(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】極低温冷凍機および極低温システム
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20240731BHJP
F25B 9/14 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F25B9/00 F
F25B9/14 530Z
(21)【出願番号】P 2020029619
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】水野 陽治
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-130336(JP,A)
【文献】特公平04-082042(JP,B2)
【文献】特開平05-055032(JP,A)
【文献】特開平04-278145(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073971(WO,A1)
【文献】特開2007-024490(JP,A)
【文献】特開2016-211803(JP,A)
【文献】特開平09-283321(JP,A)
【文献】特開平09-287837(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110440477(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00 - 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器に装着可能であり、液体冷媒容器を冷却する極低温冷凍機であって、
前記極低温冷凍機が前記真空容器の装着口に装着されるとき前記装着口との間に冷媒ガス室を形成し、前記冷媒ガス室の昇圧により取り外し方向に移動可能な取付フランジと、
前記真空容器内に配置される被冷却物を冷却する冷却ステージであって、前記被冷却物に接触する冷却位置から前記被冷却物から離れる非冷却位置に前記取付フランジの前記取り外し方向への移動に伴って移動可能な冷却ステージと、を備え、
前記冷媒ガス室が、前記液体冷媒容器に接続され、
前記冷媒ガス室から封止された真空領域が、前記装着口から前記極低温冷凍機
のコールドヘッドを囲むようにして前記真空容器内に延在するコールドヘッドスリーブと前記
コールドヘッドとの間に形成されることを特徴とする極低温冷凍機。
【請求項2】
前記取付フランジは、
前記真空容器の第1ガイド面に摺動可能に接触する第1フランジ周面と、
前記真空容器の第2ガイド面に摺動可能に接触し、前記第1フランジ周面よりも小径の第2フランジ周面と、
前記第1フランジ周面と前記第2フランジ周面とをつなぎ、前記取り外し方向とは反対方向を向く冷媒ガス室形成面と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の極低温冷凍機。
【請求項3】
真空容器に装着可能であり、液体冷媒容器を冷却する極低温冷凍機であって、
前記極低温冷凍機が前記真空容器の装着口に装着されるとき前記装着口との間に冷媒ガス室を形成し、前記冷媒ガス室の昇圧により取り外し方向に移動可能な取付フランジと、
前記真空容器内に配置される被冷却物を冷却する冷却ステージであって、前記被冷却物に接触する冷却位置から前記被冷却物から離れる非冷却位置に前記取付フランジの前記取り外し方向への移動に伴って移動可能な冷却ステージと、を備え、
前記冷媒ガス室が、前記液体冷媒容器に接続され、
前記取付フランジは、
前記真空容器の第1ガイド面に摺動可能に接触する第1フランジ周面と、
前記真空容器の第2ガイド面に摺動可能に接触し、前記第1フランジ周面よりも小径の第2フランジ周面と、
前記第1フランジ周面と前記第2フランジ周面とをつなぎ、前記取り外し方向とは反対方向を向く冷媒ガス室形成面と、
前記第1ガイド面と前記第1フランジ周面の間に保持され、前記真空容器の外部環境から前記冷媒ガス室を封止する第1シールと、
前記第2ガイド面と前記第2フランジ周面の間に保持され、前記真空容器内の真空領域から前記冷媒ガス室を封止する第2シールと、を備えることを特徴とする極低温冷凍機。
【請求項4】
前記取付フランジは、前記取り外し方向とは反対方向に前記取付フランジを前記真空容器へと弾性的に押し付ける押付機構を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の極低温冷凍機。
【請求項5】
前記液体冷媒容器と、前記液体冷媒容器を前記冷媒ガス室に接続する冷媒ガス配管と、をさらに備え、前記液体冷媒容器が、前記冷却ステージに固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の極低温冷凍機。
【請求項6】
