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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240731BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240731BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H01L29/78 652G
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 653C
H01L29/78 652K
H01L29/78 652L
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L21/52 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020072411
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2020194959
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2019097152
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二村 羊水
(72)【発明者】
【氏名】中村 正彦
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/185010(WO,A1)
【文献】特開2019-29662(JP,A)
【文献】特開昭56-48142(JP,A)
【文献】特開平7-312474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイパッドと、
前記ダイパッドから間隔を空けて配置されたリード端子と、
実装面、非実装面、ならびに、前記実装面および前記非実装面を接続する側壁を含み、前記側壁において、前記実装面よりも外側に張り出した庇部と、前記実装面および前記庇部を接続する第1接続壁とを有するチップと、前記実装面を被覆する金属層と、前記第1接続壁および前記庇部を被覆する側壁金属層と、を含み、前記実装面を前記ダイパッドに対向させた姿勢で前記ダイパッドの上に配置された半導体装置と、
前記金属層および前記ダイパッドの間に介在し、前記非実装面から前記実装面側に間隔を空けて前記側壁金属層を被覆して、前記半導体装置を前記ダイパッドに接合させる導電接合材と、を含み、
前記庇部が、前記実装面に向けて内方に傾斜し、前記第1接続壁との間で鈍角をなす傾斜面を有する、半導体パッケージ。
【請求項2】
前記非実装面は、前記実装面よりも外側に張り出しており、
前記庇部は、前記チップの厚さ方向に前記非実装面に対向している、請求項1に記載の半導体パッケージ
【請求項3】
前記側壁金属層は、前記非実装面から前記実装面側に間隔を空けて形成されている、請求項1または2に記載の半導体パッケージ
【請求項4】
前記側壁金属層は、前記チップの厚さ方向に前記非実装面に対向している、請求項2または3に記載の半導体パッケージ
【請求項5】
前記側壁は、前記非実装面および前記庇部を接続する第2接続壁を有し、
前記側壁金属層は、前記第2接続壁を露出させている、請求項のいずれか一項に記載の半導体パッケージ
【請求項6】
前記側壁金属層は、貴金属を含む、請求項のいずれか一項に記載の半導体パッケージ
【請求項7】
前記金属層は、貴金属を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体パッケージ
【請求項8】
ダイパッドと、
前記ダイパッドから間隔を空けて配置されたリード端子と、
半導体基板およびエピタキシャル層を含む積層構造を有し、前記半導体基板側の実装面、前記エピタキシャル層側の非実装面、ならびに、前記半導体基板および前記エピタキシャル層によって形成された側壁を有し、前記側壁において前記半導体基板からなる部分に前記実装面よりも外側に張り出した庇部と、前記実装面および前記庇部を接続する第1接続壁とを有するチップと、前記実装面を被覆する金属層と、前記第1接続壁および前記庇部を被覆する側壁金属層と、を含み、前記実装面を前記ダイパッドに対向させた姿勢で前記ダイパッドの上に配置された半導体装置と、
前記金属層および前記ダイパッドの間に介在し、前記非実装面から前記実装面側に間隔を空けて前記側壁金属層を被覆して、前記半導体装置を前記ダイパッドに接合させる導電接合材と、を含み、
前記庇部が、前記実装面に向けて内方に傾斜し、前記第1接続壁との間で鈍角をなす傾斜面を有する、半導体パッケージ
【請求項9】
前記非実装面は、前記実装面よりも外側に張り出しており、
前記庇部は、前記チップの厚さ方向に前記非実装面に対向している、請求項に記載の半導体パッケージ
【請求項10】
前記庇部は、前記側壁において前記エピタキシャル層から前記実装面側に間隔を空けて前記半導体基板からなる部分に形成されている、請求項またはに記載の半導体パッケージ
【請求項11】
前記側壁金属層は、前記非実装面から前記実装面側に間隔を空けて形成されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の半導体パッケージ
【請求項12】
前記側壁金属層は、前記側壁において前記エピタキシャル層から前記実装面側に間隔を空けて前記半導体基板からなる部分を被覆している、請求項8~11のいずれか一項に記載の半導体パッケージ
【請求項13】
前記側壁金属層は、前記エピタキシャル層を露出させている、請求項12のいずれか一項に記載の半導体パッケージ
【請求項14】
前記エピタキシャル層に形成された機能デバイスをさらに含む、請求項13のいずれか一項に記載の半導体パッケージ
【請求項15】
前記導電接合材は、前記庇部を被覆している、請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図9は、半導体装置、パッケージ本体、ダイパッド、リード端子および導電接合材を含む半導体パッケージを開示している。半導体装置は、チップ、および、チップの裏面を被覆する裏面電極を含む。半導体装置は、裏面電極をダイパッドに対向させた姿勢でダイパッドの上に配置されている。導電接合材は、ダイパッドおよび裏面電極の間に介在し、半導体装置およびダイパッドを接合させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-249257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、実装面から非実装面への導電接合材の回り込みを抑制できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、実装面、非実装面、ならびに、前記実装面および前記非実装面を接続する側壁を含み、前記側壁において前記実装面よりも外側に張り出した庇部を有するチップと、前記実装面を被覆する金属層と、を含む、半導体装置を提供する。この半導体装置によれば、庇部によって実装面から非実装面への導電接合材の回り込みを抑制できる。
【0006】
本発明の一実施形態は、半導体基板およびエピタキシャル層を含む積層構造を有し、前記半導体基板側の実装面、前記エピタキシャル層側の非実装面、ならびに、前記半導体基板および前記エピタキシャル層によって形成された側壁を有し、前記側壁において前記半導体基板からなる部分に前記実装面よりも外側に張り出した庇部を有するチップと、前記実装面を被覆する金属層と、を含む、半導体装置を提供する。この半導体装置によれば、庇部によって実装面から非実装面への導電接合材の回り込みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す半導体装置を別の方向から見た斜視図である。
図3図3は、図1に示すチップを示す斜視図である。
図4図4は、図1に示す半導体装置の断面図である。
図5図5は、図4に示す領域Vの拡大図である。
図6図6は、図4に示す領域VIの拡大図である。
図7図7は、図1に示す半導体装置の非実装面側の構造を示す平面図である。
図8図8は、図1に示す半導体装置の電気的構造を示す図である。
図9図9は、図8に示すパワーMISFETの構造を示す平面図である。
図10図10は、図9に示すX-X線に沿う断面図である。
図11図11は、図1に示す半導体装置が組み込まれた半導体パッケージを、パッケージ本体を透過して示す斜視図である。
図12図12は、図11に示す半導体装置の接合状態を示す断面図である。
図13A図13Aは、図1に示す半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図13B図13Bは、図13Aの後の工程を示す断面図である。
図13C図13Cは、図13Bの後の工程を示す断面図である。
図13D図13Dは、図13Cの後の工程を示す断面図である。
図13E図13Eは、図13Dの後の工程を示す断面図である。
図13F図13Fは、図13Eの後の工程を示す断面図である。
図13G図13Gは、図13Fの後の工程を示す断面図である。
図13H図13Hは、図13Gの後の工程を示す断面図である。
図13I図13Iは、図13Hの後の工程を示す断面図である。
図13J図13Jは、図13Iの後の工程を示す断面図である。
図13K図13Kは、図13Jの後の工程を示す断面図である。
図13L図13Lは、図13Kの後の工程を示す断面図である。
図14A図14Aは、図13Gの後の工程を示す断面図であって、図1に示す半導体装置の製造方法をより詳細に説明するための断面図である。
図14B図14Bは、図14Aの後の工程を示す断面図である。
図14C図14Cは、図14Bの後の工程を示す断面図である。
図14D図14Dは、図14Cの後の工程を示す断面図である。
図14E図14Eは、図14Dの後の工程を示す断面図である。
図14F図14Fは、図14Eの後の工程を示す断面図である。
図14G図14Gは、図14Fの後の工程を示す断面図である。
図15A図15Aは、図14Fの後の工程を示す断面図であって、ウエハの別の切断法を説明するための断面図である。
図15B図15Bは、図15Aの後の工程を示す断面図である。
図16図16は、図4に対応し、図15A図15Bの工程を経て製造された半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1を示す斜視図である。図2は、図1に示す半導体装置1を別の方向から見た斜視図である。図3は、図1に示すチップ2を示す斜視図である。図4は、図1に示す半導体装置1の断面図である。図5は、図4に示す領域Vの拡大図である。図6は、図4に示す領域VIの拡大図である。
【0009】
図1図6を参照して、半導体装置1は、シリコン製のチップ2を含む。図1図6では、チップ2の構造を明確にすべく、実寸法とは異なる寸法でチップ2を示している(以下、他の図面において同じ。)。チップ2は、この形態(this embodiment)では、基板3およびエピタキシャル層4を含む積層構造を有している。基板3の導電型およびエピタキシャル層4の導電型は、この形態では、n型である。
【0010】
基板3のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。エピタキシャル層4は、基板3のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。エピタキシャル層4のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
基板3の厚さは、50μm以上450μm以下であってもよい。基板3の厚さは、50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、または、350μm以上450μm以下であってもよい。基板3を薄化することにより、チップ2の抵抗値を低減できる。基板3の厚さは、研削によって調整される。
【0011】
エピタキシャル層4は、基板3の厚さ未満の厚さを有している。エピタキシャル層4の厚さは、5μm以上50μm以下であってもよい。エピタキシャル層4の厚さは、5μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。エピタキシャル層4の厚さは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0012】
チップ2は、一方側の実装面5、他方側の非実装面6、ならびに、実装面5および非実装面6を接続する4つの側壁7A~7Dを含む。実装面5は、半導体装置1が接続対象物に接続される場合に、接続対象物に対向する対向面である。
実装面5は、基板3によって形成されている。非実装面6は、エピタキシャル層4によって形成されている。側壁7A~7Dは、基板3およびエピタキシャル層4によってそれぞれ形成されている。
【0013】
実装面5は、実装面5の法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。実装面5は、この形態では、正方形状に形成されている。実装面5は、長方形状に形成されていてもよい。実装面5は、第1面積S1を有している。
非実装面6は、平面視において四角形状に形成されている。非実装面6は、この形態では、正方形状に形成されている。非実装面6は、長方形状に形成されていてもよい。非実装面6は、実装面5の第1面積S1を超える第2面積S2(S1<S2)を有している。非実装面6は、実装面5の平面形状の相似となる平面形状を有していることが好ましい。
【0014】
非実装面6は、実装面5の面方向(接線方向)に沿って実装面5よりも外側に張り出している。非実装面6は、この形態では、全周に亘って実装面5よりも外側に張り出している。非実装面6は、機能デバイスが形成されたデバイス面である。
