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  • 特許-ケーブル固定構造及び多芯ケーブル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ケーブル固定構造及び多芯ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/40 20060101AFI20240731BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20240731BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H01B7/40 307A
H01B7/08
H02G3/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020106979
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022002190
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000226932
【氏名又は名称】日星電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石黒 真
(72)【発明者】
【氏名】藤田 公輔
(72)【発明者】
【氏名】ファン チャン ヒュー
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-003967(JP,A)
【文献】特開2016-095955(JP,A)
【文献】特開昭59-16211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/40
H01B 7/08
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列した複数本のケーブルを、長さ方向の少なくとも一部において並列状態で固定する構造であって、
該複数本のケーブルの固定部において、並列した該複数本のケーブルの並列面の両面に第1補強部材がそれぞれ融着され、
隣り合う該ケーブル間のうち、少なくとも1箇所において、第2補強部材が設けられ、
該第2補強部材が設けられた箇所において、隣り合う該ケーブルの最外層同士は融着されることなく、該第2補強部材と該最外層との間が互いに融着されるとともに、該第2補強部材は該並列面の両面に融着された該第1補強部材のそれぞれに融着されていることを特徴とするケーブル固定構造。
【請求項2】
該第1補強部材、及び/又は、該第2補強部材において、該最外層と接する層の融点が、該最外層の融点よりも低いことを特徴とする、
請求項1に記載のケーブル固定構造。
【請求項3】
該第2補強部材は、隣り合う該ケーブル間の全てに設けられることを特徴とする、
請求項1~2のいずれか一項に記載のケーブル固定構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のケーブル固定構造を有する多芯ケーブル。
【請求項5】
並列した複数本のケーブルが曲げられた状態で固定されていることを特徴とする、
請求項4に記載の多芯ケーブル。
【請求項6】
並列した複数本のケーブルを、長さ方向の少なくとも一部において並列状態で固定する構造であって、
該複数本のケーブルの少なくとも1本は複数本の信号線を含んで一括被覆したものであり、
該複数本のケーブルの固定部において、並列した該複数本のケーブルの並列面の両面に第1補強部材がそれぞれ融着され、
隣り合う該ケーブル間のうち、少なくとも1箇所において、第2補強部材が設けられ、
該第2補強部材が設けられた箇所において、隣り合う該ケーブルの最外層同士は融着されることなく、該第2補強部材と該最外層との間が互いに融着されるとともに、該第2補強部材は該並列面の両面に融着された該第1補強部材のそれぞれに融着されていることを特徴とするケーブル固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に複数本のケーブルを並列に配置して固定するための固定構造、及び、前記固定構造を使用する多芯ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置や産業用ロボット等で用いられるケーブルであって、特に可動部においては、リボンケーブル、ベアケーブルなどと称される、複数本のケーブルを並列に配置された多芯ケーブルが広く使用されている。
【0003】
ケーブルを並列配置する固定構造の1つとして、特許文献1及び2には、薄膜状の補強部材を用い、補強部材とケーブルを融着により一体化する固定構造が知られている。(図5(a)(b)参照)
【0004】
特に特許文献2の固定構造は、複数本のケーブルの少なくとも一面を覆うように、薄膜状の補強部材が設けられ、隣り合うケーブルの最外層は融着されることなく、補強部材と最外層との間が互いに融着していることを特徴とする。
また、補強部材と最外層とが相溶性の材料であるため、熱融着により強固に固着されている。
【0005】