前記冷媒ガス配管は、前記液体冷媒容器から前記冷媒ガス室に冷媒ガスを導入可能とするように配置された逆止弁を備えることを特徴とする請求項5に記載の極低温冷凍機。
【請求項7】
真空容器内に配置される液体冷媒容器であって、真空領域から液体冷媒を隔てる容器壁と、前記容器壁に設けられた再凝縮部と、を備える液体冷媒容器と、
前記真空容器に装着され、前記液体冷媒容器を冷却する極低温冷凍機であって、
前記極低温冷凍機が前記真空容器の装着口に装着されるとき前記装着口との間に冷媒ガス室を形成し、前記冷媒ガス室の昇圧により取り外し方向に移動可能な取付フランジと、
前記真空領域に配置され前記再凝縮部を冷却する冷却ステージであって、前記再凝縮部に接触する冷却位置から前記再凝縮部から離れる非冷却位置に前記取付フランジの前記取り外し方向への移動に伴って移動可能な冷却ステージと、を備える極低温冷凍機と、を備え、
前記冷媒ガス室が、前記液体冷媒容器に接続され、
前記冷媒ガス室から封止された真空領域が、前記装着口から前記極低温冷凍機
のコールドヘッドを囲むようにして前記真空容器内に延在するコールドヘッドスリーブと前記
コールドヘッドとの間に形成されることを特徴とする極低温システム。
【請求項8】
前記液体冷媒容器を前記冷媒ガス室に接続する冷媒ガス配管をさらに備え、
前記冷媒ガス配管は、前記液体冷媒容器から前記冷媒ガス室に冷媒ガスを導入可能とするように配置された逆止弁を備えることを特徴とする請求項7に記載の極低温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温冷凍機および極低温システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、極低温冷凍機とたとえば超伝導コイルなど被冷却物との熱的結合を切り離したり、接続することが可能な熱スイッチが知られている。給電検出リレーにより冷凍機が動作していないことを検知した場合、昇降装置の駆動によりコールドヘッドが被冷却物から切り離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、極低温冷凍機の冷凍能力が低下するとき極低温冷凍機を被冷却物から自動的に切り離すことを可能とする新規な機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様によると、極低温冷凍機は、真空容器に装着可能であり、液体冷媒容器を冷却する。極低温冷凍機は、極低温冷凍機が真空容器の装着口に装着されるとき装着口との間に冷媒ガス室を形成し、冷媒ガス室の昇圧により取り外し方向に移動可能な取付フランジと、真空容器内に配置される被冷却物を冷却する冷却ステージであって、被冷却物に接触する冷却位置から被冷却物から離れる非冷却位置に取付フランジの取り外し方向への移動に伴って移動可能な冷却ステージと、を備える。冷媒ガス室が、液体冷媒容器に接続されている。
【0006】
本発明のある態様によると、極低温システムは、真空容器内に配置される液体冷媒容器であって、真空領域から液体冷媒を隔てる容器壁と、容器壁に設けられた再凝縮部と、を備える液体冷媒容器と、真空容器に装着され、液体冷媒容器を冷却する極低温冷凍機と、を備える。極低温冷凍機は、極低温冷凍機が真空容器の装着口に装着されるとき装着口との間に冷媒ガス室を形成し、冷媒ガス室の昇圧により取り外し方向に移動可能な取付フランジと、真空領域に配置され再凝縮部を冷却する冷却ステージであって、再凝縮部に接触する冷却位置から再凝縮部から離れる非冷却位置に取付フランジの取り外し方向への移動に伴って移動可能な冷却ステージと、を備える。冷媒ガス室が、液体冷媒容器に接続されている。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、極低温冷凍機の冷凍能力が低下するとき極低温冷凍機を被冷却物から自動的に切り離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る極低温システムを概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示される極低温冷凍機について冷却位置と非冷却位置を示す。
【
図3】第2実施形態に係る極低温冷凍機を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0011】
図1は、第1実施形態に係る極低温システム10を概略的に示す図である。極低温システム10は、被冷却体12を浸漬冷却によって冷却するように構成される。すなわち、被冷却体12は、極低温の液体冷媒14との熱交換により極低温に冷却される。被冷却体12は、その全体または一部分が液体冷媒14に浸され、液体冷媒14に直接触れている。あるいは、液体冷媒14を流す流路及び/または配管が、被冷却体12の内部及び/または周囲に設けられ、液体冷媒14と被冷却体12は、流路及び/または配管を介して熱交換してもよい。