側壁7A~7Dは、具体的には、第1側壁7A、第2側壁7B、第3側壁7Cおよび第4側壁7Dを含む。第1側壁7Aおよび第2側壁7Bは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第3側壁7Cおよび第4側壁7Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。側壁7A~7Dの長さは、0.5mm以上2mm以下であってもよい。
【0015】
側壁7A~7Dは、実装面5および非実装面6の間の領域において、実装面5の面方向(接線方向)に沿って実装面5よりも外側に張り出した庇部10A~10Dをそれぞれ有している。庇部10A~10Dは、法線方向Zに非実装面6に対向している。庇部10A~10Dは、実装面5の周縁部を非実装面6に向けて切り欠いた切欠部11によって形成されている。庇部10A~10Dは、具体的には、第1庇部10A、第2庇部10B、第3庇部10Cおよび第4庇部10Dを含む。
【0016】
第1庇部10Aは、第1側壁7Aに形成されている。第1庇部10Aは、第1側壁7Aにおいて第1方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。第1庇部10Aは、実装面5(非実装面6)に対して平行な方向に延びている。第1庇部10Aは、第1側壁7Aにおいて第3側壁7C側の角部から第4側壁7D側の角部まで延びている。
第2庇部10Bは、第2側壁7Bに形成されている。第2庇部10Bは、第2側壁7Bにおいて第1方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。第2庇部10Bは、実装面5(非実装面6)に対して平行な方向に延びている。第2庇部10Bは、第2側壁7Bにおいて第3側壁7C側の角部から第4側壁7D側の角部まで延びている。
【0017】
第3庇部10Cは、第3側壁7Cに形成されている。第3庇部10Cは、第3側壁7Cにおいて第2方向Yに沿って延びる帯状に形成されている。第3庇部10Cは、実装面5(非実装面6)に対して平行な方向に延びている。第3庇部10Cは、第3側壁7Cにおいて第1側壁7A側の角部から第2側壁7B側の角部まで延びている。第3庇部10Cは、第1側壁7A側の角部において第1庇部10Aに連なっている。第3庇部10Cは、第2側壁7B側の角部において第2庇部10Bに連なっている。
【0018】
第4庇部10Dは、第4側壁7Dに形成されている。第4庇部10Dは、第4側壁7Dにおいて第2方向Yに沿って延びる帯状に形成されている。第4庇部10Dは、実装面5(非実装面6)に対して平行な方向に延びている。第4庇部10Dは、第4側壁7Dにおいて第1側壁7A側の角部から第2側壁7B側の角部まで延びている。第4庇部10Dは、第1側壁7A側の角部において第1庇部10Aに連なっている。第4庇部10Dは、第2側壁7B側の角部において第2庇部10Bに連なっている。
【0019】
このように、庇部10A~10Dは、チップ2の全周に亘って形成されている。また、庇部10A~10Dは、平面視において環状(この形態では四角環状)に延びる1つの庇部を形成している。庇部10A~10Dは、非実装面6から実装面5側に間隔を空けてそれぞれ形成されている。庇部10A~10Dは、実装面5から非実装面6側に間隔を空けてそれぞれ形成されている。
【0020】
庇部10A~10Dは、基板3にそれぞれ形成されていることが好ましい。庇部10A~10Dは、エピタキシャル層4から間隔を空けて基板3にそれぞれ形成されていることがさらに好ましい。これにより、庇部10A~10Dに起因するエピタキシャル層4の物理的性質および電気的性質の変動を抑制できるから、エピタキシャル層4に形成された機能デバイスの電気的特性の変動を適切に抑制できる。庇部10A~10Dは、必ずしも同じ深さ位置に形成されている必要はない。庇部10A~10Dのうちの少なくとも1つは、他の庇部10A~10Dから法線方向Zにずれて形成されていてもよい。
【0021】
図3および図4を参照して、庇部10A~10Dは、平面視において実装面5側の内端部12、非実装面6側の外端部13、ならびに、内端部12および外端部13を接続する接続部14をそれぞれ有している。外端部13は、この形態では、法線方向Zに関して内端部12に対して非実装面6側に位置している。これにより、接続部14は、内端部12から外端部13に向けて傾斜した傾斜面を有している。接続部14は、内端部12および外端部13の間を平坦に延びていてもよい。接続部14は、内端部12および外端部13の間において非実装面6側に向けて窪んだ湾曲状に形成されていてもよい。
【0022】
外端部13は、内端部12と同一平面上に位置していてもよい。接続部14は、実装面5および非実装面6に平行な方向に延びていてもよい。接続部14は、内端部12および外端部13の間を平坦に延びていてもよい。接続部14は、内端部12および外端部13の間において非実装面6側に向けて窪んだ湾曲状に形成されていてもよい。
側壁7A~7Dは、実装面5および庇部10A~10Dの内端部12を接続する第1接続壁15A~15D、ならびに、非実装面6および庇部10A~10Dの外端部13を接続する第2接続壁16A~16Dをそれぞれ有している。前述の切欠部11は、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dによって形成され、実装面5から非実装面6に向けて窪んでいる。
【0023】
第1接続壁15A~15Dは、基板3によって形成されている。第1接続壁15A~15Dは、庇部10A~10Dとは異なる角度で形成されている。第1接続壁15A~15Dは、実装面5の周縁および庇部10A~10Dの内端部12の間の領域を、実装面5に対して垂直な方向に沿って延びていてもよい。
庇部10A~10Dの内端部12が実装面5の周縁よりも外側に位置する場合、第1接続壁15A~15Dは、実装面5の周縁から庇部10A~10Dの内端部12に向けて上り傾斜していてもよい。庇部10A~10Dの内端部12が実装面5の周縁よりも内側に位置する場合、第1接続壁15A~15Dは、庇部10A~10Dの内端部12から実装面5の周縁に向けて下り傾斜していてもよい。
【0024】
第2接続壁16A~16Dは、基板3およびエピタキシャル層4によって形成されている。第2接続壁16A~16Dは、庇部10A~10Dとは異なる角度で形成されている。第2接続壁16A~16Dは、非実装面6の周縁および庇部10A~10Dの外端部13の間の領域を、非実装面6に対して垂直な方向に沿って延びていてもよい。第2接続壁16A~16Dは、研削痕を有する研削面(切断面)からなっていてもよい。
【0025】
庇部10A~10Dの外端部13が非実装面6の周縁よりも外側に位置する場合、第2接続壁16A~16Dは、非実装面6の周縁から庇部10A~10Dの外端部13に向けて下り傾斜していてもよい。庇部10A~10Dの外端部13が非実装面6の周縁よりも内側に位置する場合、第2接続壁16A~16Dは、庇部10A~10Dの外端部13から非実装面6の周縁に向けて上り傾斜していてもよい。
【0026】
第2接続壁16A~16Dの厚さTは、エピタキシャル層4の厚さを超えているという条件下において、10μm以上200μm以下であってもよい。厚さTは、10μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、または、150μm以上200μm以下であってもよい。
庇部10A~10Dの幅WEは、10μm以上100μm以下であってもよい。幅WEは、平面視において庇部10A~10Dが延びる方向に直交する方向の幅である。幅WEは、10μm以上20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。幅WEは、20μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0027】
このように、チップ2は、ボディ部17およびヘッド部18を有するハンマーヘッド構造を有している。図1および図2では、ヘッド部18がハッチングによって示されている。ボディ部17は、実装面5および第1接続壁15A~15Dを含む。ヘッド部18は、非実装面6、庇部10A~10Dおよび第2接続壁16A~16Dを含む。
庇部10A~10Dは、半導体装置1が接続対象物に接合される際に、半田や金属ペーストからなる導電接合材104(後述する図11および図12参照)が実装面5側から非実装面6側に回り込むのを抑制する。
【0028】
半導体装置1は、実装面5を被覆する第1金属層21を含む。第1金属層21は、実装面5の全域を被覆している。第1金属層21は、導電接合材104を介して接続対象物に接合される接合層として形成されている。
第1金属層21は、複数の金属層が積層された積層構造を有していてもよいし、1つの金属層からなる単層構造を有していてもよい。第1金属層21は、導電接合材104に対する親和性(濡れ性)が、チップ2(シリコン)よりも高い金属によって形成された外面を有していることが好ましい。第1金属層21は、貴金属を含む外面を有していることが好ましい。
【0029】
第1金属層21は、この形態では、実装面5側からこの順に積層されたTi層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26を含む積層構造を有している。Ti層22は、チップ2(基板3)に対するオーミック電極として形成されている。
第1金属層21は、Ti層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26の全てを含む必要はない。第1金属層21は、Ti層22、Ni層23、Au層24およびAg層26を含む積層構造を有していてもよい。第1金属層21は、Ti層22、Ni層23およびAu層24を含む積層構造を有していてもよい。第1金属層21は、Ti層22またはAu層24からなる単層構造を有していてもよい。
【0030】
半導体装置1は、非実装面6から実装面5側に間隔を空けて側壁7A~7Dを被覆する第2金属層27(側壁金属層)を含む。第2金属層27は、具体的には、側壁7A~7Dにおいて第2接続壁16A~16Dを露出させるように実装面5および第2接続壁16A~16Dの間の領域を被覆している。つまり、第2金属層27は、エピタキシャル層4を露出させている。これにより、第2金属層27に起因するエピタキシャル層4の電気的性質の変動を抑制できるから、エピタキシャル層4に形成された機能デバイスの電気的特性の変動を抑制できる。
【0031】
第2金属層27は、第1接続壁15A~15Dおよび庇部10A~10Dに沿って膜状に形成されている。第2金属層27は、チップ2の側壁7A~7Dにおいて庇部10A~10Dに対応した庇部を形成している。
第2金属層27は、具体的には、第1接続壁15A~15Dを被覆する第1被覆部28、および、庇部10A~10Dを被覆する第2被覆部29を含む。第1接続壁15A~15Dは、実装面5側において第1金属層21に連なっている。
【0032】
第2被覆部29は、第1接続壁15A~15D側において第1被覆部28に連なっている。第2被覆部29は、第2接続壁16A~16Dから露出する露出部30を含む。図1および図2では、露出部30がハッチングによって示されている。
露出部30は、第2接続壁16A~16Dに連なっている。露出部30は、具体的には、第2接続壁16A~16Dに対して面一に形成されている。第2被覆部29の露出部30は、さらに具体的には、第2接続壁16A~16Dとの間で1つの研削面(切断面)を形成している。
【0033】
第2金属層27は、チップ2で生じた熱を側壁7A~7D側から吸収するヒートシンクとして形成されていると同時に、導電接合材104を介して接続対象物に接合される接合層として形成されている。第2金属層27は、複数の金属層が積層された積層構造を有していてもよいし、1つの金属層からなる単層構造を有していてもよい。
第2金属層27は、導電接合材104に対する親和性(濡れ性)が、チップ2(シリコン)よりも高い金属によって形成された外面を有していることが好ましい。第2金属層27は、貴金属を含む外面を有していることが好ましい。第2金属層27は、この形態では、第1金属層21と同一の構造を有し、第1金属層21と一体的に形成されている。つまり、第2金属層27は、側壁7A~7D側からこの順に積層されたTi層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26を含む積層構造を有している。
【0034】
第2金属層27は、Ti層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26の全てを含む必要はない。第1金属層21がTi層22、Ni層23、Au層24およびAg層26を含む積層構造を有している場合、第2金属層27は、Ti層22、Ni層23、Au層24およびAg層26を含む積層構造を有していることが好ましい。
第1金属層21がTi層22、Ni層23およびAu層24を含む積層構造を有している場合、第2金属層27は、Ti層22、Ni層23およびAu層24を含む積層構造を有していることが好ましい。第1金属層21がTi層22またはAu層24からなる単層構造を有している場合、第2金属層27は、Ti層22またはAu層24からなる単層構造を有していることが好ましい。
【0035】
実装面5、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dは、所定の算術平均粗さRaを有する粗面からなることが好ましい。実装面5、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dは、粗面化エッチング法によって粗面化されていてもよい。
