(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】エアフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
B01D46/52 A
(21)【出願番号】P 2020048208
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000232760
【氏名又は名称】日本無機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】関 和也
(72)【発明者】
【氏名】林 嗣郎
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-262424(JP,A)
【文献】特開平08-187411(JP,A)
【文献】特開2009-247963(JP,A)
【文献】特開2014-217814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジグザグ形状に第一方向に沿って折り曲げられて前記第一方向に直交する第二方向に繰り返し連続する山部と谷部が形成される複数の折り目を有し、前記第一方向および前記第二方向に直交する方向に気流方向を有するプリーツ濾材と、
前記第一方向に沿って配置される一対の第一枠材と、前記第二方向に沿って配置される一対の第二枠材と、から形成され、前記プリーツ濾材を収容する矩形のフィルタ枠と、
前記プリーツ濾材における前記第二方向の両端部と、前記第一枠材との隙間をシールするシール材と、
前記第一枠材の前記内面に固定され前記内面から立ち上がり形成される立ち上がり部と、前記立ち上がり部から下流側に向って伸び前記第一枠材との間に前記プリーツ濾材における前記第二方向の端部と前記シール材とを圧縮して
前記第一枠材の内面に抑える
押圧部と、を有する押え板と、を備えるエアフィルタ。
【請求項2】
前記シール材は
、前記プリーツ濾材の前記第一方向に沿う縁を囲うように配置される、
請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記押え板は、板バネである、
請求項1または2に記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記押え板は、前記第一枠材における前記気流方向の上流側に配置される、
請求項1~3のいずれかに記載のエアフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
濾過エレメントの末端片と、末端片に隣接する隣接片の間にクッション材を挿入して、枠体(側枠材)と、濾過エレメントの間を弾性的に封止し、ゴミや埃等を含んだ空気が濾過エレメントと枠体の間を通過して空調装置の内部に侵入することを防止する濾過エレメントが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のクッション材による封止では、経時的な強度低下によって気密性が損なわれる場合があり、濾材と側枠材の間の隙間からリークが発生する虞があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、濾材と側枠材の隙間から発生するリークを防止するエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアフィルタは、上述した課題を解決するために、ジグザグ形状に第一方向に沿って折り曲げられて前記第一方向に直交する第二方向に繰り返し連続する山部と谷部が形成される複数の折り目を有し、前記第一方向および前記第二方向に直交する方向に気流方向を有するプリーツ濾材と、前記第一方向に沿って配置される一対の第一枠材と、前記第二方向に沿って配置される一対の第二枠材と、から形成され、前記プリーツ濾材を収容する矩形のフィルタ枠と、前記プリーツ濾材における前記第二方向の両端部と、前記第一枠材との隙間をシールするシール材と、前記第一枠材の前記内面に固定され前記内面から立ち上がり形成される立ち上がり部と、前記立ち上がり部から下流側に向って伸び前記第一枠材との間に前記プリーツ濾材における前記第二方向の端部と前記シール材とを圧縮して前記第一枠材の内面に抑える押圧部と、を有する押え板と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るエアフィルタにおいては、濾材と側枠材の隙間から発生するリークを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るエアフィルタの構成を説明する図。
【
図2】
図1におけるエアフィルタのII-II線に沿った断面図。
【
図3】本発明の第二実施形態に係るエアフィルタの要部拡大図。