【0012】
この実施形態では、極低温システム10は、たとえば磁気共鳴イメージング(MRI)システム、または超伝導電磁石など超伝導機器を有する超伝導システムの一部であってもよく、被冷却体12は、超伝導コイルであってもよい。液体冷媒14は、たとえば液体ヘリウムである。液体冷媒14に浸されることによって、超伝導コイルは、超伝導を発現する臨界温度以下の極低温に冷却される。
【0013】
極低温システム10は、クライオスタット20と、極低温冷凍機100とを備える。クライオスタット20は、内部に極低温真空環境を提供するように構成され、被冷却体12および液体冷媒14を収容し、それらを極低温真空環境に保持する。クライオスタット20には、液体冷媒14を冷却するために極低温冷凍機100が搭載される。極低温冷凍機100は、液体冷媒14を利用して被冷却体12を間接的に冷却することができる。
【0014】
クライオスタット20は、液体冷媒容器21と、熱シールド22と、真空容器23とを備える。
【0015】
液体冷媒容器21は、液体冷媒14を被冷却体12とともに収容するように構成されている。あるいは、液体冷媒14を流す流路及び/または配管が被冷却体12に設けられる場合には、液体冷媒容器21は液体冷媒14の貯槽として使用され、被冷却体12は液体冷媒容器21の外に配置されてもよい。液体冷媒14として液体ヘリウムが通例使用されるので、液体冷媒容器21は、液体ヘリウム槽と呼ぶこともできる。
【0016】
液体冷媒容器21は、真空容器23内に配置され、真空領域24から液体冷媒14を隔てる容器壁21aと、容器壁21aに設けられた再凝縮部25と、を備える。再凝縮部25は、極低温冷凍機100によって液体冷媒容器21の外から冷却される。再凝縮部25は、液体冷媒容器21の外側に露出され、極低温冷凍機100と接触する伝熱面25aを有する。再凝縮部25は、液体冷媒14と接触する表面積を増やすためにフィン状または凹凸を液体冷媒容器21の内部に有してもよい。
【0017】
例示的な構成として、液体冷媒容器21は、液体冷媒14(および被冷却体12)を収容する第1室と、再凝縮部25が設けられた第2室とを有してもよい。第1室と第2室は、第1室で気化した液体冷媒14のガスを第1室から第2室に受け入れ、第2室で再凝縮された液体冷媒14を第2室から第1室に戻すことができるように、相互に接続されていてもよい。あるいは、再凝縮部25と液体冷媒14は同じ室に収められていてもよい。
【0018】
熱シールド22は、真空容器23内で液体冷媒容器21の周囲に配置される。熱シールド22は、熱シールド22の外から侵入しうる輻射熱から液体冷媒容器21および被冷却体12を熱的に保護するように構成されている。
【0019】
真空容器23は、その内部に形成される真空領域24をクライオスタット20の周囲環境から隔離するように構成される。真空容器23には、内部を真空引きするための真空ポンプ(図示せず)が付設され、または真空ポンプに接続可能であってもよい。真空容器23と熱シールド22との間には断熱材料で形成された断熱層が設けられていてもよい。真空容器23の外部となる周囲環境は、室温大気圧環境であってもよい。
【0020】
真空容器23には、極低温冷凍機100を真空容器23に装着するための装着口26が設けられている。装着口26は、極低温冷凍機100が取り外し可能に装着されるように構成される。装着の際、極低温冷凍機100は装着口26から真空容器23内に挿入され、極低温冷凍機100の低温部を真空容器23内に配置した状態で、極低温冷凍機100の室温部が装着口26に取り付けられる。
【0021】
一例として、装着口26は、真空容器23の天板または上部に形成されている。極低温冷凍機100は、その中心軸を鉛直方向に一致させるようにしてクライオスタット20に設置される。しかし、極低温冷凍機100の取付姿勢はこれに限られない。極低温冷凍機100は、所望される姿勢で設置可能であり、中心軸を斜め方向または水平方向に一致させるようにしてクライオスタット20に設置されてもよい。
【0022】
クライオスタット20は、真空容器23の装着口26から真空容器23内に延在するコールドヘッドスリーブ27を備える。コールドヘッドスリーブ27は、極低温冷凍機100と同軸に極低温冷凍機100を囲むようにして熱シールド22へと延びている。コールドヘッドスリーブ27の内側も、真空容器23内の他の場所と同様に、真空領域24となる。熱シールド22側のスリーブ端部には、極低温冷凍機100によって冷却される伝熱ステージ27aが取り付けられている。伝熱ステージ27aは、熱シールド22の一部であってもよく、または適宜の伝熱部材を介して熱シールド22に接続されてもよい。伝熱ステージ27aには、その中心部に極低温冷凍機100が挿通される開口が形成されている。
【0023】