算術平均粗さRaは、0nmを超えて1000nm以下であってもよい。算術平均粗さRaは、0nmを超えて200nm以下、200nm以上400nm以下、400nm以上600nm以下、600nm以上800nm以下、または、800nm以上1000nm以下であってもよい。
【0036】
この場合、第1金属層21は、粗面化された実装面5を被覆する。これにより、実装面5に対する第1金属層21の密着力を高めることができるから、実装面5からの第1金属層21の剥離を適切に抑制できる。また、第2金属層27は、粗面化された庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dを被覆する。これにより、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dに対する第2金属層27の密着力を高めることができるから、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dからの第2金属層27の剥離を適切に抑制できる。
【0037】
一方、第2接続壁16A~16Dは、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dとは異なる外観を有していることが好ましい。この場合、第2接続壁16A~16Dは、研削痕を有する研削面(切断面)からなることが好ましい。
半導体装置1は、非実装面6を被覆する層間絶縁層31を含む。図1および図2では、層間絶縁層31がハッチングによって示されている。層間絶縁層31の周縁は、第2接続壁16A~16Dから露出している。層間絶縁層31の周縁は、この形態では、第2接続壁16A~16Dに連なっている。層間絶縁層31の周縁は、具体的には、第2接続壁16A~16Dに対して面一に形成されている。層間絶縁層31の周縁は、さらに具体的には、第2接続壁16A~16Dとの間で1つの研削面(切断面)を形成している。
【0038】
層間絶縁層31は、非実装面6のほぼ全域を被覆している。層間絶縁層31は、酸化シリコンの一例としてのUSG(Undoped Silica Glass)層、PSG(Phosphor Silicate Glass)およびBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。層間絶縁層31は、USG層からなる単層構造を有している。層間絶縁層31は、平坦化された主面を有していてもよい。層間絶縁層31の主面は、研削痕を有する研削面からなっていてもよい。
【0039】
半導体装置1は、非実装面6の上に形成された複数(この形態では5つ)の電極32を含む。複数の電極32は、層間絶縁層31の上にそれぞれ形成されている。複数の電極32は、導線(たとえばボンディングワイヤ)等によって外部接続される端子電極としてそれぞれ形成されている。複数の電極32の個数、配置および平面形状は任意であり、図1等に示される形態に限定されない。
【0040】
複数の電極32は、Ti層、TiN層、Al層、Cu層、AlSi層、AlCu層、AlSiCu層、Ni層、Au層、Pd層およびAg層のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
半導体装置1は、層間絶縁層31を被覆する最上絶縁層33を含む。最上絶縁層33は、複数の電極32をそれぞれ露出させる複数のパッド開口34を有している。複数のパッド開口34の平面形状は任意である。
【0041】
最上絶縁層33の周縁は、平面視において第1接続壁15A~15Dから内方に間隔を空けて形成されていてもよい。最上絶縁層33の周縁は、平面視において第1接続壁15A~15Dおよび第2接続壁16A~16Dの間の領域に位置していてもよい。
最上絶縁層33の周縁は、平面視において第2接続壁16A~16Dから内方に間隔を空けて形成されている。最上絶縁層33の周縁は、第2接続壁16A~16Dとの間でダイシングストリート35を区画している。ダイシングストリート35は、第2接続壁16A~16Dに沿って延びる帯状に形成されている。ダイシングストリート35は、具体的には、最上絶縁層33を取り囲む環状(この形態では四角環状)に形成されている。
【0042】
ダイシングストリート35の幅WDは、1μm以上100μm以下であってもよい。幅WDは、ダイシングストリート35が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WDは、1μm以上25μm以下、25m以上50μm以下、50μm以上75μm以下、または、75μm以上100μm以下であってもよい。
ダイシングストリート35によれば、ウエハ111(後述する図13A図13L参照)から半導体装置1を切り出す際に、最上絶縁層33を物理的に切断せずに済む。これにより、ウエハ111から半導体装置1を円滑に切り出すことができる。また、最上絶縁層33の剥離や劣化に起因するチップ2(とりわけ第2接続壁16A~16D)のクラックを抑制できる。よって、庇部10A~10Dを有するチップ2を適切に形成できる。
【0043】
図4を参照して、最上絶縁層33は、この形態では、非実装面6側からこの順に積層されたパッシベーション層36および樹脂層37を含む積層構造を有している。
パッシベーション層36は、層間絶縁層31とは異なる絶縁材料を含むことが好ましい。パッシベーション層36は、この形態では、窒化シリコン層からなる。パッシベーション層36は、層間絶縁層31および複数の電極32に沿って膜状に形成されている。パッシベーション層36は、複数の電極32の一部をそれぞれ露出させる複数の第1開口38を有している。第1開口38の平面形状は任意である。
【0044】
パッシベーション層36の厚さは、0.1μm以上20μm以下であってもよい。パッシベーション層36の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。
樹脂層37は、パッシベーション層36の主面に沿って膜状に形成されている。樹脂層37は、感光性樹脂を含んでいてもよい。感光性樹脂は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプであってもよい。樹脂層37は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。樹脂層37は、この形態では、ポリベンゾオキサゾールを含む。
【0045】
樹脂層37の周縁は、この形態では、パッシベーション層36の周縁を露出させている。最上絶縁層33の周縁は、樹脂層37およびパッシベーション層36によって形成されている。樹脂層37は、パッシベーション層36の周縁を被覆していてもよい。
樹脂層37は、複数の電極32の一部をそれぞれ露出させる複数の第2開口39を有している。第2開口39の平面形状は任意である。各第2開口39は、各第1開口38に連通し、各第1開口38との間で1つのパッド開口34を形成している。
【0046】
各第2開口39の内壁は、各第1開口38の内壁に面一に形成されていてもよい。各第2開口39の内壁は、各第1開口38の外側に位置していてもよい。つまり、樹脂層37は、各第1開口38の内壁を露出させていてもよい。各第2開口39の内壁は、各第1開口38の内側に位置していてもよい。つまり、樹脂層37は、各第1開口38の内壁を被覆していてもよい。
【0047】
樹脂層37の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。樹脂層37の厚さは、1μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。
図7は、図1に示す半導体装置1の非実装面6側の構造を示す平面図である。図7は、模式図であり、最上絶縁層33の図示が省略されている。
【0048】
図7を参照して、非実装面6は、出力領域41および入力領域42を含む。出力領域41は、第3側壁7C側の領域に形成されている。入力領域42は、第4側壁7D側の領域に形成されている。出力領域41の面積は、入力領域42の面積以上であることが好ましい。入力領域42の平面形状および出力領域41の平面形状は、任意であり、特定の形状に限定されない。
【0049】
出力領域41は、機能デバイスの一例としてのパワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)43を含む。パワーMISFET43は、ゲート、ドレインおよびソースを含む。
つまり、基板3は、パワーMISFET43のドレイン領域44として形成されている。また、エピタキシャル層4は、パワーMISFET43のドリフト領域45として形成されている。また、第1金属層21および第2金属層27は、パワーMISFET43のドレイン電極46として形成されている。
【0050】
入力領域42は、機能デバイスの一例としての制御回路47を含む。制御回路47は、種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。複数種の機能回路は、外部からの電気信号に基づいてパワーMISFET43を駆動制御するゲート信号を生成する回路を含む。制御回路47は、パワーMISFET43と共に所謂IPD(Intelligent Power Device)を形成している。IPDは、IPM(Intelligent Power Module)とも称される。
【0051】
半導体装置1は、出力領域41および入力領域42を電気的に分離する領域分離構造48を含む。図7では、領域分離構造48がハッチングによって示されている。具体的な説明は省略されるが、領域分離構造48は、トレンチに絶縁体が埋め込まれたトレンチ絶縁構造を有していてもよい。領域分離構造48は、絶縁体を挟んでトレンチに埋設された導電体を含んでいてもよい。この場合、導電体は、ソース接地されていることが好ましい。
【0052】
出力領域41、入力領域42および領域分離構造48は、平面視において庇部10A~10D(第1接続壁15A~15D)によって取り囲まれた領域内に形成されている。つまり、機能デバイスは、平面視において庇部10A~10D(第1接続壁15A~15D)によって取り囲まれた領域内に形成されている。
複数の電極32は、この形態では、ソース電極49、入力電極50、基準電圧電極51、ENABLE電極52およびSENSE電極53を含む。ソース電極49は、出力領域41の上に形成されている。入力電極50、基準電圧電極51、ENABLE電極52およびSENSE電極53は、入力領域42の上にそれぞれ形成されている。
【0053】
ソース電極49は、パワーMISFET43のソースにソース電圧を伝達する。入力電極50は、制御回路47を駆動するための入力電圧を伝達する。基準電圧電極51は、パワーMISFET43および制御回路47に基準電圧(たとえばグランド電圧)を伝達する。ENABLE電極52は、制御回路47の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号を伝達する。SENSE電極53は、制御回路47の異常を検出するための電気信号を伝達する。
【0054】
半導体装置1は、層間絶縁層31の上に形成されたゲート配線54を含む。ゲート配線54は、出力領域41および入力領域42に選択的に引き回されている。ゲート配線54は、出力領域41においてパワーMISFET43のゲートに電気的に接続され、入力領域42において制御回路47に電気的に接続されている。ゲート配線54は、制御回路47によって生成されたゲート信号をパワーMISFET43のゲートに伝達する。
【0055】
図8は、図1に示す半導体装置1の電気的構造を示す図である。以下では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明するが、半導体装置1はハイサイド側のスイッチングデバイスに限定されるものではない。半導体装置1は、制御回路47の電気的な接続形態や機能を調整することにより、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。
【0056】
図8を参照して、ドレイン電極46は、電源に接続される。ドレイン電極46は、パワーMISFET43および制御回路47に電源電圧VBを提供する。電源電圧VBは、10V以上20V以下であってもよい。ソース電極49は、負荷に接続される。
入力電極50は、MCU(Micro Controller Unit)、DC/DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等に接続されてもよい。入力電極50は、制御回路47に入力電圧を提供する。入力電圧は、1V以上10V以下であってもよい。基準電圧電極51は、基準電圧配線に接続される。基準電圧電極51は、パワーMISFET43および制御回路47に基準電圧を提供する。ENABLE電極52は、MCUに接続されてもよい。SENSE電極53は、抵抗器に接続されてもよい。
【0057】
パワーMISFET43のゲートは、ゲート配線54を介して制御回路47(後述するゲート制御回路59)に接続されている。パワーMISFET43のドレインは、ドレイン電極46に接続されている。パワーMISFET43のソースは、制御回路47(後述する電流検出回路61)およびソース電極49に接続されている。
制御回路47は、センサMISFET55、入力回路56、電流・電圧制御回路57、保護回路58、ゲート制御回路59、アクティブクランプ回路60、電流検出回路61、電源逆接続保護回路62および異常検出回路63を含む。
【0058】
センサMISFET55のゲートは、ゲート制御回路59に接続されている。センサMISFET55のドレインは、ドレイン電極46に接続されている。センサMISFET55のソースは、電流検出回路61に接続されている。
