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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
B65G1/04 521
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020062366
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160859
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-109008(JP,A)
【文献】特開平10-262749(JP,A)
【文献】特開2010-241582(JP,A)
【文献】特開昭59-064403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフロアに配置された複数の保管棚と、複数のフロア間で荷を昇降するリフトと、フロアごとに配置されかつ前記リフトと前記保管棚との間で自動的に荷を運ぶ台車と、を備える自動倉庫システムであって、
前記複数の保管棚の配置エリアへ通じる進入路と、
前記進入路を介した人の進入と退出とを検出する検出装置と、
を備え、
前記進入路には、人が進入と退出するために開閉される扉が設けられ、かつ、前記扉を過ぎる前及び後の両方において同一フロア上の通路を有し、
前記検出装置は、前記進入路を撮影する撮影部と、前記撮影部の撮影画像を解析することで人の進入と退出とを判定する判定部とを有し、
前記検出装置によって前記フロアごとに検出された人の進入又は退出の情報に基づき、前記フロアごとの人の進入を計数し、前記フロアのうち人の進入のあるフロアの前記台車の動作を停止する自動倉庫システム。
【請求項2】
2つ以上のフロアにおいて、
フロアごとの前記進入路とフロアごとの前記検出装置とが設けられている、
請求項1記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記リフトに隣接する領域に前記フロアごとの進入路が設けられている、
請求項2記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記検出装置により人の進入が検出されたフロアの前記台車を停止する制御部を更に備える、
請求項2又は請求項3に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のフロアに配置された複数の保管棚と、複数のフロア間で荷を昇降するリフトと、各フロアでリフトと保管棚との間で自動的に荷を運ぶ親台車及び子台車とを備える自動倉庫システムが示されている。親台車及び子台車は、フロアごとに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6564541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような自動倉庫システムにおいては、メンテナンスの作業員が台車の走行エリアに進入する可能性が有る場合、親台車及び子台車の自動的な走行を止める必要がある。一方、作業員を検出するセンサを広く台車の走行エリアに設置するには、センサの数が膨大となりコストが高騰する。
【0005】
本発明は、作業員等が台車の走行エリアに進入する可能性があることを低コストに検出できる自動倉庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一つの自動倉庫システムは、
複数のフロアに配置された複数の保管棚と、複数のフロア間で荷を昇降するリフトと、フロアごとに配置されかつ前記リフトと前記保管棚との間で自動的に荷を運ぶ台車と、を備える自動倉庫システムであって、
前記複数の保管棚の配置エリアへ通じる進入路と、
前記進入路を介した人の進入と退出とを検出する検出装置と、
を備え、
前記進入路には、人が進入と退出するために開閉される扉が設けられ、かつ、前記扉を過ぎる前及び後の両方において同一フロア上の通路を有し、
前記検出装置は、前記進入路を撮影する撮影部と、前記撮影部の撮影画像を解析することで人の進入と退出とを判定する判定部とを有し、
前記検出装置によって前記フロアごとに検出された人の進入又は退出の情報に基づき、前記フロアごとの人の進入を計数し、前記フロアのうち人の進入のあるフロアの前記台車の動作を停止する。
【0007】
開示に係る一つの自動倉庫システムは、
複数のフロアに配置された複数の保管棚と、複数のフロア間で荷を昇降するリフトと、フロアごとに配置されかつ前記リフトと前記保管棚との間で自動的に荷を運ぶ台車と、を備える自動倉庫システムであって、
前記リフトの周囲に配置された柵と、
前記リフトの下部に配置されて人の進入を検出する検出装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業員等が台車の走行エリアに進入する可能性があることを低コストに検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の自動倉庫システムを示す斜視図である。
図2】一部を破断等して要部を示した実施形態の自動倉庫システムを示す斜視図である。
図3】1つのフロアの構成例を示す平面図である。
図4】進入路の通路に設けられた検出装置を示す図である。
図5】リフトの下部に設けられた検出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の自動倉庫システムを示す斜視図である。図2は、一部を破断等して要部を示した自動倉庫システムを示す斜視図である。図3は、1つのフロアの構成例を示す平面図である。図1及び図2において、保管棚11の詳細な構成は省略している。以下、図1図3のX方向を列方向、Y方向を行方向と呼んで説明する。