なお、コールドヘッドスリーブ27は、真空容器23内で熱シールド22よりも内側まで、たとえば液体冷媒容器21まで、さらに延びていてもよい。この場合、コールドヘッドスリーブ27は、再凝縮部25と熱的に結合される追加の伝熱ステージを有してもよい。この追加の伝熱ステージが極低温冷凍機100によって冷却され、それにより再凝縮部25が冷却されてもよい。
【0024】
極低温冷凍機100は、圧縮機102と、コールドヘッド104とを備える。圧縮機102は、極低温冷凍機100の作動ガスをコールドヘッド104から回収し、回収した作動ガスを昇圧して、再び作動ガスをコールドヘッド104に供給するよう構成されている。コールドヘッド104は、膨張機または冷凍機とも称される。圧縮機102とコールドヘッド104により極低温冷凍機100の冷凍サイクルが構成され、それにより低温部14bが所望の極低温に冷却される。作動ガスは、冷媒ガスとも称され、通例はヘリウムガスであるが、適切な他のガスが用いられてもよい。
【0025】
一般に、圧縮機102からコールドヘッド104に供給される作動ガスの圧力と、コールドヘッド104から圧縮機102に回収される作動ガスの圧力は、ともに大気圧よりかなり高く、それぞれ第1高圧及び第2高圧と呼ぶことができる。説明の便宜上、第1高圧及び第2高圧はそれぞれ単に高圧及び低圧とも呼ばれる。典型的には、高圧は例えば2~3MPaである。低圧は例えば0.5~1.5MPaであり、例えば約0.8MPaである。
【0026】
コールドヘッド104は、真空容器23の装着口26に装着される取付フランジ106を備える。また、この実施形態では、極低温冷凍機100は、二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機であり、コールドヘッド104は、第1シリンダ108a、第2シリンダ108b、第1冷却ステージ110a、第2冷却ステージ110bを備える。これらシリンダおよび冷却ステージは、コールドヘッド104が真空容器23に装着されたとき、真空領域24に配置される。第1シリンダ108aは、コールドヘッドスリーブ27内に配置され、取付フランジ106を第1冷却ステージ110aに接続する。第2シリンダ108bは、熱シールド22内に配置され、第1冷却ステージ110aを第2冷却ステージ110bに接続する。
【0027】
第1冷却ステージ110aは、第1冷却温度、たとえば100K未満(たとえば30K~60K程度)に冷却され、第2冷却ステージ110bは、第1冷却温度より低い第2冷却温度、たとえば約4K程度またはそれ以下に冷却される。
【0028】
詳細は後述するが、コールドヘッド104の取付フランジ106は、真空容器23の装着口26に装着されるとき装着口26との間に冷媒ガス室112を形成する。冷媒ガス室112に働く圧力によって、取付フランジ106は、真空容器23の装着口26に装着された状態で装着口26に対して移動可能である。
【0029】
この実施形態では、極低温冷凍機100は、その中心軸の方向(
図1において上下方向)の移動が許容される。上述のコールドヘッド104の構成要素、すなわち取付フランジ106、第1シリンダ108a、第2シリンダ108b、第1冷却ステージ110a、および第2冷却ステージ110bは、互いに剛に連結されている。
【0030】
そのため、装着口26に対する取付フランジ106の相対移動に伴い、第1冷却ステージ110aおよび第2冷却ステージ110bも一体に移動される。この相対移動によって、コールドヘッド104は、冷却位置から非冷却位置へと、または非冷却位置から冷却位置へと移動することができる。
【0031】
冷却位置では、コールドヘッド104の冷却ステージが真空容器23内の被冷却物と接触する。すなわち、冷却位置では、第1冷却ステージ110aが伝熱ステージ27aと接触し、第2冷却ステージ110bが再凝縮部25の伝熱面25aと接触する。よって、伝熱ステージ27aおよび熱シールド22は、第1冷却ステージ110aによって第1冷却温度に冷却され、再凝縮部25は、第2冷却ステージ110bによって第2冷却温度に冷却されることができる。
【0032】
一方、非冷却位置では、冷却ステージが被冷却物から離れる。すなわち、非冷却位置では、第1冷却ステージ110aが伝熱ステージ27aから離れ、第2冷却ステージ110bが再凝縮部25の伝熱面25aから離れる。よって、伝熱ステージ27aおよび熱シールド22は、第1冷却ステージ110aと伝熱ステージ27aとの間の真空により第1冷却ステージ110aから断熱されることができる。再凝縮部25は、第2冷却ステージ110bと伝熱面25aとの間の真空により第2冷却ステージ110bから断熱されることができる。
【0033】
クライオスタット20には、液体冷媒容器21を冷媒ガス室112に接続する冷媒ガス配管114が設けられている。液体冷媒容器21内で気化した液体冷媒14のガスは、冷媒ガス配管114を通じて液体冷媒容器21から冷媒ガス室112へと供給されうる。一例として、冷媒ガス配管114は、取付フランジ106からコールドヘッドスリーブ27内を通り、伝熱ステージ27a(または熱シールド22)を貫通して熱シールド22内で延在し、液体冷媒容器21に至る。この例では、冷媒ガス配管114の全体が真空容器23内(すなわち真空領域24)に配置されているが、冷媒ガス配管114の一部が真空容器23の外を通って取付フランジ106(すなわち冷媒ガス室112)まで延びていてもよい。