入力回路56は、入力電極50および電流・電圧制御回路57に接続されている。入力回路56は、シュミットトリガ回路を含んでいてもよい。入力回路56は、入力電極50に印加された電気信号の波形を整形する。入力回路56によって生成された信号は、電流・電圧制御回路57に入力される。
【0059】
電流・電圧制御回路57は、保護回路58、ゲート制御回路59、電源逆接続保護回路62および異常検出回路63に接続されている。電流・電圧制御回路57は、ロジック回路を含んでいてもよい。
電流・電圧制御回路57は、入力回路56からの電気信号および保護回路58からの電気信号に応じて、種々の電圧を生成する。電流・電圧制御回路57は、この形態では、駆動電圧生成回路64、第1定電圧生成回路65、第2定電圧生成回路66および基準電圧・基準電流生成回路67を含む。
【0060】
駆動電圧生成回路64は、ゲート制御回路59を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧は、電源電圧VBから所定値を差し引いた値に設定されてもよい。駆動電圧生成回路64は、電源電圧VBから5Vを差し引いた5V以上15V以下の駆動電圧を生成してもよい。駆動電圧は、ゲート制御回路59に入力される。
第1定電圧生成回路65は、保護回路58を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路65は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではツェナーダイオード)を含んでいてもよい。第1定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第1定電圧は、保護回路58(具体的には、後述する負荷オープン検出回路69等)に入力される。
【0061】
第2定電圧生成回路66は、保護回路58を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路66は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではレギュレータ回路)を含んでいてもよい。第2定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第2定電圧は、保護回路58(具体的には、後述する過熱保護回路70や低電圧誤動作抑制回路71)に入力される。
【0062】
基準電圧・基準電流生成回路67は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧は、1V以上5V以下であってもよい。基準電流は、1mA以上1A以下であってもよい。基準電圧および基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
保護回路58は、電流・電圧制御回路57、ゲート制御回路59、異常検出回路63、パワーMISFET43のソースおよびセンサMISFET55のソースに接続されている。保護回路58は、過電流保護回路68、負荷オープン検出回路69、過熱保護回路70および低電圧誤動作抑制回路71を含む。
【0063】
過電流保護回路68は、過電流からパワーMISFET43を保護する。過電流保護回路68は、ゲート制御回路59およびセンサMISFET55のソースに接続されている。過電流保護回路68は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路68によって生成された信号は、ゲート制御回路59(具体的には、後述する駆動信号出力回路74)に入力される。
【0064】
負荷オープン検出回路69は、負荷のショート状態やオープン状態を検出する。負荷オープン検出回路69は、電流・電圧制御回路57およびパワーMISFET43のソースに接続されている。負荷オープン検出回路69によって生成された信号は、電流・電圧制御回路57に入力される。
過熱保護回路70は、パワーMISFET43の温度を監視し、過度な温度上昇からパワーMISFET43を保護する。過熱保護回路70は、電流・電圧制御回路57に接続されている。過熱保護回路70は、感温デバイスを含む。感温デバイスは、pn接合ダイオードを含む感温ダイオードを有していることが好ましい。過熱保護回路70によって生成された信号は、電流・電圧制御回路57に入力される。
【0065】
低電圧誤動作抑制回路71は、電源電圧VBが所定値未満である場合にパワーMISFET43が誤動作するのを抑制する。低電圧誤動作抑制回路71は、電流・電圧制御回路57に接続されている。低電圧誤動作抑制回路71によって生成された信号は、電流・電圧制御回路57に入力される。
ゲート制御回路59は、パワーMISFET43のオン状態およびオフ状態、ならびに、センサMISFET55のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路59は、電流・電圧制御回路57、保護回路58、パワーMISFET43のゲートおよびセンサMISFET55のゲートに接続されている。
【0066】
ゲート制御回路59は、電流・電圧制御回路57からの電気信号および保護回路58からの電気信号に応じて、ゲート配線54の個数に応じたゲート信号を生成する。ゲート信号は、ゲート配線54を介してパワーMISFET43のゲートおよびセンサMISFET55のゲートにそれぞれ入力される。
ゲート制御回路59は、具体的には、発振回路72、チャージポンプ回路73および駆動信号出力回路74を含む。発振回路72は、電流・電圧制御回路57からの電気信号に応じて発振し、所定の電気信号を生成する。発振回路72によって生成された電気信号は、チャージポンプ回路73に入力される。チャージポンプ回路73は、発振回路72からの電気信号を昇圧させる。チャージポンプ回路73によって昇圧された電気信号は、駆動信号出力回路74に入力される。
【0067】
駆動信号出力回路74は、チャージポンプ回路73からの電気信号および保護回路58(具体的には、過電流保護回路68)からの電気信号に応じてゲート信号を生成する。ゲート信号は、ゲート配線54を介してパワーMISFET43のゲートおよびセンサMISFET55のゲートに入力される。センサMISFET55およびパワーMISFET43は、ゲート制御回路59によって同時に制御される。
【0068】
アクティブクランプ回路60は、逆起電力からパワーMISFET43を保護する。アクティブクランプ回路60は、ドレイン電極46、パワーMISFET43のゲートおよびセンサMISFET55のゲートに接続されている。アクティブクランプ回路60は、複数のダイオードを含んでいてもよい。
アクティブクランプ回路60は、互いにバイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路60は、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路60は、互いにバイアス接続された複数のダイオード、および、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。複数のダイオードは、pn接合ダイオードまたはツェナーダイオード、もしくは、pn接合ダイオードおよびツェナーダイオードを含んでいてもよい。
【0069】
電流検出回路61は、パワーMISFET43およびセンサMISFET55を流れる電流を検出する。電流検出回路61は、保護回路58、異常検出回路63、パワーMISFET43のソースおよびセンサMISFET55のソースに接続されている。電流検出回路61は、パワーMISFET43によって生成された電気信号およびセンサMISFET55によって生成された電気信号に応じて、電流検出信号を生成する。電流検出信号は、異常検出回路63に入力される。
【0070】
電源逆接続保護回路62は、電源が逆接続された際に、逆電圧から電流・電圧制御回路57やパワーMISFET43等を保護する。電源逆接続保護回路62は、基準電圧電極51および電流・電圧制御回路57に接続されている。
異常検出回路63は、保護回路58の電圧を監視する。異常検出回路63は、電流・電圧制御回路57、保護回路58および電流検出回路61に接続されている。過電流保護回路68、負荷オープン検出回路69、過熱保護回路70および低電圧誤動作抑制回路71のいずれかに異常(電圧の変動等)が生じた場合、異常検出回路63は、保護回路58の電圧に応じた異常検出信号を生成し、外部に出力する。
【0071】
異常検出回路63は、具体的には、第1マルチプレクサ回路75および第2マルチプレクサ回路76を含む。第1マルチプレクサ回路75は、2つの入力部、1つの出力部および1つの選択制御入力部を含む。第1マルチプレクサ回路75の入力部には、保護回路58および電流検出回路61がそれぞれ接続されている。第1マルチプレクサ回路75の出力部には、第2マルチプレクサ回路76が接続されている。第1マルチプレクサ回路75の選択制御入力部には、電流・電圧制御回路57が接続されている。
【0072】
第1マルチプレクサ回路75は、電流・電圧制御回路57からの電気信号、保護回路58からの電圧検出信号および電流検出回路61からの電流検出信号に応じて、異常検出信号を生成する。第1マルチプレクサ回路75によって生成された異常検出信号は、第2マルチプレクサ回路76に入力される。
第2マルチプレクサ回路76は、2つの入力部および1つの出力部を含む。第2マルチプレクサ回路76の入力部には、第2マルチプレクサ回路76の出力部およびENABLE電極52がそれぞれ接続されている。第2マルチプレクサ回路76の出力部には、SENSE電極53が接続されている。
【0073】
ENABLE電極52にMCUが接続され、SENSE電極53に抵抗器が接続されている場合、MCUからENABLE電極52にオン信号が入力され、SENSE電極53から異常検出信号が取り出される。異常検出信号は、SENSE電極53に接続された抵抗器によって電気信号に変換される。半導体装置1の状態異常は、この電気信号に基づいて検出される。
【0074】
図9は、図8に示すパワーMISFET43の構造を示す平面図である。図10は、図9に示すX-X線に沿う断面図である。
図9および図10を参照して、半導体装置1は、出力領域41において非実装面6の表層部に形成されたp型のボディ領域81を含む。ボディ領域81のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0075】
ボディ領域81は、ドリフト領域45に形成されている。ボディ領域81の底部は、ドリフト領域45の底部に対して非実装面6側の領域に形成されている。ボディ領域81の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。ボディ領域81の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0076】
半導体装置1は、出力領域41において非実装面6に形成された複数のトレンチゲート構造82を含む。複数のトレンチゲート構造82は、平面視において第1方向Xに沿って帯状にそれぞれ延び、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数のトレンチゲート構造82は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
複数のトレンチゲート構造82の間のピッチPSは、0.1μm以上2μm以下であってもよい。ピッチPSは、0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。複数のトレンチゲート構造82の中央部間のピッチPCは、1μm以上8μm以下であってもよい。ピッチPCは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0077】
各トレンチゲート構造82は、ゲートトレンチ83、絶縁層84および埋設電極85を含む。ゲートトレンチ83は、非実装面6を実装面5側に向けて掘り下げることによって形成されている。ゲートトレンチ83は、ボディ領域81を貫通している。
ゲートトレンチ83は、側壁および底壁を含む。ゲートトレンチ83の側壁は、ドリフト領域45およびボディ領域81を露出させている。ゲートトレンチ83の側壁は、法線方向Zに沿って延びている。ゲートトレンチ83の側壁は、非実装面6に対して垂直に形成されていてもよい。
【0078】
チップ2内において側壁が非実装面6との間で成す角度の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。つまり、ゲートトレンチ83は、非実装面6側から底壁側に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
ゲートトレンチ83の底壁は、ドリフト領域45の底部から非実装面6側に間隔を空けて形成されている。ゲートトレンチ83の底壁は、ドリフト領域45を露出させている。ゲートトレンチ83の底壁は、ドリフト領域45の底部に向かう湾曲状(U字状)に形成されている。ゲートトレンチ83の底壁は、ドリフト領域45の底部から1μm以上5μm以下の間隔を空けて形成されていることが好ましい。
【0079】
ゲートトレンチ83の幅は、0.5μm以上2μm以下であってもよい。ゲートトレンチ83の幅は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。ゲートトレンチ83の深さは、1μm以上10μm以下であってもよい。ゲートトレンチ83の深さは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
