス本体内で吸収され、光学要素14の不均一な加熱につながる。ガラス内の熱伝導は非常に悪いため、光学要素14における熱伝導による温度均一化は限られたものにしかならない。本発明によれば、ここで、ヒートシンク18、24により温度均一化が提供され、その結果、エネルギーは部分的に放散される。或いは、光学要素14の全体にわたって均一に分布する。
【0036】
ガラスは非常に低い熱膨張係数を有するが、好ましくは銅からなるヒートシンクは非常に高い熱膨張係数を有するため、温度が変化する場合、光学要素14とヒートシンク18、24との間に相対運動が存在する。各インターフェースには高反射層が設けられるため、これらは相対運動により損傷する可能性がある。これを防止するために、各々の中間層38、40が、前面32上のヒートシンク18の間及び背面34上のヒートシンク24の間に設けられる(図4)。中間層は、厚さが約0.1mmのインジウム薄膜からなる。インジウムは、融点が157℃である。インジウムの熱伝導率は約81.6Wm-1-1と、銅の熱伝導率(398W-1-1)よりも低いが、インジウムは、室温で約1MPaのその非常に低い流動応力により、両側の接触面に対する良好な適応を可能にする。インジウムは非常に柔らかいため、インジウム膜は表面凹凸に適応し、温度が変化した場合に良好な補償を提供する。ヒートシンク18、24と光学要素14との間の接触面はこのようにして最大化されると同時に、前面32及び背面34の損傷しやすい反射性コーティングが損傷から保護される(明確化の目的で、図4では、インジウムで作成された中間層38、40の厚さは、ヒートシンク18、24の厚さに対して過度に大きく示されていることが認められ、更に、簡略化の目的で、冷却剤ライン20、22及び冷却剤ライン26、28が接続されているヒートシンク18、24内の冷却剤チャネルは図示されていない)。
【0037】
いずれの場合においてもヒートシンク18、24の側面にねじ止めされているU字形のフランジの形態の包囲締結要素30は、2つのヒートシンク18、24を締結する役割を果たす。
【0038】
(特許文献1)から周知のように、長いラインビームを得るために互いに隣り合って配置された複数のレーザーシステムを利用する場合、複数のビーム変換器10は互いに隣り合って配置されてもよいことは理解される。
【0039】
或いは、冷却デバイスはまた、ヒートシンク18、24の代わりに他の冷却剤を有してもよい。このために、図4aに例示的に示されるように、複数のヒートパイプ又はペルチェ素子が前面32及び背面34上に設けられてもよい。この場合、ビーム変換器は全体的に参照番号10aで示される。
【0040】
図4bによる更なる変形形態では、ビーム変換器は全体的に参照番号10bで示されている。光学要素14を冷却するために、各冷却空気ライン44が前面32から特定の距離に、及び背面34から特定の距離に設けられており、冷却空気ラインに、ファン46によって冷却空気が供給される。冷却空気は、前面32及び背面34を冷却するために、冷却空気ライン44から、対応するノズルを通って光学要素14の方向に出る。
【0041】
図4cは、全体的に参照番号10cで示されるビーム変換器の更なる変形形態を示す。この場合、ヒートシンク18は正面のみが示されている。ヒートシンク18は、外側に角度をなして突出する複数の冷却リブ48が設けられた受動ヒートシンクとして設計されている。
【0042】
特に強力且つ均一な冷却につながり、ヒートパイプ又はペルチェ素子が使用される場合に比べて構造がより単純でよりコスト効果的であることから、全般的に、冷却剤ラインが接続された図4による能動ヒートシンクの使用、又は任意選択的に、図4cによる受動ヒートシンクの使用が好ましい。
【0043】
図5a、図5bに、前面及び背面の両方におけるビーム変換器10の能動冷却の効果を比較で示す。図5aは、冷却を伴わない処理平面内の細長いレーザービームの短軸の測定幅(FWHM=プロファイルの高さの半分のビーム幅)を示し、図5bは、冷却を伴った処理平面内の細長いレーザービームの短軸の測定幅(FWHM=プロファイルの高さの半分のビーム幅)を示す。ここで、冷却していない場合ではラインの幅が1~2分の間に大きく変化することは明白である。ラインの幅が変化すると、光が分布する領域が小さくなったり大きくなったりするため、出力密度も変化する。これは望ましくない。
【0044】
不均一な加熱は、両側のミラー表面の(局所)変形につながり、場合によっては、屈折率の変化にもつながる。その結果、出るビームの形状及び高さが変化する。この幾何学的形状は処理平面上に投影されるため、これは、処理平面内のラインの幾何学的形状、主に、ライン幅、及びまた、台形ビームプロファイルの変化ももたらす。
【0045】
図5bによる冷却実施形態における顕著な改善は明白である。
【符号の説明】
【0046】
10 ビーム変換器
10a ビーム変換器
10b ビーム変換器
10c ビーム変換器
12 ハウジング
14 光学要素
16 入口領域
18 ヒートシンク
20 冷却剤ライン
22 冷却剤ライン
24 ヒートシンク
26 冷却剤ライン
28 冷却剤ライン
30 締結要素
32 前面
33 長手方向側部
34 背面
35 長手方向側部
36 出口領域
37 共通縁部
38 中間層
40 中間層
42 ペルチェ素子
44 冷却空気ライン
46 ファン
48 冷却リブ
図1
図2
図3
図4
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b