【0034】
冷媒ガス配管114は、液体冷媒容器21から冷媒ガス室112に冷媒ガスを導入可能とするように配置された逆止弁116を備える。すなわち、逆止弁116は、液体冷媒容器21から冷媒ガス室112へのガス流れを許容し、その逆方向のガス流れを遮断するように、冷媒ガス配管114に配置されている。
図1では、逆止弁116は、熱シールド22内に配置されているが、冷媒ガス配管114上で他の場所(たとえばコールドヘッドスリーブ27内、あるいは、真空容器23の外)に配置されてもよい。
【0035】
また、クライオスタット20には、液体冷媒容器21の内圧の過剰な上昇に対処すべくガスの外部放出を可能とするパージライン118が設けられている。パージライン118は、冷媒ガス配管114から分岐し、クライオスタット20の外部に至る。パージライン118は、冷媒ガス配管114と逆止弁116の間で冷媒ガス配管114から分岐している。よって、パージライン118は、液体冷媒容器21からだけでなく、冷媒ガス室112からも、ガスをクライオスタット20の外部に放出することができる。なお、パージライン118が冷媒ガス配管114から分岐する位置についても、冷媒ガス配管114上のどの場所であってもよい。パージライン118は、冷媒ガス配管114ではなく、冷媒ガス室112に直に接続されてもよい。
【0036】
パージライン118には、安全弁120が設けられている。安全弁120は、内圧が外圧に対して許容圧力を超えて高くなったとき開放されるように構成される。安全弁120は、出入口間に作用する差圧にもとづいて電気的または機械的に開放される弁として構成されてもよく、あるいは、安全弁120は、バーストディスクであってもよい。
図1では、安全弁120は、クライオスタット20の外に配置されているが、パージライン118上で他の場所に配置されてもよい。
【0037】
なお、冷媒ガス室112、冷媒ガス配管114およびパージライン118などの気化した液体冷媒14のガスの経路は、極低温冷凍機100を作動させるための圧縮機102とコールドヘッド104との間の作動ガスの循環回路から分かれている。液体冷媒14のガスがコールドヘッド104の内部に流入したり、あるいは、コールドヘッド104内の作動ガスが冷媒ガス室112や冷媒ガス配管114に流れ出ることは無い。
【0038】
図2は、
図1に示される極低温冷凍機100を示す。
図2においては、対比により理解を容易にするために、冷却位置にあるときの極低温冷凍機100が右半分に図示され、非冷却位置にあるときの極低温冷凍機100が左半分に図示される。
【0039】
極低温冷凍機100が真空容器23の装着口26に装着されるとき、取付フランジ106と装着口26との間には、上述のように、冷媒ガス室112が形成される。取付フランジ106は、冷媒ガス室112の昇圧により取り外し方向に移動可能である。第1冷却ステージ110aおよび第2冷却ステージ110bは、取付フランジ106の取り外し方向への移動に伴って冷却位置から非冷却位置に移動可能である。
【0040】
この実施形態では、装着口26が真空容器23の上部に設けられ、そこからコールドヘッド104が挿入されて真空容器23に装着されるので、図において「取り外し方向」は上向きとなる。コールドヘッド104の取り付け方向は、取り外し方向とは反対向きであるから、図において下向きとなる。
【0041】
取付フランジ106は、取付フランジ106が装着口26に装着されるとき真空容器23内の真空領域24を外部の周囲環境から隔離するものであり、真空フランジとして機能する。取付フランジ106は、周囲環境側から真空領域24に向かって段々と小径となる段付き形状をもつ。周囲環境にさらされる取付フランジ106の上部が最も大径である。取付フランジ106の中間部は上部よりも小径であり、取付フランジ106の下部は中間部よりも小径である。第1シリンダ108aは取付フランジ106の下部よりも小径である。取付フランジ106の上部、中間部、下部はそれぞれ円板状の形状をもち、第1シリンダ108aとともにコールドヘッド104の中心軸に同軸配置されている。図においては、上部、中間部、下部は厚さ(軸方向寸法)がこの順に段々と大きくなっているが、これに限られない。
【0042】