絶縁層84は、ゲートトレンチ83の内壁に沿って膜状に形成されている。絶縁層84は、ゲートトレンチ83内においてリセス空間を区画している。絶縁層84においてゲートトレンチ83の底壁を被覆する部分は、ゲートトレンチ83の底壁に倣って形成されている。これにより、絶縁層84は、ゲートトレンチ83内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
【0080】
絶縁層84は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは酸化タンタルのうちの少なくとも1種を含む。絶縁層84は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
絶縁層84は、ゲートトレンチ83の底壁側から非実装面6側に向けてこの順に形成された底側絶縁層86および開口側絶縁層87を含む。底側絶縁層86は、ゲートトレンチ83の底壁側の内壁を被覆している。底側絶縁層86は、具体的には、ボディ領域81の底部に対してゲートトレンチ83の底壁側の内壁を被覆している。底側絶縁層86は、ゲートトレンチ83の底壁側においてU字空間を区画している。底側絶縁層86の一部は、ボディ領域81に接していてもよい。
【0081】
開口側絶縁層87は、ゲートトレンチ83の開口側の内壁を被覆している。開口側絶縁層87は、具体的には、ボディ領域81の底部に対してゲートトレンチ83の開口側の領域においてゲートトレンチ83の側壁を被覆している。開口側絶縁層87は、ボディ領域81に接している。開口側絶縁層87の一部は、ドリフト領域45に接していてもよい。
底側絶縁層86は、第1厚さT1を有している。開口側絶縁層87は、第1厚さT1未満の第2厚さT2を有している。第1厚さT1は、底側絶縁層86においてゲートトレンチ83の内壁の法線方向に沿う厚さである。第2厚さT2は、開口側絶縁層87においてゲートトレンチ83の内壁の法線方向に沿う厚さである。
【0082】
埋設電極85は、絶縁層84を挟んでゲートトレンチ83に埋め込まれている。埋設電極85は、この形態では、底側電極88、開口側電極89および中間絶縁層90を含む絶縁分離型の電極構造を有している。
底側電極88は、絶縁層84を挟んでゲートトレンチ83の底壁側に埋設されている。底側電極88は、具体的には、底側絶縁層86を挟んでゲートトレンチ83の底壁側に埋設されている。底側電極88は、底側絶縁層86を挟んでドリフト領域45に対向している。底側電極88の一部は、底側絶縁層86を挟んでボディ領域81に対向していてもよい。
【0083】
底側電極88は、図示しない領域においてゲートトレンチ83の開口に引き出された引き出し部を含む。底側電極88の引き出し部は、図示しない領域においてゲート配線54またはソース電極49に電気的に接続される。
底側電極88は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。底側電極88は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0084】
開口側電極89は、絶縁層84を挟んでゲートトレンチ83の開口側に埋設されている。開口側電極89は、具体的には、開口側絶縁層87を挟んでゲートトレンチ83の開口側に区画されたリセス空間に埋設されている。開口側電極89は、開口側絶縁層87を挟んでボディ領域81に対向している。開口側電極89の一部は、開口側絶縁層87を挟んでドリフト領域45に対向していてもよい。開口側電極89は、図示しない領域においてゲート配線54に電気的に接続される。
【0085】
開口側電極89は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。開口側電極89は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0086】
中間絶縁層90は、底側電極88および開口側電極89の間に介在し、底側電極88および開口側電極89を電気的に絶縁している。中間絶縁層90は、具体的には、底側電極88および開口側電極89の間の領域において底側絶縁層86から露出する底側電極88の外面を被覆している。中間絶縁層90は、絶縁層84(底側絶縁層86)に連なっている。
【0087】
中間絶縁層90は、第3厚さT3を有している。第3厚さT3は、底側電極88の第1厚さT1未満である。中間絶縁層90は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは酸化タンタルのうちの少なくとも1種を含む。中間絶縁層90は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
パワーMISFET43を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、底側電極88にゲート電圧が印加され、開口側電極89にゲート電圧が印加されてもよい。この場合、底側電極88および開口側電極89は、ゲート電極として機能する。これにより、底側電極88および開口側電極89の間の電圧降下を抑制できるから、底側電極88および開口側電極89の間の電界集中に起因する耐圧の低下を抑制できる。また、チップ2のオン抵抗を低下させることができるから、消費電力の低減を図ることができる。
【0088】
パワーMISFET43を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、底側電極88に基準電圧が印加され、開口側電極89にゲート電圧が印加されてもよい。この場合、底側電極88がフィールド電極として機能する一方で、開口側電極89がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
【0089】
半導体装置1は、ボディ領域81の表層部に形成された複数のn型のソース領域91を含む。ソース領域91のn型不純物濃度は、ドリフト領域45のn型不純物濃度を超えている。ソース領域91のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
複数のソース領域91は、ボディ領域81の表層部においてゲートトレンチ83の側壁に沿って形成されている。複数のソース領域91の底部は、ボディ領域81の底部に対して非実装面6側の領域に位置している。複数のソース領域91は、絶縁層84(開口側絶縁層87)を挟んで埋設電極85(開口側電極89)に対向している。
【0090】
複数のソース領域91は、互いに隣り合う複数のゲートトレンチ83の間の領域において第2方向Yに沿って間隔を空けて形成されている。各ソース領域91は、ボディ領域81内においてドリフト領域45との間でパワーMISFET43のチャネルを画定している。
半導体装置1は、ボディ領域81の表層部に形成された複数のp型のコンタクト領域92を含む。コンタクト領域92のp型不純物濃度は、ボディ領域81のp型不純物濃度を超えている。コンタクト領域92のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0091】
複数のコンタクト領域92は、ボディ領域81の表層部において複数のソース領域91の間の領域に形成されている。これにより、複数のコンタクト領域92は、複数のソース領域91に対して交互の配列となる態様でボディ領域81の表層部に形成されている。
半導体装置1は、出力領域41において層間絶縁層31に埋め込まれた複数のプラグ電極93を含む。複数のプラグ電極93は、タングステンを含んでいてもよい。複数のプラグ電極93は、対応するソース領域91およびコンタクト領域92に電気的に接続された複数のプラグ電極93を含む。また、複数のプラグ電極93は、対応する底側電極88に電気的にそれぞれ接続された複数のプラグ電極93を含む。また、複数のプラグ電極93は、対応する開口側電極89に電気的にそれぞれ接続されたプラグ電極93を含む。
【0092】
ソース電極49は、対応する複数のプラグ電極93を介してソース領域91およびコンタクト領域92に電気的に接続されている。ソース電極49は、対応する複数のプラグ電極93を介して開口側電極89に電気的に接続されていてもよい。ゲート配線54は、対応する複数のプラグ電極93を介して底側電極88および/または開口側電極89に電気的に接続されている。
【0093】
図11は、図1に示す半導体装置1が組み込まれた半導体パッケージ101を、パッケージ本体102を透過して示す斜視図である。図12は、図11に示す半導体装置1の接合状態を示す断面図である。
図11および図12を参照して、半導体パッケージ101は、この形態では、所謂SOP(Small Outline Package)である。半導体パッケージ101は、パッケージ本体102、ダイパッド103、半導体装置1、導電接合材104、複数(この形態では8個)のリード端子105および複数(この形態では8個)の導線106を含む。
【0094】
パッケージ本体102は、モールド樹脂からなる。パッケージ本体102は、モールド樹脂の一例としてのエポキシ樹脂を含んでいてもよい。パッケージ本体102は、直方体形状に形成されている。パッケージ本体102は、一方側の第1主面107、他方側の第2主面108、ならびに、第1主面107および第2主面108を接続する4つの側面109A、109B、109C、109Dを含む。
【0095】
4つの側面109A~109Dは、具体的には、第1側面109A、第2側面109B、第3側面109Cおよび第4側面109Dを含む。第1側面109Aおよび第2側面109Bは、互いに対向している。第3側面109Cおよび第4側面109Dは、互いに対向している。
ダイパッド103は、パッケージ本体102内に配置されている。ダイパッド103は、第2主面108から露出していてもよい。ダイパッド103は、直方体形状に形成された金属板からなる。ダイパッド103は、Fe、Au、Ag、CuおよびAlの少なくとも1つを含んでいてもよい。ダイパッド103は、Niめっき膜、Auめっき膜、Agめっき膜およびCuめっき膜のうちの少なくとも1つが形成された外面を有していてもよい。
【0096】
複数のリード端子105は、第1リード端子105A、第2リード端子105B、第3リード端子105C、第4リード端子105D、第5リード端子105E、第6リード端子105F、第7リード端子105Gおよび第8リード端子105Hを含む。リード端子105の個数は、半導体装置1の機能に応じて調節され、図11および図12に示される個数に限定されない。
【0097】
4つのリード端子105A~105Dは、パッケージ本体102の第1側面109A側に配置されている。4つのリード端子105A~105Dは、ダイパッド103から間隔を空けて配置されている。4つのリード端子105A~105Dは、第1側面109Aが延びる方向に間隔を空けて配列されている。4つのリード端子105A~105Dは、パッケージ本体102内から第1側面109Aを横切ってパッケージ本体102外に引き出されている。
【0098】
4つのリード端子105E~105Hは、パッケージ本体102の第2側面109B側に配置されている。4つのリード端子105E~105Hは、ダイパッド103から間隔を空けて配置されている。4つのリード端子105E~105Hは、第2側面109Bが延びる方向に間隔を空けて配列されている。4つのリード端子105E~105Hは、パッケージ本体102内から第2側面109Bを横切ってパッケージ本体102外に引き出されている。
【0099】
複数のリード端子105は、Fe、Au、Ag、CuおよびAlの少なくとも1つを含んでいてもよい。複数のリード端子105は、Niめっき膜、Auめっき膜、Agめっき膜およびCuめっき膜のうちの少なくとも1つが形成された外面を有していてもよい。
半導体装置1は、実装面5をダイパッド103に対向させた姿勢でダイパッド103の上に配置されている。導電接合材104は、半導体装置1およびダイパッド103の間に介在し、半導体装置1のドレイン電極46をダイパッド103に接合させている。導電接合材104は、具体的には、第1金属層21およびダイパッド103の間に介在し、かつ、第2金属層27を被覆している。
【0100】
導電接合材104は、第1金属層21を介して実装面5を被覆している。導電接合材104は、第1金属層21を介して実装面5の全域を被覆している。導電接合材104は、非実装面6から実装面5側に間隔を空けて第2金属層27を被覆している。導電接合材104は、第2金属層27を介して第1接続壁15A~15Dおよび庇部10A~10Dを被覆している。
【0101】
導電接合材104は、第2接続壁16A~16Dを露出させている。つまり、導電接合材104は、エピタキシャル層4を露出させている。チップ2に対する導電接合材104の親和性(濡れ性)は、第2金属層27に対する導電接合材104の親和性(濡れ性)よりも小さい。したがって、導電接合材104が第2接続壁16A~16Dに濡れ拡がることを抑制できる。
【0102】
これにより、導電接合材104に起因するエピタキシャル層4の電気的性質の変動を抑制できるから、エピタキシャル層4に形成された機能デバイスの電気的特性の変動を適切に抑制できる。
導電接合材104は、半田または導電ペーストからなる。半田は、鉛フリー半田であってもよい。半田は、SnAgCu、SnZnBi、SnCu、SnCuNiおよびSnSbNiのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。金属ペーストは、Au、AgおよびCuのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0103】
導電接合材104は、銀ペーストからなることが好ましい。銀ペーストは、焼結銀ペーストからなることが特に好ましい。焼結銀ペーストは、ナノサイズまたはマイクロサイズのAg粒子を有機溶剤に分散させたペーストからなる。