【0011】
本実施形態の自動倉庫システム1は、複数のフロアFに配置された複数の保管棚11と、複数のフロアFの間で荷Nを昇降するリフト21と、フロアFごとに配置されてリフト21と保管棚11との間で自動的に荷Nを運ぶ親台車31及び子台車32(図3)とを備える。
【0012】
各フロアFにおいて、複数の保管棚11は行方向と列方向とに並列される。各フロアFは、行方向に延びる複数の第1レール13と、列方向に延びる第2レール14と、を備える。複数の第1レール13は各行の保管棚11の下方に子台車32が通るスペースを開けて設けられている。複数の第1レール13は、第2レールの近傍まで延設されている。第2レール14は、保管棚11を有さない列に設けられ、複数行の保管棚11を超えてリフト21の横まで延設されている。
【0013】
図3に示すように、親台車31は、子台車32が搭載される車体311と、第2レール14に沿って移動する走行体312と、を有する。子台車32は、保管棚11の荷Nを昇降できるリフト機構321と、第1レール13に沿って移動する走行体322とを有する。走行体322は、第1レール13から親台車31へ、あるいはその逆への走行も可能である。
【0014】
リフト21は、基準階のフロアFにおいて、例えばコンベアを介して荷が搬入又は搬出される。リフト21は、荷Nを保持する保持部211と、保持部211を別のフロアFへ昇降する機構と、保持部211から子台車32へ荷Nを移し替える手段とを備える。子台車32へ荷Nを移し変える手段は、リフト21の横に配置された第2レール14の方へ保持部211を出し入れする機構であってもよいし、リフト21の横の第2レール14からリフト21内へ子台車32を移動可能とするレールであってもよい。前者の機構であれば、リフト21の横に親台車31及び子台車32が停止しているときに、保持部211が荷Nを子台車32上に移動させて荷Nを子台車32に移し替えることができる。後者の機構であれば、リフト21の横に親台車31が停止し、子台車32がレールに沿ってリフト21内に進入し、リフト機構321により荷Nを持ち上げ、子台車32がレールに沿って親台車31まで戻ることで、荷Nを移し替えることができる。
【0015】
上記のように構成された自動倉庫システム1によれば、次のように、或る保管棚11への荷の搬入が行われる。まず、荷は、コンベア等を介してリフト21の保持部211に運ばれる。リフト21の保持部211は、搬入するフロアFまで保持部211を上昇させる。搬入するフロアFでは、親台車31がリフト21に隣接する箇所で停止し、リフト21から親台車31上の子台車32へ荷が移し替えられる。続いて、親台車31が第2レール14に沿って対象の保管棚11の行まで移動し、子台車32が親台車31上から第1レー13ルに沿って移動し、対象の保管棚11の下方で停止する。ここで、子台車32のリフト機構321は荷Nを保管棚11の棚台よりも高く持ち上げている。続いて、子台車32はリフト機構321を駆動して荷Nを下ろす。これによって、保管棚11に荷が保持される。その後、子台車32は第1レール13に沿って移動し親台車31上に戻り、荷の搬入が完了となる。荷の搬出は、上記の動作の逆に動作により実施される。
【0016】
上記のように構成された自動倉庫システム1によれば、複数の保管棚11を近接して配置できるため、荷Nを高密度に保管することができ、また、任意の保管棚11から荷Nを搬出又は搬入することができる。
【0017】
<作業員の進入通路>
自動倉庫システム1の各フロアFには、保守用の作業領域R(図2)と、各フロアFの作業領域Rへ通じる通路45が設けられている。保守用の作業領域Rは、リフト21及びリフト21の横まで延設された第2レール14に隣接する。作業員は、作業領域Rにおいてリフト21、親台車31及び子台車32をメンテナンスできる。また、作業員は、作業領域Rから第2レール14、その後、第1レール13を介して保管棚11まで移動し、保管棚11及び荷Nを整備できる。
【0018】
一方、自動倉庫システム1は、作業員が作業領域R並びに保管棚11の配置スペースに自由に進入できないように柵41、42を有する。基準フロア(例えば1階)Fの柵41は、基準フロアFの作業領域Rへの進入を遮る。柵41は、基準フロアFに設置された制御盤の配置スペースへの進入を遮ってもよい。柵42は他のフロアF、Fの作業領域Rへの進入を遮る。作業領域Rへの進入を遮ることで、保管棚11の配置スペースへの進入を遮ることができる。
【0019】
図4は、進入路の通路に設けられた検出装置を示す図である。
【0020】
柵41、42には、進入口(進入路)51と進入口51を開閉する扉52とが設けられている。さらに、自動倉庫システム1には、進入口51を介した人の進入と退出とを検出する検出装置53が設けられている。検出装置53は、進入口51の近傍に配置された複数の検出器531、532と、検出器531、532の出力に基づき、人の進入と退出とを判定する判定部534とを有する。
【0021】
複数の検出器531、532は、例えばシート状の圧力センサであり、進入口51の進行方向に検出位置をずらして通路上に配置される。例えば、一方の検出器531が進入口51の手前に配置され、他方の検出器531が進入路51の奥(進入路51を過ぎた箇所)に配置されてもよいし、進入路51の手前又は奥において複数の検出器531、532が通路の進行方向に並んで配置されてもよい。検出器531、532は、人が避けて通過できない大きさを有するとよい。検出器531、532は物体が載ったときに載ったことを検出する。
【0022】