取付フランジ106は、その中間部の外周面である第1フランジ周面131と、取付フランジ106の下部の外周面である第2フランジ周面132とを有する。これら2つのフランジ周面に対応して、装着口26は、第1ガイド面141と第2ガイド面142を有する。第1フランジ周面131は、第1ガイド面141に摺動可能に接触し、第2フランジ周面132は、第2ガイド面142に摺動可能に接触する。摺動の方向は、コールドヘッド104の取り外し方向および取り付け方向(すなわち軸方向)である。第2フランジ周面132および第2ガイド面142は、第1フランジ周面131および第1ガイド面141よりも小径である。第1ガイド面141と第2ガイド面142は、コールドヘッドスリーブ27の一部(たとえば上端部)であるとみなされてもよい。
【0043】
取付フランジ106は、第1シール151と第2シール152とを備える。第1シール151は、第1ガイド面141と第1フランジ周面131の間に保持され、真空容器23の外部環境から冷媒ガス室112を封止する。第2シール152は、第2ガイド面142と第2フランジ周面132の間に保持され、真空容器23内の真空領域24から冷媒ガス室112を封止する。第2シール152が第1シール151よりも小径である。これら2つのシールはそれぞれ、対応するフランジ周面とガイド面との間で全周にわたって円環状に延在する。第1シール151および第2シール152は、運動用Oリング、スリッパーシールなどの運動用シール材が用いられる。図示されるように、この実施形態では、第1シール151および第2シール152はそれぞれ対応するフランジ周面に装着されるが、それに代えて、ガイド面に装着される構成もありうる。適用可能であれば、接触シールに代えて、第1シール151および第2シール152は、非接触シールであってもよい。
【0044】
第1シール151および第2シール152を設けることにより、冷媒ガス室112の圧力を周囲環境および真空領域24のそれぞれと異なる圧力に保持することができる。冷媒ガス室112に冷媒ガスを受け入れたとき、冷媒ガスが周囲環境および真空領域24にリークすることを抑制することができる。
【0045】
また、取付フランジ106は、第1フランジ周面131と第2フランジ周面132とをつなぐ冷媒ガス室形成面113を備える。冷媒ガス室形成面113は、冷媒ガス室112に面し、取付フランジ106の取り外し方向とは反対方向を向いている。図示される例では、冷媒ガス室形成面113は下向きの表面であり、冷却ステージ側を向く。冷媒ガス室形成面113は、冷媒ガス室112の上面(天井面)の少なくとも一部となる。冷媒ガス室形成面113は、たとえば、コールドヘッド104の中心軸に垂直な平面の一部であり、2つのフランジ周面をつなぐように円環状の形状をもつ。第2フランジ周面132が第1フランジ周面131に対し軸方向に下側にあるので、冷媒ガス室形成面113は、第1フランジ周面131の下縁と第2フランジ周面132の上縁とをつなぐ。
【0046】
冷媒ガス室形成面113が取付フランジ106の取り外し方向とは反対方向を向いているので、冷媒ガス室112における冷媒ガスの圧力によって、取り外し方向の力が冷媒ガス室形成面113に働く。冷媒ガス室112にガスが導入されるときコールドヘッド104を持ち上げる力を取付フランジ106に作用させることができる。
【0047】
ただし、冷媒ガス室形成面113は上述のものには限られず、他の形状を有してもよい。冷媒ガス室112における冷媒ガスの圧力によって取付フランジ106の取り外し方向の成分をもつ力が冷媒ガス室形成面113に働くように、冷媒ガス室形成面113は傾斜面及び/または曲面を有してもよい。
【0048】
なお、取付フランジ106は、第1シリンダ108aの一部(たとえば上端部)を含みうる。第1フランジ周面131、第2フランジ周面132、および冷媒ガス室形成面113は、第1シリンダ108aの上端部に形成されてもよい。
【0049】
取付フランジ106は、取り外し方向とは反対方向に取付フランジ106を真空容器23へと弾性的に押し付ける押付機構160を備える。この実施形態では、押付機構160は、複数の支柱161と複数のスプリング162を備える。複数の支柱161は、装着口26を囲むように周方向にたとえば等間隔に真空容器23に固定される。支柱161は、たとえばボルトであり、装着口26の周囲にあるボルト穴に締結される。真空容器23に装着される取付フランジ106の上部には、支柱161が貫通する穴または切り欠きが形成されている。取付フランジ106は、支柱161に沿って移動可能である。各スプリング162は、対応する支柱161の頭部と取付フランジ106との間で圧縮された状態をとるように、当該支柱161に装着される。これにより、スプリング162は、取付フランジ106を真空容器23へと押し付ける弾性力を発生させることができる。
【0050】
押付機構160は、取り外し方向への取付フランジ106の過剰な動きを抑制することができる。もし、取付フランジ106が図において過大なストロークで上方に移動したとすると、第1シール151および第2シール152がそれぞれ第1ガイド面141および第2ガイド面142から上側に外れ、シール機能が損なわれる事態が起こり得る。しかし、押付機構160によって取付フランジ106を真空容器23へと押し付けることによって、取付フランジ106の移動ストロークを適正範囲に保持することができる。また、冷却状態においては、押付機構160は、取付フランジ106を押し付けることによって冷却ステージを被冷却物に押し付けることができ、これは冷却ステージと被冷却物の間の熱抵抗の低減に役立つ。