半導体装置1で生じた熱は、第1金属層21および第2金属層27を介して導電接合材104に伝達される。導電接合材104に伝達された熱は、ダイパッド103に伝達される。これにより、半導体装置1の温度上昇を抑制できる。ダイパッド103がパッケージ本体102の第2主面108から露出している場合には、ダイパッド103の熱をパッケージ本体102外に効率的に放散させることができる。したがって、半導体装置1の温度上昇を適切に抑制できる。
【0104】
複数の導線106は、第1導線106A、第2導線106B、第3導線106C、第4導線106D、第5導線106E、第6導線106F、第7導線106Gおよび第8導線106Hを含む。導線106の個数は、半導体装置1の機能に応じて調節され、図11および図12に示される個数に限定されない。
第1導線106Aは、第1リード端子105Aの一端部およびソース電極49に電気的に接続されている。第1導線106Aは、この形態では、ボンディングワイヤの一例としてのアルミニウムワイヤからなる。第1導線106Aは、アルミニウムワイヤに代えて、金ワイヤまたは銅ワイヤからなっていてもよい。
【0105】
第2導線106Bは、第2リード端子105Bの一端部および基準電圧電極51に電気的に接続されている。第3導線106Cは、第3リード端子105Cの一端部およびENABLE電極52に電気的に接続されている。第4導線106Dは、第4リード端子105Dの一端部およびSENSE電極53に電気的に接続されている。
第5導線106Eは、第5リード端子105Eの一端部およびダイパッド103に電気的に接続されている。第6導線106Fは、第6リード端子105Fの一端部およびダイパッド103に電気的に接続されている。第7導線106Gは、第7リード端子105Gの一端部および入力電極50に電気的に接続されている。第8導線106Hは、第8リード端子105Hの一端部およびダイパッド103に電気的に接続されている。
【0106】
第2~第8導線106B~106Hは、この形態では、ボンディングワイヤの一例としての金ワイヤまたは銅ワイヤからそれぞれなる。第2~第8導線106B~106Hは、この形態では、アルミニウムワイヤからそれぞれなっていてもよい。ダイパッド103、半導体装置1および複数のリード端子105A~105Hに対する複数の導線106の接続形態は任意であり、図11および図12に示される接続形態に限定されない。
【0107】
半導体パッケージ101の形態は、SOP以外の形態も採り得る。半導体パッケージ101は、TO(Transistor Outline)、QFN(Quad For Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)もしくはSOJ(Small Outline J-leaded Package)、または、これらに類する種々の形態を有していてもよい。
【0108】
以上、半導体装置1は、庇部10A~10Dを含む側壁7A~7Dを有している。これにより、実装面5への導電接合材104の回り込みを庇部10A~10Dによって抑制できる。また、半導体装置1は、実装面5を被覆する第1金属層21に加えて、側壁7A~7Dを被覆する第2金属層27を含む。第2金属層27は、非実装面6から実装面5側に間隔を空けて側壁7A~7Dを被覆している。
【0109】
これにより、放熱性を適切に向上できる。半導体装置1の放熱性は、半導体パッケージ101内において第2金属層27を被覆する導電接合材104を形成することによってさらに高めることができる。
図13A図13Lは、図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。以下では、機能デバイスの形成工程を省略する。
【0110】
図13Aを参照して、シリコン製のウエハ111が用意される。ウエハ111は、一方側の第1ウエハ主面112、他方側の第2ウエハ主面113を含む。第1ウエハ主面112および第2ウエハ主面113は、チップ2の実装面5および非実装面6にそれぞれ対応している。
ウエハ111は、基板3およびエピタキシャル層4を含む積層構造を有している。エピタキシャル層4は、エピタキシャル成長法によって、基板3の主面からシリコンをエピタキシャル成長させることによって形成されている。
【0111】
図13Bを参照して、第1ウエハ主面112の上に、層間絶縁層31が形成される。層間絶縁層31は、熱酸化処理法および/またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されてもよい。
図13Cを参照して、複数の電極32のベースとなるベース電極114が、層間絶縁層31の上に形成される。ベース電極114は、スパッタ法および/またはめっき法によって形成されてもよい。
【0112】
図13Dを参照して、所定パターンを有するレジストマスク115が、ベース電極114の上に形成される。次に、レジストマスク115を介するエッチング法によって、ベース電極114の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、ベース電極114が、複数の電極32に分割される。レジストマスク115は、その後除去される。
【0113】
図13Eを参照して、最上絶縁層33のベースとなるベース絶縁層116が、層間絶縁層31の上に形成される。ベース絶縁層116は、パッシベーション層36および樹脂層37を含む積層構造を有している。パッシベーション層36は、窒化シリコンを含む。パッシベーション層36は、CVD法によって形成されてもよい。樹脂層37は、感光性樹脂(この形態ではポリベンゾオキサゾール)を含む。樹脂層37は、感光性樹脂をパッシベーション層36の上に塗布することによって形成されてもよい。
【0114】
図13Fを参照して、樹脂層37が、選択的に露光された後、現像される。これにより、樹脂層37に、第2開口39およびダイシングストリート117が形成される。
図13Gを参照して、樹脂層37を介するエッチング法によって、パッシベーション層36において樹脂層37から露出する部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、パッシベーション層36に、第1開口38およびダイシングストリート117が形成される。
【0115】
このようにして、ベース絶縁層116に複数のパッド開口34およびダイシングストリート117が形成されると同時に、ベース絶縁層116が複数の最上絶縁層33に分割される。複数のパッド開口34は、第1開口38および第2開口39によってそれぞれ形成される。複数のパッド開口34は、対応する電極32をそれぞれ露出させる。ダイシングストリート117は、複数の最上絶縁層33の周縁によって区画され、平面視において格子状に形成される。
【0116】
ダイシングストリート117の幅WD2は、2μm以上200μm以下であってもよい。幅WD2は、ダイシングストリート117が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WD2は、2μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、または、150μm以上200μm以下であってもよい。
図13Hを参照して、第2ウエハ主面113が研削される。第2ウエハ主面113は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削されてもよい。これにより、ウエハ111(基板3)が所望の厚さになるまで薄化される。
【0117】
図13Iを参照して、溝118が、第2ウエハ主面113に形成される。溝118は、平面視においてダイシングストリート117に沿う格子状に形成される。溝118は、ウエハ111において半導体装置1となる領域を第2ウエハ主面113側から区画する。溝118は、この工程では、第1ブレード幅WB1を有する第1ブレード119による研削法によって形成されている。第1ブレード幅WB1は、ダイシングストリート117の幅WD2未満であることが好ましい。
【0118】
溝118は、研削法に代えてまたはこれに加えて、エッチング法によって形成されてもよい。溝118が、エッチング法によって形成される場合、まず、溝118を形成すべき領域を露出させる開口を有するレジストマスク(図示せず)が第2ウエハ主面113の上に形成される。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によって、第2ウエハ主面113の不要な部分が除去される。
【0119】
エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえば反応性イオンエッチング法)であることが好ましい。これにより、溝118が、第2ウエハ主面113に形成される。レジストマスク(図示せず)は、その後除去される。
図13Jを参照して、粗面化エッチング法によって、第2ウエハ主面113および溝118の内壁が粗面化されてもよい。粗面化エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。粗面化エッチング法は、ウエットエッチング法であることが好ましい。
【0120】
図13Kを参照して、第1金属層21および第2金属層27のベースとなるベース金属層120が、第2ウエハ主面113の上に形成される。ベース金属層120は、第2ウエハ主面113および溝118の内壁に沿って膜状に形成される。これにより、ベース金属層120は、溝118内においてリセス空間を区画する。
ベース金属層120は、この形態では、Ti層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26を含む積層構造を有している。Ti層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26は、スパッタ法、蒸着法および/またはめっき法によって、それぞれ形成されてもよい。
【0121】
ベース金属層120は、粗面化された第2ウエハ主面113および溝118の内壁を被覆する。これにより、第2ウエハ主面113および溝118の内壁に対するベース金属層120の密着力を高めることができるから、第2ウエハ主面113および溝118の内壁からのベース金属層120の剥離を適切に抑制できる。
図13Lを参照して、ウエハ111が、ダイシングストリート117に沿って切断され、複数の半導体装置1に分割される。この工程では、第1ブレード幅WB1未満の第2ブレード幅WB2を有する第2ブレード121による研削法によってウエハ111が切断される。ウエハ111は、第2ブレード121によって第1ウエハ主面112側から切断される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0122】
以下、図14A図14Gを参照して、図13G以降の工程を詳細に説明する。図14A図14Gは、図13G以降の工程を示す断面図であって、半導体装置1の製造方法をより詳細に説明するための断面図である。
図14Aを参照して、図13Gの工程においてパッシベーション層36が除去された後、第1ウエハ主面112側に第1支持テープ122が貼着される。第1支持テープ122は、紫外線硬化型の片面粘着テープからなることが好ましい。第1支持テープ122は、たとえば、紫外線透過性樹脂を含む基材フィルム、および、基材フィルの一方面側に設けられた紫外線硬化性樹脂を含む粘着剤層を含むバックグラインドテープであってもよい。
【0123】
図14Bを参照して、ウエハ111が第1支持テープ122によって支持された状態で、第2ウエハ主面113が研削される。第2ウエハ主面113は、CMP法によって研削されてもよい。これにより、ウエハ111(基板3)が所望の厚さになるまで薄化される。
図14Cを参照して、ウエハ111が第1支持テープ122によって支持された状態で、溝118が第2ウエハ主面113に形成される。溝118は、平面視においてダイシングストリート117に沿う格子状に形成される。溝118は、ウエハ111において半導体装置1となる領域を第2ウエハ主面113側から区画する。溝118は、この工程では、第1ブレード幅WB1を有する第1ブレード119による研削法によって形成されている。第1ブレード幅WB1は、ダイシングストリート117の幅WD2未満であることが好ましい。溝118の形成後、第1支持テープ122に紫外線が照射され、第1支持テープ122が剥離される。
【0124】
むろん、溝118は、研削法に代えてまたはこれに加えて、エッチング法によって形成されてもよい。この場合、たとえば、ウエハ111が第1支持テープ122によって支持された状態で、溝118を形成すべき領域を露出させる開口を有するレジストマスク(図示せず)が第2ウエハ主面113の上に形成される。次に、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によって、第2ウエハ主面113の不要な部分が除去される。
【0125】
エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえば反応性イオンエッチング法)であることが好ましい。これにより、溝118が、第2ウエハ主面113に形成される。溝118の形成後、第1支持テープ122およびレジストマスク(図示せず)は除去される。
図14Dを参照して、粗面化エッチング法によって、第2ウエハ主面113および溝118の内壁が粗面化されてもよい。粗面化エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。粗面化エッチング法は、ウエットエッチング法であることが好ましい。
【0126】
図14Eを参照して、第1金属層21および第2金属層27のベースとなるベース金属層120が、第2ウエハ主面113の上に形成される。ベース金属層120は、第2ウエハ主面113および溝118の内壁に沿って膜状に形成される。これにより、ベース金属層120は、溝118内においてリセス空間を区画する。