【
図4】本発明の第三実施形態に係るエアフィルタの要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るエアフィルタの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の第一実施形態に係るエアフィルタ1の構成を説明する図である。
図2は、
図1におけるエアフィルタ1のII-II線に沿った断面図である。なお、
図1は、Z方向右側の第一枠材21、Y方向上側の第二枠材22、およびZ方向右側の押え板5を省略している。
本実施形態に係るエアフィルタ1は、フィルタ枠2と、プリーツ濾材3と、シール材4と、押え板5と、セパレータ6と、を備える。
【0011】
フィルタ枠2は、矩形の各辺を構成する4つの枠材21、22を組み合わせて形成される。一対の第一枠材21は、プリーツ濾材3を通過する気流の方向(
図1におけるX方向)に直交する第一方向(
図1におけるY方向)に沿って配置され、第二方向(
図1におけるZ方向)に対向して配置される。一対の第二枠材22は、第一方向および気流方向に直交する第二方向に沿って配置され、第一方向に対向して配置される。ここで、「第一方向」とは、エアフィルタ1の上下方向をいい、「第二方向」とは、エアフィルタ1を気流方向から見たときの左右方向をいう。
【0012】
プリーツ濾材3は、シート状の濾材をジグザグ形状に折り曲げることにより形成され、繰り返し連続する山部と谷部から構成される。プリーツ濾材3は、上下方向に沿う複数の折り目を有し、折り目は気流の上流側および下流側にそれぞれ表れる。
プリーツ濾材3は、例えば、厚さ0.2~1.0mm、目付50~200g/m2の無機質繊維製濾紙から形成される。無機質繊維製濾紙とは、例えば、抄造法により極細ガラス繊維を有機バインダで結合したガラス繊維紙である。プリーツ濾材3には、HEPAやULPA用などの濾材を使用することができる。
【0013】
シール材4は、プリーツ濾材3における左右方向の端部31と、第一枠材21との隙間をシールする。シール材4として、繊維製シール材4を用いる。第一実施形態においては、ガラス繊維製シール材4が好適に用いられる。
【0014】
押え板5は、プリーツ濾材3における左右方向の端部31と、シール材4とを圧縮して第一枠材21側に押える。押え板5は、第一枠材21の内側面であって、第一枠材21における気流方向の上流側に配置される。押え板5は、立ち上がり部51と、押圧部52と、から形成され、断面はL字形状を有する。押え板5は、ステンレス等の金属から形成される。また、押え板5は、立ち上がり部51の端部を第一枠材21の内側面に溶接して固定することで、取り付けられる。
【0015】
立ち上がり部51は、第一枠材21における上流側の内側面から垂直に立ち上がり形成される。立ち上がり部51は、長方形状であり、上下方向に長方形の長手方向が位置するように形成される。立ち上がり部51の上下方向における長さは、プリーツ濾材3の上下方向の長さと略同一である。
【0016】
押圧部52は、立ち上がり部51の先端を上下方向に沿う折り目を有するように折り曲げて形成される。押圧部52における気流方向の長さは特に限定されず、例えば、プリーツ濾材3の気流方向の長さと略同一としてもよい。押圧部52は、プリーツ濾材3における左右方向の端部31とセパレータ6の間に挿入され、プリーツ濾材3の左右方向の端部31と、シール材4とを圧縮して押える。これにより、リークの発生原因となるシール材4を構成する繊維間の隙間を小さくすることができる。
【0017】
押え板5は、第一枠材21との間に収容部7を形成する。収容部7の幅(立ち上がり部51の左右方向の長さ)は、プリーツ濾材3の左右方向における端部31とシール材4を重ね合わせた厚みよりも狭い。これにより、プリーツ濾材3の左右方向における端部31と、シール材4は圧縮して収容部7に収容される。
【0018】
セパレータ6は、プリーツ濾材3のプリーツ間隔の間隔保持材として用いられる。セパレータ6は、波形状に折り曲げられて形成され、プリーツ濾材3の谷部に挿入される。セパレータ6は、気流方向に沿った折り目を複数有し、上下方向に沿って伸びる。セパレータ6の上下方向における長さは、プリーツ濾材3の上下方向の長さと略同一である。
【0019】
このような第一実施形態に係るエアフィルタ1は、リーク発生の原因となるシール材4を構成する繊維間の隙間を減少させて、エアフィルタ1のプリーツ濾材3と第一枠材21の隙間から発生するリークを防止することができる。また、押え板5が第一枠材21における気流方向の上流側に配置されることにより、立ち上がり部51が、プリーツ濾材3とシール材4の上流側端面を覆い、第一枠材21とシール材4の隙間へのゴミや埃等の侵入を遮ることができる。
【0020】