【0051】
なお、コールドヘッド104の自重が十分に大きい場合など、取付フランジ106を真空容器23へと押し付けるために重力を利用できる場合には、押付機構160は、不要となりうる。
【0052】
以上、実施の形態に係る極低温システム10の構成を述べた。続いてその動作を説明する。
【0053】
常態としては、
図2の右側に示されるように、コールドヘッド104は冷却位置にある。第1冷却ステージ110aは、伝熱ステージ27aと接触し、第2冷却ステージ110bは、再凝縮部25の伝熱面25aと接触する。押付機構160およびコールドヘッド104の自重によって、これら冷却ステージはそれぞれの被冷却物に押し付けられている(下向きの矢印で模式的に図示する)。伝熱ステージ27aおよび熱シールド22は、第1冷却ステージ110aによって第1冷却温度に冷却され、再凝縮部25は、第2冷却ステージ110bによって第2冷却温度に冷却されることができる。
【0054】
液体冷媒容器21に貯留されている液体冷媒14は、被冷却体12を冷却することによって気化される。気化された液体冷媒14のガスは、再凝縮部25に触れることによって冷却され再凝縮される。このようにして、液体冷媒容器21内の圧力は、たとえば大気圧またはその他の適正圧に保持される。冷媒ガス室112の圧力も、たとえば大気圧に保持され、または液体冷媒容器21内の圧力と顕著な差圧をもたないように調整されている。そのため、冷媒ガス配管114の逆止弁116は閉鎖され、液体冷媒容器21から冷媒ガス室112に冷媒ガスは流入しない。
【0055】
極低温冷凍機100の故障または一時的な動作不安定など、極低温冷凍機100の冷凍能力が低下した場合、液体冷媒容器21における液体冷媒14の気化が促進され、液体冷媒容器21の圧力が冷媒ガス室112の圧力に比べて高まりうる。この差圧によって逆止弁116が開かれると、冷媒ガスが冷媒ガス配管114を通じて液体冷媒容器21から冷媒ガス室112へと供給され、液体冷媒容器21の圧力が冷媒ガス室112に導入される。
【0056】
図2の左側に示されるように、冷媒ガス室112の昇圧により冷媒ガス室形成面113が押し上げられ、第1フランジ周面131および第2フランジ周面132がそれぞれ第1ガイド面141および第2ガイド面142に対して摺動し、取付フランジ106が取り外し方向に移動される。取付フランジ106の取り外し方向への移動に伴って、第1冷却ステージ110aおよび第2冷却ステージ110bも、冷却位置から非冷却位置に移動される(上向きの矢印で模式的に図示する)。非冷却位置では、第1冷却ステージ110aが伝熱ステージ27aから離れ、第2冷却ステージ110bが再凝縮部25から離れる。冷却ステージと被冷却物との間の真空により、被冷却物はコールドヘッド104から断熱される。
【0057】
仮に、極低温冷凍機100の冷凍能力が喪失または顕著に低下した状況において、このようなコールドヘッド104の持ち上げによる熱的接続の解除が行われない場合には、コールドヘッド104それ自体が、クライオスタット20の周囲環境を液体冷媒容器21内の液体冷媒14へと直接つなぐ実質的な伝熱経路を形成することになる。この場合、液体冷媒容器21および液体冷媒14への熱侵入はかなり大きなものとなりうる。液体冷媒14の気化が一層促進され液体冷媒容器21の内部圧力が過剰に高まるリスクがある。
【0058】
しかし、この実施形態によれば、極低温冷凍機100の冷凍能力の低下に応じて冷媒ガスが冷媒ガス室112に導入され、極低温冷凍機100を被冷却物から自動的に熱的に切り離すことができる。こうして、コールドヘッド104を伝熱経路とした液体冷媒14への熱侵入を抑制することができる。液体冷媒14の気化も緩やかとなり、液体冷媒14による被冷却体12の冷却を当面続けることができる。
【0059】
たとえば被冷却体12が超伝導コイルの場合には極低温冷凍機100の冷凍能力の低下はクエンチを招きうるが、液体冷媒14による冷却を利用して、クエンチの発生を遅らせることができる。
【0060】
従来構成の熱スイッチでは、冷凍機の稼働状態を検出して駆動機構を電気的に動作させて冷凍機を切り離すので、そうした検出器や駆動機構を要する。これに対して、この実施形態によれば、簡素な構成で熱スイッチを実現することができる。極低温冷凍機100の冷凍能力の低下によって自然に発生する冷媒ガスおよびその昇圧を利用するので、専用の検出器や駆動機構は必要とされない。そのため、停電など不測の事態にも、極低温冷凍機100を再凝縮部25などの被冷却物から切り離し可能である。
【0061】