ベース金属層120は、この形態では、Ti層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26を含む積層構造を有している。Ti層22、Ni層23、Au層24、Pd層25およびAg層26は、スパッタ法、蒸着法および/またはめっき法によって、それぞれ形成されてもよい。
【0127】
ベース金属層120は、粗面化された第2ウエハ主面113および溝118の内壁を被覆する。これにより、第2ウエハ主面113および溝118の内壁に対するベース金属層120の密着力を高めることができるから、第2ウエハ主面113および溝118の内壁からのベース金属層120の剥離を適切に抑制できる。
図14Fを参照して、第2ウエハ主面113側(具体的にはベース金属層120)に第2支持テープ123が貼着される。第2支持テープ123は、紫外線硬化型の片面粘着テープからなることが好ましい。第2支持テープ123は、たとえば、紫外線透過性樹脂を含む基材フィルム、および、基材フィルの一方面側に設けられた紫外線硬化性樹脂を含む粘着剤層を含むダイシングテープであってもよい。
【0128】
図14Gを参照して、ウエハ111が第2支持テープ123によって支持された状態で、ウエハ111が第1ウエハ主面112側からダイシングストリート117に沿って切断され、複数の半導体装置1に分割される。この工程では、第1ブレード幅WB1未満の第2ブレード幅WB2を有する第2ブレード121による研削法によってウエハ111が切断される。
【0129】
ウエハ111の切断後、第2支持テープ123に紫外線が照射されて第2支持テープ123の粘着力が低下される。その後、複数の半導体装置1が第2支持テープ123からピックアップされる。この時、第1金属層21および第2金属層27は、粗面化された第2ウエハ主面113および溝118を被覆している。したがって、半導体装置1のピックアップに伴う第1金属層21および第2金属層27の剥離を抑制できる。
【0130】
ウエハ111は、第2ブレード121による切断法の他、図15A図15Bに示される切断法によって切断されてもよい。図15A図15Bは、図14F以降の工程を示す断面図であって、ウエハ111の別の切断法を説明するための断面図である。
図15Aを参照して、第2支持テープ123の貼着後、レーザ光照射装置(図示せず)からダイシングストリート117を介してウエハ111の内部にレーザ光が照射される。レーザ光は、ベース金属層120を有さない第1ウエハ主面112側からウエハ111の内部にパルス状に照射されることが好ましい。レーザ光の集光部(焦点)はウエハ111の内部(厚さ方向途中部)に設定され、レーザ光の照射位置はダイシングストリート117に沿って移動される。
【0131】
これにより、平面視においてダイシングストリート117および溝118に沿って延びる改質層124が、ウエハ111の内部に形成される。改質層124は、レーザ光照射痕からなり、ウエハ111の結晶構造の一部が別の性質に改質した領域からなる。つまり、改質層124は、密度、屈折率または機械的強度(結晶強度)、もしくは、その他の物理的特性がウエハ111の結晶構造とは異なる性質に改質された領域からなる。
【0132】
改質層124は、非晶質層(アモルファス層)、溶融再硬化層、欠陥層、絶縁破壊層または屈折率変化層のうちの少なくとも1つの層を含んでいてもよい。非晶質層は、ウエハ111の一部が非晶質化した層である。溶融再硬化層は、ウエハ111の一部が溶融した後再度硬化した層である。欠陥層は、ウエハ111に形成された空孔や亀裂等を含む層である。絶縁破壊層は、ウエハ111の一部が絶縁破壊した層である。屈折率変化層は、ウエハ111の一部がウエハ111とは異なる屈折率に変化した層である。
【0133】
改質層124は、平面視においてダイシングストリート117および溝118の平面形状に整合する平面形状を有している。つまり、改質層124は、平面視において格子状に形成される。改質層124は、ウエハ111の内部においてダイシングストリート117および溝118に対向する領域に形成される。改質層124は、平面視において溝118の中央部に対向する領域に形成されることが好ましい。改質層124の幅は、ダイシングストリート117の幅WD2未満であることが好ましい。また、改質層124の幅は、溝118の幅(=第1ブレード幅WB1に相当)未満であることが特に好ましい。
【0134】
改質層124は、ウエハ111の内部において第1ウエハ主面112および溝118から間隔を空けて形成されることが好ましい。この場合、改質層124は、ウエハ111の内部において基板3(ドレイン領域44)からなる部分に形成されることが好ましい。改質層124は、ウエハ111の内部においてエピタキシャル層4(ドリフト領域45)から間隔を空けて基板3からなる部分に形成されることが特に好ましい。改質層124は、ウエハ111の内部においてエピタキシャル層4に形成されないことが最も好ましい。
【0135】
図15Bを参照して、ウエハ111に外力が加えられ、改質層124を起点にウエハ111が劈開される。層間絶縁層31およびベース金属層120は、ウエハ111の劈開と同時に劈開される。最上絶縁層33は、ダイシングストリート117を区画し、劈開ライン上に位置していないので、劈開から免れる。樹脂層37を含む最上絶縁層33が劈開ライン上に配置されている場合、樹脂層37の弾性によって劈開が妨げられる。したがって、この形態に係る劈開工程によれば、ウエハ111の劈開を円滑に行うことができる。
【0136】
また、この形態では、押圧部材125によって、第2支持テープ123を介して第2ウエハ主面113側からウエハ111に外力が加えられる。この方法によれば、ウエハ111の劈開時において、押圧部材125を起点にして、複数の半導体装置1を互いに離間する方向に傾斜させることができる。したがって、劈開に起因する複数の半導体装置1同士の衝突が抑制される。これにより、半導体装置1のクラックが抑制される。
【0137】
ウエハ111の劈開後、第2支持テープ123に紫外線が照射されて第2支持テープ123の粘着力が低下される。その後、複数の半導体装置1が第2支持テープ123からピックアップされる。この時、第1金属層21および第2金属層27は、粗面化された第2ウエハ主面113および溝118を被覆している。したがって、半導体装置1のピックアップに伴う第1金属層21および第2金属層27の剥離を抑制できる。
【0138】
図16は、図4に対応し、図15A図15Bの工程を経て製造された半導体装置1を示す断面図である。以下では、既出の構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図16を参照して、半導体装置1において、側壁7A~7Dは、非実装面6および庇部10A~10Dの間の領域に劈開面を有している。つまり、側壁7A~7Dは、実装面5側の切欠部11、および、非実装面6側の劈開部126を有している。切欠部11は、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dを含み、実装面5から非実装面6に向けて窪んでいる。劈開部126は、第2接続壁16A~16Dを含み、非実装面6および切欠部11の間の領域に形成されている。
【0139】
この構造において、半導体装置1は、側壁7A~7Dの劈開部126に形成された改質層124を含む。つまり、改質層124は、チップ2のヘッド部18に形成されている。改質層124は、側壁7A~7Dにおいて非実装面6および切欠部11(庇部10A~10D)から間隔を空けて形成されていることが好ましい。改質層124は、側壁7A~7Dにおいて基板3(ドレイン領域44)からなる部分に形成されていることが好ましい。
【0140】
この場合、改質層124は、側壁7A~7Dにおいてエピタキシャル層4(ドリフト領域45)から間隔を空けて基板3からなる部分に形成されることが特に好ましい。改質層124は、側壁7A~7Dにおいてエピタキシャル層4に形成されないことが最も好ましい。改質層124の幅は、庇部10A~10Dの幅WE未満であることが好ましい。
第2金属層27において、第2被覆部29の露出部30は、この形態では、劈開面からなる。第2被覆部29の露出部30は、側壁7A~7Dの劈開部126との間で一つの劈開面(劈開部)を形成している。また、層間絶縁層31の周縁は、この形態では、劈開面からなる。層間絶縁層31の周縁は、側壁7A~7Dの劈開部126との間で1つの劈開面(劈開部)を形成している。
【0141】
以上、この製造方法によれば、ウエハ111の内部において溝118によって薄化された部分に改質層124が形成され、当該改質層124を起点にウエハ111が劈開される。これにより、ウエハ111において劈開すべき部分が小さくなるので、劈開に起因するクラックの発生リスクを低減できる。よって、半導体装置1の外観不良を抑制できる。
また、ウエハ111の劈開工程によれば、第2ブレード121を使用しなくて済む。したがって、第2ブレード121の消耗を防止できる。また、第2ブレード121のプロセスマージンをなくすことができると同時に、ウエハ111において研削によって消失する部分(つまり、切りしろ)をなくすことができる。これにより、1枚のウエハ111から取得可能な半導体装置1の個数を増加させることができる。
【0142】
また、この製造方法によれば、溝118によってウエハ111に対するレーザ光の照射範囲を狭めることができるから、レーザ光の照射時間を短縮できる。よって、ウエハ111を円滑に劈開できる。これらのことから、溝118を有するウエハ111は、劈開工程との親和性が極めて高いといえる。
改質層124は、溝118(切欠部11)から第1ウエハ主面112(非実装面6)側に間隔を空けて形成されることが好ましい。この場合、劈開時において改質層124に起因する溝118(切欠部11)のクラックを抑制できる。また、改質層124は、第1ウエハ主面112(非実装面6)から溝118(切欠部11)側に間隔を空けて形成されていることが好ましい。この場合、劈開時において断面視した場合のチップ2の角部におけるクラックを抑制できる。ウエハ111に形成される改質層124の幅は、溝118の幅(=第1ブレード幅WB1に相当)未満であることが好ましい。この場合、ウエハ111のダメージを低減できるので、溝118(切欠部11)におけるクラック発生のリスクを低減できる。
【0143】
エピタキシャル層4は機能デバイスが形成されたデバイス面(非実装面6)を有するところ、エピタキシャル層4に改質層124が形成された場合、改質層124に起因してエピタキシャル層の一部が変質するため、エピタキシャル層4の物理的特性や電気的特性を鑑みると好ましいとはいえない。
したがって、レーザ光の集光部(焦点)は、ウエハ111において基板3(ドレイン領域44)からなる部分に設定されることが好ましい。つまり、改質層124は、ウエハ111において基板3(ドレイン領域44)からなる部分に形成されることが好ましい。これにより、改質層124に起因するエピタキシャル層4の物理的特性および電気的特性の変動を抑制できる。その結果、エピタキシャル層4に形成された機能デバイスの電気的特性の変動も抑制できる。
【0144】
この場合、改質層124は、ウエハ111の内部においてエピタキシャル層4(ドリフト領域45)から間隔を空けて基板3からなる部分に形成されることが特に好ましい。改質層124は、ウエハ111の内部においてエピタキシャル層4に形成されないことが最も好ましい。むろん、この開示は、エピタキシャル層4に改質層124が形成された構造を阻害するものではなく、改質層124は必要に応じてエピタキシャル層4に形成されてもよい。
【0145】
本発明の実施形態はさらに他の形態で実施することもできる。
前述の実施形態では、側壁7A~7Dが庇部10A~10Dをそれぞれ有している例について説明した。しかし、側壁7A~7Dのうちの1つ、2つまたは3つが、庇部10A~10Dを有していない構造が採用されてもよい。このような構造は、溝118の形成工程の一部を省略することによって形成される。ただし、チップ2の対称性や放熱性等を鑑みると、全ての側壁7A~7Dが庇部10A~10Dを有していることが好ましい。
【0146】
前述の実施形態では、実装面5、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dが粗面からなる例について説明した。しかし、実装面5、庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dは、粗面化されていなくてもよい。この場合、図13Jの工程は省かれる。図13Jの工程が省かれた場合、少なくとも実装面5は、研削痕を有する研削面からなる。図13Iの工程において溝118が第1ブレード119によって形成される場合、研削痕を有する研削面からなる庇部10A~10Dおよび第1接続壁15A~15Dが形成される。
【0147】
前述の実施形態では、最上絶縁層33がパッシベーション層36および樹脂層37を含む積層構造を有している例について説明した。しかし、最上絶縁層33は、パッシベーション層36または樹脂層37からなる単層構造を有していてもよい。
前述の実施形態では、埋設電極85が底側電極88、開口側電極89および中間絶縁層90を含む絶縁分離型の電極構造を有している例について説明した。しかし、埋設電極85は、絶縁層84を挟んでゲートトレンチ83に一体物として埋設されていてもよい。この場合、絶縁層84は、一様な厚さを有していてもよい。
【0148】
前述の実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