しかし、このような強固な固定構造であっても、より複雑な状態で繰り返し屈曲するような厳しい使用環境下においては、ケーブルへの負荷が著しく、特に各固定部の線方向両端部において、補強部材がケーブルから剥がれてしまう等の不具合が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-22890号
【文献】特開2016-95955号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、複雑化する厳しい使用環境下においても耐久性に優れ、固定部で剥れなど生じないケーブル固定構造、及び多芯ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は以下のとおりである。
【0009】
(1)本発明のケーブル固定構造は、並列した複数本のケーブルを、長さ方向の少なくとも一部において並列状態で固定する構造であって、該複数本のケーブルの固定部において、並列した該複数本のケーブルの並列面の両面に第1補強部材がそれぞれ融着され、
隣り合う該ケーブル間のうち、少なくとも1箇所において、第2補強部材が設けられ、
該第2補強部材が設けられた箇所において、隣り合う該ケーブルの最外層同士は融着されることなく、該第2補強部材と該最外層との間が互いに融着されるとともに、該第2補強部材は該並列面の両面に融着された該第1補強部材のそれぞれに融着されていることを特徴とする。
(2)本発明のケーブル固定構造は、第1補強部材、及び/又は、第2補強部材において、最外層と接する層の融点が、最外層の融点よりも低いことが好ましい。
(3)本発明のケーブル固定構造は、第2補強部材は、隣り合うケーブル間の全てに設けられることが好ましい。
(4)上記を特徴とするケーブル固定構造を有する多芯ケーブルである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のケーブル固定構造及び多芯ケーブルは、複雑化する使用環境下においても耐久性に優れ、固定部で剥れなどが生じないため、安定して長期使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明におけるケーブル固定構造の参考態様である。
図2】(a)(b)本発明におけるケーブル固定構造の基本的態様である。
図3】本発明のケーブル固定構造を使用する多芯ケーブルの例である。
図4】ケーブル固定構造の(a)引張強度(b)引き剥がし強度の測定方法(模式図)である。
図5】従来技術におけるケーブル固定構造の態様である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の基本的構成について、図面を参照しながら説明するがこれに限定されない。
図1に記載のケーブル固定構造1は、本発明の参考構造である。ケーブル2は信号線3で構成され、最外層(シース)4で被覆される。複数本のケーブル2は、第1補強部材5及び第2補強部材6により一体化され固定される。ケーブル間固定部Xは、ケーブル2間における第2補強部材6による固定部である。
【0013】
本発明のケーブル固定構造1の参考構造では、並列した複数本のケーブル2の少なくとも一面を覆うように第1補強部材5が設けられ、隣り合うケーブル2間の少なくとも1箇所において、第2補強部材6が設けられ、第1補強部材5と第2補強部材6は、少なくとも一部が結合されていることを特徴とする(図1)。第1補強部材5に加えて、隣り合うケーブル2間に第2補強部材6を、第1補強部材と結合して設けることによって、ケーブル間固定部Xの剥れ(破損)が低減されるため、ケーブル固定構造の耐久性(固定強度)が向上する。第1補強部材と第2補強部材の結合方法は限定されないが、結合強度の点で熱融着による結合が好ましい。
【0014】
第1補強部材5は、図1のように、並列した複数本のケーブル2の少なくとも一面を覆うように設けられる。並列した面の片面のみ、両面、あるいはこれらの組合せが挙げられ、特に限定されない。ケーブル間の固定強度向上の点で、図2(a)(b)のように、両面、特にケーブル全周を覆う構造が好ましい。
【0015】
第2補強部材6は、隣り合うケーブル2間の少なくとも1箇所に設けられる(ケーブル間固定部X)。ケーブル間固定部Xの数は限定されないが、多いほどケーブル固定構造1の耐久性が改善される。
【0016】
図2(a)(b)は、本発明のケーブル固定構造1の基本的態様であり、ケーブル固定構造の耐久性の点において、より好ましい構造である。図2(a)はケーブル間の全てにおいて、ケーブル間固定部Xを設ける構造である。耐久性の点で、隣り合うケーブル2間の全てに設けられことが好ましいが、柔軟性の向上や生産性を考慮する場合、例えば図2(b)に示すように2箇所毎に施されても良い。
【0017】
本発明のケーブル固定構造1は、隣り合うケーブル2の最外層4同士は融着されることなく、第1補強部材5と最外層4との間、及び、第2補強部材6と最外層4との間が、互いに融着されることが好ましい。ケーブル2同士を融着等により直接固定しないため、ケーブル2への熱的負荷が緩和される。
【0018】