逆止弁116は、その出入口間に、ある最小の差圧(以下、開弁圧ともいう)が作用するとき開き、液体冷媒容器21から冷媒ガス室112へのガス流れが許容される。逆止弁116の開弁圧は、コールドヘッド104が持ち上がるときの冷媒ガス室112の圧力よりも大きくてもよい。このようにすれば、逆止弁116が開いたとき、コールドヘッド104を持ち上げ可能な圧力を超える圧力が冷媒ガス室112に直ちに導入されるので、コールドヘッド104を応答性よく持ち上げることができる。
【0062】
パージライン118を利用して(安全弁120を開くことによって)、昇圧された冷媒ガス室112の圧力を解放することができる。このようにして、冷媒ガス室112の圧力を下げることができる。コールドヘッド104を非冷却位置から冷却位置へと復帰させることができる。押付機構160が設けられている場合には、押付機構160の弾性的な押し付け力によってコールドヘッド104を冷却位置へと自動的に戻すことができる。あるいは、手動または動力によりコールドヘッド104が冷却位置へと押し戻されてもよい。
【0063】
図3は、第2実施形態に係る極低温冷凍機200を概略的に示す図である。第2実施形態に係る極低温冷凍機200は、液体冷媒容器に関して第1実施形態に係る極低温冷凍機100と相違し、その余については概ね共通する。以下では、相違する構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0064】
極低温冷凍機200は、一例として、単段式のGM冷凍機である。極低温冷凍機200のコールドヘッド204は、取付フランジ106と、冷却ステージ210とを備える。コールドヘッド204が真空容器23の装着口26に装着されるとき、取付フランジ106と装着口26との間には、上述のように、冷媒ガス室112が形成される。取付フランジ106は、冷媒ガス室112の昇圧により取り外し方向に移動可能である。冷却ステージ210は、取付フランジ106の取り外し方向への移動に伴って冷却位置から非冷却位置に移動可能である。
【0065】
コールドヘッド204は、液体冷媒容器221と、液体冷媒容器221を冷媒ガス室112に接続する冷媒ガス配管114と、をさらに備え、液体冷媒容器221が、冷却ステージ210に固定されている。極低温冷凍機200の運転により冷却ステージ210が冷却されるとき、冷却ステージ210によって液体冷媒容器221が冷却される。液体冷媒容器221には、たとえば液体窒素など、冷却ステージ210の冷却温度で液化される液体冷媒214が収容されている。冷媒ガス配管114には逆止弁116が設けられていてもよい。
【0066】
したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、極低温冷凍機200の冷凍能力が低下した場合、液体冷媒容器221において液体冷媒214が気化し、それにより冷媒ガス室112が昇圧される。冷媒ガス室112の昇圧によりコールドヘッド204を冷却位置から非冷却位置へと押し上げることができる。
【0067】
第2実施形態に係る極低温冷凍機200は、いわゆる伝導冷却式の極低温冷却にも適用できる。知られているように、伝導冷却では、たとえば超伝導コイルなど被冷却体を冷却するうえで液体冷媒は使用されない。被冷却体または被冷却体に接続された伝熱部材は、冷却ステージ210が冷却位置にあるとき冷却ステージ210と直に接触し、熱的に結合され、液体冷媒を介することなく直接冷却される。冷却ステージ210が非冷却位置にあるときは、冷却ステージ210が被冷却体から離れる。
【0068】
極低温冷凍機200は、二段式のGM冷凍機として構成されてもよい。その場合、液体冷媒容器221は、第2冷却ステージに固定されてもよい。この場合、液体冷媒は、第1実施形態と同様に液体ヘリウムを使えばよい。
【0069】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0070】
上述の実施の形態では、極低温冷凍機100、200は、一例として、単段式または二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機であるが、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機、またはそのほかのタイプの極低温冷凍機であってもよい。
【0071】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0072】
10 極低温システム、 14 液体冷媒、 21 液体冷媒容器、 21a 容器壁、 23 真空容器、 24 真空領域、 25 再凝縮部、 26 装着口、 100 極低温冷凍機、 106 取付フランジ、 112 冷媒ガス室、 113 冷媒ガス室形成面、 114 冷媒ガス配管、 116 逆止弁、 131 第1フランジ周面、 132 第2フランジ周面、 141 第1ガイド面、 142 第2ガイド面、 151 第1シール、 152 第2シール、 160 押付機構。