前述の実施形態では、シリコン製のチップ2が採用された例について説明した。しかし、前述の実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体材料製のチップ2が採用されてもよい。この場合、炭化シリコン製のチップ2が採用されてもよい。また、前述の実施形態において、化合物半導体材料製のチップ2が採用されてもよい。この場合、窒化ガリウム製または酸化ガリウム製のチップ2が採用されてもよい。
【0149】
前述の実施形態では、縦型デバイス(パワーMISFET43)を含む機能デバイスが、庇部10A~10Dを有するチップ2に形成された例について説明した。しかし、横型デバイスを含む機能デバイスが、庇部10A~10Dを有するチップ2に形成されてもよい。また、横型デバイスからなる機能デバイスだけが、庇部10A~10Dを有するチップ2に形成されてもよい。
【0150】
前述の実施形態では、機能デバイスがIPDである例について説明した。しかし、機能デバイスはIPDに限定されない。庇部10A~10Dを有するチップ2は、IPD以外の機能デバイスを備えた種々の電子部品(半導体装置)に適用できる。たとえば、庇部10A~10Dを有するチップ2は、受動デバイス、半導体受動デバイス、半導体整流デバイス、半導体発光デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも1つを備えた電子部品(半導体装置)等に適用できる。
【0151】
受動デバイス(半導体受動デバイス)は、抵抗、コンデンサおよびコイルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体発光デバイスは、発光ダイオード、半導体レーザおよび有機エレクトロルミネッセンスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0152】
半導体スイッチングデバイスは、JFET(Junction Field Effect Transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、MISFET(Metal Insulator Field Effect Transistor)、および、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
機能デバイスは、受動デバイス(半導体受動デバイス)、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも2つが組み合わされた回路網を含んでいてもよい。回路網は、集積回路の一部または全部を形成していてもよい。集積回路は、SSI(Small Scale Integration)、LSI(Large Scale Integration)、MSI(Medium Scale Integration)、VLSI(Very Large Scale Integration)またはULSI(Ultra-Very Large Scale Integration)を含んでいてもよい。
【0153】
以下、この明細書および図面から抽出される特徴の例を示す。
半導体装置の放熱性は、チップの側壁に金属層を形成することによって向上できる。しかし、この場合、導電接合材が金属層を介してチップの非実装面に回り込む結果、不所望な短絡が引き起こされる虞がある。その結果、放熱性を適切に向上できない。そこで、以下の[A1]~[A19]は、放熱性を適切に向上できる半導体装置を提供する。
【0154】
[A1]実装面、前記実装面よりも外側に張り出した非実装面、ならびに、前記実装面よりも外側に張り出した庇部を有し、前記実装面および前記非実装面を接続する側壁を含むチップと、前記実装面を被覆する第1金属層と、前記非実装面から前記実装面側に間隔を空けて前記側壁を被覆する第2金属層と、を含む、半導体装置。この半導体装置によれば、庇部によって非実装面への導電接合材の回り込みを抑制できる。よって、放熱性を適切に向上できる半導体装置を提供できる。
【0155】
[A2]前記庇部は、前記非実装面から前記実装面側に間隔を空けて形成されている、A1に記載の半導体装置。
[A3]前記第2金属層は、前記側壁において前記実装面および前記庇部の間の領域を被覆している、A1または2に記載の半導体装置。
[A4]前記第2金属層は、前記庇部を被覆している、A1~A3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0156】
[A5]前記庇部は、前記実装面側の内端部、前記非実装面側の外端部、ならびに、前記内端部および前記外端部を接続する接続部を有している、A1~A4のいずれか一つに記載の半導体装置。
[A6]前記接続部は、傾斜面からなる、A5に記載の半導体装置。
[A7]前記側壁は、前記非実装面および前記庇部を接続する接続壁を有し、前記第2金属層は、前記接続壁を露出させている、A1~A6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0157】
[A8]前記チップは、前記実装面を形成する基板、および、前記非実装面を形成するエピタキシャル層を含む積層構造を有し、前記庇部は、前記基板に形成されている、A1~A7のいずれか一つに記載の半導体装置。
[A9]前記庇部は、前記エピタキシャル層から間隔を空けて前記基板に形成されている、A8に記載の半導体装置。
【0158】
[A10]前記第2金属層は、前記エピタキシャル層を露出させている、A8またはA9に記載の半導体装置。
[A11]前記庇部は、前記実装面の周縁部を前記非実装面に向けて切り欠いた切欠部によって形成されている、A1~A10のいずれか一つに記載の半導体装置。
[A12]前記第1金属層は、貴金属を含む、A1~A11のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0159】
[A13]前記第2金属層は、貴金属を含む、A1~A12のいずれか一つに記載の半導体装置。
[A14]ダイパッドと、前記ダイパッドから間隔を空けて配置されたリード端子と、前記実装面を前記ダイパッドに対向させた姿勢で前記ダイパッドの上に配置されたA1~A13のいずれか一つに記載の半導体装置と、前記第1金属層および前記ダイパッドの間に介在し、前記第2金属層を被覆し、前記半導体装置を前記ダイパッドに接合させる導電接合材と、を含む、半導体パッケージ。
【0160】
[A15]前記導電接合材は、前記非実装面から前記実装面側に間隔を空けて前記第2金属層を被覆している、A14に記載の半導体パッケージ。
[A16]前記導電接合材は、前記庇部を被覆している、A14またはA15に記載の半導体パッケージ。
[A17]前記導電接合材は、半田または導電ペーストからなる、A14~A16のいずれか一つに記載の半導体パッケージ。
【0161】
[A18]前記導電接合材は、銀ペーストからなる、A17に記載の半導体パッケージ。
[A19]樹脂からなるパッケージ本体をさらに含み、前記ダイパッド、前記リード端子、前記半導体装置および前記導電接合材は、前記パッケージ本体内に配置されている、A14~A18のいずれか一つに記載の半導体パッケージ。
【0162】
以下の[B1]~[B20]は、導電接合材の回り込みを抑制できる半導体装置を提供する。
[B1]第1面(5)、第2面(6)、ならびに、前記第1面(5)および前記第2面(6)を接続する側壁(7A~7D)を含み、前記側壁(7A~7D)において前記第1面(5)から前記第2面(6)に向けて窪んだ切欠部(11)、および、前記側壁(7A~7D)において前記第2面(6)および前記切欠部(11)の間に形成された劈開部(16A~16D、126)を有する半導体チップ(2)と、前記側壁(7A~7D)において前記劈開部(16A~16D、126)に形成され、前記半導体チップ(2)の結晶構造とは異なる性質に改質された改質層(124)と、を含む、半導体装置(1)。この半導体装置(1)によれば、切欠部(11)によって第2面(6)への導電接合材の回り込みを抑制できる。
【0163】
[B2]前記改質層(124)は、前記第2面(6)から前記切欠部(11)側に間隔を空けて形成されている、B1に記載の半導体装置(1)。
[B3]前記改質層(124)は、前記切欠部(11)から前記第2面(6)側に間隔を空けて形成されている、B1またはB2に記載の半導体装置(1)。
[B4]前記第1面(5)に沿う面方向に関して、前記改質層(124)は、前記切欠部(11)の幅(WE)未満の幅を有している、B1~B3のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
【0164】
[B5]前記第1面(5)を被覆する金属層(21)をさらに含む、B1~B4のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
[B6]前記切欠部(11)を被覆する側壁金属層(22)をさらに含む、B1~B5のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
[B7]前記側壁金属層(22)は、前記劈開部(16A~16D、126)を露出させている、B6に記載の半導体装置(1)。
【0165】
[B8]前記第1面(5)は、実装面(5)であり、前記第2面(6)は、非実装面(6)である、B1~B7のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
[B9]半導体基板(3)およびエピタキシャル層(4)を含む積層構造を有し、前記半導体基板(3)側の第1面(5)、前記エピタキシャル層(4)側の第2面(6)、ならびに、前記半導体基板(3)および前記エピタキシャル層(4)によって形成された側壁(7A~7D)を有し、前記側壁(7A~7D)において前記第1面(5)から前記第2面(6)に向けて窪んだ切欠部(11)、および、前記側壁(7A~7D)において前記第2面(6)および前記切欠部(11)の間に形成された劈開部(16A~16D、126)を有する半導体チップ(2)と、前記側壁(7A~7D)において前記劈開部(16A~16D、126)に形成され、前記半導体チップ(2)の結晶構造とは異なる性質に改質された改質層(124)と、を含む、半導体装置(1)。この半導体装置(1)によれば、切欠部(11)によって第2面(6)への導電接合材の回り込みを抑制できる。
【0166】
[B10]前記切欠部(11)は、前記第1面(5)から前記第2面(6)に向けて前記半導体基板(3)の厚さ方向途中部まで形成され、前記劈開部(16A~16D、126)は、前記半導体基板(3)および前記エピタキシャル層(4)によって形成されている、B9に記載の半導体装置(1)。
[B11]前記改質層(124)は、前記第2面(6)から前記切欠部(11)側に間隔を空けて形成されている、B9またはB10に記載の半導体装置(1)。
【0167】
[B12]前記改質層(124)は、前記切欠部(11)から前記第2面(6)側に間隔を空けて形成されている、B9~B11のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
[B13]前記改質層(124)は、前記側壁(7A~7D)において前記半導体基板(3)からなる部分に形成されている、B9~B12のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
【0168】
[B14]前記改質層(124)は、前記側壁(7A~7D)において前記エピタキシャル層(4)から前記切欠部(11)側に間隔を空けて前記半導体基板(3)からなる部分に形成されている、B9~B13のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
[B15]前記第1面(5)に沿う面方向に関して、前記改質層(124)は、前記切欠部(11)の幅(WE)未満の幅を有している、B9~B14のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
【0169】
[B16]前記第1面(5)を被覆する金属層(21)をさらに含む、B9~B15のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
[B17]前記側壁(7A~7D)を被覆する側壁金属層(22)をさらに含む、B9~B16のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
[B18]前記側壁金属層(22)は、前記切欠部(11)を被覆し、前記劈開部(16A~16D、126)を露出させている、B17に記載の半導体装置(1)。
【0170】
[B19]前記側壁金属層(22)は、前記側壁(7A~7D)において前記エピタキシャル層(4)から前記切欠部(11)側に間隔を空けて前記半導体基板(3)からなる部分を被覆している、B17またはB18に記載の半導体装置(1)。
[B20]前記第1面(5)は、実装面(5)であり、前記第2面(6)は、非実装面(6)である、B9~B19のいずれか一つに記載の半導体装置(1)。
【0171】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0172】
1 半導体装置
2 チップ
3 基板
4 エピタキシャル層
5 実装面
6 非実装面
7A 側壁
7B 側壁
7C 側壁
7D 側壁
10A 庇部
10B 庇部
10C 庇部
10D 庇部
11 切欠部
12 内端部
13 外端部
14 接続部
16A 第2接続壁
16B 第2接続壁
16C 第2接続壁
16D 第2接続壁
21 第1金属層
27 第2金属層
101 半導体パッケージ
102 パッケージ本体
103 ダイパッド
104 導電接合材
105 リード端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図13J
図13K
図13L
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図15A
図15B
図16