また、ケーブルの最外層4と補強部材5、6間での固定強度を強化する目的で、最外層4と補強部材5,6とが相溶性の材料であることが好ましい。相溶性であるとは、互いに同一の材料である、もしくは化学的構成が類似していることにより、融解した際に互いに混ざり合い易いことを指す。最外層と補強部材とが相溶性であることで、融着時に互いに混ざり合い、より強固な融着(結合)を得ることができる。
【0019】
また、第1補強部材5、及び/又は、第2補強部材6は多層構造とすることが好ましい。これは、最外層との相溶性を有する補強部材の材料が必ずしも、柔軟性などその他の特性に優れたものであるとは限らないためである。例えば、柔軟性が必要な場合は、補強部材を2層構造とし、最外層と接する層(以下、溶融層と呼ぶ)は、最外層との相溶性が高い材料の層とし、もう1つの層は、溶融層と同種の材料としつつ、より柔軟性に富んだ組成の材料とすることで、強固な融着と柔軟性を両立することができる。溶融層以外の層は、柔軟性に限らず、必要な特性を有する材料を適宜選択すればよい。より好ましくは、第1補強部材5及び第2補強部材6の全てが多層構造である。
【0020】
さらに、第1補強部材5及び/又は第2補強部材6の、最外層4と接する層の融点が、最外層4の融点よりも低いことが好ましい。補強部材を最外層へ融着するため加熱する際、最外層4への熱的負荷を軽減することができる。
【0021】
第1補強部材5、及び/又は、第2補強部材6を多層構造とする際は、溶融層(ケーブル2の最外層4と結合する側の層)の融点を、ケーブル2の最外層4の融点より低くすることが好ましい。この構成とすることで、加熱融着する際、最外層4の融解が開始する前に補強部材の溶融層が融解するため、ケーブル2に熱影響が発生する前に融着(結合)を完了することができる。なお、溶融層以外の層の融点は、溶融層の融点より高いものにしておくと、融着後の外観変化を最小限に留めることができて好ましい。なお、本発明における融点は、その材料が融解して液体となる温度のみを指すものではなく、融着が可能な程度に材料が軟化する温度も、便宜上融点として扱う。
【0022】
第1補強部材5、及び/又は、第2補強部材6は、ケーブル2への熱影響軽減と取扱いの観点から、薄膜状のものが好ましい。薄膜状とは、補強部材の長さ、幅、及びケーブル2の外径と比較してその厚さが十分に小さい形状のことを指し、いわゆるシート状のもの、テープ状のものなどが挙げられる。補強部材を薄膜状とすることで、最外層4と補強部材の接触面を素早く加熱することができ、短時間で融着が完了するため、ケーブル2への熱影響を最小限に留めることができる。加えて、補強部材を設けても厚さの変化が少ないため、最小化が可能である。
【0023】
薄膜状である第1補強部材5、及び/又は、第2補強部材6を使用する際は、固定強度と融着作業性の観点で、厚さが100~2000μmの範囲であることが好ましい。薄膜状補強部材を適切な厚さとすることで、最外層4と補強部材の接触面を素早く加熱できると共に、融着後の固定強度も確保することができる。
【0024】
第1補強部材5、及び/又は、第2補強部材6の材質は特に限定されないが、柔軟性の点で熱可塑性/硬化性のエラストマー等が挙げられる。機械的強度や汎用性の点で、好ましくはポリウレタンである。
【0025】
第1補強部材5、及び/又は、第2補強部材6は、形状、寸法、材質等全て同じであって良いが、特に限定されない。生産性の観点で、第1補強部材5と第2補強部材6は同一材料であり一体化していることが好ましい。
【0026】
また必要に応じて、第1補強部材5の内側に、ケーブル2の最外層4と接触するよう自立部材(図示せず)を設けても良い。この自立部材は原則として、ケーブル2あるいは補強部材5,6よりも剛性の高い材料が使用される。剛性が高い自立部材を設けることによって、ケーブル2が折れ曲がりにくくなり、ケーブル2を空中で使用する際などに不用意に変形することを抑制できる。
【0027】
ケーブル固定構造1が施される場所は特に限定されないが、図3の多芯ケーブル7のように、ケーブル長さ方向の全長に渡ってではなく、所望する場所の一部にのみ、ケーブル固定構造11を設けることが好ましい。ケーブル長さ方向のうち必要箇所のみを、補強部材にてケーブルの最外層4と融着して並列固定させるため、ケーブル配線の自由度が増すとともに、柔軟性が向上する。ケーブルの長さ方向における、ケーブル固定構造1、11の数や長さは限定されない。
【0028】
上述のように、ケーブルの長さ方向の所望する位置のみを固定することができるため、ケーブルを所望する形状に変形させた後に固定構造11を形成することができる。例えば、図3の多芯ケーブル7に示すように、並列した複数本のケーブルを水平面に沿って曲げた形状とする場合は、ケーブルを曲げた後、曲げ近傍に固定構造11を設ければ良い。その結果、複雑化する厳しい使用環境下においても、耐久性に優れるケーブル固定構造11が得られる。
【0029】
さらに、図3の多芯ケーブル7に示すように、本発明のケーブル固定構造11は、固定構造近傍でケーブルが分岐して使用される場合にも好適である。本発明のケーブル固定構造11は高い引張強度を有するため、分岐したケーブル2が引張られて固定部が裂けるような力が掛かっても、従来のケーブル固定構造と比較して高い耐久性を有し、複雑化する厳しい使用環境下において有用である。
【0030】