図3は、本発明の第二実施形態に係るエアフィルタ1aの要部拡大図である。エアフィルタ1aは、フィルタ枠2aと、プリーツ濾材3aと、シール材4aと、押え板5aと、セパレータ6aと、を備える。フィルタ枠2a、プリーツ濾材3a、シール材4a、およびセパレータ6aは、第一実施形態に係るフィルタ枠2、プリーツ濾材3、シール材4、およびセパレータ6と同一であるため、重複する説明は省略する。
【0021】
押え板5aは、立ち上がり部51aと、押圧部52aと、から形成される。立ち上がり部51aは、第一枠材21aにおける上流側の内側面から垂直に立ち上がり形成される。立ち上がり部51は、略長方形状であり、上下方向に長方形の長手方向が位置するように形成される。押圧部52aは、立ち上がり部51aにおける左右方向の第一枠材21a側の端部から、第一枠材21aにおける気流方向の下流側に向かって伸び、第一枠材21aの内側面から離隔するように折り曲げられて形成される。
【0022】
押え板5aは、第一枠材21aとの間に収容部7aを形成する。収容部7aの幅(第一枠材21aからの離隔距離)は、上流側の突き当りから下流側へ向かうにつれて広くなる。プリーツ濾材3aの左右方向における端部31aとシール材4aは圧縮して収容部7aに収容される。
【0023】
押え板5aは、プリーツ濾材3aの左右方向における端部31aおよびシール材4aを第一枠材21a側に押し付ける板バネである。これにより、リークの発生原因となるシール材4aを構成する繊維間の隙間をさらに減少させることができ、第一枠材21aとシール材4aの密着性を高めることができる。押え板5aは、溶接により第一枠材21aに固定する他、ビス等により固定することもできる。しかし、第一枠材21aと押え板5aとの間の隙間を減少させるためには、溶接による取り付けが好ましい。
【0024】
このような第二実施形態に係るエアフィルタ1aは、リーク発生の原因となるシール材4aを構成する繊維間の隙間を減少させて、エアフィルタ1aのプリーツ濾材3aと第一枠材21aの隙間から発生するリークを防止することができる。
【0025】
図4は、本発明の第三実施形態に係るエアフィルタ1bの要部拡大図である。エアフィルタ1bは、フィルタ枠2bと、プリーツ濾材3bと、シール材4bと、押え板5bと、セパレータ6bと、を備える。フィルタ枠2b、プリーツ濾材3b、押え板5b、およびセパレータ6bは、第一実施形態に係るフィルタ枠2、プリーツ濾材3、押え板5、およびセパレータ6と同一であるため、重複する説明は省略する。
【0026】
シール材4bは、プリーツ濾材3bにおける左右方向の端部31bと、第一枠材21bとの隙間をシールするとともに、収容部7bに収容されたプリーツ濾材3bと、押え板5bとの隙間もシールする。シール材4bは、第一枠材21bと、プリーツ濾材3bにおける左右方向の端部31bとの間に配置され、シール材4bにおける気流方向の上流側の端部はプリーツ濾材3bの上流側端部で折り返されて、収容部7bに収容されたプリーツ濾材3bにおける左右方向の端部31bを覆う。
【0027】
収容部7bに収容されたプリーツ濾材3bをシール材4bで覆うことにより、収容部7bに収容されるシール材4bの厚みが増す。その結果、シール材4bの圧縮率が高くなり、リーク発生の原因となるシール材4bを構成する繊維間の隙間をより減少させて、エアフィルタ1bのプリーツ濾材3bと第一枠材21bの隙間から発生するリークを防止することができる。
【0028】
本発明のエアフィルタは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更を行うことができる。例えば、押え板5aにより形成される収容部7aに収容されるプリーツ濾材3aをシール材4aで覆う構成としてもよい。また、押え板5,5a,5bは、第一枠材21,21a,21bにおける気流方向の下流側に配置されてもよく、第二枠材22,22a,22bにおける左右方向の端部に配置されてもよい。押え板5,5a,5bの上下方向における長さは、プリーツ濾材3の上下方向の長さよりも短くてもよく、押え板5,5a,5bは、上下方向に沿って分断して配置されてもよい。
シール材4,4a,4bは、プリーツ濾材3,3a,3bにおける上下方向の両端部と、フィルタ枠2,2a,2bとの隙間をシールしてもよい。この場合、シール材として無機シール材を使用することもできる。また、プリーツ濾材3,3a,3bの谷部の一部に補強材を挿入してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1,1a,1b エアフィルタ
2,2a,2b フィルタ枠
21,21a,21b 第一枠材
22,22a,22b 第二枠材
3,3a,3b プリーツ濾材
4,4a,4b シール材
5,5a,5b 押え板
6 セパレータ
7 収容部