判定部534は、複数の検出器531、532の物体が載ったことの検出の順番に基づき、進入口51を通過した人の方向すなわち進入か退出かを判定する。例えば、進入方向の順で検出器531の検出出力と、検出器532の検出出力があれば、判定部534は進入と判定し、逆であれば退出と判定できる。判定部534の配置場所は特に限定されず、進入路51の近傍であってもよいし、自動倉庫システム1の制御室であってもよい。
【0023】
なお、複数の検出器531、532は、複数の光学センサであってもよい。複数の光学センサは、通路の人等の通過の有無を検出し、通路に沿った複数個所に配置されることで、判定部534は、検出の順序に基づき人の進入と退出とを判定できる。また、検出装置53は、通路を撮影する検出器としての撮影部と、撮影部の撮影画像を解析して人の進入と退出とを判定する判定部とを有する構成としてもよい。
【0024】
判定部534は、自動倉庫システム1の制御部60へ進入又は退出の検出データを送信する。制御部60は、検出データに基づき、フロアFごとに作業員の進入を計数し、進入のあるフロアFの親台車31及び子台車32の動作を停止する。制御部60は、進入のないフロアFについては親台車31及び子台車32の動作を停止しない制御を行ってもよい。停止は、親台車31への電源供給を断つことで達成されてもよいし、停止指令を送信することで達成されてもよい。さらに、制御部60は、進入のあるフロアFへリフト21の保持部211が通過することを制限してもよい。
【0025】
図5は、リフトの下部に設けられた検出装置を示す図である。
【0026】
自動倉庫システム1は、さらに、基準フロアFにおいて、リフト21の周囲を遮る柵47と、柵47内に人が進入したことを検出する検出装置56とを備える。検出装置56は、柵47内の床に配置された検出器(例えば圧力センサ)561と、検出器561の出力を受けて人の進入を判定する判定部562とを含む。
【0027】
判定部562は、自動倉庫システム1の制御部60へ進入の検出データを送信する。制御部60は、検出データに基づき、柵47内への作業員の進入が判定されたら、リフト21の動作を停止する。判定部562の配置場所は特に限定されず、柵47の近傍であってもよいし、自動倉庫システム1の制御室であってもよい。
【0028】
なお、検出装置56に備わる検出器は、光学センサであり、光学センサが人の進入の有無を検出する構成としてもよい。また、検出装置56は、柵47内を撮影する検出器としての撮影部と、撮影部の撮影画像を解析して人の進入を判定する判定部とを有する構成としてもよい。
【0029】
以上のように、本実施形態の自動倉庫システム1によれば、保管棚11の配置エリアに通じる進入口51と、進入口51を介した人の進入と退出とを検出する検出装置53を備える。したがって、作業員等が保管棚11の配置エリアに進入する恐れがある場合を低コストな構成により検出することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の自動倉庫システム1によれば、フロアFごとの進入路51とフロアFごとの検出装置53とが設けられている。したがって、作業員等が保管棚11の配置エリアに進入する恐れがある場合をフロアFごとに判別できる。
【0031】
さらに、本実施形態の自動倉庫システム1によれば、検出装置53を有するフロアFごとの進入口51が、リフト21に隣接する保守用の作業領域Rへ抜ける箇所にある。したがって、検出装置53により、保守時における作業員の通過と退出とを判別でき、保守の効率性を向上できる。
【0032】
さらに、本実施形態の自動倉庫システム1によれば、検出装置53の判定結果を受けた制御部60は、人が進入したフロアFの動作を停止し、人が進入していない他のフロアFの動作を停止しない。したがって、必要な個所の動作を止めて、保守作業を行うことができる。
【0033】
さらに、本実施形態の自動倉庫システム1によれば、検出装置53は、複数の検出器531、532の検出の順番で、人の進入か退出かを判別する。したがって、低コストにかつ精度の高い判別が可能となる。
【0034】
さらに、本実施形態の自動倉庫システム1によれば、リフト21内への人の進入を検出する検出装置56により、リフト21の保持部211を上昇させた状態で、保守等のために人が進入した場合に、この進入を検出し、進入に対して様々な対処を行うための制御に使用することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、各フロアFで荷Nを搬送する台車として、親台車31と子台車32の組み合わせた構成を示したが、1台の台車であってもよい。さらに、上記の実施形態では、人の進入と退出とを検出するフロアごとの進入路として、該当フロアに配置された通路45の進入口51を示したが、例えば該当フロアに登るハシゴまたは階段などフロア間の通路に、フロアごとに人の進入と退出とを検出する進入路が設定されていてもよい。また、上記実施形態では、全フロアFに進入口51(進入路)と進入口51からの進入と退出とを検出する検出装置53とが設けられている例を示したが、このような進入口51(進入路)と検出装置53とは、少なくとも2つのフロアに有ればよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 自動倉庫システム
11 保管棚
13 第1レール
14 第2レール
21 リフト
211 保持部
31 親台車
32 子台車
45 通路
51 進入口
52 扉
53 検出装置
531、532 検出器
534 判定部
56 検出装置
561 検出器
562 判定部
60 制御部
R 作業領域
F フロア
図1
図2
図3
図4
図5