ケーブル2と第1補強部材5、第2補強部材6との融着方法は特に限定されないが、融着金型を用いる方法が好ましい。複数本のケーブルと補強部材を融着用金型に配置し、金型を加熱することでケーブル固定構造1が得られる。所定の長さの融着用金型を使用することで、ケーブル2の長さ方向の所望する位置のみに所定の長さで固定することができる。
【0031】
以下参考までに、ケーブル2について示すが特に限定されない。
【0032】
ケーブル2の本数は特に限定されず、複数本で構成される。
【0033】
ケーブル2を構成する信号線3の構造も特に限定されず、例えば、導体線を最外層4で被覆した電線、あるいは、内部導体、誘電体、シールド層、最外層4等で構成される同軸ケーブル、光ファイバを最外層4で被覆した光ファイバケーブル、さらに、これらを複合し、適宜シールド層や最外層4で一括被覆する多芯ケーブル、等が挙げられる。複数本のケーブル2のサイズは、同一であっても異なっていてもよく、特に限定されない。
【0034】
並列配置する複数本のケーブル2は、ケーブル2の他に、樹脂製等のチューブ、ロッド、繊維などを設けても良い。例えばチューブは、エアーや液体を輸送する単層又は多層チューブが挙げられるが、この場合、補強部材と結合するため、チューブの最外層は、ケーブル2の最外層4に相当する層であることが好ましい。
【0035】
ケーブルを構成する最外層4について、材質は特に限定されないが、補強部材と相溶性であることが好ましく、補強部材がポリウレタンの場合、PVCやポリウレタン等が好ましい。また、単層/多層のいずれであっても良く、最外層4の内側に別のシースを設けてもよい。例えば、補強の目的で柔軟性の高いシースを施した上に、ケーブル固定構造を得る目的で最外層4を施される。
【0036】
複数本のケーブル2を並列配置する際の垂直方向の位置(高さ)は、底辺で揃えられても、ケーブルの中心で揃えられてもよく、特に限定されない。
【実施例
【0037】
実施例1は、本発明のケーブル固定構造1の一例であり、図2(a)に示すように、ケーブル間の全てにケーブル間固定部Xを設ける構造である。
【0038】
複数本の信号線3上に融点が160~170℃の範囲にあるポリウレタン製の最外層4を施し、外径8.0mmのケーブル2を8本用意する。
【0039】
ケーブル2を8本並列した後、ケーブル固定構造1として、長さ方向の一部を90mmに渡って第1補強部材5及び第2補強部材6にて固定する。ケーブル2及び補強部材は、融着用金型に配置後、加熱して固定される。補強部材はいずれも厚さ500μmの薄膜状で、2層構造となっているポリウレタンシートを使用する。このポリウレタンシートのうち、最外層4と接する側の層(溶融層)は、他の層と比較して、柔軟性の高いポリウレタン層であり、融点は最外層4より低い層となっている。
【0040】
比較例は、図5(b)に示すように、実施例のうち、補強部材55のみからなる従来技術のケーブルの固定構造51である。
【0041】
実施例及び比較例について、ケーブル固定構造の耐久性(固定強度)を確認するため、引張強度を測定する。測定方法を以下に示す。
【0042】
(測定方法)
評価サンプルは、ケーブル固定構造部分を長さ60mmにカットしたものを用いる。図4(a)に示すように、ケーブルの両端をそれぞれ、引張試験機のチャックで固定し、引張速度50mm/minにて引張り、補強部材が破損する(剥れ)までの最大値[N]を測定する。
【0043】
測定結果(表1)に示す通り、実施例の引張強度は、比較例と比較し大幅に改善が見られる。
【0044】
【表1】
【0045】
さらに、実施例及び比較例について、補強部材の引き剥がし試験を行う。測定方法を以下に示す。
【0046】
(測定方法)
評価サンプルは、多芯ケーブルの長さ200mmのうち、ケーブル固定構造の部分は90mmであり、固定に用いられる補強部材とケーブルとの固定強度を測定する。すなわち、図4(b)に示すように、補強部材とケーブルとをそれぞれ、引張試験機のチャックに固定し、引張速度50mm/minにて引張り、補強部材がケーブルから剥がれる際の最大値[N]を測定する。
【0047】
測定結果(表2)に示す通り、実施例の引き剥がし強度は、比較例と比較し大幅に改善が見られる。
【表2】
【0048】
以上より、実施例におけるケーブル固定構造1は、引張試験、引き剥がし試験の結果、比較例の従来技術のケーブル固定構造51と比較して大変優れており、複雑化する厳しい使用環境下においても有用である。
【0049】
以上の例は、本発明の一例に過ぎず、本発明の思想の範囲内であれば、種々の変更及び応用が可能であることは言うまでもない。本発明の固定構造は、ケーブルの並列固定を想定したものではあるものの、並列配置以外の様々な配置の固定や、ケーブル以外、例えば、金属パイプの外周に融着層を設け、必要箇所のみ固定するなど、種々の長尺品に応用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1、11、51 ケーブル固定構造(固定部)
2、52 ケーブル
3、53 信号線
4、54 最外層(シース)
5 第1補強部材
55 補強部材(従来技術)
6 第2補強部材
7 多芯ケーブル
X ケーブル間固定部
図1
図2
図3
図4
図5